TOMMY'S ROCKTRIP『BEAT UP BY ROCK 'N ROLL』(2021)
2021年5月7日にリリースされたTOMMY'S ROCKTRIPの1stアルバム。現時点で日本盤未発売。
TOMMY'S ROCKTRIPは2010年代のBLACK SABBATHやオジー・オズボーンのバンドで活躍し、現在はTHE DEAD DASIESに在籍するドラマー、トミー・クルフェトスのソロプロジェクト。そのプロジェクト名からもわかるように、彼が影響を受けたロックンロール/ハードロックの歴史をアルバム1枚で旅するかのような、濃度の高い作品に仕上がっています。
レコーディグではトミーがドラムを叩くほか、「Make Me Smile」「Beat Up By Rock 'N Roll」「Power Of Three」でリードボーカルも担当。そのほかエリック・ドーヴァー(Vo/ex. JELLYFISH、ex. SLASH'S SNAKEPIT)、エリオット・ロレンゴ(B)、ハンク・シュニークルス(Lead G)、ナオ・ナカシマ(Rhythm G)、ダグ・オルガン(Hammond B3)がバックを固め、曲によってトミー・C(Sax)、ジョン・シュレフラー(G)といったミュージシャンが参加しています。日本で知名度が高いのはボーカルのエリック程度で、ほかは気心の知れたローカルミュージシャンで固めたといったところでしょうか。
楽曲はオーソドックスなアメリカン・ハードロックが中心で、適度に派手さやスモーキーさが散りばめられております。が、基本的には地味なローカルバンドの延長といったところでしょうか。エリックの声に華やかさがあるので若干派手に映りますが、トミーのボーカルは良くも悪くも「まあ、こんなもんか」といったところ。飛び抜けた派手さがないので、どうしても小さくまとまってしまった印象があります。
曲によってはハモンドB3がフィーチャーされており、そこで華やかさが一気に増す印象も。正直比べていいものかわかりませんが、ジョー・ペリー(AEROSMITH)のソロ作品(主にJOE PERRY PROJECT)を初めて聴いたときに近い感想を抱いたかもしれません。ただ、ジョーの作品では楽曲は地味ながらも彼の派手なギターソロがフィーチャーされていたぶん、このTOMMY'S ROCKTRIPではそれがない。いくらドラムを派手に叩いても、アルバムの軸になるのは楽曲ですからねえ。かろうじてエリックの健闘ぶり(20数年ぶりに聴きましたよね、彼の歌)が目立つ程度かなと。
かなり渋めの感想ですが、こういうシンプルなアメリカン・ハードロックが好きな方も少なくないと思うので、そういう方々には問答無用で受け入れられるんじゃないでしょうか。平均点はクリアしているんじゃないかと思いますが、少なくともサバスやオジーの要素はここにはありませんので、そのへんはくれぐれもご注意を(「Do It Again」の派手なドラミングには、サバスでのライブパフォーマンスが思い浮かびますけどね)。
▼TOMMY'S ROCKTRIP『BEAT UP BY ROCK 'N ROLL』
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