2017/07/18

KORN『FOLLOW THE LEADER』(1998)

1998年晩夏に発表された、KORN通算3作目のオリジナルアルバムにして最大のヒット作。前作『LIFE IS PEACHY』(1996年)の全米3位、200万枚以上の売り上げに続き、本作は全米1位、500万枚以上ものセールスを記録しています。

最大のヒット作へと導いた最大の要因は、初期2作にあった難解さが後退し、よりわかりやすいメロディとビートを前面に打ち出したこと。「Got The Life」(全米オルタナチャート17位)、「Freak On A Leash」(同チャート6位)といったシングルヒットが生まれたことも大きく影響しているはずです。

LIMP BIZKITも2ndアルバム『SIGNIFICANT OTHER』(1999年)を最初に聴いたときに「ああ、こりゃ売れるわ」と直感で理解しましたが(結果、本当に全米1位に)、この『FOLLOW THE LEADER』も最初に聴いたときにまったく同じことを感じましたし、「垢抜けたなぁ。こりゃあ前作までのファンに叩かれるだろうな」とも思いました。事実、過去2作が好きだったファンからは総スカンを食らったものの、それ以上の新規ファンを獲得したことで大成功を収めるのですから、それはそれで間違ってなかったと言えるかもしれません。

とにかく、歌メロがわかりやすくなり、先に挙げたようなシングル曲など口ずさめるようなポップな楽曲(とはいえ、そのサウンドや音像は非常にヘヴィなのですが)が急増したことはバンドにとってかなりの挑戦だったと言えるはず。演奏面ではところどころで複雑怪奇なプレイを聴かせてくれますが、それがメインとなることはなく、あくまで歌に対する味付けといった程度に収められています。

「Blind」(1stアルバム収録)も「Good God」(2ndアルバム)もここにはないけれど、それでも「It's On!」や「Dead Bodies Everywhere」もあるし、ラストを締めくくるにふさわしい「My Gift To You」もある。ヒップホップファンにはアイス・キューブをフィーチャーした「Children Of The Korn」もあるし、LIMP BIZKITのフレッド・ダーストが参加した「All In The Family」、THE PHARCYDEやSLIMKID3で知られるトレ・ハードソンをゲストに迎えた「Cameltosis」もある。つまりヘヴィロックファン、ヒップホップファン、そしてライト層の全方位に向けた冒険的、かつ「これが売れなきゃウソ!」と断言できるような1枚なわけです。

KORNはその後、本作を下地にした作品創りを繰り返しています。初期に原点回帰!なんていわれても、やはり1stや2ndにあった狂気性を取り戻すまでには至らず……そういう点においては、この『FOLLOW THE LEADER』はバンドにとって“パンドラの箱”だったのかもしれませんね。



▼KORN『FOLLOW THE LEADER』
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投稿: 2017 07 18 12:00 午前 [1998年の作品, Korn, Limp Bizkit] | 固定リンク

2017/07/17

ORGY『CANDYASS』(1998)

1998年晩夏にリリースされたLA出身のヘヴィロックバンド、ORGYのメジャーデビューアルバム。インダストリアルの要素を取り入れたそのサウンドについて、本人たちは“デス・ポップ”と呼んでいたようですが、正直どこまで定着していたかは不明です。ただ、“乱行パーティ”を意味するそのバンド名、KORN主宰レーベル「Elementree Records」からのデビュー、そしてNEW ORDERの名曲中の名曲「Blue Monday」をカバーしたことが大きな話題となり、本作は全米32位、100万枚を超えるヒット作になりました。

インダストリアル調のリズムとデジタルを同期させたバンドサウンドはどこかNINE INCH NAILSを彷彿とさせるものの、あそこまでのカリスマ性が感じられないのも事実。とはいえ、ところどころに引っかかりのあるメロディが散りばめられており、決して駄作とは言い切れない。陰鬱だけど耽美さも感じられる空気感は、同年に発表され大ヒットしたMARILYN MANSON『MECHANICAL ANIMALS』にも通ずるものがあるんじゃないでしょうか。そう考えると1994年頃を起点にスタートした新世代ヘヴィロックの波が、この1998年を境に新たな方向に進み始めたと言えなくもありません。

ちなみにこのバンド、元ROUGH CUTTのアミア・デラク(G)が参加しているというのも興味深いところ。L.A.メタルが生き絶え、グランジが世の中を席巻していた時期に、アミアは時代の波に乗ってこういうことを始めたんだなと思うと、なんとも涙ぐましいものを感じてしまいます。

そんなL.A.メタル界隈の人間が絡むバンドが、NEW ORDERの「Blue Monday」をカバーしているのも、非常に味わい深いものがあります。この時期、ヘヴィロックバンドが80年代のヒット曲をカバーするのは一種の流行りみたいなものでしたが、ORGYもその流れに乗ってヒットを手にするのですから、賢いというかなんというか。このカバーがまたド直球で、嫌いになれないんだよね(アルバムの中では比較的浮いている存在なんだけど)……。

アルバムにはこのほか、KORNのジョナサン・デイヴィス(Vo)も「Revival」で共作&ゲストボーカルで参加しています。かといって作品自体はKORN界隈の一派というよりも、「NINE INCH NAILSやFILTERといったバンドが好きな人なら気にいるかも」といった内容かも。当時はハイプ的存在だったかもしれないけど、今となっては悪くないんじゃないかな。10数年ぶりに聴きましたが、リリース当時よりも素直に楽しめましたよ。



▼ORGY『CANDYASS』
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投稿: 2017 07 17 12:00 午前 [1998年の作品, Korn, New Order, Orgy] | 固定リンク

2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
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投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer] | 固定リンク

2016/12/23

KORN『THE PATH OF TOTALITY』(2011)

2011年に発表された、KORN通算10枚目のオリジナルアルバム。前作『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』(2010年)でRoadrunnerに移籍&初期2作を手掛けたロス・ロビンソンと再びタッグを組んでおり、そのタイトルどおりそれ以前の数作にあった実験的要素を排除して、自分たちが何者かを思い出したかのように初期の作風を若干取り戻した内容に多くのファンが歓喜したのを今でも覚えています。実際、僕も『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』は仕事柄リリース前に聴くことができたのですが、その内容に膝を叩いて喜んだのを昨日のことのように覚えています。

しかし、その『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』から1年弱という短いインターバルで発表された次作『THE PATH OF TOTALITY』での変貌ぶりときたら……そもそもはダブステップ系アーティストとの実験的EP(ミニアルバム)というプロジェクトだったものが、一気にフルアルバムまでスケールアップ。それがこの短期間でのリリースにつながったようです。それだけ、ダブステップ系アーティストとのコラボレーションが実り多きものだったということなんでしょう。

がしかし。僕はこの変貌ぶり、実は大いに気に入っております。ここまで振り切れてこそKORNという変な興奮もありましたし、何よりもあの当時における「ヘヴィで暴力的な音」は間違いなくダブステップでしたから、そこに目をつけたジョナサン・デイヴィスに対して「さすが!」と思ったのも事実です。

今のようにEDM=パリピみたいな浸透の仕方をしてなかった時期の作品ですし、KORNの軸にあるメロディや変態性とダブステップとの相性は抜群。なによりも、既存の曲をダブステップリミックスしたわけではなく、一緒に曲作りをしているところにこのアルバムの真意があると思うのです。いわゆるギターサウンドこそがすべてという人種にはまったく受け付けない1枚だと思いますが、大音量で聴いたときにさらに発揮される暴力性はKORNの作品上1、2を争うものだと思います。

もちろん、これ1枚きりで終了したプロジェクトだからこそ意味があるわけで、ここを経たからこそ2016年に「KORNってこういうバンドだよね!」と納得できる12thアルバム『THE SERENITY OF SUFFERING』を生み出すことができたのではないでしょうか。個人的には1stアルバムに次ぐ好きな作品です。



▼KORN『THE PATH OF TOTALITY』
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投稿: 2016 12 23 12:00 午後 [2011年の作品, Korn] | 固定リンク

2007/11/08

KORN『UNTITLED [無題]』(2007)

KORNというバンドに衝撃だとか刺激を求めるという意味では、その役割は大ヒット作の3rd「FOLLOW THE LEADER」でひとまず終わったんじゃないでしょうか。ただ、その幻影を求めて毎回アルバムを「そのときの見方」のまま評価してしまうという……その結果、やれ「終わった」だのと叩かれ続けている。これが現在のKORNの立ち位置なのかなぁという気がします。

通算8作目のアルバムは、タイトルを持たない作品……「UNTITLED」や「無題」というのは便宜上そう呼ばれているだけで、実際にはタイトルを持たない、「ファンが好きなように呼んでくれればいい」というジョナサン・デイヴィスの思いが込められた1枚です。サウンド的には前作をさらに進化させたような……わかりやすい比較でいうと、前作「SEE YOU ON THE OTHER SIDE」と2002年の問題作(と呼ばれる)「UNTOUCHABLES」の中間、さらにゴシック要素を加えたムーディな作風となっています。

「Evolution」のような前作までの路線のナンバーもあるにはあるけど、ここでむしろ声を大にして言っておきたいのは、「Kiss」や「Do What They Say」のようなナンバーの存在でしょう。ただヘヴィなだけでなく、DEPECHE MODEあたりの色合いを感じさせる独特な世界観を持つ楽曲。そういえばアルバムの約半年前には「MTV UNPLUGGED」のライブアルバムも出てたっけ……こっちではRADIOHEAD「Creep」のカバーや、EVENESCENCEのエイミー・リーやTHE CUREのロバート・スミスがゲストで参加してるんですよね。何となくだけど、あそこからこの新作までずーっと繋がってるのかなぁという気がしました。だって、曲によっては「おいおい、MARILYN MANSONかよ!?」というナンバーまでありますからね。

きっとこのアルバムは、1stや2nd「LIFE IS PEACHY」の続編をいまだに求めているようなファンには何も響かないのかもしれませんね。でも、これはこれで素晴らしい出来だと思います。まぁ僕自身がそっち側の音も大好きだから、というのが大きいからかもしれませんけど。「そもそもKORNにそんなもん、求めてないし!」という人には、もはや何を言っても無駄でしょうけどね。

このアルバムをライブでどう表現するのか……残念ながら今回のアルバムでは来日公演は実現しそうにないみたいですが、ぜひ一度観てみたかったです。どうせなら、1日はアンプラグド、もう1日は新作の世界観を表現するような構成でね。



▼KORN「UNTITLED [無題]」(amazon:日本盤日本盤w/DVDUS盤

投稿: 2007 11 08 12:05 午前 [2007年の作品, Korn] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/02/23

KORNからギタリストのヘッドが脱退

KORNからギタリストのヘッドが脱退!(CDJournal.com)

 あちゃー、これは痛手じゃないっすか? しかも脱退理由がキリスト教徒としての人生を歩むため、って。アメリカ人らしい発想ですが、彼は今後音楽活動は行わないそうな。まぁだからってKORNがクリスチャン・メタル的な方向に行ったとしても困るし(いや困らないか)。残されたメンバーにとっては辛い選択だっただろうけど、友好関係は変わらないみたいだし、それぞれの今後に幸あれ、といったところでしょうか。

 にしてもなぁ‥‥未だにKORNは新しいレーベルとか決まってないんだよね? 一応9月リリース予定の新作を制作中、ってあるけど‥‥どうなの、もう決まったの??



▼KORN「GREATEST HITS VOL.1」(amazon

投稿: 2005 02 23 09:33 午後 [Korn] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/10/23

KORN『LIFE IS PEACHY』(1996)

前2回が既に解散してしまっている、あるいは一旦解散し最近再結成したバンドの、10数年前の作品だったわけですが、今回は比較的最近‥‥といっても既に7年も前なんですけどね‥‥やっぱり俺にとっては「最近」だわ、悪いけど。そんな今でも現役で活躍するKORNのセカンドアルバム、「LIFE IS PEACHY」を取り上げたいと思います。

正直な話、今回の企画で取り上げるバンド/アルバムはどの時期からどの時期までのものにするか、これに非常に悩むわけです。当初考えていたのは「'80年代末~'90年代初頭のオルタナ/クロスオーバーに括られたバンド達、そしてその後に現れたシアトル勢」を中心に、最後はRAGE AGAINST THE MACHINEが登場する辺り(それでも'92年頃ですからね、彼等のデビューは)とカート・コバーンの死('94年)辺りまでにしようかと考えてたんですよ。だってさ、誰もKORNのことをオルタナなんて呼ばないでしょ? アルバム出せば常にチャートのトップ3に入るような「メインストリーム」的存在なわけですから。けど、彼等だって最初からヒットチャートの上位組だったわけじゃない。そんな彼等にも切っ掛けとなる作品があったわけで。それがこのアルバムなわけですが(ま、切っ掛けとかいいながらも全米初登場3位を記録したヒット作なんですけどね)。そういった意味で、文字通りの「オルタナティヴ」だった時期‥‥ま、ほんの一瞬ですけどね‥‥を紹介するって意味で、敢えてKORNのこの作品を「オルタナティヴ」で括ってみようと思ったわけです。勿論この辺の解釈は人によって全然違うでしょうから、ツッコミはナシの方向で。ひとつヨロシクです。

このアルバムを、当時付き合いのあったとあるバンド(一時期メジャーでも活躍し、現在もインディーシーンで活躍し続ける某ラウド系バンド)のギタリストから教えてもらって買ってみたわけですが‥‥やっぱりね、いきなり頭の理解不能な言語的歌唱法で度肝を抜く "Twist" にやられるわけですよ。そして組曲的に流れている "Chi" にノックアウト。この2曲で購入するに十分なインパクトを与えられたわけです。CDショップの視聴機の前で固まりましたもん、あまりの衝撃に。

所謂「KORNタイプのバンド」なんて表現は、このアルバムから生まれたといっていいでしょう。プロデュースを手掛けるロス・ロビンソンが得意とする生々しいミックスが功を奏して生まれた「KORNサウンド」は、ロビンソンが関わらなくなったその後の2作でも引き継がれたりしましたが、現在ではちょっと変わった、好き嫌いが分かれるサウンドに変化しています。

スカスカなスネアドラムのサウンド('02年の5作目「UNTOUCHABLES」から厚みのある太いスネアサウンドに変化してます)、ゴリゴリでパキパキする5弦ベースの音、不協和音的なハーモニクス音を奏で、絶妙にリフとリフが絡み合う2本の7弦ギター。そしてジョナサン・デイヴィスによる、時に人間離れした歌唱法、時に感極まりすぎて本当に泣いてしまうそのボーカルスタイル‥‥全て'90年代半ばにおいて新鮮であり強烈なインパクトを持っていたわけです。

このアルバムにはその後も代表曲として演奏し続けられている "Good God" や "Wicked"(ラッパー、アイス・キューブのカバー)、"A.D.I.D.A.S."、上記の "Twist" ~ "Chi" の他に、WARのカバーである "Lowrider"('80年代にスラッシュメタル・バンドのEXODUSもカバーしてました)や不気味な "Kill You" といった人気曲が幾つも収録されています。一聴して取っつき難いようなイメージがあるんですが、実は曲自体は意外とポップなんですよね。ヒップホップ的なスカスカのリズムを取り入れたり、ラップなのか歌ってるのか判らなくなるような歌メロがサビに入ると急にポップでメロウになったり(あるいはその反対に、デスメタル調に絶叫するだけの轟音になったり)、とにかく変化自在。先駆者としてFAITH NO MOREという偉大なバンドがいましたが、彼等がもっとプログレチックなのに対し、KORNはもっとユルユルなんですよね。リズムの取り方の違いってのも大きいでしょうけど、やっぱりこの人達が元々はヘヴィメタルが大好きだった、その後ヒップホップ等の洗礼を受けるという、正に俺なんかの世代と同じ流れなんですよね。確か年齢的にも近いし。聴いてきたものが恐らく似てるんだと思いますよ(ガキの頃に流行った、あるいは人気があった音楽を共に聴いてきてるでしょうし)。世代的にはひとつ上になるFNMとはそういった点で相違点が出てくるんでしょうね。

とまぁ、他のアーティストとの比較はさておいて‥‥所謂「レイジ以降のラップメタル/ラウドロック」と呼ばれるようなバンド群の中で最初に数歩リードしたのがKORNであり、それを自ら「FOLLOW THE LEADER」なんてアルバムタイトルに引っ掛けたりする程、'96~'99年頃のKORNは神がかっていたといっていいでしょう。'98年のサードアルバム・リリース直前のフジロック@豊洲、そして'99年初頭の単独来日‥‥これ以降彼等は日本の地を踏んでいないわけですが‥‥やっと、5年振りに帰ってきます、6作目のアルバム「TAKE A LOOK IN THE MIRROR」と共に。

そうそう、KORNといえば「ファミリー・ヴァリューズ・ツアー」についても書いておかなければいけませんね。KORNが中心となって、彼等と親しいバンドや注目のバンド数組を引き連れて行うパッケージ・ツアーのことで、'98年からスタートしていて、当時はまだ無名だったINCUBUBやブレイク前夜のlimpbizkitも出演していました。その後、親バンドがリンプになったり等して数年続きました。所謂「ロラパルーザ」の縮小版みたいなもんでしょうか。如何に当時のKORNがシーンを率先していたかが伺えるエピソードなのではないでしょうか。



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投稿: 2003 10 23 11:53 午後 [1996年の作品, Korn] | 固定リンク

2003/09/16

KORN『DID MY TIME (EP)』(2003)

'90年代のアメリカが生んだ『暗部』のひとつと言えるだろうKORN。そんな彼等も現在までにアルバム5枚リリース、とかなり順調に活動していて、早くもこの秋には初セルフプロデュース作となる6枚目のアルバムがリリース予定。それに先駆けてこの夏リリースされたのが、今回取り上げるシングル"Did My Time"。一部で(?)話題のアクション映画「トゥーム・レイダー」続編のテーマ曲として採用され、映画でも流れているようですね(日本公開はこれからなので、実際にどの辺りで流れているのかは判りませんが。ま、そもそも観に行かないと思いますが)。アメリカでは既にメガバンドのひとつとして数えられる彼等、前作「UNTOUCHABLES」ではそれまでのような難解さが薄れ、よりメロウで聴きやすく、更に爆音の壁も崩壊し、隙間すら伺えるスペーシーな側面すら見せる方向転換で我々を驚かせましたが、続くニューアルバムではどうなっているのか‥‥たった1曲で次のアルバムの方向性を占うのはちょっと厳しいとは思いますが‥‥

そう、このシングルには純粋な新曲はたった1曲しか入っていないんですよ。全3曲入りですが2曲はタイトル曲のバージョン違い、残る1曲もカバー曲ですから。そういった意味では本当にこれ1曲でアルバムの方向性は伺い知ることは出来ないと思います。しかしここで聴ける"Did My Time"という曲は、前作のサウンドプロダクションや方向性の延長線上にある作風と断言しても間違いではないでしょう。映画のサントラ用ということで最もポピュラリティの感じられる楽曲を選んだのだと思いますが、それと同時に「KORNらしいサウンド」を誇示する楽曲でなくてもいけないわけで。そういう意味では「今のKORN」を象徴する1曲と言っても過言ではないでしょう。ドラムサウンドは前作同様非常にタイトで、ギターリフにしても空間を埋め尽くすような類のものではなく、グルーヴ感はこれまで同様大切にしながらも非常に「隙間・空間」を重視したアレンジになってるように感じます。バックの演奏が強く自己主張していた初期の頃と比べると印象はちょっと薄くなっているんですが、その分歌(メロディ)が完全に前に出てきてるんですよね。勿論この辺の変化は3作目「FOLLOW THE LEADER」の頃から芽生えてきた変化・成長であり、前作で完全開花したといっていいでしょう。ということは、間違いなく次のアルバムでもこういった「空間を大切にしたグルーヴィーなバックにメロディアスなボーカル」といった方向性は間違いなく重視されてるようですね。

一方、カップリングとなるリミックスではデジロック寄りのバックトラックに差し替えられていますが、まぁこれが新しい方向性とは一概に言い切れないんですよね。というのもKORNは過去にもシングルではこういった類のリミックスは結構取り入れているので、これをアルバムに全面導入するとは‥‥まぁ多少は取り入れてるかもしれませんが、全面的にというのはないでしょうね。楽器隊は根っからのハードロック/メタル好きらしいですから(ということは、こういったエレクトロ方面を好んでいるのはジョナサン・デイヴィスなのか‥‥まんまGUNS N'ROSESと同じような構成だわ)。個人的にはリミックスの方が気に入ってるんですけどね、この曲。

で、最後が問題の1曲。かのMETALLICAの名曲、"One"のカバー。この5月にMTVで放送された「MTV ICON : METALLICA」という特別番組内でのスタジオライヴ音源をそのまま収録したもので、如何にもKORNらしい重厚なアレンジになってます。ま、基本的なアレンジは原曲のままなんですが、所々「ショートバージョン」化していて、例えばイントロが短かったり、途中の間奏やソロパートも短くされてる、最後の一番盛り上がるパート(テンポが速くなる後半部~ギターソロ)なんてバッサリ切られてるし。正しく「寸止め」な1曲。番組の構成上こういう尺になったのか(放送時間の関係でね)、それとも後半部を練習する時間がなかったのかは判りませんが‥‥どうせならフルバージョンで聴いてみたかったなぁ。そういえばKORNって以前もライヴで "Enter Sandman" をカバーしたことなかったでしたっけ? LIMPBIZKITにウェスが在籍してた頃はよく "Master Of Puppets" のカバーはやってたけど‥‥要するに「みんなMETALLICA聴いて大きくなりました」ってことですよね、うん。

‥‥というわけで、次作の参考になったでしょうか? いや、なりませんよね‥‥正直、俺にもどうなってるのか判りませんもの。まぁ‥‥この方向性を維持してくれていれば、間違いなく「悪い方向」には行かないと思いますが。どうせなら大袈裟なまでに聴かせるアルバムを作ってくれたら、いっそ初期の方向性を愛する俺としても諦めがつくんですが‥‥いや、今の方向性も嫌いじゃないですよ? ただね‥‥何か‥‥一時期のMETALLICAみたいじゃないですか、今のKORNって。正に「LOAD」や「RELOAD」をリリースした頃のね。そういう鬱屈をはね除けるような名作を期待してます!



▼KORN『DID MY TIME (EP)』
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投稿: 2003 09 16 12:00 午前 [2003年の作品, Korn] | 固定リンク