2017/10/11

GENE SIMMONS『ASSHOLE』(2004)

KISSジーン・シモンズが2004年に発表した通算2作目のソロアルバム。前作『GENE SIMMONS』(1978年)は当時のKISSのメンバー4人が同時にソロアルバムを発表するという、いわば企画チックな側面がありましたが、本作はフルメイクKISSが復活して以降、枠にハマったサウンドスタイルでの活動に対するある種の捌け口として制作された、完全にジーンの(良くも悪くも)自己満足的アルバムです。だって、このタイトルですもの……(苦笑)。

……と、言い切ってしまっていいものかアレですけど、その理由は聴いてもらえば理解していただけるんじゃないかと。とにかく、内容が“ごった煮”なんです。90年代前半のKISSが見せたラウド&オルタナティヴ路線を軸にしつつも、70年代のKISSらしい豪快なハードロックあり、ダンスあり、ヒップホップあり、AOR的歌モノあり、シンフォニック風変わりなポップソングあり、ベックにも通ずるダウナーなオルタナフォークあり……ね? これだけ聞いたらカテゴライズ不能でしょ? そもそも、ジーン・シモンズという策士はそういう奴ですからね。頭が良い(商才に長けている)んですよ。

けど、それがときには仇となることもある。それがまさに、このアルバムなんじゃないでしょうか。ぶっちゃけ、ジーン・シモンズというラベルがなければこんなアルバム、“焦点ずれまくりのオナニー的作品”と切り捨てられるのが関の山でしょうし。けど、“あの”ジーン・シモンズが26年ぶりにソロアルバムを作りました、と知らされてから聴けばなんとなく納得できてしまう……気がする。うん、不思議です。

KISS的なハードロック“のみ”を求める人には、本作はところどころ厳しい1枚かもしれません。が、KISSでジーンが書く/歌う曲が好きという人、1枚目のソロアルバムも気に入っているという人なら問題なく楽しめるんじゃないかと。確かにTHE PRODIGY「Firestarter」のカバーやら、ボブ・ディランやフランク・ザッパとの共作曲やらトリッキーな楽曲も含まれていますが、全体的にはヘヴィな曲よりもフォーキーでポップな楽曲のほうが印象に残るという、そんな“いかにもな”ソロアルバムです。思えばこの人、KISSの前身バンド・WICKED LESTERでもフォーキーな音楽をやってましたしね。

また、先の「Firestarter」ではデイヴ・ナヴァロ(JANE'S ADDICTION)がギターを弾いていたり、他にも現KISSのエリック・シンガー(Dr)、元KISSのブルース・キューリック(G)や、リッチー・コッツェン(G)、ドゥイージル・ザッパ(G)など興味深いゲストプレイヤーも多数参加しているので、プレイ面も問題なく楽しめるはず。

ちなみに、『LOUD PARK 2017』にGENE SIMMONS BAND名義で出演するジーン。残念ながら直近のツアーでは本作からの楽曲は1曲も披露されていないようで、KISSの楽曲が中心とのこと。ソロ曲は1枚目から「Radioactive」のみみたいですね。だったらそっちを取り上げたらよかった……と全部書き終えてから後悔しているところですが、本作は本作で言うほど悪くないので、チャンスがあったらぜひ聴いてみてください。珍味らしい味わい深さ満載なので。



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投稿: 2017 10 11 12:00 午前 [2004年の作品, Gene Simmons, Jane's Addiction, KISS, Prodigy, The, Richie Kotzen] | 固定リンク

2017/07/21

RED HOT CHILI PEPPERS『ONE HOT MINUTE』(1995)

1995年秋に発表された、RED HOT CHILI PEPPERS通算6枚目のスタジオアルバム。前作『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』(1991年)がバカ売れ(全米3位、全世界でトータル1300万枚超)したものの、リリース翌年にジョン・フルシアンテ(G)が突如脱退。以降はサポートなどで数名のギタリストを入れ替えつつ活動していましたが、最終的に元JANE'S ADDICTIONのデイヴ・ナヴァロが加入するという衝撃の展開に。そうして約4年ぶりに発表されたのが、この『ONE HOT MINUTE』というアルバムです。

ジョンならではのメロウ&サイケデリックな側面が強く表れ、それがレッチリ本来のファンク+パンクなスタイルと融合したことで4thアルバム『MOTHER'S MILK』(1989年)よりも強靭な個性を確立。しかもそのアルバムがバカ売れしてしまったことで、バンドは成功した路線を踏襲するのかどうかに注目が集まりましたが、そこはレッチリのこと。『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』とは異なるハードな作品を提供してくれました。

とにかく、デイヴ・ナヴァロのギターが派手。JANE'S ADDICTION時代もその個性的なプレイでリスナーを楽しませてくれたデイヴですが、本作ではとにかくギターが暴れまくっている。で、必然的に楽曲もそれに見合った激しくて派手なファンクロックが満載。1曲目「Warped」での緊張感の強いサウンド&プレイは、この時期この編成ならではの奇跡的な好演ではないでしょうか。

その後も「Aeroplane」「Deep Kick」「Coffee Shop」「One Big Mob」「Shallow Be Thy Game」など、とにかくカッコいい曲が満載。かと思うと、前作における「Under The Bridge」ほどではないもののそれなりに聴き応えのある歌モノ「My Friends」「Tearjerker」もある。デイヴのギタープレイが好みというのも大きいですが、個人的にはレッチリの全作品中もっとも好きなアルバムが本作です。

ただ、デイヴが参加したのは本作のみ。1997年夏のフジロック初年度に嵐の中でのライブが話題となりましたが、その後デイヴはバンドを離れ、ジョンが再加入。1999年に『CALIFORNICATION』をリリースし、第2期黄金期の幕開けを飾ることになります。

そういう意味では、この『ONE HOT MINUTE』は非常に不憫なアルバムなんですよね。ジョン再加入後には本作からの楽曲もほぼ演奏されていないし、現在におけるまで黙殺状態が続いている。ジョンとフリー(B)はその後、再結成JANE'S ADDICTIONで共演しているので不仲ではないはずですが、できることならこの時代のレッチリも再び観てみたいものです(できれば、アンソニーが骨折してない状況で)。



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投稿: 2017 07 21 12:00 午前 [1995年の作品, Jane's Addiction, Red Hot Chili Peppers] | 固定リンク

2004/10/18

とみぃ洋楽100番勝負(61)

●第61回:「Stop」 JANE'S ADDICTION ('90)

 JANE'S ADDICTIONは自分にとって衝撃以外の何ものでもなかったですね。「NOTHING'S SHOCKING」というアルバムはそれ以前に聴いていたんですが、当時の俺には難し過ぎたんですよ‥‥何だろ、LED ZEPPELINをもっと宗教っぽくしたようなイメージが強くて、音が。けどこの曲を収録した「RITUAL DE LO HABITUAL」ってアルバムは、非常に判りやすい曲と、前作で繰り広げた壮大なサイケデリック・ワールドを上手くミクスチャーした、正しく『ミクスチャー・ロック』のお手本のひとつとなったわけです。まだグランジなんて言葉もなかったし、オルタナティヴなんて呼び名ももうちょっと後じゃなかったかなぁ‥‥

 ギターがしっかりハードロックしてて、それでいてうねっていて。ボーカルがメタルっぽくなく、ホントに動物っぽい‥‥それこそ爬虫類っぽい。リズムもZEPやレッチリみたいにファンキーでもヘヴィーでもない。適度なスカスカ感があって、それでいてタイトで。こんなバンド、それまでに聴いたことなかったもんだから‥‥それこそ衝撃だったんですよ。普段SLAYERとかNAPALM DEATHとかそういったバンドばかり聴いてた自分にとって。

 多分‥‥彼等との出会いがなかったらその後、SONIC YOUTHにも手を出すこともなかったろうし、それこそNIRVANAとの出会いもなかったかも。それくらい大きいかな、俺にとってのJANE'Sは。だって、彼等に影響を受けたオリジナル・バンドを組んだ程ですからね‥‥楽器隊はAEROSMITHとかGUNS N'ROSES、あるいはWHITESNAKEとかLED ZEPPELINみたいなバンドからの影響を強く受けていて、シンガーの俺はJANE'S ADDICTIONやALICE IN CHAINS、SOUNDGARDENみたいなバンドから強く影響を受けた、そんなバンド。メンバー全員の共通項が何故か日本のDEAD ENDという、そんな不思議なバンド。ま、短命でしたけどね。でも俺の人生にとって、生涯でただひとつの「命賭けた」バンドだったんだよね‥‥

 JANE'Sを語る時、どうしてもその話題を持ち出さずにはいられないんだよね‥‥それくらい、自分にとってこのアルバム、そしてこの曲ってのは重要であって、そしてある意味全てを「リセット」させてくれた1曲だからさ。



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投稿: 2004 10 18 12:00 午前 [1990年の作品, Jane's Addiction, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/10/21

JANE'S ADDICTION『RITUAL DE LO HABITUAL』(1990)

'90年代前半のアメリカ・オルタナティヴシーンを語る上でどうしても避けられないのが、移動フェス「ロラパルーザ」でしょう。今年、久し振りに復活したみたいですが、その後のフェスティバルのある種指針のひとつとなったと言ってもいいであろう「ロラパルーザ」。オーガナイザーはこのJANE'S ADDICTIONのシンガー、ペリー・ファレルでした。そしてその第一回目である'91年、ヘッドライナーを務めたJANE'S ADDICTIONはツアー終了後、解散を発表したのでした‥‥その後もペリーはオーガナイザーとして参加しましたが、数回運営した後にその座を退き、気づけばいつの間にか「ロラパルーザ」自体が衰退していったのでしが。

オルタナ見本市と呼ばれることの多かった「ロラパルーザ」。ブレイク前のRED HOT CHILI PEPPERSやNINE INCH NAILS、RAGE AGAINST THE MACHINEといったバンドを始め、SOUNDGARDENやALICE IN CHAINSといったシアトル勢も参加していましたし、後にはヒップホップ系のアーティストなんかも数多く参加していましたよね。そうやってどんどんと受け皿を大きくしていった結果、衰退していったのかもしれませんし、あるいはそういったオルタナと呼ばれる音楽自体の衰退だったのかもしれないし(ある時期を境に「オルタナティヴ」だったものが「メインストリーム」になってしまったわけですしね、'90年代は)。まぁその真相を語るのはまた別の機会にして‥‥今回はそんな「'80年代と'90年代のオルタナシーンの架け橋」となったJANE'S ADDICTIONについて紹介していきましょう。

今回紹介する「RITUAL DE LO HABITUAL」はメジャー第2弾、通算3作目にしてラストアルバムとなった'90年の作品。右のジャケットは上が日本盤やアメリカでの通常ジャケットですが、猥雑だと非難される恐れがあった為(彼等の前作「NOTHING'S SHOCKING」がそういうジャケットでしたからね)、ペリーが裏をかいてワザと作ったのが下の白ジャケットの方。バンド名とタイトル、その下には確か「表現の自由」についての条文か何かが書いてあったと記憶しています(学生の頃、この辺の検閲についてレポート書いたっけなぁ。懐かしい)。もっとも、ジャケットは違っても中身は一緒なわけですから、ファンにすれば単なるコレクターズ・アイテムのひとつに過ぎないという、ねっ。

メジャーデビュー作「NOTHING'S SHOCKING」が非常にハードロック色が強い作品だったのに対し、今作はサウンドプロダクションのせいもあるでしょうけど、もっとスカスカな印象を受けます。それは主にドラムサウンドの違いが大きいのですが、曲自体もヘヴィだった前作と比べてストレートなものが多くなり、聴きやすくなっているように感じます。実際、日本では過小評価されてきた彼等、このアルバムを当時渋谷陽一がラジオで褒めてた記憶があります。自分の周りでもようやく「JANE'S、カッコイイよね」って声が聞こえてきたのも、このアルバムリリース後ですしね。

このバンドの要はやはりペリー・ファレルの浮遊感漂わせるボーカルスタイルと、デイヴ・ナヴァロのこれでもか!?って程に弾きまくるギターでしょうね。ペリーの歌に関しては好き嫌い分かれるでしょうけど、少なくともデイヴのギターはロック好きな奴だったら誰もが一度は憧れるようなプレイなんじゃないでしょうか。リフやカッティングは気持ちいいし、ギターソロになると暴れまくる。ムーディーな曲でのボリューム・コントロール等、とにかくギター弾く人間には勉強になるポイントが沢山あるはず。何故この人が当時GUNS N'ROSESやレッチリにスカウトされたか、何となく理解できますよね?

曲が聴きやすく、尚かつポップなものが増えてるのもこのアルバムのポイント。1曲目 "Stop!" のカッコよさときたら‥‥今聴いても冒頭の「Here we go!」の所は鳥肌立つ程カッコいいし。前半はとにかくストレートな曲調が続き、そのハイライトとなるのがシングルにもなった "Been Caught Stealing" でしょう。そして後半‥‥プログレッシヴでムーディーな曲が続きます。まずいきなり10分を超える "Three Days" に息を呑み、同じく8分以上ある "Then She Did..." に聴き入り、東洋的な要素をふんだんに取り込んだ "Of Course"‥‥ここまで聴いて感じるのは、LED ZEPPELIN的だな、ということ。例えばSOUNDGARDENがサウンドやスタイルを引用したのに対し、JANE'Sの場合は音楽面でもそうだけど、それ以上に精神面での影響が強いように感じられます。特にこのアルバムなんて、ZEPの4枚目に匹敵する作品集なんじゃないでしょうかね(っていうのは、言い過ぎですかね?)。ま、確かに当時「'80年代のLED ZEPPELIN」なんて声も聞こえてきましたしね(ストレートにパクッたKINGDOM COMEなんてのも当時いましたが、それとは完全に別物ですから)。

バンドはこのアルバムのリリースから1年後に解散、その後ペリーとドラムのスティーヴン・パーキンスは新たにPORNO FOR PYROSを結成、ギターのデイヴは後にレッチリに加入して「ONE HOT MINITES」というアルバムを制作、'97年のフジロック初年度に来日してるので覚えている人もいるでしょう。そして'97年に一時的に再結成。この時はオリジナル・ベーシストのエリック・Aは参加せず、変わりにレッチリのフリーが参加しています。そして'01年に本格的な再結成を果たし、'02年にはフジロックにて初来日を果たし、今夏に約13年振りとなるオリジナルアルバム「STRAYS」をリリースしています。勿論、現在も順調にツアー中。音楽的には更にストレートになったものの、まだまだ怪しさ全開です。

とりあえず初心者の方はこのアルバムか最新作から聴いてみることをオススメします。そして順々に遡っていけばいいんじゃないかな、と。とにかく'90年代を語る上で欠かせない1枚であり、10~20代の俺に大きな影響を与えた1枚なんで、機会があったら是非聴いてみてください。



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投稿: 2003 10 21 05:08 午前 [1990年の作品, Jane's Addiction] | 固定リンク