2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
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投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer] | 固定リンク

2003/03/27

HONEYCRACK『PROZAIC』(1996)

現THE WiLDHEARTSのギタリスト/ボーカリストとして活躍しているCJ。彼は勿論初期のワイハーのメンバーでもあるわけですが、基本的に解散前のワイハーはジンジャーが全ての曲を書き、彼が中心となってバンドを突き動かしてきた、と言っても過言ではないでしょう。それくらい'90年代のワイハーはジンジャーのイメージが強いバンドだったわけです。が、今のワイハーはどうでしょう。ジンジャー、ダニー、スティディ、そしてCJ‥‥そのどれもが強いキャラクターと的確な演奏力、そしてミュージシャンとしてのアビリティを備えています。そして現在ではジンジャーのワンマンバンドというイメージは覆され、バンドとして作曲したり、ツインボーカル的な楽曲があったり等、それぞれのメンバーがバンドの外での活動で得てきたものを血と化し肉と化し、それをワイハーに貢献しているといえます。

現在のワイハーにて、ジンジャーの次にソングライティングの貢献度が高いのは、間違いなくCJでしょう。その彼がワイハー脱退('94年7月)後に結成したのが、今回紹介するHONEYCRACKというバンド。そのHONEYCRACKが存命中唯一リリースした公式アルバムが、この「PROZAIC」です。

同じくTHE WiLDHEARTSにキーボーディストとして参加した経験を持つウィリーを迎えたことによって、「元WiLDHEARTS組」というレッテルを貼られることも多かったと思うんですが、ワイハー時代はCJもウィリーもソングライティングには殆どタッチしていなかったので、ここで聴けるのは「ワイハーにいたメンバーが新たに作った全く別のバンド」といったタイプの音楽。勿論、所々には如何にも彼ららしいフレーズが出てくるし、ジンジャーが歌ったら面白いだろうなぁ‥‥と思える曲も見受けられますが、ここはちょっと視点を変えて話を進めていきたいと思います。

このアルバムがリリースされたのが'96年初夏。イギリスではブリットポップ・ムーブメントが下火になりつつある頃。HONEYCRACK自体は'95年6月にはシングルデビューしており、その直前にはWEEZERの英国ツアーにてサポートアクトを務めています。そう、このバンドはイギリスから登場したものの、そういったブリットポップという表現よりも、むしろWEEZER的なパワーポップという表現の方がしっくりくるのです。元々ワイハーにもそういった要素はあるわけですが、HONEYCRACKのそれはもっとシュガーコーティングされた、アクが強過ぎなくて耳に馴染みやすい色を持っています。ボーカルはCJとウィリーのツインボーカルが殆どで、ギターが3本も入っていながらうるさすぎず、それでいて軽すぎない。パンキッシュでザクザクしたヘヴィな側面も持ちつつ、バブルガムポップ的な甘さが全体を包む。ワイハーのガッツィーな路線が好みの人にはちょっと物足りないかもしれませんが、GREEN DAYやWEEZERといったバンド、そしてパワーポップといったキーワードにピクリときた人にはピンとくるアルバムでしょうね。

1曲1曲が非常にコンパクトで(その殆どの曲が2~3分)、パンキッシュでストレートな疾走ナンバーもあれば、ポップでいて複雑怪奇な展開をする曲まであるという点は、ワイハーに近いものを感じますが、あのバンドみたいにハードロックやモダンロックの色を感じさせるものではなく、どちらかというともっとパンキッシュな色が強いですね。ワイハーがそういったモダンなアレンジを取り入れつつも、実はかなり伝統的なサウンドを持った王道路線なのに、HONEYCRACKの方がもっと現代的でモダンなんですよ。例えばワイハーは「BURRN!」的だけど、HONEYCRACKはもっと「rockin'on」寄りというような感じ。何となく伝わるでしょうか?

常にハーモニーが綺麗なツインボーカルは後にCJが結成したTHE JELLYSでも引き継がれ、最近のワイハーでもその要素を用いています。CJがここまで歌えるギタリストだとは正直思ってもみなかったし(まぁあれだけ素晴らしいコーラスが取れたんだから、歌えて当たり前なんですけど)、更にウィリーもこれだけの実力を持ったシンガーだとは思ってもみなかったですよね。しかも、これだけ優れた楽曲を作れるだけの能力まで持っていたとは‥‥全てがワイハー時代にスタートしていたわけですが、あのバンドでは開花することはなく、その後こういう形でブレイクするとは‥‥皮肉なもんですね。

全英チャートでもそこそこの成功を果たし、アルバムリリース後には来日公演も果たしたにも関わらず、その後あっけなく解散してしまう辺りは、さすが元ワイハー一派というか‥‥解散後、ウィリーが未発表曲やデモを編集した企画盤をインディーズからリリースしていますが、基本的にはこのアルバム1枚と数枚のシングルをメジャーのエピックからしただけで、実質3年程度しか活動していない、ある意味幻のバンド。それがこのHONEYCRACKです。

とにかく、名曲中の名曲"Go Away"を聴いて涙してください。ワイハーでの "I Wanna Go Where The People Go" 、WEEZERの "Buddy Holy" や "Across The Sea"、"The Good Life" にも匹敵する程の、出色の出来ですから。更に"Sitting At Home"なんてGREEN DAYの "Basket Case" 級の名曲ですからね。勿論、その他の曲も全て素晴らしい、捨て曲なしの「パワーポップの名盤」ですからね(決して「ブリットポップの隠れた名盤」ではないでしょうね)。一時はブリットポップの文脈で語られることも多かったようですが、「ああ、その辺のバンドかぁ~」といって切り捨ててしまうと痛い目を見ますよ?

先にも書いたように、CJはこのバンドをポシャッた後に、同じく元WiLDHEARTSのドラマー、スティディらと共にTHE JELLYSというトリオバンドを結成し、オリジナルアルバム2枚とライヴ盤1枚をリリースした後に、再結成ワイハーに加わることとなります。で、その後の活躍は皆さんご存じの通り。CJのミュージシャンとしてのキャリアはワイハー以前からあるわけですが、真の意味でのスタート地点はこのアルバムからだった、と言っても間違いじゃないでしょうね。ま、スタートが一番大きなブレイクだったという、実に皮肉なオチまで付いて回りましたけどね。



▼HONEYCRACK『PROZAIC』
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投稿: 2003 03 27 04:43 午前 [1996年の作品, Honeycrack, Wildhearts, The] | 固定リンク