THE END MACHINE『PHASE 2』(2021)
2021年4月9日にリリースされたTHE END MACHINEの2ndアルバム。
元DOKKENのジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Dr)に現WARRANT、元LYNCH MOBのロバート・メイソン(Vo)と結成したTHE END MACHINEは、2019年3月にデビューアルバム『THE END MACHINE』を発表。しかし、アルバム発表後にミックがミュージシャンを引退したことから、新たにミックの実弟スティーヴ・ブラウンが加入(兄弟だけあって、見た目がそっくり!)。本作は新体制での第1弾アルバムとなります。
とはいえ、前作でもソングライティングに携わっていたのはジョージ/ジェフ/ロバートの3人。この軸が変わらなければ、そのスタイルに大きな変化は生じないはず。そういう思いで接した本作、間違いなく前作の延長線上にある“80年代のDOKKENの後継的存在である正統派ハードロックアルバム”でした。
全12曲(うち1曲がオープニングSE)で55分前後という尺は前作とほぼ一緒で、1曲あたり5分前後で構築されたメロディアスなハードロックがずらりと並ぶ。メロディラインもDOKKEN時代にあった(良い意味での)煮え切らなさを若干含むもので、そういった要素が哀愁味にもつながっているように感じられる。コーラスワークもどことなくDOKKEN的で、このへんのセンスはジェフによるものが大きいのでしょうか。速い曲もミディアムテンポもパワーバラードも、すべて平均点以上の仕上がりで安心して楽しめる。
演奏に関しても、すべてにおいてそつなくこなされている感が強い。ジョージのリフやソロワークに関してですが、若干「手癖で収めてないか?」と思えるフレーズも少なくないものの、トーンなどはここ数年のジョージ関連の作風との統一感も感じられる。あえてDOKKEN的なものに寄せるのではなく、あくまで今の彼ならではのスタイルでこの80年代的王道ハードロックを奏でる。THE END MACHINEにはそういった面白味もあるのかな?と、今回改めて感じました。
ロバートが歌っていることで、LYNCH MOBとDOKKENの中間という印象も否めませんが(どっちもジョージが参加しているので間違いではないけど)、LYNCH MOBよりは全体的に“曇った”感が強いので、そういう点ではDOKKENの後継的存在というのが正解なのかも。ただ、初期DOKKENのような尖ったプレイやストロングスタイルの突出した楽曲が見当たらないのが、本作のマイナスポイント。「Blood And Money」や「Dark Divide」「Prison Or Paradise」「Shine Your Light」といった軽く平均点超えの楽曲も豊富な、高品質な1枚だけど、1曲だけでもそういう“尖り”が感じられたら、さらに印象が違ったんだろうなあ……まあ、今のジョージ・リンチにそこを求めるのは酷かもしれませんが。
……なんてことを言っていると「ドン・ドッケンが歌うよりはマシ」という声が脳内のどこかから聞こえてきそうですが(苦笑)、まだジョージがこういったサウンド/バンドにチャレンジしてくれる事実を、今は素直に楽しみたいと思います(そして、ありがとうジェフ・ピルソン)。
▼THE END MACHINE『PHASE 2』
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