カテゴリー「Iggy Pop」の19件の記事

2024年5月30日 (木)

SLASH『ORGY OF THE DAMNED』(2024)

2024年5月17日にリリースされたスラッシュの最新ソロアルバム。日本盤は同年5月22日発売。

近年はGUNS N' ROSESとしてのツアーと並行して、自身のバンド・SLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS名義でのソロ活動を充実させていたスラッシュ。純粋なソロ名義でのアルバムはセルフタイトルの初ソロアルバム『SLASH』(2010年)以来14年ぶり、THE CONSPIRATORSとしてのアルバム『4』(2022年)からは約2年ぶりのスタジオ音源となります。

今作では曲ごとにさまざまなフロントマン(シンガー)をフィーチャーした、『SLASH』に次ぐ内容。ただ、『SLASH』がオリジナル曲で構成されていたのに対し、今作では往年のブルース&ソウルナンバーをカバーしており、スラッシュというミュージシャン/ギタリストの根源にあるものをストレート&ダイレクトに届けるスタイルとなっています。

参加アーティストはクリス・ロビンソン(Vo, Harp/THE BLACK CROWES)、ゲイリー・クラーク・Jr.(Vo, G)、ビリー・F・ギボンズ(Vo, G/ZZ TOP)、クリス・ステイプルトン(Vo)、ドロシー(Vo/DOROTHY)、イギー・ポップ(Vo)、ポール・ロジャース(Vo/ex. FREE、ex. BAD COMPANYなど)、デミ・ロヴァート(Vo)、ブライアン・ジョンソン(Vo/AC/DC)、スティーヴン・タイラー(Harp/AEROSMITH)、タッシュ・ニール(Vo, G)、ベス・ハート(Vo)、ジョニー・グリパリック(B)、マイケル・ジェローム(Dr)、テディ・アンドレアディス(Key)などと、ジャンルの枠を超えた豪華な面々。ポップフィールドにまで幅を利かせているのは、初ソロアルバム『SLASH』同様ですね。その『SLASH』にも重複しての参加はイギー・ポップのみかしら。

選曲はCREAMの名演でお馴染み「Crossroads」をはじめ、「Hoochie Coochie Man」や「Key To The Highway」「Born Under A Bad Sign」「Papa Was A Rolling Stone」など誰もが一度は耳にしたことがある名曲から、FLEETWOOD MACの初期曲「Oh Well」やLED ZEPPELINがパクったことで知られる「Killing Floor」まで、クラシックロックのルーツナンバーが満載。これらの楽曲を原曲の空気感を大切にしつつ、スラッシュがエモーショナルで豪快なギタープレイを思う存分奏でている。また、曲ごとに色の異なるシンガーたちが、地味かつシンプルな原曲の世界に見事に華を添えており、全12曲/約70分と長尺ながらも比較的スルスルと聴き進めることができるはずです。

オープニングを飾るクリス・ロビンソン節炸裂の「The Pusher」を筆頭に、とにかくどの曲もボーカリストのカラーとスラッシュの(時に手癖に頼りつつ、時にはそこから逸脱した)エネルギッシュなギタープレイが印象的。中でも、イギー・ポップをフィーチャーした「Awful Dream」と、こういうオムニバス作品にソロで参加するのは比較的珍しいブライアン・ジョンソン参加の「Killing Floor」(しかもハープはスティーヴン・タイラー)、デミ・ロバートの色香漂うボーカルとスラッシュのマウスワウがスリリングさを醸し出す「Papa Was A Rolling Stone」は個人的にもお気に入りです。

ラスト12曲目には本作で唯一のオリジナル曲「Metal Chestnut」も用意。こちらはインストナンバーなので、アルバム本編の余韻を増幅されるようなエンドロール的役割でもあるのかな。

随所にスリリングさをはらみつつも、全体としてはリラックスモードで楽しめる本作。THE CONSPIRATORSとしてのアルバム『4』で円熟みを増し始めたスラッシュのギタープレイが、ここでさらに深まっていることに気づかされるはずです。

 


▼SLASH『ORGY OF THE DAMNED』
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2023年1月13日 (金)

IGGY POP『BLAH-BLAH-BLAH』(1986)

1986年10月23日にリリースされたイギー・ポップの7thアルバム。日本アナログは同年10月21日、同CDは11月21日に発売。

1983年夏からしばらくの間、薬物依存の治療に取り組みつつ日常生活を安定させようと、音楽活動を休止したイギー。同じ頃、盟友デヴィッド・ボウイが過去の共作曲「China Girl」をアルバム『LET'S DANCE』(1983年)でセルフカバーし、シングルとしても大ヒットさせるなど、印税面でイギーをバックアップします。また、ボウイは続く『TONIGHT』(1984年)でイギーをレコーディングに呼び、コーラス参加などで少しずつリハビリさせていくことに。こうしてイギーは少しずつ自身の音楽活動にも着手し始め、新しいアルバムのためにボウイと楽曲制作を進めていきます。

プロデューサーにはQUEENやボウイ、YESDURAN DURANなどで知られるデヴィッド・リチャーズを迎え、元SEX PISTOLSスティーヴ・ジョーンズ(G)や本作のツアーにも参加するケヴィン・アームストロング(G)、ボウイとの交流も深かったマルチプレイヤーのエルダル・キジルチャイとともにレコーディングを敢行。80年代半ばらしい打ち込み主体の、キラキラしたポップ感が異彩を放つアルバムを完成させます。

イギーの持ち味的にはこのテイストは「ちょっと違うんじゃないか?」という声が多いかと思います。が、まずは彼自身を表舞台に引きずりあげることが当時の重要項目であり、本作はその役目を見事に果たす1枚だったのではないでしょうか。事実、リリース当時は「Real Wild Child (Wild One)」や「Cry For Love」のMVがMTVを中心にヘヴィローテーションされましたし。また、「Isolation」などを筆頭に、楽曲の方向性やサウンドの作風的にもボウイが大ヒットを飛ばした『LET'S DANCE』や『TONIGHT』の延長線上にあり、かつボウイが楽曲制作に携わり、コーラスでも参加していることはアピールポイントとしても非常に大きく、当時中学生だった僕のようなイギー初心者にも触れやすかったわけですからね(アラフィフ世代の洋楽リスナーは本作でイギーを初めて知ったという方も少なくなかったことでしょう)。

実際、どの曲も非常によく作り込まれており、ボウイファンなら「これ、自分で歌えよ!」と思ってしまうような良曲も少なくありません。それをイギーが、あえて煮えたぎるパワーを抑えた穏やかな歌声で表現するアンバランスさ。好きなことをするために我慢してこれを歌い切ったという解釈もできるでしょうが、大半の楽曲制作にイギー自身が関わっていることを考えると、実はここで表現されていることも少なからず彼の内面に蓄積されていたものと捉えることもできるはず。事実、ここでの経験はその後の作品にも多々反映されていますしね。

スティーヴ・ジョーンズは「Fire Girl」「Cry For Love」「Little Miss Emperor」(この曲のみアナログ未収録)の3曲でイギーと共作を果たし、「Cry For Love」では彼らしいワイルドなギターソロも披露。当時のスティーヴはアンディ・テイラー(元DURAN DURAN)とのコラボレーションなどで経験を蓄積していた最中で、これらの経験が続く初ソロアルバム『MERCY』(1987年)へとつながっていきます。

セールス的にも全米75位/全英43位とまずまずの結果を残し、アメリカではソロデビュー作『THE IDIOT』(1977年)の全米72位に続く成功を収めました。この成功があったから、坂本龍一のアルバム『NEO GEO』(1987年)参加(「Risky」を歌唱)が実現したり、本領発揮の『INSTINCT』(1988年)が生まれたりしたわけですからね。

 


▼IGGY POP『BLAH-BLAH-BLAH』
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2023年1月12日 (木)

IGGY POP『EVERY LOSER』(2023)

2023年1月6日にリリースされたイギー・ポップの19thアルバム。日本盤は同年1月18日発売予定。

前作『FREE』(2019年)から3年4ヶ月ぶりの新作。Atlantic Recordsが新設した傘下レーベル・Gold Tooth Recordsへの移籍第1弾アルバムとなり、プロデューサーにも若手のアンドリュー・ワット(オジー・オズボーン、ポスト・マローン、ジャスティン・ビーバーなど)を迎えるなど心機一転の1枚に仕上がっています。

レコーディングにはアンドリューがギターのベーシックトラックで参加したほか、ダフ・マッケイガン(B/GUNS N' ROSES)&チャド・スミス(Dr/RED HOT CHILI PEPPERS)というオジーの近作でもプレイしたリズム隊やジョシュ・クリングホッファー(G/ex. RED HOT CHILI PEPPERS)、ストーン・ゴッサード(G/PEARL JAM)、デイヴ・ナヴァロ(G/JANE'S ADDICTION)、エリック・エイヴリー(B/JANE'S ADDICTION)、クリス・チェイニー(B/ex. JANE'S ADDICTIONなど)、トラヴィス・バーカー(Dr/BLINK-182)、テイラー・ホーキンス(Dr, Piano/FOO FIGHTERS)といった、これぞ“イギー・ポップ・チルドレン”と言わんばかりの精鋭が顔を揃えています。

近年は生々しいガレージロックと穏やかなジャズ/ブルース的作品をほぼ交互に発表してきたイギー。前作『FREE』が後者寄りの作品だったこともあり、続く今作は再びエネルギッシュなパンクロックが期待されるところですが、その期待を大きく上回る内容に仕上がっています。といっても、全曲パンクロック/ガレージロックで固められているわけではなく、むしろイギーのソロキャリアの原点である『THE IDIOT』(1977年)『LUST FOR LIFE』(1977年)、80年代半ばに本格的復活を果たした『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)あたり、そして90年代以降のハードロック的なテイスト、さらにはTHE STOOGES時代をも網羅したキャリア総括的な作風。なもんですから、悪いわけがない。

オープニングを飾る「Frenzy」や「Day Rip Off」のようなパブリックイメージどおりのガレージロックで華やかさを演出しつつも、初期のニューウェイヴ的色合いを見せるミディアムチューン「Strung Out Johnny」、低音域でアダルトさを醸し出すバラード「Morning Show」など、多彩さに満ちた内容は聴き手をまったく飽きさせることがありません。かと思えば、ジャズ/ブルース路線を彷彿とさせる1分前後のインタールード「The News For Andy」では、イギーのナレーションのようなボーカルワークも楽しめる。そこから「Neo Punk」という疾走ナンバーに続く構成には、思い切り笑わせてもらいました。最高ったらありゃしない。

この4月には76歳(!)の誕生日を迎えるイギー、なお盛んです。日本公演は2007年のフジロック(THE STOOGESとして出演)以来16年も実現していませんが、この傑作を携えた夏フェス出演に期待したいところです。また「The Passenger」でステージに上がりたいですからね(笑)。

 


▼IGGY POP『EVERY LOSER』
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2023年1月11日 (水)

IGGY POP『THE IDIOT』(1977)

1977年3月18日にリリースされたイギー・ポップの1stソロアルバム。

THE STOOGES解散後にデヴィッド・ボウイと出会い、彼のバックアップでIGGY & THE STOOGESとして再始動。『RAW POWER』(1973年)を完成させるも、活動がままならずままバンドは空中分解し、イギーは重度の薬物依存状態に陥ります。そんなイギーに再び手を差し伸べたのがボウイ。アメリカからベルリンへと彼を引き込むと、当時ボウイが興味を持っていたジャーマンロック/クラウトロックに興味を持ち始めます。

その流れから、2人のコラボレーションがスタート。ベーシックトラックをある程度固めたところで、トニー・ヴィスコンティが介入。カルロス・アロマー(G)、ジョージ・マーレイ(B)、デニス・デイヴィス(Dr)といったボウイ『LOW』(1977年)の参加メンバーが追加レコーディングを行なって、アルバムを完成に導きます。

ちなみに、『LOW』のリリースは1977年年1月で、追ってこの『THE IDIOT』がリリースされていますが、実際の制作期間は『THE IDIOT』が1976年7〜8月で、『LOW』は同年9〜11月。つまり、『THE IDIOT』は『LOW』の習作ともいえる1枚であり、2作は兄弟のような存在であることが伺えます。あとは、ブライアン・イーノがいるかいないかの違いか。そこはかなり大きいですものね。

イギーは本作について「a cross between James Brown and Kraftwerkと表現していますが、なるほど納得の例えです。THE STOOGESにおけるダウナーな部分を強調させた楽曲群と、適度に取り入れられたエレクトロの要素、パンクというよりはのちのポストパンク的にも映るその方向性は、ある意味では“早すぎた1枚”と言えるかもしれません。しかし、これがあったからのちのJOY DIVISIONへとつながり、さらにはDEPECHE MODENINE INCH NAILSへと続いていった……というのは大袈裟でしょうか。

イギーらしい躍動感は次作『LUST FOR LIFE』(1977年)に譲るものの、アート性や実験性の豊かさにおいては本作のほうが優っており、そこも含めてボウイの色が強く出てしまった感は否めません。のちにボウイ自身が『LODGER』(1979年)で歌詞とタイトルを改め「Red Money」と題してセルフカバーした「Sister Midnight」、メガヒット作『LET'S DANCE』(1983年)で取り上げた「China Girl」など、彼自身の思いれが強い楽曲が並んでいるのかもしれません。

長尺で実験性の強い「Dum Dum Boys」や「Mass Production」、ボウイのサックスが煌びやかさを生み出す「Tiny Girls」、そして映画『トレインスポッティング』で「Lust For Life」とともに印象的なシーンで使用された「Nightclubbing」など、聴きどころ満載。イギーのヘロヘロボーカルも妙にマッチしていて、気持ちよく楽しめる1枚です。

 


▼IGGY POP『THE IDIOT』
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2023年1月 8日 (日)

DAVID BOWIE『LOW』(1977)

1977年1月14日にリリースされたデヴィッド・ボウイの11thアルバム。

『YOUNG AMERICANS』(1975年)『STATION TO STATION』(1976年)と立て続けにアメリカでアルバム制作を続けたボウイは、この頃ドラッグまみれで心身ともに疲弊状態。ここから抜け出そうとベルリンへと身を移し、プロデューサーに盟友トニー・ヴィスコンティを迎えて新たな創作活動を開始します。

レコーディングにはROXY MUSICの初期メンバーであるブライアン・イーノ(Key)が全面的に参加。また、カルロス・アロマー(G)やジョージ・マーレイ(B)、デニス・デイヴィス(Dr)といった前作からの面々もベルリンまで飛び、さらには当時ボウイとの交流が復活し始めていたイギー・ポップもコーラスで加わっています。ここでの共演は、のちのイギーのアルバム『IDIOT』(1977年)や『LUST FOR LIFE』(1977年)まで続いていくことになります。

のちに“ベルリン三部作”と呼ばれる連作の第1弾となる今作は、前作『STATION TO STATION』でもその片鱗を見せ始めていたKRAFTWERKなど実験的なジャーマンロックからの影響が表出。アナログA面にあたる冒頭7曲のうち5曲(M-2「Breaking Glass」からM-6「Be My Wife」)が歌モノ楽曲で、アナログB面(M-8「Warszawa」以降)がインストゥルメンタルナンバー中心という異色の構成となっています。特に、「Warszawa」以降の4曲は前衛的なエレクトロニック/アンビエントミュージックを独自の解釈で表現しており、ブライアン・イーノから受けた影響がより濃く表れたスタイルと言えるでしょう。

一方、歌モノ楽曲で表現されるのは、『STATION TO STATION』で試みた独自のホワイトファンク/プラスティックソウルをよりヨーロピアンテイストで進化させたものばかり。イーノらしい電子音が随所に加わることで、その良い意味でのノイジーさが心地よく感じられ、『YOUNG AMERICANS』から、いやもっと言えば『DIAMOND DOGS』からの試行錯誤がようやく結実したと言っても過言ではありません。

母国イギリスではパンクロックが新たなムーブメントを生み出そうとする中、喧騒から離れベルリンで新たな形を完成させたボウイ。一見別々の道を歩んでいるように映りますが、ここで生み出した方向性がのちのニューウェイヴで交差することになるのですから、なんとも面白いものです。

 


▼DAVID BOWIE『LOW』
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2022年1月 1日 (土)

2021年総括

昨日のエントリー(2021年総括:HR/HM、ラウド編)にも書いたように、2021年は前年から引き続き新型コロナウイルスの影響が響いた1年でした。夏くらいまでは一喜一憂の日々を過ごしてきたものの、ワクチン接種など少しずつ動きもあったことで、秋から年末にかけて感染者数も1年前と比べると少し落ち着きを見せています。そういったポジティブな要素が影響し、エンタメ界も少しずつ明るい兆しを見せ始めています。もちろん、2年前と比べたら明らかに違った日常にはなってしまいましたが、それでも新たなスタンダードを確立させようと我々も日々奮闘し続けているところ。さて、この状況が春、そして夏場のフェスシーズン、年末までにどう変わっていくのか、じっくり見届けたいと思います。

2021年の総括に関してです。今年も昨年同様に「アルバム/シングル/楽曲と枠にこだわらず、20作品に縛る」形でまとめさせてもらいました。また、サブスクの普及により、数年がかりでヒットする(リスナーにまで浸透する)ケースも顕著になってきているので、セレクトする作品に関しても特に2021年発売には拘っておりません。それと、ヘヴィ/ラウド系は先に紹介したエントリーにて総括しているので、こちらでは省いております。

こちらも特に順位付けをせず、アルファベット→50音順で掲載しております。

 

ABBA『VOYAGE』(Apple Music)(アルバム/レビュー

 

THE ANCHORESS『THE ART OF LOSING』(Apple Music)(アルバム/レビュー

 

ARLO PARKS『COLLAPSED IN SUNBEAMS』(Apple Music)(アルバム)

 

BTS「Butter」(Apple Music)(楽曲)

 

DAVE GAHAN & SOULSAVERS『IMPOSTER』(Apple Music)(アルバム/レビュー

 

FAYE WEBSTER『I KNOW I'M FUNNY HAHA』(Apple Music)(アルバム)

 

Liella!「始まりは君の空」(Apple Music)(楽曲)

 

Little Glee Monster「REUNION」(Apple Music)(楽曲)

 

MÅNESKIN「I Wanna Be Your Slave (with IGGY POP)」(Apple Music)(楽曲)

 

MANIC STREET PREACHERS『THE ULTRA VIVID LAMENT」(Apple Music)(アルバム/レビュー

 

SUPER BEAVER『アイラヴユー』(Apple Music)(アルバム)

 

WAVVES『HIDEAWAY』(Apple Music)(アルバム)

 

WEEZER『OK HUMAN』(Apple Music)(アルバム/レビュー

 

ウマ娘「うまぴょい伝説」(Apple Music)(楽曲)

 

からあげ姉妹「1・2・3」(Apple Music)(楽曲)

 

楠木ともり『narrow』(Apple Music)(EP/レビュー

 

櫻坂46「流れ弾」(Apple Music)(楽曲)

 

鞘師里保『DAYBREAK』(Apple Music)(EP)

 

ドレスコーズ『バイエル』(Apple Music)(アルバム)

 

22/7「ヒヤシンス」(Apple Music)(楽曲)

 

海外アーティストに関しては、メタル/ラウド以外は相変わらず女性ボーカルものを聴く機会が多く、あとは旧譜のリイシューばかり。最新のポップスはヒットチャートものをまとめたプレイリストなどで触れているものの、やっぱり耳に残ったのはBTSと、それ以外だとMÅNESKINあたりかな。DRY CLEANING『NEW LONG LEG』は最後までギリギリ入れるか悩みましたが。

特に国内アーティストに関してもいろいろ悩みましたが、こんな感じでしょうか。楠木ともりさんは上半期総括では2nd EP『Forced Shutdown』をセレクトしましたが、常に最新作がベストを更新している印象もあるので(かつ年末のライブも素晴らしかったので)3rd EPを選出。日向坂46「君しか勝たん」もギリギリまで悩みましたが、それ以外の楽曲/アルバムが素晴らしすぎてこういう結果となりました。ここから漏れた作品だとGuilty Kiss『Shooting Star Warrior』(アルバム)、INORAN『ANY DAY NOW』、鈴木愛奈『Belle révolte』、矢野顕子『音楽はおくりもの』、和田彩花『私的礼讃』、楽曲単位だとOfficial髭男dism「Universe」、toku「ずるいよ、桜 feat. 神田沙也加」、アネモネリア「巣立ちの歌」、伊藤美来「No. 6」、乃木坂46「最後のTight Hug」などなど。

明日は、本サイトのエントリーにおける総括を実施予定。年末年始はこういう形の更新で、ここ1年を振り返ることができたらと思います。

 

2021年1月16日 (土)

IGGY POP『LUST FOR LIFE』(1977)

1977年8月にリリースされたイギー・ポップの2ndアルバム。

THE STOOGES解散後、デヴィッド・ボウイのサポートを経て『THE IDIOT』(1977年)にてソロデビューへとこぎつけたイギー。同作から5ヶ月という短いスパンで発表されたソロ2作目は、当時の勢いをそのまま凝縮したかのような傑作に仕上がっています。

『THE IDIOT』はボウイの単独プロデュースだったものの、今作ではイギーもプロデューサーに名を連ねています。また、ソングライティング面でも前作は全曲ボウイ/イギーの共作としてクレジットされていましたが、今回は作詞の大半をイギーが、作曲では「Lust For Life」や「Tonight」をボウイが単独で、「Sixteen」ではイギーが単独で手がけており、リッキー・ガードナー(G)による「The Passenger」などあるものの、それ以外はボウイがほかのソングライターと共作したもので占められています。

前作ではダークさやダルさなどニューウェイヴ感が随所から感じられましたが、本作ではちょっと突き抜けた感が全体を覆っており、そのへんが当時のボウイのカラーだったのかなと。そういう意味では、イギーの持ち味とボウイの持ち味が程よい加減でミックスされた、奇跡的なバランス感の1枚と言えるでしょう。

とにかく、キャッチーな楽曲が多いのが本作の特徴。映画『トレインスポッティング』を機に、一気に知名度を高めたタイトルトラック「Lust For Life」のポップさ。あのモータウン調のドラムビート含め、すべてがキャッチーなんです。ほかにも、イギーのライブには欠かせない「The Passenger」や、「Lust For Life」にも匹敵するキャッチーさの「Some Weird Sin」に「Success」、のちにボウイが自身のアルバム『TONIGHT』(1984年)でセルフカバーする「Tonight」や「Neighborhood Threat」、豪快でカッコいいロックンロール「Sixteen」、ソウルフルさが際立つ「Turn Blue」「Fall In Love With Me」と捨て曲ゼロ。これを怪作『THE IDIOT』とほぼ同時期に仕上げてしまったイギーとボウイの創作欲たるや、お見事としか言いようがありません。

THE STOOGESの(当時の時点での)ラスト作となった『RAW POWER』(1973年)、初ソロ作『THE IDIOT』、そして本作と3作続けてボウイとのコラボレーションを続けたイギーですが、続くソロ3作目『NEW VALUES』(1979年)ではジェームス・ウィリアムソン(G/THE STOOGES)と再びタッグを組んで混沌とした世界へと舞い戻っていきます。以降もたびたびボウイとのコラボは実現していますが、本格的なプロデュースという点においては、ここから9年後の『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)まで待たねばなりません。そして、そのアルバムこそ自分がリアルタイムで初めて触れたイギーの作品。これが正しかったのか、間違っていたのかは今でもわかりませんが……。

 


▼IGGY POP『LUST FOR LIFE』
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2021年1月11日 (月)

IGGY & THE STOOGES『RAW POWER』(1973)

1973年5月にリリースされたTHE STOOGES(IGGY & THE STOOGES名義)の3rdアルバム。日本盤は初出時、『淫力魔人』の邦題のもとリリースされています。

前作『FUN HOUSE』(1970年)発表後、デイヴ・アレクサンダー(B)がアルコール中毒でバンドから解雇。イギー・ポップ(Vo)を筆頭に他メンバーもドラッグ問題に陥り、バンドは活動休止状態に陥ります。そんなタイミングに、イギーはデヴィッド・ボウイと出会い、ボウイがイギーをサポートすることに。イギーはTHE STOOGEを再生させようと、ジェーウズ・ウィリアムソン(G)とともに音楽活動を再開させます。新たなリズム隊を探すものの、なかなか良いメンツに恵まれず、結果として旧THE STOOGESからロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟を呼び戻し、ロンがベースにスイッチすることで新生THE STOOGESとしての活動が始まるわけです。

すべての楽曲をイギーとジェームズで制作し、プロデュースをイギーが担当、ボウイがミックスを手がけた『RAW POWER』では、初期のアートロック的なテイストが完全に払拭され、ガレージロック色をさらに強めた初期パンク的な作風を確立。以降に続くイギーのパブリックイメージを定着される上でも、非常に重要な1枚となりました。また、オープニングを飾る「Search And Destroy」やタイトルトラック「Raw Power」などは、現在まで多くのアーティストたちにカバーされる人気ナンバーで、イギーもソロになってからも演奏する機会を多く持ちました。

本作は1997年に国内初CD化されておりますが、実はこのバージョンは1973年のオリジナル盤とはミックスがまったく異なります。というのも、1997年バージョンはミックスをイギーがやり直しているのです。ボウイがミックスしたオリジナルバージョンはリズムトラック音圧が低く、ボーカルとギターのみが前に出過ぎていて、このバンドが本来持つ暴力性や狂気性を表現しきれていない気がします。

このミックスに対する不満の声が多かったことに対し、イギーは「どの曲も音が全部振り切れるくらいボリュームを上げて、すごい激しいミックスになったぜ!」とやりすぎってくらい高音圧で激しいリミックスバージョンを完成させます。のちに「スタッフが怖気づいておとなしいバージョンってのを作ったが、俺は聴くことさえ拒否した」とのことで(笑)、そちらの修正版の仕上がりも気になるところです。

内容に関しては文句なし。生々しいロックンロールをベースに、パンクやブルースを味付けに、時にはハードロックと言わんばかりのヘヴィさも表現された本作は、ボウイ版よりもイギー版のミックスで聴くことをオススメします。なお、ボウイ版ものちにCD化され、現在もストリーミングサービスで聴くことができるので、気になった方は聴き比べてみてはどうでしょう。その際、先にイギー版から聴いてしまうと、ボウイ版がペラペラに感じられること間違いなしなのでご注意を(苦笑)。

 


▼IGGY & THE STOOGES『RAW POWER』
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2021年1月 7日 (木)

DAVID BOWIE『TONIGHT』(1984)

1984年9月にリリースされたデヴィッド・ボウイの16thアルバム。

前作『LET'S DANCE』(1983年)および同名シングルの大ヒットを受け、前作から1年半という短いスパンで届けられた本作。方向性的には間違いなく前作の延長線上にあるのですが、いざ収録内訳を確認すると全9曲中5曲がカバー(前作における「China Girl」同様、イギー・ポップへの提供曲セルフカバー3曲含む)という事実に驚かされます。

プロデューサーは前作でのナイル・ロジャースからデレク・ブラブル&ヒュー・パジャムに交代。デレクはファンクバンドHEATWAVEの元メンバーで、ジャッキー・グラハムやフェイス・ヒルなどを手がけたことで知られる人。ヒュー・パジャムは80年代前半にTHE POLICEやフィル・コリンズ、HUMAN LEAGUE、XTCなどで名を馳せたご存知の方。前作でやろうとしたことを、各分野のトップランナーを迎えることでより濃く表現しようとした結果なのでしょうか(単にナイル・ロジャースが売れっ子すぎて捕まらなかった説もありますが)。

オープニングを飾る「Loving The Alien」は儚くも美しい世界観を持つ良曲ですが、ベースラインが「Let's Dance」をなぞっていたりして、なるほどと納得されられます。また、この曲が本作で最長の7分強というのも、なんとなく「Let's Dance」の二番煎じ的な……そこと重ねてしまうと「う〜ん」と思ってしまいがちですが、過去を切り離して曲単位で考えると非常によくできた1曲ではないでしょうか。

イギー程曲曲のカバー「Don't Look Down」や「Tonight」は、意外と落ち着いた雰囲気で好印象。後者はティナ・ターナーをデュエット相手に迎えており、このレゲエテイストの緩やかな曲調で暑苦しい歌声を響かせます(笑)。「God Only Knows」はご存知THE BEACH BOYSの名曲カバー。このスタンダード感もまた良し。ブラックミュージックやスタンダードナンバー的な楽曲をカバーすることで、ポップスター感をより強めることに成功しています。

後半には前作における「Modern Love」的なスタジアムロック「Neighborhood Threat」(イギー提供曲のカバー)があったり、当時ノエビア化粧品(懐かしい……笑)のCMソングとしておなじみだった「Blue Jean」(全英6位/全米8位)、ボウイ&イギーの共作によるファンキーな「Tumble And Twirl」があったり、そのイギーをデュエット相手として迎えた「Dancing With The Big Boys」があったりと、なかなかバラエティに富んだ構成となっています。そんな中、個人的に印象深いのは60年代に活躍したR&Bシンガー、チャック・ジャクソンのカバー「I Keep Forgettin'」がお気に入り。いかにもヒュー・パジャム的なタムタムドラムの音色はさすがに今聴くと苦笑してしまいますが、全体を通して悪くないんじゃないかな。いや、かなり良いと思うんですが……。

前作での成功の余波もあり、本作は全英1位/全米11位と大健闘。ですが、二番煎じ感が強かったためか、前作以上に低評価なんですよね。だけど、改めて聴き込むと……実は『LET'S DANCE』よりよく作り込まれた良作じゃないかと気づくわけです。これを聴いちゃうと、『LET'S DANCE』はこのアルバムの習作だったんじゃないか……とすら思えてくるのですが、ふと冷静になって考えると、収録曲の半数以上がカバーという事実にぶち当たる。これが低評価の要因のひとつでもあるのかな。

だけど、個人的な好みで言えば確実にこっち。ここはぜひ“もっとも再評価されるべき1枚”だと断言させてください。

 


▼DAVID BOWIE『TONIGHT』
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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


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