2017/08/16

HELMET『MEANTIME』(1992)

HELMETが1992年初夏に発表した2ndアルバムにして、メジャーデビュー作。本作でこのバンドはブレイクしたと言っても過言ではありませんが、そのブレイクの裏側には2つの大きな要因が隠されていました。

ひとつは、彼らも以前から属していたインディロック村から飛び出した、グランジシーンの本格ブレイク。NIRVANAを筆頭に、ハードなギターとパンキッシュなバンドアレンジを施したサウンドが一世を風靡し、メディアは“第二のNIRVANA”を見つけようと躍起になっていた時期でした。

そしてもうひとつは、グランジが駆逐したメタル村からの新たな動き。前年の1991年、METALLICAがそれまでのスラッシュメタルサウンドを捨ててスローでヘヴィなサウンドを軸にした5thアルバム『METALLICA』を発表し、翌1992年初頭にPANTERAがそこにグルーヴ感を加えた傑作『VULGAR DISPLAY OF POWER』をリリース。この2作以降、メタル村では同作とグランジを下地に新たな道を模索し始めます。

そんな絶妙なタイミングに発表されたのが、このHELMETのアルバム『MEANTIME』でした。本作には上記2つの要素がすべて含まれており、かつ作為か感じられないナチュラルな作風だった。しかも、全体に漂う知的さも功を奏し、ネクストブレイクが期待されるバンドとして各メディアで紹介されるようになりました。

かのスティーヴ・アルビニが録音し、NIRVANA『NEVERMIND』を手がけたアンディ・ウォレスがミックスしたオープニング曲「In The Meantime」、ザクザクしたギターリフとキャッチーな歌メロが気持ちよい「Unsung」を筆頭に、聴き応えのあるナンバーばかり。のちにBATTLESを結成するジョン・ステニアー(Dr)のカンカン鳴るスネアも特徴的で、ギターやベースとシンクロするプレイはその後の片鱗を感じさせます。

また、ペイジ・ハミルトン(Vo, G)による時にがなり、時にメロウに歌うボーカルスタイルもオルタナロックともハードコアとも受け取れるもので、幅広い層から支持される要因に。ギターにしてもソロを強調するよりもリフに次ぐリフの応酬で、ギターサウンドそのものを音の塊として提供する姿勢が感じられます。そこもPANTERA以降のメタル村から受け入れられた要素だったように思います。

結局チャート的には全米68位、50万枚止まりで大きなヒットにはつながりませんでしたが、HELMETの登場は確実にその後のヘヴィ/ラウドシーンに一石を投じたはず。グランジ側にしろメタル側にしろ、当時を振り返る際に忘れてはならない1枚です。



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投稿: 2017 08 16 12:00 午前 [1992年の作品, Helmet] | 固定リンク

2006/09/22

HELMET『MONOCHROME』(2006)

 ペイジ・ハミルトン率いるHELMETの、再結成第2弾アルバム「MONOCHROME」が7月にアメリカで発売になりました。復帰1作目「SIZE MATTERS」は解散前と同じく「Interscope」からのリリースでしたが、さすがに売れなかったためか(アメリカで最高位120位だったそうな)今回から「Warcon Records」というインディレーベルからの発表となります。

 またメジャー→インディという変化のみならず、前作に参加していた凄腕ドラマー、ジョン・テンペスタも脱退。さらに前作レコーディング後に加入したフランク・ベロ(当時ANTHRAXを脱退したばかり)までもがANTHRAX再加入のために脱退。結局ペイジとクリス・トレイナーの2人になってしまったのでした。が、新たにマイク・ジョスト(Dr)が加わり、クリスがベースを弾く形でトリオ編成でレコーディング。後に新ベーシストも加入し、現在は4人編成で活動しているようです。実際、このアルバムを発表後に、かの「Warped Tour」にヘッドライナーとして参加しています。

 さて、肝心の内容ですが……一応「原点回帰」と謳われているようですね。原点、つまりアルバムでいうと1st「STRAP IT ON」や2nd「MEANTIME」辺りを思い浮かべるわけですが、実際にその辺に狙いを絞って作られているようです。が、実際に出来上がった作品は、どちらかというと前作やその前の「AFTERTASTE」に近いノリかな、と。最初聴いたときは前作以上に肩すかしを食らったような気がしたけど、2曲目、3曲目と進むうちに「……あれ、これ意外といいじゃん。」って感じられて、7曲目の "Gone"(これが先行シングル)で「うぉーっ、これこれ!これがHELMETよ!」と小さくガッツポーズを取るという。9曲目 "Howl" みたいなギターインスト(変態ノイズともいう)を挟みつつ登場する "410" とか、とにかくヘヴィなHELMETという意味では目的を達成できてるかな、と。

 まぁ今更初期の名盤と比較するのも間違いなのかもしれないけど……一度「BETTY」や「AFTERTASTE」のようなアルバムを通過してしまったらね、同じものを作ろうと思っても決して同じにはならないわけで。勿論成長だったり時間の経過だったりメンバーが当時とは違うという要素も大きいけどさ。でもね、どうせなら前進してほしいじゃないの、ねぇ?

 もはや彼らに「時代の牽引者」になってほしいとは思わないし、新しいことにチャレンジしてもらいたいとも思わない。ただ、過去の名声に頼ることなく、好きなことを好き放題さってくれれば、俺はそれでいいよ。ペイジ・ハミルトンが曲書いて歌っていれば、間違いなくそれは「HELMET」なんだということが、この新作で再確認できたわけだからさ。

 俺は好きよ、このアルバム。前作以上に聴き込みそうだね。前作のレビューでも書いたけど、とにかく早くライブ観せろや!ってことですよ(むしろあれから2年経っても実現してないっていうのがおかしい!!)。



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投稿: 2006 09 22 12:10 午前 [2006年の作品, Helmet] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/27

HELMET『SIZE MATTERS』(2004)

 HELMETが7年振りに復活して今年新作をリリースしたんですね。まぁその予兆はなんとなくあったし、今年に入ってベスト盤もリリースされてたし、つうかいい加減ペイジ・ハミルトンには何か動いて欲しいなと思ってたんで、これはとにかく嬉しかったな、と。

 しかもメンツがね。リズム隊が凄いことになっちゃってて。ジョン・テンペスタ(元WHITE ZOMBIEのDr)とフランク・ベロ(元ANTHRAXのBa。但し新作レコーディングには不参加)ですからね。思いっきりヘヴィでスラッシーな作品を期待しちゃうじゃないですか、そんなメンツを聞かされたら。

 ところが。いざ出来上がった新作「SIZE MATTERS」は7年前の全作「AFTERTASTE」の延長線上にある作風で、最初聴いた時は肩すかしを食らいましたね。お前は7年待たせてこれかと。7年間何やってたんだと。ホント胸ぐら掴んで小一時間説教したい心境ですよ。

 が。これが聴き込んでいくうちに、どんどんと耳に馴染んで、かなり良い作品なんじゃないかと思えてきたんですよね。まぁ聴き慣れたってのもあるし、元々俺が前作を含むHELMETの作品が大好きだというのも影響してるんでしょう。けど、これは普通に考えてもレベルの高いアルバムだと思いませんか?

 そりゃね、これを2004年の今やる意味があるのかどうかは正直疑問ですし、「これが少なくとも2000年までにリリースされてたなら‥‥」とも思いますよ。初期の2枚を名盤だと呼ぶ連中からは「意味のない再結成」とか「解散前以下じゃん」と囁かれているのも知ってます。

 けど。俺はこれを支持したい。ここから始まり、そして続いていくことを信じたいですね。とにかくライヴ見せろと。話はそれからですよ。



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投稿: 2004 11 27 12:28 午前 [2004年の作品, Helmet] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック