2018年9月12日 (水)

MANIC EDEN『MANIC EDEN』(1994)

1994年3月に日本でリリースされた、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(ex. VANDENBERG、ex. WHITESNAKE、VANDENBERG'S MOONKINGS)率いるMANIC EDEN唯一のアルバム。メンバーはヴァンデンバーグ(G)、LITTLE CAESARのロン・ヤング(Vo)、WHITESNAKE時代に活動をともにしたルディ・サーゾ(B)&トミー・アルドリッジ(Dr)の4人。

もともと1993年に、エイドリアンがルディ&トミーのリズム隊と、ジェイムズ・クリスチャン(ex. HOUSE OF LORDS)とで行ったセッションが結成のきっかけ。そこからボーカルがロン・ヤングに替わり、そこから正式にバンドとして活動開始。全11曲中6曲がエイドリアンとロンの共作で、残り5曲はエイドリアンが単独で書いたものになります。

WHITESNAKE時代に本格的に関わるはずだったアルバム『SLIP OF THE TONGUE』(1989年)ではほぼ全曲をデヴィッド・カヴァーデイルと共作したものの、腕の不調でレコーディングにはまったく参加できず。そういう意味では、彼が丸々関わったアルバムとしては、本作はVANDENBERGの3rdアルバム『ALIBI』(1985年)以来9年ぶりとなります。

聴く前から、このメンツを確認してなんとなく「WHITESNAKE以降の、ブルースベースのハードロックになるんだろうな」と思ってましたが、本当にそのとおりの音で、VANDENBERGはどこへ行った……と古くからのファンは嘆きたくなる内容だったのではないでしょうか。

実際、エイドリアンの(我々が想像する)ギタープレイの良さはここには全く反映されておらず、ジミヘンみたいなギタープレイで、ジミヘンみたいな曲やLED ZEPPELINみたいな曲やジャニス・ジョプリンみたいな曲を作ってみたらこうなったよ、と言わんばかりの内容。いや、そんなにひどくはないんですけどね。でもね……。

ただ、LITTLE CAESARおよびロン・ヤング側の視点でこのアルバムを語ると、彼のシンガーとしての色気や魅力は存分に伝わるものになっているのではないかなと。オープニングの「Can You Feel It」や「When The Hammer Comes Down」といったソウルフル/ブルースフィーリングを漂わせたロックナンバー、「Ride The Storm」や「Do Angels Die」のようなバラードナンバーはカヴァーデイルでは歌えなかったでしょうからね。そういう意味ではナイス人選だったのかも。

ただ、こういう音楽性にこのリズム隊はないな。残念ながら。この2人を使うなら、もっとメタリック寄りにしてもよかったのに(そのほうが個性が生きたような)。そこも踏まえて、非常に中途半端な作品だなと。うん。

ただ、それでも忘れた頃に引っ張り出して聴きたくなってしまうのは、僕がVANDENBERGもWHITESNAKEもLITTLE CAESARも好きだからでしょうね。よかった、そんな人生で(笑)。



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投稿: 2018 09 12 12:00 午前 [1994年の作品, Little Caesar, Manic Eden, Whitesnake] | 固定リンク

2017年6月26日 (月)

LITTLE CAESAR『LITTLE CAESAR』(1990)

以前THE QUIREBOYSTHE BLACK CROWESのレビューで、1990年はHR/HMシーンにおいてひとつの変わり目だったということを書いたと思います。その数年前にGUNS N' ROSESが大ブレイクしたことで、シーンの主流が派手なスタイルからよりナチュラルで土着的なスタイルに移行していき、サウンド自体はよりシンプルでアーシーなものが好まれるようになります(極論ですが、それがのちにNIRVANAやPEARL JAMがブレイクした一因にもなっているのではないかと)。

で、その流れに乗って、当のGUNS N' ROSESを生み出したGeffen Recordsが1990年に送り出した新人が、このLITTLE CAESARです。ツインギターの5人組という編成は、初期のGN'Rと一緒。ソウルフルでしゃがれた声の持ち主ロン・ヤング(Vo)のボーカルスタイルや、ブルースやR&B、ソウルからの影響が色濃いハードなロックンロールという点も、先のTHE QUIREBOYSやTHE BLACK CROWESに通ずるものがあります。しかも、デビューシングルはアレサ・フランクリンの名曲「Chain Of Fools」カバー。うん、間違ってないよ。

ところが、本作をプロデュースしたのが、ボブ・ロック。当時はMOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD』(1989年)BLUE MURDER『BLUE MURDER』(1989年)、THE CULT『SONIC TEMPLE』(1989年)といったヒット作を連発していた時期で、この流れは必然かと。がしかし、そのセレクトは間違っているよ……少なくとも、シンプルでナチュラルでアーシーにはならないってば。

実際、完成したアルバムはTHE CULT『SONIC TEMPLE』にも通ずる「ブルージーなフィーリングを持つ楽曲を、派手なサウンドプロダクションでビルドアップした80年代末らしい」作品集に仕上げられています。実際、素晴らしいハードロックアルバムだし、これはこれで間違ってないんだけど……うん、時代が悪かったよね。

とにかくボーカルの男臭さが最高。どっしり腰を据えたヘヴィなビートの上を、HR/HMというよりはR&Rの歪みにちかいギター2本がのたうちまわり、さらにその上で器用じゃないけど色気があるボーカルが乗る。楽曲もGN'RというよりはAEROSMITHに近いし、THE BLACK CROWESというよりは同時期にイギリスでデビューしたてのTHUNDER寄りかな。THE QUIREBOYSも2ndアルバムの路線には近いかも(同じボブ・ロックが携わってるしね)。ヘヴィに生まれ変わった「Chain Of Fools」も悪くないし、ソウルバラード「In Your Arms」「Midtown」「I Wish It Would Rain」、ブルースハープが絡む「Rock - N - Roll State Of Mind」など良曲多し。今挙げたようなアーティストが好きな人なら間違いなく気に入る1枚だと思います。

にしても、当時Geffenの名物A&Rだったジョン・カロドナーは、ROCK CITY ANGELSとLITTLE CAESARをデビューさせるタイミング、逆だったんじゃないかなと思うんですよね。もちろん、その時代にそのバンドがいたからそのタイミングにデビューさせたわけだけどさ。

ちなみに本作、全米チャートで最高139位止まり。シングル「Chain Of Fools」は88位、「In Your Arms」は79位と小ヒットを記録しています。確かに「Chain Of Fools」は当時、よくラジオで耳にしたしね。バンドは続く2ndアルバム『INFLUENCE』(1992年)リリース後に解散(本作にはかのアール・スリックが参加)。ロン・ヤングは映画『ターミネーター2』にちょい役で出演したり、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)とMANIC EDENというバンドを組んだりしてちょっとだけ話題になりました。そして、2000年以降にLITTLE CAESARは再結成。現在までにアルバムを数作発表しているようです。



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投稿: 2017 06 26 12:00 午前 [1990年の作品, Little Caesar] | 固定リンク