2005/05/02

MAD CAPSULE MARKETS、ソニーへ移籍etc.

THE MAD CAPSULE MARKETSがSony Musicへ移籍&6月に英・DOWNLOAD FESに出演決定(公式)
MAD、ソニー移籍後の音源第一弾はシングルで、今秋リリース予定(creativeman。5/2付)

 ネタ元はミュージックマシーン。いきなり飛び込んで来たビッグニュースですね。まずは移籍ネタから。昨年末にビクターからリリースされた全音源から厳選された2枚のベストアルバムがリリースされた時点で、一旦これまでの活動を総ざらいにしようとしてるな、というのはみんな気づいてたと思うんですね。けど、まさかビクターから移籍するとは思ってもみなかったなぁ。ちょっとビックリです。

 今回大手のソニーに移籍したということは、すなわち海外進出をかなり真剣に考えてるんだろうな、と。これまで、ビクター自身は海外出資のレコード会社ではなく、あくまでドメスティックな会社だったこともあり、単発で海外のメジャー/マイナーレーベルと契約し、アルバムをリリースしてきてましたが、やはりちゃんとしたプロモーション等も含め、今後は本格的な海外での活動も視野に入れてるんでしょうね。いや、それはここ数年の動きから十分に読み取れてましたが。

 そして、6月にイギリス・ドニントンパークで開催される「DOWNLOAD FESTIVAL 2005」の中日(6/11)、所謂「OZZ FEST DAY」と題された『ミニ・OZZ FEST』な日の、メインステージに出演する事が決まってます。このリストを見る限りでは、THE MOONEY SUZUKIの後、2番手になるのかな。他の出演者はオリジナルBLACK SABBATH、VELVET REVOLVER(IRON MAIDENの代役ね)、HIM(今年のサマソニで来日)、全盛期ラインナップのANTHRAX、ALTER BRIDGE(元CREED組)、BOWLING FOR SOUP、'A'。MADはMOONEY SUZUKIと'A'という、どちらかというとロックンロール寄りのバンドに挟まれてますが、破壊力的にはANTHRAXの前後で丁度いいような気がしますが‥‥

 それにしてもこのフェス、今年で3年目だけど(1年目のヘッドライナーはIRON MAIDEN、スペシャルゲストがMETALLICA。2年目はMETALLICAとかLINKIN PARK)、これって所謂『MONSTERS OF ROCK』の21世紀版なんですよね? いや、開催場所とか、メタル/ラウド系がメインな出演者とか、その辺がね。だってさ、3日目のラインアップ、見てみなよ。SYSTEM OF A DOWN、SLIPKNOT、SLAYER、NIGHTWISH、KILLSWITCH ENGAGE、PAPA ROACH、MUDVAYNE‥‥どこからどう見てもメタル/ラウド系祭りですよね? このままのラインアップを日本に持って来て、これで「BEAST FEAST」とかやればいいのにね!(2日目のセカンドステージ、IN FLAMESがヘッドライナーって凄いな。大抜擢じゃん!)

 そういう意味では、初日のメンツの中で唯一浮いているMEGADETHの存在が、ちょっと切ない。ま、この日はFEEDERとかGARBAGE、DINOSAUR JRといったバンドがメインっぽいですね(セカンドステージのトリがビリー・アイドルってのも凄いけど!)

 ホント‥‥堪らないフェスですねこれ! こうなると、この時期は「DOWNLOAD FES」以外にも、UK及びヨーロッパ諸国をツアーするんでしょうか、MADは。そして‥‥海外で揉まれた後、その成果を8月のサマソニで披露するという‥‥SLIPKNOTやNINE INCH NAILS相手にね。こりゃ面白くなってきたな!



▼THE MAD CAPSULE MARKETS「1990-1996」(amazon


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投稿: 2005 05 02 06:16 午後 [Mad Capsule Markets, The] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/02/27

UKでの活動が盛んになる予感。

THE MAD CAPSULE MARKETS、UK公式サイトオープン(公式)

 昨年秋、日本から半年遅れでUKでもリリースされたマッドの新作「CiSTm K0nFLiqT...」がリリースされましたが、それから更に遅れること数ヶ月、今度はUK公式サイトが今月半ばにオープンしていました。更に、明日28日にはUKでのセカンドシングルとなる「HAPPY RIDE」のリリースも決定しています。収録曲目は

    1. HAPPY RIDE
    2. CRACKER!!!(クラッカー!!!)
    3. CiSTm K0nFLiqT...
    4. HAPPY RIDE [PV : Enhanced]

特に新しい音源はないですが、この為に作られた新しいPVが収録されてます。1分少々のショートバージョンを観ましたが、12月のUKツアーの模様やオフステージを使用した、普段の彼等のPVからするとちょっと異色な内容でした。特にメンバーの笑顔がな‥‥微笑ましい。

 この公式サイト、他にもUKツアーの写真や壁紙、e-cardが手に入るだけでなく、アルバムリリース辺りからの、UK各音楽誌で取り上げられた記事をそのまんま読めるようになってて、日本のファンにとってはかなり有り難いものになってます。

 日本ではベスト盤、PV集、そして書籍等と、結成以来の活動にひと区切りつけるかのような作業/リリースが目立ちますが、今年は海外でのツアーをまたやるのかなぁ‥‥2年連続でもいいんで、また夏フェスで観たいなぁ。



▼THE MAD CAPSULE MARKETS「HAPPY RIDE」EP(amazon
(2005年2月27日現在、amazon.co.jpでの取り扱いはないようです)


▼THE MAD CAPSULE MARKETS「CiSTm K0nFLiqT...」[UK盤](amazon

投稿: 2005 02 27 01:23 午後 [Mad Capsule Markets, The] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/06/20

THE MAD CAPSULE MARKETS CiSTm K0nFLqt... TOUR@Zepp Tokyo(2004年6月11日)

  THE MAD CAPSULE MARKETSのライヴに行ってきました。約3年振りとなる通算11作目のオリジナルアルバム「CiSTm K0nFLqT...」を伴うツアーのラスト3デイズの初日、Zepp Tokyo公演だったんだけど、この日はゲストとして盟友のWRENCHの出演も直前に決定して、個人的には非常に心待ちにしていたライヴであったんだけど‥‥その反面、CCCDのせいで未だに聴けていない新作中心のツアーということで、どこまで楽しめるのか‥‥ホントそれだけが心配の種でね。昨年、CCCD化されたアルバムの楽曲しか演奏しないというエレファントカシマシのライヴを観ているだけに、しかもそのライヴが心底楽しめるものではなかったことから、大好きなバンドのライヴを前にまた複雑な心境に陥るのかな‥‥

  当然ながらライヴは3日間ともソールドアウト。客層も明らかにフェス等の時以上に若い。完全に10代中心。とりあえずはオープニングアクトのWRENCHを後方で楽しむ事にしますか‥‥。


●WRENCH

  彼らもイベント等でしか体験したことがなく、またアルバムもマトモに聴いた事がないので、ちゃんと知ってる曲が数曲しかないんだけど、それでも十分に楽しめちゃうのがまた彼らのライヴの良さなんだよね。後で聞いた話だとリリース前の新曲中心の内容だったようだけど、変な先入観がなかったせいかとても楽しめました。彼らの最新作もCCCDだったわけだけど、やっぱりライヴだと気持ちいいんだよね。新曲はサイケとはまた違った方向で、結構ゴリゴリしたイメージが強かったかな。1~2曲ボーカルのShigeがキーボードか何かを弾きながら歌う曲があって、またそれが独特な雰囲気を醸し出していて好印象。そろそろちゃんとアルバム聴いてみようかしら‥‥リキッドルームでのライヴ盤しか持ってないんだよね俺。ライヴ自体は30分程度だったけど、6~7曲やったかな。短かったよなぁ。


●THE MAD CAPSULE MARKETS

  新作のツアーだから新曲中心な内容になるのは仕方ないと諦めてたんだけどさ‥‥これがね、最初から最後まで汗だくで踊り狂える程、サイッコーに楽しくて素晴らしいライヴだったのよ。新作から2曲を除いてほぼ全曲に近い形で、しかもアルバムとほぼ同じ曲順でライヴが構成され、その合間合間にここ2~3作からの代表曲/シングルヒット曲を散りばめた、正に現時点での「THE BEST OF "MAD"」といった内容。半分が新曲、半分が過去の曲という意味で、本当にバランスが良い内容だと思いました。

  しかもね、披露された(この時点で初めて耳にすることになる)新作「CiSTm K0nFLqT...」の楽曲がどれも素晴らしいものばかりなのよ。個人的には前作「010」って良い曲と普通の曲の落差が激しくて、とてもじゃないけど名盤とは言い難い内容だったのね。けどさ、正直今度のアルバムは(少なくともライヴで聴く限りは)ここ数作‥‥現在のような路線に移行してから‥‥での最高傑作なんじゃないの!?と思える程、バランスが良い曲ばかり(な気がした。ライヴで聴く限りでは)。もうね、頭の2曲(SE的な "-start ID-" を除く、"RETALK" と "Bomb Idea")で完全に持ってかれちゃって。一番後方でじっくり観戦するつもりがさ、気づいたら真ん中辺まで走ってたもん、人かき分けて。唯一新作から知ってる(シングルヒット)曲 "SCARY -Delete streamin' freq. from fear side-" も最初シングルとして出たときは「正直どうなの?」と思ったものの、この流れで聴くと完璧。身体が温まったところでシングルヒットという流れも完璧だと思うし。

  このまま新作中心に行くのかとおもいきや、前作からのシングルヒット2連発("CHAOS STEP"、"GAGA LIFE.")という出し惜しみしない感じも驚きだったし、所々に過去の代表曲(しかも "SYSTEMATIC." まで!)を程よく散りばめた構成は本当に圧巻。で、新曲になってもテンションが全く落ちず、むしろ最近の曲の方が余計にテンションが上がるんだよね、こっちも。個人的にはトランシーなシンセと独特なメロディ感が印象的な "W.O.R.L.D" がすっげー気に入ったよ。これ、シングルカットすればいいの(8センチシングルで。そうすれば俺も聴けるし)。"クラッカー!!!" ってのは去年のフジロックでもやってた曲だよね? 随分と印象が変わった気がするけど、こっちの方が好みかも。

  終盤も新作メイン。特にラスト曲となったアルバムタイトル曲 "CiSTm K0nFLiqT..." も良かったなぁ‥‥本当にこのアルバムを象徴するような1曲だと思うよ。あー畜生、何でこんなに良いアルバムを普通の環境で、普通に楽しむことができないんだろうね? そりゃさ、簡単にコピーできるのは知ってるよ。けどさ、そういう問題じゃないじゃん。バンドには申し訳ないけど、やはりああいった「不完全な商品」に「いち消費者」として金を払いたくないから。中身は素晴らしいのは十分に判ったけど、それを聴き手に届ける手段が絶対に間違ってると思う。そしてそれが続く限りは、俺は断固として自分の信念を突き通す。それが俺のやり方だから。そうこうしてるうちに周りから取り残されたとしてもね‥‥

  アルバムタイトル曲を終え、本編が終了。当然アンコールになるんだけど、ここからは本当にヒットメドレーといった流れ。「OSC-DIS」からの強烈ナンバー2連発("TRIBE"、"PULSE")で心身共に燃え尽きたアンコール1回目。これで終わりかなと思わせて、更にダブるアンコールが用意されているとは。しかもギターのTORUが冗談ぽく弾き始めたギターフレーズにドラムのMOTOKATSUが合わせていき、気づいたら演奏されてたMETALLICAの大ヒット曲 "Enter Sandman"! KYONO、歌詞テキトーだし。実は何気に一番盛り上がってたんじゃないの?ってくらいに周りが普通に歌えてたのが意外というか。そうか、いつの間にかそういうファンに支えられてるってことなの? ま、俺はマッドもMETALLICAも好きだからこの冗談、心底楽しめたわけですが。 ワンコーラスで終わらせ、そのまま最後は和やかな雰囲気で "ISLAND" を演奏して終了。約90分に及ぶ完全燃焼のライヴでした。

  音楽のタイプもあるだろうけど、やっぱり聴かせ方なんだろうな‥‥あとは聴き手のモチベーションとか柔軟度とか。確かに「CCCDだから‥‥」という事実だけでアーティストを非難したりするのは間違ってるんだけど、けどそういう気持ちを抱きながらライヴに出向いても心底楽しめないって人もいるでしょう。実際俺もマッドを観るまではそんな感じだったし。やっぱりこれはもう、マッドみたいなバンドだったから上手くノせられちゃったってのもあっただろうし、曲も本当に文句の付けようがない程に良かったからってのもあったんだろうなぁ‥‥完全に完敗。本気でこのまままた海外に出向いていって欲しいよね、この素晴らしいアルバムを引っ提げて。つうか‥‥「Palm Pictures Records」との契約ってアルバム2枚で終わっちゃったの? 折角から是非年内中に海外で「CiSTm K0nFLqT...」をリリースして欲しいんだけど(というか、そうしてもらわないと聴く手段がないし、年明けたら輸入権が施行されちゃうし)‥‥前2作を気に入っていた海外のオーディエンスなら間違いなく『ブッ飛ぶ』内容だと思うんだけどねぇ、アルバムにしろ、ライヴにしろ‥‥

  あー、今回のライヴ観たら、夏フェス(今年はサマソニとエゾに出演予定)で彼らを観たくなっちゃったよ!


[SETLIST]
00. -start ID-
01. RETALK
02. Bomb Idea
03. SCARY -Delete streamin' freq. from fear side-
04. CHAOS STEP
05. GAGA LIFE.
06. JAM!
07. W.O.R.L.D
08. クラッカー!!!
09. MULTIPLIES
10. SYSTEMATIC.
11. Sunny Beach Rd.
12. LOUD UP!!
13. She loves it -Explore the new day-
14. GOOD GIRL -Dedicated to bride 20 years after
15. BIT CRUSHERRRR
16. HAPPY RIDE
17. CiSTm K0nFLiqT...
---ENCORE---
18. TRIBE
19. PULSE
---ENCORE---
20. Enter Sandman (METALLICA's cover)
21. ISLAND



▼THE MAD CAPSULE MARKETS『CiSTm K0nFLiqT...』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2004 06 20 12:00 午前 [2004年のライブ, Mad Capsule Markets, The, Wrench] | 固定リンク

2003/04/09

THE MAD CAPSULE MARKETS『010』(2001)

  2年前の丁度今頃、俺は「OSC-DIS」のレビューを書いたんだけど‥‥あの頃、まさかこんなことになるなんて正直この俺ですら考えてもみなかった‥‥そう、THE MAD CAPSULE MARKETSの2002年欧米諸国での大活躍のこと。2001年夏に今回紹介する「010」をリリース後、『SUMMER SONIC』等の夏フェスに出演し、秋からは全国ツアー。と同じ頃にヨーロッパにて前作「OSC-DIS」が『PALM PICTURES』という新興メジャー・レーベルからリリースされ、同時に何枚かのシングルも切られ、「ケラング!」等ではかなり高い評価を得たよう。そうこうしてる内に2002年5月‥‥忘れられない出来事が起こるわけですよ。そう、あの『OZZ FEST』イギリス公演に出演が決まるんです。しかもメインステージに。OZZY OSBOURNEは勿論、SLAYERやSYSTEM OF A DOWN、TOOLといった米英を代表するヘヴィ/ラウド・ロック勢と肩を並べてライヴを行ったんですよ。しかもそのライヴが好意的に受け入れられてしまう。更に彼等はヨーロッパ諸国にてクラブサーキットを行い、これも各地で大成功。その後、アメリカでも「OSC-DIS」がリリースされ、ショートツアーも行ったそうです。そして2003年春。オリジナル新作リリースの予定もないまま、再び彼等はヨーロッパへと旅立っていき、夏には6年振りに『FUJI ROCK FESTIVAL』に帰ってくる(予定。現時点では公式発表はまだですが)‥‥マッドのようなバンドなら海外で受け入れられるのも時間の問題だろうと思う好意的な気持ちと同時に、日本のバンドが海外で成功を収めるなんて夢また夢というネガな気持ちもあったわけで、そういう意味ではマッドはまず第一ラウンド完全勝利と言っていいのではないでしょうか?

  というわけで、現時点では日本のみでのリリースとなっている、彼等にとって10作目となるオリジナルアルバム「010」。これが既に2年前のアルバムだというんだから、時が経つのは早いよなぁ‥‥ってことは、「OSC-DIS」なんて既に4年前ってことか‥‥だよな。シングル「MIDI SURF」がリリースされたのが、このサイトがスタートした頃だったんだから。確か初期の掲示板でチョロQ付き限定盤を話題にしたこと、あったし。そんな2年前のアルバムなんですが、こうやって改めて今聴いても全然古さを感じさせない(当たり前か)。いやむしろ、2001年には早過ぎたアルバムだったんじゃないか!?なんて思えるくらい。だって俺、当時はこのアルバムをそんなに高く評価してなかったんですよ。さすがに超名盤「OSC-DIS」の後となるアルバム、しかも先行シングル"CHAOS STEP"と"GAGA LIFE."は共にマッドらしい、優れた名曲だったこともあり、期待が高すぎたってのもあったんですね。で、いざ手にしたこのアルバムを聴いて‥‥ちょっとだけ肩透かしを食らったのを今でも覚えてます。なんつーか、常にアッパーというアルバムではないんですね、前作と比べると。それを「変化」「進化」と取るか「煮詰まり」「歩止まり」と取るかでまた評価も変わってくるわけで‥‥シングル2曲が前作を更に押し進めた作風だっただけに、延長線上にある作品だというのは判るんですが、どうしても馴染めなかったんですよ。

  既に2000年夏の『SUMMER SONIC』にて演奏されていたオープニングナンバー"INTRODUCTION 010"(ライヴでも1曲目に演奏されていた)や、新境地と呼べるであろうサイケな"雲 -kumo-"と"CHAOS STEP"、"GAGA LIFE."の4曲でイメージしたアルバム内容とはちょっと異なった作風で、例えば前作のような勢いで押すようなフットワークの軽さはここにはなく、どちらかというともっと絡みつくような、一音一音が重い印象を受けるんですね。アップテンポのシングル2曲にしろ、パンキッシュな"xxx can of this."にしろ、ポップな"FLY HIGH"にしろ。それよりももっとヘヴィなナンバー‥‥"COME."や"BIT CRUSHERRRR"、ヒップホップ色の強い"JAM!"、先にも挙げた"雲 -kumo-"、レゲエ+沖縄風リズム&メロを取り入れた"GOOD DAY"、イントロだけ聴くとYMOやKRAFTWERKみたいな"NO FOOD, DRINK, OR SMOKING"等、とにかくミドルテンポを基本とした、一音一音が重いビートが印象的な曲が多いんですよ。速い曲といっても前作での高速チューンとは違った、非常に人間的なテンポが中心で、そういった面を期待していた人にとっては確かに「物足りない」と言わせてしまう作風なのかもしれません(2年前の俺のように)。

  ところが、時間が経って改めてこのアルバムを聴いてみると‥‥全然悪くないわけですよ。「OSC-DIS」から4年も経ったというのがいい意味で関係してるのかもしれないし(逆に言えば、それだけ「OSC-DIS」のインパクトが強かった、2年経っても新鮮だったと言えるでしょう)、現在の音楽シーンがマッドに追いついたとも言えるかもしれない‥‥確かにこの2年でヘヴィ/ラウド・ロックの流れもだいぶ変わりました。あの当時でも異端な存在だったマッドは、現時点においても異端であり、尚かつその異端児が海外でも受け入れられつつある。そして2003年という現在において、果たしてこの「010」というアルバムを海外でリリースしたら受け入れられるのか‥‥非常に興味深いですよね。

  そういえば、珍しくカバー曲を収録してるのも海外を意識してのことなんでしょうか? 何故21世紀にKILLING JOKEの"WARDANCE"をカバーしたのか‥‥この点も非常に興味深い。更に、海外を意識しながらも、何故か日本語詞を含む曲が多い点(インストを除く12曲中6曲‥‥半数に日本語詞が含まれているんですね。ちなみに「OSC-DIS」は全12曲中5曲。比率的には殆ど変わりません。つうか、それだけ日本語が含まれたアルバムが欧米で好意的に受け入れられているってのが面白いですね)‥‥完全に「世界標準」ならオール英詞にするはずなんですよ。ところが彼等はこれまでのスタイルを変えずに海外で受け入れられている。もはや歌詞は関係ない、サウンドの格好良さが全てってことなんでしょうかね‥‥その辺を是非、欧米の方々に伺ってみたいものです。

  というわけで、長々とこのアルバムについて書いてみたわけですが‥‥確かに「OSC-DIS」は素晴らしかったし、今でも素晴らしいアルバムだと思っています。が、ここ数日この「010」を何度か聴いてるうちに‥‥こっちにまんまとハマってしまって‥‥もしかしたら、こっちの方が好きかも‥‥って思えるようになってきまして。即効性は確かに「OSC-DIS」なんですが、味わい深さとかスルメ度はもしかしたら「010」の方が高いのかも‥‥ま、要するに日本のMAD CAPSULE MARKETSは無敵だ、と。そういうことです。

  夏フェスで、更に成長したマッドに会えることを楽しみにしてます。何せ個人的にはまる3年振りの生マッドですからね! そして‥‥この「010」に続く新作を早く聴きたいな、と。2002年の経験を上手く活かしたアルバム、超期待してます。



▼THE MAD CAPSULE MARKETS『010』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 04 09 12:00 午前 [2001年の作品, Mad Capsule Markets, The] | 固定リンク

2001/04/29

THE MAD CAPSULE MARKETS『OSC-DIS』(1999)

  THE MAD CAPSULE MARKETSの、現時点で最新作となるアルバム。リリースされたのが'99年8月だから、既に2年前の作品になるのだが、全く古さを感じさせない。流れの速い音楽業界の中で、特にこういったテクノロジーを駆使した音楽において2年というのは結構長い時間だ。例えばこのアルバムが発表された年に前作「DIGIDOGHEADLOCK」('97年)を聴いた時、録音やテクノロジーに若干の時代の流れを感じたものだったが、現時点(2001年4月)において、このアルバムを聴いてもそれは皆無だ。よい作品というのは、時間や時代や流行をも超越するものなのだ。

  それにしても、何故この時期にこのアルバムを取り上げるのかというと‥‥まず第1に、5月にはいよいよ新曲がリリースされるという事。既に耳にしているが、このアルバムの延長線上にある音だ。更に6月にももう1枚シングルをリリースし、夏にはいよいよニューアルバムが発表される。
  更に、この「OSC-DIS」が7月にアメリカの新興メジャーレーベルから世界的にリリースされる事になったのだ。過去にもマッドのアルバムは前作がやはり欧米のインディーレーベルから単発で発表されたが、今回はアイランド・レコード(U2やボブ・マーリー等が所属)の創始者が新たにスタートしたレーベルと、正式に契約したという話なのだ。来年の早い時期には「OSC-DIS」に続く新作も世界的にリリースされると耳にしているので、今後いよいよ本格的な海外での活躍も期待できるだろう。勿論、それだけの魅力と実力を兼ね備えたバンドなだけに、期待は大きい。

  このアルバムの大きな魅力。それは「テクノロジーを駆使した、テクノにも匹敵する緻密さ」「欧米のヘヴィロックにも匹敵する殺傷力」だろう。テクノチックなシーケンスを取り入れたヘヴィバンドといえば、欧米では10年程前からNINE INCH NAILSやMINISTRYといった大御所がいるわけだが、ここ5年くらいの間にそれすら特に目新しいというわけでもなく、いろんなバンドがその要素を「ごく当たり前に」取り入れるようになった。が、それを完全にモノにしているかと問われれば、全てが全てそうとは限らなかった。かなりテクノ寄りに進んだバンドというのは、やはりそれだけの知識とテクニックを持っていた人間だったという事なのだろう、意外と成功を収めているバンドが多いのだが、特にヘヴィ系となるとそう多くはない。大概はヒップホップ寄りに進んだりする(しかも旬だったし)。
  前作でのマッドの仕事振りは、やはりまだ中途半端だったと言っていいだろう。全ての曲のその要素が、完全にマッチしていたとは言い難かった。アレック・エンパイア等が関わったリミックスものに関しては、かなり良かったのだが‥‥

  しかし、そんなモヤモヤした思いをブチ壊してくれたのが、アルバムからの先行シングル"MIDI SURF"であり"PULSE"であった。これまでは「別にバックトラックのシーケンスがなくても、曲として機能してるじゃん?」と思わせていた空気が、ここにはなかった。バックトラックは完全に必要不可欠な要素のひとつとして、我々の耳を捉え、掴んで離さない。アルバムで言えば、特に1曲目"TRIBE"から3曲目までの流れ。最強の、最狂の流れじゃないだろうか? 何故俺が1999年度のベストアルバムにこの作品を選んだかが、よ~くお判りいただける流れだと思う。

  とにかく、全ての曲がポップなのだ。ピコピコしたシーケンス音やドラムンベースのバックトラックが入っていたり、ついていけない位に速いテンポの曲があったり、剃刀で切られたかの如くな殺傷リフがあったりするのだけど、歌は滅茶苦茶ポップなのだ。実はこれがかなり重要だ。特にサビのパートでは、オーディエンスが一体となって大合唱できるものが多い。モッシュし、大合唱する。これは今のコアなロックには必要不可欠な要素だ。何故Hi-STANDARDがあれだけの人気/セールスを維持しているのか、何故欧米ではLIMP BIZKITのようなバンドが人気を得ているのか、改めて考えてみて欲しい。細かなジャンルこそ違うものの、その根本にあるものは一緒なのだ。某ジャニーズの曲じゃないが「輪になって踊ろう」、これが全てなのだ。
  ロックは「個」で楽しむものなんかじゃない。「和」を、そして「輪」を楽しむものなのだ。それを改めて知らしめてくれたのが'90年代中盤にGREEN DAYやOFFSPRINGが、そしてHi-STANDARDが先頭になって繰り広げたパンク・ムーブメントだったんじゃないだろうか? 俺個人の感想だが、マッドの初期には「和」よりも「個」をイメージさせた。ファン同士の繋がりは深かったのだろうが、俺達のような一見さんが入っていける空気ではなかった。しかし、ここ数年のマッドからはそういったものは一切感じられない。むしろ「来る者は拒まず」な空気なのだ。それは楽曲からも感じるし、昨年体験したライヴからも感じ取れた。多くの海外のアーティストとの共演(RAGE AGAINST THE MACHINE, HELMET, FEAR FACTORY等)や、多くのイベントやフェスへの出演が切っ掛けのひとつになっているのは間違いないだろう。オーディエンスとの相乗効果が生んだ、「和/輪」の音楽。それがこのアルバムなのでは?

  昨年にはこのアルバムからシングルカットされた"GOOD GIRL"が某スポーツ飲料水のCMソングに起用され、更に一般への知名度を増した今、次に発表される作品では更なる爆発を期待できるはずだ。それまではひとまず、このアルバムを聴いて改めて彼らの魅力を再認識してもらいたい。



▼THE MAD CAPSULE MARKETS『OSC-DIS』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2001 04 29 12:00 午前 [1999年の作品, Mad Capsule Markets, The] | 固定リンク