2003/08/16

Hermann H. & The Pacemakers『PINKIE'S ROCK SHOW』(2002)

  Hermann H. & The Pacemakersが'02年9月にリリースした、セカンド・フルアルバム「PINKIE'S ROCK SHOW」。このバンドを知ったのは2~3年前、多分HANOI ROCKSの国内トリビュート・アルバムでだったと記憶してます。いや、名前自体はその前から知ってたのかな、んで音を初めて聴いたのがこのトリビュートでのカバーで。勿論単なるカバーなのでそれだけで「こういうバンド」という風には判断しなかったわけだけど‥‥何故かピンと来なかったのね、残念ながら。で、その後も聴く機会が殆どなかったんだけど‥‥昨年春~夏にリリースされた2枚のシングル、"ROCK IT NOW!"と"アクション"。この2曲を有線で聴いてやられちゃったわけですよ。ホント、いい曲だもんね。で、この2曲が入ってるならって感じでアルバム買ったんだけど‥‥どういうわけか、買った当時は数回聴いたと思うんだけど、全然印象に残ってなくて。ところが、この春に某イベントで彼等を初めて生で観る機会を得て、改めて彼等の音楽性に惹かれ、帰宅後このアルバムを引っ張り出したら‥‥何だよ、全然いいじゃないかよ! メッチャ好きなタイプの音なんですけど。CD買い過ぎだね、マジで。こうやってちゃんと聴かずに通り過ぎちゃった音、もっと沢山あるんだろうなぁ‥‥

  というわけで、ヘルマン。見た目の派手さ(普通に考えれば無駄なメンバー構成とか。ま、全然アリですけどね)とは相反するような、意外と地味目なサウンドなんだよね。ギターロックかと思うとそうでもなく、もっとこう‥‥'80年代前半に聴いたような懐かしさ‥‥'80年前後のエルヴィス・コステロ(当然THE ATTRACTIONS時代ね)や初期XTCとかTALKING HEADS経由のニューウェーブっぽい色を持ってるんだよね。ま、シンセの音色とかちょっとしたアレンジからそう感じるんだろうけど(特にストレートなアッパー系が正にそれ)、これがね、俺的には思いっきり直球でして。とかいって特に初期XTCに影響を受けているかというとそうでもなく、'80年代中~後期以降の彼等をリアルタイムで通過してるんでそっちの方が思い入れ強いんですよね。ま、それはまた今度別項で話すとして‥‥

  こういう音をプロデュースするのってどういう人なんだろう?と思ってクレジットに目をやると‥‥ああ、成る程。Dr.Kyon(元ボ・ガンボス)の仕事なのか、これ。何か納得できる人選だなぁ。パンク経由というよりも、そこから派生したニューウェーブ経由でパンクをかじったかのような音、というか。例えばこれを俺と同年代、あるいは俺よりも4~5歳上の人達がやってたなら納得出来る音なんだよね。つうかいたもん、'80年代にこういうことをやろうとしてたバンド。けど問題は、これを(恐らく)20代半ばの奴らがやってるってことでしょう。しかもプロフィールとか見ると『はっぴいえんどやHM/HR等に影響を受け~』なんて書いてあるし。ますます正体が掴めないバンドだな、こいつら。

  でね、そういった'80年代初期のニューウェーブ経由といいながらも、それらの焼き直しに決して終わらず、むしろヘルマン風と呼んでも差し支えない「自己流サウンド」として成り立ってるんだもん。上に挙げたようなバンドの要素を感じるものの、決して似てるとかパクッてるわけではなく、余所を見渡すと他にはないようなオリジナリティを確立してると思うんだわ、彼等。その辺が好感持てるポイントであり、俺がこのアルバムを(今になって)何度も聴き返すことになった理由なのね。変にインディーっぽさに拘るわけでもなく適度にメジャー感も備え、派手そうなのに実は渋い、みたいな。小さくまとまってるなんて見方もあるだろうけど、いやいや、このバンドはまだまだこれからでしょう?

  ‥‥とか思ってたら、昨年末(だったか今年の頭?)にギターが脱退してしまい、バンドとしても非常に窮地に陥ってたわけですが、3月に観たライヴではギター1本で何とか持ち堪えていた印象が。初めて観た俺からすれば十分に楽しめた内容だったものの、古くからのファンにすればやはり少々物足りないものだったようで(ま、その辺は人それぞれでしょうから、一概に悪かったとは言い切れないでしょうけどね)。先日リリースされたミニアルバムも楽曲のパワーで乗り切ってる感が強かったので、このまま更に突き進んで「よりヘルマンらしい」サウンドを確立していって欲しいものですね。またライヴ観たいです、マジで。



▼Hermann H. & The Pacemakers『PINKIE'S ROCK SHOW』
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投稿: 2003 08 16 12:00 午前 [2002年の作品, Hermann H. & The Pacemakers] | 固定リンク

2003/03/24

「fuzz maniax」@SHIBUYA-AX(2003年3月22日)

  昨年12月にも参加した同イベントに今回も行ってきました。前回はピーズ目当てだったわけですが、今回はthe pillowsが一番のお目当て。2月に観た単独ライヴが素晴らしくて、もう一度観たくなって急遽取った今回のチケット。更に前々から興味があったHermann H. & The PacemakersやBAZRA、スネオヘアーといったアーティストも出演。前回よりも興味をそそるメンツなだけに、一体どんな客層になるのか想像できませんでした。

  開演時間ギリギリに会場入りしたんですが‥‥前回はスカスカの入りだった記憶があったんですが、今回はスタート時点で既に大入り。とりあえず真ん中より前の方へ移動して、BAZRAを楽しむことにしました。


◎BAZRA

  北海道のバンド、トリオ‥‥去年の今頃はその程度の知識しかなかった自分だったけど、その後「FACTORY」に出た時の映像を観たりCD買ったりで何となく全体像は掴めた感じだったんですが‥‥どうもライヴ映像と音源との間に違和感を感じていたんですね。どっちがより優れてるとか劣ってるとか、そういった次元の話ではなくて‥‥けど、この日のライヴを観て実感しました。このバンドは絶対にライヴを先に観るべきバンドだ、と。とにかく上手い。ボーカルの声量・迫力・説得力、どれを取っても納得いくし、更にギターもかなりの腕前。必要以上に歪ませず、どっちかっていうとスカスカな部類に入るんだけど、ベースがかなり動き回るフレージングなので、逆にそういう音質の方がバンドに合ってるのね。アンサンブルはかなり考えられてると思ったし、曲もよく出来てるし、演奏力もしっかりしてる。うん、こりゃ確かにいろんな人がオススメするわけだわ。

  帰宅して改めてCDを聴き直したんだけど‥‥曲はいいはずなのに、やっぱりライヴでのあの「ノリ」を完全に再現しきれてないように思うわ。この際、ライヴアルバムとか1枚作ってみてはどうでしょうか? 単独で一度じっくり観てみたいバンドのひとつですね。あとは野外。そう、絶対に野外向き。それこそ苗場とかエゾみたいなフェスで観てみたいバンドだと思いますね。


◎ART-SCHOOL

  実はかなり苦手なバンド。そもそも、昨年のフジロックで深夜、彼等がニューカマーテントで演奏してたわけですが‥‥ギターのチューニングは狂ってるわ、歌のピッチはずれてるわで‥‥安眠妨害されたってのがずっと俺の中に残ってる訳ですよ。

  で、この日のライヴは‥‥演奏そのものは独特な、このバンド特有のノリってのが既に存在してるんだけど、歌に関しては‥‥正直、今の俺には必要ないかな、と。いや、今の若い子達にとっては彼等が救世主的存在なのか、あるいは新たなるカリスマ誕生なのかもしれないけど‥‥別に安眠妨害を根に持ってるわけじゃないけど(いや、多少はあるけど)、やっぱり自分には必要ないバンド。それ以上でもそれ以下でもなく。ファンの人には悪いけど、多分今後も進んでCD買ったりライヴに足を運んだりはしないと思う。ちょっと前までは気になる存在だったんだけど、出してる音とメッセージとメディアの取り上げ方全てが、今の自分には違和感があるんですよ‥‥申し訳ない。


◎スネオヘアー

  アーティスト名やソロユニットだというのは知ってる程度で、実は音を聴くのも今回が初めて。ジャケットのイメージがあるんでキワモノ的なのかと思いきや‥‥ちょっとそんな感じかも‥‥いや、いい意味でね。つうか完全なるエンターテイメントとして演じきってる(あるいは完全に地)って意味で、前のバンドと非常に好対照でしたね。そうそう、今の俺にとって必要なのは、こういう音なのよ。

  音楽的にはギターポップというか、かなりパワーポップ色の強いバンドサウンド。もっとクセのあるボーカルかと思ってたけど、生理的嫌悪感を感じるようなものではなく、むしろ個性的の範疇に入る程度なので全然ノー問題。むしろ積極的に聴いていきたい感じ。いや、かなり気に入った。後でCDちゃんと買います。

  曲が良い、言葉がしっかり聴き手に届く、バンド自体もしっかりしてる(ギターの人は椎名林檎の元夫という話ですがホント? → ゴメンナサイ間違いでした。ベースのイワイエイキチ氏が林檎のサポートメンバーだったそうです)、そして話芸(MC)もしっかりしてる。完全なる芸人体質なんでしょうね。いや、俺はこういう人大好きなんで。また観たいなぁと素直に思いました(ここまでの流れで、何となく最近の俺の傾向が伺えるんじゃないでしょうか?)。


◎ストレイテナー

  ゴメン‥‥前回観てるんで、今回はいいか、と思ってフロアから出て、ロビーでダベッてました。ま、その合間にモニターに映った映像はチラリと観てたわけですが‥‥もの凄い盛り上がりでしたね。前回もまずまずだったんですが、今回はあの数倍の盛り上がり。今日会場に来た客層にフィットしたってことでしょうか?


◎Hermann H. & The Pacemakers

  ヘルマンはずっとライヴを観てみたいバンドだったんだけど、なかなか切っ掛けがなくて、今回やっと初めて観ることが出来ました。が、今年に入ってまずギターの人が脱退してしまい、ちょっとどうなの?って状況に陥ってたようですが‥‥確かにアルバムで聴くよりもギターの音が薄く感じましたが(ツインギターからシングルギターバンドになっちゃったわけだしね)、それでもこのバンドは5人もいるんだから‥‥それまでが多すぎるくらいだったんだし、どうにかなるんじゃないの?って観る前は思ってたんですけど、確かにどうにかなってましたね。いや、全然問題ないと思う。そりゃギター2本あった方がアンサンブルも広がると思うけど、現メンバーに拘るんだったら絶対にこれで暫く行った方がいいって。

  曲は結構知ってるやつばかりで、終始安心して観られた感じかな。このバンドもスネオヘアー同様、エンターテイメント性重視なんだけど、音楽的にも全然疎かになってないというしっかり者。キーボード(オルガンとかアナログシンセっぽい音色がメイン)が入ることもあって、一時期のコステロとか初期XTCとか、ああいったニューウェーブ系の流れを感じされるバンドですね。かなり好みだということがこの日判明。いやぁ、マジでいいバンドじゃないですか、これ? 多分、この日一番盛り上がったのは、トリのthe pillowsでもなく、ヘルマンだったように感じました。ファンも若かったしね!


◎the pillows

  約1ヶ月振りのthe pillows。ツアー終了後のイベントってことでどんな感じの選曲になるのか正直予想出来なかったんですが、いきなり1曲目"THUNDER WHALES PICNIC"の超ハイパーバージョンに腰を抜かしそうになりました。よりグランジ的で、よりパンキッシュ。そして「God bless you, YEAH!」というさわおの掛け声(叫び声)もカッコ良すぎて、全然違う曲に聞こえた程。そしてそのまま同じアルバム「smile」から"WAITING AT THE BUSSTOP"へ流れるという、見事な攻めの構成。この時俺、相当前(多分2~3列目)にいたんだけど、この日一番の狂いっぷりで踊ってました。そして名曲"CARNIVAL"を挟み、いよいよアルバム「Thank you, my twilight」からの楽曲群の登場。まずは"バビロン 天使の詩"、そして"ROBOTMAN"と続き、ツアー中に完成した未発表新曲"Terminal Heaven's Rock"をまたもや披露。イントロがカッコイイんだよね、この曲。そして歌詞は‥‥かなりさわおの独白的内容なのではないかと。「このロックスターに救いの手を」とか、そんな感じのフレーズが耳に残りました。もしかしてこれが次のシングル? 来月からレコーディングに入るみたいで、夏にはリリースされるようだけど‥‥楽しみかも。

  そして再び新作から"Ritalin 202"を披露した後に‥‥アルバム「HAPPY BIVOUAC」から、まさかの"LAST DINOSAUR"と"Advice"の2連発ではっちゃけまくり。ヤバッ、かなりヤバイ状態。つうか、若手相手(他の対バン)にここまで攻撃的なロックモードで挑むとは、さすがthe pillows。あっという間に本編終了。多分時間にして30分もやってないはず。勢い任せの曲が殆どだったからね(笑)。

  当然アンコールを求められ、1分と経たぬ間に再登場。長丁場だったこと、時間のことを気にしつつ「最後にもう1曲だけ」といって、新作ラストの"Rookie Jet"を‥‥ってまだアップテンポの曲。兎に角この日の彼等は終始ハイパーモード。さわおもいい感じだったし(以前観た時よりは声が出てなかったけど)、ドラムのシンちゃんも前日同会場で観たピーズが嘘だったかのような、重くて激しいドラムを叩きまくり。全10曲でトータル30分前後。いやぁ~恐れ入りました!

  セットリストを観て気づいたんだけど‥‥演奏された曲って未発表の"Terminal Heaven's Rock"を除くと全て近作3枚‥‥「HAPPY BIVOUAC」、「smile」、「Thank you, my twilight」からの曲なんだよね。新作が一番なのは勿論だけど、如何にここ数作の彼等がコンスタントに、ハイレベルな作品を発表し続けてきたかが伺えるかと。それだけに、今の状況(‥‥売れてないしな、全然‥‥)を思うと‥‥毒吐いてばかりでもいられないよ、さわお‥‥

  さて、次に彼等を観るのは何時になるのやら‥‥5/4の「MUSIC DAY」イベント(コレクターズやGOING UNDER GROUNDと共演)は‥‥観れるの‥‥かな?


[SET LIST]
01. THUNDER WHALES PICNIC
02. WAITING AT THE BUSSTOP
03. CARNIVAL
04. バビロン 天使の詩
05. ROBOTMAN
06. Terminal Heaven's Rock(新曲)
07. Ritalin 202
08. LAST DINOSAUR
09. Advice
 ---encore---
10. Rookie Jet



▼the pillows『Thank you, my twilight』
(amazon:国内盤CD / MP3

投稿: 2003 03 24 12:00 午前 [2003年のライブ, BAZRA, Hermann H. & The Pacemakers, pillows, the, ストレイテナー, スネオヘアー] | 固定リンク