JAMES BAY『CHAOS AND THE CALM』(2016)
昨年末からCDショップにて輸入盤が展開され、さまざまなメディアで名前を目にする機会の多かったUK期待の大型新人アーティストがついに日本デビューを果たした。ぶっちゃけ、ここまでの展開やメディアでの持ち上げ方に対して、ちゃんと聴く前から食傷気味だったが、今回じっくり聴いてみたら……なるほど、と唸ってしまう仕上がりだったので、あながち世間の持ち上げ方は間違いではなかったことに気付かされた。食わず嫌いで申し訳なかった。
フォーキーでソウルフル、適度にロック色もあって若いのに枯れ気味。アデル以降の大型新人シンガーに共通する要素だが、昨年のサム・スミスしかり、すべては「声」なのだと実感させられる。ずっと聴いていても飽きがこないし、かといって聴き流せるほど地味な内容でもない、絶妙なバランス感で成り立つ。グラミー主要3部門ノミネートも納得の楽曲群が並ぶ恐るべし良作。日本では売りにくい作風かもしれないが、野外フェス出演で一気に大化けしそうな予感。大自然でまったり聴きたい。
※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部修正して掲載しております。