JOE SATRIANI『SURFING WITH THE ALIEN』(1987)
1987年10月にリリースされたジョー・サトリアーニの2ndアルバム。日本盤は翌1988年5月に発売されています。
ジョー・サトリアーニの出世作にして、ギターインスト・アルバムの概念を大きく変えた記念碑的作品と断言してもいいくらい、ロックやHR/HMの視点で楽しめるインストアルバムです。
当時、日本でのサトリアーニの評判は「スティーヴ・ヴァイの師匠」や「METALLICAのカーク・ハメットが教え子」といった話が先行し、一部のコアなリスナーやプレイヤー以外にその音楽やプレイにまで注目が行き届いていなかった印象があります。しかし、1988年3月にミック・ジャガーが初来日した際、そのバンドメンバーとしてサトリアーニが初来日。ミックやROLLING STONESの曲を弾くことがメインではあったものの、ここで初めて彼のプレイを目の当たりにした人は多かったはずです(当時、フジテレビのゴールデンタイムでライブの模様が放送されましたしね。僕も音楽誌ですでに名前は知っていたものの、ここで初めて“動くサトリアーニ”と対面しました)。
特に日本では、その来日の直後に本作が初リリースされたこともあり、いい流れで高評価につながったような記憶があります。僕もレンタルだったか、友人に借りたかで本作に触れて、その“聴きやすさ”に驚きましたし。
ヴァイやカークの師匠というキーワードが先行して、音を聴く前はどうしてもキワモノ感が拭えませんでしたが、本作で展開されているプレイや楽曲は変態的なものとは少し距離を置いた、テクニカルだけど非常にまっとうなロック。むしろ、タッピングなどの速弾きやアーミングに関してはエディ・ヴァン・ヘイレンからの影響が強いよね?とすら感じたほど。そう、だからハードロック耳の僕でもすんなり入っていけたんだと思います。
冒頭のタイトルトラックこそ打ち込みリズムでチープさが否めませんが、これでもか!と弾き倒すハードブギー「Satch Boogie」は問答無用のカッコよさ。VAN HALENを愛するリスナーなら絶対嫌いになれない1曲です。
かと思えば、クラシカルなオーケストレーションを用いた「Hill Of The Skull」やセンチメンタルさが際立つ「Circles」、エレクトリック・シタールを用いたフレーズにヴァイとの共通点を感じずにはいられない「Lords Of Karma」など、クセと個性の強いナンバーも用意。40分に満たない程よいトータルランニング含め、ギターインスト初心者にうってつけの1枚だと思います。
楽曲のポップ度という点においては、本作以降どんどん磨きがかかっていきますが、トータルでの“サトリアーニらしさ”は本作がベスト。マーベルコミックのシルバーサーファーを起用したジャケットは2018年の権利切れで差し替えになってしまいましたが、当時のアートワーク含めキャッチーさが際立つ傑作です。
▼JOE SATRIANI『SURFING WITH THE ALIEN』
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