2006/05/29

HOOBASTANK『EVERY MAN FOR HIMSELF』(2006)

 HOOBASTANKの通算3作目のアルバム「EVERY MAN FOR HIMSELF」は、バカ売れした前作「THE REASON」から約2年半ぶりに発表される作品集という以上に、ベースのマーク脱退後初の作品という意味で注目される1枚なのかもしれません。全米第2位を記録したシングル "The Reason" で完全にブレイクした感の強い彼らですが、果たして新しいアルバムではどういった方向性を押し進めるのか、そしてメンバーチェンジはその音楽に影響するのか。このアルバムに対する注目点は大きく分けてこの2点かと思います。

 で、アルバムよりも先に先行シングル曲 "If I Were You" がラジオやMTV、ネット上で流れ始めて‥‥新作はこの大ヒット曲路線を押し進めたものになるのか、とちょっとガッカリしてたんですよね。勿論、デビューから5年近く経って未だにスクリーモもないだろう、とは思うんだけど。多くのファンはああいった路線を求めてるように感じてたんでね。当たり前といえば当たり前か、前作のヒットを受けて同じ路線を進むのは。

 ところがアルバムをいざ聴いてみると‥‥一概に「"The Reason" 路線」と言い切ってしまうにはちょっと違うように感じたんですね。いや、確かに全体を覆う大らかでゆったりしたイメージは、間違いなくあの大ヒットの影響なんでしょうけど。大ヒットしたことで、実験的なことをやってみたくなった、あるいは前からやってみたかった路線に進める環境になったのか。この新作には一筋縄ではいかない要素をいろいろ見つけることができます。

 確かにアッパーな曲も1〜2曲あるにはあるんだけど、残りの曲はメロウなミドル〜スローチューン。しかも若干サイケな色合いも見られる。ぶっちゃけて書くと、評価の分かれるアルバムだなぁと。曲間が殆どなく、全部つながってるような印象を受けるので、ある意味ではコンセプトアルバムっぽいイメージもあるし。特に前半7曲は完全にそういう印象が強い。中盤で以前の路線 "Without A Fight" でちょっとブレイクが入って、その後は再びミドル〜スロー路線へ。結局最後の "More Than A Memory" まで聴かせる路線で一貫してる。ある意味では潔いって思うんだけど、ちょっと聴き手を突き放し過ぎかも?という気も。このアルバムでさらに新しいファン層を掴む可能性も多いにあるだけに、ちょっと今後に注目したいかな、と。

 非常によく出来た、良いアルバムだと思うんだけど、これはホントの意味で理解するにはもっと聴き込まないといかんな。時間をかけて、ゆっくりじっくりと味わいたいアルバムですね。


 
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投稿: 2006 05 29 12:45 午前 [2006年の作品, Hoobastank] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/04/30

HOOBASTANK『THE REASON』(2003)

正直バカにしてたところはあるのね、彼らに対して‥‥ところが、ここにきて急ブレイク。昨年12月にリリースされたこのアルバムが、前週の18位から翌週にはいきなり3位まで急上昇。シングル曲もチャートアクション好調で、これがきっかけだったのか、それともLINKIN PARKとのツアーが大盛況だったことが要因なのか‥‥いつ何時、どんなチャンスが待っているか判らない、そしてその切っ掛けをいきなり掴んでしまったりする。それがアメリカなんだよね、今も昔も‥‥

というわけで、hoobastankが2003年12月に発表したセカンドアルバム「THE REASON」。です。上に書いたように、アメリカのビルボード・チャートでいきなり3位まで上昇してしまってるんですよ(ちなみに初登場はトップ40入り程度の記録でした)。恐らく今現在の最新シングル "The Reason" の受けがかなり良いこともあり、それも影響してるんだろうな、と思うんですが‥‥だって、この俺自身もその曲を聴いて「あれっ、hoobastankってこういう曲もやるんだ!?」って驚いた程ですからね。彼らに対する印象って、2年前のサマソニで観たのと、ファーストアルバムからのPV、そしてこの最新作からの先行シングル曲 "Out Of Control" の印象しかなかったんですね。で、それで十分だと思ったのも正直なところで。所謂ニューメタルの範疇に入るであろう音楽性で、ちょっとパンク色もあるかな?程度の感想。ライヴもボーカルの日系人の子が頑張ってるのを観ると、ちょっと嬉しくなるという‥‥LINKIN PARKもそうなんだけどね‥‥

で、その "The Reason" という曲がね、これまで持っていたニューメタル的な側面とは違った、所謂ミディアムテンポのメロウ・チューンなんだけど‥‥懐かしい香りがするのよ。'80年代的な‥‥そう、産業ロック的な匂いというか。アコースティックギターとストリングスを取り入れた、本当の「歌モノ」で聴いてて心地よい。大陸的なおおらかなノリも持ちつつ、どことなく繊細さも持ち合わせている、みたいな。前者だけだったらホントに産業アメリカンロックの焼き直しで終わってたんだろうけど、後者の繊細さ‥‥これって結局『EVANESCENCE以降』、最も必要とされている要素なのかもね‥‥これのお陰で『'80s クローン』で終わらずに済んでる。むしろそっちよりも、ここ数年のCREEDやNICKELBACK辺りと並べても何ら引けを取らない。もうね、そこが意外で意外で。あーこういう曲も出来るんだ‥‥アルバム聴いてみたいな、って。

で聴いたのよ、アルバム。ファーストはちゃんと聴いてないんで、今回が初hoobastank。いきなり1曲目の "Same Direction" と先行シングルの2曲目 "Out Of Control" にやられる。普通にカッコいいよね。適度にメタリックで、適度にパンキッシュ。ラップメタル的方向に走らず、むしろ最近主流のエモ/スクリーモの範疇にある作風かな、と。特に2曲目のスクリームパートなんてまんまだしね。

ところがね、このアルバムの肝ってそういったエモ的要素ではないのね。勿論大半をそういったアップテンポのマイナーチューンが占めているわけだけど、聴き終えた後に印象に残るのは‥‥3曲目 "What Happened To Us?" や先の "The Reason"、"Lucky" や "Disappear" といったスロウ~ミドルテンポのメロウチューン。アコースティックギターを多用して、音の感触を柔らかくしてるのね。で、そこに彼ら独特の繊細なメロディが乗って、更に独特な世界観を展開しているという。しかもマイナーにばかり頼らず、メジャーキーの曲も結構ある。そこも意外でしたね。

アコギやストリングスを導入したミドルチューンを聴いていると、どうしても先駆者‥‥ってわけでもないけど‥‥EVANESCENCEを思い出してしまうんだけど、女性的な向こうと違ってこちらはもっと男臭さが強く、そこがまた哀愁味が溢れててイイ感じ。ヤバい、めっちゃ好みかも‥‥ハードロック少年だった昔の血が騒ぐね。

もうさ、ニューメタルとかラウドロックとかエモとか、そういったのどうでもいいよ。普通にハードロックじゃんか、これ。EVANESCENCEの時も思ったけど、結局はみんなそこに戻ってくんだよ。最近アメリカではパンキッシュだったバンドがよりポップでハードな方向へと進んでいってるし、ニューメタルとか呼ばれてた連中もよりメロディを強調し始めて、歌ものバンドへと進化している。'90年代に暗く陰を落とした『混沌さ』に耐えられなくなった奴らがひとり、またひとりと離脱し、自身のルーツにある音楽‥‥もしかしたらそれは、NIRVANA以前にヒットチャートを賑わしていたBON JOVIやDEF LEPPARDやGUNS N'ROSESなのかもしれない‥‥そういった音楽へと戻っていった‥‥そうは考えられないかな? 最近の傾向を見てると、嫌でもそう思えてきちゃうんだよね。ANDREW W.K.が登場した時点で、みんなうっすらと気づいてたんじゃないの? いつかはそういう時代がまた戻ってくるって。現に当のBON JOVIだって、新作がアメリカで初登場2位を記録したわけでしょ。GUNSも最近出たベスト盤が、新曲すら入ってないのに世界中で大ヒットしてるわけだし。もうね、そういう時代なんだよ、きっと。

EVANESCENCEにしろLINKIN PARKにしろ、コアなロックファンからは敬遠されがちですが、そういったメインストリームを引き受けた存在ならではの魅力ってがあるはずだし、それはこのhoobastankからも十分に感じられるんですよね。ちゃんと聴いてないからファーストとの比較は出来ないけど、少なくとも2年前に観たサマソニのステージの数倍は良くなってた。それがこのセカンドアルバムを聴いた感想ですかね。とにかくいいアルバム。今更ながら、暫く愛聴しそうです。



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投稿: 2004 04 30 04:46 午前 [2003年の作品, Hoobastank] | 固定リンク