2006/05/22

DIRTY PRETTY THINGS『WATERLOO TO ANYWHERE』(2006)

 さて、続けてカール・バラーによる新バンド、DIRTY PRETTY THINGS。昨年暮れ、ピート・ドハーティのBABYSHAMBLESのアルバムがリリースされたのを見計らってからともいえるような時期に、オフィシャルサイトにてアルバムに収録予定だった(後にシングルとしてもリリースされた)"Bang Bang You're Dead" のPVが先行公開され話題に。いよいよTHE LIBERTINESの面々が、それぞれの道を歩み始めたなぁという印象を受けました。

 あれから約半年。とうとうリリースされたDPTのデビューアルバム「WATERLOO TO ANYWHERE」。ピート抜きのTHE LIBERTINESという表現もピッタリといえるメンバー(ドラムのゲイリーは元メンバーだし、ギターのアンソニーもピート抜き時代にTHE LIBERTINESのツアーにサポートメンバーとして参加)に、カールの新たな相棒といえるディス・ハモンド(元THE COOPER TEMPLE CLAUSE)を迎えて新たな出発をするこのバンド。BABYSHAMBLESとの比較は避けて通れないだろうし、実際に俺みたいな意地悪な見方をするファンもいるだろうから、この先には茨の道が待ち受けてるとも言えるでしょうね。でも、大丈夫だ、このバンドは。サウンドを聴いて安心した。良くも悪くも、THE LIBERTINESなんだもん。

 音楽性云々よりも、その精神性を引き継いだBABYSHAMBLES。そして音楽性そのものを引き継いだDPT‥‥そう言い切ったら、ちょっと乱暴すぎるかな? でも、俺にはそう感じられました。

 元THE CLASHのミック・ジョーンズを三度迎えて制作されたBABYSHAMBLESのアルバムと違い、DPTは新たにデイヴ・サーディ(レッチリやSLAYER、最近じゃOASISやJETなんかも手がけてる)とトニー・ドゥーガン(ベルセバとかMOGWAI辺りが有名)という名プロデューサーを迎え、リリースも「Rough Trade」ではなくメジャーの「Vertigo(Universal傘下)」から。結果、デビュー曲 "Bang Bang You're Dead" は全英チャートで5位、アルバムも初登場3位を記録したわけです。元THE LIBERTINESという話題性と、メジャーレーベルによる広告力と、そしてこの数年で培った実力が生み出した結果だと、俺は確信してます。

 確かに、ここには意外性も初期衝動も薄い。そういうのを求めるファンはBABYSHAMBLSを聴けばいい。乱暴な言い方だけど、俺が求めるTHE LIBERTINESはこっちだったんだな、と音を聴いて実感できたという意味では、この2組の音を同時に聴けたのはラッキーだったね。

 でも‥‥改めて言うけど、これはTHE LIBERTINESではない。と同時に、BABYSHAMBLESもTHE LIBERTINESではない。当たり前だけど、どっちもTHE LIBERTINESとは別のバンド。それを冷静に受け入れられるようになるまでには、もうちょっと時間がかかりそうだけどね。



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投稿: 2006 05 22 01:00 午前 [2006年の作品, Dirty Pretty Things, Libertines, The] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/05/21

BABYSHAMBLES『DOWN IN ALBION』(2005)

 正直、THE LIBERTINESって何だったんだろう?って考える瞬間があってね。いつぞやのサマソニ(2002年だっけ?)で伝説となるようなライヴをやって、その年の末にリリースした1stアルバムがいろんなところで話題になって、まぁこの俺もリリースから遅れをとるものの、案の定やられちゃうわけで。2003年・2004年と続けてフジロックに出演するものの、肝心のピート・ドハーティを欠く形での来日。だから俺にとってのTHE LIBERTINESっていうのは、カール・バラーのバンドっていう印象が強くて。いや、それが正解だと思わないよ。でも、俺はピートを生で観ていないし、伝わってくる情報が全部「逮捕」と「麻薬」と「バンドメンバーに対する悪態」ばかりだから‥‥第三者としては面白い存在と思ってるけど、音楽の対象としては正直そこまでの興味がない、というのが本音。THE LIBERTINESでどんだけ良い曲を書いてきても、結局書いただけで終わってるし。少なくともここ日本にいるファンにとっては、ね。

 そんなピートがバンド離脱中に結成したのが、BABYSHAMBLESというバンド。正直、最初はこんなに続くと思ってなくて。「Rough Trade」のコンピ盤やシングルのリリースと続いても、実は全然チェックしてなかったのね。で、昨年の暮れにとうとうアルバムまでリリース。これもリリースされてからもしばらくは聴こうなんて思わなかった。先日、片割れのカールが同じくバンドのドラマーだったゲイリーと共にDIRTY PRETTY THINGSという新バンドでデビューアルバムをリリースしたのを機に、ようやく手にしたくらいだから。要するに‥‥片方の意見(=出す音)だけで判断したくなかったんだよね、THE LIBERTINESの本質ってものを。

 なんてカッコつけてみたものの、本音は単に怖かっただけ。THE LIBERTINESより良かったらどうしよう、っていう。少なくとも‥‥ピートのいないバンドのライヴを観て、ほんのちょっとでもカッコいいと思ってしまった身としてね。

 ピートのソロユニットというよりは、まぁかろうじてバンドとして成立してるイメージのサウンド。ヨレヨレのピートのボーカルが、悲痛な悲鳴をあげる‥‥っていうか、本当に聴いていて痛々しいというのが正直な感想。勿論というか、THE LIBERTINESのような疾走感も、直接的な攻撃性も感じられない。速い曲はあっても、何か違う。歌詞からはいろいろなものを感じ取ることはできるけど、サウンドだけだと‥‥これが今、鳴らされる必要があったのかな?と。ピートにとって、これを今鳴らす必要性は多いに感じられるんだけどね‥‥

 このアルバムって結局は、カールに向けられてるんだろうな。そう思わざるを得ないっつーか。良い曲もあるし、冷静な判断を持って聴けば、きっとそれなりに響くロックンロールアルバムなんだろうけどね。ピートとカール間の、音による往復書簡なんだろうな、BABYSHAMBLESとDIRTY PRETTY THINGSのアルバムって。ま、これから後者のアルバムを聴くわけですが‥‥



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投稿: 2006 05 21 11:03 午後 [2005年の作品, Babyshambles, Libertines, The] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/10/07

THE LIBERTINES『UP THE BRACKET』(2002)

何故俺がTHE STROKESよりもこのTHE LIBERTINESに惹かれるのか。理由は明確なのね。自分にとって「何がリアルなのか、どこにリアルさを感じられるか」といった命題にハッキリとした答えを提示してくれるのがLIBERTINESだったわけ。俺からすればSTROKESは優等生過ぎるっつうか。いいバンドではあるんだけど、正直「リアル」じゃないのね、俺にとって。

と、ここまで読んで「そもそも出身国も育ちも音楽性も違うふたつのバンドを比べること自体、間違ってんじゃねぇの?」と突っ込む人が多数現れそうだけど。あとSTROKESがちょっと不利なのは、俺がまだ彼らのライヴを生で観ていないという点。こればっかりはねぇ‥‥いずれフェス等で観る機会があると思うんだけど。その時に改めてふたつのバンドを評価してみてもいいかな。ま、今回のはちょっと乱暴だけど、自分の立ち位置を明確にするためにこういう書き方をしてみました。

LIBERTINES、イギリスでも話題らしいですね。勿論「何を今更‥‥」なのは判ってるんですが、俺ここ最近の洋楽ニュースに疎かったからさ。だってつい最近までLIBERTINESのメンバーの顔なんて知らなかったし(だからフジロックにピーター・ドハーティが来てなくても全然気づかなかった程だし)、音には興味はあってもメンバー構成とかその生い立ちにまで興味が持てなかったのね。でもさ、ここ数ヶ月‥‥トップの方で洋楽ニュースを追ってるでしょ。そこで改めて最近のLIBERTINESの動向を把握できたわけ。んで、知れば知るほど面白いなぁと。

勿論、この手のバンドはそれこそOASIS、MANIC STREET PREACHERS、もっと遡ればSEX PISTOLSだってLED ZEPPELINだってROLLING STONESだってBEATLESだっていたわけで決して新鮮とか目新しさそういったものに惹かれたわけじゃないんですけど‥‥やっぱりね、そういうサイドストーリーが魅力的なバンドって、当然ながらサウンドの方も魅力的なわけじゃない? そういうの(楽曲の良さ)が前提としてあるから、更に素行不良で捕まったりとかするとみんな喜ぶわけじゃない、「ロックだ‥‥かっけーっ!」って(んなこたぁないか)。

というわけで、やっと本題。このアルバム「UP THE BRACKET」はここ日本でも昨年末にリリースされたファーストアルバム。来日自体は昨夏のサマーソニックで先行していて、そこでのステージを観た人が衝撃を受けたってことで、更に口コミ(あるいは雑誌経由)で話題になったようだけど。そういった初期衝動性も勿論魅力的なんだけど、やっぱり俺が惹かれた最大の魅力は楽曲の良さなわけで。プロデューサーがミック・ジョーンズってことでTHE CLASHと比較される運命にあるんだろうけど、そういった直系にあるパンクロックだけでなく、パブロックだったりモッズだったりアシッドフォークだったりインディーギターロックだったり‥‥「1977」以降のブリティッシュ・ロックを現代の視点で描いたかのような楽曲ばかりなのね。例えば上に挙げたようなバンド‥‥MANICSやZEPやSTONES、BEATLESは同じようにひとつのスタイルに固執することなく、いろんな要素を取り入れ、自身の引き出しを増やしていったわけ。そりゃね、まだアルバム1枚しか発表してない、しかも今やメンバー分裂は必至な状態なバンドをそういった偉大な先人達と比較すること自体間違ってるのかもしれないけど、俺にそう言わせてしまうだけのパワーと魅力を持ったアルバムだったわけよ、このファーストアルバムは。

そう、だからこそSTROKESとは対極にいるバンドなのかもしれないよね。STROKESは優等生っぽいんだけど、もっと不器用なイメージがあるし。何となくだけどSTROKESはこのまま大きな路線変更はせずに突き進んでいく感じだけど、LIBERTINESは‥‥もし「この先」があるなら、このファーストとはちょっと作風の違ったアルバムをリリースするんじゃないかな、という気がするのね。いや「気がする」だけなんだけどさ。

まぁ何はともあれ、良いアルバムには違いないんだからさ。もしまだ聴いてないようだったら、これを機に聴いてみては如何でしょうか? もし今後、このバンドが最悪の決断を下した後で「あーライヴ1回も観れなかったよー」とか「バンド存続時に出逢えてたらなぁ‥‥」って思っても後の祭りですからね。そういう俺も、ピーターを含む編成でのライヴは1度も観れてないわけですが‥‥



▼THE LIBERTINES『UP THE BRACKET』
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投稿: 2003 10 07 03:33 午前 [2002年の作品, Libertines, The] | 固定リンク