2018年6月22日 (金)

BURN THE PRIEST『LEGION: XX』(2018)

海外では2018年5月中旬、日本では1ヶ月遅れて6月22日(つまり本日)に発売された。BURN THE PRIESTのカバーアルバム。BURN THE PRIESTと聞いてピンと来ないリスナーもいるかもしれませんが、なんのことはない、LAMB OF GODの変名バンドのことです。

いや、変名というと語弊がありますね。BURN THE PRIESTというのはLAMB OF GODの前進バンドの名前で、1999年にセルフタイトルのアルバムを1枚リリースしております(メンバーも5人中4人が一緒で、ウィリー・アドラーが加入して現在のLAMB OF GODとしての活動がスタート)。今回のカバーアルバム『LEGION: XX』は現LAMB OF GODのメンバー5人で制作しているので、まあ早い話がLAMB OF GODのニューアルバムですね。

カバーの内訳は下記のとおり。


01. Inherit The Earth [THE ACCÜSED]
02. Honey Bucket [MELVINS]
03. Kerosene [BIG BLACK]
04. Kill Yourself [S.O.D.]
05. I Against I [BAD BRAINS]
06. Axis Rot [SLIANG LAOS]
07. Jesus Built My Hotrod [MINISTRY]
08. One Voice [AGNOSTIC FRONT]
09. Dine Alone [QUICKSAND]
10. We Gotta Know [CRO-MAGS]


基本的にはハードコア/クロスオーバー系のバンド中。なので大半の楽曲が2〜3分台とシンプルなショートチューンばかりで、トータルランニングも38分と非常に聴きやすい長さです。どのバンドもLAMB OF GODに大きな影響を与えたルーツとなる存在ばかりで、そういった意味で初期のバンド名を使ったのかもしれません。まあ、お遊びですよね。そこも踏まえて楽しみたい1枚です。

サウンド的には完全にLAMB OF GODのそれで、基本的には原曲のイメージを大切にしつつカバーしています。しかし、中にはBIG BLACKの「Kerosene」をよりキャッチーなアレンジでカバーしていたり、MINISTRYの代表曲「Jesus Built My Hotrod」を完全なマンアレンジで再構築するなど、ところどころにフックとなる好カバーが含まれています。ちなみに、この2曲が本作の中では長尺にあたるもので、両方とも6分超え。後者は原曲にないリズムアレンジを加えるなどして、オリジナルよりも長くなっています。

こういったカバーアルバムは、まずはひと通り聴いて楽しんでから、原曲を掘り起こしてその違いを楽しむ、そしてバンドのルーツがどこにあるのかその片鱗を探すことが楽しいと思うんです。なので、ぜひサブスクやYouTubeなどで原曲をチェックしてほしいなと。

あと、LAMB OF GODはヘヴィすぎて苦手という人にとっては、「あ、こういう側面もあるのね」と取っつきやすい内容になっているのではないかと。そこもカバーアルバムの醍醐味ですよね。とにかく、いろんな人に楽しんでほしい1枚です。



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投稿: 2018 06 22 12:00 午前 [2018年の作品, Burn The Priest, Lamb of God] | 固定リンク

2018年6月 8日 (金)

LAMB OF GOD『SACRAMENT』(2006)

アメリカ・ヴァーニジア州出身の5人組メタルバンド、LAMB OF GODが2006年8月にリリースした通算4作目のスタジオアルバム。前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めれば5枚目のオリジナルアルバムとなります。

前作『ASHES OF THE WAKE』(2004年)からEpic Recordsでのメジャー流通が始まり、その結果全米27位という大躍進を遂げたLAMB OF GOD。続く本作『SACRAMENT』では全米8位まで上昇し、前作同様に50万枚を超えるセールスを記録しました。しかも、本作リリース後の2006年10月には『LOUD PARK 06』での初来日も実現し、ここ日本での認知度も一気に増しました(僕は寝坊して見損ねました……)。

当時、アメリカのメタルシーンに新たなムーブメントが起こり始めており、マサチューセッツ出身のKILLSWITCH ENGAGESHADOWS FALLといったバンドたちのことを“MAメタル”なんてカテゴライズしたりして、新たな波=“New Wave Of American Heavy Metal”の代表格的存在としてLAMB OF GODは認知され始めていました。そこにきての全米8位ですから、いかに当時の彼らがシーンから求められていたかが伺える結果だと思います。

そのサウンドはヘヴィメタル……特に90年代、それこそPANTERA以降のモダンヘヴィネスやグルーヴメタルを軸に、スラッシュメタルやハードコアなどの要素を加えた、いかにも2000年代らしい硬質サウンドが確立されています。

楽曲の大半がミドルテンポ中心というのもPANTERA以降、あるいは90年代以降のSLAYERのノリだけど、そんな中にバランスよく含まれるスラッシー、時にハードコアなアップチューンは軽快さよりもヘヴィさに重点が置かれているためか、聴いていて“素速いんだけど、背中に重石を乗せられてるような”感覚が味わえます。どんな例えだよ。

かと思えば、「Forgotten (Lost Angels)」「Requiem」みたいな組曲があるんだから面白い。ギターのザクザク感はスラッシュメタル以降のそれだし、ランディ・ブライ(Vo)のボーカルもPANTERAやSLAYER、あるいはデスメタルからの影響を感じさせつつ、時折飛び込んでくるメロウなフレーズにグッとくる。このへんも先駆者たちへのリスペクトが感じられる。それもあってか、どんなにボーカルががなっていても1曲1曲はキャッチーなんですよね、不思議と。そこが中〜後期PANTERAとはちょっと違う点かも。そこがLAMB OF GODを“2000年代のアメリカを代表するピュアメタルバンド”、“PANTERA亡き後、アメリカを代表するヘヴィメタルバンド”と言われる所以かもしれません。

本作が気に入れば、これ以前にリリースされてアルバムも、これ以降にリリースされたアルバムも少なからず気に入るはず。まずは本作を入門編として手に取ってみてはどうでしょう。



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投稿: 2018 06 08 12:00 午前 [2006年の作品, Lamb of God] | 固定リンク