2005年10月29日 (土)

V.A.『KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-』(2005)

さて、目下絶賛来日中のQUEEN + PAUL RODGERS御一行様ですが、やはり来日する前は懐疑的な声があったと思うんですよ、特に古くからのファンから。けど、実際にこの目で見てしまうとやはり……QUEENという偉大さに対してリスペクトをしつつ、ブライアン・メイやロジャー・テイラーがポール・ロジャースという「友人」と思う存分楽しんでQUEENナンバー、さらにはFREEやBAD COMPANYの曲を演奏してる……っていうことを、もの凄い説得力を持って披露してくれるもんだから、観る側としては文句の言いようがないわけですよ。だってねぇ、約2時間半近くに渡って、それこそ30曲近くも演奏してくれるんですからねぇ。僕はあのセットリスト見ただけで涙ぐみましたもの。

今年は『WE WILL ROCK YOU』のミュージカルが来日したり(当然僕も行きました)、先のQUEEN + PAUL RODGERSがあったり、もっといえば去年からの『JEWELS』のヒットなどがあって、かなりQUEENに注目が集まった1年だったじゃないですか。そんな中、リリースされたこのトリビュートアルバム『KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-』。アメリカでは8月に、ここ日本では来日公演に合わせて10月後半にリリースされたばかりで、リリース元がQUEENのアメリカでの配給元である「Hollywood Records」ということもあり、もっとも公式トリビュート盤に近い存在な1枚ではないかと思うんです。以前にも「EMI」からこの手のトリビュートが出たこともあったけど、あのときはダンス系のみだったし。今回みたいなロック/ポップス/オルタナティヴといったもっともQUEENが影響を与えたシーンからのフィードバックは恐らく初めてのことだと思うので、普段はこの手のトリビュート盤を買わない僕ですら、これは真っ先に買いました。

参加アーティストはそれこそ多岐に渡り、そのへんはAmazonのリンク先を見てもらえば一目瞭然だと思うんですが……みんなそれぞれに原曲に忠実だったり、独自の色にまで昇華させてしまっていたり、その愛情表現の方法はさまざまで、良い意味で聴きやすく、破綻してないなーと。それが嬉しくもあり、また物足りなくもあり。まぁトリビュート盤というのはそういうのが多いですからね、そこまで過剰な期待はしてなかったですけど。

でも聴き応えありますよ、それなりに。完全にゴスペルバラードに昇華してしまったデヴィン・デグロウの「We Are The Champions」もそうだし、ストーナーチックなヘヴィロックへと進化したジョシュ・オム(QUEENS OF THE STONE AGE)が歌いELEVENが演奏する「Stone Cold Crazy"」もそうだし、個性的なアーティストっていうのはやはりカバー曲でも己の色へと昇華してしまうんですね。

かと思えばSUM41による「Killer Queen」やROONEYによる「Death On Two Legs」みたいに、原曲まんまの完全コピーすらある(彼らがここまで素直なカバーをするとはちょっと驚きでした)。あのLOS LOBOSがQUEEN(「Sleeping On The Sidewalk」)をカバーするというのもある意味面白いし、ジョン・オブライオンによる「Play The Game」もらしくて聴き応えあったし。うん、これだけでも平均点以上ですよね。

しかし、このアルバムには本当の意味でのハイライトがふたつ用意されていました。それはふたつの「Bohemian Rhapsody」カバーなんですよ。

前半のハイライトであるコンスタンティン・Mとミュージカル『WE WILL ROCK YOU』ハリウッド版キャストによるカバーは、原曲まんまなんですが、中盤のオペラパートもミュージカル同様すべて完全コピーされてるのがさすがというか。ちょっと鳥肌立ちますね。

そしてもうひとつのカバーは、かのTHE FLAMING LIPSによるサイケデリック・バージョン。こちらも基本的には完全コピーに近いんだけど、そこは彼らのことですから……完全にLIPSバージョンになってしまってる。ていうか、彼らのオリジナル曲ですよこれ! 多重録音ならではの中間パートは正に「涅槃からの誘い」ですし、このドリーミーな感じこそLIPSの極みといったところでしょうか。こちらも違った意味で泣けますね。

ほかにも名カバーは幾つもあるしホントは1曲1曲についてコメントしていきたいんですが、それをやると相当な長さになるんで、今回は割愛。QUEEN好きで昨今のロックシーン(主にアメリカン・オルタナ・シーンね)に興味を持っている人なら間違いなく楽しめる1枚だと思いますよ。これを聴いて改めてQUEENの偉大さにひれ伏すもよし、来日公演前に聴いて気分を高めるもよし。LIPSバージョン「Bohemian Rhapsody」だけでもぜひ聴いてみてくださいよ!



▼V.A.『KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-』
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投稿: 2005 10 29 09:18 午後 [2005年の作品, Compilation Album, Joss Stone, Queen, Queens of The Stone Age, Shinedown] | 固定リンク

2004年2月 5日 (木)

JOSS STONE『THE SOUL SESSIONS』(2003)

既にここ日本でもFM局を中心に局地的に盛り上がりつつあるジョシュ・ストーンというシンガー。彼女、イギリスの片田舎に住む16歳の女の子だというのだから‥‥いやはや、恐れ入ったというか何と言うか‥‥

この「THE SOUL SESSIONS」と題された彼女のファーストアルバムは、そのタイトル通り、古き良き時代のソウル/R&Bを、'80年代後半生まれのジョシュが、ソウル界/R&B界の大御所ミュージシャン達と「セッション」することで作り上げられた1枚。どの曲もどこかで一度は耳にしたことがあるんじゃなかろうか?と言えるような、その筋では知られた曲ばかり。ちょっとソウルに疎い人でも、"Some Kind Of Wonderful" くらいは知ってるでしょ? そういったスタンダードナンバーを、とても16歳の白人女性には思えない程ディープでソウルフルな歌声で自分のものにしてるんだから、もうなんて言ったらいいのか‥‥日本に数百万人はいると思われる「自称・ディーヴァ」系の方々。ジョシュの爪の垢でも煎じて飲んで、もうちょっと控えめに生きていきなさいって!

例えば、ソウルやR&Bの世界に疎い俺からすれば、ベティ・ライトとかアンジー・ストーンなんて人は「音は聴いたことないけど、名前くらいは知ってる」っていう存在でして、その凄さを実感してないからこそ「超有名なアーティストがプロデュース!」という付加価値は俺にとって意味がないもの。そりゃ、ここでカバーされてるアレサ・フランクリンやカーラ・トーマス、THE ISELY BROTHERSは知ってるし、実際ここに入ってる曲の原曲を知ってるものも多い。だけど、俺にはその辺の重みって殆ど意味がないものでして‥‥単純に「ソウル/R&Bとして以上に、ロックやポップスとしても十分に機能するアルバム」なのですよ。きっとそれは、ラジオでいきなりTHE WIHTE STRIPESのカバー "Fell In Love With A Boy" が流れてきて、俺の中にもの凄い勢いで飛び込んできたからでしょうね。曲が終わってから、これが噂のジョシュ・ストーンの曲だと知って、2度驚いたわけ。以前、うちのサイトのニュースで取り上げたことがあって、その名前は知ってて、しかもWHITE STRIPESのカバーもやってるってのも頭に入ってたから、余計にね。

タイプはちょっと違うけど、マライア・キャリーのファーストアルバムを初めて聴いた時に似たような衝撃を受けましたね。マライアの場合は純粋な意味でのR&B調ポップスと呼べるけど、ジョシュの場合は‥‥ドンズバのソウルをやってるはずなんだけど、もっといろんな可能性を感じさせる作風のアルバムだなぁ、と。全編生バンド(しかも名うてのミュージシャンばかり)ってのも大きいし、アレンジがシンプルながらもズシンとくるものばかりってのも関係あるでしょう。とても16歳の女の子相手のバンドとは思えませんよね? 30代半ば辺り‥‥それこそシェリル・クロウとかあの辺にも共通する色を持ってるし。また曲によっては、昨今流行のリバイバル・ロックにも通ずるし。そう、彼女の登場は必然だったんでしょうね。時代に呼ばれた人だったのかもしれません。

とにかくね、"Fell In Love With A Boy" がカッコ良すぎて‥‥THE ROOTSのメンバーが参加してたりするんですよね、これ。あと、ラストの "For The Love Of You Pts.1&2" での「歌」とか。全編がハイライト。そりゃ16歳なりの「未熟さ」を感じさせる瞬間もあるにはあるんだけど‥‥それが何?っていう感じですかね。そんな「重箱の隅をつつく」ようなことを言ってるような人達は放っておいて、純粋に楽しめばいいと思いますよ。だってさ、これが1作目なんだから‥‥5年後とか10年後って、ホントどうなってるんだろうね‥‥ゾッとするね。

デビュー作が完全カバー集だったこともあり、まだまだ彼女の方向性とか本当の魅力がピンボケしてるようにも思えますが、それは今後彼女に付いたプロデューサーの仕事次第ですよね。折角ベティ・ライトみたいな大物が彼女を支えてるんだから、彼女が曲を書き下ろしてもいいし、あるいは‥‥それこそWHITE STRIPESのジャック・ホワイトが書き下ろして、このアルバムのメンツでアレンジしてみてもいいし。カチッとした個性がまだない分、可能性だけは尽きないですね。ホント、先々が楽しみな人が現れましたよ‥‥



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投稿: 2004 02 05 03:27 午前 [2003年の作品, Joss Stone] | 固定リンク