カテゴリー「Korn」の24件の記事

2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、今年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

2019年12月31日 (火)

2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編

一昨年秋から『リアルサウンド』でスタートした、HR/HMやラウドロックなどエクストリーム・ミュージックの新譜キュレーション記事を連載しているのですが、2019年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2019年ラウドロック年間ベスト10 BMTH、Russian Circles、Slipknotなど意欲作が気になる1年に」が12月26日に公開されております。

年明け発売の雑誌『ヘドバン』最新号でも同様の企画にアルバム10選をお送りしているのですが、こちらでは『リアルサウンド』の記事で紹介した10枚に加えて、次点となった10枚とあわせて紹介できたらと思います。

まずは、すでに公開済みの上位10作品について。こちらはあえて記事執筆時と同じままで進めたいと思います。

01. BRING ME THE HORIZON『amo』(レビュー
02. TOOL『FEAR INOCULUM』(レビュー
03. RUSSIAN CIRCLES『BLOOD YEAR』(レビュー
04. LEPROUS『PITFALLS』(レビュー
05. KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT』(レビュー
06. SLIPKNOT『WE ARE NOT YOUR KIND』(レビュー
07. BARONESS『GOLD & GREY』(レビュー
08. GATECREEPER『DESERTED』(レビュー
09. MAMIFFER『THE BRILLIANT TABERNACLE』(レビュー
10. ALCEST『SPIRITUAL INSTINCT』(レビュー

選出した理由は『リアルサウンド』のエントリーにてご確認を。ちなみに、『ヘドバン』のほうではあるアルバムの代わりにOPETH『IN CAUDA VENENUM』を選出しております(順位は若干の変動あり)。

続いて、選に漏れた次点10作品もご紹介。

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2019年12月25日 (水)

PHIL CAMPBELL『OLD LIONS STILL ROAR』(2019)

MOTÖRHEADのギタリスト、フィル・キャンベルが2019年10月下旬にリリースした初のソロアルバム。

MOTÖRHEAD解散後、自身の実子などを加えて結成したPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSとして活動していたフィル。同バンドではEP2枚(オリジナル作&ライブ作)とオリジナルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』(2018年)を発表していますが、そこから約2年を経て届けられたのがこの初のソロ作です。

そもそも本作は、MOTÖRHEADが活動していた5年前から制作がスタートしており、レコーディングにはPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSにも所属する彼の息子3人も参加しています。

と同時に、MOTÖRHEADの活動を通して出会った多数のミュージシャンたちもゲスト参加。そのメンツは錚々たるもので、ロブ・ハルフォード(Vo / JUDAS PRIEST)、ベン・ワード(Vo / ORANGE BOBLIN)、アリス・クーパー(Vo)、ネヴ・マクドナルド(Vo / SKIN)、ダンコ・ジョーンズ(Vo)、ニック・オリヴェリ(Vo, B / ex. KYUSS、ex. QUEENS OF THE STONE AGE)、レイ・ルジアー(Dr / KORN)、ディー・スナイダー(Vo / ex. TWISTED SISTER)、ミック・マーズ(G / MOTLEY CRUE)、クリス・フェーン(Dr / ex. SLIPKNOT)、ウィットフィールド・クレイン(Vo / UGLY KID JOE)、ベンジー・ウェッブ(Vo / SKINDRED)、マット・ソーラム(Dr / ex. GUNS N' ROSES)、ジョー・サトリアーニ(G)など本当に豪華な布陣。これもMOTÖRHEADでの活動があったからこそですね。

フィル自身が歌ったオープニング「Rocking Chair」こそ緩やかでブルージーなアコースティックナンバーですが、続く「Straight Up」(Vo:ロブ・ハルフォード)は歌うロブに合わせたJUDA PRIEST的な1曲。「Faith In Fire」(Vo:ベン・ワード)や「Walk The Talk」(Vo:ダンコ・ジョーンズ&ニック・オリヴェリ)はストーナーロック的だし、「These Old Boots」(Vo:ディー・スナイダー)は豪快なアメリカンロック調。意外と歌う人に合わせた選曲がなされているようです。

かと思えば、ベンジー・ウェッブにマイナー調のピアノバラード「Dead Roses」を歌わせたり、アリス・クーパーにはモダンな質感のロックンロール「Swing It」を与えていたりと、一筋縄でいかない選曲。うん、面白い。あと、本作で久しぶりにネヴ・マクドナルドの歌声を聴いたけど、やっぱりいいですね。彼が歌う「Left For Dead」もSKIN時代を彷彿とさせるものですし。

そういえば、本作はPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSのときほどMOTÖRHEAD色が強くないのが気になりました(もちろん、曲によってはところどころで“らしさ”は感じられるのですが、あくまでそれがメインではない)。結局、あのカラーはレミー自身の個性だったのかなと。そう思うと、レミーおよびMOTÖRHEADって本当に唯一無二の存在だったんですね。そろそろ彼が亡くなってから4年。またあの喪失感と向き合う季節になりましたね……。

 


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2019年12月14日 (土)

KXM『CIRCLE OF DOLLS』(2019)

2019年9月中旬に発表されたKXMの3rdアルバム。日本盤は同年11月上旬にリリース。

ダグ・ピニック(Vo, B/KING'S X)、ジョージ・リンチ(G/LYNCH MOB、ex. DOKKEN)、レイ・ルジアー(Dr/KORN)という異色のトリオバンドも、気づけば結成から6年が経過。デビューアルバム『KXM』(2014年)から次作『SCATTERBRAIN』(2017年/日本未発売)まで3年以上もの歳月を要しましたが、今回は2年で完成までこぎつけています。何事もやる気があるのは良いことです(主にジョージに、でしょうけど)。

さて、このバンド。過去2作は正直曲がそこまで魅力的ではありませんでした。良く言えばジャムセッションをもとに作られたグルーヴ重視の楽曲で固められている、悪く言えば日本人には大味すぎて平坦に聞こえてしまう。ぶっちゃけ、日本人じゃなくても後者の意見のほうが多かったんじゃないかという気がしています(特に1stアルバムはね)。

毎回12〜3曲収録されていて、トータルランニングも60分を超えている。なのに、比較的似たような楽曲ばかりで1枚通して聴くのも疲れる。前作では楽曲のバラエティが少し広がったおかげでだいぶマシになりましたけど、それでも13曲はキツイ、せめて9曲くらいで収めてくれたらというのが本音でした。

さて、本作はどうでしょう。オープニングの「War Of Words」のアッパー感にいきなりノックアウトされ、サイケデリックな「Mind Swamp」に魅せられ、パーカッシヴな「Circle Of Dolls」でノセられる。うん、掴みは成功していると思います。

4曲目「Lightning」の気怠さに少々不安を覚えますが、続く「Time Flies」で息を吹き返す。この曲、ダグの節回しといいジョージの緩急の効いたギタープレイといい、新境地なんじゃないでしょうか(ちょっと日本のV系に近いものがあるサウンドですしね)。

LYNCH MOB meets KING'S Xという表現がぴったりな「Twice」、KORNのビート感にカラフルなKING'S X節を散りばめた「Big As The Sun」など、中盤も聴かせる曲が続くけど、不思議と退屈さを感じることなくスルスル聴き進めてしまう……のですが、やっぱり9曲目「A Day Without Me」あたりからちょっとキツくなり始めます。ラストの「The Border」にちょっとだけ救われますが、正直ここらへんは蛇足感の強い曲も少なくないかなと。うん、過去イチ良かっただけに勿体ない。

やっぱり13曲って多すぎなんですよね。アルバムの輪郭がぼやけてしまっている。せっかくダグのサイケ感&ソウルフィーリングを生かした良曲が増えているだけに、それをミドルテンポの退屈な曲で帳消しにしてしまうのだけは本当にいただけない。ジョージのプレイも激しいものからいぶし銀の味わい深いものまでいろいろ楽しめるんだから、作った曲を全部詰め込むんじゃなくてせめて最長10曲まで絞ってほしいな。

それこそ、「A Day Without Me」「Wild Awake」「Shadow Lover」あたりを削って50分前後のアルバムとしてまとめたらこのバンドの評価、もっと上がると思うんだけどねえ。

 


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2019年10月18日 (金)

KORN『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』(2005)

KORNが2005年12月に発表した、通算7作目のスタジオアルバム。

前作『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』(2003年)では、新曲音源がリリース前にネット上にリークされてしまったことで、急遽当初の発売日から前倒しで発表。そういった事情も災いしてか、チャート的には2ndアルバム『LIFE IS PEACHY』(1996年)以降でもっとも低い全米9位(100万枚)という数字で落ち着いてしまいました。

また、同作を携えたツアーを終えた2005年にメンバーのヘッド(G)がバンドを脱退。さらに、デビュー以来10年近くにわたり在籍してきたレーベルEpic Recordsを離脱と、この時期はネガティブな要素が相次いて起こり、バンドにとって危機的状況だったのではないでしょうか。

そんな中、KORNは新たにEMI / Virgin Recordsと契約。新ギタリストを補充することなく、ニューアルバム制作に突入します。プロデューサーにはジョナサン・デイヴィス(Vo)とアッティカ・ロス(『WITH TEETH』以降のNINE INCH NAILSおよびトレント・レズナーの相方的存在)、そしてアヴリル・ラヴィーンやブリトニー・スピアーズ、クリスティーナ・アギレラなどを手がけてきたTHE MATRIXという異色のプロデュース・チームを迎え、KORN史上もっともバラエティに富んだ1枚が完成します。

初期のゴリゴリしたヘヴィ路線へと回帰した前作でしたが、今作では全前作『UNTOUCHABLES』(2002年)で実践した実験の延長線上にあり、さらにモダンなテクノロジーを駆使したエレクトロ/インダストリアル要素を導入することにより(このへんはアッティカの仕事かな)、ヘヴィロックやメタルの枠では収まりきらない自由度の高い楽曲が揃いました。

オープニングを飾る「Twisted Transistor」のポップさ含め、このアルバムには良くも悪くも「わかりやすい」楽曲が並んでいるような印象を受けます。いや、サウンド的にはかなり遊んでいますし、ところどころでゴリっとした音像やジョナサンのグロウルやスクリームもフィーチャーされています。が、整理されたサウンドのせいもあって、非常に聴きやすいのです。そこが『UNTOUCHABLES』との大きな違いかな(まあ、あのアルバムも今となっては非常に聴きやすいですが)。

5、6分ある楽曲も複数含まれているものの、全体的には3分適度のコンパクトな楽曲が多いのも印象的。このへんもTHE MATRIXというヒットメイカーの手腕によるものなんでしょうか。初期の“跳ねた”リズムとヘヴィさが好きだったというリスナーには受け付けられない路線かもしれませんが、本作を起点に現在まで続いているスタイルもあるわけで、そういった意味では初期メンバーをひとり欠いた彼らが新たな戦いに挑んだ“KORN第二章”の幕開けにふさわしい力作だと思います。個人的にもお気に入りの1枚です。

ただ、本作は内容以上の大きな問題をはらんでいます。そう、悪しきCCCDの存在です。最初に触れたネット上への音源リークやファイル交換ソフトなどの影響(と言われていますが)から、国内外のレコード会社の多くが「コピーコントロールCD(=CCCD)」と呼ばれる“パソコンでリッピングできなCD”が市場に出回ることになります。特に大手レコード会社のEMIは海外のみならず日本でもこのシステムを導入し、本作は初出時CCCDでのリリースでした。

しかし、このCCCDというのもかなり脆い存在でして、Windows PCではNGでもMacではコピーできてしまう、同じ作品でも国によって通常のCD(CD-DA)が出回るなど抜け道がいくつもあったのです。本作も日本盤やはCCCD仕様でしたが、確か一部の海外盤はCD-DA仕様。なので、僕自身はAmazonを通じて輸入盤を購入して本作を楽しみました。その後、CCCD自体が撤廃されたことで、海外盤の新品でCCCD仕様にかち合うことはほぼなくなりましたが、本作の日本盤はCD-DA仕様での再発は過去に一度のみ。しかも、現在は廃盤状態なので、ぜひとも来年の来日に合わせて過去作の廉価版再発に踏み切ってもらいたいところです。

最後に。本作は全米3位(100万枚)と数字的には前作以上の成功を収め、「Twisted Transistor」(全米64位)、「Coming Undone」(同79位)と珍しくシングルヒットも連発しています。

 


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2019年9月21日 (土)

KORN『THE NOTHING』(2019)

2019年9月13日に全世界同時リリースとなった、KORN通算13作目のオリジナルアルバム。

前作『THE SERENITY OF SUFFERING』(2016年)から3年ぶりの新作となりますが、昨年初夏にジョナサン・デイヴィス(Vo)が初のソロアルバム『BLACK LABYRINTH』を発表していたので、実はそこまで“空いた”感も飢餓感もなかったんですよね。ですが、いざリリースが決まるとなるとその仕上がりが楽しみになるのもまた本音でして。

特に、昨年8月にジョナサンの奥さんが亡くなったこともあり、そこから短期間で本作完成にこぎつけたことで、そういった出来事が作品にどのような影響を及ぼしたのかとゲスな考えも湧いてくるわけです。ホント最低ですね。

前作から引き続きニック・ラスクリネクツ(HALESTORMALICE IN CHAINSMASTODONなど)をプロデューサーに起用した本作ですが、基本的な作風は近作の延長線上にあるもの。特段驚きはないのですが、ひんやりとしたシリアスさの奥底にある熱力が過去数作とは異なるもののようにも感じられます。それをジョナサンを襲った不幸と結びつけるのはまた違うのかもしれませんが……。

それでも、冒頭のイントロダクション「The End Begins」の終盤に挿入されるジョナサンの嗚咽は否が応でもそういった現実を思い浮かべさせますし、その意味深なタイトルを冠した単尺曲から「Cold」というこれまた意味深なタイトルの楽曲へとつながる構成には、やはりハッとさせられます。

初期3作にあったようなヒップホップ的要素こそもはや感じられませんが、それでも「Idiosyncrasy」や「Gravity Of Discomfort」「H@rd3r」「This Loss」あたりからはそことも異なるグルーヴ感が伝わってくる。むしろ、そういった80年代以降のブラックミュージックからの影響というよりも、そのルーツといえるソウルやファンク、ブルースからの直接的影響が色濃く表れた作風にシフトしているような印象も受けます。

その象徴的な1曲と言えるのが、終盤に登場する「This Loss」かなと。この曲では後半、3連ビートの上にブルースにも通ずるエモーショナルなボーカルを聴かせてくれます。前半こそひんやりとした中に青い炎を灯していたろころ、最後にこうした“エモさ”が直接的に表れるのはKORNの作品として考えても非常に興味深いなと。そこからラストナンバー「Surrender To Failure」へと続いてアルバムは幕を降ろすわけですから……そして、再びオープニングの「The End Begins」へとリピートさせると、まるで明けない悪夢を見ているような、そんな感覚に落ち入れるはずです。さらに言えば、「This Loss」の前に終盤ブルータルさを増す「H@rd3r」が配置されているのも計算なのかなと。本当に面白いアルバムです。

近作の中でもっとも強い主張が感じられながらも、何気に一番聴きやすい(集中して楽しめる)作風というのも非常に面白いですよね。うん、ここ10年の彼らの作品の中では、実験的な内容だった10thアルバム『THE PATH OF TOTALITY』(2011年)にも匹敵する傑作だと断言させてください。久しぶりにチャート上でも大健闘するんじゃないでしょうか。

 


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2019年8月 1日 (木)

KORN『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』(2003)

2003年11月にリリースされた、KORN通算6作目のオリジナルアルバム。

マイケル・ベインホーン(SOUNDGARNDENRED HOT CHILI PEPPERSオジー・オズボーンなど)をプロデューサーに迎え制作した前作『UNTOUCHABLES』(2002年)で、メロディアスかつプログレッシヴな作風へとシフトして賛否両論を巻き起こしたKORN。同作から1年弱という短期間で、今度は初のセルフプロデュース(ジョナサン・デイヴィスがメイン、フランク・フィリペッティがサポート&ミックス)に乗り出します。

アルバム発売の数ヶ月前には映画『トゥーム・レイダー2』のテーマソングとして、新曲「Did My Time」を提供。リリース当時のレビューにも書きましたが、この曲を聴く限りでは『UNTOUCHABLES』の延長線上にある作風になるのかなと思っていました。

で、実際に届けられたアルバム。オープニング「Right Now」のギターリフを聴いて「お、原点回帰?」と若干期待したものの、確かにヘヴィだけど基本的には前作の延長線上にあるスタイルで間違いないのかなと。確かにボーカルスタイルは若干初期の歌唱法を取り戻しつつありますが、それもアルバム全体においてはスパイスといったほうがいいのかな。やっぱり全体を通して耳に残るのは、ジョナサン・デイヴィス(Vo)の歌唱力・表現力の向上と、その彼が扱うキャッチーなメロディなのですから。

KORNらしい危うさはちゃんと残しつつ、どこか整理された楽曲構成・アレンジに初期の無軌道さを求めるのは、もはや死んだ子の歳を数えるようなもの。バンドとしてどんどん進化していく姿を冷静に受け入れつつ、彼らがどこへ進んで行きたいのか、何をしたいのかを当時は冷静に考えたりしたものです。

あ、「全体を通して耳に残る」のは何もキャッチーな側面だけではありません。そういった楽曲を表現するサウンドのえげつなさは、もしかしたら過去イチかもしれません。低音の鳴りやそれらを生々しい感触でパッケージしたミキシングは、初期2作のそれとは異なるものの非常に現代的で、こりゃあ日本人には真似できないは……と驚いたこともよく覚えています。

今聴き返すと、「結局は1stアルバム『KORN』(1994年)や2ndアルバム『LIFE IS PEACHY』(1996年)の衝動はもはや取り戻せないものの、その表現方法になるべく近づけつつ、セールス的に大成功を収めた3rd『FOLLOW THE LEADER』(1998年)や4th『ISSUES』(1999年)のスタイルをベースに、5th『UNTOUCHABLES』で試みた実験の成果を詰め込む」という最初の10年の集大成だったのかなと。そう考えると、本作を最後にヘッド(G)が脱退したのも、次作『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』(2005年)でさらなる変化の時期を迎えたのも納得できるかなと。もちろん、長い歴史を経た今だからこそ言える話ですが。

ちなみに本作、当初の予定よりも前倒しでリリースされたんですよね。というのも、アルバム収録曲がネット上でリークされてしまったので、バンドやレーベル側が慌てて正規品を世に送り出したという。結果、全米チャート初登場19位、最高9位(ミリオンセールス)というこれまでの作品では低調な数字で終了するという不運な1枚となってしまいました。いや、いいアルバムなんだけどね。

 


▼KORN『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』
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2019年4月 4日 (木)

KORN『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』(2010)

2010年7月にリリースされた、KORN通算9枚目のスタジオアルバム。前作『UNTITLED』(2007年/正しくはタイトルなしの無題)からまる3年ぶりの新作であり、Roadrunner Records移籍第1弾アルバム。チャート的には前作同様に全米2位を記録しますが、セールス的には前作まで続いたゴールドディスク/プラチナディスクに満たない、50万枚以下で終わっています。

現在までバンドに参加しているレイ・ルジアー(Dr)が本作から正式参加(前作はテリー・ボジオ、ブルックス・ワッカーマンの2名がゲスト参加)。ジョナサン・デイヴィス(Vo)、マンキー(G)、フィールディー(B)の4人体制での初作品となります。

プロデューサーに初期2作(1994年の1st『KORN』、1996年の2nd『LIFE IS PEACHY』)を手がけたロス・ロビンソンを迎えており、3rdアルバムではないのに『KORN III』と冠したアルバムタイトル含め、原点回帰がコンセプトとしてあった本作。直近数作にあったデジタル的なカラーを排除し、レコーディングも1stアルバム時代のサウンドを追求しようとアナログトラックで録音/マスタリングを敢行。メンバー自身、当時は「このアルバムのKORNにとって真の3rdアルバム」と発言していたこともあり、特に初期ファンは歓喜したのではないでしょうか。

実際、サウンドの質感に初期の生々しさが戻ってきていると思いますし、楽曲的にも「Move On」や「Lead The Parade」「Let The Guilt Go」あたりには初期作にあった狂気性がそこはかとなく感じられます。

ですが、全体を通して思ったのは……サウンドこそ初期作的なものながらも、歌メロなどベーシックな部分は実際の3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)や4thアルバム『ISSUES』(1999年)、そして新境地を見せた5thアルバム『UNTOUCHABLES』(2002年)の3作を下地にしているなと。なので、1曲1曲のメロがしっかり耳に残るんですよね。そういった意味では、3rd〜5thを受けて制作された6thアルバム『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』(2003年)にも通ずるものがある気がします。もちろん、同作よりも今作のほうが思いっきり振り切れてはいるのですが。

良くも悪くも、大人になってしまったんだな……そんな1枚かもしれません。初期衝動を取り戻そうと無理くり狂気性を演出するのですが、それすらもコントロールされている気がするし。ある意味では、それができるってことはものすごい才能だと思うんです。でも、そのへんが作為的になってしまうと、急に嘘っぽくなってしまうのも事実でして。このアルバムに関しては初期作みたいな即効性こそあるものの、それがあまり長続きしない。「良いんだけどなぁ……」止まりの1枚という気がします。

だからこそ、続く10thアルバム『THE PATH OF TOTALITY』(2011年)での(別の意味での)振り切れっぷりは素晴らしかったんですよね。そんな、過渡期的作品。実に勿体ない。

 


▼KORN『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。



▼MARK MORTON『ANESTHETIC』
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2019年2月20日 (水)

KORN『UNTOUCHABLES』(2002)

2002年6月に発表された、KORN通算5作目のスタジオアルバム。プロデューサーは前作のブレンダン・オブライエンからマイケル・ベインホーン(SOUNDGARDENRED HOT CHILI PEPPERSMARILYN MANSONなど)に交代。リードシングル「Here To Stay」が初めて全米TOP100入り(72位)したことも手伝い、アルバムは最高2位と3作連続1位こそ逃すものの150万枚程度のヒットを記録しています。セールス的には前作『ISSUES』(1999年)の2分の1程度まで落ち込んでいますが、これは発売前に音源がネット上でリークされてしまったことが悪影響を及ぼしたと言われています。

実はマイケルのプロデューサー起用は一度、3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)のときに試みたものの、当時は良い関係を築けずに制作初期に決裂。しかし、バンド側から新たな挑戦としてマイケルとの再タッグが提案され、このコラボレーションが実現しました。

聴いてもらえばわかるように、本作は前作のメロウな路線をさらに進化させ、表現方法的にもさらに幅を広げた相当な実験作。まず驚くのは、ジョナサン・デイヴィス(Vo)の歌唱力の向上でしょう。前作まではあくまでアジテーターかつ楽器のひとつとして存在していたボーカルが、ここではしっかり“歌”として独立した表現が確立されているんです。

それにあわせて、バンドアンサンブルも非常に凝ったものとなっており、ラップメタル的な側面は減退。代わりに、その後のサウンドにより色濃く表れることになるニューウェイヴからの影響が見え始めます。この要素はのちの彼らにとって新たな武器になると同時に、のちのジョナサンのソロ作『BLACK LABYRINTH』(2018年)にもつながっていく重要な側面。そういった要素をヘヴィロック/ラップメタルに寄せるのではなく、むしろ新要素側からヘヴィロック側へと接近させる手法を取っているのではないか。そう思わせられる、非常に聴きごたえのある内容に仕上げられています。

聴きようによっては、当時主流だったニューメタルに近いものも感じられますが、もとはそのニューメタルバンドがKORNから影響を受ける側だったはず。でも、ここではKORNがただ流行に乗ったというより、それまで見せてこなかったルーツを露わにすることで格の違いを見せつけた、そう受け取ることはできないでしょうか。

発売当初こそ賛否両論あった本作ですが、今聴くと非常に完成度が高いし、このプログレッシヴかつサイケデリックな要素はのちのラウドロックにも通ずるものがある……いわば、現在のシーンにおける新たなルーツ、教科書的な1枚と言えるのではないか。そういった意味でもKORNの歴史を語る上で、また2000年代のラウドシーンを語る上で欠かせない作品だと断言できます。今こそ再評価されるべき1枚です。



▼KORN『UNTOUCHABLES』
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