GREAT WHITE『...TWICE SHY』(1989)
1989年4月発売の、GREAT WHITE通算4作目のスタジオフルアルバム。前作『ONCE BITTEN...』(1987年)が100万枚を超えるヒット作となったことを受け、同作で垣間見せたブルースロック路線をより強めた続編的な作風に仕上がっています。それはタイトルの関連性(2作あわせて「Once Bitten, Twice Shy」=日本の「あつものにこりてなますを吹く」と同意のことわざ)からも伺えると思います。
オープニングを飾る「Move It」の、どこか洗練されたクールさにまず度肝を抜かれる本作は、モダンさとブルージーさを併せ持つ「Heart The Hunter」、ヘヴィなんだけどちょっとしたフレーズにジャズっぽさすら感じさせる「Hiway Nighs」など、前作にありそうでなかった新たなタイプの楽曲がずらりと並びます。
かと思うと、儚さと美しさを兼ね備えた名バラード「The Angel Song」があったり、ヘヴィなブルースロック「Mista Bone」、ファンキーなギターフレーズ&アレンジが気持ち良い「Baby's On Fire」と緩急に富んだ流れも楽しめる。さらに「House Of Broken Love」みたいにブルージーなロッカバラードもあれば、泣きのアコースティックバラード「She Only」もある。どの曲もかなりアレンジやメロディが練られており、本当に捨て曲がないから驚きです。
で、アルバムラストを締めくくるのがアルバムの表題曲ともいえる「Once Bitten, Twice Shy」。元MOTT THE HOOPLEのイアン・ハンターがソロでヒットさせた名曲のカバーですが、オリジナルに比較的近いアレンジなものの、それでもGREAT WHITEらしさに満ち溢れているという好カバーです。実際、この曲はアルバムからの先行シングルとして全米5位のヒットを記録しています。また同曲のヒットに導かれ、アルバム自体も全米9位まで上昇。200万枚を超えるヒット作となりました。『ONCE BITTEN...』で得た経験と成功をうまく活かせたわけですね。
全9曲とコンパクトなアルバムですが、CDのみ5曲目に「Bitches And Other Women」、ラストに「Wasted Rock Ranger」が追加されています。前者はTHE ROLLING STONESの「Bitch」とFOREIGNERの「Women」をメドレーにしたアコースティックカバー、後者はブラッド・ベイカー作のカントリーナンバー。カバー曲や他者の楽曲が多くなってしまうことから、アナログ盤では省かれたのでしょうか(そもそもアルバム自体、9曲でも約50分というボリュームでしたし)。CD世代の我々にとっては、この2曲を加えた11曲バージョンのほうが馴染みが強く、今の配信バージョン(オリジナルの9曲入り)は少々物足りなかったりもします。
なお、「Wasted Rock Ranger」はベストアルバムなどで聴くことができるので、ストリーミングサービスで探してみてください。1990年の初来日公演でもアンコールで最後に演奏された、ファンには馴染み深い1曲ですので。