2017/02/07

THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』(2000)

2015年末から本当にたくさんの、一時代を築き上げたアーティストたちの訃報が続いています。そんななか、つい数日前に元THE HELLACOPTERSのギタリスト、ロバート・ダールクヴィストが亡くなったことを知りました(ソースはこちら)。この名前だとなんとなくピンとこないけど、ロバート・ストリングスといえば「ああ!」と腑に落ちる方も多いのではないでしょうか。

ストリングスを生で観たのはたった1回きり、3度目にして結局最後の来日となってしまった2001年1月の渋谷CLUB QUATTRO公演(当時のレポートはこちら)。ちょうど4thアルバム『HIGH VISIBILITY』を携えて実施されたものでした。最前列で観たというのもあるけど、そのときの熱気や興奮は今でも昨日のことのように覚えています。

ドレゲン(BACKYARD BABIES)が在籍した初期2作にあったパンキッシュなガレージロック色からスピードを若干落とし、よりソウルフルな方向へと移行しはじめた3rdアルバム『GRANDE ROCK』(1999年)を経て、メジャーレーベルへと移籍して制作されたのが2000年リリースの『HIGH VISIBILITY』。作風的には『GRANDE ROCK』で表現した方向性をより突き詰めたもので、シングルカットもされた「Toys And Flavors」「No Song Unheard」で聴ける“エモみの強いブラックテイストのロックンロール”は初期とは異なる魅力に満ち溢れています。

かと思うと、適度な疾走感を持つ「Baby Borderline」「Sometimes I Don't Know」「I Wanna Touch」「Hurtin' Time」のような従来のアップチューンも豊富にあるし、壮大さが加わったことでオープニングにふさわしい1曲に仕上がった名曲「Hopeless Case Of A Kid In Denial」、70年代のKISSがよりソウルフルになったような「You're Too Good」「A Heart Without Home」(特に後者は、終盤にアップテンポに展開するアレンジがいかにもで最高すぎ)、どこか怪しげなフレーズ&メロディがクールな「No One's Gonna Do It For You」もある。『GRANDE ROCK』と同時期にリリースされたミニアルバム『DISSAPOINTMENT BLUES』という習作を経て、その個性を完全に確立させたのが『HIGH VISIBILITY』だったんだなと、本作以降のアルバムを聴くと改めて実感させられます。

初期2作を別モノとして捉えると、THE HELLACOPTERSのアルバムでもっとも好きなのがこの『HIGH VISIBILITY』。もちろんそれ以外のアルバムが本作よりも劣っているという意味ではありませんので、誤解なきよう。どのアルバムもそれぞれの良さがあって好きなのですが、個人的に作品が持つガレージロック度、ポップ度、ソウル度のバランス感が一番絶妙なのが本作なんじゃないかと思うのです。それに加えて、やはり2001年の来日公演が非常に思い出深いものになったことも大きな要因。きっとその後のアルバムでも来日が実現していたら、思い入れや感じ方も変わったのかもしれませんね。

ああ、もう一度ニッケとストリングスのステージ上での絡み、見たかったなぁ……。



▼THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』
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投稿: 2017 02 07 12:00 午後 [2000年の作品, Hellacopters, The, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
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投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer] | 固定リンク

2005/12/20

THE HELLACOPTERS『ROCK & ROLL IS DEAD.』(2005)

 スウェーデンが誇る爆走ロケンロールバンド、THE HELLACOPTERSの約3年振り、通算6作目となるオリジナルアルバムは、そのタイトル「ROCK & ROLL IS DEAD.」にドキリとさせられるものの、内容はどこを切り取ってもロックンロール以外の何ものでもない純度の高いサウンドが詰まった好盤に仕上がってます。もはや先の『爆走ロケンロール』なんて枕詞すら似合わないような、渋くて味わい深い枯れた音を鳴らすバンドへと変化(深化)してしまってますが、本質的な部分‥‥ニッケ・アンダーソンが持つポップでカッコいいシンプルなロケンロールという要素は何ひとつ変わってないわけで、後はもう聴き手の受け取り方次第なんですよね。

 日本盤リリースが本国よりもだいぶ遅れ(北欧及びヨーロッパでは既に5月にリリース済み、日本盤は何故か9月まで待たねばなりませんでした)、話題となるタイミングも来日する機会も失ってしまい、例えば他の北欧ガレージ勢‥‥THE HIVESやCAESARSといったバンド程メディアで取り上げられる機会も少なく、来日に至っては前々作におけるツアー以来実現しておらず、かれこれ5年以上日本にやって来ていないことになります。確かに初期の頃のような破天荒なサウンドではなく、特にここ1〜2作はソウルやサザンロック辺りにも傾倒した方向性も取り入れているので、どうしてもパンキッシュなものを求める古いファンには辛いかもしれないし、また先に挙げたような他の北欧勢と比較しても地味で取っ付き難いという印象があるのかもしれません。が、一度ハマったら抜けられない、深い世界観はこの手のバンドの中でも一番じゃないかと個人的には思ってます。同じオルガンを使うにしても、CAESARSとTHE HELLACOPTERSとではその味付けが全く異なりますからね。ちなみに俺の好みは‥‥言うまでもないでしょ?

 今回のアルバムもメジャー移籍後の過去2作の延長線上にある作風で、特に地味過ぎた前作よりは派手さが復活しています。とはいっても、それは初期のような『MOTORHEADやMC5みたいなパンク路線』に戻ったわけではないのでお間違えなく。基本的には黒っぽいシンプルなロックンロールであり、所々にファストナンバーが挿入されていて良いアクセントになっています。1曲目の "Before The Fall" なんてまるで『THE HELLACOPTERS版 "Rock And Roll Music"』だし、5曲目の "Bring It On Home" はどことなく2ndや3rd辺りのファストナンバーにも通ずる色がありつつも、構築するアレンジそのものは今のTHE HELLACOPTERSなんですよね。ミドルナンバーは相変わらず哀愁漂う泣きメロ満載だし、とにかく無駄が一切ないんですよ。どの曲もコンパクトにまとまってるし、演奏にも無駄がない。そういった要素を全て削ぎ落としてより純度の高いロケンロールを目指している。それが今のTHE HELLACOPTERSなんでしょうね。勿論、初期の彼等が『純度が低かった』わけではないですよ。あれはまた違ったベクトルを持ったピュアなサウンドだったわけで、全てはその表現方法の違いなんですよね。

 タイトなリズムに小気味良いオルガンやピアノ、そして気持ちよいリフに暴れまくるギターソロ。男気溢れるボーカル‥‥まさかこの男が昔はデスメタルバンド(ENTOMBED)で曲を書きドラムを叩いてたなんて、誰も想像できないでしょうね。ま、そんなニッケは最近再びデスメタル・ユニットにてアルバム制作を画策中らいしですけどね。そっちも非常に気になるんだけど‥‥まずはTHE HELLACOPTERSで来日してくださいよ! マジで!! ライヴを観ればみんなも一発でノックアウトされるはずだから。だって彼等は『ロックンロールバンド』なんだからさ。



▼THE HELLACOPTERS『ROCK & ROLL IS DEAD.』
(amazon:日本盤US盤US再発盤

投稿: 2005 12 20 12:32 午前 [2005年の作品, Hellacopters, The] | 固定リンク

2004/01/31

THE HELLACOPTERS『PAYIN' THE DUES』(1997)

スウェーデンの暴走ロケンローバンド、THE HELLACOPTERSが1997年秋に発表したセカンドアルバム「PAYIN' THE DUES」。このアルバムで彼らは日本デビューしたのだけど(リリースは3ヶ月遅れて'98年1月)、当時は思った程話題にならなくてね‥‥雑誌での評判は良かったのに、何故か周りがね‥‥全然盛り上がらない。けど、それも半年以上経った頃には「噂のバンド」として一部のファンには知る人ぞ知る存在としてにわかに騒がれ始めてたんだよね‥‥HM/HR界だけの話だけど。

ファースト「SUPERSHITTY TO THE MAX!」から1年4ヶ月の間隔で発表されたこのセカンド。当時はボーカル&ギターのニッケが元々やってたデスメタル/暴走ロケンローバンド・ENTOMBEDも、そしてギター&ボーカルのドレゲンが在籍していたBACKYARD BABIESも表立った活動をしてなかった頃。だからこうやって短いスパンでアルバムを連発できたんだろうね。しかもこの頃はめちゃめちゃツアーとかしてたみたいだしね(憧れだったKISSの北欧ツアーの一部では、彼らがオープニングアクトを務めたことも!)。

で、そんな勢いある状態の中で作られたセカンドアルバム。悪いわけがない。思いのままに作り上げたファーストと違い、成長株のバンドがぶち当たるであろう『壁』を、普通は飛び越えるんだろうけどさ‥‥このバンドの場合、その壁をも力技でぶち壊して直進し続けたような作風の1枚に仕上がってます。しかも、ちゃんと考えられてるし‥‥そう、他のガレージ/暴走バンドにはないであろう「HELLACOPTERSなりの魅力」を、いよいよこの辺りから前面に打ち出し始めます。

所謂『北欧のバンド的な哀愁味漂う』メロディセンス。その後、これがこのバンド最大の武器となっていくのですが、ここではファーストにあった『気が触れたかのような爆音』と、後の『男臭い/男泣きメロディアス路線』との中間に位置する、所謂過渡期的な姿を見ることができます。ま、過渡期とかいいながらも、しっかりと高い完成度とオリジナリティを保っている辺りは、さすがと言わざるを得ないでしょう。『過渡期』っていうと言い方が悪いんだろうけど、少なくとも現在の彼らの持ち味が大好きだという人にとっては、やはりサードアルバム「GRANDE ROCK」以降の路線こそがHELLACOPTERSの魅力!と思っているのかもしれませんし、そういう人にとっては初期の2枚というのは「メロウだけどうるさすぎ!」と評価されてるかもしれないし‥‥

それとは逆に、「この暴走路線にメロウな歌が乗った初期の2枚こそ、HELLACOPTERSが最もHELLACOPTERSらしかった時代だ」と信じて疑わない人も多いのかもしれません。どちらにしろ、これは名盤だといっていいと思います。初期衝動をそのまま具体化してしまった「SUPERSHITTY TO THE MAX!」を更に数歩押し進めた作品。サウンド的にも洗練され、楽曲やメロディもスキルアップしている。何よりも10曲(日本盤は11曲)で30分に満たない(日本盤は30分ちょっと)というトータルランニングが、このアルバムの勢いを物語ってるんじゃないでしょうか? 全体的に似たトーンの楽曲で占められていることも、このアルバムが成功を収めた理由のひとつかもしれません。ファーストではスローというかミドルヘヴィ曲も幾つかあり、人によってはあれが苦手なんて声もあったので、そういう意味では「ただひたすら走る&攻める」セカンドは、正に「こういうのを待ってたんだよ!」と言わんばかりの1枚なのでしょう。俺はこのアルバムからHELLACOPTERSに入ったので(しかもファーストを聴いたのは、更に数ヶ月経った後だし)ファーストと比較することなく、まんま「うわぁ~っ、KISSのガレージパンク版だな!?」と思ったものです。が、何故か最初はそこまで良いと思えなくて‥‥あっという間に終わってしまうというのも「吟味する前に終わっちゃう」と勘違い甚だしい評価を下して、暫く聴かなくなっちゃったんですよね。更に初来日公演も、何故か気に入らなくてね‥‥結局、サードアルバム「GRANDE ROCK」を聴くまで、俺は彼らの『本当の魅力』に気づかずにいたという、ね。勿体ないことしてるな俺。

この曲も頭の "You Are Nothin" という如何にもKISSな1曲で心臓鷲掴みにされ、続く "Like No Other Man" という疾走ナンバーで失禁という、お決まりのコースでやられまくりなわけ。中盤も名曲 "Soulseller" があったり、ラストはちょっとテンポダウンして、ヘヴィな "Colapso Nervioso"、ジーン・シモンズ・ナンバー的な色合いを持つ "Psyched Out & Furious" で終わるというね(しかもエンディングはちょっとだけAC/DC的派手さを演出するという、ね!)。とにかく全曲ポップで哀愁感漂うメロディを持っていて、それが疾走すればする程哀愁感が増すという‥‥例えばTHIN LIZZY辺りと同質の魅力をHELLACOPTERSには感じるわけ。ホント、『男の中の男』バンドですよ彼らは。

'97年に本国でヒットを飛ばし、'98年に日本デビュー、同年秋には初来日をし、同じ頃にUKでもアルバムリリース。そして翌'99年秋にはとうとうアメリカに本格的進出を図るんですが、これがね、いきなり有名インディーズ・レーベル「Sub Pop Records」からのリリースだったんで、それまで彼らを無視していた連中が腰を抜かす程驚いたというね。ご存知の通り、NIRVANAやSOUNDGARDENといったシアトル系バンドを多く抱えていたことで有名なわけですが、そのレーベルから独自ジャケット&ボーナスディスクを付属した2枚組でこのアルバムをリリースしたのです。しかもボーナスディスクは8曲入りのライヴアルバム!(アナログ盤は9曲入り!!) 既に本国や日本ではサードが出た後だったこともあり、このライヴテイク自体はそのサードリリース後のツアーを収録したもの('99年5月のカナダ公演)。なので収録曲もファースト~サードの曲がメインとなっております。とにかくこれ聴いちゃうと、ライヴ観たことがない人は絶対に「あーライヴ観たい!」って悔しい思いをするはず。これからこのセカンドを買おうと思ってる人は、ボーナストラックが1曲入った日本盤よりも、この「Sub Pop」2枚組限定盤をオススメします。歌詞カードとか入ってないけど、スタジオ盤での意欲的な作風雨と、ライヴ盤ならではの臨場感溢れるサウンドの2種類‥‥正しく「一粒で二度美味しい」作品になってますからね! そして、このアルバムが気に入ったなら、間違いなくあなたはHELLACOPTERSのことが大好きになるはずだから、そのままサード、4作目‥‥という具合にドンドン聴きまくっていってください!



▼THE HELLACOPTERS『PAYIN' THE DUES』
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投稿: 2004 01 31 04:20 午前 [1997年の作品, Hellacopters, The] | 固定リンク

2004/01/30

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(1996)

スウェーデンが誇る暴走ロックンロールバンド、THE HELLACOPTERSが'96年6月に本国でリリースした記念すべきファーストアルバム、「SUPERSHITTY TO THE MAX!」。メンバー全員が「HELLACOPTER」姓を名乗り、'60~'70年代のパンクやハードロック、'80~'90年代のガレージシーンに影響を受けた直球一筋なそのサウンドに、当時は誰もが驚いたことでしょう‥‥とか書いてますが、ここ日本に彼らが登場したのは'98年に入ってから。セカンドアルバム「PAYIN' THE DUES」と同時期('98年に入ってから)で、更に初来日となると同'98年10月、THE WiLDHEARTS来日公演のサポートとして初見参(当時のレポートがこちらで読めます)。それも「ワイハーのジンジャーお気に入りのバンド」としてHR/HM系雑誌で取り上げられたのが最初ですから‥‥ああ、その出だしから少し躓いていませんか?

ここで聴けるサウンドは、その後メジャー展開してからの「哀愁味溢れる北欧特有の潤ったメロディーを持った男臭いバンド」というイメージとはちょっと異なる、それこそ上に挙げたような傾向‥‥MC5やIGGY & THE STOOGES、MOTORHEAD、KISSといったバンドからの影響をストレートに表現した、ハードロック色が多少強めのサウンドに仕上がってます。しかも音が極端に太く、尚かつ歪みまくっている。後にHELLACOPTERSやBACKYARD BABIES(ここのドレゲンもセカンドリリース後までHELLACOPTERSに在籍、掛け持ちで活動してたのでした)やジンジャーが中心となって制作されたSUPERSHIT666のアルバムに近い印象を受けます。ま、プロデューサーとか全部一緒だし、似るのも当たり前というか。とにかく、必要以上にうるさい。そこがいいんですけどね。

もうね、アルバム1曲目 "(Gotta Get Some Action) Now!" イントロでの、ギター2本によるユニゾンプレイ。ここであまりのカッコ良さに失禁しそうになるのよ。ド頭からこれよ? 何、このカッコ良さ!? しかも間髪入れずに続く "24h Hell" なんてまんまMOTORHEADな疾走チューンだし。イントロのベースラインが "Ace Of Spades" かと思うと、曲調自体は "Overkill" を彷彿させるし。勿論、パクリとかそんな次元で終わってませんよ。ちゃんと「HELLACOPTERSらしく」仕上がってますから。そこが単なる「全員が同じ姓を名乗る、RAMONESの物真似バンド」的なその辺のB級バンドと違うところね。勿論、HELLACOPTERSを一流のバンドだとは思わないけど‥‥いや、ある意味一流か。こんなにうるさくてカッコいい暴走ロケンローを爆音でやらせたら天下一品だし。ホント凄い。

1分半くらいで終わる疾走チューンが何曲も続くかと思えば、メロウで渋いミドルチューン "Born Broke" みたいな曲もある。'70年代のKISSをラウドにしたような "How Could I Care" みたいなポップなメロディを持った曲もあるし、ヘヴィブルーズといえる "Spock In My Pocket" もある。ただ速くてうるさいだけのバンドじゃないことが、既にこのファーストの時点で証明されてるわけ。で、その辺の路線を追求し始めたのが、次作以降‥‥ま、その辺はまたの機会に。

それにしても‥‥本当にノイズやフィードバック音に溢れたアルバムだよね。彼らの全作品中、ここまで徹底的にやったアルバムはこれ1枚だけなんだよね。その後はどんどん洗練されていき、今ではその辺の「リバイバル・ロック」系や「リフロック」系と一緒に括られても全然違和感ないもんね。けどさ‥‥夕べ、同郷のTHE HIVESのアルバムを聴いてから、このHELLACOPTERSのファースト、「BY THE GRCE OF GOD」という3枚を続けて聴いたんだけど‥‥如何にこのHELLACOPTERSのファーストが異質かを思い知らされましたね。勿論、表面的に「ハードロックスタイルを持っている(このアルバムのシークレットトラックで、JUDAS PRIESTのコピーとかやってるしね。ってニッケ自身がこのバンドと同時にENTOMBEDというデスメタル/暴走ロックバンドやってたしね)」とか「ピアノ/エレピのメンバーがいる」といった特徴・ユニークさも挙げられるんだけど、もっと違う「何か」を強く感じるんですよ。じゃあその『違う「何か」』とはなんなのか?という話になりますが‥‥それは俺が言葉で説明するまでもなく、皆さんが実際にこのアルバムを聴いて判断してみてください。アルバム出だしの、"(Gotta Get Some Action) Now!" イントロでの、ギター2本によるユニゾンプレイ‥‥これを聴いた瞬間に体中に電気が走り回り、そして自ずと判ってくるはずですから‥‥



▼THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』
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投稿: 2004 01 30 04:16 午前 [1996年の作品, Hellacopters, The] | 固定リンク

2003/04/21

SUPER$HiT 666『SUPER$HiT 666』(2000)

もしあなたがロックンロール大好きっ子だったなら。そしてそんなロックンロールの中でも疾走感があってノイジーでそれでいてメロディアスでけど最終的には暴力的な、そんなロックンロールを求めているのなら、迷わずこのアルバムを手にすればいいと思います。この6曲入り、約18分に及ぶ爆音の嵐のようなミニアルバムを聴いても何も感じないのなら、きっとあなたは‥‥本当はロックンロールが好きじゃなかったんですよ。ええ、間違いなく。そんなセリフすら出てきてしまう程、とにかく凄いアルバム。

だってね、メンツがハンパじゃないもの。爆走ロックンロールに精通している人なら勿論このバンド(というかユニットですかね)のことはご存じでしょうけど、知らない人の為に紹介しておきますと‥‥ギター&ボーカルにジンジャー(THE WiLDHEARTS / SiLVER GiNGER 5)、同じくギター&ボーカルにドレゲン(BACKYARD BABIES / 初期のTHE HELLACOPTERSのメンバーとしても知られている)、ドラム&ボーカルにニッケ・ロイヤル(THE HELLACOPTERS)、そしてベースにトーマス・スコグスバーグ(BACKYARD BABIESやTHE HELLACOPTERS等を手掛ける、北欧爆走ロック界では有名なプロデューサー)‥‥この4人によって形成されているのが、このバンドSUPERSHIT 666。なんて馬鹿馬鹿しいバンド名だろう。「SHIT」に「SUPER」がついて、更に西洋では不吉な数字といわれる「666(獣の数字とか言ってたな)」まで付けるタチの悪さ。これほどバンド名と音とが一致してることも少ないよね。

元々はTHE WiLDHEARTSを解散したジンジャーが、ドレゲンと共に何かやろうってことになり、だったらニッケも誘おう、そしてどうせなら「ニッケがドラムを叩く姿を見たい」というリクエストから、ENTOMBED(ニッケが'90年代中盤まで在籍していたデスメタル・バンド。途中からTHE HELLACOPTERSをサイドバンドとして結成し、掛け持ちで活動していたが、後に脱退。その後ENTOMBEDは爆走系バンドへと進化していく)時代は素晴らしいドラマーだったことを我々に再認識させるいい切っ掛け作りとなったのでした‥‥こんなイージーな流れで結成され、ほんの短期間で録音され、まず'99年末に日英でリリースされたオムニバス盤「UP IN FLAMES」に"You Smell Canadian"が先行収録され、話題を呼び、'00年初頭にいよいよこのアルバムがリリースされました。

たった6曲しか入っていないと思うかもしれませんが、この6曲がもうメチャクチャ魅力的な曲ばかり。1曲目"Wire Out"の疾走感からしてググッとくるし、2曲目の"Fast One"なんてまんまMOTORHEADの "Overkill" だし(特にエンディングで、まんまのフレーズまで登場する程)、3曲目"Dangermind"はIGGY POPのSTOOGESを彷彿させるノリだし、先述の"You Smell Canadian"なんて、まんまジーン・シモンズが歌ってそうなKISSナンバーだし、後にBACKYARD BABIESによってセルフカバーされた"Star War Jr."もメロディが素晴らしい名曲中の名曲だし、最後の"Crank It Up!"はニューヨークの爆走バンドTHE RODSの爆走カバー。たった18分、アッという間なんだけど、異常に密度の濃い瞬間を味わうことができます。

基本的にはジンジャー、ドレゲン、ニッケの3人がそれぞれボーカルを取り、あるはツインボーカルだったりするんですが、ボーカル自体にかなりディストーション気味のエフェクトがかかっている為、コアなファン以外はなかなか区別がつかないかもしれませんが‥‥聴いてるうちにその違いが見えてくるはずです。ですのでここでは誰がどの曲を歌ってるという解説まではしません(単に俺が面倒なだけ/笑)。けど‥‥THE WiLDHEARTS、BACKYARD BABIES、THE HELLACOPTERSをそれぞれ聴いてきている人なら判るはず。

そうそう、ゲストコーラスで同じくBACKYARD BABIESからボーカルのニッケ・ボルグと、先頃再結成した3 COLOURS REDのクリス・マコーマック(WiLDHEATSのベース、ダニーの実弟)が参加してる点も、爆走系好きにはたまらない要素ではないでしょうか?(ま、一聴しただけでは、ホントにニッケとクリスが歌ってるのか判断出来ませんけどね)

ジンジャーに関して言えば、THE WiLDHEATSの1回目の解散('98年秋)から正式な再結成('01年春)までの数年間に、ソロやSiLVER GiNGER 5のようなバンドを結成して活動してきましたが、結局このSUPERSHIT666での仕事が一番優れた内容だったというのは、何だか皮肉というか‥‥ま、脇を固める(というか、ここではあくまでジンジャーが脇役なんですが)ニッケ・ロイヤルもドレゲンもクセの強いシンガー/ソングライターですからね。それが見事に化学反応を起こした成功例といえるでしょう。ジンジャー自身は今後もSUPERSHIT 666としてフルアルバムを作りたいという構想があるようですが、なかなか全員のスケジュールが揃わないのと、興味をそれ程持ってないメンバーがいる(苦笑)点等でなかなか上手くいかないようですね(だってグラマラスなハードロックを嫌うニッケがいるのに、ジンジャーは「ベースにニッキー・シックス(MOTLEY CRUE)を起用したい」とか宣ってるんだからさぁ)。ま、今後また新しい音源が聴けるようなことがあれば、それはそれで万々歳ですけどね!

たった6曲入り、20分にも満たない作品集なのに、2000年の10枚に選んでしまう程、このアルバムには「ロックの何たるか」が濃縮されて詰まってます。傑作。つうかこれ以上の解説はいいから、みんなCD屋に走りなってば!



▼SUPER$HiT 666『SUPER$HiT 666』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 04 21 04:57 午後 [2000年の作品, Backyard Babies, Ginger Wildheart, Hellacopters, The, Super$hit 666, Wildhearts, The] | 固定リンク

2003/01/31

THE HELLACOPTERS『BY THE GRACE OF GOD』(2002)

一昨年辺りから、「とみ宮」的に言うところの『リフ・ロック』が徐々にブレイクしていき、THE STROKES、THE HIVESといったバンドから、最近ではTHE DATSUNSまでブレイクしつつある状況下、何故かそういったバンドを好む人の中からこのバンドの名前が挙がることが少ないんですよね‥‥そう、それが今回紹介するTHE HELLACOPTERSです。あのね、HELLACOPTERSがいたからHIVESもDATSUNSも生まれたようなもんなのよ、大袈裟ではなくて。特にDATSUNSなんてHELLACOPTERSに対するリスペクトを口にしてるし、実際ツアーも一緒にやってるしね。

ここ日本ではまず最初にTHE WiLDHEARTSのジンジャーがお気に入りのバンドとして「BURRN!」で紹介され、しかもそのTHE WiLDHEARTSのラストツアー(再結成前の)でオープニングアクトとして初来日したことから、意外と『rockin'on』で紹介されるバンドをメインに聴いてる人達からは敬遠されているような感じですが、実はそういった雑誌を普段読んでる人達にこそもっと聴いて欲しいアルバムなんですよね、この「BY THE GRACE OF GOD」ってアルバムは。

先に挙げた『リフ・ロック』系のバンドを称して『爆走ロックンロール』と呼ぶことが多いと思いますが、その呼称は正にHELLACOPTERSの為に作られた言葉であり、実際彼等がここ日本で取り沙汰されるようになってから『爆走ロックンロール』って表現が浸透していったんじゃないかな‥‥と記憶してます。初期はそれこそMOTORHEADとIGGY & THE STOOGESを掛け合わせたかのようなパンキッシュで疾走感のあるガレージサウンドで我々を魅了していたわけですが、セカンド以降、徐々に彼等のルーツであるKISSやRAMONESといったバンドが持っていたメロディセンスやポピュラリティを表出していき、その集大成と呼べるような1枚がメジャーリリース第1弾となった前作「HIGH VISIBILITY」だったことは、ファンならご存じでしょう。

'02年9月に本国スウェーデンで、そして同年12月にようやくここ日本でもリリースされたこのアルバムは、メジャー配給では2枚目、通算5枚目(編集盤「CREAM OF THE CRAP! Vol.1」除く)のオリジナルアルバム。本国では同時期にリリースされたBON JOVIの新作「BOUNCE」を抑えて堂々の2位を記録する程の大人気振り。意外とその辺の情報はファン以外には知られていませんが、それだけ凄いバンドだってことですよ。

音楽的には、前作を更に押し進めたような、正に延長線上にある作品。なのだけど‥‥激渋な1枚となっております。初期の衝動性や激しさは影を潜め、KISSばりのメロディは更に磨きがかかり、前作辺りから表れ始めたソウルからの影響も更に色濃く出ています。

このバンドの強みは、激しいツインギターもさることながら、やはりピアノ/オルガンを取り入れている点でしょう。先に挙げたようなバンドは、ギター・オリエンテッドな、正しく『リフ・バンド』の称号そのままなのですが、HELLACOPTERSにはバックに流れるハモンドオルガンの音色、メロウな曲を更に盛り上げるピアノの音が加わることで、更に「男泣き」の世界を盛り上げています。今作中でも特に名曲との声も高い "Rainy Days Revisited" なんて、もう‥‥速いだけ、ウルサイだけじゃダメなんだよ、爆走ロックってのは。パンクの影響が色濃いバンドばかりがもてはやされる時代なのかどうかは知りませんが、俺的にはTHE MOONEY SUZUKIとかDATSUNS、そしてこのHELLACOPTERSみたいにソウルやR&B、ブルーズの影響を感じさせるバンドの方がより信頼できるんですよね(いや、それ以外のバンドが悪いとか劣るって意味ではなく、個人の感性の問題ですけどね)。

ファーストシングルにもなったタイトルチューン "By The Grace Of God" イントロのピアノリフを聴いた瞬間から鳥肌が立ち、更に哀愁のメロディに泣き、続くタイトな "All New Low"、ZOMBIES辺りを彷彿させる哀メロ具合抜群の "Down On Freestreet"、ただのパンクチューンでは終わってない辺りに個性を感じる疾走チューン "Better Than You"、サザンロック等のアメリカンな香り強い "Carry Me Home"、そして先の名曲 "Rainy Days Revisited"、前作の流れを引き継ぐ哀メロ疾走チューン "It's Good But It Just Ain't Right"、KISSみたいなイントロが異常にカッコイイ "U.Y.F.S."、カントリーウェスタンやソウル等の影響が伺える "On Time"、KISSの "C'mon And Love Me" のHELLACOPTERS版とも呼べるだろう "All I've Got"、HELLACOPTERSの王道タイプといえるだろう "Go Easy Now"、怪しい雰囲気を醸し出す疾走ガレージチューン "The Exorcist"、イントロのギターリフに悶絶しそうになる哀愁ロケンロー "Pride" ‥‥といった本編13曲だけでも捨て曲なしの名曲揃いなのに、そこに加えて日本盤は2曲のボーナストラック(ワイルドな疾走チューン "Big Guns" と初期を彷彿させる爆走チューン "Red Light")もボーナス以上の出来映えなので、これから買うなら迷わず日本盤をお買い求めください。だってEU盤はコピーコントロールCDだしさ。当サイト的には全くオススメ出来ません。

ボーナストラックの2曲が初期の彼等っぽい攻撃的な爆走ナンバーなので、これらが入ることで更にアルバムのバランスが良くなったような気がします(ま、人によっては蛇足と感じるかもしれませんが)。HIVESやDATSUNSのパンキッシュな面が好きな人にも十分アピールすると思うんですけどね。で、そういう面を求めてHELLACOPTERSのアルバムを手にしてみたら、いきなりメロウで哀愁感漂う「男の世界」に魅せられてしまう、という寸法ですよ。だから騙されたと思って買ってみてください。で、気に入ったら‥‥哀メロの世界感が気に入ったなら前作から遡って聴いていけばいいし、もっと攻撃的な面を知りたかったらファーストから順々に追っていくか、昨年春に出た初期のシングルのみに収録されていた曲を集めた編集盤「CREAM OF THE CRAP! Vol.1」を買ってみるか‥‥とにかく、選択の幅が広いバンドなんで、どこかで引っ掛かると思うんですよ。

もうね‥‥「何でもっとブレイクしないかなぁ、ここ日本で」と常々思ってたわけですよ。前作に伴う来日公演の時、もっと盛り上げておけばよかった‥‥とか今更後悔してますが、逆に今みたいな状況の方が多くの人達にアピールするんじゃないでしょうかね? もうね、今まで聴いてこなかった人、恥を知りなさい! 世の中には、まだまだ「すげぇいい音楽やってるのに、全然日本でブレイクできない」ネクストレベルのバンド達は山程いますからね‥‥それを、少しずつでもここで紹介できていけたらいいなぁ、そしてそれに反応してくれる人が少しでも増えてくれればいいなぁ、と願いつつ、来る来日公演(4月頃との噂)に備えて大プッシュしていきたいと思います。



▼THE HELLACOPTERS『BY THE GRACE OF GOD』
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投稿: 2003 01 31 04:23 午前 [2002年の作品, Hellacopters, The] | 固定リンク

2001/01/22

THE HELLACOPTERS JAPAN TOUR 2001@渋谷CLUB QUATRO(2001年1月14日)

いや~‥‥ホントに凄いライヴだった。新しいアイドルも発見してしまったし‥‥(笑)とにかく、いろんな意味で忘れられないライヴになった。

ご存じの通り(?)、前回HELLACOPTERSを観たのは初来日の'98年10月、WiLDHEARTSの前座でだった。その時とはギタリストが変わっているわけで(助っ人参戦のチャック・パウンダーから現在のロバート・ストリングスに、'99年の「GRANDE ROCK」ツアーから参加)、そういう意味では気持ちも新たに観れると思うのだが‥‥前回の印象があまり良くなかったから、今回も期待しない、普通はそうなるんだろうけど‥‥「GRANDE ROCK」「HIGH VISIBILITY」という2枚の傑作を引っ提げてのツアーだもん、期待するなという方がおかしい。この2枚を通過した事によって、俺の彼らに対する印象はかなり良くなっている。

また、俺自身がこの手の「爆走ロック」に対して更に興味を持つようになったのも、印象が変わった理由のひとつかもしれない。考えてみれば、あれから2年以上もの月日が経っているのだ。それに前回は前座という限られた条件の中でのライヴだった。2回目の来日('99年10月)のライヴではかなり素晴らしいステージングを繰り広げたと聞いている。だったら‥‥って事で、今回は自ら進んで行くことにしたのだった。

会場は渋谷クラブクアトロ。条件としては悪くないと思う。東京公演初日、しかも日曜日。今日は前座が付かないそうだ(前回は日本のマカロニが付いた)。つまり、どっぷり彼らに浸かる事が出来る。かなり期待して当日に望んだ事を今でもよく覚えている。前日、よく眠れなかったくらいだから‥‥

知人のご厚意により、17番という素晴らしすぎる整理番号で入場する事が出来、ロッカーに上着や荷物を入れた後にフロアへ。ドリンクに目もくれず、ステージ前へ。前回観た時、ボバ・フェット(キーボードやタンバリン担当)の大振りなアクションに目を奪われっぱなしだった事を思い出し、すかさず彼の前(ステージ向かって右側)へ。ほぼ1~2列目辺りをゲットし、開演まで1時間、じっとじっと我慢の子で待つ。BGMには‥‥古めかしいファンク調のロックが流れる。最近のバンドっぽい音だが、誰だったんだろう。ちょっと気になった。

ほぼ定刻通りにライヴはスタート。ローディーがバンドを紹介し、メンバーが続々とステージに登場。デカい。メンバー皆、かなりデカい。そうか、前回はブリッツの後方で観てたしな。ドラムのロバンは違った意味でデカいが(笑)。そういえば、この俺の目の前にいるイイ男は誰だ? 初めて見る顔だが‥‥そう、この男こそ前回から加入したロバート・ストリングスその人なのだった‥‥か、カッコいい‥‥マジでカッコいい‥‥ブロンドの長髪、まだ幼さの残る顔、かなりの長身、そしてレスポール(時にはファイヤーバードやフライングV。ってこの日はVは使ってなかったけど。ちなみに今回のニッケはレスポールJrではなく、白のグヤトーンだった)‥‥こ、こやつ、デキるな‥‥正に俺の理想ともいえる「ギターヒーロー」なのだった。

またこの男、アクションのひとつひとつもキマッてるのだ。ボーカル&ギターのニッケとの絡みも抜群だし、跪いて仰け反ってギターを弾かせたら今、世界でナンバー1だろう(爆)。ニッケが左利きな分、ふたりしてシンコペーションに合わせて体を左右に振ると、これが抜群にカッコイイ。KISSが"Duece"で見せるアクションに近いカッコよさがあるのだ。そういえばブリッツでもやってたっけ‥‥いや、イマイチ記憶に残ってない。それくらい真剣に見てなかったって事か(苦笑)。

最前列近くという事もあって、音はそれ程よくなかった。つうよりも、聞こえてくる音そのものがギターアンプ直の音なのだ。しかもボーカルも殆ど聞き取れない(翌日も見た人の話によると、後ろから見るとボーカルもよく聞き取れたそうだ)。いや、聞き取れなくても十分だった。もうニッケには目が行ってなかった‥‥気付けばストリングスばかりを追っていたのだ。ボバ目当てだったにも関わらず(そのボバは前よりも地味になっていた。いい意味でやる気なさそうなところがグーだったが)‥‥比率で言えば、ストリングス7:ニッケ1.5:ボバ1:その他(笑)0.5、といったところか?(かなり誇張されてるが)そのくらいカッコよかったんだよ、チミ~!

次から次へと繰り出す必殺ロケンローに悩殺されっぱなしで、曲順なんて覚えてないっつうの!(笑)あらためてセットリストを見てみると(Thanx to ユウゴさん)、あぁ、確かにやってたわ~って感じで、この曲順でCD-Rを作ってみて今それを聴きながらこのレポートを書いているのだけど‥‥アルバムの(特にここ2作の)完成されきった感のある音作りもいいが、ああいう荒々しい‥‥ファーストの頃みたいな‥‥爆音で聴く彼らも抜群にカッコイイなぁと改めて思った。そうそう、ブリッツではギターのミックスがメチャメチャで耳に不快感を与えるミックス、しかも何故かエレピの音がかなりデカかったんだ‥‥なんて事も今回のライヴを観ててふと思い出した程だ。

そういえばどなたですか、ライヴ中盤で‥‥俺の左隣あたりから「してぃ~すら~んぐ!」って叫んでた男性は?(笑)ちゃんと本編ラストにやってくれてたね? アンコール1発目では、最新作の1曲目"Hopeless Case Of A Kid In Denial"(超名曲!)をここに持ってくるか!?って感じで披露し、そのままラストになだれ込み、最後の最後で"(Gotta Get Some Action) Now!"~"Soulseller"という怒濤のエンディングに突き進む‥‥カッコよすぎ‥‥恍惚とはこういう事をいうのね‥‥ってくらいにイッたよ、俺‥‥果てたね、マジで。すっげー濃厚で激しいセックスを1時間半に渡って繰り広げた後、互いに同時にイッちゃうような至福の時を味わう事が出来た(何か俺にしてはすっげー例えだな?/笑)そのくらい、終わった後の充実度は高かった。

Stick最後にボバや憧れのストリングスべいべー(笑)とタッチし、満足しきった所へドラムのロバンがスティックを投げ始める。1本目は後ろの方へ、そして2本目は俺らの方目がけて投げてきた‥‥あ、何か取れそう‥‥そう思って掴んだら‥‥あれっ、何か掴んでるよ、俺‥‥そう、俺。取っちゃったのですよ、ロバンのドラムスティック!(爆)これはこの日の記念に、家宝として家に飾っておく事にする(右写真がそれ。ライヴでのハードヒットを物語っている折れそうな具合に男を感じさせる、マジで)。

それにしても‥‥本当に凄いライヴだった。WiLDHEARTSともマニックスとも違う、男の中の男のバンドによる、男らしいライヴ。あぁ、ロック好きでよかった‥‥6日前に観たCYBERNAUTSとは全くタイプが違うバンド/音楽性だが、こういう音楽に出会えるからロックって素晴らしいんだな、と帰りのバスの中でひとりジーンとしてしまった(半分寝ていたが/笑)。自分にとって大切なバンドがまたひとつ増えた‥‥単純にそんな気がした。ニッケは「夏のフェスでまた会おう!」と言ったらしいが、出来ればフジロックで戻ってきて欲しい。苗場の夕日をバックに"No Song Unhead"のような哀愁漂うメロディーを聴きたい。ROCKET FROM THE CRYPTがオーケーなんだから、HELLACOPTERSだって何ら問題ないはずだ。「BURRN!」でしか取り上げられる事がない(或いは他誌ではあまり取り上げられない)彼らだからこそ、もっと多くの人に聴いて欲しい。今はそんな気持ちでいっぱいだ。

一言で言って「ヤクザ映画を見終わった後の、ちょっとハードボイルドな感じ」。そんな気分を味わいたかったら、CD屋に行って「H」の棚を漁れ! ライヴに来い! 素直にそう言いたくなる、そんなライヴだった。既に今年のベストライヴ候補。文句なしにカッコいいっ!!


THE HELLACOPTERS @ SHIBUYA CLUB QUATRO. 1/14/2001
01. Sometimes I Don't Know
02. Disappointment Blues
03. Move Right Out Of Here
04. Baby Borderline
05. Toys And Flavors
06. Hey!
07. Born Broke
08. I Wanna Touch
09. The Devil Stole The Beat From The Lord
10. No Song Unhead
11. Like No Other Man
12. Paul Stanley
13. Envious
14. Random Riot
15. Psyched Out And Furious
16. Throw Away Heroes
17. You Are Nothin'
18. City Slang
[ENCORE]
19. Hopeless Case Of A Kid In Denial
20. Fake Baby
21. Hurtin' Time
22. (Gotta Get Some Action) Now!
23. Soulseller



▼THE HELLACOPTERS『HIGH VISIBILITY』
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投稿: 2001 01 22 04:30 午前 [2001年のライブ, Hellacopters, The] | 固定リンク

2001/01/14

THE WiLDHEARTS JAPAN TOUR 1998@赤坂BLITZ(1998年10月24日)

これで最後‥‥本当に最後なんでしょうか? 最初からそう信じていなかった為、チケットを取っていなかったんです。だけど、やっぱりどうしても見たい‥‥そう考えたら、いても経ってもいられなくなり、結局チケットを取りました。いよいよ、いや、本当に最後の彼らの勇姿です。

前回までの日本ツアーは、東京に関しては全公演追っかけたにもかかわらず、今回は3公演中の中日のみ。土曜日という事もあって選んだのだけど‥‥本当は初日が見たかった。デヴィン・タウンゼント率いるSTRAPPING YOUNG LADが前座だったしね。ところが2~3日目は、あのTHE HELLACOPTERSが前座につくという事で、それはそれで嬉しかったりして。セカンドアルバムしか聴いたことないけど、意外と好きなタイプのバンドだったので、PA卓前辺りを陣取って、ゆっくり観戦する事にしました。


◎THE HELLACOPTERS

この来日のちょっと前に、ギターのドレゲンが掛け持ちしているBACKYARD BABIESの活動に専念するという事で脱退(まぁ最初はHELLACOPTERSがサイドプロジェクトだったので、仕方ないといえば仕方ないけど)、残念ながら今回はサポートメンバー(正式加入するのか?)にギタリストとキーボーディストが参加してのライヴとなりました。

ライヴの内容的には先に聴いていたセカンドを中心に、知らない曲を多数連発‥‥ってファーストと、先頃発売されたミニアルバムの曲だろうけど‥‥で、多分10曲程度だったと思います。その割に長く感じたのは気のせい?

正直言って、それ程楽しめなかったな。音が悪かったというのもあるけど、やっぱりどうしても後で登場するWiLDHEARTSと比べてしまう。前回の来日の際にはHiBRiD CHiLDRENやSTRAWBERRY SLAUGHTERHOUSEという、比較的WiLDHEARTSに近いタイプのバンドだったこともあって楽しめたのだけど、このHELLACOPTERSはどうも別のルーツを持ったバンドのような気がする。いや、ルーツは一緒なのかもしれないけど、見せ方が違うというか。ワイハ系列のバンドはエンターテイメント性をある程度重視しているような気がするけど、ヘラの方はもっと職人的というか。中盤のジャムセッション的即興にその片鱗を伺わせたのだけど、なんか中だるみした感あり。

歌を大切にしてるのは伝わってくるのだけど(楽曲は非常にメロディアスだしね)、それを完璧に伝えるには、あのテンポの速さは必要なのかな?と疑問に思った。けど、逆に言えばあのハイテンションこそが彼らの真の持ち味なのかもしれないけど。今後、もっと「歌モノ」的楽曲を増やすような事があれば、きっと僕はもっと彼らにのめり込めるかもしれないけど、現時点では「数あるロックバンドの中のひとつ」に過ぎないな。


THE HELLACOPTERS @ AKASAKA BLITZ. 10/24/1998
01. You Are Nothin'
02. Fake Baby
03. Born Broke
04. Disappointment Blues
05. Riot On The Rocks
06. Hey!
07. Soulseller
08. (Gotta Get Some Action) Now!


◎THE WiLDHEARTS

やばい、とうとうその時がやってきた。客の前方への詰め寄り具合はHELLACOPTERSの時とは比較にならない。メンバーが登場する前から客が盛り上がってるのだよ!って僕もだけど。(笑)暗いステージ上にリッチ、ジェフ、ダニーが登場し、それぞれの楽器をセッティングして持ち場に立つ。最後にジンジャーが登場し‥‥ジャーンと一斉に音を出し、それに続くあのリフ‥‥"I Wanna Go Where The People GO"だ!! なんてことはないスタートなのだけど、それだけで十分だった。1年‥‥この1年は長すぎた。彼らの不在は長すぎたのだ、僕にとって。それを発散させるに十分な爆音。それを奏でる事が出来るのは、この4人しかいないのだ! 客を煽るように「ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!」と叫ぶダニー。当然、僕達も一緒に叫ぶ。サビの部分では見事なコールアンドレスポンス。これだよ、これ! 

エンディングから間髪入れずに、ジンジャーは"My Baby Is A Headfuck"のリフ&歌に突入。お約束の掛け声の後にジンジャー、「カワイー」と一言。(笑)多分、英国人特有の「Lovely」の訳を日本人スタッフに聞いたのだろう。前々回あたりからよく使ってるもんな。既にこの2曲で盛り上がりはピークに達しようとしていた。更に続けざまに"Nita Nitro"へ。ミドルテンポのこの曲に合わせて客は跳ねる跳ねる。勿論僕も跳ねる。合いの手を入れることも忘れずに。お約束と言えばそうだけど、やっぱりこれがなきゃ彼らのライヴなんて言えないよ、マジで。

この曲が終わって、小休止という感じでMCを。「ゲンキー?」とか色々知ってる日本語を連発するジンジャー。1日目は最悪だったけど、今日は最高のライヴにするとかそういうような事を言ってたような‥‥(ここでじゃなかったかな?)そして始まった曲は、それ程好きではない"Sick Of Drugs"。でもライヴで聴くと抜群にイイんだよなぁ~。イントロでの「オ~」の掛け声もバッチリ決まり、ジンジャーの歌‥‥やっぱり声、出てないや。(笑)そんなとこまでいつも通りじゃなくていいのに‥‥この曲をちゃんと唄いこなした姿、見たことないぞ?(苦笑)そういえば、何かこの曲辺りからジンジャーの機嫌が少しずつ悪くなってきたような‥‥理由は簡単。ギタートラブルだ。ギターの音が途切れたり、思った通りの音が出なかったり、といったところだろうか? とにかく最初の曲と比べれば雲泥の差?(いや、そこまで悪くはなかったか??)

「次の曲は、Mr.ダニー・マコーマックが唄うよ」というジンジャーのMCに続いて始まったのは、ラストアルバムとなってしまった「ENDLESS, NAMELESS」から"Anthem"。面白い事に、今回はアルバムとは違って生音(エフェクターを通さない音)だった事が影響して、シンプルでカッコいいロックナンバーと化していた。ダニーも原曲通りに歌えないキーが高そうなパートは、上手く節回しを変えて唄って、逆にカッコよさが増していた。ライヴバージョン、というかノン・エフェクト・バージョンの「ENDLESS, NAMELESS」、出せばいいのにね?

そのままバンドは大好きな"Everlone"に突入。カッコいい、本当にカッコいいのだ。この曲には彼らの魅力の全てが込められていると前から思っていたけど、今日1年振りのライヴを体験してそれを再確認しました。リフ、リフの嵐、疾走感、ポップなメロディ、心に残る三声コーラス、そしてエンディングでの重いパートでの重量感。かっ、カッコよすぎ‥‥何でこんなにカッコいいの?

ここで次の曲に‥‥と思っていたら、どうやら本当にギタートラブルらしい。音が出ない? すかさずにローディーが新しいレスポールを持ってくるものの、それもどうやらイマイチのようで‥‥結局"Suckepunch"に突入後、首からギターを外し、珍しい「ボーカリスト・ジンジャー」(ギター&ボーカルではなく/笑)の姿を見ることができた! シングルギターとなってしまって音が薄くなるかな?と心配したものの、ノイズまじりのディストーションギターとベキベキなベース音、そしてバカでかいドラムの音の中では、ギター1本足りなくてもそれ程気にはならなかった。どうしてもギターが2本必要という曲でもないしね。というわけで、珍しくスタンドマイクに両手をあてて客を煽りまくる正統派フロントマンっぽいジンジャーの姿を見ることができました。これはちょっと貴重かも?

ギターが再び戻ってきて、なんとか納得がいく音になったようで‥‥続いた曲は"Red Light - Green Light"。イントロのアカペラパートをジンジャーがひとりで唄い出し、バンドが突入。GREEN DAYみたいな疾走感溢れるバブルガムポップパンクといった感じで、どことなく懐かしさを感じさせる佳曲なのだけど、やっぱり僕はどうしても馴染めないんだよね‥‥こうやってライヴで聴く分には文句なしにカッコいいんだけど‥‥

そして「グッバイ」の言葉を残して始まったのは、お約束ともいえる"Love U Til I Don't"。やっぱカッコいい‥‥サビの「ウ~ラララ~ラ~」のコーラスも一緒に唄うし、聴いてる分にも気持ちいい。気付いたら僕、真ん中辺にいたにも関わらず、前のブロックに突入してたよ!(爆)エンディングでは正にカオスとでも言えるだろうノイズの嵐。そしてメンバーをステージを後に‥‥ここで本編終了。時間にして50分くらい? 判んない、時計なんて見てなかったし。とにかく息をもさせない位に白熱のステージだったよ。これまで彼らのライヴにがっかりさせられた事は一度もなかったけど(例えジンジャーの声が全く出ていない日でも、それを補うコーラスワークがあったし、それ以上にジンジャーの気迫みたいなものをヒシヒシと感じられてたし)、今日も素晴らしい‥‥いや、本当に素晴らしいんだってば!(後で聞いた話によると、3日間の中ではこの日が一番安心して見てられたようだ)

アンコールを求める声もいつも以上だった。そしてすぐに彼らはステージに戻ってきて、とてもリラックス雰囲気を漂わせていた。本編よりも肩の力が抜けたような感じ? そして始めた曲は"Mindslide"! 確か日本初登場でしょう! アルバム未収録のカップリング曲だけど、まさかこんなところで聴けるとは‥‥ジンジャーが歌い出し「Every time, Iget to thinking my patience is shrinking, it's‥‥」と唄うと、続いて僕達がデカい声で「Mindslide!」と答える。この声の大きさに驚いたジンジャー。満面の笑みを見せ、メンバー同士顔を見合わせてまたニヤニヤ♪ そしてもう一回同じパートを繰り返す。勿論僕らも更にデカい声でレスポンス。またニヤニヤ。(笑)お気に召したようで♪ 3回目はちゃんと演奏に突入しました。本当、彼らには捨て曲というものがない。逆にA面曲よりもカップリング曲の方がよかったりする事もしばしばだしね。

続いて、またカップリング曲である名曲中の名曲"29x The Pain"に。やっぱりいつ聴いてもいい曲だわ、ホント。ラストのカート・コバーンとかリッチー・ジェームズとか唄うところを「I miss you Japan」と変えて唄って、ホロッとされられたよ。(笑)

続けざまに"Weekend"を唄い出すジンジャー。前の曲と同系統だけど、やっぱりイイもんはイイのである!! ギターソロ後のブレイクパートでは「At the weekend, baby baby, at the weekend~」と絶叫する観客(含僕/笑)‥‥初来日を思い出すなぁ‥‥ジンジャーの髪型はドレッドに変わったものの(笑)、声が出てないのはあの頃と変わらず。(爆)

何やらジンジャーがマイクでしゃべる。何かHONEYCRACKとか言ってたような‥‥気のせいかな? 誰かのカヴァーらしいけど、あんまりいい曲だなとは思わなかった。誰の曲なんだろう?(後にJILTED JOHNというアーティスト?バンド?の曲だと判明)ベースラインだけが印象に残って、いまいちメロディは心に残りませんでした、マル。

更にアンコールは続く。ジンジャーがあの印象的なアルペジオを奏でる。そうそう、この曲から彼らは始まったんだ。ファーストEPの1曲目、"Nothing Ever Changes But The Shoes"。イントロのヘヴィパートでは客から「オイ、オイ!」の叫び声があがる。そして疾走パートへと‥‥この切り替わる瞬間がカッコイイのだ! ほんっとーにカッコよすぎ!! ジンジャーの喉は既に限界なんだろうけど、そんなこたぁ構わねぇ!ってな気迫で唄う。僕の中ではアクセル・ローズ以降に現れたフロントマンの中で一番の存在であるジンジャー。やっぱりカッコいいよ、マジで。最後に再びヘヴィパートに突入。リフの応酬。ギター2本とベースとドラムがひとつの音の塊となって僕らの頭を殴りつける、そんな音圧を感じる瞬間だった。

再び彼らはステージを去り、アンコールを求める手拍子&フットスタンプ。するとメンバーが走ってステージに現れ、素早く楽器を持ち、アッという間にジャーンと音を出す‥‥そのワンコードの後、メンバーは固まったまま、身動きもせず。そしてドラムロールが‥‥あっ、"Caffeine Bomb"だっ!!!!! すっげーカッチョいい!!!!!(笑)こんなに疾走感溢れる曲なのに、キメのパートは絶対に外さない、息のあった4人。この4人でステージに立つのもあと1日。だけど僕にとっては今日が最後なのだ‥‥けど、そんな事忘れて暴れる、暴れる! 2分ちょっとの曲はあっという間に終わり、彼らはステージを去った。ジンジャーは最後に「See you next time!」という言葉を残したものの、この4人での「next time」はもう僕にはない‥‥再び再結成しない限りは。

客電で明るくなった会場内。終演を告げるアナウンス。だけど誰一人その場を動こうとはしない。勿論僕も。僕らは張り裂けんばかりの大きな声で「Don't worry 'bout me, don't worry 'bout me, I feel alright, don't worry 'bout me」と唄う。何度でも、何度でも。そして何分も。結局10分以上経っただろうか、とうとうその声は聞こえなくなった‥‥
('98.11.26.)


こうして僕にとっての、最後のWiLDHEARTS公演は終わったけど、あれから2年以上経った今でも、僕の中ではあの4人の記憶は鮮明に残っている。今回、たまたま「とみぃの宮殿」開設前に書きかけていたライヴレポートを発見した事を切っ掛けに「完成させよう、完結させよう」と思ったわけだが、完結したからといって、僕の中での彼らに対する想いが終わってしまう訳ではない。観れなくなってしまったからこそ、更にその想いは増すばかり。

結局彼らは'99年8月に、たった一度の再結成をここ日本で果たしているけど、僕は観れなかった。いや、観なくてもよかったのかもしれない。そりゃ観たかったけどさ‥‥ここでレビューした日がとても良い出来だっただけに、今後のジンジャー、ダニー、リッチ、ジェフの4人には是非それぞれの活動で、この1998年10月24日の公演を越えるようなライヴを実現させて欲しい。残念ながら先日観たジンジャーのライヴは平均的内容だった。ダニー率いるTHE YO-YO'Sもまずまずの出来だったらしいが、やっぱり誰もがまだWiLDHEARTSを越えられずにいる。まだあれから2年。彼らが本当の意味で成熟し、それを越えていくにはもうちょと時間が必要みたいだ。

‥‥だけどね、いつでもまたWiLDHEARTSとして戻ってきてもいいんだよ?(笑)それはそれで大歓迎だ。でも、その時は富士急での再結成みたいな懐メロメドレーではなく、ちゃんとした新作を引っ提げて戻ってきてね?(笑)


THE WiLDHEARTS @ AKASAKA BLITZ. 10/24/1998
01. I Wanna Go Where The People Go
02. My Baby Is A Headfuck
03. Nita Nitro
04. Sick Of Drugs
05. Anthem
06. Everlone
07. Suckepunch
08. Red Light - Green Light
09. Love U Til I Don't
 [ENCORE]
10. Mindslide
11. 29x The Pain
12. Weekend
13. Gordon Is A Moron (Cover of JILTED JOHN)
14. Nothing Ever Changes But The Shoes
 [ENCORE]
15. Caffeine Bomb



▼THE WiLDHEARTS『TOKYO SUITS ME』
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投稿: 2001 01 14 06:54 午後 [1998年のライブ, Ginger Wildheart, Hellacopters, The, Wildhearts, The] | 固定リンク