カテゴリー「Jimmy Page」の6件の記事

2017年12月27日 (水)

JIMMY PAGE / ROBERT PLANT『NO QUARTER』(1994)

1993年にデヴィッド・カヴァーデイル(WHITESNAKE)と「COVERDALE・PAGE」というユニットを組んだものの、アルバムは小ヒット、ライブもここ日本でしか実現せず、短命に終わり途方に暮れていたジミー・ペイジ。翌1994年年に入るとMTV「Unplugged」の特別企画として、盟友ロバート・プラントと「Unledded」(=LED ZEPPELINではない)と題したスペシャルライブを実施しました。ここでツェッペリンの名曲群を新たな解釈でアレンジして披露し、さらに新たに書き下ろされた新曲も含まれていたことで、「ツェッペリン復活か?」とざわざわし始めます。そして同年11月、この音源を編集したライブアルバム『NO QUARTER』がリリースされたわけです。

本作で取り上げられたツェッペリンナンバーは「Nobody's Fault But Mine」「Thank You」「No Quarter」「Friends」「Since I've Been Loving You」「The Battle of Evermore」「That's The Way」「Gallows Pole」「Four Sticks」「Kashmir」の計10曲。「Thank You」や「Since I've Been Loving You」あたりは原曲に近いロックアレンジで再現されていますが、「Nobody's Fault But Mine」はフォーキーなアレンジに、「No Quarter」はキーボードレスで歌とギターのみで表現されるなど、新たな解釈が加えられています。

またEGYPTIAN ENSEMBLEの参加により「Friends」「The Battle of Evermore」、そして先の「Nobody's Fault But Mine」などはよりエキゾチックなテイストが増し、「Kashmir」にはLONDON METROPOLITAN ORCHESTRAの参加により原曲が持つドラマチックさが増強されております。

アコースティックテイストの楽曲(『LED ZEPPELIN III』および『同 IV』収録曲)が多数選出されていることからこういう方向性になったのかと思われますが、もともとこの手のテイストはジミー・ペイジの好物ですし、ロバート・プラントも自身の作品にこういうテイストを積極的に取り入れていたので、なるべくしてなった作風なのかもしれません。

これに合わせて新たに制作された新曲群「Yallah」「City Don't Cry」「Wonderful One」「Wah Wah」は、非常に時代性が強い作風。エキゾチックさにサンプリング/ループなど現代的要素をミックスされたサウンドは、「もしツェッペリンがその後も続いていたら、こんなことにも挑戦していたかも」と納得させられるもの。かといって、初期の楽曲のような絶対的な強さは皆無。そこは仕方ないかな……と当時も妙に納得してしまった記憶があります。

アルバム自体、全米4位・全英7位とそこそこの成功を収めたことで、2人はこの活動を継続。1998年には全曲新曲で構成されたオリジナルアルバム『WALKING INTO CLARKSDALE』もリリースします。



▼JIMMY PAGE / ROBERT PLANT『NO QUARTER』
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2017年9月12日 (火)

JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』(2000)

2000年に発表されたジミー・ペイジTHE BLACK CROWESによる共演ライブアルバム。1999年10月にロサンゼルスのTHE GREEK THEATERで行われたライブを収めたもので、全曲カバー。メインとなるのはペイジが在籍したLED ZEPPELINの楽曲で、そのほかにツェッペリン界隈(B.B.キング、YARDBIRDS、ジミー・ロジャース、ウィリー・ディクソン、FLEETWOOD MAC、エルモア・ジェイムズ)のカバーも含まれています。

ちょうどこのライブが行われる数ヶ月前、THE BLACK CROWESがフジロックに出演した際、本作でも取り上げられている「In My Time Of Dying」を完コピしてビックリした記憶があるのですが、あとから考えたらあのカバーは本作への序章だったのですね。フジロックで観たとき「クリス・ロビンソン(Vo)ってロバート・プラントみたいに歌えるんだね」と、なんの違和感もなく楽しめたのをよく覚えています。

ピックアップされたツェッペリンナンバーですが、敢えて「Rock And Roll」や「Stairway To Heaven」「Immigrant Song」「Communication Breakdown」のようにベタなハードロックナンバーは選ばず、基本はブルースを軸にした楽曲ばかり。さすがに『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)からの楽曲はありませんが、そのほかのスタジオアルバムから万遍なくセレクトされています。「Hey, Hey, What Can I Do」(シングル「Immigrant Song」のB面。アルバム未収録)あたりを選ぶところにも、こだわりが感じられるというか……あ、ジミー・ペイジの趣味かもね。

ギターの振り分けですが、おそらく中央にジミーのギター。左右にTHE BLACK CROWESの2人(リッチ・ロビンソン&オードリー・フリード)が振り分けられてるんじゃないかと。ヘッドホンで聴けば、それぞれの持ち味がしっかり把握できるはずです。誰ですか、中央のギターが下手くそとか言ってる人は?

THE BLACK CROWESファンとしては、ジャムセッションの延長で下手に曲が間延びすることなく、比較的オリジナルに忠実な形で演奏されていることから素直に楽しめると思うし、ツェッペリン曲以外のブルースナンバーのカバーに彼らの真髄が感じられるのではないでしょうか。特に彼らのデビュー作『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)にタイトルを引用したであろうエルモア・ジェイムスの「Shake Your Money Maker」が聴けちゃうのも良いところでは。

また、ジミー・ペイジ側の視点ではデヴィッド・カヴァーデイルとのCOVERDALE・PAGEロバート・プラントとのPAGE / PLANT以降パーマネントのバンドを持たないペイジがこうやって若いミュージシャンと一緒に何かをやることは悪いことじゃないし、しかもツェッペリンナンバーはこれでもか!?と言わんばかりに演奏してくれるのもありがたい。本当に最適な相手を見つけましたねと、褒めてあげたい気分です。実際、ペイジのギターも思っていた以上に生き生きしてますしね。

最高の“お遊び”をこうやって記録として残してくれたのは、双方のファンのみならずロックリスナーにとっても嬉しいかぎり。余計なことを考えずに、素直に楽しみたいライブアルバムです。



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2017年8月 3日 (木)

THE ROLLING STONES『DIRTY WORK』(1986)

THE ROLLING STONESが1986年春に発表したスタジオアルバム(本国イギリスでは18枚目、アメリカでは20枚目)。前作『UNDERCOVER』(1983年)から2年半ぶりの新作で、全英・全米ともに4位を獲得。シングルカットされた「Harlem Shuffle」(BOB & EARLのカバー)は全米5位、全英13位、「One Hit (To the Body)」は全米28位、全英80位と、それまでの記録と比較すると本国イギリスでは低調な結果でした。

ミック・ジャガーキース・リチャーズの確執などがありながらも、1985年初頭にスタジオ入りしたストーンズでしたが、ミックのソロアルバム『SHE'S THE BOSS』リリースで作業が一時中断。これに業を煮やしたキースは、ミック抜きでセッションを継続し、最終的にキースが中心となって本作は完成したという話です(ど真ん中にキースが居座ったアートワークが象徴的)。

そうそう、「One Hit (To the Body)」でのミックVSキース的バトルが見られるMVも当時はドキリとしたものです。ちなみにこの曲では、ジミー・ペイジがギターで参加しているとのこと。それっぽいギターソロのことかな。キースっぽくないし、ロニー・ウッドのそれでもないですものね。そういえば、ミックのソロアルバムにはジェフ・ベックが参加し、その後こちらにジミー・ペイジが参加したというのもどこか因縁めいたものを感じるというか。

全10曲中2曲がカバーで、ひとつは先に挙げた「Harlem Shuffle」、もうひとつはキースが歌う「Too Rude」(HALF PINTのカバー)。残り8曲がオリジナル曲になるわけですが、ジャガー&リチャーズによる楽曲は3曲のみ。それ以外はジャガー/リチャーズ/ロニーで4曲、ジャガー/リチャーズ/チャック・リーヴェル(当時のキーボーディスト)で1曲という内訳。ミックの名前は入っているものの、結局キースとロニーで完成させ、それをミックが歌ったということなのでしょうか。このへんにも、当時の力関係が見え隠れします。

そういうこともあってか、メンバーの間では非常に評価の低い作品だったりします。ベストアルバムでも「Harlem Shuffle」がセレクトされることがあるか、あるいは1曲も選ばれないかという有様。いや、個人的にはとても好きなアルバムですよ。『UNDERCOVER』をリリースから1年以上経って後追いで聴いた世代なので、リアルタイムではこの『DIRTY WORK』が初めて経験した“ストーンズの新作”でしたし。

「Jumpin' Jack Flash」や「Street Fighting Man」を彷彿とさせるイントロの「One Hit (To the Body)」や、それに続く「Fight」のカッコよさは今聴いてもさすがだと思います(このへんの楽曲が、のちのキースのソロアルバム『TALK IS CHEAP』につながっていくわけですし)。「Harlem Shuffle」のクールさは言わずもがな、ミックのソロにも通ずるモダンなダンスチューン「Winning Ugly」もこの並びで聴くと悪くない。ただ、「Back To Zero」はやりすぎだと思いますけどね。そこからロックンロールな「Dirty Work」「Had It With You」、キースの歌うバラード「Sleep Tonight」で軌道修正。最後の最後に、アルバム完成間際に亡くなった“6人目のストーンズ”イアン・スチュワートへ捧げるシークレットトラックで終了するという。確かに散漫さゼロではないけど、そこまで酷評される内容ではないんじゃないかと。

結局、ミックは再びソロ活動に戻り2ndアルバム『PRIMITIVE COOL』(1987年)を制作。キースも初ソロアルバム『TALK IS CHEAP』(1988年)を作るし、ストーンズはもうダメかと思ったところで、1989年に奇跡の大復活を遂げるわけです。



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2017年5月25日 (木)

ROBERT PLANT『NOW AND ZEN』(1988)

COVERDALE・PAGE、ジミー・ページのソロときたら、こちらも取り上げておかなくちゃいけないですよね。ってことで、ロバート・プラント御大が1988年初春にリリースした通算4作目のソロアルバム『NOW AND ZEN』を紹介したいと思います。

ソロになってから、いわゆる歌モノなソフトロックに挑んできたプラント。聴きようによってはLED ZEPPELIN最後のオリジナルアルバム『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)の延長線上と言えなくもないですが、ペイジが曲作りにもレコーディングにも参加してない以上、やっぱり別モノ感は拭いきれず。そんな中、1984年に発表したTHE HONEYDRIPPERS名義のEP『THE HONEYDRIPPERS: VOLUME ONE』(1984年)が予想を超えるヒットを記録。同作は50'sの名曲カバー集で、レコーディングにはジェフ・ベックやナイル・ロジャースのほか、ペイジも参加。そのペイジ参加曲「Sea Of Love」は全米3位という好成績を残すのでした。

以上、ZEPPELIN全盛期サウンドはもちろんのこと、ZEP的なことから距離を置いていたプラントが、この『NOW AND ZEN』というアルバムではZEP的アプローチを比較的前向きに捉えて、制作に挑んでおります。

一説によると、アルバムのオープニングを飾る「Heaven Know」のデモを聴いてZEPに対するネガティブな考えを改めたという話があります。これをきっかけに、同曲を作曲したフィル・ジョンストンが全面参加することに。以降、彼は『MANIC NIRVANA』(1990年)、『FATE OF NATIONS』(1993年)でプラントの片腕として活躍するわけです。

レコーディングにはダグ・ボイル(G / のちにCARAVANに加入)、フィル・スクラッグ(B)、フィル・ジョンストン(Key)、クリス・ブラックウェル(Dr)という新たな布陣が参加。この『NOW AND ZEN』という新たなプロジェクトのために揃えられた面々で、以降も彼らはプラントのレコーディングやライブに関わっていくことから、プラントがロック色を強めていく上で非常に重要な役割を果たした面々と言えます。

序盤3曲は打ち込み主体なので、特に「Heaven Knows」「Tall Cool One」のようなプラント&ペイジ共演曲が“モロにZEP”になってしまうことをうまく避けているというか。だからこそ4曲目「The Way I Feel」以降のバンドサウンドとの対比が面白い。「Helen Of Troy」みたいにダイナミックなロックを当時のプラントがやっているのも興味深いし、オールディーズ(ドゥー=ワップ)テイストのロックンロール「Billy's Revenge」も思わずニヤリとしてしまう1曲だし。かと思えば「Ship Of Fools」のようなメロウバラードもあるし、ニューウェイブ的な「Why」、いかにも80年代的なシンセポップロック「Walking Towards Paradise」もあり、それまでの歌モノ路線と以降ロック色を強めていく路線との過渡期的1枚と言えるかもしれません。

そんな中、やっぱり特筆すべきは「Tall Cool One」なんでしょうね。曲調自体はシンプルな打ち込みポップロックなんですが、ヒップホップ的手法でLED ZEPPELIN「Black Dog」「Whole Lotta Love」「The Ocean」「Custard Pie」などをサンプリングして曲に乗せるという反則技を取り入れ、なおかつペイジがギターで参加するという「どう考えてもこれ、LED ZEPPELINをやろうとしてるよね?」的思考を誘発させるアレンジ。なのに曲自体はやっぱりZEPっぽくないという、ただ反則でしかない1曲なわけです。要するに、これが当時HR/HMシーンを賑わせていた「ZEPクローン」に対するプラントからの答えだったのかな……と思ったら、KINGDOM COMEのデビューはほぼ同時期だったので、それは考えすぎかな。

なんにせよ、LED ZEPPELINの面影を求めて聴いたら痛い目を見る、だけど不思議と嫌いになれない1枚。まぁ本作がなかったら後のPAGE/PLANTはなかったわけですしね(と、最近毎回同じ締めをしてる気が)。



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2017年5月24日 (水)

JIMMY PAGE『OUTRIDER』(1988)

ジミー・ペイジがLED ZEPPELIN解散後、初めて本格的に取り組んだソロ“ロック”アルバムが、1988年に発表された本作。ペイジは1982年に映画『ロサンゼルス』(原題:DEATH WISH II)のサウンドトラックを発表しており、ソロ作品としては同作が1枚目ということになりますが、当然ながらファンが求めるサウンドではなかったし、その後ポール・ロジャース(FREE、BAD COMPANY)らと結成したTHE FIRMもZEPPELINとはかけ離れたブルースロックだったし。で、1985年の『LIVE AID』でZEPPELINが“擬似”再結成したり、1988年のAtlantic Records 40周年記念ライブでボンゾ(ジョン・ボーナム)の息子、ジェイソンを迎えたZEPPELIN“ほぼ”再結成があったりで、ファン的には「いいから早くちゃんとやれ!」とツッコミを入れたくなる日々がずーっと続いていたわけです。

が、当時高校生だった自分にとっては、この『OUTRIDER』がリアルタイムで初めて接する「ペイジがZEP的ロックをやる」アルバムだったわけで。しかもリリース直前にAtlantic Records 40周年記念ライブをテレビ(そう、当時は深夜にこういうのをちゃんと地上波で放送してくれたんですよ!)で観たこともあり(確か、番組の合間に本作のCMもやってましたよね)、期待は高まる一方だったわけです。

ちょうど本作リリース数ヶ月前に、ロバート・プラントがソロアルバム『NOW AND ZEN』を発表したばかり。こちらはそれ以前のソロ作と比べれば若干開き直った作風(当時はそんなこと微塵も思わなかったけど)で、中にはZEPナンバーをサンプリングした楽曲「Tall Cool One」もあったし、同曲と「Heaven Knows」ではかのペイジがギターでゲスト参加しており、それなりに話題になったばかりでした。

で、『OUTRIDER』ですが。確かにペイジらしさ、ZEPっぽさは感じられます。1曲目「Wasting My Time」は『PHYSICAL GRAFFITI』(1975年)のアウトテイクと言われたら信じちゃうような楽曲だし、プラントが自身のソロ作参加のお礼でゲスト参加した「The Only One」も『CODA』(1982年)に入ってそうなタイプだし。「Wanna Make Love」も……まぁZEP寄りかなと。途中で入る転調も“らしい”しね。

そう、アナログでいうA面(M-1〜5。うちM-3、5はインスト)は確かにペイジ、頑張ってZEPを演じてるんですよ。しかし、アナログB面(M-6〜9)は完全に別モノ。もっとレイドバックしたブルースロックといいますか、そもそもボーカルがプラント的なシンガーじゃない。

あ、言い忘れましたが、「Wasting My Time」「Wanna Make Love」を歌うのは、ブルーアイドソウルシンガーのジョン・マイルズ。そこそこプラントに似せようと頑張ってます、というか当のプラントがもはやハイトーン無理なので、こっちのほうがプラントっぽいといいますか(笑)。

で、B面で歌っているのがイギリスの名ブルース/ソウルシンガーのクリス・ファーロウ。かつてROLLING STONE「Out Of Time」のカバーをヒットさせた人ですね。ファーロウのボーカルに合わせて、ペイジもレイドバックしまくり、というか趣味丸出しです。レオン・ラッセルのカバー「Hummingbird」や、「Prison Blues」「Blues Anthem (If I Cannot Have Your Love…)」なんていうまんまなオリジナル曲まであり、もう聴いてるこっちが恥ずかしくなるくらい(嘘ですが)。

そういうこともあり、当時は期待値が高かっただけに「満足45%、よくわかんないけどわかった気になってる55%」ぐらいの比率で何度も聴き込みました。そういうこともあり、嫌いになれない1枚なんですよね。

あ、インスト曲が良いです(そこ?)。すごく“ソロアルバム”っぽくて、良いです。別にペイジはジェフ・ベックやクラプトンみたいにエレキギターをバリバリ弾きまくったインストソロを作らなくてもいいんです。こういう曲が聴けたら……っていうのは擁護しすぎ?

まぁ何はともあれ、このアルバムがなかったらその後のCOVERDALE・PAGEも、PAGE/PLANTもなかったわけで。そういう意味でも1990年代以降のZEPPELINワークスを語る上で非常に重要な1枚なわけです。



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2017年5月23日 (火)

COVERDALE・PAGE『COVERDALE・PAGE』(1993)

1993年初春にリリースされた、元LED ZEPPELINのジミー・ペイジ、そして当時WHITESNAKEの活動を停止させていたデヴィッド・カヴァデールが結成したスーパーグループCOVERDALE・PAGEの、最初で最後のアルバム。大概のスーパーグループは大した成功を収めることもなく、短命で終わるわけですが、このバンドの場合もアルバム作ったはいいけどワールドツアーが行われることもなく、同年12月に日本でツアーが行われたのみというありさま。まぁそんなもんですよね。

大ヒット作『WHITESNAKE』(1987年)とそれをフォローアップする『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)で、それまでの中音域を軸とした歌い方からハイトーンでガナる歌唱法に変わり、喉を酷使しまくったカヴァデール。バンドメンバーともなんだかんだあり、結局1990年夏のツアー終了をもってWHITESNAKEの活動を一旦休止させます。

同じ頃、1988年に初の本格的ソロアルバム『OUTRIDER』のリリース、同年春に実施されたAtlantic Records 40周年コンサートでのジェイソン・ボーナム(ジョン・ボーナムの息子)を交えた編成でのLED ZEPPELIN復活な、そして1990年にZEPPELINのスタジオアルバムリマスタリング&ボックスセットのリリースなど、解散以降ようやくZEPPELINと本気で向き合い始めたペイジ。当初はロバート・プラントに再結成を持ちかけたようですが、過去を振り返るのが嫌いなプラントから拒否られ、「だったら、他に歌える奴と組むか」……と思ったかどうかは知りませんが、80年代後半に「ZEPクローン」のきっかけを作ったカヴァデールと組むことになるわけです。

「LED ZEPPELINとWHITESNAKEの邂逅」とも「LED ZEPPELINとDEEP PURPLE(だが3、4期)の邂逅」とも受け取れるこのCOVERDALE・PAGE。カヴァデールとペイジ、そして当時AEROSMITHなどで名を上げていたエンジニアのマイク・フレイザーが共同プロデュースを務め、レコーディングにはドラムにデニー・カーマッシ(元MONTROSE、HEART。この後、WHITESNAKEに加入)、ベースにヨルグ・カサス(80年代にグロリア・エステファンのMIAMI SOUND MACHINEにいた人みたいです)、キーボードにレスター・メンデス(サンタナはじめラテン系アーティストと関わりが深い、ソングライター兼キーボーディスト)が軸となって参加しています(一部楽曲で元THE BABYS、BAD ENGLISHのリッキー・フィリップスがベースを弾いていたり、MVで当時THUNDERに在籍していたマーク・スネイク・ラックハーストがベースを弾いていて、これを理由にバンドをクビになったなんて話もあります)。

さて、前置きが長くなりましたが……アルバム、長くないですか?(苦笑) 11曲で60分超え。当時はCD大全盛期突入期で、多くのロックバンドが60分超えの作品を続発していましたが(AEROSMITH『GET A GRIP』、BON JOVI『KEEP THE FAITH』など)、COVERDALE・PAGEの場合は1曲あたりのカロリーが高い! 3分台〜4分台前半の楽曲は2曲のみ、6分超えは4曲(ほぼ6分を含めて5曲)ですからね。これ、単にペイジの趣味なのか、カヴァデールがペイジと組めるからと頑張っちゃったのか。

ただ、それぞれの楽曲は「当時における現代的なハードロック」として考えればよくできていると思います。なにせペイジが本腰を入れてZEPPLEINの封印を解いて作った楽曲に、そこに当時バリバリハイトーン+加齢による枯れも加わり始めたカヴァデールの歌が乗るわけですから、悪いわけがない。

もちろん、それはフラットに見ればの話。これがLED ZEPPELIN、WHITESNAKEどちらか一方にでも偏ってしまったら、一気に駄作の烙印が押されてしまいそうな気がしますが。

基本的にはWHITESNAKEが『SLIDE IT IN』(1984年)や『WHITESNAKE』、『SLIP OF THE TONGUE』で試みた“ブルージーで仰々しいバンドサウンドにハイトーンボーカルが乗る”スタイルがベースにあり、そこにペイジならではのアイデアが加えられていくといった印象。だからZEPPELINファンからすれば不満が多そうですし、WHITESNAKEファンからすれば「直近2作と比べたらギターが……」と思うかもしれない。そう、だからどちらか一方に偏っちゃダメなんです。気を確かに。

サウンドやバンドアレンジ自体はペイジらしさも確かにあるし(特にアコースティックギターを多用したプレイやハーモニカを導入するところ)、ソロ作『OUTRIDER』がレイドバックしたブルースロックだったから正直ここまでモダンなことやるか!という驚きも多かった。けど、ペイジ自身はこれに近いことをプラントとやりたかったんだよね。中音域がセクシーなカヴァデールがさんざん「もうおなかいっぱい」と言ってたハイトーンを連発するのは、そのへんも大きく関係しているんじゃないかと思われます。

とはいえ、ちゃんと中音域を多用した楽曲も収められていて。バラードタイプの「Take Me For A Little While」や「Take A Look At Yourself」がまさにそれで、前者はZEPPELINタイプ、後者はWHITESNAKEタイプと受け取ることもできるかと(また比較しちゃった)。ペイジが得意とする中近東テキスト+フォーキーさが色濃く表れた(主に前半)「Easy Does It」もそっち寄りかと。もっと言えば「Shake My Tree」や「Pride And Joy」にもそういう要素がちゃんと含まれているよね。さすがに枯れすぎで最初聴いたときは度肝を抜かれたけど。

前半の「LEDクローン」的楽曲も決して悪くないんだけど、個人的には終盤の3曲……当時のカヴァデールがいかにもやりそうなヘヴィブルース(しかも本作最長の約8分)「Don't Leave Me This Way」、ライブのオープニングにふさわしくてひたすらカッコいい「Absolution Blues」、ZEPPELINやWHITESNAKEというよりCOVERDALE・PAGEとしての可能性を感じさせたラストトラック「Whisper A Prayer For The Dying」が良いんですよね。派手さ的には前半4曲(「Shake My Tree」「Waiting On You」「Take Me For A Little While」「Pride And Joy」)なんだろうけどね。

時代的にはグランジ全盛期、HR/HMはすでにオールドウェイブ的存在に追いやられていた中発表された本作は、全米5位、全英4位を記録。セールス的には全米50万枚止まりだったようです。WHITESNAKEの新作と考えればまずまずの成功と言えるし、LED ZEPPELIN関連作と捉えれば低調と言わざるをえない。この微妙な結果がプロジェクトの寿命をより縮めた、とも言えますが……ただ、この“実験”があったからこそ、ペイジは翌年以降にプラントと組んでアルバム作ったりライブをしたりできたわけで、カヴァデールもWHITESNAKE再編へと動きだすことができたわけです。そういう意味においては、スーパーグループではあったけどそれぞれにとって過渡期だった……と言ったら失礼でしょうか。



▼COVERDALE・PAGE『COVERDALE・PAGE』
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