KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT II: B-SIDES FOR CHARITY』(2020)
2020年5月初頭にデジタルリリースされた、KILLSWITCH ENGAGEのミニアルバム。5月1日にBandcampで1週間先行配信され、同月8日から各種ダウンロード/ストリーミングサービスにて配信が開始されています。
タイトルからもおわかりのように、本作に収録された楽曲はすべて昨年8月にリリースされた最新オリジナルアルバム『ATONEMENT』と同時期にレコーディングされたもの。世が世ならシングルのカップリングや、追って販売されたであろうリパッケージ盤に追加収録されていたのかもしれません。
しかし、ここ数ヶ月世界中を絶望のどん底に陥れている新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、音楽産業自体が停滞(あるいは停止)してしまっている。KSE自身もこの春から新たなツアーを開始予定でしたが、残念ながら延期に追い込まれています。本作はそんな彼らを心待ちにしているファンへのプレゼントであると同時に、災害慈善センターのためのCOVID-19救済基金チャリティのために準備されたものでもあるのです(本作の収益の100%は同救済基金へ寄付されるとのこと)。
アルバムからのアウトテイクというと、実際にリリースされたアルバム本編収録曲より劣る印象があるかもしれませんが、今回リリースされた6曲は『ATONEMENT』全体のカラーからなんとなくズレてしまうため、泣く泣くカットしたものであり、完成度自体はアルバム本編と同等と言っていいでしょう。実際、どの曲もどこからどう聴いてもKSEそのものですし、彼ららしさや魅力は随所から感じられるはずです。
確かに、突き抜けるような壮大さが伝わる「I Feel Alive Again」やハードコアパンクの流れにある「Killing Of Leviathan」などは、もし本編に収録されていたらアルバムの統一感を損なっていたかもしれません。だからといって、これらの曲が悪いわけではなく、単にタイミングが悪かったということなんでしょうね。
歌詞に関しても、ジェシー・リーチ(Vo)は『ATONEMENT』で歌われているテーマと同様で、彼の人生における非常にハードな時期に書かれたものなので統一性があると述べています。なので、『ATONEMENT』と同じ時間軸の中で表現された、もうひとつの可能性と捉えれば本編と同じノリで楽しめるのではないでしょうか。
ストリーミングに関しては、再生すればするだけ権利者に収益が入ります。SpotifyなりApple Musicなりでヘヴィローテーションすることで然るべき団体に寄付されるので、気軽な寄付のつもりで(できれば爆音で)リピートすることをオススメします。
▼KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT II: B-SIDES FOR CHARITY』
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