カテゴリー「Green Day」の10件の記事

2024年3月31日 (日)

GREEN DAY『DOOKIE』(1994)

1994年2月1日にリリースされたGREEN DAYの3rdアルバム。日本盤は同年6月25日発売。

それまでインディーズのLookout! Recordsから作品を発表してきたGREEN DAYが、メジャーのReprise Reocrdsへ移籍して最初に発表した作品。本作からの「Longview」がBillboard Alternative Airplayで1位を獲得したのを筆頭に、「Basket Case」(同チャート1位)、「Welcome To Paradise」(同7位)、「When I Come Around」(同1位)とヒット曲を連発し、アルバムも最高2位まで上昇。セールス的には現在までに1000万枚を超える、キャリア最大のヒット作となりました。

当時のシーンを振り返ると、彼らのメジャーデビューはカート・コバーンNIRVANA)が亡くなる2ヶ月前のこと。つまり、アメリカで社会的現象を巻き起こしたグランジムーブメントが沈静化する直前のタイミングだったんです。サウンド的にはグランジ同様、シンプルで無駄のないバンドアンサンブルを軸にしているものの、そこに古き良き時代のパンクロックらしいメッセージ性、モノトーンな作風が中心だったグランジから一転して幾分カラフルでポップなメロディが、それまでの反動としてなのか、好意的に受け入れられた。特に、「Basket Case」などのMVで見せるシニカルさはグランジから地続きなところもあったので、すんなりと受け止められたのかなと思っています。

そして、彼らの人気を決定づけた要因のひとつに、1994年8月に開催された野外フェス『Woodstock '94』も挙げられるでしょう。1969年に行われた伝説のフェス『Woodstock Music And Art Fair』の25周年企画として実施されたこのフェスには、METALLICAAEROSMITHRED HOT CHILI PEPPERSNINE INCH NAILSなど当時のアメリカを代表するバンドも多数参加。GREEN DAYは公演3日目(8月14日)のサブステージ(South Stage)の5番手(ちょうど真ん中あたり)に登場し、客席から泥を投げ込まれたり観客がステージに乱入したりとかなりカオスな状況が今でも伝説として語られています。

当時、僕はこのアルバムを買った記憶がまったくないんですが、気づいたらなぜかCDが家にあったんです。当時の友人か彼女が上に忘れていったものかと思ったのですが、思い当たる人たちに聞いて回っても「自分のものじゃない。けど、お前の家でよく聴いてたよな」という返事ばかり。そういう不思議な縁で出会った1枚なんです。もちろん、ラジオで「Basket Case」や「Longview」は耳にしていたし、「Basket Case」のMVも面白いと思っていた。だけど、自分から進んで手にするかと言われたら、当時の自分は購入していなかったんじゃないかな。そういった意味でも、妙な縁でつながった1枚なんです。

また、その頃の自分はパンクといえばUKパンクのイメージが強く、USパンクはそこまで詳しくなかった。せいぜいRAMONESくらいだったかな(さらにそのルーツとなるようなアーティストも聴いていたけど)。だから、アメリカから生まれた新たなパンクと言われても「え、グランジがあるのに?」と消極的になってしまっていた。そう考えると、誰が置いていったのか、このアルバムを我が家に与えてくれたことは価値観をぶち壊す上でもかなり重要なトピックだったと思います。

RAMONES直系のポップでキャッチーなパンクチューンの数々は、そのRAMONES同様に50'sや60'sのUSポップやR&Bとの共通点が見受けられる。だけど、バンドアンサンブルは非常に尖っていて、歌詞に目をやるとグランジにも通ずるネガティブさも見受けられる(もっとも、家にあったのは輸入盤だったので、歌詞を理解したのはもっとあとのことですが)。決して彼らの台頭で時代が激変したのではなく、90年代初頭から続くダークなムードをそのまま引き摺りつつ、怒りの矛先が少しずつ変わっていった。そのターニングポイントを作ったのがGREEN DAYや、同時期にヒットを飛ばしたTHE OFFSPRINGのようなバンドたちだったんでしょうね。

ちなみに、彼らは次作『INSOMNIAC』(1995年)を発表したあと、1996年1月に初来日ツアーが実現。僕は当時晴海にあった会場でのスタンディングライブ(オープニングアクトにHi-STANDARDが出演)で、彼らのステージを初めて目撃しています。当時のエピソードについてはこちらのインタビューにも詳しく載っているので、併せてお読みくださいませ。

 


▼GREEN DAY『DOOKIE』
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2024年3月30日 (土)

GREEN DAY『SAVIORS』(2024)

2024年1月19日にリリースされたGREEN DAYの14thアルバム。

前作『FATHER OF ALL MOTHERFUCKERS』(2020年)から約4年ぶりの新作。前作発表直後に新型コロナウイルスのパンデミック期に入ってしまったことで、同年3月末から予定されていた8年ぶりの来日は翌2021年3月に延期されるも、状況が緩和されることなくそのまま中止に。特に海外では3月以降ロックダウンに突入したことで身動きが取れなくなり、ビリー・ジョー・アームストロング(Vo, G)はYouTubeにカバー曲を公開し始めます。それがのちに“自身の人生のサウンドトラック”をテーマにしたカバーアルバム『NO FUN MONDAYS』(2020年)へとつながっていきます。

2021年に入るとバンドは「Here Comes The Shock」「Pollyanna」「Holy Toledo!」といった新曲、ライブアルバム『BBC SESSIONS』などを発表し、夏にはパンデミックの影響で延期されていたFALL OUT BOYWEEZERとのツアー『Hella Mega Tour』を実現させます。そして、同年末にいよいよ次作に向けてスタジオ入り。三部作アルバム(9th『¡UNO!』、10th『¡DOS!』、11th『¡TRÉ!』 )以来となるロブ・キャヴァロとの共同プロデュースにより2023年まで作業が続けられ、完成したのが本作となります。

原点回帰を狙った前々作『REVOLUTION RADIO』(2016年)、そこにソウルやモータウン、グラムなどのさらなる原点要素を加えつつ無駄を削ぎ落とした前作『FATHER OF ALL MOTHERFUCKERS』と、セルフプロデュースによる2作を経て気心知れたロブとのタッグ復活。しかも、バンドにとってターニングポイントとなった3作目『DOOKIE』(1994年)、7作目『AMERICAN IDIOT』(2004年)からそれぞれ30年、20年という大きな節目に両作に携わったロブが制作に参加するということは、この新作がバンドにとってそれだけ大きな意味をもたらす作品になるであろうことは想像に難しくありません。

事実、ここで聴ける楽曲の数々は『REVOLUTION RADIO』ほど尖りすぎておらず、かといって『FATHER OF ALL MOTHERFUCKERS』より実験色も強くない。『DOOKIE』や『AMERICAN IDIOT』といった名作(と、その間に発表してきたほかの諸作品)の延長線上にある「成熟したパンクロック」のあるべき形が提示されている、と受け取るのが正解でしょう。

アルバム冒頭の「The American Dream Is Killing Me」でみせるドリーミーでキラキラしたテイストを筆頭に、「Look Ma, No Brains!」や「1981」などのアンセミックなポップパンクチューン、「Bobby Sox」や「One Eyed Bastard」を筆頭とするルーツミュージックの香りを漂わせるパワーポップナンバーの数々、「Goodnight Adeline」あたりから感じられるパワーバラード的テイストなど、これまで彼らが培ってきたスタイルの総決算と呼べる楽曲がずらりと並ぶ。しかも、それらが単なる過去の焼き直しで終わっておらず、アーティストとしての成長や成熟ぶりもしっかり感じ取ることができる。GREEN DAYという名の下にすべきことを、最適なバランスで実現させたのが“救世主”という意味を持つタイトルを冠した本作なのです。

困難を伴う数年間を乗り越え、満を持して届けられたGREEN DAYの最新アルバムは、今を生きるすべての世代に向けた新たなバイブルになるのではないでしょうか。いや、そうなってほしいと願わずにはいられません。近年、オリヴィア・ロドリゴのような新世代アーティストがポップパンクをフィーチャーすることで、アヴリル・ラヴィーンが再評価されたりしましたが、2024年に入ってから発表されたこのGREEN DAYの新作やSUM 41のラストアルバム『HEAVEN :X: HELL』などを通じて、ロック低迷なアメリカで再び大きな波が戻ってくることを心の底から願っています。

 


▼GREEN DAY『SAVIORS』
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2024年3月27日 (水)

GREEN DAY『AMERICAN IDIOT』(2004)

2004年9月21日にリリースされたGREEN DAYの7thアルバム。日本盤は同年9月23日発売。

前作『WARNING』(2000年)から4年ぶりという、彼らのそれまでのキャリア中もっとも長いインターバルを経て届けられた新作。前作以降に初のベストアルバム『INTERNATIONAL SUPERHITS!』(2001年)やシングルB面集『SHENANIGANS』(2002年)、さらにはGREEN DAYの覆面バンド(サイドプロジェクト)THE NETWORKのアルバム『MONEY MONEY 2020』(2003年)を発表しているとはいえ、ここまで新作に時間がかかってしまった理由には、2003年に当時完成直前だった“幻のアルバム”『CIGARETTES AND VALENTINES』のマスターテープが盗まれてしまったからというのが大きかったから。これにより、バンドは同作を再録することなく、新たな作品に着手することとなり、そうした偶然の副産物がこの傑作『AMERICAN IDIOT』だったわけです。

イラク戦争やそれを引き起こした当時のブッシュ政権、それを許したアメリカという国家に対する怒りや批判をテーマに制作された本作。『WARNING』がいわゆるパワーポップ的な作風だったのに対し、今作ではそうしたポリティカルなテーマやパンクバンドらしいアンチテーゼを表現するのにふさわしく、初期のストレートなパンクロックに回帰しているだけでなく、前作までのパワーポップ文脈、さらには往年のTHE WHOのようなロックオペラ的な組曲要素も取り入れるなど、バンドとして新章に突入したことを窺わせる充実ぶりを見せています。

アルバム冒頭を飾る「American Idiot」(米61位)のアンセム感や、キャリア最大のヒット曲となったミディアムチューン「Boulevard Of Broken Dreams」(同2位)、シャッフルビートが心地よい「Holiday」(同19位)、近作でのアコースティック路線をさらに追求した「Wake Me Up When September Ends」(同6位)と、初めて“Billboard Hot 100(=シングルチャート)”にランクインしたヒット曲の数々。そして、プログレッシヴな組曲調でありながらしっかりパンクロックとしての芯を失っていない「Jesus Of Suburbia」や「Homecoming」など、聴き応えのある楽曲が満載。「Are We The Waiting」から数曲におよぶ流れも組曲的な流れを作っており、リスナーに隙を一切与えない構成はさすがの一言です。

60分近くにおよぶ長尺なトータルランニングはもはやパンクロックとは呼べないかもしれません。が、それでも本作はブレイクのきっかけを作った『DOOKIE』(1994年)から道を外れているようにはまったく感じられないし、それと同時に『DOOKIE』から10年でパンクロックはここまで進化したんだという新たな気づきも与えれくれる。そうした意味では、革新的な1枚と言えるはずです。

GREEN DAYはこのアルバムで初の全米1位を獲得。現在までの600万枚以上を売り上げ、『DOOKIE』に次ぐヒット作となりました。また、第47回グラミー賞(2005年)で本作が最優秀ロック・アルバムを受賞し、第48回グラミー賞(2006年)では「Boulevard Of Broken Dreams」が主要4部門のひとつ・年間最優秀レコード賞をパンクバンドとして初めて受賞する快挙を成し遂げています。さらに、2009年には本作を題材にしたミュージカルも上演されています。

パンクバンドの在り方や為すべきこと、そしてパンクロックとしての進化や成長という点でも、本作はターニングポイントとなった重要作。そして、人気に翳りの見えたGREEN DAYにとっても新たな黄金期の始まりを告げる、第二のデビュー作と言えるのではないでしょうか。

 


▼GREEN DAY『AMERICAN IDIOT』
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2021年1月 3日 (日)

祝ご成人(2000年4月〜2001年3月発売の洋楽アルバム20選)

少し気が早いですが、新成人の皆さんおめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で7回目を迎えます。いつもは成人の日前後に掲載しているのですが、今年は書けるうちに……と思い、3が日に企画記事を固めてみました。

この企画は「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に貴重な機会でもあり、同時に「どれを20枚に含めるか?」というセレクトにおいても非常に頭を悩ます良いタイミングとなっています。

改めて趣旨説明を。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2000年4月〜2001年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちら、2019年度の新成人編はこちらです)

 

AEROSMITH『JUST PUSH PLAY』(2001年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE AVALANCHES『SINCE I LEFT YOU』(2000年11月発売)

 

BJÖRK『SELMASONGS』(2000年9月発売)(Spotify

 

BON JOVI『CRUSH』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

COLDPLAY『PARASCHUTES』(2000年7月発売)(Spotify

 

DAFT PUNK『DISCOVERY』(2001年2月発売)(Spotify

 

DEFTONES『WHITE PONY』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

EMINEM『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000年5月発売)(Spotify)(レビュー

 

ERYKAH BADU『MAMA'S GUN』(2000年11月発売)(Spotify

 

GORILLAZ『GORILLAZ』(2001年3月発売)(Spotify

 

GREEN DAY『WARNING』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE HIVES『VENI VIDI VICIOUS』(2000年9月発売)(Spotify

 

LIMP BIZKIT『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『HYBRID THEORY』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

MADONNA『MUSIC』(2000年9月発売)(Spotify

 

PAPA ROACH『INFEST』(2000年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

QUEENS OF THE STONE AGE『RATED R』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

RADIOHEAD『KID A』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

U2『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

残念ながらセレクトから漏れた作品も多く。以下に主だった作品をピックアップしておきました。

A PERFECT CIRCLE『MER DE NOMS』(レビュー
AMERICAN HI-FI『AMERICAN HI-FI』(レビュー
BACKSTREET BOYS『BLACK & BLUE』
BLACK LABEL SOCIETY『STRONGER THAN DEATH』(レビュー
BRITNEY SPEARS『OOPS!... I DID IT AGAIN』
FATBOY SLIM『HALFWAY BETWEEN THE GUTTER AND THE STARS』
DECKARD『STEREODREAMSCENE』(レビュー
GODSMACK『AWAKE』
HALFORD『RESURRECTION』(レビュー
THE HELLACOPTERS『HIGHT VISIBILLITY』(レビュー
IN FLAMES『CLAYMAN』(レビュー
IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(レビュー
JACK JOHNSON『BRUSHFIRE FAIRYTALES』(レビュー
KYLIE MINOGUE『LIGHT YEARS』
MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』(レビュー
MARILYN MANSON『HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(レビュー
MARVELOUS 3『READY SEX GO』(レビュー
MOTÖRHEAD『WE ARE MOTÖRHEAD』(レビュー
RAGE AGAINST THE MACHIE『RENEGADES』(レビュー
SiLVER GiNGER 5『BLACK LEATHER MOJO』(レビュー
UNDERWORLD『LIVE: EVERYTHING, EVERYTHING』(レビュー
ZEBRAHEAD『PLAYMATE OF THE YEAR』
V.A.『M:I-2 SOUNDTRACK』

2000年って振り返ると、サマソニが富士急ハイランドで初開催された年なんですよね。個人的にはあそこで観たMUSEとAT THE DRIVE-INの印象が(良くも悪くも)強く。あと、RAGE AGAINST THE MACHINEがその年の6月に単独来日を果たしているのですが、家庭の事情で参加できず。で、その年の11月に突如解散してしまった……なんてことも記憶に残っています。ちょうどこのサイトの前身(『とみぃの宮殿』)を始めて2年目から3年目というタイミングで、実は2000〜2001年頃に一度休止した記憶も。プライベートでも先の家庭の事情(家族の死)などもあって、バタバタしたタイミングで、実は音楽をそこまで真剣に聴いていたかと問われると……な時期でもあったことが思い出されます。

ということもあって、印象に残っているアルバム/20枚に残しておきたいアルバムのHR/HM比重が低くなっているのも印象的な1年かもしれません。そういえばこの時期、そんなに真剣に新興勢力(LINKIN PARKやPAPA ROACHなど)をリアルタイムでは聴いていなかったもんなあ。

まあ、個人的事情はさておき。国内に目を向けてもBLANKEY JET CITYの解散やLUNA SEAの終幕などありましたが、フジロックでそのブランキーやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがトリを務めたり、エレカシが「ガストロンジャー」以降のファイティングスタイル集大成としてアルバム『GOOD MORNING』を完成させたり、Mr.Childrenが大傑作『Q』を発表したりと、いろいろ記憶に残る1年だったことも付け加えておきます。あと、2001年3月には宇多田ヒカル『DISTANCE』VS 浜崎あゆみ『A BEST』メガセールス対決っていうのもありましたね。

これら20枚からプレイリストも作ってみたので、よろしければ連休中の暇つぶしとして、あるいは成人式の合間の時間つぶしとしてお楽しみください。

 

2020年12月23日 (水)

BILLIE JOE ARMSTRONG『NO FUN MONDAYS』(2020)

2020年11月27日にリリースされた、GREEN DAYビリー・ジョー・アームストロング(Vo, G)によるカバーアルバム。

GREEN DAYとしては今年2月に13thアルバム『FATHER OF ALL...』(2020年)を発表したばかりですが、その直後に新型コロナウイルスのパンデミックにより海外ではロックダウンに突入。ツアーはもちろん中止になり、それぞれ自宅にこもる自粛期間に入るわけですが、ビリーは3月からカバー曲を定期的に発表し始めます。これがのちに、“自身の人生のサウンドトラック”をテーマにしたカバーアルバムへとつながっていくわけです。

過去にもノラ・ジョーンズとのコラボ・カバーアルバム『FOREVERLY』(2013年)を制作していますが、今回はビリーらしいポップパンク/パワーポップ色の強いアレンジを軸に、ほぼすべての楽器を自身で演奏。3曲のみドラムをエンジニアのクリス・ドゥーガン、「Kids In America」でベースをビル・シュナイダー、ギターをGREEN DAYサポートのジェイソン・ホワイトが担当しています。

選曲的にも自分と同世代のビリーらしく、ティファニーのカバーで80年代後半に大ヒットした「I Think We're Alone Now」や、プリンスTHE BANGLESに提供した「Manic Monday」、キム・ワイルドのヒット曲「Kids In America」、映画『すべてをあなたに』の劇中バンドTHE WONDERSによる「That Thing You Do!」(今年4月、コロナの影響で亡くなったアダム・シュレンジャーの書き下ろし曲)など馴染み深いものから、ジョニー・サンダース「You Can't Put Your Arms Around A Memory」、スティーヴ・ベイターズ「Not That way Anymore」、ジョン・レノン「Gimme Some Truth」といった伝説的ロッカーたちの名曲、パンクファンやパワーポップマニアなら一度は名前を目にしたことがあるであろうマニアックな存在までかなり幅広くピックアップされています。個人的にも初めて耳にする楽曲も少なくなく、新鮮な気持ちで接することができました。

また、「That Thing You Do!」を素直にカバーしたり、ニューウェイブ以降のサウンド/曲作りの延長線上にある「Kids In America」をストレートなポップパンク/パワーポップ風に味付けするあたりに、ビリーの根っこの部分が強く伝わってくるような気がしたのは僕だけでしょうか。どの曲も「GREEN DAYでそのまま取り上げても違和感ないよね?」と思えるようなアレンジで、ビリーの音楽ルーツを追体験することでGREEN DAYのベースの部分を再確認できるだけではなく、アレンジャーとしてのビリーの力量も改めて実感できる、非常に重要な1枚のような気がします。

個人的にはまるで初期のTHE CLASHがカバーしたかのような「Gimme Some Truth」や、そのTHE CLASHもカバーした「Police On My Back」が1枚のアルバムに収まっているところに好感を持ちました。あとは「Kids In America」かな。改めて原曲を聴き返したら、やっぱりいい曲だったし(サウンドはアレですが)。

昨日のポール・マッカートニーの新作もそうですが、コロナ禍でなければ制作されることのなかった作品がこうやってたくさん耳にすることができた2020年。決して悪いだけではなかったような気もしてきました(ライブをまったく楽しめなかったのは別として)。

 


▼BILLIE JOE ARMSTRONG『NO FUN MONDAYS』
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2020年5月16日 (土)

GREEN DAY『WARNING』(2000)

2000年10月初頭発売の、GREEN DAY通算6作目のオリジナルアルバム(メジャー通算4作目)。日本盤は海外に先駆け、同年9月下旬にリリースされています。

メジャーデビュー作『DOOKIE』(1994年)から3作続けてロブ・カヴァロをプロデューサーに迎えアルバム作りを行ってきたバンドが、本作では初めてセルフプロデュースに挑戦(ロブもエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジット)。直近の『NIMROD』(1997年)では単なるアメリカン・パンクロックから外に一歩踏み出し、ロカビリーやアコースティックバラードなどに挑戦することで音楽の幅を広げ始めましたが、本作ではその変化がさらに大きな形で表現されています。

ポップパンクをベースにしつつもテンポを落とすことで、全体的に落ち着いた印象を作り出している。また、ギターの歪みも比較的抑えられ、要所要所にアコースティックギターを被せることでサウンドに柔らかさやしなやかさを与えている。悪く言ってしまえば「角が取れた」と否定的な声が聞こえてきそうですが、いえいえ。ちゃんと歌詞を読んでみてよ、と。しっかりパンクロック・バンドとしての主張に変化がないことに気づかされるはずです。むしろ、改めて歌詞を読み返すと、続く次作『AMERICAN IDIOT』(2004年)への布石が見つけられるんですよ。そもそも、『WARNING』(=警告)というアルバムタイトル自体が、その一端を担っているわけですからね。

だけど、「Basket Case」や「Welcome To Paradise」「Stuck With Me」のようなアップチューンを期待する層には、本作はおとなしすぎたのかな? 当時は自分の周りからあまり良い声を聞かなかった記憶があります。

でもね、あの頃のロック系クラブイベントでは「Minority」がヘヴィローテーションされていたし、みんなこの曲で楽しく踊っていたんですよ。これ以外にも「Warning」や「Waiting」といったシングル曲、「Church On Sunday」に「Castaway」「Macy's Day Parade」など完成度の高い楽曲群、次作で迎える転換期の序章とも言える異色作「Misery」など1曲1曲の個性は過去イチ。もし『AMERICAN IDIOT』をGREEN DAY第2章の幕開けと捉えるなら、この『WARNING』は第1期の集大成であり、ストレートなポップパンクから社会派パンクロックへと移行する上での過渡期でもあるのかな。

決して派手な内容ではないですし、セールス的にも過去3作と続くメガヒット作(『AMERICAN IDIOT』)に挟まれ低迷した印象を与えますが(全米4位とチャート的には良好でしたが、セールスは初めてミリオンを下回ってしまう)、彼らのファンの中では「隠れた名盤」「実は一番好き」という声も少なくないのでは。

自分の中ではGREEN DAYのことを初めて「パワーポップバンド」として認識することとなった大切な作品であると同時に、40分程度でコンパクトというのも手伝って『AMERICAN IDIOT』よりも聴く頻度の高い一番好きな1枚です。

 


▼GREEN DAY『WARNING』
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2020年2月17日 (月)

GREEN DAY『FATHER OF ALL MOTHERFUCKERS』(2020)

GREEN DAYが2020年2月初頭に発表した、通算13作目のオリジナルアルバム。なんて素敵なタイトルなんでしょう(笑)。そこだけで評価が上がります。

パワーポップやガレージロック色が強かった3部作(『¡UNO!』『¡DOS!』『¡TRÉ!』)を経てパンクロックへと原点回帰した前作『REVOLUTION RADIO』(2016年)から3年4ヶ月を経て届けられた本作。結局、前作を携えた来日は実現しませんでしたが、このニューアルバムリリースから2ヶ月経たずして久しぶりのジャパンツアーが実現します。ということは、このニューアルバムからの楽曲が中心になるわけですよね……。

さて、その待望の新作。今回も見事にそのスタイルを変化させています。ビリー・ジョー・アームストロング(Vo, G)はこのアルバムを表現する際、ソウルやモータウン、グラムというキーワードを用いています。と同時に、パンクやアンセム(anthemic)というワードも忘れていません。

間違いなく、ここで表現されているサウンドはパンクロックでしょう。しかも、GREEN DAYらしいポップパンクであると。しかし、そのテイストに上記の要素がミックスされることで、過去のポップパンク風作品……例えば代表作のひとつである『DOOKIE』(1994年)とは異なる歪さを見せているわけです。

ブラックミュージックからの強い影響、サウンドの質感や音使いが非常に現代的で昨今のモダンポップと比較してもなんら違和感がないこと、ミックスでひと昔前の北欧ガレージロック的な雰囲気を醸し出していることから、THE HIVESCAESARSあたりとの共通点も見つけられることでしょう。

ですが、この要素って急にポッと現れたものでしたっけ? 僕、本作を聴いたときに最初に思い浮かべたのが『AMERICAN IDIOT』(2004年)だったんですよね。思えば、ジャケットのアートワークも『AMERICAN IDIOT』がモチーフになっていますし。もちろん、『AMERICAN IDIOT』で奏でていたサウンドや楽曲を今っぽく焼き直ししているわけではなく、それ以降のアルバムで得た経験も反映させた、新しい形のモダン・ポップパンクが表現されているんじゃないか。そう思わずにはいられません。

よくよく考えてみると、GREEN DAYでもっとも好きなアルバムが『WARNING』(2000年)という人間なので、本作に対して「売れない」とか「駄作」と三行半を突きつける“ファン”と意見が合わないのは当たり前のこと。『¡UNO!』『¡DOS!』『¡TRÉ!』だって嫌いじゃないですし(さすがに3枚はやりすぎだと思ったけど)、この新作も意外とリピートしまくることになるんじゃないか……そんな気がしています。

あと、時代に合わせてなのか、それともパンク本来の形に戻ってなのか、10曲で26分強というトータルランニングも素敵。ますます応援したくなりました。これくらいでいいんだよ。だって、ロックバンドなんだから。

 


▼GREEN DAY『FATHER OF ALL MOTHERFUCKERS』
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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、昨年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

※ブラウザ(記事上)でプレイリストを再生すると100曲しか表示されないようなので、プレイヤー右上のSpotifyロゴをクリックして、自身のSpotifyプレイヤーで再生することをオススメします。

2016年12月12日 (月)

GREEN DAY『REVOLUTION RADIO』(2016)

先日、GREEN DAYのニューアルバム『REVOLUTION RADIO』リリースに際して、日本デビューから名作『AMERICAN IDIOT』の期間までA&Rを担当したスタッフさんにインタビューしたのですが、このインタビューをする際に事前にニューアルバムを試聴したり、個人的に過去のアルバムをすべて振り返ったりと、久しぶりにGREEN DAYの音楽と真正面から向き合う機会を得ました。いや、「久しぶり」と書いてみたものの、ここまで真剣に彼らの音楽と向き合ったのは、もしかしたら初めてかもしれない。それくらい真剣に聴くこと、なかなかなかったなって今気づかされました。自分にとって彼らの音楽ってもっと日常と密接した聴き方をしてきたから、家でじっくり歌詞読みながら向き合うとかそんなことはまずなかったから。

彼らの3部作『¡UNO!』『¡DOS!』『¡TRE!』が連続リリースされたのが2012年後半のこと(1作目が9月、続いて11、12月と連続発売)。その後、ビリー・ジョー・アームストロングとノラ・ジョーンズとのデュエットアルバム『FOREVERLY』(2013年)を筆頭に、3部作のメイキング映像集『¡CUATRO!』(2013年)や3部作制作時のデモ音源集『DEMOLICIOUS』(2014年)大ヒット作『AMERICAN IDIOT』のレコーディング時の舞台裏を収めたドキュメンタリー作品『HEART LIKE A HAND GRENADE』(2016年)が次々と発表されてきたので、実は『REVOLUTION RADIO』が4年ぶりという感覚があまりなくて。正直、そこまで空いてたんだ!という驚きのほうが大きかったかも。とはいえ、あの3部作は個人的にそこまでしっくりくる作品集ではなかったし、そもそも来日も1作目『¡UNO!』が発売される1ヶ月前にサマソニのヘッドライナーで来たっきり。むしろそっちでの飢餓感のほうが大きかったかも。

そんなわけで、個人的に満足のいく“ニュー”アルバムとなると2009年の『21ST CENTURY BREAKDOWN』以来。それはきっと多くのリスナーにとっても一緒だったんじゃないでしょうか。しかも『21ST CENTURY BREAKDOWN』以降はポップサイドに振れてパンク度が低くなったと感じていたファンも少なからずいたと思いますし、そういう人にとっては「満足いく内容のアルバムは2004年の『AMERICAN IDIOT』以来」なんて言うかもしれないし。そう期待させてしまうだけのリードトラック2曲(「Revolution Radio」と「Bang Bang」)が先行公開されてたから、余計にね。

この2曲を聴いてしまえば、『AMERICAN IDIOT』、いや『DOOKIE』などのパンキッシュな初期作品のようなアルバムを期待してしまうのは仕方ないこと。誰もが「GREEN DAY、パンクに帰還!」なんて歓喜したはずです。

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2004年10月 5日 (火)

えーっ、今週のビルボード、GREEN DAYがアルバムチャート1位取っちゃってるよ。「DOOKIE」でさえ2位止まりだったのに!

 そうなんですよ。「DOOKIE」以降、人気下り坂だった彼等が、初の1位ですよ。まぁ確かに良いアルバムだけどね、今度のは。

 イギリスでも初の1位を取ってるし、シングルもイギリスでは2位でしょ。ありゃりゃ、10年周期とはよく言ったものだ。



▼GREEN DAY「AMERICAN IDIOT」(amazon


 そして下位に目をやると更にビックリ。CHEVELLEの初登場8位にもビックリだけど、その下の方‥‥20位にSHADOWS FALLですよ! メタルですよ! しかもド直球の! 何がどうまかり間違ってこんな結果に‥‥こんなコア寄りのパワーメタルバンドが。しかも「Century Media」みたいな二流インディーレーベルから。

 新しい波が来てるのかしら。だとしたらちょっと面白そう。その音に興味があるかどうかは別として。暫くビルボードを追っかけてみようと思います。



▼SHADOWS FALL「THE WAR WITHIN」(amazon

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