カテゴリー「Judas Priest」の38件の記事

2024年3月 9日 (土)

JUDAS PRIEST『INVINCIBLE SHIELD』(2024)

2024年3月8日にリリースされたJUDAS PRIESTの19thアルバム。

英米ともに5位という好記録を打ち立てた前作『FIREPOWER』(2018年)からちょうど6年ぶりの新作。その間にジャパンツアー(2018年11月)オジー・オズボーンの代役として急遽実現した『DOWNLOAD JAPAN 2019』でのヘッドライナー(2019年3月)と2回の来日が実現していますが、2020年以降はコロナ禍によりしばらく表立った動きが取れず。2021年には結成50周年を祝してコンピレーションアルバム『REFLECTIONS - 50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』やボックスセット『50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』を発表し、ツアーも始めてみたもののリッチー・フォークナー(G)がライブ中に救急搬送される大事件があり、一度動きが止まってしまいます。

しかし、リッチーの回復を待ってバンドは新作制作に突入。前作にも携わり、グレン・ティプトン(G)の代わりにツアーでギターをプレイしたアンディ・スニープ(ARCH ENEMYKILLSWITCH ENGAGEMEGADETHなど)が全体のプロデュースを務め、アルバム本編ラスト2曲(ボーナストラック除く)「Sons Of Thudner」「Giants In The Sky」のみ共同プロデューサーとしてプリーストの諸作品を手掛けてきたトム・アロムが名を連ねています。

オープニングを飾るリードトラック「Panic Attack」のイントロで、エレクトリック調SEからのスコット・トラヴィス(Dr)が叩く電子ドラム(エフェクトのかかったタムタム?)に「おおっ、『TURBO』(1986年)オマージュか!?」と驚くものの、楽曲自体は彼ららしいスピード感のあるメタルチューン。王者の風格すら感じさせるこの曲から、「The Serpent And The King」「Invincible Shield」のスピードナンバー3連発には圧倒されられるはず。しかも、3曲ともしっかりタイプが異なっており、かつ過去の楽曲の香りをさせつつもそれがセルフパロディで終わっていない。「The Serpent And The King」は新たなキラーチューンになり得るほどの輝きを放ち、「Invincible Shield」は『BRITISH STEEL』(1980年)期を思わせる要素が詰まっている。ああ、この時点で完全に前作を上回りましたわ。

その後も『KILLING MACHINE』(1978年)期を彷彿とさせるミドルヘヴィな「Devil In Disguise」、『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)あたりに収録されていても不思議じゃないメロウな「Gates Of Hell」と、とにかく良曲揃い。中盤以降はミディアムテンポで変化をつけながらじっくり聴かせるのですが、とにかく70年代から80年代の黄金期、さらには『PAINKILLER』(1990年)で迎えた変革期、そして『ANGEL OF RETRIBUTION』(2005年)ロブ・ハルフォード(Vo)が復帰して以降の流れもしっかり汲みつつ、50年以上のキャリアを総括しながらも現代的で刺激的で聴き応えのある新作に取り組む。その姿勢に脱帽の一言です。

ロブは昔みたいに金切り声だけで押しまくることなく(年齢的にそれも厳しいのですが)、魅力的な中音域を効果的に聴かせるメロディライン作りに励み、それがここ数作の中でもっともうまく作用している。ギターに関してもリフ、ソロ、ツインリードなど理想的なメタルフレーズを豊富に散りばめているものの、決して「あれ、これ以前聴いたことある?」とは思わせない。これを50年選手が実現させている事実に、ただ驚くばかりです。

あと、今作は(アルバム本編に関して)仰々しいメタルバラードが皆無なのも興味深かったな。強いて言えば「Trial By Fire」や「Giants In The Sky」あたりはその部類なのかもしれないけど、無理してバラードと呼ばなくてもいいミドルヘヴィチューンだしね。この潔さも素敵だし、ボーナストラックを除けば全11曲で約52分程度というトータルランニングもちょうどいいし、流れも完璧。最後までまったくダレず飽きず楽しめる傑作です。

ブック仕様パッケージのデラックス盤およびデジタル/ストリーミング版には、3曲のボーナストラックが追加されているのですが、こちらはアルバム本編よりほんの少しだけクオリティが落ちる気がしないでもないけど、それでも彼らの水準的にはかなり高いほう。ただ、どれもミディアムテンポなので蛇足に関してしまうかも。そんな中、ラストの「The Lodger」は80年代の「(Take These) Chains」(『SCREAMING FOR VENGEANCE』収録曲)や「Some Heads Are Gonna Roll」(『DEFENDERS OF THE FAITH』収録曲)を手掛けてきたボブ・ハリガン・Jr.作のバラード調ナンバー。これは本編に入っていてもよかったんじゃないかな?という気がしないでもないけど、緊張の糸が途切れてしまう可能性もあるのでなくて正解だったのか。まあ、ボーナストラックとして気楽に楽しんでいきたいと思います。

こうなると、2019年3月以来となる日本公演が非常に気になるところ。いや、こんな充実作を前にしたら早く新曲を生で聴きたくなるでしょ。ロブは「19という数字は中途半端なので、早く20作目に着手したい」なんて言ってるけど、その前に新作ツアーでお待ちしていますよ?

 


▼JUDAS PRIEST『INVINCIBLE SHIELD』
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2024年3月 5日 (火)

KK'S PRIEST『THE SINNER RIDES AGAIN』(2023)

2023年9月29日にリリースされたKK'S PRIESTの2ndアルバム。

デビュー作『SERMONS OF THE SINNER』(2021年)からちょうど2年ぶりの新作。前作はEX1 Recordsからのリリースでしたが、今作ではNapalm Recordsへと移籍。その結果、日本盤も今作からビクター配給となりました。

参加メンバーは前作から変わらずK.K.ダウニング(G/ex. JUDAS PRIEST)、ティム・“リッパー”・オーウェンズ(Vo/SPIRITS OF FIRE、A NEW REVENGE、ex. JUDAS PRIEST、ex. ICED EARTH、ex. YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEなど)、A.J.ミルズ(G)、トニー・ニュートン(B)、ショーン・エルグ(Dr)の5人。プロデュースは引き続きK.K.が担当し、ミックスおよびマスタリングを“現代メタルシーン最高峰のデンマーク人エンジニア”ことヤコブ・ハンセン(ARCH ENEMYDIZZY MIZZ LIZZYVOLBEATなど)が手掛けています。

全9曲(日本盤ボーナストラック除く)ですべて“歌モノ”。前作が全10曲で内1曲が短尺インスト(オープニングSE)だったので、ボリューム的にはほぼ一緒なのですが、前作はトータルで約50分あったの対して今作は約40分と非常にコンパクト。そういえば、前作は8〜9分の長尺曲が2曲もあったんでした。それと比べたら、今作は4分台の楽曲が中心で、長尺曲もラストの「Wash Away Your Sins」の約6分半のみ。

ティムの暑苦しいハイトーン&スクリームとK.K.の「弾きすぎ!」ってくらい詰め込みすぎなギタープレイのせいもあって、前作は50分という尺が長く感じられたのですが、今作はどうでしょう。基本的なスタイルはまったく変わっておらず、序盤3曲でやはり聴き疲れを感じずにはいられません。そういったところに好き嫌い分かれるところもありますが、ただタイトルトラック「The Sinner Rides Again」以降の後半で多少変化が付けられており、なんとか途中離脱することなく最後まで楽しめました。

そういった意味では、個人的ハイライトはラスト2曲の「Pledge Your Souls」「Wash Away Your Sins」かな(とはいえ、「Wash Away Your Sins」はエンディングをフェードアウトで終わらせず、もうちょっとやり方あったんじゃなかろうか)。ティム、もうちょっと緩急を付けた歌い方をしたらシンガーとしてパーフェクトなのに、この怒り一辺倒な歌い方がワンパターンすぎて本当に勿体ない。K.K.の指示もあるのかもしれないけど(この人が一番怒りに満ちているでしょうから)、これじゃあいつまで経っても“本家”には勝てないし、“ある時期”の二番煎じに甘んじたままではないでしょうか。

そろそろ“らしさ+α”でオリジナリティを確立させないと、短命に終わってしまう気もするんだけどなあ。けど、オールドスクールなメタルファンの皆さんはそういう変化を求めてないんですかね。メタル作品としてはクオリティは高いんだろうけど、今の自分の趣味嗜好からはちょっとだけズレる1枚かもしれません。

 


▼KK'S PRIEST『THE SINNER RIDES AGAIN』
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2023年3月14日 (火)

JUDAS PRIEST『STAINED CLASS』(1978)

1978年2月10日にリリースされたJUDAS PRIESTの4thアルバム。

『SIN AFTER SING』(1977年)から10ヶ月のスパンで届けられた、Columbia Records移籍第2弾アルバム。前作はDEEP PURPLEのロジャー・グローバー(B)のプロデュースでしたが、今作はバンドとデニス・マッケイ(トミー・ボーリン、CURVED AIR、BRAND Xなど)が全体をまとめあげ、最後にレーベル側から「シングル向きの曲を用意しろ」と迫られ、新たにSPOOKY TOOTHの「Better By You, Better Than Me」をジェイムズ・ガスリーのプロデュース下でレコーディングしています。

作風的には『SIN AFTER SING』の流れを汲むものの、全体を通してメタリックさが増しており、ハードロックバンドとしての純度が非常に高い1枚に仕上がっています。前作制作時はドラマー不在だったことで、サイモン・フィリップスがサポート参加しましたが、今作からはレス・ビンクスが正式メンバーとして参加。オープニングを飾る「Exciter」のイントロで聴かせる派手なドラミングや、曲を通して気持ち良く響くスピード感の強いリズムは、このバンドのレベルを一気に引き上げたと言っても過言ではありません。そういった意味では、本作(および「Exciter」)はバンドからのハードロック宣言だったのかもしれませんし、そこから12年後に『PAINKILLER』(1990年)でこのオープニングのオマージュのようなメタルチューン「Painkiller」を生み出したのも意図的なものだったんだろうなと気付かされます。

前作の延長線上にある「White Heat, Red Hot」や「Stained Class」「Savage」、カバーながらも本作の色に見事に染め上げられている「Better By You, Better Than Me」、2ndアルバム『SAD WINGS OF DESTINY』(1976年)の頃を思わせつつもよりメタリックに進化した「Saints In Hell」、その後のスタイルとの共通点も豊富に見つけられるラストナンバー「Heroes End」など、続く『KILLING MACHINE』(1978年)『BRITISH STEEL』(1980年)のプロトタイプのような作風は、サウンドから伝わる時代感を意識させしなければ十分に楽しめる内容だと思います。

また、本作には先の「Exciter」にも匹敵する名曲「Beyond The Realms Of Death」も収録。7分近くにおよぶこの大作は、のちにパワーバラードと呼ばれるスタイルの先駆けでもあり、イントロで表現された繊細さと泣きの要素、緩急/強弱が効果的なロブ・ハルフォード(Vo)のボーカルなど無駄が一切存在しな完璧な1曲といえます。現在でも頻繁にライブで披露されていますが、さすがにダウンチューニングだったりキーを下げていたりなど原曲の魅力には及ばないものの、それでも感動的な空気は伝わるはずです。

「Exciter」と「Beyond The Realms Of Death」のインパクトが強いことで、ほかの楽曲の印象が弱いという感想もありますが、『SIN AFTER SING』で得た経験が新メンバー獲得によってさらに良い方向へと作用し始めた、“きっかけ”の1枚として評価してほしい良作です。

 


▼JUDAS PRIEST『STAINED CLASS』
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2021年10月15日 (金)

JUDAS PRIEST『REFLECTIONS - 50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』(2021)

2021年10月15日にリリースされたJUDAS PRIESTの最新コンピレーションアルバム。

本作はバンド結成50周年を記念して、同日に全世界3000セット限定で発売されたCD42枚組ボックスセット『50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』から既存曲/テイクと未発表ライブ音源が抜粋されたハイライト盤。全16トラック中7トラックが未発表音源となっており、トータル80分という非常にボリューミーな内容となっています。

いわゆるベストアルバムやグレイテストヒッツとは異なり、その選曲は非常にマニアックなもの。だって、本作には「Breaking The Law」も「Metal Gods」も「You've Got Another Thing Comin'」も「Freewheel Burning」も「Turbo Lover」も「Painkiller」も入っていないんですから。その代わり、3rdアルバム『SIN AFTER SIN』(1977年)から「Let Us Prey / Call For The Priest」、6thアルバム『BRITISH STEEL』(1980年)から「You Don't Have To Be Old To Be Wise」、8thアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)から「Fever」、9thアルバム『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984年)から「Eat Me Alive」、12thアルバム『PAINKILLER』(1990年)から「All Guns Blazing」、最新作『FIREPOWER』(2018年)から「Never The Heroes」と、マニアックながらも隠れた名曲たちが選出されており、改めてこのバンドの懐の深さを実感できるのではないでしょうか。

また、既存のライブテイクは「Dissident Aggressor」が『A TOUCH OF EVIL: LIVE』(2009年)から、「Out In The Cold」が『PRIEST... LIVE!』(1987年)から、「Running Wild」が『UNLEASHED IN THE EAST』(1979年)から。こちらのセレクトも通好みで良いんじゃないでしょうか。「Dissident Aggressor」のみここ10年くらいのライブテイクで、ロブ・ハルフォード(Vo)も以前のようにハイトーンが出ない状態ですが、これくらいなら全然アリという内容。問題ありません。

で、気になる未発表ライブ音源。「Victim Of Changes」や「The Green Manalishi (With The Two Pronged Crown)」「Bloodstone」は1980〜82年の録音、「Beyond The Realms Of Death」に至っては1979年のライブ音源ということで、音質や録音状態は決して良好とは言えないものも含まれています。このへんはもうマニアのためのものといったところでしょうか。そんな中でも、「Beyond The Realms Of Death」はニューヨークのThe Mudd Club公演からのテイクで、ほかのライブ音源がホールやアリーナ会場での録音と考えると非常に貴重な1曲ではないでしょうか。ロブのボーカルパフォーマンスもごきげんですしね。そんな貴重な1曲から「The Hellion / Electric Eye」(1986年録音)へ続き、「Sinner」(1988年録音)で締め括る流れは最高の一言。なんだかんだ、終盤には人気曲が並ぶので、最後は安心して聴き終えることができるはずです。

僕自身、3000セット限定のボックスセットを買おうかどうか迷っている間にソールドアウトしていたので、今はこのコンピを聴いて気を紛らわせているところ(笑)。初心者がベスト盤に手を出すなら『METAL WORKS '73-'93』(1993年)や『THE ESSENTIAL JUDAS PRIEST』(2006年)あたりが最適ですが、そこからさらに一歩深みにハマりたかったら、本作はそのマニアックさ含めてオススメではないでしょうか。意外にも、ここ20年くらいに出たコンピの中では一番リピートしている1枚です。

 


▼JUDAS PRIEST『REFLECTIONS - 50 HEAVY METAL YEARS OF MUSIC』
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2021年10月 8日 (金)

JUDAS PRIEST『POINT OF ENTRY』(1981)

1981年2月下旬にリリースされたJUDAS PRIESTの7thアルバム。リリース初出時、UK盤と日本盤およびUS盤はジャケットが異なりましたが、最近はUKオリジナル盤のアートワークに統一されています。あの遠近感含め意味不明な荒野&道路のジャケットの印象で覚えているリスナーも少なくないはずです(笑)。

前作『BRITISH STEEL』(1980年)が、ちょうど同時期にイギリスから勃発したNew Wave Of British Heavy Metal(=NWOBHM)ムーブメントとリンクし、全英4位/全米34位という過去最高順位を記録。また、同作から「Living After Midnight」(全英12位)、「Breaking The Law」(同12位)、「United」(同26位)といったヒットシングルが生まれたことも手伝い、本国イギリスではロニー・ジェイムズ・ディオが加入したBLACK SABBATH、パンクとハードロックを見事な形でミックスさせたMOTÖRHEADらとともに、新世代バンドたちと共闘することになります。

そして、そのメタルの新たな波はアメリカにも飛び火。『BRITISH STEEL』がアメリカでも高評価を得たことで、バンドは次のターゲットをアメリカのマーケットに定めます。

前作でのソリッドなスタイルはそのままに、シンプルなアレンジ/作風はさらに強調され、かつメロディの親しみやすさもより強めていく。アルバム冒頭を飾る3曲(「Heading Out To The Highway」「Don't Go」「Hot Rockin'」)はまさにその方向性を象徴するような楽曲ではないでしょうか。

その一方で、やたらとソフトな印象が強まった「Turning Circles」、ブルースロック的な方向性の「Desert Plains」など、アメリカナイズされた楽曲もしっかり用意。「Don't Go」「Hot Rockin'」のキャッチーさも今思えば、その方向性にある2曲なんですけどね。「Solar Angels」もイントロこそヘヴィさを醸し出していますが、歌メロのわかりやすさはこの一環といえるものでしょう。

ただ、本作の残念なところは、後半に進むにつれて印象に残る曲が少ないこと。序盤の力の入れようと比較すると、より明確かと思います。あと前作では「Rapid Fire」や「Steeler」のように、アルバムの冒頭とラストを疾走感の強いメタルチューンで固めていましたが、今作にはそれが足りない。それ以外の要素は比較的『BRITISH STEEL』の延長線上にあるものなんですが、そのモノ足りなさも本作の低評価につながってしまったのは、致し方ないのかな。本国ではアルバムが最高14位、シングルは「Don't Go」(全英51位)、「Hot Rockin'」(同60位)と低調気味でしたが、アメリカではアルバム最高39位と前作と同程度、シングルでは「Heading Out To The Highway」がBillboard Mainstream Rock Songs(当時はRock Albums & Top Tracks)で最高10位まで上昇と、それなりの成功を収めています。

こういった戦略が、続くアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)と、翌1983年アメリカで開催された歴史的野外フェス『US Festival』での成功につながるわけです。そういった意味では、本作は中継ぎとしてそれなりの役割を果たしたわけですね。その功績含め、たまには本作のことも思い出してあげてください。なにせ「Hot Rockin'」という名(迷)MVを生み出した歴史的価値の高い1枚なんですから……(笑)。

 


▼JUDAS PRIEST『POINT OF ENTRY』
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2021年10月 7日 (木)

KK'S PRIEST『SERMONS OF THE SINNER』(2021)

2021年10月1日にリリースされたKK'S PRIESTの1stアルバム。

その名からもわかるように、このバンドは元JUDAS PRIESTのギタリスト、K.K.ダウニングが2020年に結成した新バンド。当初のメンバーはティム・“リッパー”・オーウェンズ(Vo/SPIRITS OF FIRE、A NEW REVENGE、ex. JUDAS PRIEST、ex. ICED EARTH、ex. YNGWIE MALMSTEEN'S RISING FORCEなど)、レス・ビンクス(Dr/ex. LIONHEART、ex. TYTANなど)といった元JP組を含むこと、バンド名に“PRIEST”のワードを含むことから、K.K.が何をしたいのか想像に難しくなかったと思います。

その後、レスが手首を怪我したことでドラマーがショーン・エルグに交代。トニー・ニュートン(B)、A.J.ミルズ(G)の5人でこのデビューアルバムを完成させます。レスは現在70歳と高齢ですい、今作で表現されているサウンド/演奏を考えたら、このメンバーチェンジはある意味必然だったのかもしれません。

聴いていただければおわかりのように、本作で表現されているのは80年代〜90年代初頭のJUDAS PRIESTを彷彿とさせるクラシカルなヘヴィメタル。まんまと言ってしまえばそれまでですが、ロブ・ハルフォード(Vo)の後釜として“まんま”なボーカルを聴かせたティムと、JP時代もソングライターのひとりとしてバンドに貢献してきたK.K.がいるんですから、そりゃそうなるでしょうね。

ここ数作でモダンさよりもクラシックロック的な側面を強調し続けているJPですが、このKK'S PRIESTも比較的そのラインにいると言えるでしょう。中には「Sermons Of The Sinner」のように、あからさまに「Painkiller」や「Exciter」の冒頭を意識した楽曲もありますしね。この曲といい、“怒りの一撃”的な(SE「Incarnation」に続く)オープニングトラック「Hellfire Thunderbolt」といい、JP時代のカッコよさをうまい形にディフォルメしているように感じました。

……そう、“ディフォルメ”なんですよ。もっと言っしまえば、パロディ。JPっぽいんだけど、やっぱり別モノ。ここにいるのは、あくまでソングライターの3分の1なわけで、そりゃ本家より薄まるのでディフォルメせざるを得ない。そう考えると……なんか余計な要素がチラついて、どうにも素直に楽しめない自分もいるんですよね。

1枚のヘヴィメタルアルバムとしては非常に高品質で、新しさや斬新さは皆無だけど安心して楽しめる。90点に近い良作だと思うのですが、変にJPをちらつかせることで「ああ、大丈夫です……」と気持ちが引いてしまう。「今のJPより良い!」という声もわるのもわかります。そりゃそうでしょう、そこそこ若いメンバーもいるでしょうから、そういった若手からのインプットも多少はあるでしょうから(今のJPにおけるリッチー・フォークナー(G)みたいにね)。

ここまでの完成度で中身も最高。でも、もしこれを“JPを想像させないバンド名”で発表していたら、もうちょっと違った結果や評価が得られたんじゃないか。JP50周年のタイミングに被せてくるのも、アレですし。「Metal Through And Through」とか「Hail For The Priest」「Return Of The Sentinel」とかせっかくの良曲なのに、本当にこのタイトルで良かったのかな……とかいろいろ含めて、相対的に悩ましい1枚です。

 


▼KK'S PRIEST『SERMONS OF THE SINNER』
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2020年8月 8日 (土)

JUDAS PRIEST『BRITISH STEEL』(1980 / 2010)

1980年4月にリリースされたJUDAS PRIESTの6thアルバム。

日本公演の模様を収めたライブアルバム『UNLEASHED IN THE EAST』(1979年)を最後にレス・ビンクス(Dr)が脱退。新たに元TRAPEZEのデイヴ・ホーランド(Dr)が加入し、同ライブアルバムを手がけたトム・アロムがそのままプロデューサーを担当し完成したのが、のちにバンドを代表するこの歴史的名盤になります。

ブルースベースでプログレッシヴなハードロックを展開した初期のスタイルから、前作『KILLING MACHINE』(1978年)で見え隠れし始めたコンパクト&シンプルな作風へと完全移行した今作は、ギターリフの強度を強めることでハードロックからヘヴィメタル的スタイルへと見事に進化。これが当時イギリスのアンダーグラウンドで勃発し始めた「New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)」ムーブメントと見事に合致し、シーンから好意的に受け入れられ、全英4位という過去最高記録を樹立することになります。特に本作からは「Living After Midnight」(全英12位)、「Breaking The Law」(同12位)、「United」(同26位)とヒットシングルを連発したことも、アルバムの成功を導いたと言えるでしょう。

スピード感の強い「Rapid Fire」でスリリングさを演出したかと思うと、バンドにとって大きな意味を持つテーマソング「Metal God」、キャッチーなアップチューン「Breaking The Law」、ヘヴィさとキャッチーさを併せ持つ「Grinder」や「United」など、すべての楽曲が2〜3分台で構成された聴きやすい構成でアルバム前半はあっという間に終了。「You Don't Have To Be Old To Be Wise」から始まる後半もポップさの際立つ「Living After Midnight」やレゲエを思わせるイントロからヘヴィなサウンドへと移行するアレンジが魅力的な「The Rage」、圧巻のスピードメタル「Steeler」など、聴きどころ満載で全9曲というコンパクトな尺と相まって、興奮して気づいたら終わってる……みたいな1枚と言えるのではないでしょうか。とにかく捨て曲なし。ロブ・ハルフォード(Vo)のボーカルパフォーマンスもノリにノッてるし、バンドのヒリヒリした演奏&アレンジも最高の一言。カミソリをイメージしたサウンドは確かに切れ味抜群なんだけど、同時にポップ&キャッチーさも備わっていることを忘れてはいけません。

オリジナル盤および現行盤はアナログA面が「Rapid Fire」から「United」までの5曲、B面が「You Don't Have To Be Old To Be Wise」から「Steeler」までの4曲という構成なのですが、僕が初めて聴いた80年代半ばは1曲目が「Breaking The Law」に変更され、2曲目から「Rapid Fire」「Metal God」「Grinder」「United」、アナログB面が「Living After Midnight」「You Don't Have To Be Old To Be Wise」「The Rage」「Steeler」という構成で、今とは異なるものでした。これ、実はUS盤の曲順とのことで、この流れに慣れ親しんでしまったものですから、のちにオリジナル盤の曲順に戻ったCDを聴いたときに違和感がしばらく残ったものでした。まあ、シングル曲を各面の頭に置く構成にした意味もわからないではないですけどね。

とにかく、プリーストを語る上で真っ先に挙がるであろうHR/HMの教科書的1枚。80年代のHR/HMシーンが新たな幕開けを飾る、その象徴と言える傑作です。

 


▼JUDAS PRIEST『BRITISH STEEL』
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なお、本作のリリース30周年を記念して2009年には同作完全再現パートを含むワールドツアーが実施され、この模様を収めたライブDVDを同梱したアニバーサリー・エディションも2010年に発売されています。この記念盤、国によっては最新ライブDVDから「Prophecy」を除いた15曲入りライブCDが追加された3枚組仕様も販売されています。こちらのライブディスクはiTunes Storeや一部ストリーミングサービスでも配信されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

プリーストは同ツアーで、2009年10月に行われた『LOUD PARK 09』の初日ヘッドライナーとして来日しており、これがK.K.ダウニング(G)を含む編成での最後の来日となってしまいました。この際、僕は『TV Bros』の表紙および特集の一環としてロブ・ハルフォードにインタビューしており、当日はこの『BRITISH STEEL』のジャケTシャツを着て臨んだことをよく覚えています(ロブもかなり喜んでくれました)。インタビューはライブ当日午後に都内で行い、そのまま幕張入りして夜にはライブ……自分の人生にとっても忘れられない1日になりました。そういった意味でも、このアルバムは自分の音楽人生にとって大きな思い出の1枚でもあります。

 


▼JUDAS PRIEST『BRITISH STEEL: 30TH ANNIVERSARY EDITION』
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2020年5月 2日 (土)

V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』(2014)

2014年4月初頭にリリースされた、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年3月下旬に発売されました。

2010年5月にがんのためこの世を去ったディオを追悼すべく、メタル界の重鎮から次世代バンドまで幅広い層が一堂に会したこのアルバム。全14曲(ボーナストラック除く)中、本作のために録音された未発表テイクは10曲と単なる埋め合わせ的アルバムでないことが伺えます。

そのラインナップもロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)やグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLE)、SCORPIONSMOTÖRHEAD、ビフ・バイフォード(SAXON)といった大御所からMETALLICAANTHRAX、DOROなど直接的なフォロワー、そしてHALESTORM、コリィ・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)、KILLSWITCH ENGAGEなどの次世代アーティスト、さらにはヴィニー・アピス、ダグ・アルドリッジ、ジェフ・ピルソン、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、サイモン・ライト、スコット・ウォーレンといったDIOオールスターズまで、世代的にもかなり広いものとなっています。

本編ラストに収められたDIO「This Is Your Life」(1996年の『ANGRY MACHINES』収録曲)を除く13曲中、RAINBOWナンバーを選んだのが5組、BLACK SABBATHナンバーが3組、DIOナンバーが5組とやはりRAINBOWへの人気が集中。METALLICAに至ってはメドレー形式で4曲取り上げてますからね。ズルいわ(笑)。

サバス曲は当然すべて80年代の……と思いきや、オニ・ローガン(Vo/ex. LYNCH MOB)は『DEHUMANIZER』(1992年)からの「I」を選ぶ通ぶりを発揮。こちらはジミー・ベイン(B)やローワン・ロバートソン(G)といった旧DIO組も参加しています。この曲、こうやって聴くと思ったほどモダンなテイストが少なくて、80年代のディオ・サバスを踏襲してたんだねと気づかされます。

1曲ずつ解説していたらキリがないので割愛しますが、ANTHRAX「Neon Knights」におけるジョー・ベラドナのモノマネぶりが相変わらず最高なことと、SCORPIONS「The Temple Of The King」が完全に自分のものと化していること、METALLICAメドレーの強引ぶりなどは特筆すべきものがあるかなと。もちろん、ほかの楽曲も最高なので、原曲を知らないリスナーでも楽しめるはずです。

なお、日本盤にはSTRYPERによる「Heaven & Hell」、DIO DISCIPLES(DIO最終ラインナップのディオ抜き)による「Stand Up And Shout」を追加収録。ストリーミングなどのデジタルバージョンではHATEBREEDのフロントマン、ジャスタによる「Buried Alive」を聴くことができます。ここはぜひ、日本盤を手に入れておきたいところです。

 


▼V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』
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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、昨年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

※ブラウザ(記事上)でプレイリストを再生すると100曲しか表示されないようなので、プレイヤー右上のSpotifyロゴをクリックして、自身のSpotifyプレイヤーで再生することをオススメします。

2019年12月25日 (水)

PHIL CAMPBELL『OLD LIONS STILL ROAR』(2019)

MOTÖRHEADのギタリスト、フィル・キャンベルが2019年10月下旬にリリースした初のソロアルバム。

MOTÖRHEAD解散後、自身の実子などを加えて結成したPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSとして活動していたフィル。同バンドではEP2枚(オリジナル作&ライブ作)とオリジナルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』(2018年)を発表していますが、そこから約2年を経て届けられたのがこの初のソロ作です。

そもそも本作は、MOTÖRHEADが活動していた5年前から制作がスタートしており、レコーディングにはPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSにも所属する彼の息子3人も参加しています。

と同時に、MOTÖRHEADの活動を通して出会った多数のミュージシャンたちもゲスト参加。そのメンツは錚々たるもので、ロブ・ハルフォード(Vo / JUDAS PRIEST)、ベン・ワード(Vo / ORANGE BOBLIN)、アリス・クーパー(Vo)、ネヴ・マクドナルド(Vo / SKIN)、ダンコ・ジョーンズ(Vo)、ニック・オリヴェリ(Vo, B / ex. KYUSS、ex. QUEENS OF THE STONE AGE)、レイ・ルジアー(Dr / KORN)、ディー・スナイダー(Vo / ex. TWISTED SISTER)、ミック・マーズ(G / MOTLEY CRUE)、クリス・フェーン(Dr / ex. SLIPKNOT)、ウィットフィールド・クレイン(Vo / UGLY KID JOE)、ベンジー・ウェッブ(Vo / SKINDRED)、マット・ソーラム(Dr / ex. GUNS N' ROSES)、ジョー・サトリアーニ(G)など本当に豪華な布陣。これもMOTÖRHEADでの活動があったからこそですね。

フィル自身が歌ったオープニング「Rocking Chair」こそ緩やかでブルージーなアコースティックナンバーですが、続く「Straight Up」(Vo:ロブ・ハルフォード)は歌うロブに合わせたJUDA PRIEST的な1曲。「Faith In Fire」(Vo:ベン・ワード)や「Walk The Talk」(Vo:ダンコ・ジョーンズ&ニック・オリヴェリ)はストーナーロック的だし、「These Old Boots」(Vo:ディー・スナイダー)は豪快なアメリカンロック調。意外と歌う人に合わせた選曲がなされているようです。

かと思えば、ベンジー・ウェッブにマイナー調のピアノバラード「Dead Roses」を歌わせたり、アリス・クーパーにはモダンな質感のロックンロール「Swing It」を与えていたりと、一筋縄でいかない選曲。うん、面白い。あと、本作で久しぶりにネヴ・マクドナルドの歌声を聴いたけど、やっぱりいいですね。彼が歌う「Left For Dead」もSKIN時代を彷彿とさせるものですし。

そういえば、本作はPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSのときほどMOTÖRHEAD色が強くないのが気になりました(もちろん、曲によってはところどころで“らしさ”は感じられるのですが、あくまでそれがメインではない)。結局、あのカラーはレミー自身の個性だったのかなと。そう思うと、レミーおよびMOTÖRHEADって本当に唯一無二の存在だったんですね。そろそろ彼が亡くなってから4年。またあの喪失感と向き合う季節になりましたね……。

 


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