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カテゴリー「Guns n' Roses」の39件の記事

2021年7月 8日 (木)

BILLY F GIBBONS『HARDWARE』(2021)

2021年6月4日にリリースされたビリー・F・ギボンズの3rdアルバム。

ビリー・F・ギボンズとはZZ TOPのフロントマン、ビリー・ギボンズ(Vo, G)そのひと。ZZ TOPとしての最新作は『LA FUTURA』(2012年)以降リリースがストップしており、以降ビリーはBILLY BIBBONS AND THE BFG'S名義での『PERFECTAMUNDO』(2015年)、ビリー・F・ギボンズ名義での『THE BIG BAD BLUES』(2018年)と約3年おきに新作を発表し続けています。

本作はZZ TOPのメガヒット作『AFTERBURNER』(1985年)以降の諸作品や、ビリーのソロ2作にエンジニアおよびミュージシャンとして携わってきたジョー・ハーディー(2019年没)が初めて参加しないビリーの作品。代わりに今作ではビリーのほかマット・ソーラム(ex. GUNS N' ROSES 、ex. VELVET REVOLVERなど)、マイク・フィオレンティーノが共同プロデューサーとして携わっています。また、マットは前作から引き続き、本作でもドラマーとして全面参加。ソングライティングにも全面的に加わっています。

ジョー・ハーディーへの追悼の意も込められた今作は、70年代のZZ TOPを思わせる非常にスモーキーなブルースロックを思う存分堪能できる1枚。過去2作にはカバー曲も複数含まれていましたが、今作は全12曲中11曲がオリジナル曲。『AFTERBURNER』以降のデジタルエフェクトを施したサウンドが完全に払拭され、時に緩やかに、時にタイトなグルーヴを生み出すバンドアンサンブルが全面に打ち出され、それらのサウンドに引っ張られるかのよにリラックスした、味わい深いビリーのボーカルも味わうことができます。

ブギーやルーズなロックンロールが中心なのはもちろんのこと、「Vagabond Man」のようなスローバラード、ソウルフルで音数の少ないブルース「Spanish Fly」、ラーキン・ポーをフィーチャーしたゴキゲンな「Stackin' Bones」、ラテンテイスト強めな「Hey Baby, Que Paso」など、統一感が強いようで意外と楽曲の幅は広め。初期のZZ TOPが好きなリスナーなら当然のこと、“これぞアメリカ!”な豪快ロックンロールを思い切り楽しみたいというリスナーには絶対に手に取ってほしい1枚です。

今年でZZ TOPでのデビューからまる50年、今も変わらず最高にイカしたロックンロールを鳴らし続けてくれている事実はただただうれしい限り。特に2000年代に入ってからはZZ TOPの動きも停滞気味でしたが、御年71歳のビリーがここ10年精力的にリリースを重ねているのは、目前に迫るタイムリミットを意識してのことなんでしょう。もはや80年代的なZZ TOPサウンドは期待できそうにありませんが、時には思い出したようにあの頃の曲も演奏しつつ、可能な限り新しい作品を残し続けてほしいものです。

車を運転する方なら共感してもらえると思いますが、こういう音楽は深夜の高速道路ではなくて真っ昼間の海岸沿い一般道をチンタラ走りながら、爆音で楽しみたいものです(もちろん近所迷惑にならない程度に)。

 


▼BILLY F GIBBONS『HARDWARE』
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2021年5月12日 (水)

NANCY WILSON『YOU AND ME』(2021)

2021年5月7日にリリースされたナンシー・ウィルソンHEART)初のソロアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年4月28日に発売。

ソロ名義では1999年にライブアルバム『LIVE AT McCABES GUITAR SHOP』を発表しているものの、スタジオアルバムはキャリア45年にしてこれが初めて。もともと2020年HEARTとしての大々的なツアーが予定されていたところ、新型コロナウイルスの影響で中止に。その空いた時間をソロアルバム制作に充てたらどうかと周りから提案されたことにより、重い腰を上げついに制作に乗り出したとのこと。レコーディングにはHEARTのメンバーを中心に、サミー・ヘイガーダフ・マッケイガンGUNS N' ROSES)、テイラー・ホーキンス(FOO FIGHTERS)といったゲストミュージシャンがリモートにて参加したそうです。

全体的にアコースティック中心な作風は近年のHEARTにも通ずるものがあり、これは想定内かなと。そんな中、ダフ&テイラーが参加した「Party At The Angel Ballroom」やオリジナル曲「The Inbetween」「The Dragon」、PEARL JAMのカバー「Daughter」などロックテイスト強めの楽曲も含まれており、安心安定の内容を楽しむことができます。特に前者はかなり生々しいサウンドで録音されており、HEARTの良き時代を思うかべることができるはずです。

また、本作には先の「Daughter」以外にもブルース・スプリングスティーン「The Rising」、サイモン&ガーファンクル「The Boxer」、THE CRANBERRIES「Dreams」といったカバー曲も用意。「The Boxer」ではサミー・ヘイガーとのハーモニーを味わえるほか、「Dreams」ではナンシーのバンドROADCASE ROYALEのメンバーでもあるリヴ・ウォーフィールドとのコラボレーションを楽しむことができます。

さらにアルバム終盤には、昨年亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレン(VAN HALEN)に捧げたアコースティック・インストゥルメンタル曲「4 Edward」も用意。エディっぽいフレージングを含む、アルバムのクロージングにぴったりな1曲と言えるでしょう。

さすがに現在67歳の彼女に「These Dreams」や「There's A Girl」のようなハードロックチューンを求めるのは酷ですし、そもそも2021年の今、彼女にそういったスタイルを求めるリスナーもそう多くないはず。特に90年代以降のHEARTはアコースティックをひとつの武器としているので、このアルバムで聴けるスタイルは非常に自然なものであり、バンドの作品からの流れで楽しむことができるはずです。と同時に、ナンシーが歌うスプリングスティーンやPEARL JAM、THE CRANBERRIESというのも非常に興味深く、バンドとは違ったテイストを味わえるのではないでしょうか。

ハードなテイストはアン・ウィルソンが中心で歌うHEARTに任せて、ソロはこれくらい肩の力が抜けていていいのでは……という、納得の1枚です。

 


▼NANCY WILSON『YOU AND ME』
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2021年2月22日 (月)

RICKY WARWICK『WHEN LIFE WAS HARD & FAST』(2021)

2021年2月19日にリリースされたリッキー・ウォリックBLACK STAR RIDERSTHIN LIZZY、ex. THE ALMIGHTY)の5thアルバム。

オリジナル・ソロアルバムとしては『WHEN PATSY CLINE WAS CRAZY & GUY MITCHELL SANG THE BLUES』(2014年)から約7年ぶり、カバーアルバム『STAIRSELL TROUBADOUR』(2015年)からも約6年ぶりの新作音源。その間にBLACK STAR RIDERSとして3枚のアルバムを制作しているので、まあ順当なスパンと言えるでしょう。

過去数作はリッキーがひとりで録音したプライベート感の強い作風でしたが、今作では元BUCKCHERRYのキース・ネルソン(G)がプロデュース&楽曲制作で参加。レコーディングにもギタリストとして参加したほか、同じく元BUCKCHERRYのザヴィエル・ムリエル(Dr)や、BLACK STAR RIDERSのロバート・クレイン(B)がバンド形態としてレコーディングに加わっています。また、ゲストプレイヤーとしてジョー・エリオット(Vo/DEF LEPPARD)、ルーク・モーリー(G/THUNDER)、アンディ・テイラー(G/ex. DURAN DURAN、ex. THE POWER STATION)、ディジー・リード(Key/GUNS N' ROSES)といった錚々たる面々が名を連ねており、リッキーの人脈の太さを改めて感じることができます。

が、そういったゲストの名前なしでも、本作はTHE ALMIGHTYからTHIN LIZZY、BLACK STAR RIDERSまでリッキーの活動を追ってきたリスナーに存分にアピールするクラシカルなハードロック作品に仕上がっており、特に近年のリッキー参加作品に心ときめかせてきた者なら誰もが一発で気にいる作品だと断言できます。基本的にはBLACK STAR RIDERSの延長線上にある、THIN LIZZYテイストの王道ブリティッシュハードロックが展開されておりますが、そこにキース・ネルソンのカラーが加わることで、初期THE ALMIGHTYを思わせる破天荒なパンクロックテイストの強い楽曲も存在。これらが良いバランスでミックスされることで、リッキーの約30年にわたる音楽活動の総決算とも言える内容になったのではないでしょうか。

リッキー自身は本作を「トム・ペティのようなシンプルなメロディに、JOHNNY THUDERS & THE HEARTBREAKERSの快楽主義的怒りを掛け合わせたもの」と描写していますが、その例えが本当にぴったりな1枚。モダンメタル期のTHE ALMIGHTYっぽさは皆無ですが、初期&末期の彼らやのちのTHIN LIZZY〜BLACK STAR RIDERSへの流れもしっかり踏まえられており、個人的にもかなりツボな仕上がり。中盤の「Gunslinger」「Never Corner A Rat」あたりはBUCKCHERRY的な側面もしっかり伝わるし、リッキー&キース両者の個性が良い形で反映された、見事なタッグ作ではないでしょうか。

UKらしい湿り気の強い王道ハードロックあり、軽快なパンクロックあり、内省的なアコースティックナンバーありと、聴き応え満点の1枚。かなりの高ポイントです。

なお、日本盤や海外盤デラックス・エディションのみ2015年発売のカバーアルバム『STAIRSELL TROUBADOUR』がボーナスディスクとして付属。こちらは「You Spin Me Round (Like A Record)」(DEAD OR ALIVE)、「Ooops!... I Did It Again」(ブリトニー・スピアーズ)、「Summertime Blues」(エディ・コクラン)、「I Don't Want To Grow Up」(RAMONES)、「I Fought The Law」(THE CLASH)、「Wrathchild」(IRON MAIDEN)などのカバーに加え、THE ALMIGHTY「Jesus Loves You... But I Don't」のセルフカバーという全10曲を収録。カントリータッチにアレンジされた「You Spin Me Round (Like A Record)」や原曲のイメージどおりの「Summertime Blues」、アコースティックアレンジで完全にブルースと化した「Wrathchild」など、1枚通して十分に楽しめる仕上がりです。

ただ、先の『WHEN LIFE WAS HARD & FAST』本編とは切り離して聴くべき1枚かなと。録音時期も相当ズレていますし、制作過程も参加メンバーもまったくことなるので、本当にオマケ程度で切り分けて考えてもらえればと思います。2枚合わせて考えてしまうと、こっちが足を引っ張る結果になりかねないので……。

 


▼RICKY WARWICK『WHEN LIFE WAS HARD & FAST』
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2020年11月17日 (火)

THE ROLLING STONES『STEEL WHEELS LIVE』(2020)

2020年9月25日にリリースされたTHE ROLLING STONESのライブ作品。

ライブ作品のリリースを目的としたものではない録音物をレストアして公式発売する“Official Bootleg”の一環で発表されたもの。ここのところ90年代のライブ作品がいくつもリリースされてきましたが、1989年のアルバム『STEEL WHEELS』のツアー関連では2012年のライブ音源『LIVE AT THE TOKYO DOME』(デジタルリリースのみ)、2015年の“From The Vault”シリーズからのライブ映像『LIVE AT THE TOKYO DOME』に続く3作目となります。といっても、先の東京ドーム作品は同一公演のものなので、正しくは2作品目なのですが。

本作には1989年8月31日からスタートしたワールドツアーの中から、1989年最後の公演となった12月17、19、20日のニュージャージー州アトランティック・シティでのライブを収録したもの(セットリストどおりということになると、本作は19日の模様を収めたものでしょうか)。この3公演にはLA公演(同年10月)でオープニングアクトを務めたGUNS N' ROSESからアクセル・ローズ(Vo)&イジー・ストラドリン(G)、そしてエリック・クラプトン(G)とジョン・リー・フッカー(G)がゲスト参加。当時海外ではラジオ放送もされ、この音源が日本にもブートレッグとして流れてきたものです。確かCD3枚組の大容量で、値段も1万円前後したような……浪人生だった自分にはキツイ出費でした(苦笑)。

当時の記憶をたどりながら本作(音源)に触れたのですが、その音のクリアさ、きめ細かさに驚かされました。いや、FMラジオ音源(を元にしたブート)も相当聴きやすかったですが、あれから30年以上を経て公式に届けられたこの音源、通常のライブ作品として何ら問題のない仕上がりだと思います。

このライブの次(約2ヶ月後)が初の日本公演とあって、選曲的にはジャパンツアー序盤に近いものがあり、内容的には大きな驚きはないのですが、やはり特筆すべきはアクセル&イジー参加の「Salt Of The Earth」、クラプトン参加の「Little Red Rooster」、クラプトン&ジョン・リー・フッカーとの共演曲「Boogie Chillen'」でしょう。Setlist.fmによると、ストーンズが「Salt Of The Earth」をライブで披露するのは1968年以来21年ぶりとのこと。ミック・ジャガーキース・リチャーズ、アクセルの3人が歌い分けるこの「Salt Of The Earth」は豪華なものがあります。若き日のアクセルは若干緊張気味なのか、いつものアグレッシヴさが足りないような気がしないでもありません(笑)。イジーのギターは……と耳を傾けると、どうしてもロニー・ウッドのスライドプレイに耳が行ってしまうという(苦笑)。ゴメンね、イジー。

クラプトン参加の「Little Red Rooster」は、聴けばすぐにわかるプレイなので書くまでもなく。続く「Boogie Chillen'」はジョン・リー・フッカーのカバーなので、主役は彼自身。ストーンズやクラプトンがレジェンドのバックを務めつつ、随所で自身の個性を出すという微笑ましさもこの時期ならではでしょうか。

まだストリーミングで音源しか耳にしていないので、映像のほうはこれから購入して確認しようと思いますが、東京ドーム公演とは違った海外での盛り上がりは一見の価値ありかなと。なお、ボックスセットには東京ドーム公演のDVDと、『STEEL WHEELS RARE REELS』と題して「Play With Fire」「Dead Flowers」(1989年9月3日のトロント公演)、「Almost Hear You Sigh」「I Just Want To Make Love To You」「Street Fighting Man」(1990年7月6日ロンドン公演)を収録したボーナスCDが付いているので、値段は張るけどこちらを購入してみようと思います。

 


▼THE ROLLING STONES『STEEL WHEELS LIVE』
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2020年9月20日 (日)

CHIP Z'NUFF『STRANGE TIME』(2015)

2015年2月3日にリリースされたチップ・ズナフの1stソロアルバム。日本盤未発売。

ドニー・ヴィ(Vo, G)と並び、初期からENUFF Z'NUFFの主要メンバーとして知られるチップ・ズナフ(B, Vo)。ドニー脱退後は自身がリードボーカルを兼任し活動を継続していますが、ドニーがバンドを再脱退してしばらくバンド活動がままならなかった時期に、こんなソロアルバムを出していたんですね。実はつい最近まで未チェックでした。

本作はTHE KINKSのカバー「All Day And All Of The Night」を含むアルバム本編10曲に、元GUNS N' ROSESのスティーヴン・アドラー(Dr)とタッグを組んだEP『ADLER Z'NUFF』収録の5曲をボーナストラックとして追加した全15曲入り。アルバムとしては約70分とかなり長尺ですが、ひとまずここでは本編10曲とボートラ5曲を分けて考えたいと思います。

まずは、アルバム本編から。気心知れた仲間とともに、自身のスタジオなどで制作された本作は、基本的にENUFF Z'NUFFの延長線上にある作風。穏やかでダークでサイケデリック……という点においては初期や90年代半ばのENUFF Z'NUFFを髣髴とさせ、大半の楽曲がチップひとりで書かれたものだという事実に驚かされます。というのも、どの曲もチップ&ドニー名義で制作されたENUFF Z'NUFFのアルバムに収録されていても不思議じゃないくらい、完成度が高いのです。

オープニングを飾るダウナーな「Sunshine」からして、王道のENUFF Z'NUFF流サイケナンバーだし、中にはNINE INCH NAILSのトレント・レズナーと共作&リック・ルービンがプロデュースしたヘヴィな「Strange Time」という異色作まで存在する。で、その異色作から続く「Dragonfly」のダウナー感もたまらない。なにこれ、なんでENUFF Z'NUFFで出してくれなかったの? っていうか、ドニーばかりが天才だと思い込んでいて、バンドを守り続けるチップのことを過小評価していて本当にゴメン! そう思わずにはいられない内容でした。

90年代後期の作品に収録されていても不思議じゃないシャッフルビートのポップナンバー「Still Love Your Face」、ファンクの影響が強いダンサブルなオルタナチューン「F..Mary..Kill」、ダウナー感強めのパワーポップ「Strike Three」や「Hello To The Drugs」など、派手めの演奏でアレンジされたら確実にENUFF Z'NUFFナンバーとして通用する良曲ばかり。しかし、チップのボーカルの地味さが悪い方向に手伝って、この良曲たちをうまく生かせていない。そこだけが本当に勿体ない! ドニーのアクが強いボーカルで表現されていたら、どれだけ名作になっていたことか……。

ちなみに、「All Day And All Of The Night」にはゲストとしてCHEAP TRICKのロビン・ザンダー、そして元ガンズのスティーヴン・アドラーがゲスト参加。これもロビンがリードをとればよかったのに……と思わずにはいられません。それくらい、コーラス&ハモリでのロビンの声が特徴的すぎるんですよ。はあ。

一方、スティーヴン・アドラーと完全共作で挑んだEP5曲は、元ガンズのアドラーらしい派手さが加わった、非常にハードロック色の強い作風。オープニングを飾る「My Town」なんて完全にソレですよね。そこに、チップらしいパワーポップ感(美メロハーモニーやアナログシンセを使ったフレージングなど)が加わることで、デビュー時のENUFF Z'NUFFをちょっとだけ思い出させてくれます。全体の音作りもファットでキラキラ感が強く、アルバム本編のダーク&シンプルと対極にある構成です(メロディライン自体は同じくらい良質なのに。不思議です)。なお、「Tonight We Met (And Now We're Going To Fuck)」にはアドラーの盟友スラッシュがゲスト参加。いかにもなギタープレイを聴かせてくれます。

アルバム本編然りEP然り、楽曲を軸にした作品評価は高くなりますが、ボーカルを軸にした場合はどうしてもそこよりも劣るものになってしまう。頭では「もうドニーとは決別したんだ……」と理解していても、体がドニーの声を求めてしまう。チップって、つくづく不幸な人だなと思います。と同時に、ドニーをいつまでも求め続けてしまう僕らもね(苦笑)。

 


▼CHIP Z'NUFF『STRANGE TIME』
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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


▼SLASH『SLASH』
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2020年2月22日 (土)

OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(2020)

2020年2月下旬にリリースされたオジー・オズボーンの11thオリジナルアルバム。カバー曲で構成されたアルバム『UNDER COVER』(2005年)を含めると、通算12作目のスタジオアルバムということになります。

前作『SCREAM』(2010年)が2010年6月発売だったので、ほぼ10年ぶりということになりますが、その10年の間にはBLACK SABBATHとしてのラストアルバム『13』(2013年)もあったので、実質7年ぶりの新作ということになるのかな。ま、どちらにせよオジークラスのリリース間隔としてはだいぶ空いたことには違いありません。

ここ数年、新作に向けた噂はいろいろ上がっては消え、上がっては消えを繰り返していました。個人的に記憶に残っているところではスティーヴ・スティーヴンス&ビリー・モリソン(ともにビリー・アイドルBANDのギタリスト)と共作しているなんて話もありました。しかし、新曲は一向にリリースされる気配はなく、2年前には『NO MORE TOURS』と題した最後のワールドツアーを行うことが発表され、日本にも昨年3月に『DOWNLOAD JAPAN』のヘッドライナーとして来日することが決まっていました。が、実際にはご存知のとおり。2015年秋の『OZZFEST JAPAN 2015』を最後に、オジーの来日公演は実現しておりません。

もともと、オジーはこの10年でスタジオ入りにだいぶ消極的だったようで、前作『SCREAM』は完成までに約1年半もの歳月を要したとのこと。これがあって、長期間スタジオにこもるのを嫌がったみたいなんです。ところが、ポスト・マローンとの共演曲「Take Me What You Want」で出会ったプロデューサー/マルチプレイヤーのアンドリュー・ワットにけしかけられ、ついに重い腰を上げアルバム制作に突入。ザック・ワイルド(G)をはじめとする現在のバンドメンバーではなく、アンドリュー側がお膳立てしたレコーディングメンバー……ダフ・マッケイガン(B/GUNS N' ROSES)とチャド・スミス(Dr/RED HOT CHILI PEPPERS)、そしてギターはアンドリュー自身という布陣で曲作りを含む制作を実施。さらには、スラッシュ(G/GN'R)やトム・モレロ(G/RAGE AGAINST THE MACHINE)、エルトン・ジョン(Vo, Piano)という豪華ゲストまで迎え、これまでの躊躇が嘘みたいに待望のオリジナルアルバムは1年かからずして我々の手元に届けられたわけです。

昨年11月にリードトラック「Under The Graveyard」がまず配信されましたが、ぶっちゃけた話をすると僕、この曲に対してはまずネガティブな感情が溢れ出てしまいました。「ああ、なんだかわかんねえ若造プロデューサーにそそのかされて、ソロでもサバスみたいなことやらされて……10年待った結果がこれか」と。

ところが、その2週間後に発表された2ndシングル「Straight To Hell」を聴いて、気持ちを改めることになります。路線的には確かにサバス以降の流れにあるものでしたが、しっかりオジーのソロワークスらしさも感じられる。ポップさやキャッチーさは薄いものの、確かにこれはオジーのソロ曲だわ、と。

さらに年が明け、1月初頭には3rdシングル「Ordinary Man」も配信。エルトン・ジョンとのデュエットという話題もありましたが、何よりこれが“いかにも”なオジー流スローバラードで一聴して心を持っていかれたわけです。うん、これは期待できそうだなと。

あれから約1ヶ月。リリースより少々先にアルバムをまるまる聴く機会を得たのですが、最初の「Under The Graveyard」に対するネガティブな感情がまるでなかったかのように本作を全面的に受け入れる自分がいました。うん、どこからどう聴いてもオジー・オズボーンのニューアルバムだと、そう素直に思えたのです。

確かに、テイスト的にはソロよりもサバス時代に寄った作風かもしれません。しかし、リリースタイミング的にもBLACK SABBATHのレコードデビュー50周年(2020年2月13日)とかぶっていたり、ここ最近のオジーの体調面での問題なども相まって、「もしかしたらこれが最後かもしれない……」という不安も少なからず感じていた。だからこそ、本作をもっと前向きに捉えようと気持ちを持ち直したのかもしれませんね。

けど、作品への評価とそういった個人的感情はできるだけ切り離して楽しみたい。そう思って何度かリピートしてみましたが……やっぱりどうしても感傷的な気持ちは切り離すことはできませんでした。できなかったんだけど……それでも「ああ、オジーの新作カッコいい!」と思える自分が存在するのもまた事実。もうそれでいいじゃん!

スラッシュらしいギターソロがフィーチャーされた「Straight To Hell」から始まる本作は、序盤こそ8thアルバム『DOWN TO EARTH』(2001年)以降の流れを汲む、“21世紀のオジー”らしいアルバムかと思いきや、ところどころに6thアルバム『NO MORE TEARS』(1991年)のテイストも散りばめられているし、もちろんサバスらしさもあるし、もっと言えばオジーのルーツであるビートルズからの影響もしっかり残されている。そこまで含めて、従来のオジーのソロらしいんですよね。しかも、その“らしさ”がセルフ・パロディで終わっていないし、しっかり新しいオリジナル作品にまで昇華されている。きっとザックを含むイツメンで作っていたら、セルフ・パロディとまでは言わないまでも焼き直し感を残したまま消化不良で終わっていたのかもしれない。だからこそ、スタジオワークに無駄な時間がかかりすぎてしまうのかな……いや、わからないけど。

アルバムの流れで聴くと、不思議と「Under The Graveyard」も悪くない。いや、むしろ「Ordinary Man」のあとにこの曲が続く必然が感じられるし、「Under The Graveyard」のあとに「Eat Me」が並ぶ意味も理解できる。個人的にはこの「Eat Me」以降のアルバム後半の流れがめっちゃツボで、トム・モレロらしいソロをフィーチャーした「Scary Little Green Men」、アンドリュー・ワットの素晴らしいギターソロと美しいメロディ&アレンジがオジーソロ史上ベストワークと思えるほどの「Holy For Tonight」、ポスト・マローンがゲスト参加したパンキッシュな「It's Raid」と、“らしさ”と“斬新さ”が共存する構成なのです。そこからボーナストラックの「Take What You Want」、日本盤ボーナストラックとなる短尺曲「Darkside Blues」へと続くエンディングまで含めて、しっかり楽しめました。

『NO MORE TEARS』でひとつの極みへと到達し、続く7thアルバム『OZZMOSIS』(1995年)以降は試行錯誤の繰り返しだったオジーでしたが、ようやく“やりたかったこと”を全うすることができたんじゃないか。こんなこと書いたら不吉だって思われるかもしれないけど、この集大成的な1枚はオジー流“辞世の句”であり、昨年12月に71歳になったばかりのアーティスト:オジー・オズボーンにとっての“スワン・ソング”なのかなと。そんな重みと凄みと説得力を感じずにはいられない、会心の1枚だと思います。

 


▼OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』
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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、今年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

2019年12月25日 (水)

PHIL CAMPBELL『OLD LIONS STILL ROAR』(2019)

MOTÖRHEADのギタリスト、フィル・キャンベルが2019年10月下旬にリリースした初のソロアルバム。

MOTÖRHEAD解散後、自身の実子などを加えて結成したPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSとして活動していたフィル。同バンドではEP2枚(オリジナル作&ライブ作)とオリジナルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』(2018年)を発表していますが、そこから約2年を経て届けられたのがこの初のソロ作です。

そもそも本作は、MOTÖRHEADが活動していた5年前から制作がスタートしており、レコーディングにはPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSにも所属する彼の息子3人も参加しています。

と同時に、MOTÖRHEADの活動を通して出会った多数のミュージシャンたちもゲスト参加。そのメンツは錚々たるもので、ロブ・ハルフォード(Vo / JUDAS PRIEST)、ベン・ワード(Vo / ORANGE BOBLIN)、アリス・クーパー(Vo)、ネヴ・マクドナルド(Vo / SKIN)、ダンコ・ジョーンズ(Vo)、ニック・オリヴェリ(Vo, B / ex. KYUSS、ex. QUEENS OF THE STONE AGE)、レイ・ルジアー(Dr / KORN)、ディー・スナイダー(Vo / ex. TWISTED SISTER)、ミック・マーズ(G / MOTLEY CRUE)、クリス・フェーン(Dr / ex. SLIPKNOT)、ウィットフィールド・クレイン(Vo / UGLY KID JOE)、ベンジー・ウェッブ(Vo / SKINDRED)、マット・ソーラム(Dr / ex. GUNS N' ROSES)、ジョー・サトリアーニ(G)など本当に豪華な布陣。これもMOTÖRHEADでの活動があったからこそですね。

フィル自身が歌ったオープニング「Rocking Chair」こそ緩やかでブルージーなアコースティックナンバーですが、続く「Straight Up」(Vo:ロブ・ハルフォード)は歌うロブに合わせたJUDA PRIEST的な1曲。「Faith In Fire」(Vo:ベン・ワード)や「Walk The Talk」(Vo:ダンコ・ジョーンズ&ニック・オリヴェリ)はストーナーロック的だし、「These Old Boots」(Vo:ディー・スナイダー)は豪快なアメリカンロック調。意外と歌う人に合わせた選曲がなされているようです。

かと思えば、ベンジー・ウェッブにマイナー調のピアノバラード「Dead Roses」を歌わせたり、アリス・クーパーにはモダンな質感のロックンロール「Swing It」を与えていたりと、一筋縄でいかない選曲。うん、面白い。あと、本作で久しぶりにネヴ・マクドナルドの歌声を聴いたけど、やっぱりいいですね。彼が歌う「Left For Dead」もSKIN時代を彷彿とさせるものですし。

そういえば、本作はPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSのときほどMOTÖRHEAD色が強くないのが気になりました(もちろん、曲によってはところどころで“らしさ”は感じられるのですが、あくまでそれがメインではない)。結局、あのカラーはレミー自身の個性だったのかなと。そう思うと、レミーおよびMOTÖRHEADって本当に唯一無二の存在だったんですね。そろそろ彼が亡くなってから4年。またあの喪失感と向き合う季節になりましたね……。

 


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2019年3月21日 (木)

SLASH'S SNAKEPIT『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』(1995)

『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)を携えたワールドツアー終了後、なかなか再始動しないGUNS N' ROSESに対して痺れを切らしたスラッシュ(G)。ダフ・マッケイガンギルビー・クラークがソロ契約&ソロアルバム発売を果たしたのを機に、ついに自身もソロ活動を本格始動させます。

1994年に結成されたSLASH'S SNAKEPITは、ソロというよりはあくまでバンド名義での活動を主としたもの。このへんにスラッシュのこだわり(何がやりたいのか)が伺えます。集まったメンバーは元JELLYFISHのエリック・ドヴァー(Vo)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)に、ギルビー・クラーク(G)&マット・ソーラム(Dr)というガンズ組。レコーディングにはディジー・リード(Key)も参加しているので、これじゃあ“アクセル・ローズとダフ抜きのガンズ”と言えなくもないですが、そもそもギルビーもマットもディジーもオリジナルメンバーではないので微妙ですが。

こうして、マイク・クリンクを共同プロデューサー、ミックスにスティーヴ・トンプソン&マイケル・バルビエロというガンズの諸作品を手がけてきた布陣を迎えて1995年2月に発表されたのが、このデビューアルバム。全米70位とガンズのソロ活動の中ではもっとも成功した1枚で、さすがアクセルと肩を並べる存在と言えます。

イジー・ストラドリンがアーシーでレイドバックしたロックンロール、ダフがパンクを主軸とするならば、スラッシュは土着型の王道アメリカンハードロックが武器と言えるでしょう。実はそれって、ガンズと聞いて我々がまず最初にイメージする要素だったりしませんか? つまり、このアルバムで展開されているサウンドや楽曲スタイルって、「もしガンズが1995年当時にニューアルバムを作ったら、半分くらいはこんな路線になるんじゃないか?」というものなんですよ(もちろん、残り半分はアクセルの色が強いものになるはず)。

ガンズの武器であるスラッシュらしいギターフレーズ&ソロ(と音色)、『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)あたりで聴けたラフだけど硬質なサウンドプロダクションのせいもあって、確かに本作はどことなくガンズっぽいですし、なんなら一連のソロアルバムの中で一番ガンズに近い1枚だと思います。楽曲自体も(のちにアクセルが訴えますが)ガンズの次の作品に向けて作ったものも含まれているようですし。

ただ、すべてがすべてスラッシュひとりで書いた曲ではないですし、大半はエリックとの共作だったり、中にはギルビー単独で書いた曲や、ダフやイジーの名前がクレジットに入った(!)曲も含まれている。そういった意味では本当に「SLASH'S SNAKEPITというバンドのアルバム」を目指したものなんでしょうね。

エリックの歌声はアクセルほどハイトーンでストレートなものではないので、歌を聴いてそこまでガンズを思い浮かべることはないですが、それでも「Beggars & Hangers-On」や「Good To Be Alive」「What Do You Want To Be」のような曲をアクセルが歌ったらどうなるんだろう……というワクワク感も多少あったりして。

全14曲で70分というトータルランニングが『USE YOUR ILLUSION』シリーズに通ずるものがあるのですが、『USE YOUR ILLUSION』と比べると楽曲のカラーがバラエティに富んでいるわけでもないので、さすがに尺的にキツイと感じることも。6分前後および6分超えの曲が4曲も含まれていることから、もうちょっとアレンジ力のある人間がバンドに携わっていたら、さらに完成度の高い内容になったのではないか……そういった意味ではバンドとはいえ、やはりソロはソロなんですね(メインバンドに対するオナニーという意味で)。

この布陣でのSLASH'S SNAKEPITこれが最初で最後。この5年後にスラッシュ以外のメンバーを総入れ替えして2ndアルバム『AIN'T LIFE GRAND』(2000年)を発表していますが、そちらについてはまた別の機会に。



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