2017年12月31日 (日)

2017年総括(2):邦楽アルバム編

洋楽アルバム編に続いて、邦楽アルバム編。こちらのエントリーでは2017年もっとも気に入った邦楽アルバム10枚(+次点10枚)を紹介します。順位は付けませんが、特に印象に残った作品には「●」を付けています。


■邦楽10枚(アルファベット→五十音順)

・Cornelius『Mellow Waves』(amazon)(レビューはこちら

・DYGL『Say Goodbye to Memory Den』(amazon

・Hi-STANDARD『The Gift』(amazon)(レビューはこちら

・LOVEBITES『AWAKENING FROM ABYSS』(amazon)(レビューはこちら

・Maison book girl『image』(amazon

・ONE OK ROCK『Ambitions』(amazon)(レビューはこちら

・片平里菜『愛のせい』(amazon

・ドレスコーズ『平凡』(amazon)(レビューはこちら

●道重さゆみ『SAYUMINGLANDOLL~再生~オリジナルサウンドトラック』(amazon

・米津玄師『BOOTLEG』(amazon)(レビューはこちら


<次点>
・Boris『DEAR』(レビューはこちら
・coldrain『FATELESS』
・Creature Creature『Death is A Flower』
・HAWAIIAN6『Beyond The Reach』
・LOW IQ 01『Storie Noticed』
・Mondo Grosso『何度でも新しく生まれる』
・OUTRAGE『Raging Out』(レビューはこちら
・PUNPEE『MODERN TIMES』
・10-FEET『Fin』
・私立恵比寿中学『エビクラシー』


ギリギリまでブクガとCorneliusとハイスタのどれかで悩みに悩んだのですが、最終的には初志貫徹。問答無用で道重さんです。ごめんなさい、真面目な音楽評論とかそのへんを求めている方々。こういう管理人がやってるサイトなんです、19年前からずっと。

古いファンから散々叩かれまくったワンオク(傑作とかそういうことではなく、これが“起点”であって、本当の傑作は次だと思いますよ)、コンセプチュアルかつ新境地のドレスコーズ、国内HR/HMでは問答なしでトップクラスのLOVEBITESなど、本当に優れた作品ばかりでした。

ちなみに、今回も乃木坂46と欅坂46のアルバムは選外としました。理由は昨年述べたとおり、アルバム複数仕様によって曲がバラけてしまっていることで、“アルバム”として機能していないと感じたので。ただ、乃木坂と欅坂、どちらが好きだったか言われると、最初のインパクトでは欅坂でしたが、ずっと安心して楽しめたのは乃木坂のほう。前作以上の内容だと思います。

アイドルソング&印象的なライブ編に続く)



▼乃木坂46『生まれてから初めて見た夢』
(amazon:初回生産限定盤 / 初回仕様限定盤TYPE-A / 初回仕様限定盤TYPE-B / 通常盤

投稿: 2017 12 31 11:01 午前 [2017年の作品, Boris, Cornelius, DYGL, Hi-STANDARD, LOVEBITES, Maison book girl, ONE OK ROCK, Outrage, 「1年のまとめ」, ドレスコーズ, 片平里菜, 米津玄師, 道重さゆみ] | 固定リンク

2017年総括(3):アイドルソング&印象的なライブ編

このエントリーで最後。こちらではアイドルソング10曲と、2017年印象に残ったライブ5本を紹介したいと思います。順位は付けませんが、特に印象に残った楽曲には「●」を付けています。

まずはアイドルソング10選から


■アイドルソング10曲(アルファベット→五十音順)

・BiSH「プロミスザスター」

・Maison book girl「言選り」

・sora tob sakana「ribbon」

・task have fun「3WD」

・アイドルネッサンス「交感ノート」

・欅坂46「エキセントリック」

・私立恵比寿中学「なないろ」

・どうぶつビスケッツ×PPP「ようこそジャパリパークへ」

●乃木坂46「逃げ水」

・道重さゆみ「true love true real love(とぅるらとぅるりら)」


本来なら“道重さゆみ×大森靖子”という大好きなものを掛け合わせた「true love true real love(とぅるらとぅるりら)」を選んでもおかしくないのですが、昨日のレコード大賞を観て1年をいろいろ振り返りつつ、やっぱり2017年は乃木坂46の年だったなと思い返し、今年リリースされたシングルの中でもっとも好きな「逃げ水」を選出しました。これはもう、完全に私情入りまくりです(まあ道重さんを選んだ時点で私情以外のなにものでもないですが。笑)。

で、その私情を抜きにしてもBiSHの大躍進はものすごいものがあったし(実際、この曲は本当に大好きです)、ブクガの完成度も圧倒的だし、エビ中はもう言葉にならないし、sora tob sakanaやtask have fun、アイドルネッサンスはとにかく曲が良かった。あ、1曲「へっ、アイドル?」って曲が混ざってるが、気にするな。なんだかんだでお気に入りなんだから。

で、昨年3曲選んだ欅坂46は……シングル2曲に関しては、正直そこまでの衝撃はなかったかなと。むしろ、カップリングであり夏ツアーのオープニングを飾った「エキセントリック」が一番しっくりくる曲だったんじゃないかな。昨年の3曲がなかったら、今年のシングル2曲もかなりレベルの高い楽曲だと思ったんでしょうけど。

そして、乃木坂46。散々叩かれた「インフルエンサー」は僕、リリース前から「好き」と公言してきましたし、そこに関しては今も変わりません。クオリティが落ちたかどうかは正直僕にはわかりませんが(もはやファン目線とか冷静さとかそういう次元では語れない存在なので)、「ハロプロの一時期にこういうラテン系のダンスチューン、よくあったよなー、リリース当時は嫌いだったけど、結局体に馴染んで、ライブで聴くと楽しかったなー」ということを思い出したんですよ。なので、単純に好みってことなんでしょうね。なので、曲の良し悪しでは僕は語れません、ごめんなさい。


■印象的なライブ5選

・Theピーズ@日本武道館(6月9日)
・BOOM BOOM SATELLITES@新木場STUDIO COAST(6月18日)
・乃木坂46@明治神宮野球場(7月2日)
・THE YELLOW MONKEY@東京ドーム(12月9日)
・Hi-STANDARD@さいたまスーパーアリーナ(12月14日)

ライブはいろいろ悩んだけど、フェスものを省いて、単独ライブからセレクト。ピーズは武道館のアリーナ3列目で観ちゃったし、あの内容だったので問答なしに選出。ブンブンは説明はいらないでしょう。乃木坂46はドーム2日目も捨てがたいけど、「一度観たかったもの」という意味で神宮2日目をピックアップ。イエモン東京ドームは、出来は2日目だけど、あの独特の緊張感はあの日しか味わえないものだったので。そして、ハイスタ。演奏などは新潟のほうが上だったけど、“バンドらしさ”では圧倒的にさいたま。という5本になります。

ちなみに2017年に観たライブ/イベント/舞台の数は91本。2015年は130本だったので、だいぶ減ったなと。とはいえ、複数日行ってるフェスも1本とカウントしてるので、結局は100本程度は行ってる計算になるのですが。特に今年は仕事の都合で行けなかったライブが20数本はあるので、この数になってもしゃあないかなと。

そして、2016年末から実験的に、かつ意地になって始めた連続更新。おかげさまで2017年は無事やり遂げることができました。ディスクレビュー(雑誌掲載分含む)が390本、企画記事・ライブレポートが7本と約400本……たぶん、2000年代前半よりも更新してますね、これ(苦笑)。生き急いでるんでしょうか……まあ、来年もこのペースでいきますけどね!

以上で2017年の総括は終了。今年もたくさんの素敵な音楽と出会うことができました。2018年も今年以上に素敵な音楽と出会えますように。



▼Theピーズ『ブッチーメリー SIDE C(2003-2005 selection)』
(amazon:国内盤CD / MP3

投稿: 2017 12 31 11:00 午前 [2017年の作品, BiSH, BOOM BOOM SATELLITES, Hi-STANDARD, Maison book girl, sora tob sakana, task have fun, YELLOW MONKEY, THE, 「1年のまとめ」, どうぶつビスケッツ×PPP, アイドルネッサンス, ピーズ, The, 乃木坂46, 欅坂46, 私立恵比寿中学, 道重さゆみ] | 固定リンク

2017年10月 4日 (水)

Hi-STANDARD『The Gift』(2017)

本作を聴き終えた瞬間に感じる、この清々しさは一体何なんだろう。

2011年の活動再開から6年を経て、ついにアルバムまでたどり着いたHi-STANDARD。間違いなく“僕たちのハイスタ”の音なんだけど、確実に前作『MAKING THE ROAD』(1999年)から18年経った今のハイスタの音でもある。活動休止前は30前後だった、メンバーと同年代の自分も、気づけば40代後半。ハイスタの時計は止まっていたかもしれないが、自分もハイスタの3人も確実に年齢と成長を重ね続けてきたわけで、このアルバムにはそういった“大人になったパンクロック”が余すところなく凝縮されている。

疾走感ある楽曲が並ぶ序盤はいかにも“僕たちのハイスタ”だけど、このアルバムのキモは間違いなくM-6「My Girl」以降のミドルテンポを軸にした構成。“あの頃”で止まってしまっている人たちには賛否ある内容かもしれないが、パンクロックが若者だけのものではなく成熟した大人にとっても必要なものなのだということをこのアルバムは強く主張しているのだ。だからこそ聴き終えた瞬間に感じた清々しさは、その証明以外の何物でもないと確信している。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



▼Hi-STANDARD『The Gift』
(amazon:国内盤CD / MP3

投稿: 2017 10 04 12:00 午後 [2017年の作品, Hi-STANDARD] | 固定リンク

1999年9月 8日 (水)

「FUJI ROCK FESTIVAL '99」DAY 1@苗場スキー場(1999年7月30日)

  苗場に移って初開催のフジロック。観たアクトについて簡単にメモしていきます。長くなりそうなので、1日ずつ分割しています。まずは初日(7月30日)から。


◎ROCKET FROM THE CRYPT (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  1発目は今年初めにも来日したROCKET FROM THE CRYPT。実はこのバンド、ステージを観るのが初めてどころか、音に接するのも初めてだったりする。正直、電撃ネットワークとどっちを観ようか悩んだけど、始まってみればこっちが好みの音だったので、結局酒飲みながら最後まで観ることに。

  1曲も知らなかったわけだが、自分が好きなTHE CLASHの一時期に通ずるものを彼等から感じた。ホーンセクションを含んだメンバー構成、すごくショーアップされたステージング、親しみやすいポップな楽曲‥‥開放的な気分にさせてくれた。トップバッターにもってこいでしょう!

  が……これといって印象に残る決定打となる曲がなかったことも付け加えておく。苗場から戻って、気になったバンドの音は手に入れているのだが、彼等に関してはそこまでのめり込めなかった。酔っていたせいもあるのかも?


◎PHISH (at GREEN STAGE / 12:30~13:20)

  噂には聞いているPHISH。4人編成(ギター&ボーカル、ベース、ドラム、キーボード)なのだが、現地では例えば日によってVELVET UNDERGROUNDのアルバム1枚まるごと完コピしてしまったり、BEATLESのホワイト・アルバムだったり、と……演奏力に関しては文句なしのようだ。

  実際の音に触れてみると、やはりライブで叩き上げられたバンドだなってのがよ~く判った。実は「ライブを何時間もやる」って話を前もって聞いていたので、「1曲1曲が長くて、だらだらジャムってるんだろうな?」ってイメージがあった。実際に1曲10分くらいの曲目白押しだったが、全く気にならなかった。延々ジャムってるわけだが、耳を引き付けるだけの実力/魅力を兼ね備えている。確かに日本で人気の出るタイプのバンドではないだろうけど。

  でも、楽曲は非常にポップなものが多い。彼等が師と仰ぐ?GRATEFUL DEADだってポップな曲が多かったし。そりゃGRATEFUL DEADとはタイプは違うだろうけど、俺は非常に好感が持てた。FIELD OF HEAVENまでは行かなかったけど。


◎NEVE (at WHITE STAGE / 13:00~13:50)

  実は今回のフジロック出演者の中で、秘かに期待していた新人。1997年のTHIRD EYE BLINDみたいな大穴的存在になるかもしれない……そう思ったのだ。ヒットした「It's Over Now」しか知らなかったけど、その1曲が非常に好みの音……産業ロック臭を漂わせていた。装飾こそ非常に90年代的だが、その芯にあるのは間違いなく80年代の産業ロックバンド。SURVIVERだったりJOURNEYだったりREO SPEEDWAGONだったりと、そういう匂いが感じ取れたのだ。

  が、この日は4曲くらいしか観てないが、それで十分という気にさせられたのも事実。まだステージ慣れしてないのもあるのだろう。正直に言えば、クラブサイズで観たかったな?と思った。けど、「It's Over Now」も聴けたし、それ以外にもいい曲があることが判っただけでも収穫かな? うまい具合にオルタナ色も取り込んでるな?とも思ったし、ギターは80年代から抜け切ってないな?(笑)とか。そしたらここのギタリスト、80年代はLAの某メタルバンド(無名だったらしいが)に在籍してたらしい。やっぱり。血は争えないってか。

  残念なことにこのバンド、アメリカでのアルバムリリースがこの夏から来年の2月にまで延びてしまったそうだ。まだこういう音には冷たいのか、アメリカは。「セカンドに期待!」とか書こうと思ってたんだけど、それ以前の問題だったか……。


◎奥田民生 (at GREEN STAGE / 14:00~14:45)

  この日最初に観る日本のアーティスト。良くも悪くも「いつも通り」だった。いきなり「人間2」から始まったのには鳥肌立ったけどね。民生に気負いはなかった、と思う。そこにどんな客がいるか?をも無視したかのような選曲。シングルナンバーはといえば「悩んで学んで」「月をこえろ」、そしてアルバムバージョンだったが「イージューライダー」の3曲のみ。あとは各アルバムからのナンバーをまんべんなく披露。もっと客を引き付ける為の必殺技を繰り出してもよかったんじゃないか?と。「愛のために」1曲あるだけでかなり雰囲気が変わったと思うんだけど……まぁこの人はこれでいいのかも。こういうところが好きではあるんだけどね? やっぱり去年の布袋を思い出したよね(シングルヒット連発するくらいの勢いが欲しかった、と)。

  そうそう、MCらしいMCがなかったのも彼らしかった、と付け加えておこう(唯一しゃべったのが、声にならない声で「あち゛い‥‥」だった)。


◎STEVIE SALAS (at GREEN STAGE / 15:30~16:20)

  この人には「器用貧乏」って言葉がよく似合う。実際プレイも上手いし、何でもそつなくこなしてしまう。その反面、「これだ!」っていう決定打がない。同じタイプのギタリスト/ボーカリストにリッチー・コッツェンという人がいるが、この人の場合は歌が死ぬ程上手すぎる。そしてフロントマンとしてだけでなく、バンドの一員として1歩引くこともできる(現にエリック・マーティンという同系統のソウルフル・シンガーが在籍するMR.BIGに加入したばかりだ)。ところがこのスティーヴィー・サラスの場合、フロントマンとして張り切るのだけど、「何か」が足りない。それは何なんだろう?

  実はこの人のライブは当初観るつもりはなかった。が、いきなり1曲目にCHEAP TRICK「Hello There」のカバーをやられてしまってはね。ステージ近くまで駆け寄ったのは言うまでもない。が、自分の興味を引いたのはここまで。あとは、ともとれずロックともとれないようなファンク調の楽曲の数々を繰り広げるばかり。正直、退屈だった。

  ぶっちゃけた話、この人にはソロアーティストは向いていないのかもしれない。この日のステージを観てそう感じた。足りない「何か」、それは彼を支える、また彼と肩を並べる“もうひとりのフロントマン”の存在なのかもしれない。この日のバンドはあくまで彼をバックアップする為のメンバーだったはず。だから彼以上に目立った存在はいなかった。プレイで耳を引き付けるメンバーはいるにはいたが、ビジュアル的にいまいちだった。彼にはもう一度、COLORCODE時代のような固定メンバーでのバンド、しかもT.M.スティーヴンスのような見た目にもテクニック的にも度胆を抜くようなメンバーと組んでほしい。そうすればもうひと皮剥けるんじゃないかな。正直、このままじゃ勿体ない。


◎Hi-STANDARD (at GREEN STAGE / 17:00~17:45)

  ハイスタに関しては最近リリースされた新作「MAKING THE ROAD」が素晴らしい内容だったので、この日期待のバンドナンバー1だったりした。

  日射しが弱くなり、ステージに現れたのはハイスタのメンバーではなくチベットのアーティスト、NAWANG KHECHOG(ナワン・ケチョ)。先のチベタン・フリーダムでも彼等と共演したナワン、今日もあの巨大なホーンを振り回し、「ヴォーッ!」と未知の低音で観客の眼差しを独り占めした。2曲演奏した後、横山(G)が登場。ギターとホーンの共鳴がシーンとした苗場の山々に響く。幻想的とは正にこういう事を言うのだろう。

  盛大な拍手、そして「Free Tibet!」の叫び声をバックにナワンはステージを降りた。さぁ、いよいよハイスタの出番だ。3人とも甚平を着ている。「輝いちゃってますか~っ?」難波(Vo & B)のこの言葉を合い言葉に、45分に渡るモッシュタイムが始まった。

  「Stay Gold」からスタートし、ニューアルバムの楽曲が中心ながらも、要所要所に過去の名曲を挿んで進めていくステージには圧倒されっぱなし。この日一番の盛り上がりだ。俺もモッシュの輪に加わる。歳甲斐もなく。ハイライトは終盤の「Mosh Under The Rainbow」だろう。みんなで大きな輪を作って回る……すごい光景だ。しかもその輪が4つも5つも。至るところに輪ができている。それを見たメンバーの嬉しそうな顔がすべてを物語っている。歴史に残る瞬間だろう、これは。

  正直な話、想像してた以上の素晴らしい内容だった。アーティストとオーディエンスの相乗効果、これがうまくいった好例だと思う。あの苗場のゆったりとした環境がこの歴史的瞬間を作ったのかもしれない。観れなかった人達、後悔するように!

 
◎THE BLACK CROWES (at GREEN STAGE / 18:30~19:45)

  「過去に好きだったバンドの変わり果てた姿」‥‥ファンにとってこれだけは見たくないはずだ。THE BLACK CROWESを観る前の心境は、正直これだった。1992年の初来日にして唯一の公演。歌の上手さに鳥肌を立て、自分好みのロックンロールに酔いしれた“あの夜”から、その数年後に観たブートレッグの中では輝きを失っており、正直ショックを受けた。丁度3rdアルバム「AMORICA」の時期だったと思うが、1曲1曲を20分にも30分にも間延びさせ、さらにダラダラ……そう、まるでマリファナでもキメてんじゃねぇの?ってな具合に。それ自体は否定しないが、正直観てるほうはつらい。一緒にキメない限りは。

  そんな感じで今回の彼等には期待していなかった。確かに新作は初期の勢いと前作、前々作にあった(良く言えば)アーシーさを上手く融合させた良作だったが……。

  ライブが始まってしばらくした頃、食事から戻ってみると……うげっ、何だこのイカしたアリーナロックバンドは!? スクリーンに写るクリス・ロビンソン(Vo)に釘付けになった。まるで全盛期のスティーヴン・タイラーとかミック・ジャガーみたいじゃん。衣装のせいもあるかもしれないが、カッコよすぎ。あとで聞いた話では、前半にはファースト、セカンドのヒット曲を連発したそうだ。失敗した、正直そう思った。

  でも、この中盤以降も素晴らしい内容だった。前作からの曲も1曲(「Wiser Time」)披露されたが、全体に馴染んでいたのは確か。キーボードを含む6人編成のバンドにバックコーラスの女性が2人。演奏は思ったよりもあっさりとしていて、アルバムに忠実。変に間延びした曲は1曲もなかった。エクスパンドされたエンディングもあったが、やはりバンドが波に乗ってるせいか、うまく聴かせてくれる。

  後半に最大の山場が用意されていた。なんと、LED ZEPPELINの「In My Time Of Dying」のカバーを披露したのだ。いや、カバーというよりは完コピか。とにかく、あの11分以上もある楽曲をモノにしちまった。波に乗ったバンドってすげぇな、というのを嫌というほど見せつけられた瞬間だった。この曲で多くの客がまた前へと走っていった。間発入れずにバンドは「Hard To Handle」「Jelous Again」「Remedy」といったヒット曲を、畳み掛けるように連発してステージを降りた。アメリカパワー炸裂。まさに野外向きのバンドだ。きっとこのステージで彼等の株は急上昇したはず。UK勢が多い今年のフジロック出演者中、数少ない伝統的ロックバンドだが、これを機に是非ちゃんと聴いてもらいたい。


◎RAGE AGAINST THE MACHINE (at GREEN STAGE / 20:40~22:00)

  すでにこの頃にはリリースされているはずだったサードアルバムが発売延期になった今、内容的にはファースト&セカンドの曲が中心のステージ。そのサードから3曲ほど新曲を披露されたけどね。驚きは映画のサントラ曲「No Shelter」がプレイされたこと。直前のウッドストックでも演奏されたのね?

  で、披露された新曲がいい意味でポップだった。要するに「判りやすい」のだ。曲名は忘れたが、かなりドス黒い感じの極太ハイパーファンクあり、イントロはツェッペリンの「Thank You」を彷佛とさせるクリーントーンから始まりサビで爆発する「Broken(仮)」といった楽曲は皆、かなり判りやすい印象。いや、それまでの楽曲が判り難かったわけではない。が、断然新曲のほうがポップだ。ただ、たった3曲(この際「No Shelter」も含めて4曲)で11月リリース予定のアルバムの内容を予想するのはフライングだが、かなり期待していいんじゃないだろうか?

  プレイの出来に関しては何も言うことなし。だって、ひたすら最後まで暴れてたので冷静に判断できないから。新曲には聴き入り、定番曲では大暴れ。シンプルに楽しい瞬間だった。


◎TODOS TUS MUERTOS (at GREEN STAGE / 22:30~24:00)

  今年のフジロック隠し玉が、この“アルゼンチンのレイジ”ことトドス。音的にはレイジほど尖っているわけではなく、歌詞が政治的内容を歌っていることからこう呼ばれているらしい。加えてレイジとの明らかな違いは、彼等がエンターティナーだったということ。とにかく客の楽しませ方を知っている。フロントの2人は常に飛び跳ね右へ左へ動きっぱなし。挙げ句の果てには側転やバック転まで披露。馬鹿馬鹿しさを通り越して、感動すらした。

  ラテンのフレーバーあり、中近東的フレーズが飛び出したり、およそロックとは呼べないんじゃないか?って曲もあったが、まったく気にならなかった。いや、かなり楽しんだぞ。それに、レイジが終わって大して残っていなかった客が、彼等の演奏が始まったら自然とステージに向かって走っていたし。もしかしたらもう二度とこの日本では観れないのかもしれない……雑誌でも話題になってないし、インタビューすら載ってないし。トリのレイジがが終わったにも関わらず会場でぼーっとしていたお陰で、このバンドに出会えた‥‥ちょっとしたボーナスだったな、これは。


‥‥‥‥‥‥To be continued.

投稿: 1999 09 08 12:00 午前 [1999年のライブ, Black Crowes, The, FUJI ROCK FESTIVAL, Hi-STANDARD, Neve, Phish, Rage Against The Machine, Rocket From The Crypt, Stevie Salas, Todos Tus Muertos, 奥田民生] | 固定リンク