JIMI HENDRIX EXPERIENCE『LIVE IN MAUI』(2020)
2020年11月20日にリリースされたJIMI HENDREX EXPERIENCEのライブ作品。日本盤は同年12月16日にリリース。
本作はCD2枚組+Blu-ray(およびアナログ3枚組+Blu-ray)形態による、秘蔵過去音源からなる企画盤。1970年7月30日の午後に2回実施されたハワイ・マウイ島のライブを2枚のディスクに収めたCD音源と、『MUSIC, MONEY, MADNESS... JIMI HENDRIX IN MAUI』と題された最新ドキュメンタリー映像と7月30日公演の現存するライブ映像をまとめたBlu-rayという、一粒で二度美味しい内容となっております。
実はフィジカルで本作を入手しているものの、多忙によりBlu-rayのドキュメンタリー映像は未見のまま。こちらは年末にじっくり拝見したいと考えております。なので、ここではライブ音源について触れていきたいと思います。
1970年9月18日、27歳でこの世を去ったジミが亡くなる2ヶ月前に行ったライブという、非常に貴重なこの音源。これまでにもたびたびブート化され出回っていたようですが、今回はそれらの音源に手を出してきたマニアにとっては究極の内容なのかな。いや、わからんですが。そもそもブート聴いてないので。
そんな自分にとって本作は、純粋に「カッコいい!」と思えるライブアルバム。2公演分でトータル19曲(オープニングのイントロダクションを含むと20トラック)。被りも「Hey Baby (New Rising Sun)」のみですが、2公演目では「Midnight Lighting」とのメドレーなので一概には同じと言えないので、ここでは被りゼロということにさせていただきます。いわゆる代表曲はほぼ網羅されているので、ベスト盤的な楽しみ方もできますし、なによりもそれらの楽曲を最高のライブ演奏で聴かせてくれるのが本作の魅力かなと。
この当時のEXPERIENCEのメンバーはビリー・コックス(B)とミッチ・ミッチェル(Dr)という編成。ミッチは初期からのEXPERIENCEメンバーで、ビリーはBAND OF GYPSYSの一員ということで、2組のおいしいとこ取りな編成と言えるでしょう。一部ドラムはあとからオーバーダブされているようですが、それでもリズム隊のグルーヴが気持ちよくて、とにかくカッコいい。オープニングの「Hey Baby (New Rising Sun)」や「In From The Storm」の芯を食ったドラム&ベースがとても1970年の録音とは思えぬほどにクリアなんですよね。でも、「Voodoo Child (Slight Return)」あたりからドラムのアタックが弱くなり……きっと序盤の数曲のみオーバーダブされたものだったんだなと、ここで悟るわけです。
ですが、それでもグルーブ感の気持ちよさは十分に伝わるものがあるし、何よりもジミが楽しそうにギターを弾きまくっているのが手に取るようにわかる。「Fire」の中ではCREAM「Sunshine Of Your Love」のギターリフが引用されていたりと、このへんのお遊びにもニヤリとしてしまいます。
もちろん、すべての楽曲を序盤くらいのクオリティで聴きたかったというもはや叶わない願望を抱いたりするものの、それでも僕は十二分に本作を楽しむことができましたし、気づけば何度もリピートしてしまっている。この人に関してはスタジオ盤もいいけど、やっぱり自分はライブ盤のほうが好きだなと改めて気づかされました。きっとこの先も、本作を何度も繰り返し再生するんだろうな……そんなお気に入りの作品集です。
▼JIMI HENDRIX EXPERIENCE『LIVE IN MAUI』
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