LOVEBITES『WE ARE THE RESURRECTION』@EX THEATER ROPPONGI(2023年3月12日)
待望の復活。その一言に尽きます。正直、コロナ禍で海外進出にストップがかかったこと、そしてmiho(B)脱退で活動休止に入ってしまったことで、ここ5年ほどのLOVEBITESの快進撃が否が応でも減速してしまう。それが本当に心苦しかったんです。でも、残されたメンバーはモチベーションを高く保ちつつ、来る新メンバーオーディション、そして3rdアルバム『ELECTRIC PENTAGRAM』(2020年)を超える傑作の制作準備に取り掛かっていた。そのへんは現在発売中の『ヘドバン・スピンオフ11』の各メンバー単独インタビューですべて語られているので、ここでは省きます。
最新アルバム『JUDGEMENT DAY』(2023年)は『ELECTRIC PENTAGRAM』を見事に超える1枚でした。そのアルバムの冒頭を飾る「We Are Resurrection」をタイトルに冠した、新生LOVEBITESの初ライブはどんな内容になるのか、そして新ベーシストfamiを含む5人がどんなステージを展開するのか。初日11日の情報を一切シャットアウトして会場に向かいました。
セットリストなども事前に目にすることなく臨んだ12日公演。観客の声出しOKとのアナウンスもあり、フロアはスタート前からかなり盛り上がっています。そして、定刻通りにオープニングムービーがスタートし、ステージにメンバーが登場。まずは楽器隊4人で「The Awakening」を演奏し始めます。1stアルバム『AWAKENING FROM ABYSS』(2017年)の冒頭を飾るこの曲からライブをスタートさせるあたりに、LOVEBITESはここからまた始まるんだという強い意志が伝わります。そして、曲終盤にasami(Vo)がステージに現れ、「Holy War」から本格的にライブに突入。てっきり「We Are The Resurrection」から始まるものだと持っていたので、これは予想外の選曲でした。が、改めて歌詞の意味を考えてみたら、再び戦場へと足を踏み入れた彼女たちの決意表明と受け取ることができるのかな。うんうん、納得です。
演奏に関しては文句なし。midori&miyakoのギタリスト2人のプレイも冴え渡り、ツインリードの息もぴったり。harunaのドラミングに関しては、以前よりも硬質さとパワフルさが増しており、かつその熱量と力強さが最後まで落ちることなく、むしろ後半に向けて上がっていくような印象すら受けました。asamiのボーカルもすべてにおいて圧倒的で、今がベストなんじゃないかと思えるほどの完成度。そして、新加入のfamiはその長身でステージ映えするだけでなく、既発映像で垣間見えた笑顔を浮かべながらプレイ。時に真剣な表情も見せ、とにかく4人に食らいついていこうとする前のめりな感じが好印象でした。むしろ、この5人ですでに数年活動してきたんじゃないかと思えるくらいに自然体。バンドの状態が良好であることがダイレクトに伝わりました。
2曲目には、fami加入発表時にセッション映像が公開された“この5人最初の1曲”「Bravehearted」。「Holy War」の時点で胸が熱くなっていたのに、続く「Bravehearted」のイントロを聴いたらそりゃ一瞬にして涙腺が緩みますよ。もうね、この2曲で新生LOVEBITES、完全勝利。ズルい。
以降もテンションの高い歌と演奏で、エネルギッシュなメタルナンバーを連発。“新しい仲間”をフィーチャーした新曲「Stand And Deliver (Shot 'em Down)」では、冒頭のベースソロを音源の倍くらいに引き延ばし、観る者のテンションをぶち上げる。そこから「Shadowmaker」へと続く流れも絶品。いやもう、気をするのも忘れてしまうくらいにずっと夢中でした。
そんな中、ライブ中盤に用意された「Empty Daydream」と、miyakoのピアノソロをフィーチャーした「Swan Song」で見せる叙情性と、新曲「Judgement Day」で提示したバンドの真価/進化。この3曲の流れがとにかく圧巻で、曲が終わるたびにため息が溢れるほど。「Judgement Day」はMVとは異なり、しっかり演奏に集中することができたので、famiがスラップを織り交ぜたプレイをしていることなどいろいろ発見もありました。
その後は「M.D.O.」で再びぶち上がり、「Under The Red Sky」で華々しいエンディングへ。どの曲も観客のシンガロングが加わることで、より魅力的に響いてきて……本編中、何度涙腺が緩んだことか。
で、ここで新作『JUDGEMENT DAY』から2曲しか披露されていない事実に気づく。さすがにアンコールで新曲はないか……と思っていたら、案の定「Glory To The Wolrd」「We The United」の2曲で締めくくり。個人的にはどちらもアンコールに相応しい楽曲だと思ったので、全然オッケーなんですが。特に後者ではツインリードのエンディングでmidori&miyakoがグータッチした場面にグッときましたし、どちらの曲だったか記憶が曖昧ですが、asamiとfamiがharunaのもとに駆け寄って笑顔を浮かべる場面にもホロっときましたし。そう考えると、この2日間は新作を掲げた復活ライブというよりは、「この5人でまた始めます。よろしくお願いします」のお披露目感を強調させたものだったのかなと。新作を引っ提げたツアーは夏秋までお預け、まずは「この5人でこれまでのLOVEBITESを表現しようとするとこうなります」ということをお伝えしたかったのかもしれませんね。
だからなのか、曲数もライブの尺も通常より若干短めの印象。うん、これはこれでちょうどよかったのかも。まずは観る人たちに真価を問いつつ、「まだまだやれる!」ってことを証明する必要があったわけですものね。
終演後、初日のセットリストも確認したのですが……全然違うじゃねーかよ!(笑) しかも「Nameless Warrior」までやってるし。言ってよー(苦笑)。これなら2日間とも行けばよかった(スケジュール的に大丈夫だったので)。なんにせよ、半年後(!)に控えたツアーがより楽しみになりました。今回観ることができなかった方、期待以上のステージを目撃できるはずなので、迷うことなく各公演に足を運んでみてください。
セットリスト
01. The Awakening
02. Holy War
03. Bravehearted
04. Golden Destination
05. Stand And Deliver (Shot 'em Down)
06. Shadowmaker
07. Break The Wall
08. Empty Daydream
09. Swan Song
10. Judgement Day
11. When Destinies Align
12. M.D.O.
13. Under The Red Sky
<アンコール>
14. Glory To The Wolrd
15. We The United