カテゴリー「Lamb of God」の8件の記事

2020年7月 3日 (金)

2020年上半期総括(ベストアルバム10)

恒例となった上半期ベスト。例年7月1日に公開してきたのですが、今年はコロナのあれこれや急に動き出した日常に追いつくのに必死で、すっかり忘れていました……あはは(苦笑)。なので、今回は2020年7月3日現在の10枚を紹介したいと思います。また、これまでは洋楽5枚、邦楽5枚というバランスでセレクトしていましたが、今回からその枠すら取っ払い、デジタルフォーマットならではのミニアルバムやEPを含む国内外の10作品をピックアップしています。

 

BOSTON MANOR『GLUE』(amazon)(レビュー

 

CODE ORANGE『UNDERNEATH』(amazon)(レビュー

 

Crossfaith『SPECIES EP』(amazon

 

DANCE GAVIN DANCE『AFTERBURNER』(amazon)(レビュー

 

LAMB OF GOD『LAMB OF GOD』(amazon)(レビュー

 

LITURGY『H.A.Q.Q.』(amazon)(レビュー

 

LOVEBITES『ELECTRIC PENTAGRAM』(amazon)(レビュー

 

ORANSSI PAZUZU『Mestarin kynsi』(amazon)(レビュー

 

OZZY OSBOURNE『ORDINARY MAN』(amazon)(レビュー

 

VADER『SOLITUDE IN MADNESS』(amazon)(レビュー

 

……もうね、アルバム単位だとメタルやエクストリーム系しか聴いてないんです(苦笑)。それ以外はストリーミングサービスで曲単位でプレイリスト再生する程度。このコロナでのおうち時間で、音楽との向き合い方自体が随分変わった気がします。メタル系のみアルバム単位で聴くのは、間違いなくこのブログを続けているから。それがなかったら、そっち系も曲単位でプレイリストで済ませているはず。

こうなると、年末の年間ベストもアルバムではなくトラック単位でやったほうがいいのかな、と思ったり思わなかったり。少なくとも、国内/国外という枠はもうなくなると思います。

2020年6月30日 (火)

LAMB OF GOD『LAMB OF GOD』(2020)

2020年6月中旬にリリースされた、LAMB OF GODの8thアルバム。

全米3位を記録した前作『VII: STURM UND DRANG』(2015年)から5年ぶりと、過去最長のスパンとなりましたが、その間には亡くなったファンへ向けたEP『THE DUKE』(2016年)やBURN THE PRIEST名義でのカバーアルバム『LEGION: XX』(2018年)マーク・モートン(G)のソロアルバム『ANESTHETIC』(2019年)およびアコースティックEP『ETHER』(2020年)と、関連作品が目白押しでした。なので、いざ5年と言われると「そんなに経ったの?」と驚く自分もいるわけです。

しかし、この5年は順風満帆というわけではありませんでした。バンドを牽引してきた名ドラマー、クリス・アドラー(Dr)が本作制作を前にバンドを脱退。代わりにアート・クルーズ(Dr / ex. PRONG)が加入し、おなじみのジョシュ・ウィルバーをプロデューサーに迎えて完成させたのが、バンド名を銘打った原点回帰の本作となります。

冒頭2曲は、既発のリードトラック「Memento Mori」「Checkmate」からスタート。耳馴染みの強い王道ナンバー2曲で弾みをつけると、そのまま「Gears」「Reality Bath」とアグレッシヴかつグルーヴィーな楽曲が続くのですが、気のせいかどの曲からもいつも以上のキャッチーさが感じられます。これまでの作品では良くも悪くも、聴き手を突き放すような唯我独尊の強いアグレッシヴさが全体を覆っていたのですが、とにかく本作は聴きやすいのです。その印象はラストナンバー「On The Hook」(ボーナストラック除く)まで薄れることはありませんでした。

全10曲で約45分という構成もさることながら、焦点がブレることなく1曲1曲をコンパクトな形でまとめ上げた作風も影響しているのでしょうか。特に大きな変化があるわけではないのですが、不思議とスルスル聴き進められるんですよ。いわゆるポップさは皆無なアルバムなのに、不思議とキャッチーという。そういうフックが随所に用意されたアルバムということでもあるんでしょうね。

また、本作にはゲスト・ボーカリストも複数参加。「Poison Dream」にはHATEBREEDのジェイミー・ジャスタ(Vo)が、「Routes」ではTESTAMENTのチャック・ビリー(Vo)がそれぞれ“いかにも”なスクリームを響かせています。前作ではチノ・モレノ(DEFTONES)やグレッグ・プシアート(当時THE DELLINGER ESCAPE PLAN)がゲスト参加していたので、今作も相変わらずな人選で我々を楽しませてくれます。

ドラムに関しては、確かにクリスの派手なプレイはここにはありません。むしろ、曲の良さを引き出すことに徹した職人技的かつ冷徹なプレイを堪能できるのではないでしょうか。多少好みは分かれるかもしれませんが、らしさはまったく失われていませんし、そもそも楽曲の完成度が高いのでそこまで大きなマイナスにはなっていないような気も。そもそもこのバンド、ドラムだけを聴いてきたわけではないし、ランディ・ブライ(Vo)のボーカルとマークの書く曲、マーク&ウィリー・アドラー(G)のツインギターの妙も含めてLAMB OF GODだったわけですから、クリスの不在だけを理由に否定するのはナンセンスかと。

もしかしたら本作は、METALLICAでいうところのブラックアルバム(1991年)的な1枚になり得る可能性が高い気がします。偶然にも、セルフタイトルを冠したアルバムという共通点もありますしね。なんにせよ、LAMB OF GODにとって集大成的な内容であり、初心者の入門にふさわしい決定的な1枚です。

 


▼LAMB OF GOD『LAMB OF GOD』
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2020年2月18日 (火)

MARK MORTON『ETHER』(2020)

2020年1月中旬にリリースされた、マーク・モートン(G/LAMB OF GOD)の最新EP。配信限定で、日本盤未発売。

昨年2月に初のソロアルバム『ANESTHETIC』を発表したマーク。同作はLAMB OF GODでは表現しきれないアーティスティックな側面、ソングライターとしての貪欲さを追求し、楽曲ごとに多彩なシンガーを迎えて表現するという手法が取られました。

続く今作も同じく、楽曲ごとに異なるシンガーをフィーチャーした作風。しかし、前作と異なるのはそのサウンドメイキングの手法で、今回はアコースティックギターをベースにした楽曲作り/アレンジが全面的に施されています。

全5曲中、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)が2曲、ハワード・ジョーンズ(LIGHT THE TORCH、ex. KILLSWITCH ENGAGE)、リジー・ヘイル(HALESTORM)、ジョン・カーボン(MOON TOOTH)がそれぞれ1曲ずつ参加。マーク・モラレスはMARK MORTON BANDのツアーでもフロントマンを務めたこともあり、今回2曲歌うことになったんでしょうね。

全編アコースティックがメインといいつつも、楽曲によってはエレクトリックギターもふんだんに使用されています。が、それはあくまで味付け程度。エレキがメインになることはなく、あくまで前面に打ち出されるのはアコギの音色とシンガーの歌声なわけです。

一方で、スクリームと歌い上げるイメージが強いハワードは「Love My Enemy」という楽曲でファルセットを取り入れた強くも優しい歌声を聞かせてくれます。あ、この曲のみエレキが大活躍していて、派手なギターソロも楽しめます。これは例外中の例外ですね。

ジョンが歌う「The Fight」は打ち込みリズムをフィーチャーした穏やかな1曲。アルバムの中でいうと、箸休め的な楽曲かな。けど、こういった地味めの楽曲が不思議とアメリカではヒットするからあなどれない。

そして、本作で注目してほしいテイクのひとつがリジー歌唱による「She Talks To Angels」。THE BLACK CROWESが90年代初頭にヒットされた楽曲で、原曲に比較的近いアレンジが施されています。リジーのボーカルもしゃリジーのボーカルもしゃがれた低音からパワフルな高音まで幅広く楽しめ、かつマークのスライドプレイも堪能できる、本作の肝かなと。

さらに、マーク・モラレスは適材適所という言葉がぴったりで、どんな楽曲もそつなく歌いこなす印象かな。適度なスモーキーさが良い味を出しています。オリジナル曲「All I Had To Lose」もさすがの一言ですが、ラストを飾るPEARL JAMのカバー「Black」も歌とアコギのみというシンプルなアレンジが功を奏し、曲の良さとシンガーの魅力を最大限に引き出しているんじゃないかな。

にしても、「She Talks To Angels」と「Black」という1990〜1991年の楽曲を選ぶあたり、さすが自分と同年代と思わずにはいられません。フルアルバム『ANESTHETIC』がソングライターとしての主張だとしたら、今回のEPはプレイヤー/ミュージシャンとしての主張が込められているのかな?なんて、この作風とカバーの選曲から感じ取ってしまいまいた。うん、ナイスな企画盤だと思います。

 


▼MARK MORTON『ETHER』
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2019年10月23日 (水)

LAMB OF GOD『WRATH』(2009)

LAMB OF GODが2009年2月に発表した、通算5作目のスタジオアルバム。前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めると、6枚目のオリジナルアルバムとなります。

前々作『ASHES OF THE WAKE』(2004年)で一気に知名度を高め、続く前作『SACRAMENT』(2006年)ではついに全米TOP10入り(最高8位)を果たした彼らでしたが、本作ではその記録を更新。初登場2位という、現時点における最高記録を残しています。

本作では、以降長くタッグを組むことになるジョシュ・ウィルバー(TRIVIUMCROSSFAITHSONS OF TEXASなど)にプロデューサーを交代。これが功を奏したのか、前作までの殺傷力を維持しつつ、より“わかりやすい”作風へと見事なバージョンアップを遂げています。

オープニングの「The Passing」から「In Your Words」への構成は、もはやHR/HMの古典的伝統芸といえるもの。ドラマチックさを際立たせるという意味でも、本作でこのアレンジ/構成を用いたのは大正解だったと思います。

で、実質的なオープニングトラック「In Your Words」で聴ける“90年代以降のモダンメタルの集大成”的サウンド。もちろん前作までの延長線上にあるのですが、不思議と聴きやすくなっているんですね。ボーカルのちょっとした歌メロによるものなのか、あるいはギターのフレージングの工夫によるものなのか。あるいはそれ以外の要素によるものなのか。実際にはいろんな実験の組み合わせの結果だとは思いますが、メジャーから発表された過去2作以上の“メジャー感”がひしひしと伝わってきます。

以降も、どこからどう聴いてもLAMB OF GOD以外の何者でもないのですが、どこか新しさも感じられる。と同時に、彼らが守ろうとしているヘヴィメタルの歴史の重みもしっかりと伝わってくる……「Grace」のような楽曲で聴ける、ちょっとした工夫からもそういった思いは確実に伝わるはずです。特にこの曲、ソロを含むギタープレイが圧巻なので、ぜひ一度聴いてもらいたい!

あと、曲が何回でもカッコいいと思えるバンドって、ドラミングがとにかく素敵なんですよ。テクニカルなプレイをここぞとばかりにブッこんでくるのに、それを「難しいことやってますよー」とまったく感じさせない、ナチュラルなプレイといいますか。本作で聴けるクリス・アドラー(Dr)のプレイはまさにそれで、彼にとっても真骨頂と言えるものなんじゃないでしょうか(だからこそ、今年発表された彼の脱退は残念でなりません……)。

LAMB OF GODの本質を知るという意味での入門盤には前作『SACRAMENT』がオススメですが、すでにLAMB OF GODというバンドのことを知っていて若干の苦手意識を持っている方には、ぜひこの『WRATH』を聴いていただきたい。そう断言したくなる、すべてにおいてバランスの整った1枚です。

 


▼LAMB OF GOD『WRATH』
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2019年5月 9日 (木)

LAMB OF GOD『ASHES OF THE WAKE』(2004)

LAMB OF GODが2004年8月(日本では9月)にリリースした通算3作目のスタジオアルバム。Epic Recordsへのメジャー移籍第1弾アルバムであると同時に、前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めれば4枚目のオリジナルアルバムとなります。

メジャー流通が大きく影響してか、本作は前作『AS THE PALACES BURN』(2003年)の全米64位を大きく上回る最高27位を記録。現在までに50万枚以上を売り上げ、キャリア最大のヒット作となっています。

デヴィン・タウンゼンドを共同プロデューサーに迎えた前作から一転、今作ではマシーン(CLUTCHFALL OUT BOY、SUICIDE SILENCEなど)がプロデュースを担当。ここでのタッグの手応えは、続く次作『SACRAMENT』(2006年)へとつながっていきます。

が、プロデューサーが変わろうと彼らがやることには一切変化なし。PANTERA以降のモダンヘヴィネス/グルーヴメタルを追求し、それこそPANTERAからそのバトンを受け取り、彼ららしいヘヴィで攻撃的なミドルナンバー中心の新たなアメリカンヘヴィメタルを築き上げています。

PANTERAとの比較ばかりになってしまい恐縮ですが、LAMB OF GOD最大の魅力はギタリストが2人いることではないでしょうか。2本のギターが絡み合うことで生まれる独創的なギターリフは、以降のメタルバンドに多大な影響を与えたはずです。

また、ランディ・ブライ(Vo)のボーカルはクリーントーンに走ることなく、一切の手抜きなしで全編スクリームの嵐。PANTERAでさえ歌メロを感じさせるパートが豊富に用意されていたのに、LAMB OF GODときたら容赦なし(笑)。そこが良いんですけどね。

さらに、クリス・アドラー(Dr)のツーバス連打を多用したドラミングも圧巻の一言。間違いなく彼は2000年代以降のトップドラマーのひとりだと思いますし、その理由がよくわかるのが本作でのプレイなんじゃないかな。先のギターリフと絡み合うことで生まれる独特のグルーヴ感は、デカイ音で聴けばただひたすら気持ち良いですし。

ただ、そういった「メロディ要素が少ない」ことが理由でメタル初心者にはちょっとハードルが高い……なんて思われてしまいがちな彼ら。いえいえ、意外とキャッチーなんですよ? なので、このグルーヴ感に一度ハマってしまったら、きっと抜け出せなくなるはず。ぜひ本作か次作『SACRAMENT』あたりを入門編に、彼らに触れてみることをオススメします。

なお、タイトルトラック「Ashes Of The Wake」は本作中唯一のインストナンバー(セリフのみ)。この曲では元MEGADETHのクリス・ポーランド(G)とTESTAMENTのアレックス・スコルニック(G)がゲスト参加しており、攻めまくりのギターバトルを楽しむことができます。このクライマックス感がたまらないんだよなあ。

あと、本作は今年でリリース15周年を迎えたこともあり、デジタル&アナログでボーナストラックを追加したアニバーサリーエディションも発売。SpotifyやApple Musicでもこちらのバージョンは聴くことができるので、今回はそちらのリンクを貼っておきますね。

 


▼LAMB OF GOD『ASHES OF THE WAKE』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。

 


▼MARK MORTON『ANESTHETIC』
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2018年6月22日 (金)

BURN THE PRIEST『LEGION: XX』(2018)

海外では2018年5月中旬、日本では1ヶ月遅れて6月22日(つまり本日)に発売された。BURN THE PRIESTのカバーアルバム。BURN THE PRIESTと聞いてピンと来ないリスナーもいるかもしれませんが、なんのことはない、LAMB OF GODの変名バンドのことです。

いや、変名というと語弊がありますね。BURN THE PRIESTというのはLAMB OF GODの前進バンドの名前で、1999年にセルフタイトルのアルバムを1枚リリースしております(メンバーも5人中4人が一緒で、ウィリー・アドラーが加入して現在のLAMB OF GODとしての活動がスタート)。今回のカバーアルバム『LEGION: XX』は現LAMB OF GODのメンバー5人で制作しているので、まあ早い話がLAMB OF GODのニューアルバムですね。

カバーの内訳は下記のとおり。


01. Inherit The Earth [THE ACCÜSED]
02. Honey Bucket [MELVINS]
03. Kerosene [BIG BLACK]
04. Kill Yourself [S.O.D.]
05. I Against I [BAD BRAINS]
06. Axis Rot [SLIANG LAOS]
07. Jesus Built My Hotrod [MINISTRY]
08. One Voice [AGNOSTIC FRONT]
09. Dine Alone [QUICKSAND]
10. We Gotta Know [CRO-MAGS]


基本的にはハードコア/クロスオーバー系のバンド中。なので大半の楽曲が2〜3分台とシンプルなショートチューンばかりで、トータルランニングも38分と非常に聴きやすい長さです。どのバンドもLAMB OF GODに大きな影響を与えたルーツとなる存在ばかりで、そういった意味で初期のバンド名を使ったのかもしれません。まあ、お遊びですよね。そこも踏まえて楽しみたい1枚です。

サウンド的には完全にLAMB OF GODのそれで、基本的には原曲のイメージを大切にしつつカバーしています。しかし、中にはBIG BLACKの「Kerosene」をよりキャッチーなアレンジでカバーしていたり、MINISTRYの代表曲「Jesus Built My Hotrod」を完全なマンアレンジで再構築するなど、ところどころにフックとなる好カバーが含まれています。ちなみに、この2曲が本作の中では長尺にあたるもので、両方とも6分超え。後者は原曲にないリズムアレンジを加えるなどして、オリジナルよりも長くなっています。

こういったカバーアルバムは、まずはひと通り聴いて楽しんでから、原曲を掘り起こしてその違いを楽しむ、そしてバンドのルーツがどこにあるのかその片鱗を探すことが楽しいと思うんです。なので、ぜひサブスクやYouTubeなどで原曲をチェックしてほしいなと。

あと、LAMB OF GODはヘヴィすぎて苦手という人にとっては、「あ、こういう側面もあるのね」と取っつきやすい内容になっているのではないかと。そこもカバーアルバムの醍醐味ですよね。とにかく、いろんな人に楽しんでほしい1枚です。



▼BURN THE PRIEST『LEGION: XX』
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2018年6月 8日 (金)

LAMB OF GOD『SACRAMENT』(2006)

アメリカ・ヴァーニジア州出身の5人組メタルバンド、LAMB OF GODが2006年8月にリリースした通算4作目のスタジオアルバム。前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めれば5枚目のオリジナルアルバムとなります。

前作『ASHES OF THE WAKE』(2004年)からEpic Recordsでのメジャー流通が始まり、その結果全米27位という大躍進を遂げたLAMB OF GOD。続く本作『SACRAMENT』では全米8位まで上昇し、前作同様に50万枚を超えるセールスを記録しました。しかも、本作リリース後の2006年10月には『LOUD PARK 06』での初来日も実現し、ここ日本での認知度も一気に増しました(僕は寝坊して見損ねました……)。

当時、アメリカのメタルシーンに新たなムーブメントが起こり始めており、マサチューセッツ出身のKILLSWITCH ENGAGESHADOWS FALLといったバンドたちのことを“MAメタル”なんてカテゴライズしたりして、新たな波=“New Wave Of American Heavy Metal”の代表格的存在としてLAMB OF GODは認知され始めていました。そこにきての全米8位ですから、いかに当時の彼らがシーンから求められていたかが伺える結果だと思います。

そのサウンドはヘヴィメタル……特に90年代、それこそPANTERA以降のモダンヘヴィネスやグルーヴメタルを軸に、スラッシュメタルやハードコアなどの要素を加えた、いかにも2000年代らしい硬質サウンドが確立されています。

楽曲の大半がミドルテンポ中心というのもPANTERA以降、あるいは90年代以降のSLAYERのノリだけど、そんな中にバランスよく含まれるスラッシー、時にハードコアなアップチューンは軽快さよりもヘヴィさに重点が置かれているためか、聴いていて“素速いんだけど、背中に重石を乗せられてるような”感覚が味わえます。どんな例えだよ。

かと思えば、「Forgotten (Lost Angels)」「Requiem」みたいな組曲があるんだから面白い。ギターのザクザク感はスラッシュメタル以降のそれだし、ランディ・ブライ(Vo)のボーカルもPANTERAやSLAYER、あるいはデスメタルからの影響を感じさせつつ、時折飛び込んでくるメロウなフレーズにグッとくる。このへんも先駆者たちへのリスペクトが感じられる。それもあってか、どんなにボーカルががなっていても1曲1曲はキャッチーなんですよね、不思議と。そこが中〜後期PANTERAとはちょっと違う点かも。そこがLAMB OF GODを“2000年代のアメリカを代表するピュアメタルバンド”、“PANTERA亡き後、アメリカを代表するヘヴィメタルバンド”と言われる所以かもしれません。

本作が気に入れば、これ以前にリリースされてアルバムも、これ以降にリリースされたアルバムも少なからず気に入るはず。まずは本作を入門編として手に取ってみてはどうでしょう。



▼LAMB OF GOD『SACRAMENT』
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