JUDAS PRIEST『REFLECTIONS - 50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』(2021)
2021年10月15日にリリースされたJUDAS PRIESTの最新コンピレーションアルバム。
本作はバンド結成50周年を記念して、同日に全世界3000セット限定で発売されたCD42枚組ボックスセット『50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』から既存曲/テイクと未発表ライブ音源が抜粋されたハイライト盤。全16トラック中7トラックが未発表音源となっており、トータル80分という非常にボリューミーな内容となっています。
いわゆるベストアルバムやグレイテストヒッツとは異なり、その選曲は非常にマニアックなもの。だって、本作には「Breaking The Law」も「Metal Gods」も「You've Got Another Thing Comin'」も「Freewheel Burning」も「Turbo Lover」も「Painkiller」も入っていないんですから。その代わり、3rdアルバム『SIN AFTER SIN』(1977年)から「Let Us Prey / Call For The Priest」、6thアルバム『BRITISH STEEL』(1980年)から「You Don't Have To Be Old To Be Wise」、8thアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)から「Fever」、9thアルバム『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984年)から「Eat Me Alive」、12thアルバム『PAINKILLER』(1990年)から「All Guns Blazing」、最新作『FIREPOWER』(2018年)から「Never The Heroes」と、マニアックながらも隠れた名曲たちが選出されており、改めてこのバンドの懐の深さを実感できるのではないでしょうか。
また、既存のライブテイクは「Dissident Aggressor」が『A TOUCH OF EVIL: LIVE』(2009年)から、「Out In The Cold」が『PRIEST... LIVE!』(1987年)から、「Running Wild」が『UNLEASHED IN THE EAST』(1979年)から。こちらのセレクトも通好みで良いんじゃないでしょうか。「Dissident Aggressor」のみここ10年くらいのライブテイクで、ロブ・ハルフォード(Vo)も以前のようにハイトーンが出ない状態ですが、これくらいなら全然アリという内容。問題ありません。
で、気になる未発表ライブ音源。「Victim Of Changes」や「The Green Manalishi (With The Two Pronged Crown)」「Bloodstone」は1980〜82年の録音、「Beyond The Realms Of Death」に至っては1979年のライブ音源ということで、音質や録音状態は決して良好とは言えないものも含まれています。このへんはもうマニアのためのものといったところでしょうか。そんな中でも、「Beyond The Realms Of Death」はニューヨークのThe Mudd Club公演からのテイクで、ほかのライブ音源がホールやアリーナ会場での録音と考えると非常に貴重な1曲ではないでしょうか。ロブのボーカルパフォーマンスもごきげんですしね。そんな貴重な1曲から「The Hellion / Electric Eye」(1986年録音)へ続き、「Sinner」(1988年録音)で締め括る流れは最高の一言。なんだかんだ、終盤には人気曲が並ぶので、最後は安心して聴き終えることができるはずです。
僕自身、3000セット限定のボックスセットを買おうかどうか迷っている間にソールドアウトしていたので、今はこのコンピを聴いて気を紛らわせているところ(笑)。初心者がベスト盤に手を出すなら『METAL WORKS '73-'93』(1993年)や『THE ESSENTIAL JUDAS PRIEST』(2006年)あたりが最適ですが、そこからさらに一歩深みにハマりたかったら、本作はそのマニアックさ含めてオススメではないでしょうか。意外にも、ここ20年くらいに出たコンピの中では一番リピートしている1枚です。
▼JUDAS PRIEST『REFLECTIONS - 50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』
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