カテゴリー「Iggy Pop」の13件の記事

2021年1月16日 (土)

IGGY POP『LUST FOR LIFE』(1977)

1977年8月にリリースされたイギー・ポップの2ndアルバム。

THE STOOGES解散後、デヴィッド・ボウイのサポートを経て『THE IDIOT』(1977年)にてソロデビューへとこぎつけたイギー。同作から5ヶ月という短いスパンで発表されたソロ2作目は、当時の勢いをそのまま凝縮したかのような傑作に仕上がっています。

『THE IDIOT』はボウイの単独プロデュースだったものの、今作ではイギーもプロデューサーに名を連ねています。また、ソングライティング面でも前作は全曲ボウイ/イギーの共作としてクレジットされていましたが、今回は作詞の大半をイギーが、作曲では「Lust For Life」や「Tonight」をボウイが単独で、「Sixteen」ではイギーが単独で手がけており、リッキー・ガードナー(G)による「The Passenger」などあるものの、それ以外はボウイがほかのソングライターと共作したもので占められています。

前作ではダークさやダルさなどニューウェイヴ感が随所から感じられましたが、本作ではちょっと突き抜けた感が全体を覆っており、そのへんが当時のボウイのカラーだったのかなと。そういう意味では、イギーの持ち味とボウイの持ち味が程よい加減でミックスされた、奇跡的なバランス感の1枚と言えるでしょう。

とにかく、キャッチーな楽曲が多いのが本作の特徴。映画『トレインスポッティング』を機に、一気に知名度を高めたタイトルトラック「Lust For Life」のポップさ。あのモータウン調のドラムビート含め、すべてがキャッチーなんです。ほかにも、イギーのライブには欠かせない「The Passenger」や、「Lust For Life」にも匹敵するキャッチーさの「Some Weird Sin」に「Success」、のちにボウイが自身のアルバム『TONIGHT』(1984年)でセルフカバーする「Tonight」や「Neighborhood Threat」、豪快でカッコいいロックンロール「Sixteen」、ソウルフルさが際立つ「Turn Blue」「Fall In Love With Me」と捨て曲ゼロ。これを怪作『THE IDIOT』とほぼ同時期に仕上げてしまったイギーとボウイの創作欲たるや、お見事としか言いようがありません。

THE STOOGESの(当時の時点での)ラスト作となった『RAW POWER』(1973年)、初ソロ作『THE IDIOT』、そして本作と3作続けてボウイとのコラボレーションを続けたイギーですが、続くソロ3作目『NEW VALUES』(1979年)ではジェームス・ウィリアムソン(G/THE STOOGES)と再びタッグを組んで混沌とした世界へと舞い戻っていきます。以降もたびたびボウイとのコラボは実現していますが、本格的なプロデュースという点においては、ここから9年後の『BLAH-BLAH-BLAH』(1986年)まで待たねばなりません。そして、そのアルバムこそ自分がリアルタイムで初めて触れたイギーの作品。これが正しかったのか、間違っていたのかは今でもわかりませんが……。

 


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2021年1月11日 (月)

IGGY & THE STOOGES『RAW POWER』(1973)

1973年5月にリリースされたTHE STOOGES(IGGY & THE STOOGES名義)の3rdアルバム。日本盤は初出時、『淫力魔人』の邦題のもとリリースされています。

前作『FUN HOUSE』(1970年)発表後、デイヴ・アレクサンダー(B)がアルコール中毒でバンドから解雇。イギー・ポップ(Vo)を筆頭に他メンバーもドラッグ問題に陥り、バンドは活動休止状態に陥ります。そんなタイミングに、イギーはデヴィッド・ボウイと出会い、ボウイがイギーをサポートすることに。イギーはTHE STOOGEを再生させようと、ジェーウズ・ウィリアムソン(G)とともに音楽活動を再開させます。新たなリズム隊を探すものの、なかなか良いメンツに恵まれず、結果として旧THE STOOGESからロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟を呼び戻し、ロンがベースにスイッチすることで新生THE STOOGESとしての活動が始まるわけです。

すべての楽曲をイギーとジェームズで制作し、プロデュースをイギーが担当、ボウイがミックスを手がけた『RAW POWER』では、初期のアートロック的なテイストが完全に払拭され、ガレージロック色をさらに強めた初期パンク的な作風を確立。以降に続くイギーのパブリックイメージを定着される上でも、非常に重要な1枚となりました。また、オープニングを飾る「Search And Destroy」やタイトルトラック「Raw Power」などは、現在まで多くのアーティストたちにカバーされる人気ナンバーで、イギーもソロになってからも演奏する機会を多く持ちました。

本作は1997年に国内初CD化されておりますが、実はこのバージョンは1973年のオリジナル盤とはミックスがまったく異なります。というのも、1997年バージョンはミックスをイギーがやり直しているのです。ボウイがミックスしたオリジナルバージョンはリズムトラック音圧が低く、ボーカルとギターのみが前に出過ぎていて、このバンドが本来持つ暴力性や狂気性を表現しきれていない気がします。

このミックスに対する不満の声が多かったことに対し、イギーは「どの曲も音が全部振り切れるくらいボリュームを上げて、すごい激しいミックスになったぜ!」とやりすぎってくらい高音圧で激しいリミックスバージョンを完成させます。のちに「スタッフが怖気づいておとなしいバージョンってのを作ったが、俺は聴くことさえ拒否した」とのことで(笑)、そちらの修正版の仕上がりも気になるところです。

内容に関しては文句なし。生々しいロックンロールをベースに、パンクやブルースを味付けに、時にはハードロックと言わんばかりのヘヴィさも表現された本作は、ボウイ版よりもイギー版のミックスで聴くことをオススメします。なお、ボウイ版ものちにCD化され、現在もストリーミングサービスで聴くことができるので、気になった方は聴き比べてみてはどうでしょう。その際、先にイギー版から聴いてしまうと、ボウイ版がペラペラに感じられること間違いなしなのでご注意を(苦笑)。

 


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2021年1月 7日 (木)

DAVID BOWIE『TONIGHT』(1984)

1984年9月にリリースされたデヴィッド・ボウイの16thアルバム。

前作『LET'S DANCE』(1983年)および同名シングルの大ヒットを受け、前作から1年半という短いスパンで届けられた本作。方向性的には間違いなく前作の延長線上にあるのですが、いざ収録内訳を確認すると全9曲中5曲がカバー(前作における「China Girl」同様、イギー・ポップへの提供曲セルフカバー3曲含む)という事実に驚かされます。

プロデューサーは前作でのナイル・ロジャースからデレク・ブラブル&ヒュー・パジャムに交代。デレクはファンクバンドHEATWAVEの元メンバーで、ジャッキー・グラハムやフェイス・ヒルなどを手がけたことで知られる人。ヒュー・パジャムは80年代前半にTHE POLICEやフィル・コリンズ、HUMAN LEAGUE、XTCなどで名を馳せたご存知の方。前作でやろうとしたことを、各分野のトップランナーを迎えることでより濃く表現しようとした結果なのでしょうか(単にナイル・ロジャースが売れっ子すぎて捕まらなかった説もありますが)。

オープニングを飾る「Loving The Alien」は儚くも美しい世界観を持つ良曲ですが、ベースラインが「Let's Dance」をなぞっていたりして、なるほどと納得されられます。また、この曲が本作で最長の7分強というのも、なんとなく「Let's Dance」の二番煎じ的な……そこと重ねてしまうと「う〜ん」と思ってしまいがちですが、過去を切り離して曲単位で考えると非常によくできた1曲ではないでしょうか。

イギー程曲曲のカバー「Don't Look Down」や「Tonight」は、意外と落ち着いた雰囲気で好印象。後者はティナ・ターナーをデュエット相手に迎えており、このレゲエテイストの緩やかな曲調で暑苦しい歌声を響かせます(笑)。「God Only Knows」はご存知THE BEACH BOYSの名曲カバー。このスタンダード感もまた良し。ブラックミュージックやスタンダードナンバー的な楽曲をカバーすることで、ポップスター感をより強めることに成功しています。

後半には前作における「Modern Love」的なスタジアムロック「Neighborhood Threat」(イギー提供曲のカバー)があったり、当時ノエビア化粧品(懐かしい……笑)のCMソングとしておなじみだった「Blue Jean」(全英6位/全米8位)、ボウイ&イギーの共作によるファンキーな「Tumble And Twirl」があったり、そのイギーをデュエット相手として迎えた「Dancing With The Big Boys」があったりと、なかなかバラエティに富んだ構成となっています。そんな中、個人的に印象深いのは60年代に活躍したR&Bシンガー、チャック・ジャクソンのカバー「I Keep Forgettin'」がお気に入り。いかにもヒュー・パジャム的なタムタムドラムの音色はさすがに今聴くと苦笑してしまいますが、全体を通して悪くないんじゃないかな。いや、かなり良いと思うんですが……。

前作での成功の余波もあり、本作は全英1位/全米11位と大健闘。ですが、二番煎じ感が強かったためか、前作以上に低評価なんですよね。だけど、改めて聴き込むと……実は『LET'S DANCE』よりよく作り込まれた良作じゃないかと気づくわけです。これを聴いちゃうと、『LET'S DANCE』はこのアルバムの習作だったんじゃないか……とすら思えてくるのですが、ふと冷静になって考えると、収録曲の半数以上がカバーという事実にぶち当たる。これが低評価の要因のひとつでもあるのかな。

だけど、個人的な好みで言えば確実にこっち。ここはぜひ“もっとも再評価されるべき1枚”だと断言させてください。

 


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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


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2019年10月 3日 (木)

IGGY POP『FREE』(2019)

2019年9月リリースの、イギー・ポップ通算18作目のスタジオアルバム。

前作『POST POP DEPRESSION』(2016年)ではプロデュースにQUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・オムを迎え、そのジョシュとQOTSAやTHE DEAD WEATHERで活動をともにするディーン・フェルティータ、そしてARCTIC MONKEYSのマット・ヘルダース(Dr)とでバンドを組む形でレコーディング。ポストロック通過後のガレージロックという質感の、70年代後期のイギーを彷彿とさせる内容でした。

続く本作では前作の路線を踏襲することなく、また新たなスタイルに取り組んでいます。プロデューサーにはジャズトランペッターのレロン・ローマス、さらに「Post Pop Depression Tour」のオープニングに起用されたNYベースに活動する女性ギタリスト、サラ・リプステイトのプロジェクトNOVELLERを起用。彼らとレコーディングに取り組んだ結果、非常に大人びた、だけどどこか淫靡さが漂う世界観が構築された作品に仕上がりました。

ポストロックとも異なるそのスタイルは、むしろジャズ側に寄っていると言ってもいいかもしれません。そこにイギーがこれまでに取り組んできたアダルト路線のロックが融合することで、これまであったようでなかったタイプの楽曲/サウンドが奏でられている。新境地ともいえる「James Bond」や「Dirty Sanchez」「Glow In The Dark」ではイギーは楽曲制作に携わっておらず、レロンの楽曲をイギーが歌う……イギー自身の言葉を借りれば「他のアーティストが俺に変わって表現したものなんだ……俺は、ただ声を貸しただけなんだ」ということのようです。

が、その“貸した”声の存在感が非常に大きすぎるんですね。これはもう表現者として、新たなステージに到達したと言ってもいいかもしれません。そういえばイギー、本作の前にはUNDERWORLDとのコラボEPも制作していましたね。思えばあれも、声を使った新たな表現方法の模索だったのかもしれません。

イギー自身、前作を経てそれまでのさまざまな呪縛やしがらみから解放されたと、インタビューなどで発言していました。そのあとに制作されたアルバムのタイトルが『FREE』というのも、なんとも頷けるものがあるといいますか。

そう考えると、本作ってイギーが、デヴィッド・ボウイルー・リードなどの盟友たちを先に失い(そういえば本作にはルー・リードが残した詞を使った「We Are The People」というポエトリーリーディング・ナンバーも収録されています)、人生の最終コーナーに入った彼が「最後にやれる“まだやっていないこと”」を探し求めた結果、たどり着いた場所なのかもしれませんね。アートワーク含め、この悟りきった感にはどこか寂しさも伴います。

もう散々暴れたんだもん。今しかできな表現として、これもアリだよね。僕はこのアルバム、全面支持したいです。大好き。

 


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2019年10月 2日 (水)

NEW YORK DOLLS『ONE DAY IT WILL PLEASE US TO REMEMBER EVEN THIS』(2006)

2006年7月下旬に発表された、NEW YORK DOLLSの3rdアルバム。日本盤もほぼ同タイミングでリリースされています。

彼らがスタジオアルバムをリリースするのは『TOO MUCH TOO SOON』(1974年)以来、実に32年ぶりのこと。とはいえ、黄金期メンバーのジョニー・サンザース(G)もジェリー・ノーラン(Dr)も90年代前半に亡くなっているし、アーサー・ケイン(B)も2004年夏に白血病で亡くなっており、前作から残っているのはデヴィッド・ヨハンセン(Vo)とシルヴェイン・シルヴェイン(G)のみ。

そんな彼らをサポートしたのが、元HANOI ROCKSのサミ・ヤッファ(B)、日本では菅野よう子とのコラボレーションでも(一部で)知られるスティーヴ・コンテ(G)、そしてブライアン・デラニー(Dr)にブライアン・クーニン(Key)という編成。この6人で新生NEW YORK DOLLSとして本格的活動再開を果たしたわけです。

このアルバムのプロデュースを手がけたのは、AEROSMITHCHEAP TRICKなどでおなじみのジャック・ダグラス。さらにゲストアーティストとしてイギー・ポップやマイケル・スタイプ(当時R.E.M.)、トム・ゲイブル(AGAINST ME!/のちのトランスジェンダーを告白し、現在はローラ・ジェーン・グレイスと改名して女性として生活)といったシンガーや、ボ・ディドリー(G)などがプレイヤーとして参加。NEW YORK DOLLSの復活に華を添えています。

さて、気になる内容ですが……うん、ちゃんとNEW YORK DOLLSです。デヴィッド・ヨハンセンの声が年相応の老け方をしており、往年のグラマラスさはもはや見る影もありませんが、この年齢じゃないと醸し出せない渋みがこの音楽スタイルと見事に合致し、より説得力の強い音楽を生み出すことに成功しています。

楽曲的には初期の彼らにすでに備わっていたソウルやR&B……要するにモータウンの要素が強いロック/ポップスが中心で、オープニングを飾るハードドライヴィングな「We're All In Love」こそゴリゴリ感が若干強いですが、それでも彼らならではのしなやかさもにじみ出ており、最初から好感触。その後も時代を超越したスタンダードナンバー/ロックンロールが続いていきます。

無駄にスキャンダラスな要素がなくなったぶん、楽曲と演奏で勝負するしかないわけですが、本来このバンドはそっち側で戦うべき存在だったのではないでしょうか……そう思わずにはいられないほどに、32年の空白を感じさせない“つながり”が見出せる素晴らしい内容です。

恐らくですが、本作においてはオリジナルメンバーからしたらガキンチョでしかないサミやスティーヴの演奏面&ソングライティングでの活躍が非常に大きかったと思うのです。そしてそれは、続く4thアルバム『CAUSE I SEZ SO』でさらに強くなります(だからこそ、2人の脱退がバンドの寿命を縮めてしまったとも言えるわけですが)。

 


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2019年1月13日 (日)

THE STOOGES『FUN HOUSE』(1970)

イギー・ポップ率いるTHE STOOGESが1970年夏に発表した、通算2作目のオリジナルアルバム。当時のメンバーはイギー(Vo)、ロン(G)&スコット(Dr)のアシュトン兄弟とデイヴ・アレクサンダー(B)のオリジナル編成にスティーヴ・マッケイ(Sax)を加えた5人編成。ちなみにデイヴが1975年、ロンが2009年、スコットが2014年、スティーヴが2015年にそれぞれお亡くなりになられています。

デビューアルバム『THE STOOGES』(1969年)はかろうじて全米106位まで上昇するものの、本作はチャートインすらせず。THE STOOGES名義で発表されたアルバム5作品のうち、本作だけがBillboard 200(アルバムチャート)に一度も入らなかったんですが、そんな記録とは一切関係なく、本作は非常に素晴らしいロックアルバムであり、個人的にも彼らの作品中もっともお気に入りの1枚です。そもそも、最初に聴いたTHE STOOGESのアルバムが本作でしたから。

前作はTHE DOORSの影響下にある、サイケデリックなガレージロックという印象でしたが、いよいよ今作でパンクロックの元祖的なアバンギャルドさ、アグレッシヴさが増していきます。パッションとエネルギーの塊のような「Down On The Street」「Loose」「T.V. Eye」という冒頭3曲でまずノックアウトされると、前作でのスタイルをより強化させたスローでヘヴィな「Dirt」へと続いていく。

で、後半は「I Feel Alright」というタイトルでも知られる「1970」からスタート。ここでようやくスティーヴのサックスが加わってきます。その延長線上にある(というより、組曲のように続いているようにも感じられる)「Fun House」で8分近いセッションが繰り広げられ、ラストにノイジーで狂気じみた「L.A. Blues」で幕を降ろす。たった7曲、40分にも満たない本作ですが、前作ではまだまだ薄かったキチガイっぷりが顔を出し始めます(とはいえ、本作ではその要素も6割程度といったところで、本領発揮されるのはステージの上になるわけですが)。

ハードロックファン的にはHANOI ROCKSがライブでカバーした「I Feel Alright」がもっとも親しみやすいかもしれません(実際、僕もそれがあってまず本作を聴いたのです)が、先に挙げた冒頭3強のほうが実は入っていきやすいんじゃないでしょうか。それに加え、同じコード進行で延々ジャムが進む「Fun House」やドゥーミーな「Dirt」のような楽曲も気に入りさえすれば、本作はこのバンドの入り口として最良な1枚と言えるでしょう(ラストのカオスっぷりはこのさい無視します)。

なお、本作は2005年頃にリマスター&デモ/アウトテイクからなる2枚組デラックス仕様も発売。こちらはサブスクでも聴くことができるので、まずはオリジナル盤を聴いてから触れてみることをオススメします。



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2016年12月15日 (木)

IGGY POP『POST POP DEPRESSION』(2016)

スタジオアルバムとしてはIGGY & THE STOOGES名義での『READY TO DIE』(2013年)から3年ぶり、ソロ名義では意外にも『PRELIMINAIRES』(2009年)以来7年ぶりの新作。『PRELIMINAIRES』がジャズやラウンジミュージック寄り(しかも曲によってはフランス語で歌唱)だったので、どんなロックサウンドが聴けるかと思ったら、想像以上に落ち着いたガレージサウンドでびっくりさせられました。

プロデュースにQUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・オムを迎え、そのジョシュとQOTSAやTHE DEAD WEATHERで活動をともにするディーン・フェルティータ、そしてARCTIC MONKEYSのマット・ヘルダース(Dr)とでバンドを組む形でレコーディング。そのヒリヒリしたガレージサウンドはジョシュならではといった感じで、ポストロックを通過した楽曲群も70年代後半のイギーに通ずるものがあります。

聴く前は『READY TO DIE』のような激しく前のめりなパンクロックを期待してたので、ちょっとだけ肩透かし。ただ、イギーのこれまでの活動歴や前作『PRELIMINAIRES』を踏まえると、こういう作風になるのも納得かな。今作が最後のアルバムなんて噂もありますが、気づけばイギーも69歳。盟友デヴィッド・ボウイも亡くなったことを考えれば、イギーが今もこうやって新作をリリースしてくれること自体が奇跡みたいなもの。曲数こそ9曲と少なく感じるけど、1曲1曲の音楽的密度は異常なまでに高いものばかり。『THE IDIOT』から約40年を経てここにたどり着いたという事実も非常に興味深いです。これがアーティストとしての“スワンソング”になるとはまだ思いたくないけど、仮にそうなったとしても納得してしまえる力作ではないでしょうか。

できれば、この編成でのライブも観たかったなぁ。なんてことをつい先日発売されたライブ映像+音源からなる作品『POST POP DEPRESSION : LIVE AT THE ROYAL ALBERT HALL』を手にして考えてしまいました。こちらについては、改めて触れたいと思います。



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2007年8月 2日 (木)

『FUJI ROCK FESTIVAL '07』メモ(主にTHE CUREとTHE STOOGES)@苗場スキー場(2007年7月27日〜29日)

メモ、というか駄文。

終わってから数日経ったけど、今頃今耳の皮がむけてきてて、気持ち悪い。他は日焼け止めの効果があったらしい。

あと、最終日の夜にダニかなにかに刺されたらしく、夜風呂に入っているときに血が流れているのに気付いた。一応その場で洗ったけど、現在小さな水泡(膿んでる?)ができてるのとその周りが異常に痒くなってる。マダニだったら嫌だな、病院行かなきゃと思ってたけど、なんとか薬をこまめに塗ってやり過ごせそう。それにしてもこれ、ブヨでもないしやっぱダニなんだろうな。雨上がりに半ズボンでグリーンに座ってただけでこれだもん。まぁ10年通ってればこういうこともあるか。

もはや何観たか覚えてないけど、やっぱTHE CUREとイギーのインパクトが強すぎて。ほんとMUSEとTHE CUREが終わった時点で、俺の今年のフジロック終わったと思ったもん。あとはオマケくらいな気持ちで、ホントに肩の力抜いて楽しんでた。別にライブ観に行ってるわけじゃないしな、フジは。ライブ観たかったらサマソニで十分だし。

THE CUREはアンコール2回、トータル140分の大ボリューム。「Lovesong」も「Friday I'm In Love」も「Just Like Heaven」も「Why Can't I Be You?」も「A Forest」も「Pictures Of You」も、全部やった。で、最後の最後に「Boys Don't Cry」。鳥肌立ちっぱなしだった。しかも、あんな近くで見られるなんて。

ロバート・スミスって実在したんだね。びっくりした。直前に観たMUSEの記憶が全部ぶっ飛んだよ。


[SETLIST]
01. Open
02. Fascination Street
03. From The Edge Of The Deep Green Sea
04. Kyoto Song
05. Hot Hot Hot
06. Alt.End
07. The Walk
08. The End Of The World
09. Lovesong
10. Pictures Of You
11. Lulaby
12. In Between Days
13. Friday I'm In Love
14. Just Like Heaven
15. If Only Tonight...
16. The Kiss
17. Shake Dog Shake
18. Never Enough
19. Wrong Number
20. One Hundred Years
21. End
--encore--
22. Let's Go To Bed
23. Close To Me
24. Why Can't I Be You?
--encore--
25. A Forest
26. Boys Don't Cry


イギーに関しては、こんな還暦を迎えたいと素直に思った。いや、思わなかったり。やっぱり何回観てもすげえなと。


[SETLIST]
01. Loose
02. Down On The Street
03. 1969
04. I Wanna Be Your Dog
05. T.V. Eye
06. My Idea Of Fun
07. Dirt
08. Real Cool Time
09. No Fun
10. 1970
11. The Mine Room
12. Fun House / LA Blues
13. Skull Ring
--encore--
14. I Wanna Be Your Dog


もう、THE CUREとTHE STOOGESで共感しあえない人とは、しばらく距離を置きたい。そのくらい金曜から今日の今日まで反芻しまくってます。ホント、あとはDEPECHE MODEくらいだな(ないだろうけど)。15~6年ぶりに観たいわマジで。

2005年4月27日 (水)

イギー・ポップ、2005年を生きる。

イギー・ポップの歴史をまとめたアンソロジー盤 登場(CDJournal.com)

 「Virgin」からは過去にもSTOOGES時代からその当時までの曲をまとめた1枚ものベストが出てますが、今回はその改訂版みたいな感じかな。とはいっても、増えた大半が過去の代表曲なんですが‥‥ま、この2005年になっても未だにイギー・ポップを聴いたことがないという、そこのあなた! まずはこれでお勉強でしょう!! 6/22リリース予定(国内)。


ストゥージズ、CD6枚組BOXセットが登場!(CDJournal.com)

 何だかスッゲー代物がリリースされますが、これって5年くらい前に出てたボックスとはまた別内容なんですかね? あれも確かレコーディング・セッションの断片を収録したようなものだった記憶が‥‥結局買い忘れてたら市場から消えてしまってたんだっけ。

 何だかよく判りませんが、買います。多分! 6/13リリース(海外)。


ザ・ストゥージズ、来日ライヴがCD化!(CDJournal.com)

 イギーネタ3連発! 去年3月に「MAGIC ROCK OUT」で来日した際に行われたSHIBUYA-AXでの単独公演を収めたライヴCDが英国でリリースされるそうです。これは音源で聴くよりも映像で観た方がいいような気が‥‥マイクを何度も床に叩き付ける音とかもしっかり「完全収録」じゃなきゃ意味ないよね!(そうか?) そういう意味でも絵が付いた方が‥‥ま、俺は買いますけど! 5/16リリース(UK)。


 とにかく、『GOD OF PUNK』だのと賛辞の声が特に最近増えてるような気がしますが、そうはいっても「50過ぎても平気でステージ上でフルチンになっちゃう」ジジイですからね。愛すべき馬鹿野郎ですよ! 馬鹿最高!!



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Williams AA= AAAMYYY Abbath AC/DC Acacia Strain, the Accept Ace Frehley Adam Lambert Adrian Younge Aerosmith AFI After the Burial Afterglow aiko Air (France) AIR (Japan) AKB48 Alcatrazz Alcest Aldious Alice Cooper Alice in Chains Almighty, the Alter Bridge Altitudes & Attitude Amaranthe American Head Charge American Hi-Fi Anaal Nathrakh Anaïs Anchoress, the Anderson .Paak Andrew W.K. 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