JANET JACKSON『UNBREAKABLE』(2015)
意外にも前作から7年ぶり、兄マイケル・ジャクソンの死(2009年)後からも初のアルバムだと知って驚かされた。
そんなジャネットの通算11枚目のアルバムは、80年代の名作を手がけたジャム&ルイスとの共同プロデュース作。先行発表されたJ.コールやミッシー・エリオットとのコラボ曲(「No Sleeep (Feat. J Cole)」「Burnitup! (Feat. Missy Elliott)」)からはモダンなテイストが感じられるが、全体を包む空気感はとても穏やかで、古きよき時代のソウル、ゴスペルの要素が色濃く表れている。
どの曲もコンパクトにまとめられており、クラブアンセム的な楽曲すら存在するアルバム前半から、1本筋の通ったコンセプチュアルな後半への流れも圧巻。兄マイケルを思い出させたり、ラブストーリーの中にもほのかに宗教色をにじませた歌詞からは全体的に大きなテーマが感じられ、そのせいもあってか後半のコンセプチュアルな流れからは輪廻転生といったイメージを受けた。
特に大団円を迎えるM-16「Well Traveled」、エンドロール的なM-17「Gon B Alright」というエンディングから穏やかなM-1「Unbreakable」に戻ると、余計にそう感じる。地味だが過去20年で一番の秀作。
※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部修正して掲載しております。