SAMMY HAGAR & THE CIRCLE『AT YOUR SERVICE』(2015)
2015年5月19日にリリースされたSAMMY HAGAR & THE CIRCLEのライブアルバム。日本盤未発売。
本作はサミー・ヘイガーの新バンド・THE CIRCLEを携えて開催された2014年のツアーから収録されたもの。バンドメンバーはサミー(Vo, G)のほか、VAN HALENやCHICKENFOOTでサミーと活動を共にしたマイケル・アンソニー(B, Cho)、VAN HALEN脱退以降のソロ活動におけるサミーの片腕ヴィック・ジョンソン(G)、そしてジョン・ボーナム(LED ZEPPELIN)の愛息ジェイソン・ボーナム(Dr)という国籍/世代を超えた布陣。
内容的にもMONTROSEからスタートしたサミーのキャリアを総括するようなセットリスト。70〜80年代のサミーのソロヒット、『5150』(1986年)や『OU812』(1988年)などサミー在籍時のVAN HALENのヒット曲、さらにはジェイソン絡みで「Good Times Bad Times」「Whole Lotta Love」「Rock And Roll」などLED ZEPPLEINの代表曲を含む、非常に豪華な選曲となっています。
ソロやVAN HALEN在籍時初期にも「Rock And Roll」をカバーしていたこともあり、サミーの歌うZEPナンバーの安定感は抜群。もちろん、あの頃から30年経ち加齢もあって声域も狭まりつつありますが(この時点で60代後半ですからね……汗)、それでもほかのシンガーには真似できない迫力は圧巻の一言。さらに、ヴィックのそつなく、どんなタイプの曲にも対応するギタープレイと、実父にも負けず劣らずの厚みとパワフルさで迫るジェイソンのドラミングもあり、ZEPナンバーとVAN HALENの名曲が並んでも違和感なく楽しめる。
これだけのパワープレイヤーが揃っているわけですから、当然各パートのソロコーナーも用意されています。マイケルはVAN HALEN時代を彷彿とさせるベースソロを、ヴィックは1分半程度に収められたフラッシーなソロをフィーチャー。ジェイソンに関してはZEPのインスト曲「Moby Dick」に絡めてソロを披露しています。なるほど、その手があったか。
この頃はまだご健在だったエディ・ヴァン・ヘイレンに敬意を表したヴィックのギタープレイは、個人的にはかなり好印象。「Best Of Both Worlds」でのトーンコントロールは本家には及ばないものの、必死に再現しよう(かつ、そこに自身の個性を加えよう)とする直向きさが感じら得ます。
にしても、やっぱり「Poundcake」や「When It's Love」「Why Can't This Be Love」「Finish What Ya Started」「Right Now」、そしてラストにアコースティックで披露される「Dreams」と……二度とエディのプレイでは聴くことができない名曲の数々を、今のサミーのボーカルとマイケルのコーラス(&ベース)、そしてエディに対するリスペクトが込められたヴィックのギタープレイで楽しめるという意味では、本作はVAN HALEのファンはもちろん、アメリカンハードロックを愛するリスナーにも届いてほしい1枚(2枚組作品)ですね。
ちなみに本作、2015年12月には映像版ライブDVDも発売されています。すでに廃盤状態のようですが、どうやらリージョンフリーらしいので、見つけたら即購入してみてはどうでしょう。
▼SAMMY HAGAR & THE CIRCLE『AT YOUR SERVICE』
(amazon:海外盤CD / MP3)