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カテゴリー「Korn」の33件の記事

2022年5月26日 (木)

KORN『THE SERENITY OF SUFFERING』(2016)

2016年10月21日にリリースされたKORNの12thアルバム。

ブライアン・“ヘッド”・ウェルチ(G)が復帰した前作『THE PARADIGM SHIFT』(2013年)から3年ぶりの新作。キャッチーな歌メロ重視ニューメタル路線から、よりエッジの効いたスタイルが復調しつつある良質なメタルアルバムに仕上がっています。

プロデューサーを前作でのドン・ギルモア(BULLET FOR MY VALENTINELINKN PARKアヴリル・ラヴィーンなど)からニック・ラスクリネクツ(HALESTORMALICE IN CHAINSMASTODONなど)に交代したことも大きいのでしょうか。「Rotting In Vain」や「The Hating」などヘヴィな音の塊の中に心地よいメロウなテイストがにじんでいるテイストは、前作『THE PARADIGM SHIFT』での経験をベースにしつつも4thアルバム『ISSUES』(1999年)以降の路線を踏襲したもののようにも受け取れます。

また、モダンでプログロック的な側面を追求した5thアルバム『UNTOUCHABLES』(2002年)や、コンパクトでキャッチーなスタイルにこだわった7thアルバム『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』(2005年)からの影響も見え隠れし、変に初期のヘヴィさにこだわった結果中途半端に終わった9thアルバム『KORN III: REMEMBER WHO YOU ARE』(2010年)よりもバンドとして自然体に映るのも印象的。そういった意味では、バンドの基礎を構築した伝説の1stアルバム『KORN』(1994年)と2ndアルバム『LIFE IS PEACHY』(1996年)、最大のヒット作となった3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)を変に意識しすぎることなく臨んだ結果、過去10数年の中でも一番トータルバランスの整った内容になったのではないでしょうか。

そんな良作に華を添えるように、「A Different World」にはSLIPKNOTSTONE SOURコリィ・テイラー(Vo)がゲスト参加。ジョナサン・デイヴィス(Vo)との相性も抜群ですが、90年代のニューメタルヒーローとゼロ年代のニューメタルの王者のコラボレーションは、ちょっとタイミングが遅すぎるくらい。ただ、前作がヘッド復帰という大きなトピックがあったので、これくらいはあってもいいのかな。

思えば、KORNもこの時点で20年選手に突入しているわけで、この手のバンドとしては多作の12枚目。かつ、ここまでの枚数を制作しながらも同じようなアルバムは1枚もなく、毎回何かしらの変化を遂げている。ソングライター/プレイヤーとしての質の向上はもちろん、表現したいこともデビュー前後と比べたら多少は変わっているはず。そういった点でも、本作はバンドとしての集大成を示すと同時に、キャリア何度目かの“デビュー”アルバムのようでもあるのかなと。まあ、デビュー作にしては出来過ぎなくらいに完璧な内容ですが(笑)。

3分台の楽曲中心の全11曲(デラックス盤の2曲除く)/トータル40分というコンパクトさは、間違いなくその後の『THE NOTHING』(2019年)『REQUIEM』(2022年)にも大きな影響を及ぼしているし、そういった点でも本作は何度目かのリスタートの幕開けにふさわしい1枚だったのかもしれません。

そんなアルバムが、全米チャートで近年では最高となる4位を獲得したというのも、なんだか納得といいますか。以降、完全にサブスク中心のシーンに転換していくことを考えると、(チャート的にもセールス的にも)ここまでがギリギリ“CD主流時代”だったのかな?という気がしています。

 


▼KORN『THE SERENITY OF SUFFERING』
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2022年3月19日 (土)

V.A.『SPAWN: THE ALBUM』(1997)

1997年7月29日にリリースされた、映画『スポーン』のサウンドトラックアルバム。日本盤は同年9月10日発売(日本盤はオリジナルアートワークを採用)。

本作は『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』(1993年)のように、当時旬のロック/メタルバンドと先鋭的なクラブミュージックアーティストを組み合わせた、コラボ曲のみで構成されたコンピレーションアルバムで、純粋なサウンドトラック盤とは異なる仕様となっています。また、『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』がメタル/グランジ系バンドとヒップホップアーティストとのコラボレーションが中心だったのに対し、この『SPAWN: THE ALBUM』ではメタル/グランジ/オルタナティヴロック/ニューメタル勢とエレクトロニカ/テクノ系アーティストとのコラボで構成されています。

楽曲の大半はジャンルの異なる2組との共作で制作されたものですが、中にはMETALLICA「For Whom The Bell Tolls」をDJスプーキーがリミックスしたテイクや、ORBITALの1990年のヒット曲「Satan」をカーク・ハメット(G/METALLICA)がギタリストとして参加した形での再録バージョンも含まれており、すべてが純粋な新曲とは言えません。ですが、いろんな変遷を経た2022年の耳で聴くとどれも非常に親しみやすいテイクばかりで、リリース当時よりも今のほうがフィットするような印象を受けます。

ロック系からの参加アーティストはFILTERMARILYN MANSON、カーク・ハメット、KORN、BUTTHOLE SURFERS、METALLICA、STABBING WESTWARD、MANSUNトム・モレロRAGE AGAINST THE MACHINE)、SILVERCHAIR、ヘンリー・ロリンズ、INCUBUSSLAYER、SOUL COUGHING。テクノ系からはTHE CRYSTAL METHOD、SNEAKER PIMPS、ORBITAL、THE DUST BROTHERS、モービー、DJスプーキー、ジョシュ・ウィンク、808 STATE、THE PRODIGY、ヴィトロ、ゴールディ、DJグレイボーイ、ATARI TEENAGE RIOT、ロニ・サイズとかなりバラエティに富んだ面々が揃っています。

FILTER×THE CRYSTAL METHOD「(Can't You) Trip Like I Do」やマンソン×SNEAKER PIMPS「Long Hard Road Out Of Hell」、KORN×THE DUST BROTHERS「Kick The P.A.」などはそれぞれのバンドのカラーが強く、このままオリジナルアルバムに入っていたとしても不識じゃない仕上がり。ドラムンベース調に味付けされたMETALLICA×DJスプーキー「For Whom The Bell Tolls (The Irony Of It All)」も当時は「……へっ?」と困惑したものの、今聴くと全然アリに思えるから不思議。当時全米1位を記録したノリノリのTHE PRODIGYは「One Man Army」でトム・モレロをギターに迎えたことで、非常にロック色濃厚なトラックを楽しむことができます。

かと思えば、当時はまだブレイク前だったINCUBUSは、早くも独特のテイストを持つ「Familiar」で個性を発揮しまくっているし、SLAYER×ATARI TEENAGE RIOTという最強&最狂の組み合わせによる「No Remorse (I Wanna Die)」では前のめりなアゲアゲドラムンベースを堪能できる。曲によって出来のまちまちはあるものの、全体を通して非常に気持ちよく“踊れる”ラウドロックアルバムではないかと思っています。

とはいえ、リリース当時は『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』ほどのインパクトは与えられず、かつメタル寄りリスナーからはあまり歓迎された記憶もなかったかな。チャート的にはBillboard 200(全米アルバムチャート)で最高7位まで上昇し、50万枚以上のヒットになっているので、ここ日本では“早すぎた”1枚だったのかもしれません。

現在のミクスチャーロック的スタンスを考えると、90年代に映画のサウンドトラックとして制作された『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』とこの『SPAWN: THE ALBUM』って、実は非常に重要な役割を果たした作品集だと思うんですよね。日本では評価は低いのかもしれないけど、このタイミングだからこそ改めて触れておきたい重要作だと断言しておきます。

 


▼V.A.『SPAWN: THE ALBUM』
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2022年2月 5日 (土)

KORN『REQUIEM』(2022)

2022年2月4日にリリースされたKORNの14thアルバム。

90年代半ばに登場したニューメタルバンドの中でも、もっともコンスタントに新作を届け続けているKORN。今作は『THE NOTHIG』(2019年)から2年5ヶ月と、比較的短いスパンで届けられたLoma Vista移籍第1弾作品となります。昨年11月にリードトラック「Start The Healing」が公開された際、バンドの最新アー写にはフィールディ(B)の姿はなく、MVにもフィールディは登場せず、彼の愛用するベースが映されるのみでした。レコーディングには参加しているものの、その後「自分の内面と向き合う時間が必要」とのことで本作完成後の活動には不参加。ツアーにはSUICIDAL TENDENCIESのラ・ディアスが参加するそうです。うん、この組み合わせも面白いし、しっくり来るものがありますね。

さて、内容について。長きにわたりKORNの作品に携わってきたクリス・コリアーをプロデューサーに迎えた本作は、一聴してわかるように非常にKORNらしい内容に仕上がっていると思います。全体的にミディアムテンポの楽曲中心の、メロディアスな側面が強調された作風は近年の彼ら、特に11thアルバム『THE PARADIGM SHIFT』(2013年)以降の流れを汲むものがあります。しかし、本作の楽曲群が過去数作とちょっと異なるのは、そのメロディやバンドアンサンブルの作り込みが尋常じゃないこと。コロナ禍でツアーに出られなかったこともあり、制作にじっくり時間をかけられたことで楽曲の完成度、充実度がいつも以上に高いことは聴いてすぐにご理解いただけると思います。

もちろん、ただメロディアスなだけではなく、このバンドの武器であるヘヴィな側面、サイケデリックな側面も随所に散りばめられている。それはジョナサン・デイヴィス(Vo)の歌唱スタイルにも言えることで、時に繊細に表現し、時に豪快に歌い上げ、あるときにはグロウルでヘヴィさを表現し、あるときには幾重にもボーカルを重ねてハーモニーの壁を作るなど、歌唱面だけでもかなり特筆/注目すべきポイントがたくさん見受けられます。

一方、バンドアレンジに関しても“いかにもKORNらしい”フレーズや味付けが満載。1stアルバム『KORN』(1994年)から現在に至るまで、過去13作の要素が絶妙なバランスで散りばめられており、その組み合わせの妙がいつも以上に冴えわたっている。その創意工夫は「これまで聴いたことあるような」ものから「ありそうでなかった要素」まで多岐にわたり、改めてこのバンドの懐の深さを実感させられました。なもんで、初めてこのアルバムに触れてから(仕事上、リリースより前に耳にすることができたのですが)何度も何度もリピートしています。KORNの新作をここまでヘビロテしたの、いつ以来だろう……ってくらいに夢中になれる要素が本当に豊富なんですよ。

その要因としてひとつ大きいのは、全9曲で32分強というトータルランニングも大きいでしょう。これまでのKORNの作品中もっとも曲数が少なく、かつもっとも短尺な本作は、ある意味ではサブスク全盛の現代的な尺でもあり、ある意味では1970年代から80年代前半のアナログ時代のロックへと回帰した作風とも言える。そうそう、本作のレコーディングはアナログ録音とのことで、アナログ録音のベーシックトラックにPro-Toolsを使ったデジタルエフェクトを加えたあと、再度アナログに落とし込むくらい音にこだわったそう。生々しさが伝わる質感もあって、本当に飽きずに楽しめる1枚です。

日本盤はボーナストラックとして「I Can't Feel」を追加した全10曲/36分。これでも昨今のメタル系作品と比べて短いですよね(苦笑)。個人的には名曲と呼ぶに相応しい仕上がりの「Worst Is On Its Way」で締め括る形がベストですが、この「I Can't Feel」も悪くない出来(むしろアルバム本編にしれっと混じっていても違和感ない仕上がり)なので、ここはアルバム本編に対するエピローグ、カーテンコール(映画だったらエンドロール)的なポジションで楽しむのが一番ではないでしょうか。リリースまでは9曲バージョンに親しんできたのですが、この1曲が加わったことでさらに新鮮味が増し、散々リピートしてきた本作をさらに何度も再生しているところです。

まもなくバンド結成30周年という事実に驚かされ、あと2年もすれば名デビュー作『KORN』発売からも30年。そう考えたら、この14作目のアルバムは“KORNという集合体”の総決算的内容なのかなと思いました。ジョナサン曰く、アルバムラストナンバー「Worst Is On Its Way」は映画でいうところの「次回へ続く」的なポジションとのことなので、続く15thアルバムは30周年のタイミングに……何度目かの新章に突入したKORNの姿を目にすることができるかもしれませんね。いやあ、本当に素晴らしい傑作です。

 


▼KORN『REQUIEM』
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2021年11月16日 (火)

KORN『THE PARADIGM SHIFT』(2013)

2013年10月7日にリリースされたKORNの11thアルバム。日本盤は同年10月9日発売。

EDMに接近し、曲ごとにリミキサー/コラボレーターが異なるという異色ぶりを見せた前作『THE PATH OF TOTALITY』(2011年)から1年10ヶ月ぶりの新作。同年バンドに復帰したブライアン・“ヘッド”・ウェルチ(G)が『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』(2003年)ぶりにレコーディングに参加した、記念すべき1枚でもあります。

新たなプロデューサーとしてドン・ギルモア(BULLET FOR MY VALENTINELINKN PARKアヴリル・ラヴィーンなど)を迎えた本作は、『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』(2005年)以降の歌メロ重視メタルコア路線を踏襲した内容。ただ、『THE PATH OF TOTALITY』というクラブミュージックを通過した作品のあとだけに、「What We Do」や「Spike In My Veins」「Never Never」などの楽曲ではそれらしい味付けも散りばめられており、一筋縄ではいかないサウンドメイクを楽しめます。

「Love & Meth」や「Mass Hysteria」「Punishment Time」などで聴ける不穏なリフワークは1990年代後半から2000年代初頭の彼らを思わせる、ヘヴィさを強調したものが多く、良い意味で「従来のKORNらしさ」を維持している。一方で、先にも書いたように『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』でのポップ/メロディアス路線を踏襲しつつ、『THE PATH OF TOTALITY』で見せたEDMテイストもしっかり織り交ぜており、「新たなKORNの魅力」もしっかり伝わる。という意味では、どちらか一方に振り切るわけではなく、両者の魅力をバランスよく配分したハイブリッド作と言えるのではないでしょうか。これこそが「2013年版のKORN最新形」なんだと。

KORNのリスナーはどちらかといえば1stアルバム『KORN』(1994年)での衝撃、最大のヒット作となった3rdアルバム『FOLLOW THE LEADER』(1998年)でのキャッチー&グルーヴィーなスタイルを好む傾向があり、これらこそがKORNのすべてと狂信しているイメージが少なくありません。しかし、プログレッシヴ志向の『UNTOUCHABLES』(2002年)やモダン路線の『SEE YOU ON THE OTHER SIDE』、EDM寄りの『THE PATH OF TOTALITY』など、時に実験に振り切った作品も少なくなく、それらがファンの反感を買うこともあります。しかし、こういった実験があるからこそバンドは“進化”を続け、“無題”アルバム(2007年)や今作のように充実した作品を増産することができるのです。と同時に、その間には『TAKE A LOOK IN THE MIRROR』や『KORN III: REMEMBER WHO WE ARE』(2010年)のように原点に立ち返ろうとする作品が存在することも忘れてはなりません。

この『THE PARADIGM SHIFT』はヘッドを再び迎え、新たなディケイドへと突進するKORNの所信表明であり、何度目かのデビューアルバムである……と言えるのではないでしょうか。そう考えると、本作のあとに『THE SERENITY OF SUFFERING』(2016年)、『THE NOTHING』(2019年)と続くのも頷けるものがあるはずです。

 


▼KORN『THE PARADIGM SHIFT』
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2021年2月12日 (金)

LOVE AND DEATH『PERFECTLY PRESERVED』(2021)

2021年2月12日にリリースされたLOVE AND DEATHの2ndアルバム。現時点で日本盤未発売。

LOVE AND DEATHはKORNのブライアン“ヘッド”ウェルチ(G)が2012年に結成したニューメタル・バンド。当時はKORN脱退中だったこともあり、このバンドがヘッドにとってのメインバンドだったわけですが、2013年1月に1stアルバム『BETWEEN HERE & LOST』を発表してしばらくしてKORNに正式復帰。その後も2016年にシングル「Lo Lamento」を発表していますが、2020年に入り新たなリズム隊を迎えてバンドを再編。前作から8年の歳月を経て、Earache Recordsから2作目を無事届けることができました。

新メンバーはBREAKING BENJAMINのジェイセン・ラウチ(BREAKING BENJAMINではリードギターですが、こちらではベース)、PHINEHASのアイザイア・ペレッツという元クリスチャンメタル・バンド出身者(ジェイセンはBREAKING BENJAMINの前にクリスチャンバンドのREDに在籍)。ヘッド自身もクリスチャンに転向することでKORNを離れていますし、本作にゲスト参加しているレイシー・シュトゥルム(ex. FLYLEAF)、キース・ウォーレン(BREAKING BENJAMIN)、ライアン・ヘイズ(RIGHTEOUS VENDETTA)という面々も直接的/間接的にそちら側の方々ですから、歌われている内容的にも深読みすると“教え”的なものを汲み取ることができるのかもしれません。

が、サウンドや楽曲自体はKORNにも通ずるゴリゴリさとメロディアスさ/センチメンタルさが感じられる、90年代後半以降の音といった印象で、かなり聴きやすいと思います。ヘッドのボーカルもジョナサン・デイヴィスほどクセも強くなく、ときどきスクリームやグロウルを響かせるものの、全体的には(顔に似合わず。笑)爽やかな歌声といったところでしょうか。演奏面、歌唱面ともにKORN的なフックも随所に用意されているので、KORNのファンも十分楽しめるはずです。

ジョナサンのソロアルバム『BLACK LABYRINTH』(2018年)がその“声”でKORNとのつながりをアピールするものならば、本作は楽曲面やサウンドメイクでKORNとの接点を強く感じられる1枚。そういった個々の要素が組み合わさることで今のKORNになるんだなと、改めて実感できる貴重な機会ではないでしょうか。

どの曲も好みですが、もっともKORNらしい「Affliction」や「White Flag」、レイシーの歌声がフックになっている「Let Me Love You」などは特にお気に入り。全11曲/約35分というトータルランニングもイマドキっぽくて聴きやすいですし、往年のKORN節と現在のKORNらしさを同時に味わいつつも良質なメロディも楽しめる。これは非常に“みっけもの”かもしれませんよ。

 


▼LOVE AND DEATH『PERFECTLY PRESERVED』
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2020年9月26日 (土)

SUICIDE SILENCE『THE BLACK CROWN』(2011)

2011年7月12日にリリースされたSUICIDE SILENCEの3rdアルバム。日本盤は同年7月20日に発売されています。

1stアルバム『THE CLEANSING』(2007年)、2ndアルバム『NO TIME TO BLEED』(2009年)と着実に成長を続けてきた彼らにとって、その人気を確実なものへと決定づけたダメ押しの1枚。前作の時点で全米TOP40入り(最高32位)を果たしていたものの、本作ではついにTOP30入り(最高28位)を記録。本作で彼らに触れたというリスナーも少なくないのかもしれません。

僕は前作『NO TIME TO BLEED』をたまたま購入し彼らに音に触れていたのですが、デスコア然としていた前作の要素を残しつつも、ミドルテンポに比重を置いたメタルコア路線の楽曲が増え始めたことで、少しメジャー感が増したなという印象を受けました。とはいっても、ミッチ・ラッカー(Vo)の咆哮は相変わらず激しいままなので、そこに対して「日和った」なんて一切感じませんでしたが(コアなデスコアリスナーの中には、そう感じた方もいたのかもしれません)。

しかし、そんな本作から「You Only Live Once」というメタルコア寄りの楽曲が代表曲のひとつとして支持を集めるようになるのですから、結果としてはこの進化は好意的に受け入れられたということなのでしょう。同曲に続く「Fuck Everything」や「March To The Black Crown」といったナンバーも同系統ですが、ブラストビートを多用したブルータルな「Slaves To Substance」や「Human Violence」といった楽曲を配置したアルバム序盤から「You Only Live Once」以降の流れ、再びアグレッションが増す「Witness The Addiction」や「Smashed」などを用意した後半という流れは不思議と聴いていて疲れませんし、むしろ良い流れだなとポジティブに感じるほど。僕自身デスコアというジャンルに思いっきり傾倒していたわけではなかったので、逆に過去2作よりも本作のほうがリピートしやすい、聴きやすいと感じていたほどでした(MVはゴア感満載でしたけどね)。

終盤には不穏なギターフレーズを織り交ぜたミドルナンバー「The Only Thing That Sets Us Apart」というフックの効いた曲がありつつも、ラストはやはりこれ!と言わんばかりの「Cancerous Skies」で終了。なお、「Witness The Addiction」にジョナサン・デイヴィス(Vo/KORN)、「Cross-Eyed Catastrophe」にアレクシア・ロドリゲス(Vo/EYES SET TO KILL)、「Smashed」にフランク・ミューレン(Vo/ex. SUFFOCATION)がゲスト参加。「Cross-Eyed Catastrophe」で聴けるアレクシアの女性クリーンボイスは良いアクセントになっており、このへんも本作のメジャー感アップに貢献しているのかもしれません。

「これはハードコアなのか、それともヘヴィメタルの進化系なのか」なんて愚問は置いておいて、ヘヴィなサウンドを愛聴するリスナーにとっては「新しい波が来た!」とうれしくなるような1枚だったことだけは間違いありません。実際、そう感じていましたし。

だからこそ、カリスマ的な存在感を放っていたミッチが本作を最後にこの世を去ることになるなんて、リリース当時は想像もしていませんでした(ミッチは本作リリースから1年以上経った2012年11月1日、バイク事故で急逝)。改めて「You Only Live Once」という楽曲の歌詞が胸に沁みます。

 


▼SUICIDE SILENCE『THE BLACK CROWN』
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2020年6月29日 (月)

GREY DAZE『AMENDS』(2020)

チェスター・ベニントン(Vo)がこの世を去って3年が経とうとする2020年6月下旬、彼がLINKIN PARK加入前に在籍したバンドGREY DAZEのニューアルバムがリリースされたました。

GREY DAZEはチェスターと、晩年まで彼のビジネス・パートナーでもあったシーン・ダウデル(Dr)を中心に結成された4人組ポスト・グランジ・バンド。1993年にデモ音源を発表したのち、『WAKE ME』(1994年)、『...NO SUN TODAY』(1997年)と2枚のオリジナルアルバムを発表しています。しかし、チェスターが1998年にバンドを脱退。マイク・シノダ(Vo, G, Key)らが在籍したXEROに加わり、HYBRID THEORYへと改名したのちに現在のLINKIN PARKへとバンド名が落ち着くことになります。以降の歴史については皆さんご存知のとおり。

チェスターは亡くなる直前まで、このGREY DAZEの再結成を夢見ていたそうで、以前はリソースが不足していた部分などをメンバーとともに再構築、再録音する形で新作を発表しようと計画していました。が、その夢は叶わぬまま彼はこの世を去ってしまいます。しかしGREY DAZEのメンバーはチェスターの家族、友人たち、そしてLINKIN PARKのメンバーからのサポートを受けて、チェスター最後の夢を実現させるわけです。

カウント的には3rdアルバムとなる本作は、過去2作のオリジナルアルバムに収録された楽曲を再録音したもの。2作のオリジナル・マスターテープからチェスターのボーカルのみを使用し、新たにバックトラックを再録音することで、チェスターが目指した「GREY DAZEの本当の姿」を2020年によみがえらせています。レコーディングにはKORNのヘッド(G)とマンキー(G)、そして元ORANGE 9MM、元HELMET、元BUSHのクリス・トレイナー(G)もゲスト参加しているそうです。

チェスターの歌声は彼が10代後半から20歳くらいまでのものが使われていますが、パワフルなロングトーンやハイトーンなどにはすでに彼らしさが随所からにじみ出ており、そこまで別モノを聴いている感はありません。むしろ、本作からLINKIN PARKの『HYBRID THEORY』(2000年)を続けて聴けば、その流れや進化がパーフェクトな形で味わえるはずです。

サウンド的には初期LINKIN PARKにも通ずるカラーも見受けられますが、基本的にはポスト・グランジ以降のヘヴィロックといったところでしょうか。まだニューメタルなんて言葉が誕生する前の楽曲ですが、それよりはもっと90年代的な陰鬱としたテイストが強く、個人的には非常に好みの音だったりします。チェスターは生前、STONE TEMPLE PILOTSスポット参加したことがありましたが、あれもGREY DAZEでの活動を考えると自然な流れだったんでしょうね。

あ、そういえばチェスターは2000年代後半にDEAD BY SUNRISEというプロジェクトを立ち上げ、『OUT OF ASHES』(2009年)というアルバムを残していますが、あれも“この”流れにある音でしたよね。なんだかいろいろつながってきましたね。

この『AMENDS』というアルバムで聴くことができるサウンドが、果たして本当にチェスターが思い描いたものと寸分違わぬ形かどうかはさておき、大枠は間違っていないはず。彼が生きていたらもっと早くに発表されていたであろうこのアルバムを経て、もしかしたら書き下ろし新曲で構成された新作も……なんてこともあったかもしれませんよね(もちろん、その前にはLINKIN PARKの次なるアルバムも)。「たられば」話を始めたらきりがありませんが、今日くらいはそんな想像をしながらこのアルバムの音に浸りたいと思います。

 


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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、昨年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

※ブラウザ(記事上)でプレイリストを再生すると100曲しか表示されないようなので、プレイヤー右上のSpotifyロゴをクリックして、自身のSpotifyプレイヤーで再生することをオススメします。

2019年12月31日 (火)

2019年総括:③HR/HM、ラウドロック編

一昨年秋から『リアルサウンド』でスタートした、HR/HMやラウドロックなどエクストリーム・ミュージックの新譜キュレーション記事を連載しているのですが、2019年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2019年ラウドロック年間ベスト10 BMTH、Russian Circles、Slipknotなど意欲作が気になる1年に」が12月26日に公開されております。

年明け発売の雑誌『ヘドバン』最新号でも同様の企画にアルバム10選をお送りしているのですが、こちらでは『リアルサウンド』の記事で紹介した10枚に加えて、次点となった10枚とあわせて紹介できたらと思います。

まずは、すでに公開済みの上位10作品について。こちらはあえて記事執筆時と同じままで進めたいと思います。

01. BRING ME THE HORIZON『amo』(レビュー
02. TOOL『FEAR INOCULUM』(レビュー
03. RUSSIAN CIRCLES『BLOOD YEAR』(レビュー
04. LEPROUS『PITFALLS』(レビュー
05. KILLSWITCH ENGAGE『ATONEMENT』(レビュー
06. SLIPKNOT『WE ARE NOT YOUR KIND』(レビュー
07. BARONESS『GOLD & GREY』(レビュー
08. GATECREEPER『DESERTED』(レビュー
09. MAMIFFER『THE BRILLIANT TABERNACLE』(レビュー
10. ALCEST『SPIRITUAL INSTINCT』(レビュー

選出した理由は『リアルサウンド』のエントリーにてご確認を。ちなみに、『ヘドバン』のほうではあるアルバムの代わりにOPETH『IN CAUDA VENENUM』を選出しております(順位は若干の変動あり)。

続いて、選に漏れた次点10作品もご紹介。

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2019年12月25日 (水)

PHIL CAMPBELL『OLD LIONS STILL ROAR』(2019)

MOTÖRHEADのギタリスト、フィル・キャンベルが2019年10月下旬にリリースした初のソロアルバム。

MOTÖRHEAD解散後、自身の実子などを加えて結成したPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSとして活動していたフィル。同バンドではEP2枚(オリジナル作&ライブ作)とオリジナルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』(2018年)を発表していますが、そこから約2年を経て届けられたのがこの初のソロ作です。

そもそも本作は、MOTÖRHEADが活動していた5年前から制作がスタートしており、レコーディングにはPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSにも所属する彼の息子3人も参加しています。

と同時に、MOTÖRHEADの活動を通して出会った多数のミュージシャンたちもゲスト参加。そのメンツは錚々たるもので、ロブ・ハルフォード(Vo / JUDAS PRIEST)、ベン・ワード(Vo / ORANGE BOBLIN)、アリス・クーパー(Vo)、ネヴ・マクドナルド(Vo / SKIN)、ダンコ・ジョーンズ(Vo)、ニック・オリヴェリ(Vo, B / ex. KYUSS、ex. QUEENS OF THE STONE AGE)、レイ・ルジアー(Dr / KORN)、ディー・スナイダー(Vo / ex. TWISTED SISTER)、ミック・マーズ(G / MOTLEY CRUE)、クリス・フェーン(Dr / ex. SLIPKNOT)、ウィットフィールド・クレイン(Vo / UGLY KID JOE)、ベンジー・ウェッブ(Vo / SKINDRED)、マット・ソーラム(Dr / ex. GUNS N' ROSES)、ジョー・サトリアーニ(G)など本当に豪華な布陣。これもMOTÖRHEADでの活動があったからこそですね。

フィル自身が歌ったオープニング「Rocking Chair」こそ緩やかでブルージーなアコースティックナンバーですが、続く「Straight Up」(Vo:ロブ・ハルフォード)は歌うロブに合わせたJUDA PRIEST的な1曲。「Faith In Fire」(Vo:ベン・ワード)や「Walk The Talk」(Vo:ダンコ・ジョーンズ&ニック・オリヴェリ)はストーナーロック的だし、「These Old Boots」(Vo:ディー・スナイダー)は豪快なアメリカンロック調。意外と歌う人に合わせた選曲がなされているようです。

かと思えば、ベンジー・ウェッブにマイナー調のピアノバラード「Dead Roses」を歌わせたり、アリス・クーパーにはモダンな質感のロックンロール「Swing It」を与えていたりと、一筋縄でいかない選曲。うん、面白い。あと、本作で久しぶりにネヴ・マクドナルドの歌声を聴いたけど、やっぱりいいですね。彼が歌う「Left For Dead」もSKIN時代を彷彿とさせるものですし。

そういえば、本作はPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSのときほどMOTÖRHEAD色が強くないのが気になりました(もちろん、曲によってはところどころで“らしさ”は感じられるのですが、あくまでそれがメインではない)。結局、あのカラーはレミー自身の個性だったのかなと。そう思うと、レミーおよびMOTÖRHEADって本当に唯一無二の存在だったんですね。そろそろ彼が亡くなってから4年。またあの喪失感と向き合う季節になりましたね……。

 


▼PHIL CAMPBELL『OLD LIONS STILL ROAR』
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