カテゴリー「Linkin Park」の14件の記事

2019年1月23日 (水)

POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』(1999)

POWERMAN 5000が1999年7月に発表した、メジャー2作目のオリジナルアルバム(通算3作目。といっても、1997年のメジャー1作目『MEGA!!! KUNG FU RADIO』は、1995年にインディーズから発表した『THE BLOOD-SPLAT RATING SYSTEM』に曲追加&曲順変更したものなので、今作は事実上の2ndアルバムなのですが)。

フロントマンのスパイダー・ワン(Vo)がロブ・ゾンビの実弟であることでおなじみのこのバンド。初期はファンクメタル、ラップメタル的スタイルでしたが、この『TONIGHT THE STARS REVOLT!』で“らしさ”を確立したといっても過言ではないでしょう。リードトラックとしてMVも制作された「When Worlds Collide」のヒットもあり、アルバムは全米29位まで上昇。セールスも100万枚を超え、彼らの代表作となりました。

打ち込みを同期させた適度なインダストリアルサウンドと、当時主流になり始めたニューメタルサウンドが融合した彼らのスタイルは、ROB ZOMBIEのそれにかなり似たものがあるものの、かといってまったく一緒というわけではない。POWERMAN 5000のほうがラップメタル的なボーカルスタイルやバンドアレンジが強めなこともあって、うまく差別化ができていたのかなと思います。

とにかく、「When Worlds Collide」の完成度が尋常じゃない。こりゃウケるわ……って今聴いて思うぐらいに、本作の中でも飛び抜けている。このキャッチーさ、何者にも変えがたいですよね。

かと思えば、「Blast Off To Nowhere」のハードコアとサイケデリックをミックスしたモダンなテイストの楽曲もある。この曲、ロブ・ゾンビがゲスト参加しており、らしいシャウトを聴かせてくれます。そのほかにも、THE CARSのカバー「Good Time Roll」にはLIMP BIZKITのDJリーサルがスクラッチで、「Watch The Sky For Me」には当時MARILYN MANSONのドラマーだったジンジャー・フィッシュがピアノでそれぞれ参加。さらに、アメリカの俳優マラキ・スローンは「An Eye Is Upon You」と「Watch The Sky For Me」でナレーションを聞かせてくれます。無駄に豪華だな。

実は本作、プログラミングおよびミックスでスコット・ハンフリーが参加しているんですよね。スコットといえば、WHITE ZOMBIEやROB ZOMBIEでバンドの良き理解者として手腕を発揮しているアーティスト/エンジニア。このへん含め、周りが本気でこのバンドを売ろうとしているのが伺えます。実際売れてよかったね。

……なんて書いてきたけど、実はこのバンドに対しては本気で「When Worlds Collide」のイメージしかなくて。アルバムも20年ぶりに聴き返したけど、初めて聴くような錯覚に陥ったほど。それくらい印象が薄かったんですよ、ハハハ……。

けど、このバンドの場合、ここで個性が固まったと思ったのに、これ以降毎回そのスタイルを変化させるのがいけなかった。次作『ANYONE FOR DOOMSDAY?』(2001年)なんて、チャートインすらしなかったからね。実兄の幻影を追わず、どんどん新しいことにトライしていく姿勢はよかったんだけど。



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2018年9月22日 (土)

SANTANA『GUITAR HEAVEN: THE GREATEST GUITAR CLASSICS OF ALL TIME』(2010)

2010年9月にリリースされた、SANTANA通算20枚目のスタジオアルバム。全米2位を記録した前作『ALL THAT I AM』(2005年)から5年ぶりの新作は、全曲60〜90年代のロッククラシックスのカバーで占められた意欲作。もちろん、メガヒットした『SUPERNATURAL』(1999年)以降の作品同様に、全曲異なるボーカリストがフィーチャーされた豪華なカバー集となっています。

その組み合わせも興味深いところで、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)とLED ZEPPELIN「Whole Lotta Love」をコラボしたかと思えば、もはやおなじみのロブ・トーマス(MATCHBOX TWENTY)とはCREAM「Sunshine Of Your Love」で再共演。かと思うと、ラッパーのNASとAC/DC「Back In Black」で異色共演を果たしたり、ビートルズ「While My Guitar Gently Weeps」ではインディア・アリー(本作唯一の女性ボーカル)の歌声とヨーヨー・マのチェロとコラボ。もう無茶苦茶なわけですよ。

選曲もカルロス・サンタナが気に入ったものというより、アメリカで人気のロッククラシックスといった印象が強く、DEF LEPPARD「Photograph」(クリス・ドートリーが熱唱)やVAN HALEN「Dance The Night Away」(TRAINのパトリックが担当)あたりは確実に別の思惑が働いている気がする(笑)。

かと思うと、ストーンズが「Can't You Hear The Knocking」(スコット・ウェイランドがいい味出してる!)だったりTHE DOORSが「Riders On The Storm」(LINKIN PARKのチェスター・ベニントンと本家レイ・マンザレクが参加)だったりと、ちゃんとこだわりも感じられるから本当に不思議。

もちろんDEEP PURPLE「Smoke On The Water」(PAPA ROACHのジャコビー)やT. REX「Bang A Gong (Get It On)」(BUSHのギャヴィン)、ジミヘン「Little Wings」(ジョー・コッカー御大!)といったスタンダードも忘れてない。

デラックスエディションのみ、CCR「Fortunate Son」(CREEDのスコット)とレッチリ「Under The Bridge」(SANTANAのバンドメンバー)が追加されているんですが、日本盤は「Under The Bridge」の代わりにベンジー(浅井健一)が歌うZZ TOP「La Grange」が収録されています。いかにも日本仕様といったボートラですが、これもなかなかの出来なので機会があったらチェックしてみてください。

全体的にサンタナらしいラテンアレンジが加えられており、それがどの曲においても良いフレイバーになっているから不思議。もちろん、そんなアレンジに合いそうな曲を選んでいるんでしょうけど、ツェッペリンにしろストーンズにしろドアーズにしろ、これがオリジナルなんじゃないかと錯覚してしまうほどの出来栄え。原曲レイプで終わらず、しっかりサンタナらしいプレイ(=個性)が加えられているので、彼のファン以外でもちゃんと楽しめるはず。まあ、遊びとしては最高に贅沢ですわな。



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2017年12月31日 (日)

2017年総括(1):洋楽アルバム編

2017年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2017年気になったアイドルソング10曲(次点なし)、そして今年印象に残ったライブ5本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

・Björk『UTOPIA』(amazon)(レビューはこちら

・CIGARETTES AFTER SEX『CIGARETTES AFTER SEX』(amazon

・CONVERGE『THE DUSK IN US』(amazon)(レビューはこちら

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LINKIN PARK『ONE MORE LIGHT LIVE』(2017)

LINKIN PARKが5月リリースの最新アルバ『ONE MORE LIGHT』を携えて行ったヨーロッパツアーから、オランダ・アムステルダム、ポーランド・クラクフ、ドイツ・ベルリン、イギリス・ロンドン&バーミンガムでのライブ音源をコンパイルした作品。彼らはこの夏に北米ツアーを行い(その一部公演ではONE OK ROCKがゲスト出演する予定だった)、そのまま11月には久しぶりの単独公演(こちらもゲストにワンオク参加予定だった)を実施するはずでした。

『ONE MORE LIGHT』は彼ら最大の武器であった“ヘヴィさ”を極限までそぎ落とし、“モダンなポップサウンド”を積極的に取り入れた実験作でした。もちろん、チェスター・ベニントンがあの声で歌えばそれがLINKIN PARKの楽曲になるのは当たり前の話で、どんなにポップになろうが聴けばそれがLINKIN PARKなのはすぐに理解できました。だからこそ、従来のファンはその違和感に対して反射的に「NO!」を突きつけたのかもしれません。

ツアーが始まる前、マイク・シノダは「LINKIN PARKはアルバムによってサウンドが変化していて、前作も新作とはまったく違うサウンドだったし、その前の作品も、その前も、違うサウンドだった。だから全時代のLINKIN PARKのサウンドをひとつのセットリストに織り交ぜるのは挑戦でもあるし、楽しいことでもある。「One Step Closer」のような昔の曲も、「Heavy」のような最新曲も、ひとつのショウですべてプレイするんだからね」との発言をオフィシャルインタビューで残しています。だからこそ、僕はこの新作を携えたツアーが本当に楽しみでしたし、普段はフェスでしか観ない彼らを初めて単独ツアーで観ようと思ったくらいでしたから。

このライブアルバムは68分程度にまとめられたもので、実際のフルライブから10曲程度間引いたもの。その内容は全16曲中『ONE MORE LIGHT』から8曲と、新作を生でどのように表現しようとしたかが伺えるものとなっています。また、「One Step Closer」や「Papercut」「Faint」「Somewhere I Belong」など初期のヘヴィ系ナンバーや「The Catalyst」といったファストチューンはオミットし、「Crawling」のピアノバージョンといった新作に寄せたアレンジの楽曲を積極的に収録。とはいえ、「Burn It Down」や「New Divide」「What I've Done」「In The End」「Numb」などおなじみの楽曲も多数含まれているので、従来のファンも楽しめる内容といえるでしょう。

けど、あえて上記のような選曲にしたのは、改めて『ONE MORE LIGHT』とは何だったのか?をリスナーに考えてもらう、意識してもらうためだったとも言えるわけで、初期ヘヴィ系ナンバーを排除したことで全体のトーンにも統一感が生まれたわけで。つまり、チェスター最後のツアーを完全版として残すことを選ばず、『ONE MORE LIGHT』の“その先”を見せようとしたのではないでしょうか。チェスター最後の置き土産の中にも、こういったバンドの意思がしっかり落とし込まれているところは、さすが先駆者だと思います。

にしても……これを聴いてしまうと、やっぱり生で体感したかったですよね、『ONE MORE LIGHT』ツアー。彼の死から5ヶ月ちょっと経ちましたが……改めて、ご冥福をお祈りしたいと思います。



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2017年7月22日 (土)

DEAD BY SUNRISE『OUT OF ASHES』(2009)

LINKIN PARKのチェスター・ベニントン(Vo)が現地時間7月20日朝、ロサンゼルスの自宅で亡くなっているところを発見されました。自殺だったとのことです(詳細はこちら)。LINKIN PARKは来週から新作『ONE MORE LIGHT』を携えた北米ツアーも控えており、そのうちの数ヶ所には11月の来日公演で共演するONE OK ROCKがゲスト出演する予定でした。

11月の来日公演には僕も足を運ぶ予定だったので、ぶっちゃけ驚きを隠しきません。いや、ショックといったほうが正しいか。深夜にこの報せを受け、そのまま眠れずに朝を迎えてしまったのですから。

ふとLINKIN PARKの音源を手にとってみようとしたら、しばらく聴いていなかったこのアルバムが目に入りました。そういえば、これはまだ取り上げてなかったな……今日はチェスターのソロプロジェクト・DEAD BY SUNRISE唯一のアルバム『OUT OF ASHES』(2009年)を紹介することにします。

このプロジェクトは2005年頃に立ち上げられ、LINKIN PARKの3rdアルバム『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)のレコーディング開始前にこの『OUT OF ASHES』を制作したとのこと。プロデューサーにハワード・ベンソン、制作パートナーに元ORGYのギタリスト2人、ライアン・シャックとアミア・デラクを迎え本作を完成させました。作風的になんとなく『MINUTES TO MIDNIGHT』で聴けるストレートなサウンドは、すでにこのDEAD BY SUNRISEを立ち上げた時点から決まっていたのですね。

とはいえ、LINKIN PARKとDEAD BY SUNRISEはボーカリストとソングライター(の一部)が一緒というだけで、バンドとしては別モノ。特にこのDEAD BY SUNRISEはヒップホップ色皆無ですし、よりダークさが強まっている印象があります。ゴシック的なダークさではなく、90年代初頭のグランジあたりに蔓延していたダークさと言ったほうがわかりやすいでしょうか。

適度にプログラミングなどを導入していますが、基本的にはギターを軸にしたハードロック。本作でのチェスターは激しさよりも、歌をじっくり聴かせることに注力しているように感じられます。「Crawl Back In」でのグランジ的作風はLINKIN PARKにはないラフさがあるし(これがのちのSTONE TEMPLE PILOTS参加につながるとは、当時は思ってもみませんでしたが)、バラード調の「Give Me Your Name」で美しい歌声を聴かせたかと思えば、続く「My Suffering」や「Condemned」では初期LINKIN PARKを思わせるスクリームを響き渡らせる。「Inside Of Me」みたいにLINKIN PARK的な楽曲もあるけど、それ以上に耳に残るのは、「Let Down」や「Into You」、そして「In The Darkness」のようなムーディーな歌モノ。同じシンガーによる2つのバンドの比較は避けきれませんし、それによってファンは本作を「LINKIN PARKより劣る」と判断してしまうかもしれません。実際、自分もリリース当時はそう感じたんですから。

でも、久しぶりに聴いてみたら(チェスターの死を抜きにしても)しっかり楽しめる1枚になっていた。これってもしかしたら、LINKIN PARK自体の方向性が少しずつDEAD BY SUNRISEに歩み寄っていたのもあるのかも……なんていうのは、言い過ぎでしょうか?

結果的には1回こっきりのプロジェクトで終わってしまいましたが、この続きがもしあったのなら……いや、“たられば”はやめておきましょう。今は彼が残した数々の名作に浸ることにしましょう。



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2017年5月21日 (日)

LINKIN PARK『ONE MORE LIGHT』(2017)

LINKIN PARKの3年ぶり新作『ONE MORE LIGHT』リリースに先駆けて、本サイトでは1stアルバム『HYBRID THEORY』から前作『THE HUNTING PARTY』までの全6作品を紹介してきましたが、ようやく真打登場です。

リードトラック「Heavy feat. Kiiara」を筆頭に、新曲が公開されるたびに今まで以上に賛否を呼び集めたLINKIN PARK。もはやバンドという形態すら放棄してるし、聴く人が聴けば「流行・売れ線に走りやがって」と思うことでしょう。そういう方はこんな駄文など読むのをすぐ止めて、自分が正しいと思う音楽を今後も聴き続けることをオススメします。ぶっちゃけ、時間の無駄ですから。

「Heavy feat. Kiiara」自体「いい曲じゃん。何が悪いの?」と思っていた自分のような人間にとって……いや、そもそもLINKIN PARK=『HYBRID THEORY』みたいな強いこだわりや固定観念がない人間には、今回も前と違うことやってるのね、程度のリアクションしかなく、アルバムはどうなってるんだろうな〜と呑気に考えていたのですが。やっぱり叩かれますよね、特に今回は。だって、すでにロックですらないんですから。

過去のレビュー6本のまとめ的記事として、本作のリリース日にリアルサウンドさんのほうに下記のコラムを寄稿しました。この『ONE MORE LIGHT』に関しても、基本的にはそちらにすべて書かれているのであわせて読んでいただけるとありがたいです。

Linkin Parkがアップデートした“自身の理論” 新作『One More Light』をバンドの変遷から紐解く(リアルサウンド)

さて。じゃあここでは何を書こうかといいますと……当然のように、毎回試聴会に参加するときはメモを残すのですが、今回もそのメモを晒してみようかと思います。過去にはMETALLICAやMASTODONなどで試みてますね。はい、今回もまったく一緒です。

基本的にはリアルサウンドさんのコラムの中に完璧なレビューを書いたので、そちらで十分なんですけど、こちらは副読本的ポジションでいいのかなと。はい。

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2017年5月 7日 (日)

STONE TEMPLE PILOTS with CHESTER BENNINGTON『HIGH RISE』(2013)

LINKIN PARKのチェスター・ベニントンはバンド活動以外にも、さまざまな音楽ユニット/バンドに参加しています。例えば2009年にアルバム『OUT OF ASHES』を発表したバンドDEAD BY SUNRISE、そして2013年に加入したSTONE TEMPLE PILOTSあたりは有名かと思います(前者は最近のファンには身近ではないかもしれませんが)。

スコット・ウェイランドが脱退し、ボーカリスト不在となったストテンはチェスターをボーカルに迎え、新たに“STONE TEMPLE PILOTS with CHESTER BENNINGTON”名義で活動を続けていくことを発表。2013年春にはこの編成で初のオリジナル曲「Out Of Time」を配信し、秋には同曲を含む5曲入り『HIGH RISE』をCDリリースするのでした。

スコットが再加入して2010年に発表したアルバム『STONE TEMPLE PILOTS』は“いかにも”な作風で、古くからのファンを喜ばせてくれました。そこから3年後に制作されたこの『HIGH RISE』も、基本的には従来のストテンサウンドなんですが、そこにチェスターのボーカルが乗ることで若干の違和感が生じる結果に。スコットほどのアクの強さもないし、線も細いチェスターの歌声はこういうオーソドックスなロックには向いてないのではないか。一聴したときはそう思ったものでした。

しかし、何度か聴き返すうちに不思議と馴染んでくるんです。これはこれで悪くないかも、と。もともと楽曲自体は過去のストテンのアルバムに入っていても不思議じゃないナンバーばかりだし、チェスターが入ったからといって特に新しいことをやろうとしていない。「いや、むしろ俺たちはこれがやりたいんだ!」という従来のストテンメンバー3人からの強い意志が感じられる、“この先”へつなげるための重要な作品集なんですね。

バンド名の「with〜」表記からもわかるように、この編成は永遠ではない。実際、2015年秋にはチェスターはストテンからの離脱を発表。その1ヶ月後にはスコットも急逝しており、バンドは今も新ボーカリストを探している最中です。オーバードーズという形でこの世を去り、ロックシーンにその名を刻み込んだスコット。LINKIN PARKという世界的に大成功したバンドから少し離れて、大先輩たちの共演でアク抜きしてバンドへと戻っていったチェスター。そして地道に続けることを選んだストテン。どの生き方が正しいとか間違ってるとか言いがたいけど、今は再びSTONE TEMPLE PILOTSとしての新作を気長に待ちたいところです。



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2017年5月 6日 (土)

LINKIN PARK『THE HUNTING PARTY』(2014)

前作『LIVING THINGS』(2012年)はその前の『A THOUSAND SUNS』(2000年)から1年9ヶ月という最短期間で届けられたにも関わらず、過去4作を総括しつつも非常にコンパクトな作品を提示したLINKIN PARK。いわゆる“ニューメタル”時代(初期2作)を第1期とするならば、作品のたびに大きな変化を繰り返した3nd『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)から前作までの3作は第2期ということになるのでしょう。

では、続く第3期では何を聴かせてくれるのか。そんなワクワクと不安を抱えるファンのもとに、またもや2年という短いサイクルで届けられたのが通算6枚目のオリジナルアルバム『THE HUNTING PARTY』でした。

プロデューサーを手がけたのは、過去3作に携わったリック・ルービンではなく、メンバーのブラッド・デルソンとマイク・シノダ。いわゆるセルフプロデュースというやつですね。バンドがやろうとすることを客観視する人間がいなくなったことで、どんな独善的な作品が完成するのだろうと思ったら、なんとラウドロックに回帰したバンドサウンドが中心。見方によっては原点回帰と解釈することもできますが、ここで繰り広げられているのは初期のニューメタル、ラップメタルとは一線を画するもの。現代的なラウドロックではあるものの、メタルというよりはパンクに近いテイストが強まっています。

正直、『LIVING THINGS』発表後にスティーヴ・アオキとのコラボ曲「A Light That Never Comes」やリミックスアルバム『RECHARGED』(ともに2013年発売)でEDMやダンスミュージックへの急接近を図ったことから、続く6thアルバムはよりその色合いが強くなるのでは?と予想していたのですが、ここまで生々しくて“やりっぱなし”なロックアルバムを作るとは想像もできませんでした。

“やりっぱなし”の意ですが……過去の楽曲がどれも非常にコントロールされた、かなり作り込まれたものだったのに対して、今作で聴ける楽曲はどれも「スタジオでセッションしたものを、そのまま出した」ような印象が強いから。良く解釈すればバンドとしての躍動感をそのまま収めたと受け取れるし、悪く解釈すれば上記の“やりっぱなし”感を受け取ってしまう。これは聴き手が彼らに何を求めているかで二分すると思います。

つまり、僕は直近の2作をとても気に入っていたため、このタイミングでの変化に対して最初は好意的に受け取ることができなかった。リリースから3年近くたった今聴き返してもその印象は変わることなく、まもなく発表される7thアルバム『ONE MORE LIGHT』でのさらなる変化を考えると今作での中途半端な原点回帰は過渡期そのものだったんだなと思うわけです。バンドを次の10年につなげるために必要なアク抜きだったと。

そう解釈すると、本作に多数のゲストアーティストが参加していることも頷けるというか。ペイジ・ハミルトン(HELMET)、ラキム、ダロン・マラキアン(SYSTEM OF A DOWN)、トム・モレロ(RAGE AGAINST THE MACHINE)というLINKIN PARKよりも前に一時代を築いた人たちとのコラボで、次の一歩を導き出そうとしたのかもしれませんね。

聴く人が聴けば決して悪くない作品集だけど、過去にこだわるLINKIN PARKファンには中途半端なアルバムだった。今はそういうネガティブな感情を拭いきれませんが、『ONE MORE LIGHT』を経てさらに数作発表した後にこそ、この『THE HUNTING PARTY』は評価されるのではないか……むしろそうなってほしいと、ちょっとだけ希望を残して終わりたいと思います。



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2017年5月 5日 (金)

LINKIN PARK『LIVING THINGS』(2012)

バンドの歴史上もっとも大きな変化を遂げた4thアルバム『A THOUSAND SUNS』(2000年)は全米1位という結果を残したLINKIN PARK。過去最大の賛否を引き起こした同作から2年経たずして発表されたのが、続く5枚目のオリジナルアルバム『LIVING THINGS』です。1年9ヶ月というリリースサイクルはバンド史上最短で、バンドが変化を遂げたことで得た刺激がそのまま続く今作にも反映されています。

コンセプチュアルな作風で全15曲で47分という聴き応えのあった前作から一変、今作はノンコンセプトで全12曲37分というコンパクトさ。また1曲1曲も非常にコンパクトで、そのどれもが2〜3分台。このあたりは、2ndアルバム『METEORA』(2003年)にも通ずるものがあります。

また、作風的にも前作『A THOUSAND SUNS』で手にしたエレクトロロック路線を軸にしつつも、初期2作のミクスチャーロック感、さらには3rd『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)での王道ロック&歌モノ路線を取り込んだことで、『A THOUSAND SUNS』よりも聴きやすさが増している印象が強い。ノンコンセプトでさらっと聴けてしまうことから、イメージ的には『METEORA』(2003年)にもっとも近いのかもしれません。

また、ラップボーカルやスクリームがさらに復活していることから、発売当時のキャッチコッピーにあった「新たな『HYBRID THEORY』」というたとえも納得できる。実際『A THOUSAND SUNS』よりもラウドさが戻ってきているし、ギターの存在感も復活している。でも、そのギターが主軸になるのではなく、あくまで各曲に色を添える程度の存在感で収まっている。そういう意味では本作で聴けるサウンドは、ニューメタルでもラップメタルでもない。ラウドロックからさらにはみ出し、独自の枠を作り上げたLINKIN PARKがデビューから12年でたどり着いた新たな場所。カテゴライズが好きな日本人には、当時このアルバムがどう映ったんでしょうね。

『A THOUSAND SUNS』がもっともお気に入りという自分にとっては、本作も当然お気に入りの1枚。また、『MINUTES TO MIDNIGHT』のような楽曲主体の方向性が好きという人にも、意外に受け入れられる1枚ではないでしょうか。

ちなみに、本作のプロデュースは三たびリック・ルービンとマイク・シノダが担当。『METEORA』から本作まで、4作連続で全米1位を獲得しています。



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2017年5月 4日 (木)

LINKIN PARK『A THOUSAND SUNS』(2010)

『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)発表後、世界7都市で同時開催されたチャリティイベント「LIVE EARTH」にて、東京公演に出演したLINKIN PARK。その後も同年秋の来日ツアー、2009年夏の「SUMMER SONIC 09」ヘッドライナーなど定期的に日本公演を行い、改めてトップバンドとしての存在感を見せつけました。

また、その間にも定期的に新曲/企画アルバムを発表していきます。2008年春にはラッパーのバスタ・ライムスとのコラボ曲「We Made It」、同年秋にはライブアルバム『ROAD TO REVOLUTION: LIVE AT MILTON KEYNES』をリリース。2009年春には映画『トランスフォーマー:リベンジ』の主題歌として新曲「New Divide」を書き下ろし、ヒットさせます。2010年初頭にはハイチ地震支援のチャリティアルバムに新曲「Not Alone」を、同年4月にはゲームアプリ「エイト・ビット・リベリオン!」に新曲「Blackbirds」をそれぞれ提供し、ニューアルバムが発表間近であることを感じさせました。

そして2010年9月、ついに4thアルバム『A THOUSAND SUNS』が発売。プロデュースは前作から引き続きリック・ルービンとメンバーのマイク・シノダが担当。シンプルなバンドサウンドを前面に打ち出した前作『MINUTES TO MIDNIGHT』から一変し、本作ではPro Toolsを大々的に使用したエレクトロ色の強い1枚に仕上げられています。また、本作は核戦争を題材にしたコンセプトアルバムでもあり、歌詞も政治的なメッセージの比率が高くなっています。それにより、チェスター・ベニントン&マイク・シノダのボーカルワークも前作以上に攻撃的で、曲によっては“4 Letter Word”の使用、ラップボーカルやスクリームが増えています。

そして、ビートも打ち込みを多用したほか、ラウドなギターが登場する場面が減退。バンドスタイルで各楽器が鳴らされるのではなく、各プレイがひとつの素材として存在している。それらをPro Toolsを通じて再構築していることから、バンド色が過去4作中もっとも希薄かもしれません。そういう点においては前作『MINUTES TO MIDNIGHT』とは異なる意味で、ラウドロックからの脱却が図られています。

『HYBRID THEORY』(2000年)から10年。もはやLINKIN PARKはデビュー時とは別のバンドになってしまった……と嘆くファンも少なくなかったと思いますが、ちゃんと聴けば『A THOUSAND SUNS』には『HYBRID THEORY』での彼らを見つけることができますし、『HYBRID THEORY』にもこの『A THOUSAND SUNS』へとつながる布石がちゃんと散りばめられている。つまり、彼らは決していきなり変化を遂げたのではなく、デビュー時から持っていたさまざまな可能性のひとつをこの4枚目のアルバムで試しただけ。そう受け取ることはできないでしょうか?

他のインダストリアルロックバンドやエレクトロロックバンドと比べても聴きやすさがしっかり保たれているのは、ちゃんと『HYBRID THEORY』から地続きなんだという証明だと、個人的には解釈しています。そういった意味でも、LINKIN PARKの全作品中もっとも好きな1枚です。



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