カテゴリー「Incubus」の7件の記事

2020年6月16日 (火)

TOMMY LEE『NEVER A DULL MOMENT』(2002)

2002年5月にリリースされた、トミー・リーMOTLEY CRUE)の1stソロアルバム。

トミーはMOTLEY CRUE脱退後の1999年にMETHODS OF MAYHEMというプロジェクトを立ち上げ、ドラマーのみならずシンガーとしても活躍。同年12月にリリースされた1stアルバム『METHODS OF MAYHEM』ではヒップホップ/ラップメタル界隈の著名アーティストを多数ゲストに迎えるも、セールス的には成功を収めることはできませんでした。

そこから約2年半を経て届けられた本作は、METHODS OF MAYHEMの延長線上にありつつも、ヒップホップというよりは当時ブレイクしていたニューメタルやオルタナ・メタルの影響下にあるサウンドを展開。もちろんリズムの跳ねたヒップホップ/ラップメタル調の楽曲も含まれており、良く言えば「トミーの雑食性をそのまま表現したオムニバス盤のような内容」、悪く言えば「まとまりのない、迷走の1枚」となるのでしょうか。まあ個人的には前者の認識が強いですけどね。

実際、トミーも歌ったりラップしたりと大忙し。オルタナ・メタル調の楽曲では次作『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005年)にも通ずるセンチメンタリズムを見せており、なぜこれがMETHODS OF MAYHEMではなくソロ名義で発表されたのかがこのへんからも伺えるのではないでしょうか。

2002年という時代性を考えれば非常に納得のいく作風ですが、そこから18年経った2020年に聴くと(特にラップメタル調の楽曲には)若干の古臭さは否めません。一方で、リードトラックとしてMVも制作された「Hold Me Down」や、DEFTONESのチノ・モレノ(Vo)をフィーチャーした「Ashamed」、INCUBUSのブランドン・ボイド(Vo)をゲストに迎えた「Blue」あたりには、良質なメロディのおかげもあって普遍性が強く感じられる。これらの楽曲にはMOTLEY CRUEの『MOTLEY CRUE』(1994年)『GENERATION SWINE』(1997年)との共通点も見つけられるはずです(にしても、このゲストの人選もいやらしいですよね。笑)。と同時に、トミーを欠いたMOTLEY CRUEが発表したアルバム『NEW TATTOO』(2000年)で失った要素でもあるわけですよね。

かと思えば、ラップメタルの延長でデヴィッド・ボウイの名曲「Fame」をカバー。当たり障りのないアレンジですし、トミーのボーカルもイマイチ。面白みといったら途中から挿入されるラップパートくらいかなあ。ほかのオリジナル曲の完成度が比較的高水準なだけに、本作で唯一残念なポイントです。

今聴くと、意外とギターがフィーチャーされた作品だったことにも気づかされます。そういう意味では、トミー・リーってどんなに頑張ってヒップホップぶっても、やっぱりロックの人なんですよね。そこを踏まえて、来たるニューアルバム『ANDRO』(2020年)は果たしてどんな作風になっているのか……期待60%、不安40%でリリースを待ちたいと思います(笑)。

 


▼TOMMY LEE『NEVER A DULL MOMENT』
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2020年1月12日 (日)

祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で6回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、前回(1998年4月〜1999年3月)から当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)と被っていることもあり、選出時いろいろ感慨深いものがあったりするのですから、長く続けてみるものですね。

さて、企画説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1999年4月〜2000年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちらです)

 

AC/DC『STIFF UPPER LIP』(2000年2月発売)(Spotify)(レビュー

ATARI TEENAGE RIOT『60 SECOND WIPE OUT』(1999年5月発売)(Spotify)(レビュー

BUCKCHERRY『BUCKCHERRY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

THE CHEMICAL BROTHERS『SURRENDER』(1999年6月発売)(Spotify)(レビュー

CIBO MATTO『STEREO☆TYPE A』(1999年6月発売)(Spotify

D'ANGELO『VOODOO』(2000年1月発売)(Spotify

THE DILLINGER ESCAPE PLAN『CALCULATING INFINITY』(1999年9月発売)(Spotify

DISTURBED『THE SICKNESS』(2000年3月発売/US)(Spotify)(レビュー

THE FLAMING LIPS『THE SOFT BULLETIN』(1999年5月発売)(Spotify

FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

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2019年1月30日 (水)

INCUBUS『MAKE YOURSELF』(1999)

1999年10月発売の、INCUBUS通算3作目のオリジナルアルバム。前作『S.C.I.E.N.C.E.』(1997年)でメジャーデビューを果たし、なおかつKORNのパッケージツアー『FAMILY VALUES TOUR 1998』に参加したことで一気に知名度を上げた彼らは、この3作目のアルバムで独自のスタイルを確立させることに成功します。

前作ではKORNやLIMP BIZKIT的なラップメタルに、『ROOTS』(1996年)期のSEPULTURAのような民族音楽をミックスしたラウドロックスタイルで人気を獲得したINCUBUSでしたが、借り物は借り物であり、ある程度の人気は獲得できてもブレイクスルーまではできずにいました。ヒップホップ的手法はすでに手垢つきまくりですし、民族音楽といっても別に彼らのルーツがそこにわるわけではない。

そうやって追い詰められたとき、彼らが選んだのは「歌」でした。もともとブランドン・ボイド(Vo)というイケメンで良い声を持つフロントマンがいるんだから、それを有効活用しない理由はない。ターンテーブル担当も現在まで在籍するDJキルモアに交代したこともあり、ここから心機一転と言わんばかりに“歌モノラウンドロック”の道を追求していくことになります。

ここの収録された楽曲の大半は、ミドルテンポで派手すぎない演奏をバックに、イケメンがアメリカ人の心に響くよう中音域で歌い上げるもの……言っちゃえばPEARL JAMが90年代初頭から積み上げてきたスタイルの焼き直しでもあるわけですが、それをよりモダンな形で、なおかつポップフィールドでも戦えるように小難しさを排除する。そのシンプルさが、“LIMP BIZKIT以降のアメリカ”でウケたわけです。

リードトラックとなった「Pardon Me」や「Clean」にはまだ前作までの香りがうっすら残っていますが、アルバムタイトル曲「Make Yourself」やオープニングトラック「Privilege」、そして穏やかなノリの「Stellar」あたりは完全に“モダンなラウド/ヘヴィロックをヒップホップ的手法で演奏し、普遍的なアメリカンロックを歌う”という以降のスタイルがほぼ完成しています。どれも一度聴いたら耳から離れないほどのキャッチーさが備わっているはずです。

そして、その極め付けの1曲となるのが、全米9位の大ヒットとなった「Drive」でしょう。アコースティックベースのこの曲こそ、アメリカ人が好みそうな要素が凝縮された“これぞ!”と呼べるもの。もはやラウドでもヘヴィでもないけど、この1曲で彼らは間違いなくてっぺんまで登りつめたわけです。

アルバム自体は全米47位と決して成功といえる数字ではありませんが(前作『S.C.I.E.N.C.E.』はチャートインすらしなかったんだから、それと比べたら大成功ですけど)、シングルヒットも手伝って売り上げは200万枚を突破。同じく代表作となる次作『MORNING VIEW』(2001年)に並ぶトップセールスを記録しています。



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2017年4月25日 (火)

INCUBUS『8』(2017)

いろいろびっくりしました。まず6年ぶりという事実にも驚かされたし、通算8枚目(インディーズ盤含む)という事実にも、そしてその音と携わったアーティストにも。

INCUBUSがユニバーサル(Island Records)に移籍したと伝えられたのが2015年のこと。彼らはその年に4曲入りEP『TRUST FALL (SIDE A)』をリリースしており、その後第2弾EPもしくはアルバムがリリースされるのではと噂されていたけど、結局その年も、そして翌年も大きな動きはなく過ぎていったのでした。

ところが、2017年に入ってすぐにきたるニューアルバムからの新曲「Nimble Bastard」が公開。これがダイナミックなサウンドとワイルドなテイストのロックンロールで、聴いて一発で気に入ったわけです。聞けば、この曲はかのデイヴ・サーディ(SLAYER、MARILYN MANSON、OASISなど)と制作したもので、続くニューアルバムもデイヴのプロデュースになるという。どんなアルバムになるのか、ただただ楽しみに待っていたところ……。

いきなりSKRILLEXがアディショナル・プロデュースおよびミックスで参加することになり、ここに完成したのが今回紹介する『8』になるわけです。

近年はメンバーのマイク・アインジガー(G)もEDM方面でソングライターやギタリストとして活躍していることもあり、SKRILLEXとも当然面識があるだろうし、そもそもSKRILLEXことソニー・ムーアはFROM FIRST TO LASTのフロントマンということで、INCUBUSにも憧れていたことから、このコラボレーションは必然だったのかもしれません。

アルバムの根幹となる楽曲群は、穏やかさを軸に新たな可能性を提示した前作『IF NOT NOW, WHEN?』(2011年)とも異なる、バラエティに飛んだハードロック/ラウドロックが中心。リズムひとつ取っても軽快さよりも、ビートの1音1音のヘヴィさが聴き手にズシリと響きわたるようなものばかり。じゃあ陰鬱としているのかというと、そんなことはまったくなく、するする聴けて、気づけばアルバムを聴き終えているという聴きやすさが伴っています。トータル11曲(日本盤ボーナストラック除く)で40分というランニングタイムも程よく聴けてしまう要因だと思います。

そして、そんな楽曲群をより聴きやすくしながらも、強烈なインパクトを耳に残す一因となっているのが、SKRILLEXによるミックスでしょう。このビート感(主に音色やサウンドアプローチ)は明らかに昨今のダンスミュージックからもののだと思うし、しかもそれをロック畑出身のSKRILLEXが手がけているんだから、そりゃ絶妙なバランス感で成り立つビートが完成するわけですよ。このヘヴィさは『MAKE YOURSELF』(1999年)の頃とも、『A CROW LEFT OF THE MURDER…』(2004年)の頃とも明らかに質感が違うもの。そりゃ曲のアプローチも違うんだから、全然異なるものになるわけですよ。

冒頭2曲(「No Fun」「Nimble Bastard」。後者はシングルバージョンと異なり、SKRILLEXが新たにミックスしたもの。上記のMVはミューミックス音源を用いたものです)のストレートで豪快なロックンロールから、サイケ色を散りばめたフォーキーなヘヴィロック「State Of The Art」、SMASHING PUMPKINSやSTONE TEMPLE PILOTSを彷彿とさせる「Glitterbomb」、これぞ王道INCUBUSナンバーな歌モノ「Undefeated」、ダウナーなモダンR&B「Loneliest」とどんどん表情を変えていく。かと思えば、コミカルなインタールード「When I Became A Man」を挟んで、キラキラ感のあるロック「Familiar Faces」、90年代のインターネットユーザーには懐かしい効果音から豪快なヘヴィロックへと続く「Love In A Time Of Surveillance」、そして唯一SKRILLEXが絡んでないシリアスなインスト「Make No Sound In The Digital Forest」から締めにふさわしいグランジ風ミドルヘヴィな「Throw Out The Map」で終了。いやいや、カッコ良いじゃないですか。

今年でメジャーデビュー20周年。INCUBUSはまだまだいけるよということを示すには最適な1枚というだけでなく、こういうロックがヒットチャートに必要とされなくなりつつある2017年において、今後のシーンを左右する重要な作品かもしれません。



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2004年10月30日 (土)

洋楽カレンダー事情

 さて。今年もあと2ヶ月ってことで、新年に向けていろいろ準備を始める人も多いんじゃないでしょうか。カレンダーもそのひとつですよね。わざわざ買う人もいれば、他所から貰ってきたもので済ます人もいる。人によってその重要度が全然違う一品ですが‥‥洋楽ファンにとってのカレンダーってどうなんでしょう? ビートルズくらい? いや、ブリトニー・スピアーズとかあの辺の女性シンガー系はあるんでしょうけど‥‥

 というわけで、海外制作の、日本からすれば「そんなアーティストのカレンダーなんかあるのかよ!?」みたいなものを幾つか紹介します。全部Amazonで買えるようになってますよー。


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2004年7月 6日 (火)

INCUBUS『A CROW LEFT OF THE MURDER...』(2004)

全米ナンバーワンヒットとなった前作「MORNING VIEW」から約2年3ヶ月、インディー盤を含めると通算5作目となる最新作「A CROW LEFT OF THE MURDER...」は、そのタイトル通り乱立するラウドロック/ニューメタル勢から一歩抜きん出た意欲作に仕上がっています。

メジャーからの2作目(通算3作目)である「MAKE YOURSELF」、及びそのアルバムからのシングル "Drive" の大ヒットによって時の人(バンド)となったINCUBUS。当然ながら続く「MORNING VIEW」は全米初登場1位を記録、名実共にアメリカを代表するラウドロック/ヘヴィロックバンドへと成長していきました。と同時に、彼らが知名度を増す切っ掛けとなった "Drive" や "Wish You Were Here" といった王道アメリカンロック路線により、デビュー時にあった「limpbizkitやKORN辺りの亜流」というイメージを覆し、よりナチュラルな方向へと移行しようと模索。ライヴでTHE ROOTSやJURASSIC 5のメンバーとセッションしたり等、より「そちら側」への歩み寄りを伺わせていました。

で、完成した新作。当初「インディー盤の頃みたいな路線になる」という話があったようですが、いざ蓋を開けてみると‥‥それが至極真っ当なアメリカン(ハード)ロックなんですね。まとも過ぎるくらいに真面目な王道ロック。絶対にアメリカ人、好きそうじゃないこういうの?

これまでとの大きな違いは、まずベーシストが変わったこと。そしてプロデューサーをそれまでのスコット・リット(R.E.M.等を手掛ける第一人者)からブレンダン・オブライエン(PEARL JAMやSTONE TEMPLE PILOTSの諸作を手掛ける名プロデューサー)に変えたことが挙げられるでしょう。ベーシストのチェンジはまぁ、そこまで大きな影響は与えてないかな‥‥元々ジャズ的要素の強い演奏スタイルだったし(時にRUSHのように、そして時にはPRIMUSのようににね)その色合いはこのアルバムでも随所にみられる。じゃあプロデュース面は‥‥というよりも、全体を覆う空気感がこれまでとちょっと違うように感じるのね。もっと物腰柔らかいというか、より人肌の温もりを感じるというか。それまでが冷たかったって意味じゃないけど、とにかくよりナチュラルになった印象が強い。

曲もインプロビゼーションを重視したアレンジがここ数作以上に伸び伸びとしてて、更に歌パートになると‥‥まるでU2かPEARL JAMか!?と思ってしまう程に熱い。元々そういう個性の持ち主だったブランドン・ボイドの歌は、ここで更にひと皮もふた皮も剥けたように感じられます。テクニカルな演奏に負けてないし、むしろ彼の歌が全体を引っ張ってるというイメージが強い。で、実際にそういう楽曲が全体を占めているんだから‥‥そりゃ、聴いていて飽きないし、興味深く最後まで聴けるわけだわ。全14曲、約60分という決して短くない時間だけど、終始いろんな発見をしながら楽しめる1枚に仕上がってます。

ヘヴィでラウドな面も勿論残しつつ、しかしそれらはよりストレートな方向へとシフトしていき、カチっとしていたリズムはよりラフさを取り戻し、どこかユーモラスさまで漂わす。最近ではよく比較される機会も多いPJとの大きな違い‥‥あそこまでシリアスで狂気じみていない。ある意味ではより庶民的というか、身近というか(いや、PJが狂ってて身近じゃない、って意味じゃないですよ。それくら孤高の存在ということを表したかったわけでして)。「汎用版PJ」って表現はちょっと皮肉っぽくなっちゃうけど‥‥けど、本当にそう思えてしまう程、親しみやすさを感じてしまうのが今のINCUBUSであり、このアルバムかな、と。

多分、次のアルバムでは更にレイドバックした、ルーズなアメリカンロックを聴かせてくれるかもしれない‥‥けど、もしかしたらホントに初期の頃みたいなラウド路線に復帰するかもしれない。自然な成長を見せてくれるINCUBUSだけど、ある意味ホントに先を予測できないのもまたINCUBUSらしいというか。まだ一度もライヴを観たことないだけにね‥‥一度は楽しみたいものです。オフィシャル・ブートレッグ盤ばかり聴いてる場合じゃないですよね!



▼INCUBUS『A CROW LEFT OF THE MURDER...』
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2003年11月 1日 (土)

INCUBUS『LIVE AT LOLLAPALOOZA 2003』(2003)

'90年代後半、ラウドロック・ブームの波に乗って登場したINCUBUS。そんな彼等も今や全米ナンバーワン・バンド。だからってわけじゃないだろうけど、PEARL JAM辺りがよくやってる「オフィシャル・ブートレッグ」を今回インターネット上でリリースしまして。ただINCUBUSの場合は、チャリティー名目でこのライヴ盤をリリースしたんだよね。流通にレコード会社を介さないことで、10ドル以下に抑えた値段設定になってたり、紙ジャケにCDが素で入ってる辺りも手作りっぽさがあるし。PEARL JAMのブートシリーズに習ってのことなんだろうね。

けどさ、音に関しては西新宿辺りで売ってるブート盤と比較にならない程、良いわけで。ま、アーティスト側が自ら出す「公式海賊盤」だもん、そりゃ音いいわな普通。ライヴレコーディング自体はどのライヴでも行ってるんだろうけど(後のチェック用に録音自体はしてると思いますよ)、ちゃんとミックスされてるように感じられるのね、このアルバムの音。バランスもいいし。リリースするためにしっかり金かけてる感じ。録って出しって感じじゃないところはまぁブートっぽくないかな、と思うけど。出すことに意義があったんでしょうね、彼等の場合。

タイトルの通り、今年全米をツアーした「ロラパルーザ」ツアーで録音されたものなんだけど、いつ・どこで録音されたものかは明記されていません。最初の数曲は途切れなく進んでいくんだけど、途中から曲毎にブツ切り状態で終わったり始まったりすることから、多分ロラパルーザ・ツアーの中でのベストテイクを集めたものなんでしょうね。ここには13曲、約60分のライヴ音源が入ってるんだけど、実際にはもっと長いのかもしれないよね。だってこのアルバムにはセカンドアルバム「MAKE YOURSELF」からの大ヒット曲 "Drive" が入ってないんだもん。基本的にはナンバーワン・アルバム「MORNING VIEW」からの曲が大半を占め、残りはセカンドからと、ファーストからも2曲。後は同じロラパルーザにも参加したJURASSIC 5のDJ等が参加したジャズ風のインストナンバー "Battlestar" と、俺が持ってる3枚のアルバムには入っていない曲 "Pistola"。バンドのヘヴィな側面ではなく、あくまで "Drive" 以降、「MORNING VIEW」でのエモーショナルな歌モノ路線を強調した選曲になってます。彼等のライヴってまだ一度も観たことがないんだけど‥‥昔「ファミリー・ヴァリューズ」ツアーの映像(ファーストリリース後)を観た時はもっとヘヴィロックしてたような気がするんだけど‥‥きっとサード以降の流れとして、こういうったナチュラルな路線で突き進み、そしてそれが支持されてるんだろうね。何となく納得できるもん、この音源聴いてると。

で、それまでどうしても釈然としなかった点があってね。それが上に書いたように‥‥ずっとヘヴィロックがソフトでエモーショナルな側面を取り入れていったバンドだと思ってたのよ。だから「MORNING VIEW」って‥‥いいアルバムなんだけど、どうにも馴染めないものがあったのよ。けどさ、このライヴ盤を聴くと‥‥見えてくるのね、彼等の出所が。時流に合わせてヘヴィな色合いやDJプレイを取り込んでいたけど、元々はナチュラルなアメリカンロック・バンドなんだなこいつら、って‥‥グランジの波に飲み込まれちゃったけど、正にPEARL JAMがそうであったようにね。

例えばさ‥‥プロデューサーが一緒だったからっていう理由じゃないけど、同じアメリカのバンドとしてR.E.M. 辺りとの共通点も見え隠れするのよ、そういったエモーショナルな曲を聴いてると。勿論、PJなんかの色も見えるし。それって要するに「アメリカ人による、オーソドックスなアメリカンロック」ってことなんじゃないかな、と。表現の手段や方法が違うだけで、根元にあるものはどれも一緒なんじゃないかな、という気がするのね。どうでしょう?

とかいいながらこのバンド、まだ全員20代前半くらいでしょ!? デビューした頃がハタチそこそこだったはずだからさ。きっと次のスタジオ盤(来年前半リリース予定)ってさ、その「MORNING VIEW」よりももっと地味で深いアルバムになるんじゃないかな、って気がするんだよね、このライヴ盤を聴いてると‥‥いやぁ‥‥けどそんなに急ぐ必要もないか。若いなら若いなりの表現方法があるはずだしね。

元々ジャズとかファンクからの影響が強いのもあるし、各メンバーがそういった音楽をやってたらしいから演奏にもそういったノリやテクニックを見出せるんだよね。ターンテーブル担当もただヒップホップ的なスクラッチをするだけじゃなくて、キーボーディストがいるような感じのエフェクト音を沢山取り入れてくれるので、音に広がりを感じるし。願わくばそういった要素を更に微妙に出しつつ、歌を前面に出した「広意義での」ラウドロックを産み続けて欲しいな‥‥と願っております。

機会があったら是非聴いてみてください。スタジオ盤とはまた違った彼等の「顔」を見つけることが出来ますから。



▼INCUBUS『LIVE AT LOLLAPALOOZA 2003』
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