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2004年4月 6日 (火)

HEATWAVE : TOUR 2004 "LONG WAY FOR NOTHING"@SHIBUYA-AX(2004年4月2日)

  知り合って約2年ちょっと。出会った時には既に活動休止中だったHEATWAVEに、やっと会う事ができたよ‥‥しかも、史上最強のメンバーを引き連れて。今更メンツについて書くまでもないでしょう。以前書いたアルバムレビューとか読んでくださいよ。

  東京公演はSHIBUYA-AX。正直埋まるのか不安だったけど、いざ蓋を開けてみれば‥‥2階席は殆ど入ってなかったものの(あれは関係者だけか? 前売りでは2階席売り出してなかったしな)、1階フロアは7~8割は入ってた?? いや、よく判らない‥‥だってライヴ始まってからは、殆どそっちに意識が向かなかったから。もうね、ステージから目を離せないし、奏でられる音のひとつひとつ、山口洋から発せられる言葉のひとつひとつを聴き漏らしたくなかったのよ。そのくらい意識が集中しまくった2時間。

  アルバムとはアレンジが若干異なる "STILL BURNING" からライヴはスタート。山口はアコギを弾くのね‥‥けど、これが全然音圧薄くなってなくて。むしろ「歌」と「バンド」が完璧な分、そんなもん全然気にならない。本当に凄いバンド。音のひとつひとつに説得力があるし、ひとつひとつが俺に届く度に胸が熱くなる。こんなライヴ、随分久し振りな気がするよ。

  とにかく山口の歌が圧倒的。と同時に鳴らされるギターも、SOUL FLOWER UNIONの時に聴いたものよりも遥かに凄いことになってるし。上手い。弾きまくってるんだけど、全然無駄なプレイがない。ギターが身体の一部になってるかのようなプレイ。こういう人に弾かれたら、さぞギターも幸せだろうなぁ‥‥そんなプレイ。

  圧巻だったのは、中盤‥‥ちょっとレゲエっぽいアレンジに様変わりしていた "誰も居ない庭" から "シベリアンハスキー" への流れ。この後 "FREE" もやったのかな?(ゴメン、セットリストは完璧なものじゃないです。やった曲目はこれで間違いないけど、中盤の曲純が若干不安です) この辺のミディアム/スロウの流れがゾクゾクするくらいに響いた。演奏もそうなんだけど‥‥やっぱり「歌」と「言葉」だね。この日のライヴ、終始「言葉」がハッキリと聞き取れた、珍しいライヴだったように思うよ。それは俺自身が歌詞をある程度暗記してしまっているってのもあるんだろうけど、でも広がりのあるサウンドによってふと意識が飛んでしまう瞬間も、山口の「言葉」によって現実に引き戻されることが何度かあったしね、この日は。それだけビンビンと伝わって来たってことですよ。

  "INTERNATIONAL HOLIDAY" では後半部でROOSTERSの "DO THE BOOGIE" をメドレーっぽく挿入したり、更にはエンディングで池畑潤二のドラムソロ(題して「池畑劇場」!)があったりで、ひたすら「ロール」しまくり。こういう演奏ができるのも、このバンドの強み。これはなかなか真似出来るもんじゃないよ? その後、ベースの渡辺によるボーカルナンバー "夢の庭" で心和ませたり、大好きな "歌を紡ぐとき" の歌詞にジーンとしたりして、本編ラストは力強い "BORN TO DIE"。山口のシャウトは本当に凄いよ。終盤でのリフレインは特に圧巻。あれは絶対に生で体験すべし。

  こうやってセットリストを見ると、たった10曲しかやってないのな、本編って。けどそんなことみじんも感じさせない濃度/密度のライヴだったわけよ。既にこの時点でグッタリしてたもん、俺。すごい満たされちゃってたのね、念願のライヴを体験出来たっていう事実に‥‥けどさ、この後もまたまた凄いものをお見舞いされてね。

  だってさ、アンコール1発目は "それでも世界は美しい" だよ!? そりゃ誰でもグッとくるでしょう! 本当に圧倒的な「歌」だよ、これは‥‥普段の俺だったら、絶対に泣いてたんだろうけど、この日は感動することはあっても、決して泣くことはなかったのね。そう‥‥終始笑顔。切ない歌ではさすがにしんみりしたけど、やっぱりこの日は「笑顔」だったな、と。それがこの日の内容の全てを物語ってるんじゃないの?

  この後、懐かしいファーストアルバムから "らっぱ" なんていう曲を披露したかと思うと、先日再発されたばかりの「幻のインディーズ盤」から "EVERYTHING" をやってしまったり。本当はもっと聴きたい『昔の曲」は沢山あるんだけど‥‥新作からの曲を全部やってた時点で、この日の勝敗は決まったようなもんだからね。これ以上は望みませんよ、ええ。

  ここでこの日のライヴは終了したようです。客電も点き、フロアを後にする客も少なくなかったんだけど‥‥あきらめないファンの多いこと多いこと。勿論俺もそうなんだけど。みんなアンコールを求める拍手を延々続けるわけ。そして‥‥それが実現するのよ!

  最後の最後に演奏されたのは、嬉しいことに "BRAND NEW DAY/WAY"。今のHEATWAVEに通ずる、基盤となった1曲。やっぱり彼らは最後まで圧倒的でした‥‥終始笑顔で震えっぱなし。俺は「歌」を聴きに来たんであって、そして「ロック」しに来たんだよな‥‥ちゃんとそれらを十分に我々に提供し、満足させてくれた。しかもおまけまで付けて‥‥ここまで出来るバンド、本当に少ないと思うよ。つうかさ、今日この日、この会場で同じ空気を、同じ音を味わった千数百人程度の人達‥‥そしてHEATWAVEの4人‥‥みんなみんな、愛してる! そう言いたくてたまらない、そんな素敵で最高なライヴ。もうね、これ以上どう形容していいのか判らないよ‥‥

  多分、今のHEATWAVEはバンドの実力とは裏腹に、セールスも微々たるものだし、メディア上での評価もそこまで高いものではないでしょう。過小評価されているといってもいいでしょう。あのね、もし未だに俺の言ってることが信じられないって人がいたら‥‥本当にさ、悪い事言わないからさ、アルバム買って聴いてみてよ。いや、それ以上にライヴに足を運んで欲しいよ。こんなにも素晴らしいロックンロールを提供してくれるバンド、この日本には数える程しかいないんだからさ‥‥


[SETLIST]
01. STILL BURNING
02. I HAVE NO TIME
03. SWEET HEART / SHE'S HURT
04. 誰も居ない庭
05. シベリアンハスキー
06. FREE
07. INTERNATIONAL HOLIDAY
  ~ DO THE BOOGIE [ROOSTERS]
08. 夢の庭
09. 歌を紡ぐとき
10. BORN TO DIE
---encore---
11. それでも世界は美しい
12. らっぱ
13. EVERYTHING
---encore---
14. BRAND NEW DAY/WAY

2004年3月 2日 (火)

HEATWAVE『LONG WAY FOR NOTHING』(2004)

  おかえりなさい‥‥そう言わずにはいられない気持ちになっちゃうよね、このアルバムを前にしたら。ずっと待ってたんだ、いつか絶対に戻ってくるって。そう思い始めてから2年半、ようやく帰ってきてくれた。顔見知りの仲間と、そして新しい仲間を引き連れて。

  俺がHEATWAVEの音楽と初めて接した時、既に彼らはその活動を停止した後でした。SOUL FLOWER UNIONの演奏をバックに山口洋が歌う "トーキョー シティー ヒエラルキー" や "ガーディアンエンジェル" に胸を打たれたのが切っ掛け。その後、アルバムを買い漁る日々。けど彼らはもういない。後々、ヤポネシアン・ボールズ・ファンデーションやSFUのサポートで山口の姿を見かけたけど、やはり「僕は僕のうたを歌おう」の言葉通り、山口洋というソングライターが書いた歌を、自ら歌って欲しい。そしてそれを聴きたいし、観たい‥‥ずっとそう願ってた。そして、それが現実のものになった、と‥‥

  「LONG WAY FOR NOTHING」と名付けられた新作。ラスト作となったベスト盤「LONG LONG WAY -1990-2001-」から、ずっと続いていたかのようなタイトルにまずグッとくる。そして中身は‥‥いきなり "STILL BURNING" って高らかと宣言してるし。またここから始まるんじゃなくて、あの時からずっと続いてたんだ、終わってなかったんだってことに気づかされて、また涙。楽曲自体も、そして歌詞も本当にいい。解散前も勿論良かったけど、更に深みが増した気が。30代に突入して数年経つけど、だからこそ余計に、痛いくらいに伝わってくるんだな、山口の歌詞が。そして時に強く、時に優しく、時に切なく響くメロディー。ホント、これ以上説明を付けたくないくらいに良過ぎるんだもん。

  復活したHEATWAVEのメンバーは山口と、オリジナルメンバーの渡辺圭一(現在はJUDEのベーシストとしても活動中)、過去HEATWAVEのレコーディングにも参加した経験を持つキーボーディストの細海魚、そして元ROOSTERS、現ROCK'N'ROLL GYPSIESのドラマー・池畑潤二(過去、渡辺とJUDEで活動を共にしていたことも)という4人。豪華過ぎる。だけど、全く違和感がないのね、この顔ぶれ。実際にアルバムから聴こえてくるサウンドも、この4人だから‥‥というような切迫感とか強烈な凄みってのは控えめで、それ以上にもっとこう‥‥あくまで「歌」ありきで、それを下から支えるような演奏というか。勿論、各プレイヤーの力量は半端じゃないし、それは聴いていて存分に伝わるんだけど‥‥やっぱり歌なのね。言葉を大切にした歌。それが全て。

  あーもう、これ以上何を書こうか‥‥本当に、まずは聴いて欲しいのよ。特に俺と同年代のロックファンは必須事項ですから。これ読んだら会社の帰りにCD屋に酔って、このアルバムを手に取ってみて。あるいはこれ読み終えたらすぐにネット通販出来るサイトから注文するとか。あ、何なら右隣のリンクからでも‥‥(ってさりげなく強制してるな、これ)

  冗談はさておき、本当にさ、こんな駄文読む前に、まずはCDを手に取って欲しいのよ。そして歌詞をじっくり読みつつ、その音に耳を傾けて欲しいな、と。決して派手でラウドなロックンロールが繰り広げられてるわけじゃないし、「夢を見ていこうぜ!」みたいな前向きさが沢山詰まってるわけでもない。酸いも甘いも噛み分けた「大人」だからこそ伝わる、いや、そこを通過していない10代、20代の子達にも伝わるはず‥‥そんな等身大のリアル・ロックンロール。それがHEATWAVEというバンドであり、このアルバム最大の魅力だと思っています。壁にぶつかり、痛い目をみたり、裏切られたり、失恋したり(あるいは離婚したり)、仕事でヘマしたり‥‥そんな悪い事続きの日々。だけど最後には "それでも世界は美しい" と歌うこのアルバム。是非この曲の歌詞を読んで、あなた自身の心で感じて欲しい‥‥そう願って止まない、そんな傑作です。

  最後に。このアルバムに出会えたことに感謝。このアルバムを作ってくれたHEATWAVEに、山口洋に感謝。来月、直接「ありがとう」と言いに行きたいと思います‥‥。



▼HEATWAVE『LONG WAY FOR NOTHING』
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2001年10月 1日 (月)

HEATWAVE『LONG LONG WAY -1990-2001-』(2001)

  今年(2001年)の3月に22年に渡るその歴史に幕を降ろしたHEATWAVEの、1990年のデビューから解散時までの歴史を総括した2枚組ベストアルバム。彼らは1995年までエピックに在籍し、その後ポリドールへ移籍している。このベスト盤はレーベルの枠を越え、ディスク1がエピック時代、ディスク2がポリドール時代という風に編集されている。レコード会社別にディスク分けした意味合いがあるのか?と問われれば、大いにあると言った方がいいだろう。

  HEATWAVEは元々トリオバンドとしてスタートしている。ボーカル/ギターの山口洋、ベースの渡辺圭一(最近再び山口と共に、加えてSOUL FLOWER UNIONの中川とサポートドラマーのコーキの4人で「ヤポネシアン・ボールズ・ファウンデーション」という新バンドを結成した)、ドラムの藤原慶彦の3人でデビューするわけだが、セカンドアルバムリリース後にドラムの藤原が脱退。その後5th「1995」まで山口と渡辺の2人にサポートメンバーを加える形で活動を続けるものの、エピックとの契約切れと共に渡辺が脱退する。続く移籍後1作目「TOKYO CITY MAN」リリースまでの2年間、山口はあくまでバンドに拘り、その後再び3人組バンドとして(或いはそこにキーボーディストとして元MOTT THE HOOPLEで、最近はTHE BOOM等のサポートで活躍するモーガン・フィッシャーを加えた4人編成で)2001年3月まで不動のメンバーで活動を続ける。山口が全楽曲を手掛けてきたし、ある意味「山口さえいればHEATWAVE」とも言えるのだが、当の本人には「いちバンドのメンバー」という拘りが最後の最後まであったようだ。

  まぁバンドの説明はこんなもんでいいだろう。

  10月のオススメ盤として、実は昨日まで別の作品を取り上げようと思っていた。9月末に若くて活きのいい日本のバンド達が、素晴らしいアルバムをリリースしている。In the SoupだったりMO'SOME TONEBENDERだったり‥‥そういった「NEW GENERATION」に脚光を当てよう思っていたのだが、本日帰宅すると、土曜にネットで注文したこのベスト盤が届いていたのだ。実はHEATWAVEをちゃんと聴くのは今日が初めて。6年前の「1995」というアルバムは、ずっと気になっていて聴きたいとは思っていた。佐野元春プロデュース曲("BRAND NEW DAY/WAY" や "オリオンへの道")があったり、ソウルフラワーとの共作 "満月の夕" が入っていたりで、最近もずっと探していた(現在、エピック時代の全5作は廃盤のようだ)。そして先週の金曜(9/28)にソウルフラワーのライヴで初めて聴いた "トーキョー シティー ヒエラルキー" と "ガーディアンエンジェル" という2曲、そして山口のぶっきらぼうで男臭いボーカルに感銘を受け、ちゃんと聴いてみたいと思ってすぐに注文したのだった。

  全32曲、トータルで約160分にも及ぶ長丁場だが‥‥ディスク2枚、すんなり聴けてしまった。いや、すんなりって表現はどうかな‥‥歌詞に目をやりながらじっくり聴いていたのだが‥‥胸が熱くなってきた。何ていうか‥‥最近、こういうロックと出会ってなかったんじゃないかな?と。

  ズバリ言う。これは「30代以上の、男の希望と哀愁と苦悩の日常を唄ったロックンロール作品集」だ。フォークの世界にはこういった作品はいくらでもある。けど、ことロックの世界になると‥‥せいぜい浜田省吾くらいだろうか? しかし、それ以降に登場したアーティスト‥‥少なくとも'90年代にこの手のアーティストはいただろうか? 佐野元春は近年、確かに歳相応の歌を唄い始めた。けど、30代後半に突入する頃(つまり約10年前)、彼は「SWEET 16」と唄った(それがその言葉以上の意味合いを持つ事は重々承知しているが、あえてこう書かせてもらう)。エレファントカシマシのような表現もあるだろう。優等生的だがMR.CHILDRENのような表現もあるだろう。けど、それらが足下に及ばない程の「リアルさ」をこのHEATWAVEの楽曲/歌詞から見出した。

  山口の声質は低音域がどことなく浜田省吾に似ていて、熱くなりすぎない唄い方や節回しが佐野元春を彷彿とさせる。いや、というよりもボブ・ディラン的というべきか。歌を聴いているというよりは、むしろポップな詩の朗読を聴いてるような錯覚に陥る瞬間が何度かあった。音楽的には伝統的なアメリカンロックを彷彿させるものが多く、それも大いに影響してるのだろう。ところが、1995年の "満月の夕" で何かが変わる。ご存じの通り、この曲はソウルフラワーの中川との共作なのだが、HEATWAVEバージョンにもソウルフラワーから中川と伊丹が三線とお囃子で参加している。その後、"ガーディアンエンジェル" 等にも彼らは参加していて、更にはソウルフラワーファンにはお馴染みのアイリッシュ・ミュージシャン、ドーナル・ラニー・バンドが全面的に参加している。アメリカン・ルーツ・ロックからアイリッシュ・ルーツ‥‥この辺はニューエスト・モデルがソウルフラワーへと進化していく流れに何となく似ている。更にはソウルフラワーもモノノケ・サミットでカヴァーしている "竹田の子守歌" をも取り上げ始める。元々バンド指向でありながらも「歌」を中心にしてきた山口洋の中で、この辺りで何かが「弾けた」のかもしれない。これが「バンドへの拘り」に変化をもたらし、バンド解体へと繋がった‥‥というのは、考えすぎだろうか?

  年齢的には俺よりも5~6歳上の山口だが、彼が30歳を過ぎた頃に書いた楽曲には、その年齢に達した人間にしか書けない「リアルな言葉」が多い。ロックミュージシャンの視点から書かれた歌であるが、ロック的な生き方をしている30代の「すべての野郎ども」に当てはまる/共感できる言葉ばかりではないだろうか。

  リアルなバンドは確かにここ日本にも幾つか存在する。そしてリアルな歌を唄うアーティストも。しかし、山口洋の「リアルさ」は他のどのアーティストとも違う。何故彼が、HEATWAVEというバンドが、多くの現役アーティスト(佐野元春やソウルフラワーの面々、THE BOOMの宮沢、ミスチルの桜井、PEALOUTの近藤等)から支持されているのかが、この2枚組を聴く事によって理解できた気がする。10代~20代前半の若い方々には完全に伝わるのか判らないが、是非俺と同世代~30代のサラリーマン諸君にこそ聴いて欲しい、そんな「歌」が沢山詰まった作品集だ。



▼HEATWAVE『LONG LONG WAY -1990-2001-』
(amazon:国内盤CD

2001年8月12日 (日)

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 2@苗場スキー場(2001年7月28日)

◎NUMBER GIRL (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  定刻通りにメンバーがステージに登場。向井「福岡県●▲出身、ナンバーガール~」等と自己紹介。いきなり和む。しかしギターが鳴らされた瞬間、場の空気は一変した。のっけからファストナンバーを連発だ。PAのやぐら前あたりで観ていたのだが、始まった瞬間、ブロックのかなり前の方まで走っていた。

  向井の歌は、こうやってライブで聴いていると、何となくカートを思い浮かべることがあった。確かにNIRVANAと共通する要素はいくつかあると思うが、単なるフォロワーではなく、それなりにオリジナリティを持ったバンドだ。例えば、向井がただ1曲だけギターを持たずにビールを持って歌った「Destruction Baby」は、完全にレゲエ/ダブ要素を加えたアレンジに変えられていたし(またそれが気持ちよかった)、そういう「パワー一辺倒」では終わらないところに今後の彼らが進むべき道を見たような気がした。

  向井のMCもなかなか笑わせてくれる。乾杯三唱をさせられたときにはどうしようと思ったが、それも今となってはいい思い出だ。結局45分程度のステージで、「この後ホワイトステージに行くんで、これにて終了」と言ってバンドは去っていった(11:30からホワイトではeastern youthが演奏していたのだが、この後本当に向井はホワイトで目撃されている)。朝イチで観る長さとしては腹八分目で丁度いい感じだった。


◎MO'SOME TONEBENDER (at RED MARQUEE / 12:40~13:20)

  何の期待もせずに、ステージ前近くで開演を待った。ドラムがサウンドチェックしてるとき、あるフレーズを延々と叩いていたのだが……あれ、これって何の曲のリフだっけ……あぁ、そうか、NIRVANAの「In Bloom」だ。しかもハードヒットで、リズムキープにも独特な重さを感じる。本当にデイヴ・グロールのプレイを聞いてるようだった。

  ライブ本編では、幻想的なシーケンス音に導かれてメンバー3人がステージに登場。続いてベースが独特な重さを持ったフレーズを弾き始める。それに呼応するかのように、ドラムもユニゾンプレイを繰り返す。ボーカルは線が細い声で危うさを感じさせるが、逆にそこが魅力的。特にヒステリックにシャウトしたときの歌い方が好きだ。

  楽曲はグランジ+サイケといったイメージで、パンキッシュなファストナンバーから幻想的なミディアムスロウまで多彩さを感じる。ガレージっぽいバンドの曲って、どちらかというとモノトーン調なイメージがあるのだが、このバンドの曲にはいろんな色彩を感じ取ることができる。そのへんがサイケ的イメージと直結してるのかもしれない。とにかく、音を肌で感じていて気持ちいい(特にラストに演奏された「Echo」が圧巻だった)。この日は演奏時間を短く感じてしまうほど、入り込んでいた。もっと観たい。

  MCらしいMCも特になく、最後に「終わりっ!」の一言で現実に引き戻された。この感覚、こりゃドラッグミュージックですわ。本当、気持ちよかった。


◎ソウル・フラワー・モノノケ・サミット (at FIELD OF HEAVEN / 15:10~16:20)

  一応「モノノケ」名義なのだけど、メンバーが揃わなかったこともあって、結局この日限りのスペシャルメンバー&スペシャルセットで挑むこととなったソウルフラワー。ユニオン=バンド形態でモノノケ=チンドンスタイルの楽曲を演奏するそうだが、果たしてどうなることやら。

  ステージに登場した中川は、客を観て驚く。一番前にいたのでその時まで気づかなかったが、ふと振り返ると、すごい人の海。昨日のくるりに匹敵するほどの人が入ってる。裏ではパティ・スミスがやっているってのに、本当に物好きが集まったもんだ(自分を含めて)。ステージ上には左から洋子さん、ベースの河村、中川、ヒデ坊、山口洋(HEATWAVE)。後方はドラムのコーキの右隣にキーボードの奥野という、大所帯。

  最初はユニオンの「ロンドン・デリー」からゆったりとスタート……かと思いつつ、この曲サビではタテノリになるんだった。後ろから押し潰されそうになったり、前の奴が腰で俺を突き飛ばしたりで倒れそうになるものの、何とか持ちこたえる。こりゃ音を堪能してる場合じゃないな。暴れて、踊ってナンボの音楽。最後まで踊り狂ってやるか! そう覚悟を決めたら最後、汚い笑顔で踊り狂う。

  セットリストとしてはユニオンが7、モノノケが3といった比率で、上手い具合に交互に演奏されていた。モノノケの楽曲もユニオン用アレンジに変えられており(中川は三線だったが、山口はエレキ、ドラムもそのままといった感じ)、古来の民謡や仕事歌もこういうアレンジで聴かされるとユニオンの楽曲の中のひとつとして聴けるのだから、意外だ。

  特に印象的だったのは、やはり新譜「SCREWBALL COMEDY」からの楽曲。いい意味で「ロック然」としているのだ。新作は原点回帰とかいろいろ言われているが、確かにこれまでの作品の中では最もストレートでニューエスト・モデル色が濃い。それにライブとスタジオテイクの違和感の差がそれ程感じられない。先の野音でもここから何曲か聴いていたが、ただストレートでノリがいいだけじゃなく、記憶に(心に)残る曲ばかりだったこと、そこが大きいと思う。特に、野音で初めて聴いて心臓を鷲掴みにされた「荒れ地にて」は、ここ苗場の大自然の中、日中に聴いてもググッときた。いい曲というのは場所や時間、シチュエーションを選ばないってことなのか。しかも立て続けに「満月の夕」「竹田の子守歌」とやられた日にゃあ……放水された水が顔面を直撃したお陰でうまい具合に涙を隠せたはずだ。

  そうえいば、ステージ袖の奥の方に非常にノリノリで踊ってるキレイなおねぇちゃんがいるなぁ、と思って見とれていた。しかも見覚えあるんだよなぁ、前に会ったことなかったっけ?なんてデジャブに近い勘違いでボーッとしてたら、終盤「エエジャナイカ」で中川に呼ばれてステージに登場した。「from THE 3PEACE!」 あぁ、かおりさんか! 前夜祭に登場したTHE 3PEACEのボーカル&ギターの原と、ベースの永野が飛び入りで参加したのだった。永野かおり嬢はメスカリン・ドライヴ~ソウルフラワーの1枚目まで参加しているので、早い話がファミリーなのだ。気づけばヒデ坊、洋子さん、かおりさんとメスカリンの3人が揃ってる。最後にはお約束の「海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね」で大宴会。一度エンディングを迎えながらも、再び演奏を始めてしまう、いや、始めさせてしまう熱気。この文章だけで伝わるかな?

  「フジはいつも特別」とメンバーもファンも口にする通り、通常のライブとは違う熱気とおまけが付いたひととき。70分の予定が、「時間なんて気にしなくてもいいよな?」という中川の言葉通り、結局90分近い熱演となった。次のバンドまで1時間のインターバルがあったからよかったものの……「普段もこれくらい盛り上がってくれれば」との中川の言葉がすべてを物語ってるだろう。


01. ロンドン・デリー
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. ホライズン・マーチ
04. 水平歌 ~ 農民歌 ~ 革命歌 [モノノケ]
05. 戦火のかなた ~ I don't like (MESCALINE DRIVE)
06. 霧の滴
07. 殺人狂ルーレット
08. アリラン ~ 密陽アリラン [モノノケ]
09. 聞け万国の労働者 [モノノケ]
10. 風の市
11. 荒れ地にて
12. 満月の夕
13. 竹田の子守唄 [モノノケ]
14. インターナショナル [モノノケ]
15. エエジャナイカ
16. 海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね


◎MOGWAI (at WHITE STAGE / 18:50~19:40)

  ホワイトステージ手前の川で、メンバーのMCが聞こえてきた。どうやら丁度始まったとこみたいだ。7時前ってことで、いい具合に暗くなりつつあり、その静寂を断ち切るようにギターノイズが悲鳴を上げる。アルバムでしか聴いたことのなかったMOGWAI。どういうステージなのかまったく想像がつかなかった。

  メンバーは5人だったと思うが、ギターが3人(その内のひとりが曲によってキーボード、後半はチェロを弾いていた)とリズム隊で、ギターの轟音がとにかくすごい。それに合わせるかのように、照明のストロボが暗闇を裂く。新作「ROCK ACTION」からの楽曲がメインだったと思うが、とにかく楽曲云々よりも雰囲気を含めた全てを持ってMOGWAIのライブなんだな、という気がする。普通だったらマスターベーションと切り捨ててしまうようなギターノイズも、意外と計算されている印象を受けたし、ちゃんと楽曲として成り立っている。アルバム自体も日々好んでこればかりを聴くというタイプの音楽ではないが、この時この瞬間の気分やシチュエーションにはぴったりだったと、今はそう思う。

  万人を納得させる音楽では決してない。「ポストロック」なんてカテゴライズ、俺にはよく判らない。気持ちいいか否か、踊れるか否か。今の俺にとって、これがすべて。この日のMOGWAIは気持ちよかった。まぁ踊るどころか、呆気にとられて終始棒立ちに近い状態だったが。時々目を瞑り、その音圧のみを身体で感じてみたりもしたが、本当に気持ちよかった。頭を空っぽにして、ただ身体だけで感じる。せわしない日常の中で、こんな機会はそうはない。周りに何千、何万人いようがこうやって自分の空間を作り出すことができる。それがフジロックの好きなところだ。


◎渋さ知らズオーケストラ (at FIELD OF HEAVEN / 19:30~20:50)

  FOHに到着すると、まずその人の数に驚く。後ろの方まで人がいるのだ。しかもみんな気持ちよさそうに踊ってる。聞こえてくる音も気持ちよさげな音。響く音に合わせ踊りながら人混みに近づくと、ステージ上の人数に仰天する。少なく見積もっても20人はいるんじゃなかろうかという人の塊。決して広いとは言い難いFOHのステージ上、最前列にダンサーの女性陣が5~6人。その脇に歌&コーラスの男女がやはり7~8人。中央には指揮者。楽器隊はドラムがまったく見えず、ブラス隊、キーボードの女性が見えるのみ。間違いなくギターやベースといった楽器隊がいるはずなのだが。

  音楽は、もうノリノリでファンキーなソウルミュージック。レビュー形式で進んでいって(昨年サマソニのジェームズ・ブラウンみたいな感じ)、1曲が長くてそこにいろんなパートのソロを入れてく感じ。ここで初めてドラムが2人いることが判った(ドラムソロになったら、全員腰を屈めて後ろにもドラムが見えるように気遣うし)。

  曲の間に寸劇を挟んだりして、曲毎にメンバーが入れ替わったりする。途中、スーツ着てターバン巻いてたヒゲの男性が、石川さゆりの名曲「天城越え」を大熱唱。さらに後半、銀色の竜が客の頭上を飛び回る……が、すぐに心ない客の手によって破壊される。

  後半、山海塾(といって一体どれだけの人に理解してもらえるものか)も真っ青な全身白塗りダンサーが登場して、パフォーマンス。数曲のつもりが結局最後まで気持ちよく踊っちゃったもんなぁ。そのくらい、時間を忘れさせる程魅力的なライヴだったのだけは確か。こういうのは、家で聴くよりもこういう大自然の中で、大人数で消費するのが一番気持ちいいし、楽しい。


◎NEW ORDER (at WHITE STAGE / 22:20~24:00)

  16年振りですか、ここ日本にいらっしゃるのは。しかも今回はビリー・コーガンがギターで参加。ニール・ヤングと直前まで悩んだのだが、結局自身の“青春”を取ることとした。

  いやぁ、正直「Atomosphere」のイントロを聴いた瞬間、ジワッと涙が滲んだよ。懐かしさとかいろんなことがフラッシュバックして、その想いがとめどなく溢れそうになった。何で俺、NEW ORDERごときで泣かなきゃならねぇんだよ!って自分を疑ったが、こればっかりは仕方ない。暗黒の高校時代を思えば、それも致し方ないのかも。

  それにしてもビリー、あんま目立ってなかったね? スマパン時代はその「ガタイのデカさ」と「頭」だけが記憶に残る彼だが、この日はさすがサポートだけあって控えめ。一歩後ろに下がって、自身のプレイに徹する。時々コーラスを取ったり、バーニーとのデュエット的楽曲もあったが、最後まで帽子を被ったまま。あの威圧感がゼロだった。きっと、心底楽しんでるんだろうな、自分が憧れた、音楽を始める切っ掛けのひとつとなったバンドの一員としてフジロックみたいな大舞台に立てるんだから。スマパンの呪縛から解き放たれたような印象を受けたよ。こんな肩の力を抜いた雰囲気でのソロも見てみたい気がする。

  一方のNEW ORDERの面々は、ピーター・フック、暴れまくり。この日は参加できなかったギリアンがいないぶん、MARIONのギタリスト、フィル・カニンガムがキーボード&ギターとして参加。結局、JOY DIVISION+MARION+スマパンという、一見何が何やらな組み合わせだったのだけど……個人的には数々の名曲を思う存分聴けたこと、特にJOY DIVISION時代の「Isolation」「Love Will Tear Us Apart」といった大好きな曲を聴けたことが嬉しかった。勿論「Regret」や「Bizzare Love Triangle」「True Faith」「Temptation」等の代表曲も生で聴くと気持ちよかったし、新曲群も「これぞNEW ORDER!」的要素と「これからのNEW ORDER」を感じさせる要素が詰まった佳曲ばかりで、非常に期待が持てるものばかりだった。

  スタートが20分近く遅れた(実際には22:40頃スタート)ため、アンコールの時点で0時近かったが、そんなことお構いなし。前作からの「Ruined In A Day」他を披露後、最後の最後に超名曲「Blue Monday」。バーニー、ギターを置いて妙なステップで踊る。当然、声を振り絞って歌う。ロングバージョンとなった「Blue Monday」が終了した時点で、0時を10分程回っていた。結局90分というフルステージ状態のライブで底力を見せつけたNEW ORDER。「また16年後に会おう!」というバーニーの最後の一言、冗談に受け取れなかったんですけど。

  最後の最後に、ビリーにジャンプで飛びつくフッキー。帽子を取られたビリーを見て、あぁ、やっぱりビリーだな、と実感。

  聞けば裏のグリーンステージにおけるニール・ヤングも2時間半に渡る大熱演だったらしい。結局、どちらかを選ばなきゃならない運命だったのかなぁ。いやぁ、それにしてもいい夢観させてもらった!


01. Atomosphere
02. Crystal
03. Regret
04. Love Vigilantes
05. Isolation
06. Your Silent Face
07. Slow Jam
08. Turn My Way
09. Bizzare Love Triangle
10. Close Range
11. Touched By The Hand Of God
12. True Faith
13. Temptation
14. Love Will Tear Us Apart
---Encore---
15. Ruined In A Day
16. '60 Miles An Hour
17. Blue Monday


‥‥‥‥‥‥To be continued.

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