2002/12/16

THE HIGH-LOWS『angel beetle』(2002)

  ブルーハーツやTHE HIGH-LOWSを取り上げるってのは、自分にとってとても敷居が高い事なんですよ。いや、そんなに心底好きなの?と問われれば、いや、そうでも‥‥と答えてしまいそうなんですが、やはり自分の10代中盤~20代前半をブルーハーツで過ごした身としては、なんか簡単に語れない、語り尽くせない魅力があるんですよね。で、20代後半になっても彼等‥‥ヒロトとマーシーの作る楽曲に心打たれたりして。"日曜日よりの使者"だったり"月光陽光"だったり"千年メダル"だったり、そして"青春"や"14才"だったり‥‥ピンポイントで俺の心をくすぐるっつうか、針でツンて突き刺すっていうか。そういう存在なんですよ、俺にとってのヒロトとマーシーって。

  で、今回取り上げるのはTHE HIGH-LOWSとしては7枚目となるオリジナルアルバム(編集盤「FLIP FLOP」やライヴミニアルバム等を除く)。毎年毎年、ちゃんとアルバムを出してくれる彼等だけど、単に「1年経つと曲が貯まるから、レコーディングするだけ」とのこと。彼等らしい理由。ツアーをやりたいからアルバムを作るんじゃなくて、ツアーは延々続けて、曲が貯まってきたからそろそろ‥‥って感じでアルバムレコーディング。実はこのアルバム、11月末リリースなんだけど、実際にはフジロックの前‥‥つまり7月下旬にはレコーディングがほぼ完了してたそう。実質数週間で作業終了したらしいし。すげぇよ、相変わらず。

  そういえば、既にこのアルバムから3曲もフジロックで演奏されてたんだよな("Too Late To Die"、"アメリカ魂"ともう1曲‥‥何やったか失念!)。印象に残ってるのは、やっぱりタイトルを覚えてた前述の2曲。シングルにもなった"Too Late To Die"は如何にも彼等らしい、力強いロックアンセム。で、問題は"アメリカ魂"‥‥ライヴではブルース・スプリングステーィンの"Born In The USA"のフレーズを頭にくっつけたアレンジで、彼等にしては非常にグラムロック調の演奏。で、歌詞が‥‥恐らく「9.11」を題材にしてると思うんだけど、聴く人が聴けばアメリカ賛歌に聞こえるだろうし、俺なんかはアメリカをジャイアンに見立てた皮肉ソングに受け取れるし。ま、ここでは後者なんだろうけど‥‥その辺の解釈は各自それぞれ好きなようにやればいいし。にしても、ここまでストレートにこういうことを過去、彼等は唄ったことあったかなぁ‥‥ま、ブルーハーツ時代にはもっとストレートな"チェルノブイリ"みたいな曲があったけど。

  前作「HOTEL TIKI-POTO」辺りから非常にゆったり目の曲が増えて、前々作「Relaxin' WITH THE HIGH-LOWS」までにあったような攻撃的なアップテンポの曲が減ってるんだよね。で、今作でもそういったアップテンポの曲は"曇天"くらい。それに近いタイプは"ななの少し上に"とか"俺達に明日は無い"なんかがあるんだけど、パンク的というよりももっとロックンロール寄りだしね。それは決して悪いことだとか何かより劣るってわけじゃないんだけど、ライヴで盛り上がるアッパー系の曲が初期の曲っていうのが‥‥やっぱり新作の曲で盛り上がりたいじゃない?

  と、不満を書いてみたけど、やっぱりいいアルバムなんですわこれ。"スカイフィッシュ"みたいなファンクチューンもあれば"映画"のようなソウルチューンもあるし。当然これまでの彼等らしいストレートなロックチューン"ecstasy"も"一人で大人 一人で子供"もある。バラード"マミー"もあるし、HIGH-LOWS風"Paint It, Black"と呼びたくなる"つき指"も登場するし、ある意味アンセムソングと呼べなくもない可愛らしい"Born To Be Pooh"まである。バラエティの面では前作以上かもね(ま、"21世紀音頭"を超えるような怪作はないけどね)。

  ヒロトもマーシーも今年2002年で、ブルーハーツでデビューしてから15年なんだよね。今年で15周年ってバンド(アーティスト)、他にどれだけ残ってる? ユニコーンは既に解散してしまったし、筋肉少女帯は解散同然だし、ZIGGYは頑張ってるけど‥‥ヒロトとマーシーがこうやって、未だにふたり一緒に活動しているのってある意味奇跡なんじゃないかな? フロントマンであるボーカルとギターがぶつかり合うってことは別に珍しいことじゃないし。清志郎とチャボだって仲はいいのに、結局離ればなれになっちゃったし。だからこそ、プライベートでも一緒にライヴ観に行ったり、フジロックにふたり揃って来てたりとか、そういう 「当たり前のことなんだけど、ちょっとあり得ない」現実を目の当たりにすると、もうそれだけで感動するっつうか‥‥

  ‥‥ほらねっ? 結局彼等について語り出すと、アルバムとかを飛び越えて、こういった文章になっちゃう。ホントはもっといろいろ語りたいんだよ、ヒロトとマーシーについて。けどね、それはまた別の機会‥‥ブルーハーツを取り上げる時にまで取っておこうと思います。

  つうわけで、話題をアルバムの方に戻して‥‥アルバムタイトルの「angel beetle」。タイトルに意味はなくて、単純に響きで決めたらしいね。毎回毎回、アルバムタイトルを決める時は困るみたい。別に毎回毎回そのタイトルがアルバムの内容を端的に表してるとは限らないんだけど、意外と彼等の場合、タイトルとジャケットが内容と一致してるように思えるのは俺だけかな? 今回もシンプルなジャケットの割りにバラエティ豊かな楽曲が詰まってる点が、タイトル「天使とカブトムシ(=BEATLES)」通りっつうか。ま、勝手な妄想なんだけどね。

  そうえいば、仕事場でこのCDを1日中かけっぱなしにしてたんだけど、音楽に疎い後輩が「これ、ブルーハーツの人達ですよね?」って俺に聞いて、「僕、彼の声を聞いてるだけで涙が出そうになるんですよねぇ‥‥」と呟いたのが印象に残ってます。そう、俺にとってもHIGH-LOWSの歌声、曲、演奏、歌詞、全てが泣ける要素なんですよ。

  最後にここにも書いておきましょう(過去、日記にも書きましたが‥‥)


   俺は、ブルーハーツやHIGH-LOWSを貶す奴を、人として認めません。

  人の弱さ、痛み、優しさ、強さ‥‥それらが理解出来ない奴とは絶対に俺、合わないと思うから。未だにそういう事をストレートに曲に乗せて唄うのって、彼等とモーニング娘。くらいだし。



▼THE HIGH-LOWS『angel beetle』
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投稿: 2002 12 16 01:29 午前 [2002年の作品, HIGH-LOWS, THE] | 固定リンク