2017/09/26

KXM『SCATTERBRAIN』(2017)

DOKKEN、現LYNCH MOBのジョージ・リンチ(G)、KING'S Xのダグ・ピニック(Vo, B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)が2013年に結成したトリオバンドKXM(「K」はKORN、「X」はKING'S X、「M」はLYNCH MOBからそれぞれ取ってるんだとか)の2ndアルバム。2014年にセルフタイトルの1stアルバムをリリースしており、僕も発売当時購入して聴いている……はずなのですが、実はどんな曲があったかまったく思い出せず。改めて引っ張り出して聴いてみたら、確か当時も「KING'S Xのファンはまあまあ気に入るかもしれないけど、ジョージ・リンチ=DOKKENな人には受け付けないだろうな」なんて感じたことを思い出しました。

悪くないんだけど、どこか退屈。突き抜けるようなサウンド/スタイルでもないので、それは仕方ないにしても、せめて“これ!”という1曲があればなと思ったのでした。

で、あれから3年経った忘れた頃に2枚目です。懲りずに続けるんですね。

期待せずにこの新作も聴いてみたのですが……1曲目「Scatterbrain」が……あれ……意外と良くないか、これ。確かに作風は前作の延長線上にあるんだけど、たぶんこの3人に求められていることがガッチリとハマってる。スリリングなプレイと浮遊感の強い歌メロ、うん、気持ち良い。決して強力な“これ!”ではないかもしれないけど、限りなく“これ!”に近い1曲だと思います。ジョージのギターも非常にモダンで、どこかジェフ・ベックっぽいし。まあ結局のところ、ジョージ・リンチ=DOKKENな人には今回もダメなんでしょうね。

そんなことを考えながらアルバムを聴き進めていくと……あれ、退屈……? 2曲目「Breakout」、3曲目「Big Sky County」と同じテンポで、抑揚があまりない楽曲が続くから余計にそう感じてしまうんですよね(「Breakout」はそこまで悪くないんだけど、「Big Sky County」がちょっとだけ退屈だからそう感じてしまうのか)。ただ、4曲目「Calypso」みたいにパーカッシヴなリズムで遊んでいたり、5曲目「Not A Single Word」みたいにアップテンポなパートを含む楽曲があると、変化が感じられて素直に楽しめるんですけど。BLACK SABBATHみたいな「Obsession」、サイケデリックな「Noises In The Sky」あたりでまたミディアムテンポ(しかも比較的同テンポ)に戻ってしまい(しかも連発)、ちょっとつらくなるという。

とにかくこのアルバム、曲順が悪い。曲調が似たり寄ったりなのは今に始まったことじゃないし(ただ、1曲1曲の質は前作よりも上がってるように感じました)、たくさん聴かせたい(全13曲入り)という意思は尊重してあげたいんだけど、やっぱりトータル66分は長いよ。せめてミディアムテンポの曲を3曲減らして10曲入りにして50分前後に収めてくれたら、もうちょっと聴きやすかったんだろうなあ。キラリと光る楽曲が散見されるだけに、今のままだったら非常に勿体ないと思うんです。普通に通して聴いたらみんな最後までたどり着けないって。

後半にもファンキーな「It's Never Enough」とか、リフで変化を付けてる「True Decievers」「Stand」、ツーバス全開でちょっとKING CRIMSONチックな「Together」とか魅力的に感じられる楽曲があっただけに、もうちょっと前半〜中盤の構成を考えてくれたらなぁ。そういう意味でも、非常に惜しい1枚です。



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投稿: 2017 09 26 12:00 午前 [2017年の作品, King's X, Korn, KXM, Lynch Mob] | 固定リンク

2017/01/18

LYNCH MOB『WICKED SENSATION』(1990)

1989年のDOKKEN解散後、ジョージ・リンチ(G)とミック・ブラウン(Dr)は新たにLYNCH MOBと命名したバンドを始動。DOKKENって名前がいかにも「ドン・ドッケンのワンマンバンド」的に見えてしまうのが嫌だったんでしょうかね、今度はジョージが自身の名前をバンド名に入れてるわけですから(苦笑)。

オニー・ローガン(Vo)、アンソニー・エスポジート(B)という若きアーティストを迎え制作されたのが、1990年秋に発表されたデビューアルバム『WICKED SENSATION』。プロデューサーには“ギターサウンドならおまかせ”なマックス・ノーマンを迎え、DOKKENのラスト作『BACK FOR THE ATTACK』(1987年)を推し進めたギターオリエンテッドなアルバムを完成させます。

興味深いのは、常にDOKKENをまとっていたヨーロピアンな湿り気のある作風がばっさりと消えたこと。あれこそ、ドン・ドッケンの持ち味だったことは、彼が中心となり結成されたDON DOKKENのアルバム『UP FROM THE ASHES』で証明済みです。となると、豪快なアメリカンハードロックはジョージの持ち味ということになるわけですが、今作を聴くと単なるアメリカンハードロックでは終わっていない。実はこれ、ミック・ブラウンの功績が大きいと思うんですよね。

また、オニー・ローガンがドン・ドッケンとは異なるタイプのシンガーだったことも良い方向に作用した気がします。この時点ではド新人で、すべてを器用に歌いこなしていたわけではないですが、ドンみたいにのっぺりしたボーカルには出せない味が随所に感じられ、適度に土臭さを持ったこのハードロックサウンドには合っている。一番DOKKEN寄りかなと感じる「Hell Child」のような曲にも、サイケデリックな新境地ナンバー「She's Evil But She's Mine」にも適応できているんだから、デビュー作にしては及第点だと思います。あと、アルバムラストの「Street Fighting Man」は、DOKKEN『BACK FOR THE ATTACK』のインスト曲「Mr. Scary」をバージョンアップさせた歌モノ。こういうところからも、LYNCH MOBが『BACK FOR THE ATTACK』が地続きであることが伺えます。

それにしてもこのアルバム、全12曲で57分と意外に長いんですよね。そういえば……『BACK FOR THE ATTACK』が13曲で63分だったことを考えると、曲を長くしていた要因はジョージのギターソロだったんじゃないか、そう思えなくもないなと。これ、もうちょっとコンパクトに、せめて50分くらいで収まったら完璧なアルバムなんですけどね。そう考えると、やっぱり10曲で勝負するのがベストなのかなぁ。

ちなみに、同時期に発売されたDON DOKKEN『UP FROM THE ASHES』とLYNCH MOB『WICKED SENSATION』。チャート的には前者が全米50位、後者が31位とジョージ・リンチの勝利。これでどっちの作品が優れていると判断するのは危険ですが、少なくとも1990年当時のアメリカに求められていた音はLYNCH MOBのほうってことなのかもしれないですね。



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投稿: 2017 01 18 12:00 午前 [1990年の作品, Dokken, Lynch Mob] | 固定リンク