2019年2月15日 (金)

THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE『ARE YOU EXPERIENCED』(1967)

ジミ・ヘンドリックスがトリオ編成のバンド、THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE名義で1967年に発表したデビューアルバム。本国アメリカよりも先にイギリスで評価されたこともあり、本作はまず同年5月にイギリスで、続いて8月にアメリカで発表されています。チャート的には全英2位、全米5位という好成績をいきなり残しており、特にアメリカでは現在までに500万枚超の売上記録を残しています。

オリジナルのイギリス盤と北米盤とでは収録内容、曲順が異なるのですが、現行のCDはオリジナルのUK盤11曲にアルバム未収録のシングル6曲を追加した17曲入りとなっています(デジタルおよびストリーミングもこちら)。本稿ではこの17曲バージョンで話を進めたいと思います。

1967年というとLED ZEPPELIN結成前ですし、DEEP PURPLEもアートロック時代ど真ん中、THE WHOこそそれに近いことをやっていたもののまだハードロックと呼ぶにはちょっと早く、かろうじてCREAMがハードロック寄りなことをやっていた程度の“前夜”かなと。そう考えると、いかにジミヘンが時代的に早熟すぎたかがご理解いただけるかと。

ここで聴けるサウンドやギタープレイは、今の耳で聴けばまさにハードロックと呼べるもの。オープニングの「Foxy Lady」のヘヴィさ、「Manic Depression」のギターフレーズやアレンジ、「I Don't Live Today」のグルーヴ感やフィードバックは今聴いても本当にカッコいいですし、これを今のサウンドプロダクションで再現したら……いや、再現は無理ですね。蛇足でした。

このサウンドプロダクションだからこその質感とヘヴィさは、絶対に現代の技術でも真似できないものでしょう。今聴いてもそう思うんだから、50数年前の当時はどれだけの衝撃だったんでしょうか……そりゃあリッチー・ブラックモアやジミー・ペイジも影響受けてハードロックに走りますよ。わかるわかる。

ジミヘンのすごさはこういったハード&ヘヴィでサイケデリックなプレイのみならず、「Red House」でのどブルース、「Hey Joe」や「The Wind Cries Mary」での緩急の付け方、「Fire」や「Stone Free」でのファンキーさ、「May This Be Love」での“間”の上手な使い方、そして各曲でのボーカルパフォーマンス、すべてにおいて別格だということ。天才を通り越して、恐ろしさすら感じさせます(だからこそ短命だったんでしょうけど。まあ結果論ですが)。

こうして通して聴くと、このアルバムの時点で大半の代表曲が揃っていることに驚かされます。だって「Purple Haze」もここですからね(正確にはアルバム未収録のシングル曲なのですが)。のちにベストアルバムもリリースされていますが、現状では入門編としてこのアルバムがもっとも手軽に楽しめるのではないでしょうか。上に挙げた前時代のハードロックバンドとあわせて聴くもよし、レッチリなどのルーツとして掘り起こすもよし。ロックファンなら避けては通れない1枚だと思います。



▼THE JIMI HENDRIX EXPERIENCE『ARE YOU EXPERIENCED』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 海外盤CD / MP3


投稿: 2019 02 15 12:00 午前 [1967年の作品, Jimi Hendrix] | 固定リンク

2018年2月 3日 (土)

SKID ROW『B-SIDE OURSELVES』(1992)

SKID ROWが1992年秋に発表した5曲入りカバーEP。前年初夏に発表した2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』が全米チャート初登場1位という快挙に輝き、同作を携えたツアーも1年以上継続。そのファイナルを控えたタイミングでのリリースだったのですが、収録曲の大半は過去のシングルにカップリングで収録されたものばかり。ですが、こうやって彼らのルーツナンバーを彼らのサウンドで楽しめるというのは、ファンにとっては少なからず嬉しいものがあるのではないかと思います。

カバーされているのは、RAMONESKISSJUDAS PRIESTRUSHジミ・ヘンドリックスと、彼らのサウンドからすれば何にひねりもないセレクト。RUSHに多少こだわりが感じられたりしますが、ピックアップしたのが1stアルバムからというあたりにこだわりがあまり感じられないのでは……という話も(苦笑)。まあ、いいじゃないですか、微笑ましくて。

とにかく、どの曲も原曲に忠実で素直なアレンジ。オープニングのRAMONES「Psycho Therapy」(ボーカルはベースのレイチェル・ボラン)も若干ヘヴィにはなっているものの、基本的なアレンジはまんま。KISS「C'mon And Love Me」は原曲にあったアコースティカルな色合いが消えてしまったものの、メロの良さは完全に生かされており、これはこれでグッド。プリースト「Delivering The Goods」はご本家ロブ・ハルフォードがゲスト参加したライブテイクをそのまま収録。そりゃあまんまですよね(笑)。

で、RUSH「What You're Doing」ですが、実はこれを聴くと「なぜ『SLAVE TO THE GRIND』というアルバムが完成したのか?」という、その理由の片鱗が見えてくるんじゃないかという気がするんです。そして、ここから次作『SUBHUMAN RACE』(1995年)へとつながっていく理由もね。結局、こういうグルーヴィーなハードロックをJUDAS PRIEST的方法論で表現したかったんですね。

最後のジミヘン「Little Wing」のみ、本作で初出のカバー。これも、まぁまんまっちゃあまんまですが、ギタリスト2人が本家に無理やり近づこうと頑張っております。残念ながらそこには到達できてないのですが、いい線いってるんじゃないかなと。これを聴くと、『SLAVE TO THE GRIND』での泣きのバラード(「Quicksand Jesus」「「In A Darkened Room」「Wasted Time」」のルーツも垣間見えるという。なるほどですね。

たった5曲、20分にも満たないEPですが、もしあの当時のSKID ROWがのちのGUNS N' ROSESみたいにフルカバーアルバムを作ったとしたら、ほかにどんなアーティストを取り上げたんでしょうね。



▼SKID ROW『B-SIDE OURSELVES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2018 02 03 12:00 午前 [1992年の作品, Jimi Hendrix, Judas Priest, KISS, Ramones, Rush, Skid Row] | 固定リンク