2005/03/23

KEITH RICHARDS『MAIN OFFENDER』(1992)

 第1回目から随分と間が空いてしまいましたが、不定期連載企画『ロケンロールと無理心中』第2回、いきますよーっ。

 この企画で選ぶアルバム、比較的メジャーではない作品‥‥まぁ取り上げるアーティストはメジャー中のメジャー、ロックンロールの世界でいったらど真ん中な人達ばかりなんでしょうけど、そんな中でも個人的に好きでオススメしたい作品がたまたま地味なモノばかりになる、という‥‥ホントに需要があるのかどうか判りませんが、まぁ自己満足でやってる企画なので特に気にしないことにします。

 んで第2回目にして、超王道中の王道、ROLLING STONESのギタリスト、キース・リチャーズを取り上げたいと思います。

 キースのソロ活動はといいますと、ストーンズでデビューして24年目(1988年)にして初めてソロアルバムをリリースするんですね。その前には単発シングルや映画サントラ(チャック・ベリーのやつね)はあったけど、キースが中心となって主導権を握り、彼が曲を書いて彼が歌う完全なソロアルバムっていうのは、その'88年にリリースされた「TALK IS CHEAP」が最初だったわけですよ。これにしたって当初は出すつもりのなかったもので、単にミック・ジャガーがなかなかストーンズに戻ってこなくてソロ活動に精を出してたから、しびれを切らしたキースがとうとう動き出した、という‥‥まぁある意味では偶然の副産物なんですよね。その後ストーンズは'89年に合流して「STEEL WHEELS」というアルバムを作って、同年夏から翌年夏にかけてワールドツアーを敢行、その中には初となる日本公演(東京ドーム10公演がソールドアウト!)が含まれるわけです。で、'91年には新曲2曲を含むライヴ盤「FLASHBACK」をリリース、その後はまた暫くストーンズはお休み、それぞれ自由な活動へと移るわけです。ま、ここでビル・ワイマンが脱退してしまうので、その休憩時間は結局'94年頃にまで及ぶわけですが。

 この長い休憩期間に、各メンバーそれぞれソロアルバムをリリースしてます。ミックも、ロン・ウッドも、そしてチャーリー・ワッツまでもジャズでアルバムをリリース。当然キースもソロアルバム第二弾を制作するわけです。それが今回紹介する1992年リリースの「MAIN OFFENDER」です。

 「TALK IS CHEAP」がストーンズの次回作を待つ間に作られた『偶然の副産物』だとしたら、この「MAIN OFFENDER」は最初から『ソロアルバム』としてキッチリ作られた、ホントの意味での1stアルバムになるのかもしれません。そういうこともあってか、「TALK IS CHEAP」にはストーンズ的な『陽』のイメージが強く感じられるものの、この「MAIN OFFENDER」はもっと『閉じた』ような‥‥『個』であったり『陰』のイメージをこれまで以上に強く感じるんですね。勿論ストーンズの顔が作るアルバムですから、ストーンズらしさも十分感じられるんですが、何だろう‥‥無理をしてないというか、肩の力がいい具合に抜けた、タイトなんだけど適度に緩さを持った、独特且つ唯一無二の世界観を表現してます。一聴しての印象は『地味』以外の何ものでもなく、特に引っかかる名曲も存在しない、聴く人が聴いたらそのままスルーしてしまいそうなアルバムかもしれません。実際、俺も最初手にした時は‥‥まだ20才とかそのくらいだったのかな、その良さが完全に判ったとは言い難い年頃で、無理して何度も聴いてみたけど‥‥「TALK IS CHEAP」以上に好きにはなれなかったのね。まぁ「MAIN OFFENDER」より前のストーンズの作品が「STEEL WHEELS」みたいな派手な作品だったから、余計かもね。

 ところがね‥‥このアルバム、年を取るに連れ、聴く頻度がどんどん高くなってるんですよ。何時頃からだろう‥‥5〜6年前からかな、気づいたらこのアルバムばかり聴いてる時期ってのが必ず年に1〜2度あって。それが年に3〜4回に増え、また翌年には2ヶ月に1回になり、最近じゃ月に1回は必ずCD棚から引っ張り出す機会があるわけ。何でか知らないけどさ、聴いてると非常に落ち着くんだよね‥‥テンポ間が心地よいのかなぁ。変化球もなく、リズム的にもミドルテンポが中心で、途中でスロウチューンやレゲエのリズムが取り入れられたり。ストーンズみたいな速い曲もシャッフルもヘヴィなブルーズもない。肩肘張らない自然体の、空気みたいなロックンロール。当たり前のように鳴らされるキースのギターに、呼吸するかのようなキースの歌声。癒されるってやつとはちょっと違うけど‥‥ロックンロール・チルドレンにとっては、これが子守唄みたいなもんなのかしら。まぁ50超えた(当時)オジイに子守唄なんて歌ってもらうような趣味は持ち合わせてないけどさ‥‥それでもこの音、このタイム感、このフィーリング、この空気感‥‥全てが自分の生活に必要なものなんだなぁ、と。今改めてこのアルバムを聴いてそれを噛み締めています。

 キースのソロアルバムをこれから聴こう、っていうなら最初は「TALK IS CHEAP」を聴くといいですよ。この「MAIN OFFENDER」を最初に聴くことはオススメしません。ましてやストーンズをしっかり聴いてこなかったなら尚更ね。ストーンズにドップリと浸かった人生を送って来た人なら‥‥既に2枚共聴いてるか。

 まぁアレですよ‥‥俺にとっては墓場まで持っていきたいアルバムなわけですよ。



▼KEITH RICHARDS『MAIN OFFENDER』
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投稿: 2005 03 23 12:00 午前 [1992年の作品, Keith Richards, Rolling Stones] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック