なんつーかね、すっげーイライラしてるんですよ。「何に?」だって!? あれですよ、『FUJI ROCK FESTIVA '04』に出演が決まった、ルー・リードに対するみんなのリアクションにですよ! ホント、なんかね……久し振りにネット上の(一部の)音楽ファンを見てて、悲しくなった‥‥というか、ぶっちゃけ頭にきたね。本気で。
誰々がよくて、ルー・リードはトリの器じゃない、とかさ。トリにはもっとメジャー級を持ってこいとかさ。「○○(ヒットチャート上でも成功を収めている若手バンド)の方がいい」とかさ‥‥バカじゃねーの??
なんかね、もうそういう人っていくら「フジロックには誰が来ても行く!」とか言ってても、結局は「ひとつふたつは超売れっ子を観て帰らないと満足しない!」っていうような感じなんでしょうね。まぁさ、そんなもんだとは判っていてもね……ルー・リードが貶されてるのを見ると、さすがにさ‥‥何がロックファンだよ!?って話ですよ。
久し振りにフォント弄りする程怒り狂っている俺ですが‥‥そんな今の心境にピッタリのアルバムを今日は紹介します。ルー・リードといえばこれ!とは決して言い難い1枚ですが、間違いなくその後の歴史を変えた作品ですよね。
今から30年近く前にリリースされた、この暴力的な2枚組アルバム(アナログでは2枚組ですが、CDでは1枚に全部収まってます)。俺がその存在を知ったのは、多分'90年代に入ってから。SONIC YOUTHの『GOO』というアルバムで彼らにハマり、その後彼らの作品を遡って聴いていくと、また彼らのことをいろいろ調べていくと、必ずといっていい程、「ルー・リードの『METAL MACHINE MUSIC』を発端に~」という壁にぶつかるわけ。当時、デヴィッド・ボウイ経由でTHE VELVET UNDERGROUNDやルー・リードのソロ作品は通過していたんですが、このアルバムのことは知らなかったのね。で、調べてみるとアナログ盤も暫く廃盤、CD化は未だされていないという話で‥‥噂が噂を呼んで俺の周りでも「どんなにスゲーアルバムなんだろう?」とにわかに盛り上がってね。
1991年初頭。多分六本木の「WAVE」だったと思うけど、そこで白っぽいジャケットにゴスメイクのルー・リードが写った、如何にもブートっぽい1枚のCDを見つけて。そのタイトルが『METAL MACHINE MUSIC』……へっ、これが!? けど、俺が以前雑誌で目にした黒っぽいジャケットとは違うじゃない!? けど店頭のポップ(店員の手書きによる推薦文)には「奇跡のCD化!」とか書いてあるし……う~ん、これ買おうかどうか……確か3,000円近くしたんですよ、当時このアルバム(これ、EU盤のみのCD化だったこともあって、余計に高かったんですよね)。まだ浪人生で金のなかった当時の俺は、結局同じ頃にリリースされたばかりのデヴィッド・リー・ロスの新譜を買って帰ったんだよねぇ(だって、ジェイソン・ベッカーがギター弾いてるんだもん!)。
それから1年半近く経って、ルー・リードの旧譜(BMG/Arista盤)が日本で一斉に再発されてね。そこにはこの『METAL MACHINE MUSIC』も含まれていて。しかもオリジナル・ジャケットで! 当然買うわけですよ。
買ってから12年近く経つわけですが‥‥未だに通して聴いたのは数回のみというこのアルバム。ハッキリいって、万人にお勧めする内容ではありません。上に挙げたようにSONIC YOUTHだとか、所謂ノイズ系/インダストリアル系のルーツとして名前が挙がる1枚ですが、普通にロックアルバムと思って手を出すと痛い目をみます。
アナログ時代は2枚組、片面15~7分×4面。CDだと62分に渡る、全編エレクトリック・ノイズ。ギターのフィードバック音だったり電子ノイズだったり……そういったサウンドとも呼べないようなサウンドが、延々続くわけです。勿論そこにはルー・リードの歌なんて一切ない。リズムもなければメロディもない。かろうじて、ノイズとノイズがぶつかることによって生じる奇跡的なハーモニーがあるだけ。いや、それだって通常のハーモニーとは異なる種類のもの。音楽における三要素……リズム/メロディ/ハーモニー……これらがないと受け付けられない、って人には絶対にお勧めしない作品。それがこのアルバムなのです。
けど……今久し振りに引っ張り出して、爆音で聴いてるんだけど……スッゲー気持ちいい。何だろう、ムシャクシャしてた荒れた心が癒されるっていうの? いや、違うか。けど聴いてて無心になれるし、本当に気持ちよくなってくるのは確か。人によって「どこからどう聴いてもただのノイズじゃん」と切り捨てられるだろうし、実際そう感じる人が大半だと思うけど、何故か今日の俺にはしっくりくるアルバム。
一時期、BOREDOMSとかあの辺のジャンク・ミュージックというか、そういうノイジーなバンドが一部で流行ったことがあったけど、あれを聴くとやっぱりこのアルバムがあったからこそなのかな……なんて思えるし、その後のシューゲイザーとかグランジとかにもこういう側面があったし、それこそ最近のRADIOHEADなんかにも通ずるものを感じ取ったり。勿論、単なるこじつけと言われればそれまでだけど、やっぱりただのノイズアルバムでは済まされないんだよね、これ。
リリースから30年近く経った現在においても、ルー・リードは何故このアルバムを作ったのか、その理由を明確にしていません。きっと死ぬまでその理由は白状しないと思うけど。これが特異な作品だとは頭で判っていてもね。オマエの好きなロックがどないなもんじゃ!?って思うわけですよ。ホント、今日だけは言わせて。明日からまたいつも通りの更新に戻るから。
「けっ、ルー・リードかよ……
○○の方が良かったなぁ」とか言った奴ら。
お前等全員死刑。
▼LOU REED『METAL MACHINE MUSIC』
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