KEITH RICHARDS & THE X-PENSIVE WINOS『LIVE AT THE HOLLYWOOD PALLADIUM』(1991)
1991年12月上旬にリリースされた、キース・リチャーズ(THE ROLLING STONES)のライブアルバム。日本盤もほぼ同時期に発売されましたが、当初はCD+VHSビデオ+Tシャツのボックスセットで3万セット限定販売(1万円の高額商品でしたが当時購入しました……)。翌1992年2月にようやくCD単品が国内リリースされました。
本作はしばらく廃盤状態でしたが、2020年11月13日にリリース元をVirgin RecordsからキースのプライベートレーベルMindless Records(BMG傘下)に変え、最新リマスタリングが施された状態で再発。オリジナル盤と同じく全13曲入りのCDに加え、レストアされた映像版(DVD)と2枚組アナログ盤、さらにアルバム未収録の3曲を収録した10インチアナログ、豪華フォトブックなどを同梱したボックスセット、アルバム未収録3曲を追加したデジタル版が用意されています(2枚組アナログ盤も単品発売)。
本編の内容は、初のソロアルバム『TALK IS CHEAP』(1988年)を携えて行われたソロツアーから、1988年12月15日のカリフォルニア州The Hollywood Palladiumでの公演を収めたもの。キース(G, Vo)のほか、ワディ・ワクテル(G)、チャーリー・ドレイトン(B, Dr)、スティーヴ・ジョーダン(Dr, B)、アイヴァン・ネヴィル(Key)、ボビー・キーズ(Sax)、サラ・ダッシュ(Vo)という布陣=THE X-PENSIVE WINOSによる、生々しくもルーズでグルーヴィーなロック&ソウルを存分に味わうことができます。
選曲は『TALK IS CHEAP』からの楽曲を軸に、ストーンズでもカバーした「Too Rude」や「Time Is On My Side」のほか、ストーンズでのキース歌唱曲「Happy」に加え「Connection」のキース歌唱バージョンが楽しめるという、ソロツアーならではのサプライズも用意。ミック・ジャガーがストーンズナンバーをソロで歌ったとしても「そりゃそうだよな」くらいの感想しか出てきませんが(それも超代表曲しか歌わないしね)、自身が作詞・作曲に携わったストーンズナンバーを片割れのキースが歌うのはちょっと感動モノというか、違った意味での重みを感じます。しかもこの「Connection」、演奏含めめちゃくちゃカッコいい。ぶっちゃけ、原曲より好きです。
また、「Time Is On My Side」ではキースがボーカルをとるのではなく、サラ・ダッシュが歌うというのがまた素晴らしい。アルバムではその直前の「Make No Mistake」でキースと艶やかなデュエットを聴かせているサラですが、この「Time Is On My Side」のソウルフルさはストーンズバージョンよりもエモーショナルさが増しており、非常に好印象。ソロツアーではあるものの、あくまで“バンド”であることを強調しているところからもキースらしさが伝わります。ここでの実力発揮があったからこそ、翌年のストーンズのアルバム『STEEL WHEELS』(1989年)及び同ツアーへの参加が実現するわけですものね。
ちなみに、新規追加された3曲は「I Wanna Be Your Man」「Little T & A」のストーンズナンバー2曲と、ソロアルバムからの「You Don't Move Me」。レノン&マッカートニー書き下ろしの「I Wanna Be Your Man」はキースのみならずバンドメンバーが一斉に歌うのがバンドっぽくてよろしいですし、「Little T&A」はストーンズバージョンよりもタイトなのがまた素晴らしい。「You Don't Move Me」はライブアルバムのこの流れでは少々地味なのでカットされたのでしょうね、という印象。だとしても、オマケとしては十分すぎるほど。できることなら、当日のライブと同じ流れに組み直してほしかったかな。まあ、あくまでオマケなので聴けるだけでも十分っちゃあ十分ですけどね。
まあとにかく、貴重なキースのソロツアーライブ音源を存分に味わえる貴重な1枚なので、ソロ3作ともども聴いておくべき重要作だと思います。
▼KEITH RICHARDS & THE X-PENSIVE WINOS『LIVE AT THE HOLLYWOOD PALLADIUM』
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