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カテゴリー「Killswitch Engage」の13件の記事

2021年8月 2日 (月)

DEE SNIDER『FOR THE LOVE OF METAL』(2018)

2018年7月27日にリリースされたディー・スナイダーの4thアルバム。

TWISTED SISTERとしての活動に終止符を打った2016年に発表された前作『WE ARE THE ONES』から1年9ヶ月という短いスパンで届けられた新作。リリース元を新たにNapalm Recordsへと移し、HATEBREEDのジェイミー・ジャスタ(Vo)のプロデュース&バックアップのもと制作された1枚となっています。

レコーディングにはジェイミーのソロプロジェクトJASTAやKINGDOM OF SORROWの一員でもあるチャーリー・ベルモア(G, B)、ニッキー・ベルモア(Dr)が全面参加。この布陣は続く5作目『LEAVE A SCAR』(2021年)でも継続しているので、よほど本作で得られた手応えが大きなものだったのでしょう。

実際、本作で聴くことができるパワフル&エネルギッシュな正統派メタルサウンドは想像以上の凄みが備わったもので、TWISTED SISTERでのグラマラスなイメージで軽く見ていると痛い目を見ると思います。僕自身、最新作『LEAVE A SCAR』でまさにそういう事態に陥り、過去作をさかのぼって聴き始めたくらいですから。

ハードコア度は新作『LEAVE A SCAR』に譲りますが、キャッチーさは今作のほうが上かなと。わかりやすいメロディと、それを崩すことなくストレートに伝えるディーのボーカル、無駄を一切削ぎ落とした演奏&アレンジ、すべてが最高のバランスの中で成立している。楽曲事態どれもハズレがないし、ヘヴィメタルという音楽に多少なりとも興味がある方なら絶対に気に入るはずだと確信しております。

アルバム終盤には元KILLSWITCH ENGAGE、現LIGHT THE TORCHのハワード・ジョーンズ(Vo)をフィーチャーした「The Hardest Way」、ARCH ENEMYの紅一点アリッサ・ホワイト=グラズをゲストに迎えた「Dead Hearts (Love Thy Enemy)」も用意。前者はハワードのねっとりとした濃厚ボーカルとディーの歌声との絡みが印象的ですし、後者はアリッサの女性的な側面を反映させたメタルバラードを思う存分味わうことができる。そこからの流れで、タイトルトラック「For The Love Of Metal」という象徴的な楽曲へとなだれ込み終焉を迎える構成、最高です。

僕自身、ずっと初期TWISTED SISTERのイメージを持ち続け、ディーのソロ作を敬遠してきた身なので、今も食わず嫌いしている方の気持ち、よくわかります。けど、騙されたと思って本作、あるいは最新作を手に取ってみてください。その偏見、見事に崩されますから。

 


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2021年7月20日 (火)

TIMES OF GRACE『SONGS OF LOSS AND SEPARATION』(2021)

2021年7月16日にリリースされたTIMES OF GRACEの2ndアルバム。日本盤未発売。

TIMES OF GRACEは2000年代後半、KILLSWITCH ENGAGEのアダム・デュトキエヴィッチ(G, Dr)が当時元KILLSWITCH ENGAGEのジェシー・リーチ(Vo)に再び声をかけ、2人で始動させたサイドプロジェクト。2011年1月に発表された1作目『THE HYMN OF A BROKEN MAN』は全米44位まで上昇し、ジェシーの圧倒的なボーカル力と作詞家としての才能が再評価される結果へとつながりました。

その後、ジェシーがKsEに再加入したことでこのプロジェクトは活動停止することになりますが、今年デビュー作リリース10周年ということもあり、10年ぶりに再始動。アダムがギターとベースを担当し、新ドラマーとしてダン・グルシャク(ex. ENVY ON THE COAST)が参加する形で2作目を完成させます。

1作目はKsEのようでKsEではないという、不思議なバランス感のもとで成立していた作品でしたが、この2作目は(もちろんジェシーが歌い、アダムがギターを弾いている時点でKsEとの類似は避けられませんが、それでも)バンドとして新たな個性が確立されているような気がします。それはオープニングを飾る「The Burden Of Belief」から十分に強く伝わるものがありますし、以降もスクリームを随所に織り交ぜつつも“シンガー:ジェシー・リーチ”の個性が強く伝わるような楽曲/テイストでまとめられている。言ってしまえば、KsEの中にあるひとつの要素に特化した“Other side of KsE”なのかなと。

ダークでアーシーなメタルサウンドは、どこかLAMB OF GODあたりにも通ずるものも見受けられます。ですが、KsEのパブリックイメージから離れ、ジェシーの歌を生かす/活かすことに主軸を置いた作風は、2021年時点ではこれ以外考えられないということなのでしょう。個人的にはメインバンドとの差別化含め、非常にしっくり来るものがありました。

1作目は「ジェシー・リーチ、カムバック!」という側面が非常に強かったお祭り的作品だったことは否めません。また、もしかしたらアダムの中にはジェシーを呼び戻すためのテスト的な1枚だったのかもしれません。そういった意味では、今作こそがTIMES OF GRACE正真正銘の1stアルバムなのかもしれませんね。青(蒼)を基調とした絵画風ジャケットが音と見事にマッチしているというのも、非常に納得できるものがあります。このダークな世界観、クセになりますね!

 


▼TIMES OF GRACE『SONGS OF LOSS AND SEPARATION』
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2021年6月27日 (日)

LIGHT THE TORCH『YOU WILL BE THE DEATH OF ME』(2021)

2021年6月25日にリリースされたLIGHT THE TORCHの2ndアルバム。DEVIL YOU KNOW名義を含めると、通算4作目となります。現時点で日本盤未発売。

Billboard 200(全米アルバムチャート)で最高169位を記録した前作『REVIVAL』(2018年)から3年3ヶ月ぶりの新作。元KILLSWITCH ENGAGEのハワード・ジョーンズ(Vo)、元ALL SHALL PERISHのフランチェスコ・アルトゥサト(G)、BLEEDING THROUGHのライアン・ウォンバチャー(B)という前作までの布陣に、今作からWHITECHAPELやOBSCURAなどでの活動で知られるアレックス・リュディンガー(Dr)が正式加入しています。

作風的には前作の延長線上にある内容ですが、より正統派ヘヴィメタルや現代的なヘヴィメタルの色合いが強まっている印象があります。「Let Me Fall Apart」や「End Of The World」のような楽曲ではスクリームも随所に盛り込まれているものの、主軸となるのは「More Than Dreaming」や「Wilting In The Light」のようにスクリーム完全排除の歌モノ叙情的メタル。歯切れの良いギターリフの刻みと、それに呼応したリズムトラックの重低音感、その上に乗るマイナーキーのメロディと、エモーショナルに歌い上げるハワードの圧倒的ボーカルこそがこのバンドの武器であり、その個性的な部分をベストな形(かつコンパクト)にまとめ上げたのが本作、といったところでしょうか。

「Death Of Me」のように曲のクライマックスと呼べるパートで、スクリームをポイント的に用いることで「メタルコアバンドが正統派メタルに歩み寄る」よりも「正統派メタルバンドがメタルコアなどのモダンサウンドに寄せる」ようにも受け取れる本作。各メンバーの出自を知らなければ、多くのリスナーが後者なんじゃないかと受け取ってしまいがちですが、アルバム中盤に配置された「Living With A Ghost」や後半の「Denying The Sin」を聴くと改めて彼らがどのジャンルから登場したかを再認識できるのではないでしょうか。こういう曲がいくつか残されていることで、KILLSWITCH ENGAGEやBLEEDING THROUGH時代からのリスナーもホッとするような……そんなことないかな。

あと、本作は味付けにスペーシーなサウンドエフェクトが用いられているのも印象的。「Wilting In The Light」や「Become The Martyr」あたりのイントロや「Denying The Sin」の間奏に挿入されたシンセを聴くと、その要素が顕著に表れている気がします。これがあるとないとでは、楽曲から受ける印象もかなり変わるのではないでしょうか。

平均点を軽く超える高品質のヘヴィメタルアルバムではあるものの、ここに思いっきり歌い上げるヘヴィメタルバラードがプラスされたら、さらにクオリティがアップするんじゃないかなという気もしていて。でも、そうするとまた別モノになってしまうのかな。難しい判断かもしれませんが、バンドがもうひとつ上へとステップアップするためにはどこかでその決断も必要になるのかもしれませんね。

 


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2020年5月11日 (月)

KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT II: B-SIDES FOR CHARITY』(2020)

2020年5月初頭にデジタルリリースされた、KILLSWITCH ENGAGEのミニアルバム。5月1日にBandcampで1週間先行配信され、同月8日から各種ダウンロード/ストリーミングサービスにて配信が開始されています。

タイトルからもおわかりのように、本作に収録された楽曲はすべて昨年8月にリリースされた最新オリジナルアルバム『ATONEMENT』と同時期にレコーディングされたもの。世が世ならシングルのカップリングや、追って販売されたであろうリパッケージ盤に追加収録されていたのかもしれません。

しかし、ここ数ヶ月世界中を絶望のどん底に陥れている新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、音楽産業自体が停滞(あるいは停止)してしまっている。KSE自身もこの春から新たなツアーを開始予定でしたが、残念ながら延期に追い込まれています。本作はそんな彼らを心待ちにしているファンへのプレゼントであると同時に、災害慈善センターのためのCOVID-19救済基金チャリティのために準備されたものでもあるのです(本作の収益の100%は同救済基金へ寄付されるとのこと)。

アルバムからのアウトテイクというと、実際にリリースされたアルバム本編収録曲より劣る印象があるかもしれませんが、今回リリースされた6曲は『ATONEMENT』全体のカラーからなんとなくズレてしまうため、泣く泣くカットしたものであり、完成度自体はアルバム本編と同等と言っていいでしょう。実際、どの曲もどこからどう聴いてもKSEそのものですし、彼ららしさや魅力は随所から感じられるはずです。

確かに、突き抜けるような壮大さが伝わる「I Feel Alive Again」やハードコアパンクの流れにある「Killing Of Leviathan」などは、もし本編に収録されていたらアルバムの統一感を損なっていたかもしれません。だからといって、これらの曲が悪いわけではなく、単にタイミングが悪かったということなんでしょうね。

歌詞に関しても、ジェシー・リーチ(Vo)は『ATONEMENT』で歌われているテーマと同様で、彼の人生における非常にハードな時期に書かれたものなので統一性があると述べています。なので、『ATONEMENT』と同じ時間軸の中で表現された、もうひとつの可能性と捉えれば本編と同じノリで楽しめるのではないでしょうか。

ストリーミングに関しては、再生すればするだけ権利者に収益が入ります。SpotifyなりApple Musicなりでヘヴィローテーションすることで然るべき団体に寄付されるので、気軽な寄付のつもりで(できれば爆音で)リピートすることをオススメします。

 


▼KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT II: B-SIDES FOR CHARITY』
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2020年5月 2日 (土)

V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』(2014)

2014年4月初頭にリリースされた、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年3月下旬に発売されました。

2010年5月にがんのためこの世を去ったディオを追悼すべく、メタル界の重鎮から次世代バンドまで幅広い層が一堂に会したこのアルバム。全14曲(ボーナストラック除く)中、本作のために録音された未発表テイクは10曲と単なる埋め合わせ的アルバムでないことが伺えます。

そのラインナップもロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)やグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLE)、SCORPIONSMOTÖRHEAD、ビフ・バイフォード(SAXON)といった大御所からMETALLICAANTHRAX、DOROなど直接的なフォロワー、そしてHALESTORM、コリィ・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)、KILLSWITCH ENGAGEなどの次世代アーティスト、さらにはヴィニー・アピス、ダグ・アルドリッジ、ジェフ・ピルソン、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、サイモン・ライト、スコット・ウォーレンといったDIOオールスターズまで、世代的にもかなり広いものとなっています。

本編ラストに収められたDIO「This Is Your Life」(1996年の『ANGRY MACHINES』収録曲)を除く13曲中、RAINBOWナンバーを選んだのが5組、BLACK SABBATHナンバーが3組、DIOナンバーが5組とやはりRAINBOWへの人気が集中。METALLICAに至ってはメドレー形式で4曲取り上げてますからね。ズルいわ(笑)。

サバス曲は当然すべて80年代の……と思いきや、オニ・ローガン(Vo/ex. LYNCH MOB)は『DEHUMANIZER』(1992年)からの「I」を選ぶ通ぶりを発揮。こちらはジミー・ベイン(B)やローワン・ロバートソン(G)といった旧DIO組も参加しています。この曲、こうやって聴くと思ったほどモダンなテイストが少なくて、80年代のディオ・サバスを踏襲してたんだねと気づかされます。

1曲ずつ解説していたらキリがないので割愛しますが、ANTHRAX「Neon Knights」におけるジョー・ベラドナのモノマネぶりが相変わらず最高なことと、SCORPIONS「The Temple Of The King」が完全に自分のものと化していること、METALLICAメドレーの強引ぶりなどは特筆すべきものがあるかなと。もちろん、ほかの楽曲も最高なので、原曲を知らないリスナーでも楽しめるはずです。

なお、日本盤にはSTRYPERによる「Heaven & Hell」、DIO DISCIPLES(DIO最終ラインナップのディオ抜き)による「Stand Up And Shout」を追加収録。ストリーミングなどのデジタルバージョンではHATEBREEDのフロントマン、ジャスタによる「Buried Alive」を聴くことができます。ここはぜひ、日本盤を手に入れておきたいところです。

 


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2019年12月31日 (火)

2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編

一昨年秋から『リアルサウンド』でスタートした、HR/HMやラウドロックなどエクストリーム・ミュージックの新譜キュレーション記事を連載しているのですが、2019年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2019年ラウドロック年間ベスト10 BMTH、Russian Circles、Slipknotなど意欲作が気になる1年に」が12月26日に公開されております。

年明け発売の雑誌『ヘドバン』最新号でも同様の企画にアルバム10選をお送りしているのですが、こちらでは『リアルサウンド』の記事で紹介した10枚に加えて、次点となった10枚とあわせて紹介できたらと思います。

まずは、すでに公開済みの上位10作品について。こちらはあえて記事執筆時と同じままで進めたいと思います。

01. BRING ME THE HORIZON『amo』(レビュー
02. TOOL『FEAR INOCULUM』(レビュー
03. RUSSIAN CIRCLES『BLOOD YEAR』(レビュー
04. LEPROUS『PITFALLS』(レビュー
05. KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT』(レビュー
06. SLIPKNOT『WE ARE NOT YOUR KIND』(レビュー
07. BARONESS『GOLD & GREY』(レビュー
08. GATECREEPER『DESERTED』(レビュー
09. MAMIFFER『THE BRILLIANT TABERNACLE』(レビュー
10. ALCEST『SPIRITUAL INSTINCT』(レビュー

選出した理由は『リアルサウンド』のエントリーにてご確認を。ちなみに、『ヘドバン』のほうではあるアルバムの代わりにOPETH『IN CAUDA VENENUM』を選出しております(順位は若干の変動あり)。

続いて、選に漏れた次点10作品もご紹介。

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2019年8月23日 (金)

LIGHT THE TORCH『REVIVAL』(2018)

KILLSWITCH ENGAGEのシンガー、ハワード・ジョーンズがバンド脱退後の2012年に結成したバンドDEVIL YOU KNOW。これまでに『THE BEAUTY OF DESTRUCTION』(2014年)、『THE BLEED RED』(2015年)と2枚のアルバムを発表してきましたが、2017年にバンド名をLIGHT THE TORCHに変更。改名後初となるアルバム(通算3作目)『REVIVAL』を2018年3月にリリースしました。

デビュー時はツインギターの5人編成でしたが、前作の時点で正式メンバーは4人(シングルギター編成)となり、ライブのみギタリスト1名をサポートメンバーとして迎えています。

オリジナルメンバーはすでにハワードのほか、元ALL SHALL PERISHのフランチェスコ・アルトゥサト(G)の2人のみですが、デビューアルバム完成後に加入したライアン・ウォンバチャー(B / BLEEDING THROUGH)も初期メンバーと捉えれば、ドラム以外は不動のメンバーということになります。

さて、本作で展開されているサウンドですが、DEVIL YOU KNOW時代のサウンドを引き継ぎつつも、よりモダンで重低音を活かした(若干ジェント的な香りのする)メロディアスなヘヴィメタルが展開されています。

KILLSWITCH ENGAGE時代の諸作品……代表作となった3rdアルバム『THE END OF HEARTACHE』(2004年)ほどメタルコア的でもなく、スクリームの比率もかなり抑えられており(とはいえ、皆無というわけではないのでご心配なく)、軸になるのはあくまでメロディアスな“歌”。シンガロングできそうなサビが豊富に用意されており、そういった点においては古巣のKILLSWITCH ENGAGEが最近発表した最新作『ATONEMENT』(2019年)にも共通するものがあると言えるでしょう。

本作を聴くと、改めてハワードは個性的で歌のうまいシンガーだということに気づかされます。もちろん、そんな事実は重々理解していたのですが、それでもそう思わされるということは、べらぼうにダメ押しされているってことなんでしょうか。ミドルテンポでヘヴィ、だけどメロディアスという本作で展開されている楽曲群はまさに歌を聴かせるハワードに最適で、そこに楽器隊のモダンさや、適度に取り入れたデジタル要素などが良いアクセントとなり、バンドとしての個性をさらに強いものへと引き立てている。本作を聴いて、そんな印象を受けました。

正直、DEVIL YOU KNOW時代は「良いんだけど、歌以外は平均的」といったどっちつかずな印象がありましたが、本作でようやく“らしさ”のきっかけを手に入れられたのかな、と。ハワード自身も第二の、いや、第三のデビュー作でようやく本当のスタート地点に立てたのかもしれませんね。

残念ながら本作は日本でのリリースは叶いませんでしたが、メタルフェスなどを通じて来日の機会を得たら、一気に知名度が向上するはず。ぜひ来年の春あたりに予定されているフェスでの“初来日”に期待したいところです。

 


▼LIGHT THE TORCH『REVIVAL』
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2019年8月22日 (木)

KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT』(2019)

2019年8月16日リリースの、KILLSWITCH ENGAGE通算8枚目のスタジオアルバム。日本盤は海外から少しだけ遅れて8月21日にリリースされています。

2ndアルバム『ALIVE OR JUST BREATHING』(2002年)から前作『INCARNATE』(2016年)まで6作をRoadrunner Recordsから発表してきた彼らですが、今作からアメリカではMetal Blade Records、イギリスではMusic For Nations、それ以外の海外はColumbia / Sonyからのリリースとなり、ここ日本でも本作はソニー・ミュージックからの第1弾作品となっています。

初代シンガーのジェシー・リーチ(Vo)が復帰してから3作目、通算5作目のアルバムということで、すでに後任を務めたハワード・ジョーンズ(Vo / 現LIGHT THE TORCH)在籍枚数を超えていたんですね。

さて、本作ですが全11曲で39分という非常にコンパクトで聴きやすい内容にまとまっています。実際、1曲1曲の仕上がりも非常にわかりやすく(と同時に、2〜3分台の楽曲中心なので聴きやすい)、かつ的確に仕上げられている印象が強く、スルスルと聴き進められる1枚じゃないかと思います。

全体的にはハワード在籍時の3rdアルバム『THE END OF HEARTACHE』(2004年)で確立された個性が、そのまま円熟期を迎えたような完成度の高さを誇り、「(2000年代以降の)メタルコアってカッコいい!」と再認識させられる内容だと思いました。

とにかく、ヘヴィなオープニングナンバー「Unleashed」から、ジェシー&ハワードという夢の共演が実現した「The Signal Fire」、もはやメロディアスな王道ヘヴィメタルそのものの「Us Against The World」、大先輩のチャック・ビリー(Vo / TESTAMENT)をフィーチャーした「The Crownless King」、コンパクトな歌モノメタル「I Am Broken Too」などなど、とにかく聴きどころが多く、それもあって先のように39分があっという間に感じられるのです。

ニューメタル以降のアメリカン・ヘヴィメタルを再建させた代表格として、申し分なしの内容ですし、もはや普遍性の強いヘヴィメタルバンドにまで成長しきったんじゃないかと思わせられるくらいの集大成感もある。仮にここから、このアルバムを基盤に同クオリティの作品を増産させることになっても……いや、そんなバンドじゃないな(笑)。そうならないように、ここをまた“仮想敵”としてさらに上へと突き進んでいくはず。

とにかく、文句の付けどころがないほどに完璧なモダン・ヘヴィメタル・アルバム。年間ベスト候補決定です。

 


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2019年8月 2日 (金)

KILLSWITCH ENGAGE『DISARM THE DESCENT』(2013)

2013年4月にリリースされた、KILLSWITCH ENGAGEの6thアルバム。日本では1週間前倒しの、3月末に先行発売されています。

バンドがセールス的に初めて成功を収めた3作目『THE END OF HEARTACHE』(2004年)から二度目のセルフタイトル作となる前作『KILLSWITCH ENGAGE』(2009年)まで、約10年近くにわたり在籍したハワード・ジョーンズ(Vo)が脱退し、初代シンガーのジェリー・リーチ(Vo)が復帰したのが本作。チャート的に過去最高(全米7位)を記録した前作から引き続き、本作も全米7位という数字を残しています。

ジェシー在籍時の2ndアルバム『ALIVE OR JUST BREATHING』(2002年)がメタルコアというジャンルにおいて、ひとつの教科書的な存在として高く評価され、続くハワード加入後の『THE END OF HEARTACHE』でメロディアスなスタイルを強調することで、メタルコアというジャンルをさらに高い次元へと到達させたKILLSWITCH ENGAGE。特に『ALIVE OR JUST BREATHING』は現在に至るまで神聖化されていることもあり、ジェシーの再加入により当時は「新作は“第二の『ALIVE OR JUST BREATHING』”になるのでは!?」なんて囁かれたほどでした。

しかし、聴いていただけばおわかりのように、ここで展開されている基本的なスタイルは『THE END OF HEARTACHE』から前作『KILLSWITCH ENGAGE』までバンドが築き上げてきた独自のスタイルを、さらに高い次元に昇華させたもの。そりゃあそうなりますよね。なもんで、“第二の『ALIVE OR JUST BREATHING』”を期待した層からは当時相当低い評価を与えられたのでした。

ですが、これそんな酷いアルバム? いや、むしろ“メタルコア以降”のヘヴィメタル作品としてはかなりレベルの高い1枚だと思うのですが、いかがでしょう?

ジェシーらしさも要所要所に垣間見えるし、何よりもクリーン&メロウなパートを高い表現力で聴かせてくれる彼の実力たるや、相当なものがあると思います。確かに歌唱力やクリーンパートの個性という点においては前任のハワードに劣るかもしれません。が、スクリームやグロウルに関してはさすがの一言ですし、この緩急こそが“今のKILLSWITCH ENGAGE”なのだ、本作はその“今のKILLSWITCH ENGAGE”をより高いレベルへと導いた力作なのだ、と思うのですが……。

アグレッションという点においては過去数作の中では一番ですし、全12曲で40分少々というトータルランニングも文句なしで、とにかく最初から最後まで気持ちよく聴ける(デラックス盤はボーナストラック4曲が追加されて54分。これもこれで悪くない)。まもなくジェシー再加入後3作目となる新作『ATONEMENT』がリリースされます。ぜひこのタイミングに、ジェシー再加入後の作品をしっかり振り返ってみてはどうでしょう。

 


▼KILLSWITCH ENGAGE『DISARM THE DESCENT』
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2018年12月13日 (木)

UNEARTH『EXTINCTION(S)』(2018)

MA(=マサチューセッツ)メタルも今は昔。気づけば20年選手になっていたメタルコアバンド、UNEARTHの通算7枚目のオリジナルアルバム。

長年在籍したMetal Blade Recordsを離れ、前作『WATCHERS OF RULE』(2014年)を北米ではeOne Music Recordsから、ヨーロッパではCentury Media Recordsから発表した彼らでしたが、続く本作もCentury Media Recordsからのリリース。プロデューサーには新たにウィル・パットニー(GOJIRAPIG DESTROYERSHADOWS FALLなど)を迎え、レコーディグドラマーとして同じMAメタルの盟友KILLSWITCH ENGAGEからアダム・デュトキエヴィッチ(本来はギタリスト)が参加した意欲作となっています。

4年ぶりの新作となる今作では、“これぞメタルコア!”と膝をパンパン叩きなくなるような、王道サウンドが展開されています。オープニングを飾る「Incinerate」での不穏なギターフレーズと、メロディを無視してひたすらガナり叫びまくるトレヴァー・フィップス(Vo)のボーカル。要所要所に導入されたブレイクダウンとメロウなギターソロ。そうだよね、10数年前はこういうサウンドに夢中になって、フロアを駆け回ってたよね。そんなことを思い出させてくれる、非常に真っ当な1枚です。

なだけに、聴く人が聴いたら「古臭い」と感じるかもしれません。最近のメタルコアにありがちなクリーントーンでの歌唱など“歌う”要素は皆無ですし(セリフのようなパートはありますけどね)、ギターフレーズもごく当たり前のことしか弾いていません。もうやり尽くしたじゃん。そう思われても仕方ないかもしれません。

しかし、一周回って、いや、二周くらい軽く回って本作を聴くと、なぜか新鮮に聴こえてくるのです。もはやこのスタイルすらもオールドスクールと言えるのかどうかわかりませんが、今の耳には間違いなく“新しく”聴こえる。それは、いろいろと過剰なサウンド、過剰な楽曲アレンジを導入するバンドが増えた結果ではないでしょうか。

変わり続けることにアイデンティティを見出すバンドもいれば、変わらないでいることでバンドとしてのアイデンティティを維持するUNEARTHのようなバンドもいる。結成20周年という節目のタイミングにリリースする記念碑的1枚だからこ、あえてこういったスタイルにこだわったのかもしれませんが、そうすることがファンに対しても、そして自分たちに対しても正直であると。そう考えた結果が、このストロングスタイルの力作なんでしょうね。

何も考えずに大音量で聴けば、きっと20年選手の深みや凄みが浮き上がってくるはず。最後まで緊張感が一切途切れることがない、濃厚な37分。いやあ、素直にカッコいいと思える1枚です。



▼UNEARTH『EXTINCTION(S)』
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