2018年12月27日 (木)

RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW『MEMORIES IN ROCK II』(2018)

この流れで、2018年が終わる前に触れておかなくちゃいけないのがこのアルバム。2018年4月にリリースされた、現RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWによる最新ライブアルバム(+新録楽曲3曲)なのですが……正直、どう前向きに捉えようか本当に困る作品でした。

ご存知のとおり、リッチー・ブラックモア(G)は2015年夏に「2016年にRAINBOWとしてヨーロッパでのフェス出演」をアナウンス。70〜80年代とも、90年代とも異なるロニー・ロメロ(Vo)、ボブ・ヌーボー(B)、デヴィッド・キース(Dr)、イェンス・ヨハンソン(Key)という布陣で2016年、2017年、そして2018年にそれぞれフェス出演やツアーを敢行しております。

イェンス・ヨハンソンはイングヴェイとの共演やSTRATOVARIUSの一員としておなじみですが、ロニー・ロメロはこれを機に注目が集まった気鋭のシンガー。LORDS OF BLACKというバンドに在籍しており、RAINBOW参加をきっかけにこちらにも注目が集まるようになりました。ディオにもグラハムにもジョー・リン・ターナーにもなれる器用な歌い手ですよね(しかもフレディ・マーキュリーっぽさもあるし)。

で、本作は2017年に行われたロンドン、グラスゴー、バーミンガムの3公演からベストテイクを選出し、1本のライブのように組み立てた内容。リッチーのロックサイドを総括するような選曲となっており、RAINBOW時代にこだわらずDEEP PURPLEの代表曲(「Smoke On The Water」「Black Night」「Child In Time」から「Burn」、さらには「Perfect Strangers」まで)を含むセットリストは、「別にこれ、RAINBOW名義じゃなくてもいいんじゃね?」と思ってしまうものですが……まあ、DEEP PURPLEは現存するし、かといって新しい名前で活動しても長期的に継続するものでもないし、そもそも集客的にも、ねえ。だったらRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWという名前でやるのが正解なんでしょうね。

でね。オープニングの「Somewhere Over The Rainbow」から「Spotlight Kid」への構成……この、ちょっと何かが引っかかるような歯切れの悪いギタープレイに正直がっかりしたんですわ。これは嘘偽りなく書き残しておきたい。こんなリッチーを聴きたかったわけじゃないのに。時の流れって残酷すぎる。「I Surrender」も完全にAOR化してるし。

ただ、「Mistreated」あたりから……「あれ、これアリじゃね?」と思う自分もいて。いぶし銀って一言で済ませたくはないけど、それも間違いじゃないんだよね。でもさあ……緊張感は皆無。ロニーやイェンスは本当に頑張ってるけど、おじいちゃんが昔を思い出しながら一生懸命弾いてる絵が思い浮かんじゃって。

で、ここでふと思い出すわけです。「あれ、ジミー・ペイジだってこんなじゃね?」って。そう考えたら妙に腑に落ちてしまって……だからといって、全部を納得できたわけではないですけど。こんなユルユルな「Burn」、聴きたくなかったもん。WHITESNAKEカバーもどうかと思うけど、これを聴いたらまだマシに思えてしまうし。う〜ん……助けて……。

あ、肝心のスタジオ新録曲についても触れておきましょう。こっちで巻き返しなるか……。

約23年ぶりのスタジオ新録になるわけですが、そのうちの1曲は「I Surrender」の再録。もはやハードロックでも産業ロックでもない……演歌? 違うか。ユルいんだよなぁ……はぁ。

もう1曲はクラシックの名曲「威風堂々」をカバーした「Land Of Hope And Glory」。ライブのSEとして使われているものらしいですが、これはもうBLACKMORE'S NIGHTの曲にエレキギターをかぶせたような代物。やっぱりユルいです。

最後の1曲が、純然たる新曲「Waiting For A Sign」。どの時代のリッチーの作品にも1曲は含まれていそうな、ブルース主体の古臭いロックなのですが……これが一番よかったというのは、なんとも皮肉な話です。もうこれだったら、最初からオリジナル作品を……いや、なんでもないです。

曲の良さは当然文句なし。70年代から現在に至るまで幅広い世代に愛され続けてきた名曲ばかりですから。けど、ハードロックとして触れようとすると、現在進行形のロックを楽しんでいる耳にはちょっと厳しいんですよ。そこをどう解釈するかで、本作の評価は変わりそうな気がします。

その枯れたプレイ含めて、本当の意味でノスタルジーに浸りたい人向けかも。ぶっちゃけ、今の僕には必要ない、かな。残念ですけど。



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投稿: 2018 12 27 12:00 午前 [2018年の作品, Deep Purple, Lords of Black, Rainbow] | 固定リンク

2017年2月11日 (土)

LORDS OF BLACK『II』(2016)

2015年後半にRAINBOW復活が発表され、その参加メンバーがアナウンスされた際、誰もがそのボーカリストに注目したはずです。ロニー・ジェイムス・ディオ、グラハム・ボネット、ジョー・リン・ターナーという歴代の名ボーカリスト、そして90年代のその大役を担ったドゥギー・ホワイト。こういったシンガーたちと肩を並べるにふさわしい存在なのか、きっと古参ファンほどシビアに見ていたことでしょう。

選ばれたのは、チリ出身のロニー・ロメロというシンガー。スペインのヘヴィメタルバンドLORDS OF BLACKのフロントマンとして、当時アルバムを1枚発表していました。これによりロニーの名はもちろんのこと、当のLORDS OF BLACKにも注目が集まることになり、2016年春に2ndアルバム『II』が海外のみならず、ここ日本でもリリースされることとなったのでした。

名前がアナウンスされたとき、YouTubeでLORDS OF BLACKのMVをいくつか観たのですが、どこかディオっぽさもあるけど、それだけじゃない魅了も散見されて、若さゆえの可能性を大いに感じさせるシンガーだなと思っていました。がしかし、バンドの曲自体はそれほど印象に残らなかった(声のみに集中して、曲まで気が回らなかった)のも事実。

そんな中発表された本作『II』は、前作同様にメンバーのトニー・ヘルナンド(G)と現MASTERPLAN、元HELLOWEENのローランド・グラポウの共同プロデュース作品。クレジットを見ると8割近くの楽曲をトニーが作詞・作曲していることから、「現RAINBOWのボーカルが在籍するバンド」というより「トニーの才能が遺憾なく発揮されたバンド」と言ったほうが正解かもしれません。

楽曲やサウンドは哀愁が強くにじみ出た、正統派HR/HMというイメージ。オープニングのインストからなだれ込むパワフルな「Merciless」を筆頭に、時にスピート&パワーで、時に泣きメロでぐいぐい引っ張るテクニカルなギター、パワー一辺倒ではなくしっかり聴かせるなど思っていた以上に器用なボーカルを軸に進行していきます。どの曲にも味つけ程度にシンセやピアノが入っており、それらがさらに楽曲にカラフルさを加えることに成功しています。ぶっちゃけ、彼らは速い曲よりもミディアムでじっくり聴かせる曲のほうがボーカルもギターも映えるんじゃないかと。9分もある大作「Ghost Of You」や、「Cry No More」「Insane」タイプの曲をもうちょっと聴いてみたいと思いました。もうこのへんは好みの問題かもしれませんけどね。

本作にはボーナストラックとして、RAINBOW「Lady Of The Lake」のカバー、そして日本盤のみQUEEN「Innuendo」カバーとアルバム収録曲「Insane」のピアノバージョンが追加収録されているのですが、「Lady Of The Lake」は完全にロニーのRAINBOW入りを意識したものでしょう。厳しめの古参ファンに向けて、ひと足先にご挨拶といったところでしょうか。「Innuendo」も悪くないですが、それよりも「Insane」ピアノバージョンでの無駄な音をそぎ落としてじっくり聴けるロニーのボーカルに注目してほしいです。

昨年秋の『LOUD PARK 2016』で初来日が実現したものの、残念ながら足を運ぶことができず未見のまま。次こそは……と思っているのですが、それよりも今年こそはRAINBOWで……というのは贅沢なお願いでしょうか(苦笑)。



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投稿: 2017 02 11 12:00 午前 [2016年の作品, Lords of Black, Rainbow] | 固定リンク