今年の頭にKENZI & THE TRIPSのボーカル、KENZIが企画したイベント「クソッたれナイト」がスタートしました。1回目はアナラーズと怒髪天を迎えた、とても素晴らしいイベントになったそうですが、今回行われた第2回では‥‥恐らく俺と同年代の人にとっては非常に懐かしい名前ばかりが揃ったラインナップになったのではないでしょうか。ケントリは勿論のこと、昨年夏に復活し絶好調のTheピーズ、そして今のところこのイベントの為だけに再結成されたらしいTHE POGO。しかもケントリも先日、「青春BABY II」というセルフカバーアルバムをリリースしたばかり。否が応でも「ノスタルジックな80'sモード」になってしまうのではないか、と少々感傷的だったのですが‥‥これがね、全然そんなことなくて。終始笑顔で歌い踊りという、お腹いっぱいなイベントとなったのでした。
ピーズは約2ヶ月振り、ケントリなんて10数年振りだし、POGOに限ってはリアルタイムで音源とかちゃんと聴いてこなかった俺。POGOっていうと、個人的にはどうしても「ああ、中澤裕子が学生時代好きだったバンドね」というのが頭の片隅にあって‥‥あ、いや。バンドの評価とは全然関係ないですが。
最初に書いちゃうけど、ノスタルジックな空気感は少なくともバンド側には皆無でした。客の方には若干そういうのはあったんだろうけど(特にリアルタイムで通過してきた30才以上の方々には)、新曲メインで勝負したピーズといい、全然古臭さを感じさせなかったPOGOといい、セルフカバーモードにも関わらず全く衰えを見せないケントリといい、本当にみんな「現役」なんだなぁと再認識。ま、POGOのRYOTAも現在、JIG HEADとして活動しまくってるしね。各バンドに参加してるメンツだけ見てもthe pillows、LAUGHIN' NOSE、元De-LAX等々、本当に'80年代~'90年代初期のバンドブーム周辺から戦い続けてきたメンツばかり。そういった人達が「過去の栄光にすがる」わけでもなく、看板だけは昔のままだけどアティチュードとしては2003年モードで戦ってるっていうのが見て取れて、あの当時を知ってる人間としてはホントに嬉しかったなぁ。若手に全然負けてないと思うし。
さてさて、それでは各バンドのライヴについて簡単に感想を書いていきたいと思います。
◎Theピーズ
先週(5/18)の千葉ルック公演を仕事で飛ばしてしまった俺ですが、もうね、本当に期待してたのよ。しかもライヴが始まるちょっと前に「トップバッターはピーズだよ」というのを耳にしてしまったから、余計にね。はる曰く「今日は出演者の中で一番若手だ!」‥‥そう、時代的にはピーズはちょっとずれてるのね。だから実際のところどうなるのか気になったんだけど‥‥全然問題なかったです。むしろこの日はピーズファンが多すぎるくらいで、他の2バンドに申し訳ない程に前の方は盛り上がってました(多分後ろの方で正視してた人達は、そっちのファンだったのかな)。
内容的には新作「Theピーズ」を軸に、旧曲(初期の隠れた名曲"このままでいよう"が!)の他に、早くも新曲が演奏されてました! 最初の新曲は「酒はもうやめた」といった内容の、渋いロックチューン。これがかなりカッコイイ。パブロックっていうのとはまた違うんだけど、酒やめた内容なのに酒飲みロック的な空気感が。続く2曲目の新曲はこれまた今までになかったタイプのストレートな疾走チューン。はる曰く「『酒やめた』という新曲に対する、アンサーソング」とのこと。「やっぱり酒やめられないぜー!」って雄叫びが笑った。そしてラストに演奏された3曲目の新曲は、"ギア" と呼ばれているらしい楽曲で、もしかしたらこれ、「とある曲」へのアンサーソングなのかも‥‥なんて気がします。ま、まだ歌詞も全部聞き取れたわけじゃないし、この場でそう発言してしまうのもちょっと‥‥と思うのであえて曲名は明記しません。後はライヴ会場で聴いた人の判断に委ねます。とにかく全曲クオリティー高すぎ。早くも新曲モードに入ってるのが嬉しかったし、しかもそれが軽く「Theピーズ」アルバムのクオリティーを超えてる事が驚きというか。そう遠くない将来にリリースされるであろう8枚目のオリジナルアルバム、かなり期待できそうです!
あ、"このままでいよう"についてもコメントを。千葉ルックでは納得のいく演奏ができなかったようで(アビさん曰く「千葉では最高の出来だったので、今日もやってやるよ」とのこと。その後にはるが「リベンジだね」とぶっちゃけるw)、この日の出来はまずまずだった模様。やっぱり口笛がね‥‥アビさんギター弾きながら口笛吹いてるんだけど、よく聞こえないし。そして後ろではもうひとり口笛を吹くシンちゃんの姿が‥‥とにかくこの曲、難しいと思うんですね。演奏にしろ、表現にしろ。けど、今のピーズなら出来そうな気がすると思ったから、多分またやってみたんだろうね。とにかく今後もこういったサプライズに期待してます!
[SETLIST]
01. とどめをハデにくれ(イントロのみ) ~ 生きのばし
02. サイナラ
03. 新曲(酒やめた)
04. 線香花火大会
05. 無力
06. 新曲(酒やめるのやめた)
07. このままでいよう
08. ギャンブル
09. 新曲(ギア)
◎THE POGO
日記にも書いた通り、全然POGOを通過してこなかった俺。そりゃ、TVKの「ミュートマ・ジャパン」とか「ライヴトマト」(現在の「LIVE Y」)で目にすることはあったけど、アルバムをちゃんと聴いたりしたことはなかった、むしろ門外漢な俺なわけね。で、先日はJIG HEADのライヴも見逃してるし。
そういう俺がフラットな状態で今回「一夜限りの再結成」を目の当たりにしたんですが‥‥これがね、素直に格好良くて、最後には一緒に踊り狂ってましたよ。この日のメンバーがギターにKASUGA、ベースにJUN GRAY、ドラムにシンちゃんという「POGO+ケントリ」というようなメンツでして。純粋な再結成ではないのは明確なんだけど、これが却って良かったのかな、と。演奏は全然問題なし。むしろこういう時でもないと体験できないであろう「ハードコアなパンクチューンを叩くシンちゃん」を観ることができたり、ストリングス隊は現役のパンクロッカーなわけだし、シンガーも未だ現役。単なるノスタルジーでやってるわけじゃなく、「真剣に楽しんでる」のが音から伝わってくるのね。客もこの時だけはモッシュしまくり、ボディサーフしまくり、そのままステージに昇ってそこからダイブ‥‥終始この状態。しかもそれらが若い子達ばかりなんだから‥‥で、その子達がね、またボディサーフしながらちゃんとPOGOの歌を口ずさんでるのよ! 若いのに! JIG HEADのファンなのか、後追いPOGOファンなのか‥‥とにかく、本当に待ち望まれた復活だったんだな、と思いました。
実際、演奏された代表曲の大半が全然色褪せて無くて、むしろ「全然アリ!」だったのも驚き。ま、現役メンバーの手による「2003年の音」で表現されたことも大きく関係してるんだろうけど、とにかく終始カッコよかった。やられたね、完全に。これを切っ掛けに、ちゃんとPOGOを聴こうと思った俺ですから。
JIG HEADがある以上(しかも活動が順調にいってるだけに)、今後パーマネントでPOGOを続けることは不可能でしょう。今回のメンバーにしても、シンちゃんはpillowsとピーズの掛け持ちだし、KASUGAにはメインのラフィンでの活動があるわけだし。だからといって他のメンバーを入れてまでPOGOを復活させるのは‥‥いや、観たいんですけどね、もっと。けど、もしかしたら「これ一回きり」だったからこそ、みんなあそこまで楽しめたのかな‥‥とも思ったりして。ま、難しいところではあるけどね。
とにかくPOGO、大変素晴らしくて感動させてもらいました!
◎KENZI & THE TRIPS
待望のケントリ。多分前に観たのは解散前だから‥‥正確には14年振りってことになるのでしょうか。最近ZIGGYにしろピーズにしろ、ホントこういうのが多いよなぁ‥‥ま、ガキの頃に喜んで聴いてたバンドが今でもまだ現役でやっててくれるってのは、正直嬉しいもんですよ(逆に、ここ数年活躍してるバンド達が、果たして15年後もまだ変わらず頑張れてるのか‥‥と考えると‥‥)。
俺、ライヴ前に知ったんだけど、今のケントリのギターって、元De-LAXの人なのね。どうりで観たことあると思ったわけだ。で、そんなロカビリー入ったギターのヒデキが煽りを入れる中、ボーカルのKENZIが登場するんだけど‥‥これもね、全然ビジュアル的には変わってないことに驚き。いや、よく見るとやはり顔には年相応なものを感じたりするんだけど‥‥でも、未だに髪を立て、声を張り上げて(しかも昔以上に!)懐かしい"LEADERをつぶせ"を歌う姿には、正直感動すらしました。そのまま"裏切りのうた"とか"爆竹GIRL"なんていう往年の名曲を連発し、その後も俺が知ってる曲ばかり‥‥そうか、先日出たセルフカバー集「青春BABY II」からの曲をメインでやってるのか!と気づく。個人的には"LEOSTAR 8"でちょっとググッと来た。途中のMCでKENZIが言ってたんだけど、どうやらアルバムと同じ曲順で進めてるらしい。9曲目"星空の夜"でトーンダウンしてじっくり聴かせるモードに入り「都合により1曲飛ばします」との後に、超名曲"BRAVO JOHNNYは今夜もHAPPY"、"DIANA"という怒濤の攻め。いや、これで何も感じない人がいたら嘘だ!ってくらいに最高の歌と演奏で楽しませてくれたよ。そして本編最後の曲は、この日唯一の「再結成後」の楽曲、"THIS IS THE POWER SONG"。これがね、全然知らない曲なんだけど、何ら違和感なく楽しめたのね。むしろ'80年代の楽曲にも負けてないと思ったし、ある種勝ってる部分さえ見つけることが出来た。いやぁ、これは嬉しい誤算だったね。やっぱりこいつら、「今のバンド」なんだな、と。全然知らない曲なのに、気づけばサビを一緒になって歌ってたもんね。これはホントいい曲。後でCD買おう。
一応トリだし、アンコールあるんだろうな‥‥と思ってたら、KENZIひとりで登場し、最後はみんなでセッションしますとのこと。沸き上がるオーディエンス。そして呼ばれたメンバーは‥‥ドラムにシンちゃん。pillowsのメンバーとしてお馴染みの彼も、それ以前にはケントリで叩いていたという歴史を持つ人(更にそれ以前となると、POGOの結成時メンバーみたいだしね。ってことは、本来今日は「シンちゃん祭」と呼んでも間違いないのかw)。そしてベースにピーズからはるが。登場したはる、前に並べられたマイク1本1本を使って何か叫んでる。見るからにベロンベロンといった印象。結構フラフラで、顔も真っ赤だったし。大丈夫かよ!? そしてギターにはPOGOからRYOTAが。更に楽屋に遊びに来てたロリータ18号のマサヨさん他1名(あのAC/DCのTシャツを着た男性は誰?知ってる人教えて!!)がコーラスに加わり、さっき「飛ばした」1曲"HONEY DANCE"を大宴会の如く演奏。おお、はるクンよ、ちゃんと弾けてるじゃないか! 安心安心。基本的にはKENZIとマサヨさんのツインボーカルといった感じで(ま、みんなでシンガロングするタイプの曲だしね)、とにかくお祭り騒ぎ。途中でケントリの現ベースも飛び入りし、最後は本当に祭の如く大騒ぎで終了しました。約2時間40分に及ぶ「シンちゃん祭」はこうして幕を閉じたのでした。
8月にも第3弾が決まっていて、次回はいよいよロリータも出演するようなので、是非行こうかと思ってます‥‥って8/23(土)なの!? 俺、仙台にいるかもしれないじゃんか、その日!(涙)
[SETLIST]
01. LEADERをつぶせ
02. 裏切りのうた
03. 爆竹GIRL
04. UKモドキ
05. HOTニキメチマエ
06. LEOSTAR 8
07. CRAZY SUMMER
08. BAILEY
09. 星空の夜
10. BRAVO JOHNNYは今夜もHAPPY
11. DIANA
12. THIS IS THE POWER SONG
—ENCORE—
13. HONEY DANCE