2018年8月 3日 (金)

HALESTORM『VICIOUS』(2018)

オリジナルアルバムとしては前作『INTO THE WILD LIFE』(2015年)から3年3ヶ月ぶりとなる、HALESTORM通算4作目のスタジオアルバム。プロデューサーは前作のジェイ・ジョイスから、最新カバーEP『REANIMATE 3.0: THE COVERS EP』(2017年)を担当したニック・ラスクリネクツ(ALICE IN CHAINSMASTODONKORNなど)に交代。EPでの仕事ぶりに好印象を受けた結果がこの新作に反映されているということなのでしょう。

作風は基本的に『INTO THE WILD LIFE』の延長線上にあるのですが、自分が想像していた以上にタフさ、ヘヴィさが際立つ1枚に仕上がった印象があります。実は前作をリリース当時に聴いたとき、そこまで強く惹きつけられず、数回聴いてしばらく放ったらかしだったのですが、今回はリード曲「Uncomfortable」からグッと惹きつけられ、リリースの1ヶ月近く前から取材用に聴いたアルバムサンプルでさらにグッと惹きつけられ、結果「これはなかなかな1枚!」とかなりお気に入りだったのです。このバンドのアルバムでここまで聴き込みまくったのは初めてってくらいに。

ヘヴィさが印象的ながらも、同時にメロディの冴え渡りぶりも前作以上。だからなのか、演奏がどれだけ重々しくなろうと、軸にあるものは非常にキャッチーだと思えてくる。そういった点から、昨今のモダンなラウドロックよりも80年代のHR/HM黄金期のそれに近く、我々オッサン世代にも引っかかるものが多々あるのでは、なんて思うのです。でも、もしかしたら若い世代にはこれ以前の作品のほうが引っかかるのかな。そのへんの意見、ぜひ各世代に聞き回りたいものです。

また、5曲目「Do Not Disturb」あたりを筆頭に、「Conflicted」「Killing Ourselves To Live」「Heart Of Novocaine」といった中盤に配置された楽曲群がかつてないほどにドラマチックな展開を見せており、そのあたりにHALESTORMとしての新境地も見え隠れしています。冒頭のヘヴィさといい、この展開といい、個人的にはこのバンド、まだまだ伸びしろ十分だなと思うのですが、どうでしょう? このバンドらしさをしっかりと残しつつも、新たな地点へと毎回到達でいているという意味では、作品ごとに異なるカラーをしっかり提示できている。そこもこのバンドの凄みなのかなと思いました。

とにかく今は、早くライブで聴きたいなと。そういうアルバムではないでしょうか。こういうアルバムに出会うと「アメリカの HR/ HMシーン、まだまだ捨てたもんじゃないな!」と、改めて実感します。ロック不毛と言われる時代だからこそ、思いっきり売れてほしい!



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投稿: 2018 08 03 12:00 午前 [2018年の作品, Halestorm] | 固定リンク

2018年6月 6日 (水)

HALESTORM『THE STRANGE CASE OF...』(2012)

リジー・ヘイル(Vo)率いる4人組バンドHALESTORMが2012年4月にリリースした、通算2作目のスタジオアルバム。デビューアルバム『HALESTORM』(2009年)が全米40位、50万枚を超えるヒット作となったあとのアルバムだけに、さらなるヒットが期待されましたが、アルバムは最高15位まで上昇。前作同様に50万枚以上もの売り上げを記録しました。また、アルバムからシングルカットされた「Love Bites (So Do I)」「I Miss The Misery」がBillboardメインロックチャート2位、「Freak Like Me」が同チャート1位にランクインする好成績を残しています。まさしく、HALESTORMにとって大きな出世作と言えるでしょう。

プロデュースを手がけたのは、80年代末からHR/HMバンドの作品を数多く手がけているハワード・ベンソン。適度にモダンながらも、ど真ん中を突く王道感満載の豪快なハードロックが展開されています。

オープニングの「Love Bites (So Do I)」の疾走感と、リジーのパワフルなボーカルでいきなり心を鷲掴みにされることは、まず間違いないでしょう。この曲、昨年デビューした日本の女性メタルバンドLOVEBITESの、バンド名の由来にもなっている1曲で、ライブでもカバーされていました。

かと思えば、続く「Mz. Hyde」ではBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィなリフ、豪快なボーカルとリズムでワイルドさを表現。さらに「I Miss The Misery」ではシンガロングしたくなるフレーズも登場し、適度なポップさとハードさが混在する親しみやすい楽曲に仕上げられています。

と、ここまで聴いて実感したのは、こういう音が2000年代の王道なんだろうなということ。この質感や楽曲のテイスト、例えば2000年代半ばにメジャーデビューしたAVENGED SEVENFOLDあたりとも共通する点があると思うのです。本人たちは80年代の王道HR/HMからの影響を大きく受けながらも、それをそのままなぞるのではなく、しっかり90年代も通過したことで吐き出されるそのサウンドは、僕らリアルタム80年代通過組が想像するそれとはまったく違うものに仕上がっている。それは良い/悪いという次元ではない、これこそが“時代に沿った音”なのだという証明のような気がするのです。

そういう意味では、HALESTORMやAVENGED SEVENFOLDのようなバンドがメインストリームにいることは正しいような気がしてきます。

中盤にはポップなミディアムチューン「Beautiful With You」、パワーバラード「In Your Room」、ピアノバラード「Break In」としっかり聴かせる楽曲も。もちろん、後半に入ると「Rock Show」で再び攻めの姿勢に戻るし、AC/DCを彷彿とさせるミドルテンポのハードロックが並ぶ構成も、いかにもアメリカのバンドらしい。最後にアコギを用いたバラード「Here's To Us」で締めくくるあたりもさすがです。これが売れない理由が見つからない、納得の1枚です。

なお、本作には異なるボーナストラックを含むいくつかのバージョンが存在。日本盤には本作の前にリリースされたカバーEP『REANIMATE: THE COVER EP』(2011年)から、「Slave To The Grind」(SKID ROW)、「Bad Romance」(LADY GAGA)、「Hunger Strike」(TEMPLE OF THE DOG)、「All I Wanna Do Is Make Love To You」(HEART)、「I Want You (She's So Heavy)」(THE BEATLES)の5曲を追加(GUNS N' ROSES「Out Ta Get Me」のみ未収録)。海外ではジェームズ・マイケル(SIXX: A.M.)をフィーチャーした「Private Parts」など未発表曲3曲が追加されているほか、のちにリリースされたリイシューバージョンにはスラッシュ、ウルフガング・ヴァン・ヘイレン(VAN HALEN)、マイルズ・ケネディ(ALTER BRIDGE)、ジェームズ・マイケル、デヴィッド・ドレイマン(DISTURBED)などがゲスト参加した「Here's To Us」が収録されています。

どれを買うか迷いそうですが、HALE STORMを初めて聴くならルーツが垣間見れる日本盤がベスト。ちなみに、ストリーミング版では海外デラックス盤にリイシュー盤のボートラを加えた全16曲を聴くことができるので、こちらもオススメです。



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投稿: 2018 06 06 12:00 午前 [2012年の作品, Halestorm] | 固定リンク

2017年1月21日 (土)

HALESTORM『REANIMATE 3.0: THE COVERS EP』(2017)

紅一点のリジー・ヘイル(Vo)率いる4人組ハードロックバンド、HALESTORMの6曲入りカバーEP(ミニアルバム)第3弾。HALESTORMはこれまでに2011年、2013年にそれぞれ『REANIMATE: THE COVERS EP』『REANIMATE 2.0: THE COVERS EP』と題したカバーEPを発表しており、第1弾ではSKID ROW、LADY GAGA、TEMPLE OF THE DOG、GUNS N' ROSES、HEART、THE BEATLESを、第2弾ではJUDAS PRIEST、DAFT PUNK、AC/DC、パット・ベネター、FLEETWOOD MAC、MARILYN MANSONを取り上げてきました。

さて、今回はどんな選曲なのでしょう。

01. Still Of The Night [原曲:WHITESNAKE(1987)]

02. Damn I Wish I Was Your Lover [原曲:ソフィーB.ホーキンス(1992)]

03. I Hate Myself For Loving You [原曲:JOAN JETT AND THE BLACKHERATS(1988)]

04. Heathens [原曲:Twenty One Pilots(2016)]

05. Fell On Black Day [原曲:SOUNDGARDEN(1994)]

06. Ride The Lightning [原曲:METALLICA(1984)]

今回も非常にバラエティに富んだ選曲です。毎回思っていたのですが、ピックアップする楽曲が80年代後半〜90年代前半に集中しているんですよね。これはリジー・ヘイル含め、メンバーの多くがこの時代に一番ロックに夢中になっていたということなんでしょうかね。自分もちょうど10代後半から20代前半にかけてのタイミングで、そのどれもがドンピシャだったりするので興味深く聴かせてもらってます。

毎回そうなのですが、今回も原曲アレンジに忠実なカバーが実践されています。1曲目「Still Of The Night」からまんまですもんね。ただ、この曲の場合7分近くある壮大さが4分半とコンパクトに凝縮されており、オープニングがいきなり歌から始まったり、中盤のシンフォニックなインストパートが省かれていたりと、WHITESNAKEファンからしたら「おいおい……(苦笑)」と突っ込みたくなる解釈。本作で唯一いただけないポイントでした。

ただ、それ以外はどれも楽しく聴けたし、サビのリズムに変化をつけた「I Hate Myself For Loving You」やTwenty One Pilotsを女性が歌うとこうなるのかっていう「Heathens」、歌も演奏もまんまな「Fell On Black Days」「Ride The Lightning」あたりはもはやニヤニヤして聴いてしまいました。

本作で唯一、大胆な解釈でカバーされているのがソフィーB.ホーキンスの「Damn I Wish I Was Your Lover」。原曲は打ち込み&浮遊感のあるシンセがメインなのですが、原曲の持つキャッチーなメロディを生かしつつ完全にギターリフ中心のハードロックへと昇華させているのはさすがだと思います。個人的には本作の中でもベストテイクだと断言させていただきます。

オリジナルアルバムまでのツナギとして制作されるこのカバーEPシリーズ、今後も忘れた頃にまた発表してほしいものです。その前に……次は『INTO THE WILD LIFE』(2015年)に続く4thアルバムですね。こちらも楽しみに待ちたいと思います。



▼HALESTORM『REANIMATE 3.0: THE COVERS EP』
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投稿: 2017 01 21 12:00 午前 [2017年の作品, Halestorm] | 固定リンク