DEE SNIDER『FOR THE LOVE OF METAL』(2018)
2018年7月27日にリリースされたディー・スナイダーの4thアルバム。
TWISTED SISTERとしての活動に終止符を打った2016年に発表された前作『WE ARE THE ONES』から1年9ヶ月という短いスパンで届けられた新作。リリース元を新たにNapalm Recordsへと移し、HATEBREEDのジェイミー・ジャスタ(Vo)のプロデュース&バックアップのもと制作された1枚となっています。
レコーディングにはジェイミーのソロプロジェクトJASTAやKINGDOM OF SORROWの一員でもあるチャーリー・ベルモア(G, B)、ニッキー・ベルモア(Dr)が全面参加。この布陣は続く5作目『LEAVE A SCAR』(2021年)でも継続しているので、よほど本作で得られた手応えが大きなものだったのでしょう。
実際、本作で聴くことができるパワフル&エネルギッシュな正統派メタルサウンドは想像以上の凄みが備わったもので、TWISTED SISTERでのグラマラスなイメージで軽く見ていると痛い目を見ると思います。僕自身、最新作『LEAVE A SCAR』でまさにそういう事態に陥り、過去作をさかのぼって聴き始めたくらいですから。
ハードコア度は新作『LEAVE A SCAR』に譲りますが、キャッチーさは今作のほうが上かなと。わかりやすいメロディと、それを崩すことなくストレートに伝えるディーのボーカル、無駄を一切削ぎ落とした演奏&アレンジ、すべてが最高のバランスの中で成立している。楽曲事態どれもハズレがないし、ヘヴィメタルという音楽に多少なりとも興味がある方なら絶対に気に入るはずだと確信しております。
アルバム終盤には元KILLSWITCH ENGAGE、現LIGHT THE TORCHのハワード・ジョーンズ(Vo)をフィーチャーした「The Hardest Way」、ARCH ENEMYの紅一点アリッサ・ホワイト=グラズをゲストに迎えた「Dead Hearts (Love Thy Enemy)」も用意。前者はハワードのねっとりとした濃厚ボーカルとディーの歌声との絡みが印象的ですし、後者はアリッサの女性的な側面を反映させたメタルバラードを思う存分味わうことができる。そこからの流れで、タイトルトラック「For The Love Of Metal」という象徴的な楽曲へとなだれ込み終焉を迎える構成、最高です。
僕自身、ずっと初期TWISTED SISTERのイメージを持ち続け、ディーのソロ作を敬遠してきた身なので、今も食わず嫌いしている方の気持ち、よくわかります。けど、騙されたと思って本作、あるいは最新作を手に取ってみてください。その偏見、見事に崩されますから。
▼DEE SNIDER『FOR THE LOVE OF METAL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)