2018年6月30日 (土)

JON BON JOVI『DESTINATION ANYWHERE』(1997)

グレイテスト・ヒッツアルバム『CROSS ROAD』(1994年)、オリジナルアルバム『THESE DAYS』(1995年)を連続リリースし、大掛かりなワールドツアーを大成功させたBON JOVIは、そのあと4年近くにおよぶ活動休止期間に突入します。その間、ジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)は俳優業に精を出したりし、リッチー・サンボラ(G)は2枚目のソロアルバム『UNDISCOVERED SOUL』(1998年)を発表し、大々的なソロツアーを行います。

が、ジョン自身も俳優業だけでなく、単発で音楽活動も行いました。それが1997年6月にリリースされた2枚目のソロアルバム『DESTINATION ANYWHERE』です。

初のソロアルバム『BLAZE OF GLORY』(1990年)は映画『ヤングガン2』にインスパイアされた、なかばサウンドトラック的な1枚でした(映画自体もBON JOVIの「Wanted Dead Or Alive」から強い影響を受けたものなので、音楽も必然的にそっち寄りになりましたし)。そういった意味では、今回の『DESTINATION ANYWHERE』のほうがよりソロ色が強い作品と言えるでしょう。

EURYTHMICSのデイヴ・スチュワート、デズモンド・チャイルド、ステファン・リローニ(BLACK GRAPE、HANSONなど)、エリック・バジリアン(ex THE HOOTERS / ジョーン・オズボーン「One Of Us」の共作などで有名)と個性的な面々をプロデューサー/コラボレーターに迎えた本作は、基本的にはバンドサウンドを排除した打ち込み主体のポップアルバム(本編ラストの「August 7, 4:15」のみバンドサウンドで、2000年代のBON JOVIに通ずるものあり)。BON JOVIでのメロディメイカーとしての才能が遺憾なく発揮され、それを同時代的なダンスミュージックやポップミュージックのフォーマットに乗せることで、新たな魅力が引き出されているだけでなく、やはりBON JOVIの楽曲が持つポップさはHR/HMの枠では収まらないものなんだと実感させられました。

オープングの「Queen Of New Orleans」こそ終始ロウトーンで歌われ、しかも全体的にダークな作風とうことで“グランジ以降”を彷彿とさせますが、続く「Janie, Don't Take Your Love To Town」や「Midnight In Chelsea」のポップさはBON JOVI歴代のヒットチューンにも引けを取らない仕上がり。全体的にミディアム〜スローのダウンビートが中心なので、高揚感を求めて接すると痛い目を見るかもしれません。直近の『THESE DAYS』ほど“枯れた”テイストはありませんが、実は楽曲の質感的には意外と近いものがあるような気がします。「Every Word Was A Piece Of My Heart」あたりなんて、キーとテンポを上げたらそのままBON JOVIの楽曲としても通用するものですしね。

全12曲で60分前後と比較的尺が長いアルバムですが、意外と飽きがこないのは、要所要所にフックとなるメロディ、楽曲が配置されているから。現行盤では13曲目にデモトラックの「Cold Hard Heart」が入ってますが、個人的には“ジョンのロック魂”を感じさせる「August 7, 4:15」で終わる構成が好き。これがあるから、オープニングの「Queen Of New Orleans」が映えるわけですし。

本作以降、ジョンはソロアルバムを制作していません。もはやBON JOVI自体がジョンのソロプロジェクトの一環になりつつありますし、その必要もないんでしょうけど、たまにはこういったロックの枠をはみ出した作品集も聴いてみたいものです。



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投稿: 2018 06 30 12:00 午前 [1997年の作品, Bon Jovi, Eurythmics, Jon Bon Jovi] | 固定リンク

2017年11月16日 (木)

JON BON JOVI『BLAZE OF GLORY』(1990)

1990年8月にリリースされた、ジョン・ボン・ジョヴィBON JOVI)初のソロアルバム。本作は当時公開されたアメリカ映画『YOUNG GUNS II』(邦題『ヤングガン2』)にインスパイアされて制作したもの。当初、映画サイドはBON JOVIの「Wanted Dead Or Alive」を劇中で使用したいと申し出たのですが、これに対してジョンは新曲を多数用意し、このうち「Blaze Of Glory」と「Billy Get Your Guns」のみが劇中で使用されることになりました。

海外盤ジャケットを観ておわかりのとおり、本作はアルバムを通して『YOUNG GUNS II』の世界観が描かれており、先の「Wanted Dead Or Alive」や『NEW JERSEY』(1988年)で表現してきた“カウボーイソング”が一気に開花しております。

そもそもBON JOVIの楽曲使用を申請されたのに、なぜジョンのソロだったのかと申しますと、この時期BON JOVIは2年近くにわたるワールドツアーを終えたばかりで、バンドとしての動きが一切ないタイミング。ぶっちゃけ、バンド内の状況も決して良好とは言い難いものであり、それもあってジョンはソロという“もうひとつの手段”を試してみたんでしょうね。

なもんで、楽曲自体はすべてジョンひとりで書かれたもの。メロディセンスはさすがですが、ちょっとシンプルかつコンパクトなものが多いかな。そういった楽曲をプロデューサーのダニー・コーチマーや、ケニー・アロノフ(Dr)、ランディ・ジャクソン(B)、ジェフ・ベック(G)といった名手たちと色付けしていくのですが、BON JOVIのような高性能ハードロック色皆無の、完全にレイドバックしたカントリー寄りのアメリカンロックが完成するわけです。もうこれ、完全にジョンが憧れるブルース・スプリングスティーンですね。もしくはジョン・メレンキャンプとか、ああいった“枯れた”ロックを奏でる人たち。納得です。

ゲストも豪華でキース・リチャーズのバンドでおなじみのワディ・ワクテル(G)やRATTのロビン・クロスビー(G)をはじめ、エルトン・ジョン(Piano, Vo)、リトル・リチャード(Piano, Vo)などなど。エルトンは「Dyin' Ain't Much Of A Livin'」でジョンとハモっているし(聴けばすぐにわかりますよね)、リトル・リチャードは「You Really Got Me Now」でジョンとデュエットしており、ホンイキの歌声を聴かせてくれてます。

中でも、ジェフ・ベックの存在感が別格すぎ。ミック・ジャガーのソロアルバムでもかなり好き放題弾いてましたが、本作でもやってくれてます。この人、ロッド・スチュワートといい、やっぱり存在感のあるフロントマンと一緒に何か作ると、自分のソロとはまた違った個性を発揮するんですよね。本当に面白い存在です。

あと、久しぶりに聴いて思ったのですが、「Santa Fe」って「Always」以降のBON JOVIピアノバラードに通ずる世界観がすでに存在するんですよね。思えば「Always」もジョン単独で書いた曲だし、改めて腑に落ちるものがありました。

アルバムは全米3位で200万枚以上のセールス、シングル「Blaze Of Glory」は全米1位を記録し、今でもBON JOVIのライブで披露される機会が多い1曲になりました。この成功があったから、数年後の「Always」(1994年)そして『THESE DAYS』(1995年)につながっていくわけです。




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投稿: 2017 11 16 12:00 午前 [1990年の作品, Bon Jovi, Jeff Beck, Jon Bon Jovi, Ratt] | 固定リンク