2017/09/25

LIVING COLOUR『SHADE』(2017)

2017年9月にリリースされた、LIVING COLOUR通算6枚目のオリジナルアルバム。再結成後3作目、前作『THE CHAIR IN THE DOORWAY』からは実に8年ぶりの新作となります。

ヴァーノン・リード(G)は本作について「ブルースのパイオニア、ロバート・ジョンソンのスピリットから影響を受けている。ブルースとメタルのブレンドが新しい方向性への指針となった」、コリー・グローヴァー(Vo)も「『SHADE』は最終的な結果として、ブルースを解釈したのではなく解体したものとなった」とそれぞれ語っています。

確かにブルースの影響下にあるコード進行、テイストを持った楽曲も多いですが、そこはメンバーが言うとおり、あくまで“LIVING COLOURとしてブルースを独自の解釈で表現したら、結果として今までの自分たちらしいハードロックもありつつ、これまでになかったタイプの楽曲も生まれた”といった程度の影響というのが正しいでしょう。ブルースの一言でちょっと後ずさりして聴き逃してしまったとしたら、非常にもったいない1枚ですよ、これは。

冒頭の「Freedom Of Expression (F.O.X.)」を聴けば、本作がいつもどおりのLIVING COLOURだとご理解いただけるはず。ブラックテイストをまぶした豪快なハードロックは、彼らのイメージそのままですしね。それは続く「Preachin' Blues」もしかり。たしかにブルースの影響下にある楽曲ですが、この流れで聴けば何ら違和感ないし、逆にLIVING COLOURがこういうテイストの楽曲をやるんだ、とちょっと新鮮に感じられるんじゃないでしょうか。

ところが、リードトラックとなっている3曲目「Come On」には少し驚かされるかもしれません。RED HOT CHILI PEPPERSあたりがやりそうなこの曲、途中でエレクトロっぽいテイストも飛び出すのですから。ただ、これも味付け程度で、前面に打ち出すことはないのでご安心を。

以降はファンク、ブルース、ハードロック、そしてときどきヒップホップが入り乱れたLIVING COLOURらしい展開が続きます。クリストファー・ウォレス「Who Shot Ya?」のカバーや、マーヴィン・ゲイ「Inner City Blues」のカバーも、両方とも原曲のテイストを残しつつ、しっかりLIVING COLOUR色に染め上げられており、好印象。“泣きのブルース”を彼ら流に仕上げたラストナンバー「Two Sides」もグッとくる仕上がりで(この曲のみ、ロバート・ジョンソンというよりもジミヘンのイメージが強いかも)、アルバムとして非常によくまとまった1枚だと思います。

正直、再結成後のアルバムはこれ1枚として聴いてなかったので不安があったのですが、そんな心配無用でした。80〜90年代の彼らが気に入っているリスナー、そして初期〜中期のレッチリが好きな人なら間違いなくツボに入りまくりの力作ではないでしょうか。



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投稿: 2017 09 25 12:00 午前 [2017年の作品, Living Colour] | 固定リンク

2017/08/08

LIVING COLOUR『VIVID』(1988)

1988年春に発表された、アメリカの4人組ハードロックバンドによるデビューアルバム。エド・ステイシアム(RAMONES、TALKING HEADS、MOTORHEADなど)が全体のプロデュースを手がけたほか、自身のソロアルバム『PRIMITIVE COOL』(1987年)にヴァーノン・リード(G)が参加したことがきっかけとなり、ミック・ジャガーのプロデュース曲が2曲(「Glamour Boys」「Which Way To America」)含まれているほか、「Broken Hearts」ではブルースハープでゲスト参加も果たしております。

メンバー全員が黒人ということで、当時は“黒いツェッペリン”などと呼ばれておりましたが、メタリックなギターリフとファンキーで跳ね気味なリズムのミックスはまさにその例えにぴったり。まだRED HOT CHILI PEPPERSのブレイク前夜で、いわゆる“ミクスチャー”と呼ばれるようになるバンド群(FAITH NO MOREJANE'S ADDICTIONなど)が日の目を浴びる前のタイミング。そんな中で、LIVING COLOURは当時のHR/HMブームに(幸か不幸か)乗ることができ、その結果アルバムは全米6位、シングル「Cult Of Personality」は全米13位、「Glamour Boys」も全米31位と好成績を残しました。

個人的には、アルバムのオープニングを飾るヒット曲「Cult Of Personality」にこのバンドの個性が集約されているんじゃないかと思うほど、先の“黒いツェッペリン”的要素が存分に楽しめます。もちろん、それ以降の楽曲もよりファンキーさを強めたもの、よりハードロック色を強調したものが次々と飛び出し、またコリー・グローヴァー(Vo)のボーカルもヘヴィメタル特有のハイトーンでなく、かといってR&Bシンガーのようにひたすらうますぎるわけでもない、適度なソウルフルさを持ったロックボーカリストといった印象。これがファンキーだけどハードロック的タイトさを持つリズム隊とリフワーク/ソロワークが個性的なギタープレイの上に乗ることで、当時ほかには見られなかった個性的なサウンドを確立することができたわけです。

と同時に、このバンドにはパンクの香りも漂っており、そこが「黒人だから」「リズムが跳ねてるから」と同じくらいメタルファンから敬遠される要因のひとつになっている気がします。特に旧来のメタルファンってノンポリのイメージが強いですしね!(ひどい偏見)

そうそう、本作収録の「Funny Vibe」にはPUBLIC ENEMYのチャック・Dとフレイヴァー・フレイヴがゲスト参加しています。この3年後にANTHRAXがPUBLIC ENEMYと「Bring The Noise」でコラボすることを考えると、かなり時代を先取りしていたハードロックバンドと解釈することもできそうですね。



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投稿: 2017 08 08 12:00 午前 [1988年の作品, Living Colour, Mick Jagger, Public Enemy] | 固定リンク