LIMP BIZKIT: STILL SUCKS JAPAN TOUR 2023@東京ガーデンシアター(2023年11月20日)
なぜ2023年にLIMP BIZKITのライブに行こうと思ったんだろう。最後に観たのは1999年夏のフジロック。2ndアルバム『SIGNIFICANT OTHER』(1999年)が発売され、全米No.1を獲得した直後の来日で、バンドとしもっともノリにノッたタイミング。あれから24年も経過した今、自分は何を確認したかったんだろう。
もちろん、ゲストアクトに花冷え。が決定したからというのも大きかったし、今のリンプが東京ガーデンシアターのような大会場をどれだけ埋められるのかにも興味があった。あとは……ニューメタルが2023年という時代にどれだけの威力を持つのかも確認したかったんだろうな。過去を懐かしむという懐古的な気持ちではなく、あくまで前向きな気持ちで現在のリンプと向き合いたかったんだと思います。
2階席の比較的前方、しかもど真ん中という良席で、まずは花冷え。の出番を待ちました。『NEX_FEST』以来、約3週間ぶりのライブ拝見でしたが、この日は彼女たちにとって過去最大規模のステージとのこと。リンプのステージセット前方にセッティングと、条件は決して良いとは言えない。実際、ステージに立ったメンバーも序盤は緊張した面持ちでしたが、曲を重ねるごとにフロアのリアクションも良くなっていったように見えました。むしろ、リンプ目当ての国内のお客さんより、海外のお客さんのほうが好リアクションだったような。しっかりサークルピットまで作って暴れてましたしね。
もともと音響面も良好なガーデンシアターですが、この日もドラムの抜けが非常に気持ちよく、メンバー1人ひとりのパートの聴き分けもしっかりできた。あとは、こうした大会場でのステージに慣れて、どんな場面で自分たちのモノにしてしまうだけの説得力を手に入れたら、怖いものなしなんじゃないかな。
セットリスト
01. 超次元ギャラクシー
02. 我甘党
03. 令和マッチング世代
04. NEET GAME
05. TOUSOU
06. 今年こそギャル~初夏ver.~
07. お先に失礼します。
約30分のオープニングアクトを終え、ステージ後方の暗幕が外されると……見覚えのあるステージセットが。あれ、うん十年前に映像で観たセットとそんなに変わってない?(笑) メンバー、特にフレッド・ダースト(Vo)の見た目はだいぶ変わってしまったけど、それ以外は基本的に“あの頃”のままでした。
随所にDJリーサルのプレイによるインタールードを挟みつつ(相変わらず選曲がめちゃくちゃで最高。あと、BLUR「Song 2」で会場がひとつになるあたりに来場者の年齢層を実感)、ライブは最新作『STILL SUCKS』(2021年)の楽曲中心……と思いきや、全体的にメガヒット作『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』(2000年)収録曲が中心のセトリ。いろいろ安心した(笑)。
フレッドのボーカル含め、メンバーの技術やパフォーマンス力に関してはまったく衰えは感じられないから、新曲だろうが何だろうが気持ちよく踊れる。METALLICA「Master Of Puppets」を挿入するお遊びもしっかり用意されているあたりも、“あの頃”と変わらず。にしても、ウェス・ボーランド(G)のルックス、今回は何がモチーフなんだろう……スクリーンとかないので、さすがに細かなところまでは確認できず。
にしても、『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』ってそれ以前の『THREE DOLLAR BILL, Y'ALL$』(1997年)や『SIGNIFICANT OTHER』ほど夢中になって聴き込んだ記憶がないんだけど、不思議と体に染み込んでいた事実にこの日気付かされました。いわゆる代表曲はMVが制作された楽曲以外も、イントロが鳴れば体が自然と反応する。で、要所要所でシンガロングしている。しかも、それらの楽曲にまったく古臭さが感じられないだから……そうか、自分はこれを確認したかったんだ。“あの頃”のニューメタルは今も有効なんだって。
そういえばライブ後半、「Boiler」のあとだったと思うけど、フレッドがウェスに話しかける一幕があり、そこで用意していたギターを別のものに持ち替えたんだよね。あ、フロアの雰囲気を読み取ってセトリ変えてるんだ……なんて気楽に構えてたら、そのあとにウェスがプレイし始めたのが「Faith」。やると思わなかったので、大興奮ですわ。さらに、1stアルバムからの「Counterfeit」「Pollution」メドレーを経て、みんな大好き「Take A Look Around」。最後にダメ押しの「Break Stuff」で、客電を付けた状態でフロアはモッシュの嵐。ラストにDJリーサルがSIMPLE MINDS「Don't You (Forget About Me)」を流して、約80分というコンパクト、だけど程よい尺のワンマンライブは終了したのでした。
始まる前はここまで大満足するとは思ってもみなかったし、自分はこんなにもリンプが好きだったんだなとも気づいていなかった。そういった意味でも、収穫の多い一夜でした。ひとつだけ苦言を呈するとしたら、大好きな「Nookie」を途中で切り上げて「Full Nelson」へと移行したこと。フルで聴かせてよ(苦笑)。
ちなみに、翌日の豊洲PIT公演はこの日とはまったく異なるセトリだったようで、RAGE AGAINST THE MACHINE「Killing In The Name」のカバーまで飛び出したんだとか。観たかった……。
セットリスト
〜Space Odyssey〜
01. Out of Style
02. Dirty Rotten Bizkit / Master Of Puppets
03. Hot Dog
〜Snacky Poo〜
04. Rollin' (Air Raid Vehicle)
〜Rawhide〜
05. Dad Vibes
06. My Generation
07. Livin' It Up
〜Song 2 / Hip Hop Hooray〜
08. My Way
〜Check Out My Melody〜
09. Nookie
10. Full Nelson
11. Boiler
12. Faith
13. Counterfeit / Pollution
14. Take A Look Around
15. Break Stuff
〜Don't You (Forget About Me)〜