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カテゴリー「Hellacopters, the」の15件の記事

2021年12月18日 (土)

THE HELLACOPTERS『REAP A HURRICANE』(2021)

2021年12月17日にデジタルリリースされたTHE HELLACOPTERSの新曲。

2008年に一度解散したものの、2016年にニッケ・アンダーソン(Vo, G/IMPERIAL STATE ELECTRICLUCIFERENTOMBED)、ドレゲン(G, Vo/BACKYARD BABIES)、ケニー・ホーカンソン(B)、ロバート・エリクソン(Dr)、アンデス・“ボバ”・リンドストローム(Key)という2ndアルバム『PAYIN' THE DUES』(1997年)時の布陣で再結成を果たしたTHE HELLACOPTER。その後、ケニーがすぐに脱退し、サミ・ヤッファMICHAEL MONROE、ex. HANOI ROCKなど)などがツアーメンバーとして参加するものの、現在はパーマネントのベーシスト不在という4人編成で活動を継続しています。

そんなTHE HELLACOPTERSが2022年4月1日に、『HEAD OFF』(2008年)以来14年ぶりとなるニューアルバム『EYES OF OBLIVION』をNuclear Blast Recordsからリリースすることをアナウンス。この発表にあわせて、アルバムからのリード曲として実に17年ぶりのオリジナル新曲「Reap A Hurricane」を配信リリースしたのです。17年ぶりというのは、『HEAD OFF』が全曲カバー曲だったため、そのひとつ前のオリジナルバム『ROCK & ROLL IS DEAD』(2005年)以来だからなんですね。

さて、待望の新曲。アメリカで相次いで竜巻が発生しているタイミングでこのタイトルの新曲を発表してしまうという、なんともタイミングがアレですが……楽曲自体はドレゲンが脱退して以降、特に4作目『HIGH VISIBILITY』(2000年)や5thアルバム『BY THE GRACE OF GOD』(2002年)、そして『ROCK & ROLL IS DEAD』といった作風の延長線上にあるスタイルかなと。爆走ロックンロールを武器としたデビュー作『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(1996年)や続く『PAYIN' THE DUES』などドレゲン在籍時と比べるとスピードを抑えた作風は、まさに中後期のそれと言えるでしょう。

しかし、リフワークは中後期というよりは初期のそれに近い印象もあり、このへんはドレゲンのカラーが加わったからこそなのかな。録音の質感も整理されクリアになった中後期よりも初期のそれに戻っている感があるので、そういった意味では初期2作と中後期のハイブリッド感が楽しめる1曲とも言えるでしょう。

「初期2作と中後期のハイブリッド」という点においては、実は3rdアルバム『GRANDE ROCK』(1999年)的でもあるのかな。実は、今回のNuclear Blast Recordsとの契約を機に、ここ日本ではストリーミングサービス未配信だった同作が、この新曲と同タイミングで配信スタートしているんです。これって偶然なのか、それとも……(この先、1stや2nd、そして解散前のラスト作『HEAD OFF』や数々のコンピ盤も国内サブスク解禁されることを願っております)。

そして、気になるニューアルバム『EYES OF OBLIVION』の内容ですが……この1曲だけでは想像も難しいところですが、ニッケによるとThe Beatles meets Judas Priest or Lynyrd Skynyrd meets the Ramones but the best way to describe this album is that it sounds like The Hellacopters today.」なんだとか。やはり「初期2作と中後期のハイブリッド」というのは、あながち間違ってないのかもしれませんね。

 


▼THE HELLACOPTERS『REAP A HURRICANE』
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LUCIFER『LUCIFER IV』(2021)

2021年10月29日にリリースされたLUCIFERの4thアルバム。

ドイツ人女性シンガーのヨハナ・サドニス(ex. THE OATH)を中心に結成されたLUCIFER。ANGEL WITCHのアンドリュー・プレスティッジ(Dr)や元CATHEDRALのギャリー・エニングス(G)などが在籍してきましたが、現在はニッケ・アンダーソン(Dr, G, Key/THE HELLACOPTERSENTOMBEDIMPERIAL STATE ELECTRIC)、ライナス・ビョークランド(G)、マーティン・ノルディン(G)、ハラルド・ジョットブラード(B, Key)という編成で活動中です。

前作『LUCIFER III』(2020年)から1年7ヶ月という短いスパンで届けられた本作。前作発表直後にコロナ禍に突入してしまったこともあり、同作を携えたツアーを本格的には行えず、結果として彼らは再びスタジオに戻ることでバンドとしてのアイデンティティを維持します。

基本的にヨハナとニッケが大半の楽曲を制作するスタイルは前作と同様ですが、今作では今年新加入のライナスとマーティンもソングライティングに参加。70年代のクラシックロックやガレージロック、ブルースロック、ハードロック、サイケデリックロック、プログレッシヴロックなどからの影響を下地に、ヨハナの気怠くも艶やかな歌声と、ソングライティング面に強く打ち出されたニッケの趣味(KISSTHIN LIZZYなど)が絶妙なバランス感でミックスされた、古臭くも新鮮という個性的な1枚に仕上がっています。

曲によってはRAINBOWBLACK SABBATHあたりからの影響も見つけられ、それらがレイドバックすることによって新たな個性を生み出している。かつ、熱すぎず冷たすぎずというヨハナのボーカルが乗ることで、オリジネーターとは異なるものへと進化。このアルバムからは、上記のようなルーツの匂いを漂わせながらも、ド直球で似ている(パクっている)ものは皆無。テイストや方向性がルーツバンドを踏襲してはいても、ヨハナのセンス、ニッケのセンスによって上書き保存されているので、結果先のように「古臭くも新鮮」という作品に仕上がるわけです。

例えば、GRETA VAN FLEETを筆頭とするクラシックロック・リバイバル的スタイルの若手新人バンドと比較すると、もともとキャリアのあるミュージシャンが集まったLUCIFERはちょっと違うのかもしれない。しかし、結果として慣らされている音や生まれてくる楽曲は、GRETA VAN FLEETの対抗馬として十分に通用する個性を備えている。確実に違う枠だってわかってはいるんだけど、むしろGRETA VAN FLEETリスナーにこそ触れてほしいと思わずにはいられない。同バンドに対するヨーロッパからの回答、なんていうのは安直でしょうかね。

怪しげな空気をまとうインスト「The Funeral Pyre」や、ピアノをフィーチャーしたメランコリックな「Nightmare」など変化球が随所に用意されているし、怪しいコード感のバラード「Orion」や初期サバス的なリフワークと伸びやかなメロディラインの相性も抜群な「Phobos」など、アルバム後半に進めば進むほどクセの強い楽曲が増えていく構成も、一度聴いたらドツボにハマってしまう魅力を秘めている。強烈な一撃はないタイプのバンドですが、70年代のピュアなハードロックやクラシックロック・リバイバルの流れに興味を持っている方なら、絶対にドストライクなはず。個人的には過去3作を軽く超える、LUCIFERの最高傑作だと信じてやみません。

だいたい、LED ZEPPELINもBLACK SABBATHもタイトルに“4/IV”が付いた作品(4作目のアルバム)はどれも傑作でしたし、その方程式でいけばLUCIFERの4作目も最高に決まってる。問答無用で気持ちよく楽しめるし、THE HELLACOPTERSなどニッケのロックンロールサイドがお気に入りのリスナーにもうってつけ。2020年代の新たなスタンダードとなるべくして生まれた傑作です(国内ではストリーミング配信されていないことだけが玉に瑕ですが)。

 


▼LUCIFER『LUCIFER IV』
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2018年10月 7日 (日)

THE HELLACOPTERS『HEAD OFF』(2008)

2008年4月にリリースされたTHE HELLACOPTERSの通算7枚目にあたるスタジオアルバム。本作リリース前には同年での解散もされており、これがラストアルバムになることも事前にアナウンス済み。そんな中届けられたこのアルバムは、どこからどう聴いてもTHE HELLACOPTERS以外の何者でもない。誰もがそう、思ったはずです。いや、「でした」が正しいかな。

4thアルバム『HIGH VISIBILITY』(2000年)から6thアルバム『ROCK & ROLL IS DEAD』(2005年)までの3作をメジャーのUniversal Recordsから発表しましたが、ラスト作はインディーズに戻ってのリリース。国内盤も初期3作などを発表してきたトイズ・ファクトリーから発売されました。なんだか、最後の最後で原点回帰的で泣かせる、なんて当時は思ったものです。

気になる内容ですが、3枚目の『GRANDE ROCK』(1999年)から顕著になりだした「ガレージロック+ソウルミュージック」的なスタイルの究極形と言いたくなるような楽曲ばかり。速さにこだわるのではなく、メロディとグルーヴを追求した結果がこのスタイルなんでしょうね。ガレージロックとしてのカッコ良さを保ちながらも、要所要所が“黒っぽく”てセクシー、そしてメロディアスで男臭い。ロックファンが追い求めるセンチメンタリズムがすべてここに詰まっている、と言っても過言ではないと思います。

THE HELLACOPTERS、最後に“らしい”アルバムで幕を降ろすんだな。そう、僕を含め誰もが最初にそう思ったのではないでしょうか。一部のディープなガレージロックマニアを除いて……。

これ、発売後にネタ明かしされたのですが、実はこのアルバム、(日本盤ボーナストラック「Same Lame Story」を除く)全曲(いわゆる)B級ガレージロックバンドのカバーだったのです。詳細はWikipediaを見てもらうとして、僕自身が当時知っていたバンド名はTHE PEEPSHOWS、NEW BOMB TURKS、THE BELLRAYS、GAZA STRIPPERSくらい。とはいっても、バンド名は知っていてもこれらの楽曲は知らなかったのですが……。

にしても、THE HELLACOPTERSが「偏見なく聴いてほしい」という理由でその詳細を明かさなかったこと、そして「俺らみたいなバンドのアルバムを通じて少しでもカバーしたバンドに金が入れば」という心意気。それを最後にやるか?という点含めて、すごいバンドだなと当時は呆気に取られたものです。

今も別にカバーアルバムと思って接していないし、純粋にTHE HELLACOPTERSのアルバムの1枚として楽しんでおります。だって、普通にカッコいいもの。それ以外の言葉、必要ないでしょ?



▼THE HELLACOPTERS『HEAD OFF』
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2018年6月12日 (火)

IMPERIAL STATE ELECTRIC『IMPERIAL STATE ELECTRIC』(2010)

2008年にTHE HELLACOTERSを解散させたニッケ・アンダーソン(Vo, G)が新たに結成したバンド、IMPERIAL STATE ELECTRICの2010年発表の1stアルバム。

当初はバンド解散後にたくさん曲を書き溜めたニッケがスタジオに入り、自身がほとんどの楽器を演奏しつつアルバムを制作していたのですが、そこにいろんな仲間が加わり、気づけばバンドスタイルになっていた……ということで、本作では1曲(「Together In The Darkness」)だけニッケのほかにトビアス・エッジ(G, Vo)、ドルフ・デ・ボースト(B, Vo / THE DATSUNS)、トーマス・エリクソン(Dr)という現在まで続く布陣でレコーディングされています。

THE HELLACOTERSという究極のロックンロールバンドを終了させたニッケが、次にどんなアクションを起こすのか。ロックファンならきっと誰もが注目したはずです。多くのリスナーは“第二のTHE HELLACOTERS”の登場を望んだことでしょう。

しかし、ニッケはTHE HELLACOTERS的でありながらも、さらに自身のルーツのひとつ……KISSRAMONESなどといったポップサイドの色合いが強い作風に取り組みます。そもそもバンド形態やのちのライブ演奏を想定せずに、好き勝手に作り込んだのが本作であって、そりゃあTHE HELLACOTERSみたいになるわけがない。バンドマジックだとかそういったことよりも、ソングライターとして高みを目指した……そんな心算で制作していたのに、気づけば「やっぱりバンド、楽しーっ!」っていう事実に気づかされる。そういった意味では、本作はIMPERIAL STATE ELECTRICというバンドのプレデビュー作、あるいはプロトタイプ的作品かもしれません。

冒頭の「A Holiday From My Vacation」や「Lord Knows I Know That It Ain't Right」「Resign」で聴けるポップネスに、きっと誰もが驚くことでしょう。しかし、このカラーもニッケがTHE HELLACOTERSで表出させていたものであり、ここではその一面を特化させただけ。「Throwing Stones」のような疾走感の強いロックチューンも存在するものの、全体的にはテンポを抑えめにして、良質のメロディとアレンジの妙で聴かせる技術に磨きをかけている。そんな印象を受けます。

前のバンドのイメージが強いからこそ、新たな挑戦に対して最初は拒否反応が生じてしまうのは仕方ないことかもしれません。しかし、これが出来の悪いアルバムかと問われると、まったくそんなことはなく。むしろ聴きやすくて、あっという間に最後まで聴けてしまう、そんな1枚ではないでしょうか。

なお、日本盤のみボーナストラックとしKISS「All American Man」のカバーを追加。この曲をセレクトするあたりからも、ニッケがここで何をやりたかったのかが伺えるはずです。アーシーなアレンジを施したこのカバーバージョンも、なかなか素敵です。

 


▼IMPERIAL STATE ELECTRIC『IMPERIAL STATE ELECTRIC』
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2018年6月10日 (日)

DREGEN『DREGEN』(2013)

BACKYARD BABIESのリードギタリスト兼ボーカリスト、ドレゲンが2013年10月に発表した初のソロアルバム。当時BYBは活動休止中で、どれ元は2011年半ばにMICHAEL MONROEに加入。ちょうど2013年8月にはギタリスト&ソングライターとして参加した2ndアルバム『HORNS AND HALOS』がリリースされたばかりでした。

Universal Music傘下のSpinefarm Recordsと契約して発表された本作は、THE WANNADIESのフロントマンであるパール・ウィクステン(Vo)との共同プロデュースで制作。ニッケー・アンダーソン(THE HELLACOPTERSIMPERIAL STATE ELECTRICENTOMBED)がドラム(3曲のみ)、ベース、リズムギターで、カール・ロックフィスト(MICHAEL MONROE)がドラムで、サミ・ヤッファ(MICHAEL MONROE、ex- HANOI ROCKS)がベースで参加しており、ダンコ・ジョーンズ(DANKO JONES)や女性シンガーのティティヨもゲストボーカルでフィーチャーされています。

ドレゲンというと、キース・リチャーズ系譜のナチュラル・ボーン・ロックンロールギタリストというイメージがありますが(それは間違いではないのですが)、実はソングライターとして非常に器用な人であることが本作で証明されています。その片鱗は、もちろんこれまでのBYBのアルバムでも感じられましたし、直近のMICHAEL MONROEのアルバムでも存分に発揮されていました。

が、本作で聴ける楽曲の幅広さは想像以上のものがあります。BYBを彷彿とさせるメロウなミディアムナンバーが中心ではありますが、例えばTHE HELLACOPTERS〜初期BYBお約束の疾走チューンが皆無なことに、きっと多くのファンが驚くのではないでしょうか(本編ラストの「Mojo's Gone」を疾走ナンバーと捉えれば1曲ある、ということになりますが、これはもっとKISSみたいなアップチューンという認識で、ガレージロックのそれとは異なるイメージ)。

ソングライティングにニッケも加わっているにも関わらず、そういった楽曲がないといのは、おそらくドレゲンもニッケもソングライターとしてあの頃よりも成長/進化しているから、そして今表現したいものがそこにはないから……なんじゃないかなと勝手に想像しています。

じゃなかったら、渋いスローブルース「Flat Tyre On A Muddy Road」や、ドロドロしたファンクチューン「6:10」にまで挑戦しないと思うし。むしろ、THE HELLACOPTERSやBYBにたどり着く前の、もっとガキの頃に愛聴したロックやポップス、ブルースといったルーツミュージックを、今の表現力で形にしたらこうなった、と言ったほうが正しいのかもしれません。

正直、このアルバムを聴いたとき、そしてソロツアーに専念するためにMICHAEL MONROEをすぐに脱退したときには、「ああ、ドレゲンはもうBYBではなくソロでやっていくんだな」……なんて思ったものです。しかし、そこから1年後にはBYBとしてスタジオ入り。2018年中には早くも再始動後2作目となるアルバムもリリースしてくれそうですし、そういった意味ではこのソロアルバムは良い意味での“ガス抜き”だったんでしょうかね。

 


▼DREGEN『DREGEN』
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2017年7月27日 (木)

THE HELLACOPTERS『GRANDE ROCK』(1999)

THE HELLACOPTERSが1999年春に発表した通算3作目のスタジオアルバム。2ndアルバム『PAYIN' THE DUES』(1997年)まで参加したドレゲン(G)が自身のメインバンドBACKYARD BABIESが本格的に忙しくなったことから、同年をもって脱退。その後しばらくはサポートギタリストを迎えてライブを続行しますが、本作『GRANDE ROCK』のレコーディングではニッケ(Vo, G)とボバ・フェット(Key)の2人がギターを担当しています。

ドレゲンが抜けた影響でしょうか、本作はデビュー作『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(1996年)や次作『PAYIN' THE DUES』にあったパンキッシュなガレージロック色が後退。軽快さはそのままに、テンポ感も若干落としてじっくり聴かせる方向へと移行しつつあります。また、曲調にブラックミュージック(ソウルやR&B、ブルースなど)のカラーが濃くなり始めるなど、続く4thアルバム『HIGH VISIBILITY』(2000年)への片鱗が見え隠れします。そういう意味では、後期HELLACOPTERSへ向けた過渡期的1枚と言えなくもありません。

が、過渡期と呼んでしまうには勿体ないぐらいに完成度は高く、「Action De Grace」「Renvoyer」と2つの兄弟作的ショートチューンがオープニングとエンディングに並ぶことでアルバムに1本芯が通ったような強固なイメージを与えています。もちろんその間には、いかにも彼ららしい疾走感を伴う爆走ロケンローがたっぷり収録されているわけですが、そんな中に次作への布石となるミディアムテンポのソウルフルロック「Welcome To Hell」、アップテンポながらもどこか“黒っぽさ”が感じられる「Venus In Force」、タイトルからして完全お遊びっぽいけどしっかりKISSカラーで埋め尽くされた「Paul Stanley」など、興味深い楽曲がたくさん収められています。

サウンド的にも、歪みまくりで生々しかった過去2作からかなり整理され、純粋にロックアルバムとして優れた、聴きやすい作風に。ギターのディストーションもかなりナチュラルなもので、バンドとしてより一段高いステージを目指していく強い意思が感じられます。そりゃあ次に『HIGH VISIBILITY』みたいな力作が生まれるのも、納得するってもんです。

本作発表後、正式メンバーとしてロバート・ストリング(G)が加入。こうして解散まで不動のラインナップが完成することになります。

攻撃的な初期2作と、ソウルテイストを強めていく4作目以降の間に挟まれた、非常に不安定な時期に制作された作品かもしれませんが、個人的にはかなり聞く頻度の高い1枚。ぶっちゃけ今は初期2作よりも気に入っています。



▼THE HELLACOPTERS『GRANDE ROCK』
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2017年2月 7日 (火)

THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』(2000)

2015年末から本当にたくさんの、一時代を築き上げたアーティストたちの訃報が続いています。そんななか、つい数日前に元THE HELLACOPTERSのギタリスト、ロバート・ダールクヴィストが亡くなったことを知りました(ソースはこちら)。この名前だとなんとなくピンとこないけど、ロバート・ストリングスといえば「ああ!」と腑に落ちる方も多いのではないでしょうか。

ストリングスを生で観たのはたった1回きり、3度目にして結局最後の来日となってしまった2001年1月の渋谷CLUB QUATTRO公演(当時のレポートはこちら)。ちょうど4thアルバム『HIGH VISIBILITY』を携えて実施されたものでした。最前列で観たというのもあるけど、そのときの熱気や興奮は今でも昨日のことのように覚えています。

ドレゲン(BACKYARD BABIES)が在籍した初期2作にあったパンキッシュなガレージロック色からスピードを若干落とし、よりソウルフルな方向へと移行しはじめた3rdアルバム『GRANDE ROCK』(1999年)を経て、メジャーレーベルへと移籍して制作されたのが2000年リリースの『HIGH VISIBILITY』。作風的には『GRANDE ROCK』で表現した方向性をより突き詰めたもので、シングルカットもされた「Toys And Flavors」「No Song Unheard」で聴ける“エモみの強いブラックテイストのロックンロール”は初期とは異なる魅力に満ち溢れています。

かと思うと、適度な疾走感を持つ「Baby Borderline」「Sometimes I Don't Know」「I Wanna Touch」「Hurtin' Time」のような従来のアップチューンも豊富にあるし、壮大さが加わったことでオープニングにふさわしい1曲に仕上がった名曲「Hopeless Case Of A Kid In Denial」、70年代のKISSがよりソウルフルになったような「You're Too Good」「A Heart Without Home」(特に後者は、終盤にアップテンポに展開するアレンジがいかにもで最高すぎ)、どこか怪しげなフレーズ&メロディがクールな「No One's Gonna Do It For You」もある。『GRANDE ROCK』と同時期にリリースされたミニアルバム『DISSAPOINTMENT BLUES』という習作を経て、その個性を完全に確立させたのが『HIGH VISIBILITY』だったんだなと、本作以降のアルバムを聴くと改めて実感させられます。

初期2作を別モノとして捉えると、THE HELLACOPTERSのアルバムでもっとも好きなのがこの『HIGH VISIBILITY』。もちろんそれ以外のアルバムが本作よりも劣っているという意味ではありませんので、誤解なきよう。どのアルバムもそれぞれの良さがあって好きなのですが、個人的に作品が持つガレージロック度、ポップ度、ソウル度のバランス感が一番絶妙なのが本作なんじゃないかと思うのです。それに加えて、やはり2001年の来日公演が非常に思い出深いものになったことも大きな要因。きっとその後のアルバムでも来日が実現していたら、思い入れや感じ方も変わったのかもしれませんね。

ああ、もう一度ニッケとストリングスのステージ上での絡み、見たかったなぁ……。



▼THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』
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2017年1月 9日 (月)

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon)(レビュー

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon)(レビュー

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

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2005年12月20日 (火)

THE HELLACOPTERS『ROCK & ROLL IS DEAD.』(2005)

 スウェーデンが誇る爆走ロケンロールバンド、THE HELLACOPTERSの約3年振り、通算6作目となるオリジナルアルバムは、そのタイトル「ROCK & ROLL IS DEAD.」にドキリとさせられるものの、内容はどこを切り取ってもロックンロール以外の何ものでもない純度の高いサウンドが詰まった好盤に仕上がってます。もはや先の『爆走ロケンロール』なんて枕詞すら似合わないような、渋くて味わい深い枯れた音を鳴らすバンドへと変化(深化)してしまってますが、本質的な部分‥‥ニッケ・アンダーソンが持つポップでカッコいいシンプルなロケンロールという要素は何ひとつ変わってないわけで、後はもう聴き手の受け取り方次第なんですよね。

 日本盤リリースが本国よりもだいぶ遅れ(北欧及びヨーロッパでは既に5月にリリース済み、日本盤は何故か9月まで待たねばなりませんでした)、話題となるタイミングも来日する機会も失ってしまい、例えば他の北欧ガレージ勢‥‥THE HIVESやCAESARSといったバンド程メディアで取り上げられる機会も少なく、来日に至っては前々作におけるツアー以来実現しておらず、かれこれ5年以上日本にやって来ていないことになります。確かに初期の頃のような破天荒なサウンドではなく、特にここ1〜2作はソウルやサザンロック辺りにも傾倒した方向性も取り入れているので、どうしてもパンキッシュなものを求める古いファンには辛いかもしれないし、また先に挙げたような他の北欧勢と比較しても地味で取っ付き難いという印象があるのかもしれません。が、一度ハマったら抜けられない、深い世界観はこの手のバンドの中でも一番じゃないかと個人的には思ってます。同じオルガンを使うにしても、CAESARSとTHE HELLACOPTERSとではその味付けが全く異なりますからね。ちなみに俺の好みは‥‥言うまでもないでしょ?

 今回のアルバムもメジャー移籍後の過去2作の延長線上にある作風で、特に地味過ぎた前作よりは派手さが復活しています。とはいっても、それは初期のような『MOTORHEADやMC5みたいなパンク路線』に戻ったわけではないのでお間違えなく。基本的には黒っぽいシンプルなロックンロールであり、所々にファストナンバーが挿入されていて良いアクセントになっています。1曲目の "Before The Fall" なんてまるで『THE HELLACOPTERS版 "Rock And Roll Music"』だし、5曲目の "Bring It On Home" はどことなく2ndや3rd辺りのファストナンバーにも通ずる色がありつつも、構築するアレンジそのものは今のTHE HELLACOPTERSなんですよね。ミドルナンバーは相変わらず哀愁漂う泣きメロ満載だし、とにかく無駄が一切ないんですよ。どの曲もコンパクトにまとまってるし、演奏にも無駄がない。そういった要素を全て削ぎ落としてより純度の高いロケンロールを目指している。それが今のTHE HELLACOPTERSなんでしょうね。勿論、初期の彼等が『純度が低かった』わけではないですよ。あれはまた違ったベクトルを持ったピュアなサウンドだったわけで、全てはその表現方法の違いなんですよね。

 タイトなリズムに小気味良いオルガンやピアノ、そして気持ちよいリフに暴れまくるギターソロ。男気溢れるボーカル‥‥まさかこの男が昔はデスメタルバンド(ENTOMBED)で曲を書きドラムを叩いてたなんて、誰も想像できないでしょうね。ま、そんなニッケは最近再びデスメタル・ユニットにてアルバム制作を画策中らいしですけどね。そっちも非常に気になるんだけど‥‥まずはTHE HELLACOPTERSで来日してくださいよ! マジで!! ライヴを観ればみんなも一発でノックアウトされるはずだから。だって彼等は『ロックンロールバンド』なんだからさ。



▼THE HELLACOPTERS『ROCK & ROLL IS DEAD.』
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2004年1月31日 (土)

THE HELLACOPTERS『PAYIN' THE DUES』(1997)

スウェーデンの暴走ロケンローバンド、THE HELLACOPTERSが1997年秋に発表したセカンドアルバム「PAYIN' THE DUES」。このアルバムで彼らは日本デビューしたのだけど(リリースは3ヶ月遅れて'98年1月)、当時は思った程話題にならなくてね‥‥雑誌での評判は良かったのに、何故か周りがね‥‥全然盛り上がらない。けど、それも半年以上経った頃には「噂のバンド」として一部のファンには知る人ぞ知る存在としてにわかに騒がれ始めてたんだよね‥‥HM/HR界だけの話だけど。

ファースト「SUPERSHITTY TO THE MAX!」から1年4ヶ月の間隔で発表されたこのセカンド。当時はボーカル&ギターのニッケが元々やってたデスメタル/暴走ロケンローバンド・ENTOMBEDも、そしてギター&ボーカルのドレゲンが在籍していたBACKYARD BABIESも表立った活動をしてなかった頃。だからこうやって短いスパンでアルバムを連発できたんだろうね。しかもこの頃はめちゃめちゃツアーとかしてたみたいだしね(憧れだったKISSの北欧ツアーの一部では、彼らがオープニングアクトを務めたことも!)。

で、そんな勢いある状態の中で作られたセカンドアルバム。悪いわけがない。思いのままに作り上げたファーストと違い、成長株のバンドがぶち当たるであろう『壁』を、普通は飛び越えるんだろうけどさ‥‥このバンドの場合、その壁をも力技でぶち壊して直進し続けたような作風の1枚に仕上がってます。しかも、ちゃんと考えられてるし‥‥そう、他のガレージ/暴走バンドにはないであろう「HELLACOPTERSなりの魅力」を、いよいよこの辺りから前面に打ち出し始めます。

所謂『北欧のバンド的な哀愁味漂う』メロディセンス。その後、これがこのバンド最大の武器となっていくのですが、ここではファーストにあった『気が触れたかのような爆音』と、後の『男臭い/男泣きメロディアス路線』との中間に位置する、所謂過渡期的な姿を見ることができます。ま、過渡期とかいいながらも、しっかりと高い完成度とオリジナリティを保っている辺りは、さすがと言わざるを得ないでしょう。『過渡期』っていうと言い方が悪いんだろうけど、少なくとも現在の彼らの持ち味が大好きだという人にとっては、やはりサードアルバム「GRANDE ROCK」以降の路線こそがHELLACOPTERSの魅力!と思っているのかもしれませんし、そういう人にとっては初期の2枚というのは「メロウだけどうるさすぎ!」と評価されてるかもしれないし‥‥

それとは逆に、「この暴走路線にメロウな歌が乗った初期の2枚こそ、HELLACOPTERSが最もHELLACOPTERSらしかった時代だ」と信じて疑わない人も多いのかもしれません。どちらにしろ、これは名盤だといっていいと思います。初期衝動をそのまま具体化してしまった「SUPERSHITTY TO THE MAX!」を更に数歩押し進めた作品。サウンド的にも洗練され、楽曲やメロディもスキルアップしている。何よりも10曲(日本盤は11曲)で30分に満たない(日本盤は30分ちょっと)というトータルランニングが、このアルバムの勢いを物語ってるんじゃないでしょうか? 全体的に似たトーンの楽曲で占められていることも、このアルバムが成功を収めた理由のひとつかもしれません。ファーストではスローというかミドルヘヴィ曲も幾つかあり、人によってはあれが苦手なんて声もあったので、そういう意味では「ただひたすら走る&攻める」セカンドは、正に「こういうのを待ってたんだよ!」と言わんばかりの1枚なのでしょう。俺はこのアルバムからHELLACOPTERSに入ったので(しかもファーストを聴いたのは、更に数ヶ月経った後だし)ファーストと比較することなく、まんま「うわぁ~っ、KISSのガレージパンク版だな!?」と思ったものです。が、何故か最初はそこまで良いと思えなくて‥‥あっという間に終わってしまうというのも「吟味する前に終わっちゃう」と勘違い甚だしい評価を下して、暫く聴かなくなっちゃったんですよね。更に初来日公演も、何故か気に入らなくてね‥‥結局、サードアルバム「GRANDE ROCK」を聴くまで、俺は彼らの『本当の魅力』に気づかずにいたという、ね。勿体ないことしてるな俺。

この曲も頭の "You Are Nothin" という如何にもKISSな1曲で心臓鷲掴みにされ、続く "Like No Other Man" という疾走ナンバーで失禁という、お決まりのコースでやられまくりなわけ。中盤も名曲 "Soulseller" があったり、ラストはちょっとテンポダウンして、ヘヴィな "Colapso Nervioso"、ジーン・シモンズ・ナンバー的な色合いを持つ "Psyched Out & Furious" で終わるというね(しかもエンディングはちょっとだけAC/DC的派手さを演出するという、ね!)。とにかく全曲ポップで哀愁感漂うメロディを持っていて、それが疾走すればする程哀愁感が増すという‥‥例えばTHIN LIZZY辺りと同質の魅力をHELLACOPTERSには感じるわけ。ホント、『男の中の男』バンドですよ彼らは。

'97年に本国でヒットを飛ばし、'98年に日本デビュー、同年秋には初来日をし、同じ頃にUKでもアルバムリリース。そして翌'99年秋にはとうとうアメリカに本格的進出を図るんですが、これがね、いきなり有名インディーズ・レーベル「Sub Pop Records」からのリリースだったんで、それまで彼らを無視していた連中が腰を抜かす程驚いたというね。ご存知の通り、NIRVANAやSOUNDGARDENといったシアトル系バンドを多く抱えていたことで有名なわけですが、そのレーベルから独自ジャケット&ボーナスディスクを付属した2枚組でこのアルバムをリリースしたのです。しかもボーナスディスクは8曲入りのライヴアルバム!(アナログ盤は9曲入り!!) 既に本国や日本ではサードが出た後だったこともあり、このライヴテイク自体はそのサードリリース後のツアーを収録したもの('99年5月のカナダ公演)。なので収録曲もファースト~サードの曲がメインとなっております。とにかくこれ聴いちゃうと、ライヴ観たことがない人は絶対に「あーライヴ観たい!」って悔しい思いをするはず。これからこのセカンドを買おうと思ってる人は、ボーナストラックが1曲入った日本盤よりも、この「Sub Pop」2枚組限定盤をオススメします。歌詞カードとか入ってないけど、スタジオ盤での意欲的な作風雨と、ライヴ盤ならではの臨場感溢れるサウンドの2種類‥‥正しく「一粒で二度美味しい」作品になってますからね! そして、このアルバムが気に入ったなら、間違いなくあなたはHELLACOPTERSのことが大好きになるはずだから、そのままサード、4作目‥‥という具合にドンドン聴きまくっていってください!



▼THE HELLACOPTERS『PAYIN' THE DUES』
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