カテゴリー「Lenny Kravitz」の7件の記事

2019年3月19日 (火)

DUFF McKAGAN『BELIEVE IN ME』(1993)

GUNS N' ROSESダフ・マッケイガン(B)が1993年9月(日本では同年10月)に発表した、現時点で唯一のソロアルバム。当時はガンズが『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)に伴うワールドツアーが終了したあとで、バンドとしての活動が一時的に休止していたタイミング。本作の2ヶ月後には、事前にレコーディングされていたカバーアルバム『THE SPAGHETTI INCIDENT?』(1993年)もリリースされています。

ガンズの在籍メンバーとしてはいち早くソロ活動に乗り出したダフ(元メンバーのイジー・ストラドリンは脱退後の1992年にアルバムを発表していますが、ガンズに所属したままでのソロ活動はこれが初)。このアルバムでダフはベースはもちろんのこと、リードボーカルやリズムギター、ドラム、ピアノなど大々的に挑戦。どこか“スリージーロック版レニー・クラヴィッツ”みたいなスタイルで、アルバム作りに臨んでいます。

曲によってはさまざまなゲストミュージシャンも多数参加。スラッシュ(G)やギルビー・クラーク(G)、ディジー・リード(Key)、マット・ソーラム(Dr)といった“アクセル・ローズ抜き”ガンズの面々に加え、ジェフ・ベック(G)やレニー・クラヴィッツ(Vo)、当時SKID ROWのメンバーだったセバスチャン・バック(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、ロブ・アフューソ(Dr)など、顔の広いダフらしい豪華な面々が華を添えています。

ダフ自身はガンズのアルバムやライブでも「So Fine」や「New Rose」「Attitude」などでその歌声を披露してきましたが、決して個性的で上手というタイプではない、雰囲気で聴かせる“ヘタウマ”タイプ。当然このアルバムでもそういったスタイルが全開で、ガンズのアルバムをパンク/オルタナ側に寄せたその作風に妙にフィットしています。スラッシュがリードギターを弾きまくるオープニング曲「Believe In Me」からして、そのカラー押しまくりですものね。

かと思えば、クラヴィネットを多用したファンキーな「(Fucked Up) Beyond Belief」があったり、オルガンやストリングスを被せたスローバラード「Could It Be U」があったりと、相変わらず器用さも提示している。なんて感心していると、1分半程度のタイトルまんまな疾走パンクチューン「Punk Rock Song」なんて曲もある。さすがダフ、我々の思い描くパブリックイメージを裏切りません。

さまざまなゲストミュージシャンのカラーも強く打ち出しながらも、それに消されることのないダフの個性。アルバムとしては決して完成度が高いとは言い難いラフな内容ですが、そこも含めて当時のガンズのメンバーが作ったソロアルバムという印象が強いかも。この春、久しぶりにソロライブを行うというダフ(※参照)、そのあとには本作以来となるソロ名義でのアルバムもリリース予定なんだとか。ガンズでの活動を経た今の彼がどんな作風のアルバムを作るのか、そしてどんなゲストが参加するのか、とても気になります。



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2019年2月12日 (火)

LENNY KRAVITZ『LET LOVE RULE』(1989)

こちらはデビュー時“ビートルズの再来”ではなく“ジョン・レノンの再来”と言われた、レニー・クラヴィッツのデビューアルバム(1989年9月発売)。リリース当初は全米61位、全英56位と大きなヒットにつながりませんでしたが、1990年にマドンナの「Justify My Love」をプロデュースしたことで一躍有名となり、続く2ndアルバム『MAMA SAID』(1991年)へと続いていくことになります。

僕も本作発売当時は音楽誌で名前を目にした程度で、音源を聴いたのはリリースから1年以上経ってから。たぶん「Let Love Rule」か「Mr. Cab Driver」をラジオで聴いたか、MTVでMVを目にしたかがきっかけだったと記憶しています(もはやどっちが先か覚えていませんが)。自分的にはそれほど衝撃的……類の音楽ではなかったものの、どこか引っかかるものがあり、レンタルショップに行ったんだけど置いておらず。結局WAVEだったかCISCOだったかでCDを購入したんだったかな(それすらもあやふや)。その程度の出会いだったんですよね、最初は。

もっとも、僕自身が彼に興味を持ち始めるのが次作『MAMA SAID』の「Always On The Run」を聴いて(いや、同曲のMVを観て)からなので……はい、GUNS N' ROSESスラッシュ(G)が参加していたからです。わかりやすいですね(笑)。なもんで、デビューアルバムの印象というのも本当に曖昧なもので、むしろ『MAMA SAID』でハマって以降聴き返してみて良さを知ったくらいなんです。

実際、派手さのないアルバムだと思います。宅録をベースに、要所要所でゲストを迎えるというスタイルはこのときからすでに始まっており、ストリングスや一部の分厚いコーラス以外はほぼ彼の演奏および声によるもの。ジミ・ヘンドリクスほどブルージーでもハードでもなく、ジョン・レノンほど思想が強くない。でも“ラヴ&ピース”の精神は至るところから感じ取れるし、何より楽曲が優れている。おそらく“スティーヴー・ワンダー以降、プリンス未満”ということなんでしょうけど、その“ちょうど良さ”がレニー・クラヴィッツの魅力であると同時に弱点でもあるのかなと。久しぶりにこのアルバムを聴き返して、そんなことを思ってしまいました。

あと、一時期「I Build This Garden For Us」を狂ったようにリピートしまくっていた時期があったな、ってことも急に思い出しました。何か因縁めいたものがあったんでしょうね、自分の中で。その理由すら思い出せませんが(苦笑)。

レニーにとっては重要な1枚なはずなんですけど、個人的には思ったよりもそこが伝わってこなかった残念なアルバム……というのは言い過ぎですが、思い入れはそれなりにありますよ。やっぱり初期3作は久しぶりに聴いても色褪せていないなと感じますし。うん、純粋に良いアルバムであることには違いありません。そこだけは保証します。



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2018年10月11日 (木)

MICK JAGGER『WANDERING SPIRIT』(1993)

1993年2月にリリースされた、ミック・ジャガーの3rdソロアルバム。1989年に発売されたTHE ROLLING STONESのアルバム『STEEL WHEELS』とそれに伴う大々的なワールドツアー、その模様を収めたライブアルバム『FLASHPOINT』(1991年)のリリースと、ストーンズに関する大仕事を終え、ひと段落したタイミングに制作されたのが、この5年半ぶりのソロアルバムでした。イギリスでは前作の26位を上回る12位、アメリカでは過去最高の11位にランクイン(50万枚以上の売り上げ)。「Sweet Thing」(全英24位、全米84位)、「Don't Tear Me Up」(全英86位)というシングルヒットも生まれています。

過去2作ではビル・ラズウェルやナイル・ロジャース、デイヴ・スチュワートといった旬のプロデューサーを迎えましたが、本作ではRED HOT CHILI PEPPERSなどでおなじみのリック・ルービンと初タッグ。すでにこの頃、リックはAC/DCの新作に着手したりと、オールドロック復興支援的な役割に不可欠な存在となっていました。もしかしたらミック、ここでのリックとのタッグがうまくいったら次のストーンズの新作も……なんてことも考えていたのかしら。

そして、過去2作との最大の違いはバンドサウンドに特化した作風だということ。前2作はジェフ・ベックを迎えつつも、バンド的な楽曲とダンサブルなポップソングをうまくミックスした作風でしたが、今回は曲によってゲストプレイヤーとしてレッチリのフリーやレニー・クラヴィッツが参加しつつも、ほぼ固定のバンドメンバーで制作。1988年のソロツアーに参加したジミー・リップ(G)がバンマス的な役割を果たしたのでしょうか、彼は本作を携えたソロライブにも参加しております。また、ストーンズの『STEEL WHEELS』や同ツアーに携わったマット・クリフォードもハープシーコードなどでその名前を見つけることができます。

まあとにかく、オープニングの「Wired All Night」からドライブ感あふれるロックンロールを聴かせてくれ、続く「Sweet Thing」ではブラックテイストの強いファンクチューン、「Out Of Focus」ではアメリカ南部風ロックでストーンズファンを楽しませてくれます。レニー・クラヴィッツとのデュエット「Use Me」(ビル・ウィザースのカバー)やジェームズ・ブラウンでおなじみの「Think」のファンクロックカバーなど、ストーンズでやるにはちょっと……と思われる楽曲もピックアップされているのが、いかにもソロっぽくて良いです。

「そうそう、こういうミックが聴きたかった!」と、80年代のストーンズファンならそう評価したことでしょう。しかし、この頃にはすでにストーンズは息を吹き返しており、本作の翌年1994年夏には早くも次作『VOODOO LOUNGE』を発表しているので、また本作の評価は変わってくるのかなと。とはいえ、その内容の良さにはまったく文句はありませんし、ミックのソロでここまでワクワクさせられたのも初めてのこと。今でも聴く頻度の多いお気に入りの1枚です。



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2018年9月30日 (日)

LENNY KRAVITZ『RAISE VIBRATION』(2018)

ここ数作、古巣のVirgin Recordsを離れ、アルバムごとに所属レーベルが変わっているレニー・クラヴィッツ。前作『STRUT』(2014年)はソニー系列からのリリースでしたが、4年ぶりの新作『RAISE VIBRATION』はBMG(ワーナー配給)からの発売となります。

通算11枚目のスタジオアルバムとなる本作は、レニー本人のプロデュースのもと、長年のコラボレーターであるクレイグ・ロス(G)&デヴィッド・バロン(Key)との共同作業の末完成。ロックンロール色が後退し、初期の作品からプンプン匂っていたファンク色が濃厚になった、異色の1枚となっています。

まるで賛美歌のような厳かさと力強いビートがミックスされた「We Can Get It All Together」から始まると、その後は「Low」「Who Really Are The Monsters?」とファンク攻め。特に前者にはマイケル・ジャクソンのような抜けの良さがあり、後者はプリンス的な密室ファンク的要素が感じられる。「マイケルもプリンスも亡き今、俺が引き継ぐ!」とは考えていないでしょうけど、なんとなくその覚悟が感じられる……と思ったのは僕だけでしょうか。

その後もファンクロック的粘っこさがカッコいい「Raise Vibration」があったかと思うと、セクシーなソウルバラード「Johnny Cash」、もの悲しげなピアノバラード「Here To Love」など、歌をしっかり聴かせる曲が続きます。

8分近くあるラテン調ファンクの大作「It's Enough!」や、ディスコロックという表現がぴったりな「5 More Days 'Til Summer」、ブラスの音が気持ちいいグルーヴィーなミディアムチューン「The Majesty Of Love」、中期ビートルズ的サイケデリック感の強い「Gold Dust」、アコギが印象的なミドルナンバー「Ride」、そしてラストを締めくくる密室系ソウルバラード「I’ll Always Be Inside Your Soul」で幕を降ろします(日本盤ボーナストラック「Low」デヴィッド・ゲッタ・リミックスは除く)。

さまざまな苦悩を経て到達した本作は、テーマ的にはデビュー作『LET LOVE RULE』(1989年)の頃に立ち返った1枚と言えるかもしれません。来年でデビュー30周年を迎えるタイミングだけに、そこを見つめ直したのはある意味では正解と言えるでしょう。そこに加え、ポリティカルな主張も忘れていない。音楽的には大きな成長が感じられるし、と同時に温故知新も忘れていない。原点回帰とはいえ、むしろあの頃と同じものではない。そこらへんから、ようやくレニーが真の意味で復活を果たしてくれたのでは……と感じているのですが、いかがでしょう?

2015年の来日公演が中止になり、過去にも同様の件があったことから「やっぱりな……」と残念に感じていましたが、ここらでひとつ本気の姿を日本でも見せてほしい。そう願っております。



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2018年4月28日 (土)

LENNY KRAVITZ『ARE YOU GONNA GO MY WAY』(1993)

あら、『自由への疾走』も今年で25周年ですか……意外と名盤が多いのね、1993年って。

ということで、今回紹介するのはレニー・クラヴィッツが1993年3月に発表した通算3枚目のオリジナルアルバム。前作『MAMA SAID』(1991年)からのシングル「It Ain't Over 'til It's Over」が全米2位を記録し、アルバムも全米で200万枚を超えるヒット作に。デビューアルバム『LET LOVE RULE』(1989年)時の“黒いジョン・レノン”なんていう(良くも悪くも)印象的なフレーズを払拭し、ようやくスターダムにのし上がり始めたタイミングに放たれた、決定打となった1枚がこの『ARE YOU GONNA GO MY WAY』でした。

前作にもスラッシュ(GUNS N' ROSES)をフィーチャーした「Always On The Run」のようなロックチューンはあったものの、あくまで“黒人によるハードロック”的な解釈が強かったように思いますが、本作では黒っぽさは残るものの、それ以上にインパクトの強いオールドスクールなロックが展開されています。

オープニングを飾る「Are You Gonna Go My Way」なんて完全にジミ・ヘンドリクスですし、そこから続く「Believe」でのメランコリックな世界観は中期LED ZEPPELINにも通ずるものがある。シンプルなリズムとリフのみで構成された「Come On And Love Me」はファンクロック、「Just Be A Woman」はビートルズチックなバラードと、とにかくクラシックロックの黄金パターンがこれでもか!と言わんばかりに詰め込まれているのです。

後半もLED ZEPPELINばりに豪快なハードロックをプリンスのごとくひたすらファルセットで歌う「Is There Any Love in Your Heart」や、ソウルフルなミディアムチューン「Black Girl」、前作における「It Ain't Over 'til It's Over」的なオシャレソウル、7分にもおよぶサイケデリックバラード「Sister」、緩やかなレゲエナンバー「Eleutheria」など、個性的な楽曲ばかり。聴いてるうちに過去の偉人たちの顔が思い浮かびますが、それらをすべてレニクラ流に消化して自分のものにした、いかにも“ヒップホップ以降”のロックアルバム。それがこのアルバムの強さなんじゃないでしょうか。

アメリカでは12位と過去最高順位に達し、200万枚以上を売り上げた。イギリスでは初の1位も獲得しており、ここ日本でもアホほど売れました。表題曲はこれまでさまざまなテレビCMに使用されてきたので、どれだけ売れたのかと思いきや、実はアメリカではBillboard Hot 100入りしていないという事実にびっくり(方やイギリスでは最高4位を記録)。アルバムのヒットに反して、シングルは「Believe」(全米60位、全英30位)、「Heaven Help」(全米80位、全英20位)と意外に低調なのも興味深いですね。



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2018年2月 1日 (木)

V.A.『KISS MY ASS: CLASSIC KISS REGROOVED』(1994)

1994年6月にリリースされた、KISSのトリビュートアルバム。ちょうどKISS結成20周年を記念して、当時のメンバーも制作に携わった1枚で、レニー・クラヴィッツガース・ブルックスANTHRAXGIN BLOSSOMSTOAD THE WET SPROCKETDINOSAUR JR.EXTREMETHE LEMONHEADSTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONESといったメタル/オルタナ/カントリーなどKISSに影響を受けた幅広いジャンルのアーティストに加え、ここ日本からもYOSHIKI(X JAPAN)が参加。さらに、メイナード・キーナン(TOOL)、トム・モレロ&ブラッド・ウィルク(RAGE AGAINST THE MACHINE)、ビリー・グールド(FAITH NO MORE)からなるスペシャルユニットSHANDI'S ADDICTION(JANE'S ADDICITONをKISSの楽曲「Shandi」にひっかけてもじったもの)まで参加しております。

まあKISS愛に溢れた……というよりは、各アーティストが平常運転でKISSの楽曲をカバーしたといったほうが正しいのかもしれませんね。だって、1曲目の「Deuce」からレニー・クラヴィッツ、直球勝負でカバーしつつも彼らしく味付けしてますから。ちなみにこの曲、ハーモニカでスティーヴィー・ワンダーもゲスト参加してます。

かと思えば、KISSご本家が演奏で加わったガース・ブルックス「Hard Luck Woman」は、カバーというよりもコピー。本家がいつもどおりに演奏して、ポール・スタンレーがハーモニーで加わっているんだから、そりゃあ“まんま”になっても仕方ないですよね(笑)。ANTHRAXの「She」も平常運転、というか途中まで“まんま”すぎて、後半に彼らならではのこだわりのアレンジが加わるという。この時期の彼らは、ボーカルがジョン・ブッシュ時代なので、こういったジーン・シモンズ色の強い曲はピッタリですね。

そういえば、1994年というとグランジブーム末期というタイミングで、KISSから影響を受けたと公言するグランジバンドも少なくありませんでした。そういうこともあって、GIN BLOSSOMS、TOAD THE WET SPROCKET、DINOSAUR JR.あたりのグランジ/オルタナロックバンドのKISSカバーは良い味を醸し出しています。GIN BLOSSOMS「Christine Sixteen」こそストレートなカバーですが、TOAD THE WET SPROCKET「Rock And Roll All Nite」のアコースティックスローカバー、DINOSAUR JR.「Goin' Blind」のヘヴィで泣きまくり、かつ脱力系なカバーは完璧すぎるほどの素晴らしい仕上がり。1994年という時代感を見事に反映した、本作の中でもベストテイクと言えるでしょう。

そして、本作中もっとも異色のカバーがSHANDI'S ADDICTION「Calling Dr. Love」。トム・モレロの変態ギターを存分に活かしたテイクで、参加メンバーの各バンドの個性が見事に反映されたアレンジは、最高の一言。のちのヘヴィロック/ラウドロック一大革命を先取った1曲と言えるかもしれません。

その他にも、EXTREMEらしくファンクロック的“ハネた”ミディアムナンバーへと昇華させた「Strutter」、あの有名なツインリードギターをブラスで再現した爆笑モノのTHE MIGHTY MIGHTY BOSSTONES「Detroit Rock City」、いかにもYOSHIKI、というかまんまX JAPANな「Black Diamond」のオーケストラバージョン、ボーナストラックとして追加されたドイツのバンドDIE ÄRZTEの「Unholy」ドイツ語カバー(途中でディスコな“あの曲”も飛び出したり)など、聴きどころ満載。トリビュートアルバムとしては、かなり力の入った1枚ではないでしょうか。そりゃまあ、アーティスト本人が尽力してるんだもんね。

ちなみに本作、今のようにKISSがメイク時代に戻る前の作品ながらも、全米19位まで上昇。50万枚を超えるヒット作となりました。今思えば、このへんの成功が数年後のオリメン&メイク復活の布石になったんでしょうね。

なお、本作はストリーミング配信はおろか、デジタル配信自体が行われておりません。勿体ないったらありゃしない。



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2003年11月20日 (木)

LENNY KRAVITZ『MAMA SAID』(1991)

レニー・クラヴィッツが'91年春に発表した、通算2作目となるアルバム「MAMA SAID」はいろんな意味で彼にとってのターニングポイントとなった1枚。ほぼ宅録に近い状態のままリリースされた'89年のファースト「LET LOVE RULE」でマニアックな音楽ファンを魅了し、このセカンドではとうとうセールス的にも成功を収めたわけですよ。本格的な大ブレイクとなると次作「ARE YOU GONNA GO MY WAY」ってことになりますが、この「MAMA SAID」は所謂「密室系」作品集としては最後となり、またその後の「バンド系拡散方向」へと移行する直前の、正にクロスポイントとなった作品でした。

基本的な音楽スタイルや制作過程はファーストの頃‥‥つまりデビュー前と殆ど変わっていないわけですが(逆にそれだけデビュー前からクオリティーが高い音楽を作っていたわけですよ)、やはり制作費だとか時間のかけ方等に余裕が持てるようになったのか、前作以上に精神的にゆったりとしたイメージを受けます。通常、セカンドアルバムってのはアーティストにとって鬼門となる作品で、1作目で話題をさらったり成功を収めてしまうと、2作目で苦労するなんて話を耳にします。ファーストアルバムはデビュー前の長期間に渡って練られてきた楽曲ばかり。これ以上のクオリティーとなる作品を短期間で制作せねばならないプレッシャー等、とにかく新人にとっては半端じゃないでしょうね。ところがレニーの場合、ファーストアルバム制作時と全く同じスタジオ/スタッフということもあり、成功云々は関係なしに制作を楽しんだのがアルバムの端々から伺えます。とにかくユルい。全体的にダウナーで緩い印象が強く、特にサイケ調の色合いが加わったことでよりダウナーなイメージを受けます。「黒いジョン・レノン」なんていう比喩がファーストリリース時によく囁かれましたが、そのイメージを更に増長させるようなサイケでアシッド風味の音像/サウンド。かと思えばカーティス・メイフィールドを彷彿させるムーディーな "It Ain't Over 'Til It's Over" という大ヒット曲もあるし、ジミ・ヘンドリクス 的ハードロック・チューン "Always On The Run" まである(この曲には当時GUNS N'ROSESのギタリストだったスラッシュが参加しています)。ロックでありポップでありファンクでありサイケである‥‥というと、どうしても同じ黒人アーティストであるプリンスを思い浮かべるわけですが、彼よりも浮世離れしていない点、あざといまでの「狙ってる感」が色濃く表れている点等が大きな違いでしょうか。同じ天才でも「天然」と「計算」の差は大きいなぁ、と。

最初に書いたように、このアルバムは基本的に宅録の延長であり、そこにゲストや外部からのインプット(如何にもレノン的な "All I Ever Wanted" ではその実子であるショーン・レノンと共作しているし、上記の "Always On The Run" もスラッシュとの共作)やゲストプレイヤーの参加が、彼にこれまでになかったような刺激を与えているのは明らか。またこの頃、彼はかのマドンナに "Justify My Love" という曲を書き下ろしているし、丁度同じ年の1月に勃発した湾岸戦争に対する抗議としてピーター・ガブリエルやシンディ・ローパー、オノ・ヨーコといったミュージシャン達と共にレノンの名曲 "Give Peace A Chance" をレコーディングしてるんですね。直接作品には影響はしなかったかもしれないけど、明らかに何らかの刺激にはなっただろうな、と。そういう意味でこの「MAMA SAID」は初期のレニーと、我々がよく知る「自由への疾走」以降のレニーとの架け橋となる作品だったんじゃないかな、と思うわけです。その後のLED ZEPPELINにも通ずるような直接的なハードロック路線はまだそれ程見られませんが(このセカンドにおける「ハードロック」は、あくまでブラックミュージックの範疇における「ハードロック」という意味合いが強いですよね。ファンク色も非常に強いし)、明らかにそっち方向にも進みつつあるのが、ファーストとの大きな違いでしょうね。それにこのアルバムを聴く限り、「オールドロックの再生」的な側面はそこまで強く感じられないし。リフ主体の楽曲も少ないし、やはり「ノリで曲を書く」というよりは「そこに座ってじっくりと曲を煮詰める」といったイメージの方が強いよなぁ、と。勿論、両方ともレニーの持ち味であるんですが、このアルバムと次作を比較すると本当にその振り幅が大きいんですよ、面白いくらいに。ま、だからこそこのセカンドがより光って見えるわけですが。

またレニーがこういう作品を作るなんてこと、ちょっと今は想像できませんが、こういうユルユルなレニーもまた味わってみたいものですね。個人的には一時期バイブル的なアルバムだったんですよね、これ。曲を書くという行為に対して、真剣に考えさせられたのがこの作品でした。忘れた頃に聴くと、やはり初心に戻してくれますね。今日もたまたま引っ張り出して聴いてみたんですが、さっきからずっとリピートしっぱなし。まだ聴いたことのないという若い音楽ファン、悪いこと言わないから聴いてみて。今巷に溢れてる「ロック」や「ポップス」の、ひとつの流れを作った作品なんだからさ。



▼LENNY KRAVITZ『MAMA SAID』
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