カテゴリー「Jesus Jones」の6件の記事

2018年5月 9日 (水)

JESUS JONES『PASSAGES』(2018)

JESUS JONES待望のニューアルバム(通算6枚目)がようやく到着。前作『LONDON』(2001年)は日本盤が発売されることもなく(ぶっちゃけ、内容も地味だったこともあり)ファン以外の間では大して話題になりませんでしたが、その後何度か来日公演も実現しており、それなりに成功を収めたようです(そうです、僕は一度も行ってません。というか行けませんでした)。

数年前からリリースが噂され、昨年初頭に「2017年初夏」とアナウンスされたものの、結局そこから1年を経た今年4月に発売。前作から17年ぶりのニューアルバム、今回も日本盤リリースはありません!

まあ、そんな細かいことはどうでもいいです。この際ちゃんと聴けるだけで十分ですから。

昨年から先行シングルやYouTubeでのMV公開があったので数曲は耳にすることができていたわけですが、基本的には前作『LONDON』の延長線上にある“ベーシックなバンドサウンドに適度なエレクトロ要素を取り入れた、90年代前半のスタイルとは真逆のスタイル”。ですが、前作よりもエレクトロ色が若干復活しており、90年代前半の名作ほどではないものの“あの頃の香り”が多少は感じられる力作に仕上がっています。

確かに『DOUBT』(1991年)ほど派手ではないし、『PERVERSE』(1993年)ほど煌びやかではないかもしれない。でも、そのどちらのアルバムにも通ずるキャッチーは間違いなく存在する。それは前作『LONDON』にも間違いなくあったものなのですが、その『LONDON』以上にJESUS JONESらしさが強まっている気がするのは自分だけでしょうか?

改めて、マイク・エドワーズ(Vo, G)のソングライターとしての非凡さもここで再確認することもできたし、何よりもその歌声の変わらなさには驚かされます(よく聴けば若干老けた感はありますが、それも誤差範囲内)。そこに“らしい”メロディと“らしい”サウンドメイクが組み合わさることで生まれるマジックが、確実にここにはある。残念ながら『ALREADY』(1997年)にはそこが希薄だったと思うのです(あれはあれで悪くなかったけど)。

中盤の地味なエレクトロ路線は、間違いなく“あの”JESUS JONESそのもの。『LONDON』で肩を落とした90年代のファンも、きっと今回は気に入ってくれるのではないか……そう願っております。

ちなみに、僕はかなり好きです。下手したら『LOQUIDIZER』(1989年)よりも好き……っていうのは言い過ぎか(苦笑)。『DOUBT』と『PERVERSE』が同じくらい好きで、『LOQUIDIZER』がちょっと落ちるというようなリスナーの言うことなので、参考にならないかもしれませんが(笑)。



▼JESUS JONES『PASSAGES』
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2004年10月21日 (木)

とみぃ洋楽100番勝負(64)

●第64回:「Move Mountains」 JESUS JONES ('90)

 で、JESUS JONES。STONE ROSES好きな奴らからは完全にバカにされ続けている、時代の徒花的存在。時代がよりダンサブルなものへと移行していく中、それがROSESみたいに肉感的な方向へ行くのか、あるいはハウスやテクノのような機械的な方向へと進むのか、手段としては二者択一的な中、JESUS JONESはその両方を掴もうとしたわけですよ、効率よく。しかもそれを下世話なくらいに判りやすく。だから嫌われたんだけど。

 テクノポップとも違う、けどギターロックとも言えない微妙さ。まだ1st「LIQUIDIZER」の時点ではロック色が強いバンドだったんだけど、逆にそれが俺にとっては良かったのかな。適度に甘いルックスを持ったシンガーがいて、濃いキャラのメンバーが数人いて。佇まい的にはロックバンドというよりはアイドル的な方向性が強かったんだけど、まぁ元々そういうバンドがずっと好きだったしね。

 MTVで観た "Move Mountains" の微妙なPVが忘れられなくて、たまらずCD買ったんだよな‥‥んでハマッて。「こ、これはっ! 新しいっ!!」とか大絶賛して。後にこんなに後を引きずることになろうとはね‥‥いや、いろんな意味で。

 彼等が本格的に化けたのは、続く2nd「DOUBT」からといっていいでしょう。よりデジタルな方向へと進んでいって、EMFと共に唯一アメリカで大成功を収めた当時のUKダンスロック系バンドだったわけですしね。STONE ROSESも、PRIMAL SCREAMも、HAPPY MANDAYSも大苦戦してる中での出来事ですよ。むしろ「イギリス臭」が弱かったから成功できたんでしょうけどね。

 '90年代後半、よくクラブに行くようになって‥‥まず最初にこのJESUS JONESの名前を挙げるとバカにされるのな。音楽雑誌的にも、そして洋楽史的にもSTONE ROSESこそが正しい歴史になっていて、その対極にいるようなJESUS JONESは糞だと、あんなのイイって言ってる奴らに『マッドチェスター」とか「レイヴシーン」の本質なんて判るはずない、と。そう頭ごなしに否定されましたからね、数年間。

 けどさ‥‥それもこれも、JESUS JONESが復活してくれたお陰で‥‥そして2004年という時代に来日してくれたお陰で‥‥少しは解消された。かな?(かなり弱気)



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2004年9月29日 (水)

JESUS JONES、レア音源を無料配信中

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 3rd「PERVERSE」制作時の未発表曲 "Hang On Every Word" と、4th「ALREADY」収録の "For A Moment" Coler and Richardson mixの2曲が無料ダウンロード可能に(→こちら)。

 "Hang On Every Word" は2nd「DOUBT」〜3rdの、最も活きが良かった頃の王道JJナンバー。リミックスの方も、まぁそれらしく仕上がってます。

 未だ新作情報の入ってこない彼等。今年1月のソニマニ以降、マジで動きが見えないだけに‥‥こういった路線に再び戻って欲しいなぁ。



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2004年1月23日 (金)

JESUS JONES『PERVERSE』(1993)

間もなく久し振りの来日を果たすJESUS JONES。その彼らが世界的に大ヒットを記録した前作「DOUBT」から2年振りに発表した、'93年のサードアルバム「PERVERSE」。前作でイギリスや日本のみならず、アメリカでも大ヒットを記録した彼ら。特にシングル "Right Here, Right Now" と "Real, Real, Real" が共にチャートのトップ10入りを果たす程。当時イギリスでは「マッドチェスター」と呼ばれる、マンチェスター出身のダンサブルなロックバンド(STONE ROSESやHAPPY MONDAYS等)が絶大な人気を誇っていましたが、ことアメリカではさっぱりでして‥‥「イギリス臭」が強ければ強い程、アメリカでは嫌われるわけですよ‥‥そんな中、EMFは "Unbelievable" で全米ナンバー1を、そしてJESUS JONESは上記の2曲で同じように成功を収めたわけです。恐らく、'90年前後に登場したイギリスのバンドの中で、最もアメリカで成功したのはこの2バンドだったと記憶しています。

そんな成功に後押しされ、リリースされたのがこの「PERVERSE」だったのですが‥‥これが当時、賛否両論だったと記憶しています。つまり、成功した前作「DOUBT」の路線とは明らかに異なる、「ホントにやりたいこと、やっちゃいました!」的空気が漂う、非常にアーティスティックな内容なのです。大ヒットした "Right Here, Right Now" と "Real, Real, Real" 的なポップ路線は影を潜め、ヘヴィでダーク、更に当時主流だったハウスやテクノの領域に完全に足を伸ばしつつあることを伺わせる作風。アイドル的な側面すら見せていた前作にあったポジティヴさすら、あれは作り物だったんじゃないか、実はこっちの方が本当の彼らの姿なんじゃないか‥‥なんて当時は思ったりもしました。ま、要するに「DOUBT」を発表してから全世界をツアーで回り、その間にアメリカでの大ヒットがあって、そういった「これまで経験できなかったもの」を観てきた結果、人間として、そしてミュージシャンとしてひと回りもふた回りも大きく成長させたのだと‥‥根本にあるものは実はそんなに変わっていないんだけど、引き出しが増えた分だけいろんな装飾も増えたし、また「自分達は今後、どういう方向に進んでいけばいいのか‥‥?」というのも、多少なりとも見えてきたんでしょうね。それがこの「PERVERSE」だったと。リリースから11年(!)経った今、改めてこのアルバムを聴くとそう思えてくるわけです。

前作とは大きく変わるとはいいながらも、俺はこれを名作だと思ってますからね。ポップサイドを代表するのが「DOUBT」だとしたら、その反対‥‥ダークサイドを代表する作品がこれだと。ダークとはいっても、聴いていて膝を抱えて凹んでしまうようなものとはちょっと違うんですけどね。トーンは確かに暗く重いものなんですが、楽曲そのものはメロディアスなものが多く、過去の彼らと比べればポップ度は低いんですが、それでも十分にポップなわけですよ。例えばシングルにもなった1曲目 "Zeros And Ones" とか "The Right Decision"、"Magazine" といった辺りは前作の延長線上にあるといってもいい作風ですしね。

そんな中、アルバムからもファーストシングルとなった "The Devil You Know" の美しさ、怪しさといったら‥‥俺、当時から本当にこの曲が大好きで、それが高じて自身がDJやる時に思わずかけてしまった程。今聴いても全然アリですよね? そう思いません??

このアルバム、日本盤には2曲のボーナストラックが追加された全14曲入りなんですが、残念ながら現在は生産中止みたいなんですね。ボーナストラックである "Caricature" と "Phoenix" のハードコア・テクノ振りを聴いて、どれだけ当時ブッ飛んだことか。21世紀を迎えた今聴くと「別に、この手のバンドって腐る程いるじゃん?」って軽くあしらわれてしまうんでしょうけど、ホント当時は衝撃だったんですよ、良くも悪くも。

そういったハードな側面も備えつつ、特にこのアルバムは後半以降のダークな盛り上がりが絶品でして‥‥英米盤だとラスト3曲("Tongue Tied"、"Spiral"、"Idiot Stare"の流れね)、日本盤だとその前に "Phoenix" が入るので、ラスト4曲ってことになりますか‥‥ヘヴィでダークで耽美。あのJESUS JONESが!?って感じですよホント。

確かにね、ファーストやセカンドの路線が好きだった人に不評なのは、よーく判るんですよ。実際、当時俺の周りにいたJJファンにも、このアルバムを聴いて離れて行った奴、結構いたし。けど、俺は全く逆で‥‥更に好きになっちゃったんだよね。やるな、マイク・エドワーズ!って。

ちなみにこのアルバム、前作の余波を受けて大ヒット‥‥というわけにはいきませんでした。アメリカでは確か惨敗だったんじゃないかな? ま、この失速のお陰で、続く4作目のアルバムをリリースするまでに4年以上もの歳月を要することになっちゃったんだけどね‥‥

以前、もしJESUS JONESで最初に聴くなら「DOUBT」をオススメする!と書きましたが、あれを書いた'99年当時と比べ、かなりボーダレスな時代となった今だからこそ、この「PERVERSE」を最初に聴いてみるのもいいかな?なんて思います。ま、あれから5年近く経って、バンドも無事復活し、更にはベスト盤まで出たし、5年前と比べれば状況は良くなっているとは思いますけど(来日が決まるくらいですからね!)‥‥結局、日本盤とか出ないし、廃盤多いし。中古でもいいんで、ホント興味を持ったら聴いてみ!



▼JESUS JONES『PERVERSE』
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2001年11月 3日 (土)

JESUS JONES『LONDON』(2001)

この現実を受け入れるまでに、一体どれだけの日数を要したのだろう? まさか、本当にあのJESUS JONESが戻ってくるとは、この2001年に‥‥!! 2年前、何げにオフィシャルサイトを覗いていたら、どうやら「BREAK UP」したようだとの話で‥‥ああやっぱり、と妙に納得したもんだった。まぁマイク・エドワーズは元々ソロ気質の人みたいだから、今後はいろんなとこに顔突っ込んで活躍してくれるに違いない。そう思い込んでいた‥‥

しかし、実際にはどうだろう?

YOSHIというバンドを結成(マイクはギターのみで、ボーカルには女性が当たっているという話)だとか、MANCHILDというテクノユニットのプロデュースを手掛けたとか、「ツール・ド・フランス」のテーマ曲をマイク・エドワーズ名義でネット上で発表したりだとか‥‥そういう話だけは伝わってくるものの、正式な音源はここ日本でひとつも発表されていなかった。MANCHILDは日本盤が出たものの、帯にもマイクの名前はなく、ゲスト参加したSTEREOPHONICSやTHERAPY?のメンバーがプッシュされているだけだ。考えてみりゃ、JESUS JONESとして最後に来日したのは‥‥いつだっけ? ああ、布袋寅泰と武道館で一緒にやったやつが最後か‥‥6~7年以上来てないってことになるのかな? そりゃ忘れられるわな、普通。しかも4作目「ALREADY」の時もここ日本では殆ど取り上げられること、なかったし。

'90年前後のUKロック、とりわけ「マッドチェスター」やら「シューゲーザー」「ハウス/レイヴ・シーン」をリアルタイムで通過してきた方ならご存じの通り、JESUS JONESやEMFといったバンドは上のどのシーンにも属さない、いわば「時代の徒花」的存在だったと言っていいだろう。そして、そういった「徒花」達がアメリカで最も成功を収めてしまったのだ。STONE ROSESやHAPPY MONDAYSが成し得なかった全米チャートのトップ3入りを、JESUS JONESとEMFは成し遂げたのだ(特にEMFは全米第1位を記録)。

そして時代は流れ、2001年。我々の記憶に残っているのはどのバンドだろうか? 歴史的にも重要だと言われているSTONE ROSESだったりRIDEといったバンドは、最近編集盤もリリースされたばかりだ。が、ここ1~2年の間に、地下で「徒花」達は復活の準備をしていたのだった。

映画「コヨーテ・アグリ」のサントラにEMFの全米ナンバー1ヒット "Unbelievable" が起用され、今更ベスト盤がリリースされたり、そのEMFのプロデューサーだったラルフ・ジェザードが元THE WiLDHEARTSのリッチと結成したバンド、GRAND THEFT AUDIOがイギリスよりも先にアメリカでデビューを飾ったり、その音がモロにEMFやJESUS JONESを彷彿とさせるものだったりと‥‥周辺では少しずつだが、賑やかになり始めていた。

そこにきて、満を持してのJESUS JONES復活である。残念ながらオリジナルメンバーではないものの、あくまで「5人のロックバンド」として、マイク・エドワーズは我々の前に戻ってきたのだ。勿論、YOSHIはまだ諦めていない。ソロとしての活動もあるようだ。JESUS JONESはアメリカのインディーレーベル「MI-5 RECORDS」と契約、アメリカインディーでも比較的大手の「KOCH」から配給されることとなった(ここからは最近、STABBING WESTWARDも新作をリリースしていて、全米チャートのトップ50入りを果たした)。何故イギリスからではなくアメリカのレーベルから? しかもアルバムタイトルが「LONDON」って‥‥皮肉か?

アメリカでも大ヒットを記録したセカンドアルバム「DOUBT」から既に10年経っている。まさかマイクが「アメリカでの成功よ、もう一度‥‥!」と願ってこういう契約を結んだわけではあるまい。「PERVERSE」はアメリカでコケたわけだし、続く「ALREADY」だって日本やイギリスよりも1年以上遅れて発表している。どう考えたってニーズがあるとは思えない。しかし、マイクは何かを思ってアメリカから再出発をした。当然、ここ最近はイギリス国内でもツアーをしている。日本でも本国でもなく、何故アメリカ‥‥正直なところ、俺には判らない。上のような憶測ならいくらでも浮かぶ。日本でのリリース予定がないので、雑誌等で取り上げられることも今のところないし。けど、来春EMIからリリースされるというグレイテスト・ヒッツアルバムに伴って、何かしらのプロモーション活動があるはずだ。その時に、真実が我々に告げられることだろう。

この「LONDON」というアルバムは「ALREADY」から4年以上も経っている。「PERVERSE」~「ALREADY」という流れは納得いく流れだ。しかし、「ALREADY」~「LONDON」という自然な流れはあまり感じられない。むしろこの新作は「第2のスタート」として受け取った方がいいようだ。勿論、ここには良くも悪くも「あのJESUS JONES」が詰め込まれている。いきなり「BON JOVIかよっ!?」と思わせるマイナーロックチューン "Message" に多少度肝を抜かれるものの、続く "Stranger" はネット上でもMP3音源が配布されていたので安心する(けどこの曲、ちょっとHOTEI色が強くない? COMPLEX辺りの)。その後も過去のマイクの小技が飛び出したり、中には「何でこれを2001年に‥‥??」というような曲も登場する。そして、我々が想像する「JESUS JONESの売り」ともいえるサンプリングや打ち込み/テクノ色を取り入れた『人工着色』されたサウンドが、ここでは思った以上に希薄だという事実。そう、新生JESUS JONESはこれまでよりも‥‥ファーストアルバム「LIQUIDIZER」以上にロック然としているのだ。確かに楽曲やちょっとした味付けは「マイク・エドワーズ率いるJESUS JONES」そのものなのだが、何かが違うのだ。

まさかこれがマイクからの「ロックバンド宣言!」ではなかろう、今更。'80年代のアイドルのロック宣言じゃあるまいし。マイクというとどうしてもクラブシーンの人というイメージがあるのだが(ライヴもアルバムを再現するといった感じで、そこまでラフなロックンロールという感じでもなかったし)、ここには「早すぎたビッグビート」とか「時代の徒花」と呼ばれていた頃のマイクはいない。改めて、マイクは「第2章」に突入したのだな、と。いや、もしかしたらそれぞれのユニット(YOSHIやソロ)とは別の色を強調したものを、この新生JESUS JONESで作りだそうとしているのかもしれない。だって、これまでみたいな「テクノ/ダンスにロックの味付け」から明らかに逆の「ロックにテクノ/ダンスの味付け」にシフトチェンジしているのだから。



▼JESUS JONES『LONDON』
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1999年6月29日 (火)

JESUS JONES『DOUBT』(1991)

このアルバムがリリースされた1991年といいますと‥‥世の中はマッドチェスターやらシューゲイザーやらグランジやら‥‥まぁ時代の変遷期とでもいいましょうか? イギリスから登場したマッドチェスターやシューゲイザーはピークを過ぎつつあったし、アメリカでは!80年代を席巻したHR/HMがグランジに食われつつあった時期でした。そして日本‥‥バンドブームが過ぎ去り、『ビーイング』系をはじめとするカラオケブームに突入した頃でしょうかねぇ。そんなバブルの終焉期にリリースされ、世界的に大ヒットしたアルバムだったのです(ちなみにデビューは89年です)。

デビューアルバム「LIQUIDIZER」も素晴らしかった彼等ですが、アレンジ面・楽曲の出来/キャッチーさからいえば、やはりこの「DOUBT」が最も素晴らしかったと思います。勿論、当時(93年)のテクノ/レイヴ・ムーブメントにすり寄ったサード「PERVERSE」も傑作ですし大好きですが、やはり最初に聴いてもらうならこの「DOUBT」でしょう(この際、4枚目の「ALREADY」は無視します‥‥いや、好きだけど)。

当時のイギリスと言えば、やはり『ダンス』‥‥そう、STONE ROSESやHAPPY MONDAYSといった踊らせる肉感的なバンドが主流でした。そこに現れた『時代の徒花』、そう、彼等はそういう存在だったのです。しかも機械的な‥‥ROSESとの違いはそこでした。開放的というよりは閉鎖的‥‥それは否めません。サンプリングやテクノ風キーボードを取り入れた、ある意味「計算しつくされた」バンド。商業くさいと言われれば確かにそうですが、いいじゃん、そんな正直なバンドがいたって。「俺達はビッグになりたい!売れたい!世界一になりたい!そのためには究極のポップソングを書いてやる!」‥‥とマイク・エドワーズは言ったかどうか知りませんが、どっかで聞いた事ないか、こんなセリフ‥‥日本にもいましたね、こういうセリフを残して名曲を量産し続けているバンドが‥‥あえて言いませんが。いいんですよ、それでも。だって、「100%の力で書いた曲」と「売れる為に200%の力で書いた曲」があったとしたら、結局は後者にはかなわないはずですから。人間、潜在能力や底力を出し切った時にこそ、常識を逸脱したパワーが発揮されるのですから(勿論、それを「いい曲か否か?」と決めるのは聴き手ですが)。

まぁそういう『計算』が見え隠れするアルバムですが、僕はいい曲揃いだと思うんですよ。それは『結果』として表れてますよね? 当時、アメリカで成功を収めたイギリスのバンドは2つだけ‥‥EMFとこのJESUS JONESだけでした。特にJESUS JONESは2曲の全米トップ5ヒット("Right Here, Right Now"、"Real, Real, Real")をこのアルバムから生み出しています。何故STONE ROSESやHAPPY MONDAYSではなくJESUS JONESだったのでしょうか‥‥その理由は未だに判りません。もしかしたら勘違いしたのかもしれない‥‥「イギリスは今、ダンサブルなロックバンドが流行ってるらしいぞ? おぉ、こいつら、新しい音してんじゃん!?」とか何とか言ってEMFの "Unbelievable" やJESUS JONES "Right Here, Right Now" がラジオやMTVでかけ倒されたのかもしれません。案外そんなもんでしょう。もっとも曲がよくなけりゃあそこまで売れなかったでしょうけどね?

1曲目の "Trust Me" に体内の血液が逆流しないようじゃ、真のロックファンとは言えんでしょう!?(あ、暴言だ!)ダンサブルなロックンロールにデジタルビートの導入、さらにテクノ風味‥‥そう、彼等は10年先を行っていたのです! もしこれが今リリースされたなら‥‥どうなってたんでしょうねぇ? 『JJ同盟』の中では「早すぎたビッグ・ビート」とか「10年先を行っていたデジロック」なんて呼ばれている彼等ですが、冗談では済まされないと思うんですよね‥‥まぁあの当時を知る人間からすれば「あんな時代の徒花」なのかもしれないけど、逆に今の十代の少年少女達に聴いて欲しいですね? "Right Here, Right Now" と "Trust Me" だけでも聴いて欲しいなぁ。そして感想を聞かせて欲しいっス。

最後に、このアルバム‥‥いや、JESUS JONESが日本のミュージシャンに与えた影響についても考えてみたいです。少なくとも僕は布袋寅秦だけでなく、あの小室哲哉にも影響を与えたと思うんですよ。布袋に関しては当時から共演したりしてるし、まぁ彼の「ギタリズム」シリーズを聴けばその繋がりが見えてくると思うんですが、小室の場合は‥‥うまく消化してると思うんですよ。彼等から受けた影響をうまいことTRF(当時はtrfか)で試してたと思うんです(DJ KOOのヘアスタイルだけでなく)。ダンサブルでテクノなんだけど、もっとロック‥‥いや、なんならglobeでもいいや。絶対に影響受けたって! DURAN DURAN~JESUS JONES‥‥ちょっと前にはCHEMICAL BROTHERSとか言ってたらしいけど、間違いないでしょう。ということは、今の日本のミュージックシーンの大半はJESUS JONESなしには生まれなかったって事か!?

もうひとつ。彼等が全盛期だった'91~'92年、BON JOVIは4年振りの復活に際しての最初のシングル "Keep The Faith" のリミックスをマイク・エドワーズに依頼したそうです。これはサンプル盤としてラジオ局やクラブに配られる予定だったそうですが、出来上がったリミックスを聴いたジョン・ボン・ジョヴィがお蔵入りを下したそうです‥‥どこまでツいていないんだ、JESUS JONES!? 是非聴いてみたいぞ!



▼JESUS JONES『DOUBT』
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