HURRICANE #1『ONLY THE STRONGEST WILL SURVIVE』(1999)
1999年4月21日にリリースされたHURRICANE #1の2ndアルバム。
アンディ・ベル(Vo, G)がRIDE脱退後、アレックス・ロウ(Vo, G)らと結成したHURRICANE #1はブリットポップ末期の流れに乗って、デビューアルバム『HURRICANE #1』(1997年)は全英22位まで上昇。同作からは「Step Into My World」(同29位)、「Just Another Illusion」(同35位)、「Chain Reaction」(同30位)というヒットシングルも生まれました。
1998年には2ndアルバムに先駆けて新曲「Only The Strongest Will Survive」(同19位)、「Rising Sun」(同47位)をシングル発売。1999年に入ると来たる2ndアルバムからのリードトラックとして「The Greatest High」(同43位)が中ヒットし、続いて本作が待望のリリース。しかし、最高55位と前作ほどの成功を得ることができず、アンディの脱退とともにバンドは解散。アンディはその後、OASISにベーシストとして加入することになります。
これだけ聞くと失敗作のように思えるこの2ndアルバムですが、実際の内容は新基軸も見え隠れする意欲作に仕上がっており、完成度という点においては前作以上ではないかと思っています。イントロダクション&アウトロが用意された作風は若干コンセプチュアルでもありますが、そこまで明確なものがあるわけでもなく。ストレートなロックチューン「N.Y.C.」があったかと思えば、ブラスセクションを導入したエモーショナルなバラード「The Greatest High」、サプリングを大々的に導入したテイストは中期OASIS的でもある「Remote Control」、サイケデリックなダンストラック「Rising Sun」、多幸感に満ち溢れた「Only The Strongest Will Survive」など、1曲1曲のクセが強く、言ってしまえばアルバムとしてのトータル性は弱いかもしれません。
しかし、どの曲もしっかり練り込まれている(かつ、良い意味で遊び心に満ちている)からコンピレーションアルバム感覚で聴くことができる。トータルで70分超えという長尺さが唯一の難点ですが、それすらも2021年の耳で聴くとプレイリストのように楽しめるのではないでしょうか。
確かにここから10曲程度に絞って、50分程度にまとめていたら、もうちょっと聴きやすい1枚だったかもしれません。しかし、RIDEのラスト作『TARANLULA』(1996年)同様ここでもアンディの悪いクセが炸裂してしまい、結果としてバンドを終焉へと導いてしまったのかなと。ただ、RIDEのときと違うのは、今作のほうが1曲1曲のクオリティが上ということ。そこだけがせめてもの救いです。
にしても、このあとOASISにサポート扱いで加入することになるとは、当時はまったく予想もしていなかったので、最初にその事実を知ったときはひっくり返りました(誇張ではなく)。けど、彼があの当時やりたかったことを考えると、意外と納得できる選択だったんだなと、今なら理解できるんですけどね。
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