LOST IN TIME『さぁ、旅を始めよう』(2007)
リリース前のサンプル盤の時点から現在まで、本当によく聴いた1枚です。ただ、このアルバムに対して何かコメントを発しようとすると、どうしてもためらってしまうというか、書いた後のことまで考えてしまい、結局発表から半年以上の月日が流れてしまったというわけです(ま、それ以前にサイトの更新自体がストップしてましたけどね。苦笑)。それくらい、熱心なファンからの視線が気になるバンドになってしまったなぁという印象が強いです、今のLOST IN TIMEは。
前作「時計」から1年半ぶり、通算4作目のオリジナルアルバム……というよりは、同じ「LOST IN TIME」という名前のバンドによるデビューアルバムと言ったほうがいいのかもしれません。それくらい、それ以前とは方向性や姿勢が変化したアルバム……と、世間的には言われています。実際そうなのかもしれません。
でも、僕にしてみると全部繋がってるように見える(聞こえる)んですよね……そりゃ熱心なファンの皆さんよりはライブも頻繁に観てないし、過去のアルバムの聴き込みも足りないのかもしれない。僕は1stアルバム「冬空と君の手」よりも2nd「きのうのこと」、2ndよりも3rd「時計」が好きというように、変わったファンと映るのかもしれませんね。いや、ファンとすら思われないんだろうなぁ。
自分も少なからず音楽の道を目指した人間だから、この変化・成長も理解できる。得るもの、失うものも十分に承知してると思う。何よりもメンバーチェンジがあったのだし。ただ、その変化のスピードがファンの柔軟性を超えていただけ……なのかもね。
これまでの繊細さが嘘みたいに、前向きで、力強くて、カッコ悪くて、それでももがき苦しみながら前進しようとする。その姿勢がこれまで以上に濃厚に表れた1枚だと思います。単純に今の自分にフィットしたというのもあるんだろうけど、バンドとして数段上のステップに到達した作品に仕上がったと思います。サポートミュージシャンの力もあるだろうけど、やはり中心人物・海北くん自身の変化・成長が大きかったんだろうなぁ(もちろん源ちゃんもね)。このアルバムを聴くと、いつもそういうことを考えます。
多分、このアルバムでのLOST IN TIMEはまだ中途半端なんだと思う。これはスタートラインであって、まだまだ成長の過程なんじゃないかな。そう、」さぁ、旅を始めよう」というタイトルどおりにね。
この作品を最高傑作と呼ぶこともできるけど、恐らくこの次に出来上がるアルバムはさらにスケールアップしたサウンド/歌詞を聴かせてくれるはずです。そう、これまでのアルバムの完成度がいつも前作を上回っていたように。こんなにも次の作品が今から楽しみなバンドも、そうはいないだろうなぁ。
▼LOST IN TIME「さぁ、旅を始めよう」(amazon:日本盤)