2004/12/09

JOHN LENNON『ACOUSTIC』(2004)

 今年も12月8日が何事もなく、普通に過ぎていきました。特にここ2〜3年は、12月8日だからといって「彼」の曲を聴くとか、そういった儀式めいたことをしてきませんでした。既にそれ自体、前のサイトの最初の年に、彼に対する想いを全て言葉にしてしまいましたからね。まぁ多分意識してなかっただけで、実際には聴いてたんだろうけど、全然記憶に残ってないってことは‥‥それだけ、俺自身の中でも風化されちゃってるってことなのかしら。

 今年も12月8日が来ました。既に24年も経ってしまってるんですね。あともう7年もすれば、ジョンが亡くなったのと同じ年齢なのか。何だか凄く不思議な気分だな、それ。

 長年ロックを聴いていると、亡くなってしまったアーティスト達の年齢を、自分が超えてしまうという機会が何度も何度もあるわけで。特に30過ぎると、それはもうね‥‥大体、20代後半で亡くなってる人、多いじゃないですか。27才ってのが結構集中してるよね、カートにしろ、ジミヘンにしろ、ジャニスにしろ、ブライアンにしろ。もうジム・モリソンも、スティーヴ・クラークも超えちゃったんだな、自分‥‥そりゃ年取るわけだ。そして生き残った奴らも老けていくわけだわ。

 日本では9月に、欧米では11月になって、ジョン・レノンの新しい編集盤「ACOUSTIC」がリリースされました。文字通り、アコースティックな楽曲を集めたものなんですが、これが所謂「未発表デモ音源集」みたいな代物で、賛否両論なんですよ。ま、確かに「否」の声が多いの、判る気がする。だって、完全にホームデモがメインになってるし、しかも妙なエフェクト(全体にコーラス系のエフェクトをかけたような、音がゆらゆらしたイメージ)がかけられてるし。そりゃオノ・ヨーコがファンから批判されるのも無理ないわな。

 けどね‥‥いろんな意味で感慨深くもあるわけ。こうやってアコギ1本で歌われる、音質の滅茶滅茶悪いデモ並みの音源を聴いてると、まるでジョンが戦前のブルーズマン、例えばレッドベリーとかロバート・ジョンソン辺りと同じように思えてくるんだよね。そんな人達の、秘蔵音源発掘!みたいな編集盤を聴いてる感覚。ギター1本で一発録りってのもあって、余計にそう感じるんだわ。

 ここに収められた楽曲の殆どが、ちゃんとスタジオテイクで(それはまんまアコースティックだったり、あるいはバンド用にアレンジされて)オリジナル・アルバムに収録されてるものばかりだけど、個人的には新しい発見も幾つかあって。'60年代末〜'70年代のブルーズだったんだな、ジョンの歌は。けど「Blues=悲しい」歌だけじゃないんだよね、ジョンのブルーズは。愛に溢れてた。それがジョン・レノンなりの、新しい形のブルーズだったんじゃないかと。このどうしようもなくダメダメなアルバムを聴いていて、そういう風に思えてきて。そう思えたなら、このダメさ加減も急に愛おしく思えてきて‥‥それじゃダメなんだけどさ。

 多分このアルバム、年に何度も棚から引っ張り出して聴くようなアルバムじゃないと思う。これ聴くなら、何百回と聴いてるオリジナル作を進んで聴くもんな。けど‥‥こういう夜には、もしかしたらまた聴きたくなるかも。何となくそう思えた、12月8日から9日に日付が変わる夜なのでした。



▼JOHN LENNON『ACOUSTIC』
amazon

投稿: 2004 12 09 01:00 午前 [2004年の作品, John Lennon] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/23

とみぃ洋楽100番勝負(97)

●第97回:「Mother」 JOHN LENNON ('70)

 男なんて、多かれ少なかれ皆マザコンの気を持ってる。それはどんなに偉い奴だろうが、貧しい奴だろうが、自分の母親を大切に思わない男なんていないってことだよ。女性が父親に対して感じる愛情とは、また違った形の愛情なんだろうなぁ‥‥いや、俺は女性になったことないから、正直その違いはハッキリとは判らないけど。

 ジョン・レノンの、母親に対する愛情や想いというのは、ファンのみならず、ちょっとした洋楽ファンならご存知でしょう。そのジョンがBEATLES解散後に発表した、最初のアルバムの1曲目に収録されたのが、この "Mother" という赤裸々な叫び。本当の意味での「魂の叫び」なんですね、これ‥‥だから邦題の「ジョンの魂」というタイトルは、実は凄いピッタリなんですよ。勿論これ以外の曲に対しても言えることなんですが。

 あまりにストレート過ぎて、当時のBEATLESファンの中にはついていけなかった人もいたそうですが、BEATLES後しかしらない、BEATLESがいた時代をリアルタイムで知らない俺等からすれば、これ以降のジョンこそが我々がよく知るジョン・レノンなんですよね。そして、そんなジョン・レノンに俺は惹かれたわけなんですよ。

  俺はジョン・レノンにはなれないし、なりたいとも思わない。だけど、この曲から感じられる愛だったり喪失感だったり‥‥そういった感情は共感できるし、むしろしたいと思う。それは俺が男だからかもしれないけど。



▼JOHN LENNON「PLASTIC ONO BAND」(amazon

投稿: 2004 11 23 12:06 午前 [1970年の作品, John Lennon, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/12/08

THE PLASTIC ONO BAND『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』(1969)

ジョン・レノンが当時まだBEATLESに在籍中にも関わらず、妻であるオノ・ヨーコと結成したバンド、THE PLASTIC ONO BANDが初めてライヴらしいライヴを行った1969年9月13日、トロントでのイベント出演時のライヴを収録したのが、このアルバム「LIVE PEACE IN TORONTO 1969」。この日のライヴ、出演自体が前日決定で、リハーサルもトロントへ向かう飛行機の中で行ったのみという、正にぶっつけ本番・即興的なもの。この日の参加メンバーも即的的なもので、ジョンとヨーコ以外はエリック・クラプトン、クラウス・フォアマン、アラン・ホワイトといった気心知れた面々。まぁクラプトンは前年、一緒にセッションしたことがあったし、BEATLESの「THE BEATLES (WHITE ALBUM)」でのジョージ・ハリスンの曲に参加してたので、全然面識がなかったわけじゃないんですが、それでもたった一度、しかも飛行機の中でチェックしたのみですよ‥‥

聴き方によっては常に緊張感が漲ってるようにも聞こえるし、またユルユルでダラダラしすぎとも聞こえるんですよね。とてもダルでルーズなロックンロール中心のセットリストなのも関係あるんでしょうけど。選曲に関してはロックンロールのスタンダードナンバーとジョンの曲が半々で、プレスリーのカバーで有名な "Blue Suede Shoes"、BEATLESでもカバーしてた "Money" と "Dizzy Miss Lizzy" といった有名曲に並んで、後期BEATLESの名ブルーズ "Yer Blues"、当時の最新シングル "Give Peace A Chance"、出来たてホヤホヤの "Cold Turkey" という如何にもジョンといった選曲が成されています。

個人的にはこのアルバム、BEATLESのライヴ活動停止後、ジョンが初めて公の場でライヴらしいライヴを行ったという歴史的価値よりも、そしてジョンとクラプトンのコラボレートよりも、ジョン・レノンというギタリスト、彼のカッティングの味わい深さを存分に堪能できる1枚だと認識しています。BEATLES時代、特に初期から彼のコードストロークやカッティングには定評があった(と思う)し、いざ真似しようと思っても簡単そうでいて実は難しいということを、ギターでコピーしようとした時に初めて気づかされたんですね。で、特にこのライヴ盤ではそれが顕著に表れていて、俺的にはクラプトンよりも全然目立ってると思うし、改めて彼のリズム感だとかカッティングのタイミングみたいなものの絶妙さに驚かされます。

勿論、それ以外にも久し振りにロックンローラー然としたジョンを存分に堪能できるし(その後リリースされたライヴ盤は、ちょっと大人になってしまったジョンというイメージが強いんで)、あのヨーコの微妙な歌声も味わうことができます。

そうそう。アナログ盤でいうところのB面‥‥ラスト2曲がヨーコ作のソロナンバーなんですが‥‥まぁ一応「THE PLASTIC ONO BAN」ですから、ジョンだけがメインというわけではなくてヨーコもメインを担っているわけですよ。その曲、"Don't Worry Kyoko (Mummy's Only Looking For Her Hand In The Snow)" と "John, John (Let's Hope For Peace)" は、ヨーコによる絶叫にも近いうめき声?のバックでバンドがセッションするといった、正に前衛音楽の世界。実際、この頃のヨーコの音楽って殆どそんな感じだったし、更にそれにジョンが影響を受けてしまってたんですから、余計にたちが悪い。けど‥‥実はこれが初めてCD化された'95年頃に聴いた時は「正直、厳しいなぁ」と思ってたんですが、あれから8年以上経った今聴いてみると‥‥別にどうってことないんですよね。どういうわけか。単純に自分がこの手の音楽に慣れてしまっていることもあると思うんですが(これ聴いた後にBOREDOMSなんて聴いたら完全にノイズだしね!)、バックのサウンドが普通に「ロックンロールしてる」ことが大きく影響してるんじゃないですかね。それに改めて気づいただけでも大きな収穫だったと思います。

俺は物心ついてからジョンの新曲やライヴを体験することに間に合わなかったけど、それでもこうやって何度も同じアルバムを聴く度に新しい発見が出来るというのは、ある意味幸せだと思うし、そしてそういう面からもジョンってやっぱり凄かったんだなぁと再認識するわけですよ。もっとロックンロールする彼が観たかった/聴きたかったなぁ‥‥彼が生きた年月を追い越すまでにあと7年ちょっと。もう少しマトモな人間になりたいと思います。



▼THE PLASTIC ONO BAND『LIVE PEACE IN TORONTO 1969』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 12 08 03:20 午前 [1969年の作品, John Lennon] | 固定リンク