Spotifyでもっとも再生されているIRON MAIDENの楽曲(2024年9月14日現在)
いよいよ来週9月22日から開催となる、IRON MAIDEN実に8年ぶりの来日公演『THE FUTURE PAST WORLD TOUR 2024』。筆者も9月26日公演と29日公演に足を運ぶ予定ですが、今回はタイトルやアートワークからなんとなく想像がつくと思いますが、2021年の最新作『SENJUTSU』に加え、1986年の名作『SOMEWHERE IN TIME』の楽曲を中心に展開されるというもの。ライブタイトル自体は『SENJUTSU』収録曲「Days of Future Past」にもじったものですが、戦国時代(=Past)にスポットを当てた『SENJUTSU』、サウンド的にもシンセギターを用いるなど近未来(=Future)を強く打ち出した『SOMEWHERE IN TIME』という対照的な2枚を並べており、個人的には面白い試みだなと感じています。
昨年から始まった今回のツアーは現在に至るまでセットリストを固定して進行しているので、事前に予習しておきたいという方はこのあたりでチェックしておくといいでしょう。僕自身も事前にライブの流れを把握しておきたくて、Spotifyにプレイリストを作ってみたのですが、いろいろ漁っているうちに過去作と近作の再生回数に目が行きまして。そこで思いました。
IRON MAIDENって世界中でどれくらい再生されているんだろう、と。
で、調べました。すると、興味深いデータが得られました。今回はオリジナルアルバムに絞って、それぞれの作品で再生回数が多い上位3曲を紹介してみたいと思います。なお、数字は2024年9月14日現在のもの。万単位基準で、1000以下は四捨五入しておりますのでご了承ください。
1stアルバム『IRON MAIDEN』(1980年)
・Phantom Of The Opera(4842万回)
・Running Free(2397万回)
・Prowler(2334万回)2ndアルバム『KILLERS』(1981年)
・Wrathchild(3015万回)
・Killers(1732万回)
・Murder In The Rue Morgue(1062万回)
ポール・ディアノ(Vo)時代の2枚は、思っていたよりも再生されていない印象でした。1stアルバムが2ndアルバムより再生数が多いのは予想の範疇でしたが、それでもバンド名を冠した代表トラック「Iron Maiden」がTOP3入りしていないのは意外といいますか(ちなみに同曲は2173万回再生で、1stアルバムでは4番目)。
3rdアルバム『THE NUMBER OF THE BEAST』(1982年)
・Run To The Hills(3億7798万回)
・The Number Of The Beast(2億2331万回)
・Hallowed Be Thy Name(1億7281万回)4thアルバム『PIECE OF MIND』(1983年)
・The Trooper(4億5823万回)
・Fight of Icarus(5779万回)
・Where Eagles Dare(3217万回)5thアルバム『POWERSLAVE』(1984年)
・2 Minutes To Midnight(1億4944万回)
・Aces High(1億1906万回)
・Powerslave(3408万回)6thアルバム『SOMEWHERE IN TIME』(1986年)
・Wasted Years(1億5740万回)
・Caught Somewhere In Time(2395万回)
・Alexander The Great (356-323.B.C.)(2288万回)7thアルバム『SEVENTH SON OF A SEVENTH SON』(1988年)
・Can I Play With Madness(5341万回)
・The Evil That Men Do(4499万回)
・Seventh Son Of A Seventh Son(2178万回)
ブルース・ディッキンソン(Vo)加入後の、いわゆる黄金期と呼ばれる80年代中盤から後半にかけて。『THE NUMBER OF THE BEAST』からは3曲、『PIECE OF MIND』からは1曲、『POWERSLAVE』からは2曲、『SOMEWHERE IN TIME』からは1曲と、それぞれ1億回を超える再生数の楽曲が複数生まれています。概ねシングルヒットが数多く再生されている印象ですが、そんな中で「Powerslave」「Caught Somewhere In Time」「Seventh Son Of A Seventh Son」と各アルバムのタイトルトラックがTOP3入りしているという意外な結果も。「Caught Somewhere In Time」のようにアルバムのオープニングトラックなら再生数が多くなるのもなっとくですが、「Powerslave」はアルバム終盤、「Seventh Son Of A Seventh Son」は中盤とそれぞれ異なる配置。アルバムタイトルトラックだから聴いてみるか……ということなのでしょうか。あと、「Alexander The Great」は昨年からのツアーで久しぶりに演奏されていることもあって、再生数が伸びたんでしょうかね。ライブの定番曲「Heaven Can Waite」(1353万回)よりも遥かに多い数字に驚かされます。
8thアルバム『NO PRAYERS FOR THE DYING』(1990年)
・Bring Your Daughter... To The Slaughter(1682万回)
・Holy Smoke(1123万回)
・No Prayer For The Dying(555万回)9thアルバム『FEAR OF THE DARK』(1992年)
・Fear Of The Dark(3億3666万回)
・Wasting Love(9789万回)
・Afraid To Shoot Strangers(3832万回)
ヤニック・ガース(G)が加入、ブルース在籍時末期の90年代初頭の2枚。『NO PRAYERS FOR THE DYING』は作品の評価同様、黄金期の諸作品と比べると再生数が著しく劣ります。が、『FEAR OF THE DARK』からはライブ定番曲となったタイトルトラックの3億回再生を筆頭に、シングル曲とはいえライブで頻繁に演奏されるわけでもない、なのに1億回近い再生数を誇る「Wasting Love」、地味に人気の高い「Afraid To Shoot Strangers」が上位入り。面白い結果です。なお、同作からシングルヒットした「Be Quick Or Be Dead」は3646万回、「From Here To Eternity」は1248万回にとどまっています。
10thアルバム『THE X FACTOR』(1995年)
・Man On The Edge(886万回)
・Sign Of The Cross(862万回)
・Lord Of The Flies(270万回)11thアルバム『VIRTUAL XI』(1998年)
・The Clansman(1655万回)
・Futureal(797万回)
・Como Estais Amigos(242万回)
ブレイズ・ベイリー(Vo)が参加した2作品は、やはりというかあまり再生されていない印象。ブルース復帰後も演奏される機会の多い「The Clansman」こそ1000万回再生を超えていますが、それ以外は低調気味。そういえば当サイトでもこの2枚はまだ紹介していませんでしたね……そのうち改めて書いてみようと思います。
12thアルバム『BRAVE NEW WORLD』(2000年)
・The Wicker Man(6090万回)
・Blood Brothers(4323万回)
・Brave New World(2655万回)13thアルバム『DANCE OF DEATH』(2003年)
・Dance Of Death(3793万回)
・Rainmaker(1361万回)
・Raschendale(1173万回)14thアルバム『A MATTER OF LIFE AND DEATH』(2006年)
・For The Greater Good Of God(1493万回)
・Different World(1212万回)
・These Colours Don't Run(1075万回)15thアルバム『THE FINAL FRONTIER』(2010年)
・When The Wild Wind Blows(1096万回)
・Coming Home(997万回)
・El Dorado(731万回)
ブルースやエイドリアン・スミス(G)が復帰し、現在の6人体制になってから制作された2000年代のアルバム4作品。復帰一発目の『BRAVE NEW WORLD』はやはり注目度が高いのと、現在もライブで披露される機会の多い楽曲が複数含まれていることから、以降の3作品と比べると全体的に数字が高い。が、作品を重ねるごとに数字が落ち始めています。作品のクオリティはどれもそう変わらないはずですが、なかなか難しいものですね。
16thアルバム『THE BOOK OF SOULS』(2015年)
・Speed Of Light(3080万回)
・If Eternity Should Fail(1998万回)
・The Red And The Black(1498万回)17th『SENJUTSU』(2021年)
・The Writing On The Wall(4136万回)
・Days Of Future Past(1977万回)
・Stratego(1811万回)
2010年代半ば以降の2作品。フィジカルではCD2枚組の長尺アルバムですが、ここ日本でもサブスクがスタートして以降のリリースとあってか再生数はかなり安定している印象。シングルカット曲、ライブで頻繁に披露される曲が多く再生されているのは納得でしょうか。
ちなみにライブアルバムに関してですが、どれも数百万回再生止まりで、億単位はゼロ。1000万回超えは『ROCK IN RIO』(2002年)収録の「Fear Of The Dark」(2116万回)と『A REAL LIVE DEAD ONE』(1993年)収録の「The Trooper」(1212万回)の2曲のみでした。
以上を踏まえて、2024年9月中旬時点での「Spotifyでもっとも再生されているIRON MAIDENの楽曲」上位20曲は下記のようになりました。
1位:The Trooper(4億5823万回)
2位:Run To The Hills(3億7798万回)
3位:Fear Of The Dark(3億3666万回)
4位:The Number Of The Beast(2億2331万回)
5位:Hallowed Be Thy Name(1億7281万回)
6位:Wasted Years(1億5740万回)
7位:2 Minutes To Midnight(1億4944万回)
8位:Aces High(1億1906万回)
9位:Wasting Love(9789万回)
10位:The Wicker Man(6090万回)
11位:Flight Of Icarus(5779万回)
12位:Can I Play With Madness(5341万回)
13位:Phantom Of The Opera(4842万回)
14位:The Evil That Men Do(4499万回)
15位:Blood Brothers(4323万回)
16位:The Writing On The Wall(4136万回)
17位:Afraid To Shoot Strangers(3832万回)
18位:Dance Of Death(3793万回)
19位:Children Of The Damned(3724万回)
20位:Be Quick Or Be Dead(3646万回)
億超えの上位8曲は納得の結果でしょうか。そういう意味では、億に届きそうで届かないライン(「Wasting Love」「The Wicker Man」をはじめとする楽曲群)が個人的には興味深かったです。40年以上のキャリアを持つヘヴィメタルバンドとして、この数字は順当なものなのかどうかは正直わかりませんが、我々のような80年代リアルタイム通過組のみならず、まだ彼らの音楽に触れたことがない世代にも少しは興味を持ってほしいな……と思わずにはいられません(まあ、安くても1万8000円という来日公演に足を運ぶ若年層は皆無かもしれませんが……)。