THE JESUS & MARY CHAIN『DAMAGE AND JOY』(2017)
ろくでなしだとか穀潰しだとか、しょうもない人間は腐るほどいるけど、そういう奴って一度そうなってしまったら死ぬまでそのまんまというか……。
そんなことを、THE JESUS & MARY CHAINの19年ぶりに発表されたニューアルバム『DAMAGE AND JOY』を聴いて思ったわけです。
前作『MUNKI』がリリースされたのが1998年。このサイトの前身ホームページ(笑)が開設された年だったので、当時よく聴いたことをよく覚えています。毎回何も変わらず、いや、作品を重ねるごとにその濃度が少しずつ薄まっているような感覚がありながらも、リリースされたら毎回購入して聴いてきたリザメリの新作が、『MUNKI』を最後に途絶えるわけです。ところがその数年後の2007年になんとなく再始動。フェスなどでライブをポツポツやったりしてましたが、まさか新作を制作するなんて考えてもみなかった。穀潰し、やればできるじゃん。
で、完成したのがこのアルバム。どこからどう聴いてもジザメリの音。何も変わってない。いや、ちょっと変わったか。でも基本的には当時のまんま。全14曲入りだけど、3分の1くらいは過去に別の形で発表された楽曲をジザメリ流に焼き直したもの。それでもいいんだ、こうやって“ジザメリの新曲”として楽しめるんなら。
やたらと女性ボーカルが目立つのも本作の特徴かな。6曲に4人の女性シンガーがフィーチャーされていて、その中にはジム&ウィリアム・リード兄弟の実妹リンダやイゾベル・キャンベル(元BELLE AND SEBASTIAN)、スカイ・フェレイラといった面々が含まれています。やさぐれてるのにどこか甘いジザメリ従来の個性が、これによってより深み(いや、深くはないか)を増しており、非常に親しみなったような印象を受けます。
……と、好意的に書いてみたけど、何度も書くように基本的には何も変わってません。「ああ、ジザメリだ」と。
でも、それでいいじゃない。このバンドに関しては。リード兄弟がぶつかりながらもバンドを続けてくれるのなら、それでいい。別に甘やかしてるわけじゃなくて……だって、ダメな奴らなんだから。もうね、とことんダメっぷりを見せ続けてほしい。たぶん本作が駄作だったとしても、個人的には同じことを書いてたと思うのね。でも、良かったの。最低で最高だったの。もうそれで十分。
結局、僕らは中学生の頃に初めて聴いた『PSYCHOCANDY』(1985年)の呪縛から、ずっと逃れられないんです。でも、それでいいじゃない。僕らもダメな奴らなんだから。
▼THE JESUS & MARY CHAIN『DAMAGE AND JOY』
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