カテゴリー「Judas Priest」の26件の記事

2019年4月 1日 (月)

『DOWNLOAD JAPAN 2019』@幕張メッセ(2019年3月21日)

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初開催の『DOWNLOAD FESTIVAL』の日本版、いざ蓋を開けてみたら大盛況でしたね。当初はチケットが売れてないなんて話もありましたし、オジー・オズボーンのキャンセルで開催危ういんじゃ?なんて悪い噂も飛び交うほど。けど、これだけ入ったんだったら、来年も大丈夫なんじゃないか?って気がしてきました(もっとも、それだけ魅力的なアクトが揃えばの話ですが)。

今回は雑誌のレポで入ったので、そちらの発売前に詳細なレポを書いてしまうのはルール違反。ということで、ここでは記録として簡単なメモ程度で収めておきたいと思います。

 

LIKE A STORM

ディジュリドゥメタル! ステージ中央にフロントマン、その左右にV字にクロスしたディジュリドゥ2本×2セット。ダウンチューニングのギターだけじゃ足りない“下”を補う、イマドキの低音は心地よいったらありゃしない……けど、序盤はよく聞こえなかったけど(苦笑)。まだアルバム2枚、曲調が似たり寄ったりなのが玉に瑕か。でも良い曲多いよね。

00. Intro
01. Pure Evil
02. The Bitterness
03. Solitary
04. Complicated (Stiches & Scars)
05. The Devil Inside
06. Love The Way You Hate Me


AMARANTHE

ライブ初見。ボーカル3人は多い……けど、ちゃんと役割が振り分けられているし、1人がフィーチャーされている間はほかの2人が休憩できるというフレキシブルさはなかなか。女性シンガーが良い声してたのと、本当に曲が良い。そりゃ売れるわけだ。納得のステージでした。

00. Helix Intro
01. Maximize
02. Digital World
03. Hunger
04. Amaranthine
05. GG6
06. Helix
07. Drop Dead Synical
08. Call Out My Name
09. The Nexus


MAN WITH A MISSION

唯一の日本代表(と、言ってもいいよね?)、かつ非メタルバンド。頭の固いメタルファンから拒絶されるんじゃ……と思っていたけど、さすが百戦錬磨のライブバンド。いざライブが始まれば、自分たちのペースで、自分たちの空間をしっかり作り上げる。最後の「FLY AGAIN」での手ふり、みんな完璧だったもんね。ホッとしました。

01. database
02. Broken People
03. Get Off of My Way
04. Dead End in Tokyo
05. Raise your flag
06. Left Alive
07. Take Me Under
08. FLY AGAIN


HALESTORM

リジーが男前すぎて……完全に21世紀のジョーン・ジェットでした。「Love Bites (So Do I)」では同名バンドLOVEBITESのフロントを担うasami嬢がゲスト参加。リジーに負けないパワフルさで場を盛り上げました。あと、彼らはメタルというよりは埃っぽいアメリカンロックなんだなと、ライブで聴いて再認識。次はフルセットで観たい!

01. Black Vultures
02. Mz. Hyde
03. Love Bites (So Do I) [with asami from LOVEBITES]
04. Tokyo
05. Amen
06. Do Not Disturb
07. Drum Solo
08. Freak Like Me
09. Uncomfortable
10. I Miss The Misery


ARCH ENEMY

ごめんなさい、朝からずっと立ちっぱなしだったので、ここで休憩。外で食事をとりながら音だけ聴いてました。5月にBLACK EARTH来日があるからか、初期曲はゼロ。日本人、みんなARCH ENEMY好きなのね。ラストの「Nemesis」だけじっくり観たけど、やっぱりカッコいいわ。

00. Set Flame To The Night
01. The World Is Yours
02. Ravenous
03. War Eternal
04. Blood On Your Hands
05. You Will Know My Name
06. Dead Eyes See No Future
07. The Eagle Flies Alone
08. As The Pages Burn
09. Dead Bury Their Dead
10. No Gods, No Masters
11. Nemesis
12. Enter The Machine (outro)


ANTHRAX

何気にベストアクトでは? 客の盛り上がり然り、ステージ上の熱量然り。PANTERA始まり&終わりはズルい。あと、久しぶりにライブで聴いた「Be All, End All」が最高すぎました。何度観ても良いバンドは良い。それで十分。

01. Cowboys From Hell (intro) 〜 Caught In A Mosh
02. Got The Time
03. Madhouse
04. Fight 'Em 'Til You Can't
05. I Am The Law
06. Be All, End All
07. Evil Twin
08. Antisocial
09. Indians 〜 Cowboys From Hell (outro)


GHOST

期待のGHOST。ステージセットや演出含め、完全に独自路線。メロウなハードロック感はどこかアリス・クーパー的。けど、ANTHRAXの後というのは分が悪すぎ。せめてSUM 41の後なら……ほかのお客ももっと引き込めたのでは。いや、僕は存分に満足しましたけど、もっと熱狂的な盛り上がりが観たかったな。

01. Ashes
02. Rats
03. Absolution
04. Ritual
05. From The Pinnacle To The Pit
06. Faith
07. Cirice
08. Miasma
09. Year Zero
10. Mummy Dust
11. Dance Macabre
12. Square Hammer


SUM 41

完全な休憩タイム。最後の2曲だけ観ました。代表曲が多いと、ジャンルは少し外れても盛り上がることは盛りがるのね。彼ら目当てのファンも少なくなかったようですし。

01. The Hell Song
02. Over My Head (Better Off Dead)
03. Motivation
04. We're All To Blame
05. Walking Disaster
06. Underclass Hero
07. No Reason
09. We Will Rock You
10. In Too Deep
11. Fat Lip
12. Still Waiting


SLAYER

ちょっと複雑な気持ちに。最高のステージだったんだけど、ラストのトム・アラヤによる日本語MCで感傷的な気分に。「どうせもう一回来るでしょ?」と高を括ってたけど、あれで一気に「本当に最後だ」と嫌でも実感させられた。帝王らしい潔い終焉でした。

00. Delusions Of Saviour
01. Repentless
02. Blood Red
03. Disciple
04. Mandatory Suicide
05. Hate Worldwide
06. War Ensemble
07. Jihad
08. When The Stillness Comes
09. Postmortem
10. Black Magic
11. Payback
12. Seasons In The Abyss
13. Born Of Fire
14. Dead Skin Mask
15. Hell Awaits
16. South Of Heaven
17. Raining Blood
18. Chemical Warfare
19. Angel Of Death


JUDAS PRIEST

4ヶ月ぶりのプリースト。ちょっと前に「Killing Machine」をやったって話があったから、日本でも……と思っていたら、気合い入れて半分近くセットリスト入れ替わってる! しかも選曲がマニアック! これはこれでアリ! あと、東京公演では聴けなかった「he Hellion 〜 Electric Eye」を堪能できたのはうれしかった。やっぱこれでしょ?

01. Firepower
02. Delivering The Goods
03. Sinner
04. The Ripper
05. Evil Never Die
06. Bloodstone
07. Saints In Hell
08. No Surrender
09. Turbo Lover
10. Devil's Child
11. Killing Machine
12. Some Heads Are Gonna Roll
13. Guardians 〜 Rising From Ruins
14. Rapid Fire
15. Hell Bent For Leather
16. Painkiller
--ENCORE--
17. The Hellion 〜 Electric Eye
18. Breaking The Law
19. Living After Midnight

2019年3月 3日 (日)

ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』(2019)

2019年1月に発表された、ARCH ENEMYのカバーアルバム。バンド初期からシングルのカップリングやアルバムのボーナストラックとして収録されてきた歴代のカバー曲を1枚にパッケージした作品で、その内訳も初期3作のヨハン・リーヴァ時代、ブレイクのきかっけを作ったアンジェラ・ゴソウ時代、現在のアリッサ・ホワイト=グラズ時代と3世代にわたる、ある種のオールタイム“裏”ベストアルバムとなっています。

取り上げられているカバーはIRON MAIDENJUDAS PRIESTEUROPEMEGADETH、MANOWAR、QUEENSRYCHEPRETTY MAIDSSCORPIONSKISSなど彼らのルーツにあるHR/HMバンドからG.B.H.、DISCHARGEといったハードコアバンド、SKITSLICKERS、ANTI-CIMEX、MODERAT LIKVIDATIONという地元スウェーデンのハードコア/クラストコアバンド、マイケル・アモット(G)がかつて在籍したCARCASS、そしてTEARS FOR FEARSやマイク・オールドフィールドといったポップ寄りまで、バラエティに富んだもの。JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、EUROPE、SKITSLICKERSはボーカリスト違いで複数選ばれているものもあります。

全24曲中、M-1「Shout」からM-11「City Baby Attacked By Rats」までがアリッサ時代、M-12「Warning」からM-20「Symphony Of Destruction」までがアンジェラ時代、ラスト4曲がヨハン時代としっかりブロック分けされているので、そこまで違和感を感じることはないかと。特にアリッサ時代はM-5「Nitrad」から「City Baby Attacked By Rats」までのパンク/ハードコアのカバーが続く流れで統一感を作るなど、構成も考えられていますしね。

ARCH ENEMYの活動を追っているリスナーには、すべて既出で所持している音源ばかりでしょう。しかし、こういった“ファン”アルバムは出すことに意味があるので、そこに文句をつけるのは野暮というもの。そんな中、M-1「Shout」は昨年発売されたアナログボックスセット『1996-2017』やアナログ7インチ盤「Reason To Believe」に収録されていたものですが、CD化はこれが初めて。原曲をよりヘヴィにしたアレンジはどことなくツェッペリン「Immigrant Song」に似ていて、DISTURBEDのカバーバージョンとは違った味わい深さがあります。

そのほかのカバーに関しては原曲まんまのものから凝ったアレンジのものまでさまざまですが、基本的には原曲に対する愛情が強いものが多い印象です。個人的にはPRETTY MAIDS「Back To Back」、EUROPE「Wings Of Tomorrow」、CARCASS「Incarnated Solvent Abuse」、IRON MAIDEN「Aces High」がお気に入りです。

ちなみに、CDブックレットにはマイケル・アモットによる各曲の解説入り。残念ながら日本盤はおろか、配信&ストリーミングもなしの本作ですが、特にストリーミングに関しては過去作もゼロなので、これを機に動いてほしいものです。



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2019年2月19日 (火)

JUDAS PRIEST『KILLING MACHINE』(1978)

1978年10月に本国イギリスでリリースされた、JUDAS PRIESTの5thアルバム。アメリカでは『HELL BENT FOR LEATHER』と改題され、翌1979年初頭に発表されています。本作からは「Take On The World」(全英14位)、「Evening Star」(同53位)という初のチャートインシングルが生まれ、アルバムも全英32位/全米128位のスマッシュヒットを記録しています。

「Hell Bent For Leather」やFLEETWOOD MACのカバー「The Green Manalishi (With The Two-Pronged Crown)」といった現在までのライブ定番曲に加え、最新の来日公演でも披露された「Running Wild」、ロブ・ハルフォード(Vo)をフィーチャーしたSKID ROWのカバーでおなじみの「Delivering The Goods」など、意外と知名度の高い楽曲も多い本作。ロブが初めて“スタッズ&レザー”を身にまとい、のちに知られるようになるSM的ファッションが定着するきっかけとなった1枚でもあります。

1978年というと、イギリスではパンクロック〜ニューウェイヴの全盛期で、HR/HMシーンはほぼ壊滅状態。アメリカではVAN HALENなど新たな波が生じはじめ、イギリスでもIRON MAIDENなどがオーバーグラウンド浮上に向けて動き始めた時期ですが、そんな中でJUDAS PRIESTはそれ以前の古典的なハードロック(プログレッシヴロックの影響下にあるドラマチックな展開を持つアレンジなど)と、次作『BRITISH STEEL』(1980年)での“コンパクト&ストレート”な路線との間の時期でもありました。

もちろん、前作『STAINED CLASS』(1978年)と比べたらかなりモダンになり始めていますし、のちのヘヴィメタル路線に通ずる要素もほんの少しですが備わり始めています。「Take On The World」のようなオーディエンスとシンガロングできる楽曲の誕生も、次作に向けた変化を予兆させる1曲と言えるでしょう。

また、バラードにしても前作だったらドラマチックな大作「Beyond The Realms Of Death」なのに対し、今作では3分半程度のコンパクトなアコースティックナンバー「Before The Dawn」だったりする。もっと言えば、続く『BRITISH STEEL』ではバラードが排除されているので、そういった意味でも本作は過渡期的1枚なのかもしれません。

そういえば、本作のタイトルトラック「Killing Machine」が先日、41年ぶりに演奏されたことが大きなニュースとなりました。本作のリリースツアー以来やってなかったということですよね。それもすごいな。そして、この曲が意外と今のプリーストに合ってることも、昨年末のツアーを観た人ならなんとなく共感してもらえるのではないでしょうか。

日本では前作『STAINED CLASS』の人気が高いし、海外では次作『BRITISH STEEL』が高く評価されている。そういった意味ではこの『KILLING MACHINE』は、やっぱり高い山の間にある隠れた名盤的な立ち位置なのかな。個人的にはかなり好きな部類に入る1枚なんですけどね。



▼JUDAS PRIEST『KILLING MACHINE』
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2018年12月30日 (日)

HALFORD『RESURRECTION』(2000)

ロブ・ハルフォード(当時ex. JUDAS PRIEST)を中心とした5人組バンドHALFORDが2000年8月に発表したデビューアルバム。当時のメンバーはロブ(Vo)のほか、マイク・クラシアク(G)、パトリック・ラックマン(G/のちのシンガーとしてDAMAGEPLANに加入)、レイ・リーンドウ(B/2WOにも参加)、ボビー・ジャーゾンベク(Dr/RIOT)。アルバムのプロデュースは、のちにギタリストとしてバンドにも加入するロイ・Z(ブルース・ディッキンソンHELLOWEEN、JUDAS PRIESTなど)が手がけています。

プリースト脱退後、正統派ヘヴィメタルから当時流行していたグルーヴメタルへと転身し、FIGHTとして再デビューしたロブ。アルバムを2枚制作するものの、バンドは自然消滅してしまい、さらに時流に乗ってインダストリアルメタル/デジロック路線を取り入れた2WOを結成します。ですが、これらの活動はロブに“メタルゴッド”の面影を重ねる多くのリスナーから反感を買い、どれも短命に終わります。

そうした迷走を経て、ロブは再び伝統的なヘヴィメタルの世界へと舞い戻ります。それもこれも、ロイ・Zのおかげなんじゃないか……そんな気がしてなりません。

このアルバムで展開されているのは、プリーストが当時のモダンメタルへと接近した『PAINKILLER』(1990年)を軸にした作風。そこに、80年代のプリーストのフレイバーや、FIGHT以降のヘヴィロックスタイルを適度なバランスで織り交ぜることで、“しっかり2000年の音として成立する、モダンだけど正統派なヘヴィメタルアルバム”を完成させることに成功しました。

オープニングを飾る「Resurrection」は完全に『PAINKILLER』の流れを汲むものですし、続く「Made In Hell」は80年代のプリースト的ヘヴィメタル。「Locked And Loaded」は90年代での経験が見事に生かされているし、大作「Silent Scream」も『PAINKILLER』的スタイルに80年代プリーストの王道さと90年代以降のアレンジを取り込むことでよりドラマチックな楽曲へと昇華されている。かと思えば、盟友ブルース・ディッキンソンとのデュエットナンバー「The One You Love To Hate」なんて豪華な1曲もあるんだから、メタルファン生唾モノの楽曲が満載なわけですよ。

もちろん後半も捨て曲なし。「Cyber World」や「Slow Down」「Temptation」で緩急をつけつつ、ダークな「Drive」やメロディアスな疾走メタル「Savior」で締めくくる。『PAINKILLER』はもちろん、FIGHTの『WAR OF WORDS』(1993年)を素直に楽しめる方ならスッと入っていける1枚ではないでしょうか。もちろん、それ以外のメタルリスナーにもぜひ触れてほしい内容だと思っています。



▼HALFORD『RESURRECTION』
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2018年12月26日 (水)

2018年総括(番外編):HR/HM、ラウドロック編

隔月の奇数月に「リアルサウンド」さんにて、HR/HMやラウドロックの新譜キュレーション記事を書いているのですが、2018年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2018年ラウドロック年間ベスト10 ネガティブな話題の中にも豊作が揃った1年」が12月25日に公開されました。

基本的には順位を付けるのは苦手なのですが、ここでま毎回思い切って1位から10位まで順番をつけて10枚紹介しています。今年に関しては上位3作品に関しては不動なのですが、4位以降は日によって変動があると思うので、セレクトの際に泣く泣く10枚から落とした準候補10枚を加えた20枚を紹介する意味で、SpotifyとApple Musicに記事と同名のプレイリストを作成しました。

改めて、20枚を紹介しておきますね(基本的には順位は付けていませんが、先のリアルサウンドさんで1〜10位と順位付けしているため、便宜上20までナンバリングしておきます)。


01. DEAFHEAVEN『ORDINARY CORRUPT HUMAN LOVE』(レビュー
02. VOIVOD『THE WAKE』(レビュー
03. ALICE IN CHAINS『RAINIER FOG』(レビュー
04. Crystal Lake『HELIX』
05. AZUSA『HEAVY YOKE』(レビュー
06. IHSAHN『ÁMR』(レビュー
07. JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(レビュー
08. SIGH『Heir to Despair』
09. LOVEBITES『CLOCKWORK IMMORTALITY』(レビュー
10. ARCHITECTS『HOLY HELL』(レビュー
11. CORROSION OF CONFORMITY『NO CROSS NO CROWN』(レビュー
12. FEVER 333『MADE AN AMERICA』(レビュー
13. GHOST『PREQUELLE』(レビュー
14. THE STRUTS『YOUNG & DANGEROUS』(レビュー
15. MANTAR『THE MODERN ART OF SETTING ABLAZE』
16. NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
17. NOTHING『DANCE ON THE BLACKTOP』(レビュー
18. SHINEDOWN『ATTENTION ATTENTION』(レビュー
19. SLEEP『THE SCIENCES』
20. CHTHONIC『BATTLEFIELDS OF ASURA』


最初の10曲が「リアルサウンド」さんで紹介した10枚から。一応順位どおりに楽曲を並べています。で、後半の10曲が選から漏れた10枚から。こちらは基本的には順不同ですが、まあ大体こんな並びかなと。基本的には当サイトで紹介した作品、あるいはキュレーション連載で紹介した作品ばかりですが、個人的にはこういう1年だったのかなとこれを聴いて振り返っているところです。

せっかくなので、この20枚から漏れた「今年よく聴いたHR/HM、ラウドロック系アルバム」も紹介しておきます。こちらはアルファベット順に並べています。


・BEHIMOTH『I LOVED YOU AT YOUR DARKNESS』
・BURN THE PRIEST『LEGION: XX』(レビュー
・COHEED AND CAMBRIA『THE UNHEAVENLY CREATURES』
・Crossfaith『EX_MACHINA』
・DIMMU BORGIR『EONIAN』(レビュー
・DIR EN GREY『The Insulated World』
・Graupel『Bereavement』
・GRETA VAN FLEET『ANTHEM OF THE PEACEFUL ARMY』(レビュー
・HALESTORM『VICIOUS』(レビュー
・HER NAME IN BLOOD『POWER』
・JONATHAN DAVIS『BLACK LABYRINTH』(レビュー
・LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』(レビュー
・MICHAEL SCHENKER FEST『RESURRECTION』(レビュー
・OBSCURE『DILUVIUM』
・A PERFECT CIRCLE『EAT THE ELEPHANT』
・SAXON『THUNDERBOLT』(レビュー
・SHINNING『X - VARG UTAN FLOCK』
・SKINDRED『BIG TINGS』(レビュー
・SURVIVE『Immortal Warriors』
・THERAPY?『CLEAVE』(レビュー
・U.D.O.『STEELFACTORY』(レビュー
・UNITED『Absurdity』
・VENOM『STORM THE GATES』(レビュー
・陰陽座『覇道明王』

2018年12月 5日 (水)

JUDAS PRIEST『UNLEASHED IN THE EAST』(1979)

1979年秋にリリースされたJUDAS PRIEST初のライブアルバム。同年2月に行われた2度目の日本公演から、今は亡き東京厚生年金会館と中野サンプラザの公演から抜粋された9曲が収録されています。

日本盤は当初、9曲入りLPに4曲入りEPを付けた2枚組仕様で発表されましたが、2001年の世界共通リマスター盤リリース時からEP収録の4曲がボーナストラックとして追加され、現在は13曲入り/60分強のライブ作品として流通しています。また、日本盤のみ『PRIEST IN THE EAST』というタイトルでしたが、この2001年の共通りマスター盤から海外盤と同じ『UNLEASHED IN THE EAST』に変更されています。

ファンならご存知のとおり、この2度目の来日時はロブ・ハルフォードが滞在していたホテルの空調で喉をやられ、決してベストとは言い難いボーカルパフォーマンスだったそうです。それもあり、後日スタジオにて一部のボーカルパートのみ再録音されています。なので、純粋なライブ作品とは言い難いですが、KISSしかり今となってはライブアルバムにもあとから手を加えることは日常茶飯事となりつつあるので、“作品として”楽しむぶんには全然問題ないのではないかと思います(さすがにライブ中に事前録音したボーカルパートを流すのはご法度ですが)。

選曲的には5thアルバム『KILLING MACHINE』(1978年)リリース直後とあって、それまでのアルバム(1974年の1stアルバム『ROCKA ROLLA』は除く)からのベスト選曲となっています。オープニングは4thアルバム『STAINED CLASS』のトップナンバー「Exciter」。ライブならではの生々しい演奏と、変なエフェクトが加わった観客の声(?)との対比が微妙ではありますが、スタジオテイクよりもカッコいいと思うのは僕だけでしょうか。

圧巻はアナログB面(M-6〜9の4曲)のうち、2ndアルバム『SAD WINGS OF DESTINY』(1976年)からの3曲、「Victims Of Changes」「Genocide」「Tyrant」でしょうか。特に「Victims Of Changes」の緊張感あるテイクはのちのベストアルバムにも流用されるほどで、この曲が初期の代表曲のひとつとして数えられる理由がここで理解できるはずです。

80年代以降のヴィメタル化した『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)以降のライブと、比較すると旧時代然とした楽曲スタイルやサウンドに面を食うかもしれません。特に先日の来日公演を体験した若いリスナーには、このアルバムで展開されている世界観は古臭く感じることは間違いないと思います。が、あの日のライブでも演奏されていた「Running Wild」や「Sinner」「The Ripper」「The Green Manalishi (With The Two Prong Crown)」「Hell Bent For Leather」というキラーチューンが、初期の若々しいプレイと歌声で収められているので、今とはまた違った若き日のプリーストの姿を追体験できるのではないかと。70年代のスタジオ作品に手を出す前に、軽い予習として本作から入っているのは全然アリだと思います。



▼JUDAS PRIEST『UNLEASHED IN THE EAST』
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2018年11月29日 (木)

JUDAS PRIEST FIREPOWER TOUR 2018@TOKYO DOME CITY HALL(2018年11月28日)

Jp01ここ10年くらいは、来日するたびに必ず足を運ぶようにしているJUDAS PRIESTの日本公演。2009年秋の『LOUD PARK 09』の際にはロブ・ハルフォード(Vo)にインタビューする幸運な機会を得て、その足で幕張での『BRITISH STEEL』(1980年)完全再現ライブを観ることができました。また、その次に来日した2012年春のジャパンツアーはフェアウェルツアー名義で、脱退したK・K・ダウニングに代わりリッチー・フォークナー(G)が参加した最初の日本公演になりました。この際には自力で取った武道館公演と、その前日にレーベルからご招待いただいたZepp Tokyo公演の2つに足を運び、「これが最後なのか……」と若干悲しくなったりもしました。

しかし、彼らはその宣言を撤回し、2014年にはリッチーを含む編成で初のアルバム『REDEEMER OF SOULS』をリリース。2015年に再び来日するのですが、スケジュールなどの都合で泣く泣く断念。次こそは……と思っていたところ、以外にも早く新作『FIREPOWER』(2018年)が完成し、同作を携えたジャパンツアーが実現したのでした。しかし、ご存知のとおりグレン・ティプトン(G)がパーキンソン病を患っていることを発表し、ツアーに参加しないことを発表。海外公演ではときおり顔を出していたようですが、さすがに日本は……。とはいえ、次いつ観られるかわからないので、追加公演として行われたTOKYO DOME CITY HALL公演に参加することにしました。

セットリストはほぼ固定で、ジャパンツアーが始まってからもずっと一緒なので予習もしやすかったですし、何よりも個人的にかなり気楽に楽しめそうな内容だったので、事前に作成したプレイリストを聴きながら会場に到着。この日は通常のライブよりも30分遅い19時半スタートだったので、かなり余裕を持って参加できた会社員も多かったのではないでしょうか。

Jp05BLACK SABBATH「War Pigs」が大音量で鳴り始めると、会場が暗転。これがライブ開始の合図です。多くの観客が立ち上がる中、第2バルコニー席下手側でかなり近くから楽しめる環境だったこともあり、この日は座って観覧。「War Pigs」からオリジナルのSEに変わり、ステージを覆う幕に照明が当てられる。その幕の隙間からメンバーがステージに移動する姿が見えました。たぶんリッチーが通ったあとに、誰かに手を引かれるようにロブの姿も。そしてパワフルなギターリフとともに、「Firepower」から勢いよくライブはスタート。ロブは歌っていない間、ステージ上をL字に沿って歩き回る。その姿がちょっと滑稽というか……申し訳ない、なんだかルンバを見ているようで微笑ましかった(笑)。以前はどこかゼンマイ仕掛けのロボットみたいだったんだけど、今回は動きも若干スムーズで、しかも同じ動きをひたすら繰り返すから、もうなんというか……いや、カッコいいんですよ? 僕はそのコミカルさ含めて愛してますから。

グレンの代役としてツアーに参加しているアンディ・スニープ(G)は、最初に写真や動画で観たときは若干違和感が残ったんだけど、こうやって生で観るとその長身もあってわりとカッコいい。リッチーとの並び含めて、全然アリでした。その後方では、若手だと思っていたのにすでに30年選手だという事実にびっくりするスコット・トラヴィス(Dr)と、地味なアクションとバキバキのベースプレイでボトムを支えるイアン・ヒル(B)の姿。ああ、この人たちの頑張りがあるから、ロブはあれだけ遊べるんだよね(いや遊んでるわけではないが)。そう思うと、ちょっと胸が熱くなりました。

Jp04「Running Wild」「Grinder」と、キメキメのリフがたまらないオールドナンバーが続き、3曲終えるとロブが軽く挨拶。そしてリッチーのフィードバックノイズに続いて「Sinner」へ。ロブ、めっちゃ声出てるじゃん! 正直、プリーストに復帰したあとは加齢もあって、以前のように高音で歌うことは難しいのかなと思っていたところ、この日はキメるところでしっかりキメてる。新曲が今のロブの声域に合わせて作られているから耳にしっかり馴染むのはわかるとして、旧曲も「Painkiller」のようなモダンな曲以外は比較的歌いやすい曲を選んでいるような。けど、前回のツアーまでに残っていた“ハイトーンが目立つ”曲がかなり減り、そのぶん「Desert Plains」や「Night Comes Down」みたいに意外な選曲があったりして、個人的には非常に面白かったです。

あ、あと「The Ripper」ってこんなにカッコよかったっけ?って初めて思ったかも。今までは、80年代のプリーストナンバーと比べてもかなりオールドスクールな印象しかなかったけど、今回はなぜかモダンに聴こえた。ギタリスト2名によるものが大きいのかな。あと、イアンのベースが本当にバキバキした音で、そこもよかったのかも。

そして何度も言いますが、「Turbo Lover」は名曲です。名曲中の名曲。この曲ではロブが、サビを全部オーディエンスに歌わせる暴挙に。いや、それが客に盛り上がりにつながったのでよかったんだけど。僕もしっかり歌わせてもらいましたよ。楽しかった。

合間合間に入る『FIREPOWER』からの楽曲も、厳選された4曲という気がして、決して少なすぎるとは感じなかったかな。「Firepower」は言わずもがな、「Lightning Strikes」や「No Surrender」のど直球さ、そして21世紀版「Blood Red Skies」or「A Touch Of Evil」的立ち位置のミドルヘヴィバラード(と個人的には断言したい)「Rising From Ruins」の素晴しさたるや。文句なしのセレクトだと思いました。『FIREPOWER』というアルバムがどんな内容か、この4曲だけでも伝わるはずですから。

Jp09そういえば、ロブ様は2〜3曲歌うとジャケットを次々と変えて、優雅にステージに登場するのですが、その様子はまるで昭和の歌謡スターのようでした。着替えでステージから捌けている間に次の曲のイントロが始まり、着替えを終えると歌いながらステージに再登場するその姿、シビレます(笑)。

「Night Comes Down」「Rising From Ruins」とミディアムバラード2連発を終えると、いよいよ佳境へ。「Freewheel Burning」「You've Got Another Thing Comin'」とキラーチューンが立て続けに披露され、「Hell Bent For Leather」ではお約束となったバイクに跨ったロブ様が。まるで後尾しているかのようにバイクにへばりつき歌うロブの姿から目が離せませんでした。

本編ラストは、スコットの煽りからそのまま「Painkiller」へ。2000年代以降で一番“ちゃんと”歌えていたような気がします。ホント、ここまで安定して高音もしっかり出て、なおかつ中音域でセクシーさを見せるロブ、過去最高の仕上がりじゃないでしょうか。これが本ツアー100公演目ですよ? 正直、「このツアーで見納めかな?」と思っていた自分を悔い改めたい。もう1回やれるって、これ。スクリーンにはグレン・ティプトンがギターを弾く姿が映されていますが、そうだよね、もう1回グレンが弾く「Painkiller」も観たかったよね。でも、今日のリッチー&アンディのプレイもかなりアグレッシヴで良いんです。ああ、このクライマックス感、本当に最高。素敵な本編締めくくりでした。

Jp14本来、このあとのアンコールは「Electric Eye」のはずでした。いや、“はず”と勝手に決めつけるのはよくないか。ここまでの日本公演ではすべてそういうセトリでした。が、この日は聴き覚えのあるインダストリアル調SEに乗せて、ステージには帽子とサングラスをかけたスポーティーなファッションのおじさんが……スクリーンにアップが映し出されると、それがグレン・ティプトンだとわかりました。会場、この日一番の大歓声。そしてそのまま、予想を覆す「Metal Gods」がスタート! アンディは本来上手側ですが、そこをグレンに譲り、自身は下手後方で影武者のようにギターを弾きます。その控えめさ、嫌いじゃないよ。リッチーはそれまで使っていたVタイプからレスポールタイプにギターを持ち替え、グレンとの共演を心底楽しんでいる様子。ロブはそれまでのルンバからいきなりゼンマイ仕掛けに逆戻り(笑)。いや、この曲にはこの動きが正解か。ロブも楽しそう。いやあ、観てる間に鳥肌立って、しまいにゃ涙が出てきたよ。まさかプリーストのライブで泣くことになるとは、想像もしてなかったわ(苦笑)。

その後もグレンを含む6人編成で「Breaking The Law」、そして「Living After Midnight」でエンディング。最後も6人で挨拶をして、ロブの「JUDAS PRIESTコール」からのSE「We Are The Champions」(QUEEN)をみんなで合唱して、約100分におよぶライブは終了しました。

正直、今まで観たどのプリーストのライブよりも良かったし、胸に来るものがありました。僕が最初に観たのは1991年の『PAINKILLER』ツアーだったので、そこまで数を観ているほうではないですが、それでも“自分が観たかったJUDAS PRIEST”が見事なまでに表現されていたと思います。本当に行ってよかった。

Jp16


[SETLIST]
01. Firepower
02. Running Wild
03. Grinder
04. Sinner
05. The Ripper
06. Lightning Strikes
07. Desert Plains
08. No Surrender
09. Turbo Lover
10. The Green Manalishi (With The Two Prong Crown)
11. Night Comes Down
12. Guardians 〜 Rising From Ruins
13. Freewheel Burning
14. You've Got Another Thing Comin'
15. Hell Bent For Leather
16. Painkiller
<ENCORE>
17. Metal Gods [with Glenn Tipton]
18. Breaking The Law [with Glenn Tipton]
19. Living After Midnight [with Glenn Tipton]


2018年7月 3日 (火)

BRIDES OF LUCIFER『BRIDES OF LUCIFER』(2018)

昨年6月に開催された『GRASPOP METAL MEETING』など、海外のメタルフェスに出演したのを機に一部で話題になっていた、女性13人からなるHR/HMの名曲をカバーするコーラス隊BRIDES OF LUCIFERがアルバムをリリースしました。

本作でピックアップされている楽曲たちは下記のとおり(曲名後ろのカッコは原曲アーティスト名)。


01. Burn In Hell [TWISTED SISTER]
02. Walk [PANTERA
03. Warriors Of The World [MANOWAR]
04. Chop Suey! [SYSTEM OF A DOWN
05. Painkiller [JUDAS PRIEST
06. Fear Of The Dark [IRON MAIDEN
07. Roots Bloody Roots [SEPULTURA
08. O Father O Satan O Sun! [BEHEMOTH]
09. Holy Diver [DIO
10. South Of Heaven [SLAYER
11. Futility [SCALA & KOLACNY BROTHERS]
12. Halo [MACHINE HEAD
13. White Moon [SCALA & KOLACNY BROTHERS]


ライブではこのほか、RAMMSTEIN「Engel」あたりもカバーされているみたいですね。

ライブやレコーディングには彼女たちのほか、ドラム/ベース/ギター/ピアノが入り、原曲に比較的忠実なアレンジでカバーされています。もちろん、コーラスがメインになるので、彼女たちの歌声が前面に出るようなアレンジも新たに施されており、曲によってはギターソロパートをカットしていたりもします。

どのバンドの曲もボーカルのクセが強いものばかりで、特にPANTERAやSEPULTURAみたいなスクリームメインの楽曲、SYSTEM OF A DOWNのように変態的なボーカルが耳に残る曲すらも聖歌のようなボーカルアレンジで表現されているので、聴き進めていくうちに「あれ、こんなに聴きやすくて大丈夫?」と不安に陥る瞬間も。メタルファンには数年に1枚は世に産み落とされる“ネタCD”として楽しめば、そこまで不快ではないはず。むしろ、僕は積極的に楽しんでおります。

逆に、普段メタルに疎い人にこそ「ね? 意外と曲自体は悪くないんだよ?」と手に取ってほしい1枚だったりして。まあ、一緒に笑って聴いてみましょうよ。

あ、あと本作で2曲もピックアップされているSCALA & KOLACNY BROTHERSという存在。彼らはこのBRIDES OF LUCIFERの先輩的存在でもある、2000年代前半に90年代〜ゼロ年代のUKロックやグランジの代表曲をピアノ伴奏でカバーしたベルギーの少女合唱隊のこと。グループ名は指揮者&ピアノ伴奏者でもある中心人物となる兄弟の名前から取られています。このグループのオリジナル曲をカバーするあたりに、BRIDES OF LUCIFERの起源が見え隠れするのも興味深いところです。



▼BRIDES OF LUCIFER『BRIDES OF LUCIFER』
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2018年7月 1日 (日)

2018年上半期総括(アルバムベスト10)

恒例となった上半期ベスト。ひとまず7月1日現在の10枚を紹介したいと思います。バランスとしては洋楽5枚、邦楽5枚というセレクトで順位など関係なし。今回はあえてミニアルバムやEPを外し、フルアルバムのみをピックアップしました。


COURTNEY BARNETT『TELL ME HOW YOU REALLY FEEL』(amazon)(レビューはこちら

IHSAHN『ÁMR』『SPIRIT』(amazon)(レビューはこちら

JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(amazon)(レビューはこちら

MANIC STREET PREACHERS『RESISTANCE IS FUTILE』(amazon)(レビューはこちら

STARCRAWLER『STARCRAWLER』(amazon)(レビューはこちら

brainchild's『STAY ALIVE』(amazon

HER NAME IN BLOOD『POWER』(amazon

エレファントカシマシ『WAKE UP』(amazon

おとぎ話『眺め』(amazon

けやき坂46『走り出す瞬間』(amazon

2018年3月31日 (土)

JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(2018)

2018年3月に発表された、JUDAS PRIEST通算18枚目のスタジオアルバム。前作『REDEEMER OF SOULS』(2014年)からほぼ4年ぶりにあたる本作は、全米・全英ともに5位という好成績(アメリカでは過去最高位)を残し、概ね高評価を得たように思います。

前作から制作に加わったリッチー・フォークナー(G)の影響もあってか、『REDEEMER OF SOULS』は70年代〜80年代初頭のハードロック的スタイルを踏襲しつつ、再結成後の2枚(2005年の『ANGEL OF RETRIBUTION』と2008年の『NOSTRADAMUS』)をより若々しくしたような楽曲を楽しむことができました。それに続く今作『FIREPOWER』は、『REDEEMER OF SOULS』をさらにメタリックに、かつよりモダンにアップデートしたような内容と言えるでしょう。

プロデュースを手がけたのは、プリーストの80年代の名盤を多数手がけてきたトム・アロムと、昨今のモダンなヘヴィメタル作品を多数プロデュースするアンディ・スニープ。この「プリーストのことを一番理解しているプロデューサー」と「もっとも現在のメタルシーンを理解しているプロデューサー」を同時投入することで、このエネルギッシュなアルバムが完成したのだと思うと、なるほど納得です。

アルバムのオープニングを飾る「Firepower」の疾走感と、続く「Lightning Strikes」で見せる(聴かせる)王道感。前者は80年代後半以降、特に『PAINKILLER』(1990年)で確立させたブルータルな作風を彷彿とさせますし(もちろん単なる焼き直しでは終わっていない)、後者はその『PAINKILLER』に含まれていたハードロック的ストロングスタイルをブラッシュアップさせたような1曲です。かと思えば、「Never The Heroes」のような若干ダークな空気感の楽曲(でも、聴けばプリーストのそれだとわかる)や、「Children Of The Sun」みたいにオールドスタイルのハードロックをモダンに昇華させたミドルヘヴィナンバーも存在する。

アルバム後半に入ると、短尺のインスト「Guardian」から続く「Rising From Ruins」や「Spectre」といったミドルチューンで深みを見せる。3分にも満たないメロウな「No Surrender」あたりは80年代前半の彼らをイメージさせるし、逆に「Lone Wolf」はなんとなくFIGHT時代のロブ・ハルフォード(Vo)を思い浮かべてしまう。そんなバラエティに富んだ楽曲群のラストを飾るのは、6分前後におよぶ本作最長のメタルバラード「Sea Of Red」。全14曲、58分と決して短いとはいえない大作ですが、意外とスルッと聴けてしまうのも本作の魅力かもしれません。

前作『REDEEMER OF SOULS』はエディション違いで曲数が違ったり、そのデラックス盤が全18曲で90分超えと、その前の『NOSTRADAMUS』同様に1曲1曲の印象が薄まる作風でした。本作も14曲と確かに曲数が多いので、しっかり聴き込むには時間が必要ですが、それでも「何度でも聴きたい」と思わせてくれる魅力が豊富な1枚だと思いました。すごく簡単な分類をしてしまえば、前作が“ハードロックバンドJUDAS PRIESTの集大成”だとしたら、本作は“ヘヴィメタルバンドJUDAS PRIESTの、過去と今をつなぐ現在進行形”と言えるのではないでしょうか。そう、単なる集大成というよりは、しっかり2018年という時代と向き合っている。そんな印象を強く受けます。

本作リリース直前には、オリジナルメンバーと呼んでも過言ではないギタリスト、グレン・ティプトンが10年前からパーキンソン病を患っていること、同作を携えたワールドツアーには参加せず、代わりにアンディ・スニープが参加することがアナウンスされたばかり。3月からスタートした全米ツアーのある公園にはグレンもゲスト参加したようですが、こうなると本作の持つ意味合いも今後少し変わってくる気がします。『ANGEL OF RETRIBUTION』以降では、ロブのボーカルも一番脂が乗っているし、もう少しいけるんじゃないか……と思っていた矢先だったので、この現実を受け入れるにはもう少し時間がかかりそうです。

とはいえ、自分は「間違いなく素晴らしい作品だし、大好きだし、2018年を代表する1枚」という、最初にこのアルバムを聴いたときに感じた気持ちを大切にしたいと思います。



▼JUDAS PRIEST『FIREPOWER』
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