カテゴリー「Manic Street Preachers」の35件の記事

2019年1月13日 (日)

祝ご成人(1998年4月〜1999年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で5回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、今回は当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)が被っていることから、選出時もいろいろ感慨深いものがあります。いやあ、長く続けるもんだ。

さて、この企画の説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1998年4月〜1999年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。今年度は残念ながら、選出した20枚すべてがSpotifyおよびApple Musicに揃っているものではありませんでした(各サービスともに1枚足りないという)。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちらです)


ASIAN DUB FOUNDATION『RAFI'S REVENGE』(1998年11月発売)(Spotify

AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

BEASTIE BOYS『HELLO NASTY』(1998年7月発売)(Spotify

BLUR『13』(1999年3月発売)(Spotify)(レビュー

BOARDS OF CANADA『MUSIC HAS THE RIGHT TO CHILDREN』(1998年4月発売)(Spotify

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2018年12月31日 (月)

2018年総括(1):洋楽アルバム編

2018年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2018年気になったアイドルソング10曲(+次点5曲)、そして今年印象に残ったライブ10本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

今年はまず最初に、次点の10枚から紹介していきたいと思います。たまにはやり方を変えて、新鮮さを保たないとね。

<次点>
・BLOOD ORANGE『NEGRO SWAN』
・CHVRCHES『LOVE IS DEAD』
・JACK WHITE『BOARDING HOUSE REACH』(レビュー
・KAMASI WASHINGTON『HEAVEN AND EAERTH』
・KURT VILE『BOTTLE IT IN』
・THE LEMON TWIGS『GO TO SCHOOL』
・MUSE『SIMULATION THEORY』(レビュー
・NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
・STARCRAWLER『STARCRAWLER』(レビュー
・VOIVOD『THE WAKE』(レビュー

メタル系以外は、自宅でまったりしているときに流していることが多かったか、移動中に聴く頻度が多かったものが中心。BLOOD ORANGEやMUSEなんて、まさにそれですね。CHVRCHESはフジロック以降、がっつり聴いていた記憶が。KAMASI WASHINGTONはレビュー仕事でディスク1のみ先に届いて、こっちばかりリピートしてたんだよな。THE LEMON TWIGSは常にセレクトするというタイプではないんだけど、個人的趣味からしてやっぱり外せないなと。KURT VILEも然り。

STARCRAWLERは今年1月のリリースだったけど、ちょっと12月まで持続させられなかったな、自分の中で。今年後半、もうひと跳ねあったら、自分内評価もまた変わったのかも。

さて、続いてここからが本編。僕が選んだ2018年の洋楽アルバム10枚です。

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2018年12月10日 (月)

MANIC STREET PREACHERS『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS: 20 YEAR COLLECTIORS' EDITION』(2018)

MANIC STREET PREACHERSが1998年9月にリリースした、通算5作目のスタジオアルバム『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』。同作のリリース20周年を記念して、2018年12月にCD 3枚組ボックスエディションとアナログ2枚組エディションが発売されました。どちらも新たにリマスタリングが施されておりますが、もともとダイナミックなバンドサウンドを堪能できる良作だったので、音質的にはそこまで大きく変化していないような気がします。

さて、このアルバムに関しては非常に個人的思い入れが強く、当ブログの前身サイトが20年前にスタートしたとき、最初に書いたディスクレビューが本作に関してでした。あそこには書いていませんが……要は、長年付き合った彼女と別れ話をしてる間、ずっと車の中で流れていたのがこのアルバムなんですよ(苦笑)。

……重い。重いでしょ?(笑)

そんなわけで、好きなアルバムではあるものの、聴いていると必要以上に感傷的な気持ちになってしまう。なので、一時期まったく手をつけられない時期もありました。作品の良し悪しとは全然関係ない理由なんですけどね。

あれから20年。それ以上にいろんなヘヴィな出来事があったり、こうやって音楽について趣味で書き連ねていたことが、いつの間にか仕事になっていたり。本当にいろんなことがありました。そう思うと、このアルバムの背景にある個人的な出来事がいかにちっぽけなことか。おちこんだりもしたけれど、私はげんきです(笑)。

さてさて。このリマスター盤について書いていきましょうか。

前作『EVERYTHING MUST GO』(1996年)での成功を踏まえた上で制作された本作は、ミディアム〜スロウナンバーを軸とした極上のメロディックロックアルバムです。『EVERYTHING MUST GO』には若干の歪さが残っており、そこがまたマニックスらしくて良かったのですが、本作ではそういった要素が完全に払拭され、非常に完成度の高い内容に仕上げられています。スロウナンバーが多いせいか、全13曲で63分というトータルランニングには多少過剰さを感じたものの、ぶっちゃけ捨て曲がないので有無を言わせぬまま最後まで聴かされてしまう。そんな“静なる暴力性”すら感じさせる傑作だと、今でも信じています。

が……。

このリマスター盤、昨年発売された『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)の10周年盤同様に、収録曲が一部差し替えられるという改悪が加えられています。日本のファンにとっては思い入れの強いであろう12曲目「Nobody Loved You」が、シングル「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」のカップリング曲およびカップリング曲集『LIPSTICK TRACES』(2003年)収録曲「Prologue To History」に変更されているのですよ! この曲自体は特に嫌いではないし、むしろ好きな部類に入る1曲ですが、どうしても「Nobody Loved You」のインパクトが強かっただけに、また終盤をドラマチックに盛り立てる上で重要な役割を果たすだけに、「Prologue To History」がラス前に置かれてそこから「S.Y.M.M.」へと続く構成がどうにも馴染めないのです。

何度か聴き返しました。なんなら、M11「Black Dog On My Shoulder」からM13「S.Y.M.M.」の3曲だけを何度か続けて聴き返したりもしました。が、どうしても「Prologue To History」だけ軽く聴こえてしまう。ミディアム〜スロウのメロウな楽曲中心とはいえ重厚さが全体を支配する構成だけに、やっぱり「Prologue To History」は浮くんですよ。だからこの曲をカップリングに回したんじゃなかったの? そうしてそんな気の迷いを見せる? 本当にこの改悪、理解に苦しみます(しかも、ストリーミングバージョンだと「S.Y.M.M.」のあとに「Nobody Loved You」が置かれているという。なんなのまったく!)。

ジャケットのアートワーク変更は全然いいんですよ。同じフォトセッションの中から、別テイクを選んでいるわけですから。新しいアートワークも嫌いじゃありません。ただ、安っぽくなってしまったのも事実。ああ、勿体ない。こんな傑作が……。

せっかくなのでCDのディスク2、ディスク3にも触れておきましょう。ディスク2は改変されたディスク1『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』の収録曲のホームデモ音源/スタジオデモ音源/ライブリハーサルデモ音源/テイク違いが、本編と同じ曲順で並べられています。完成バージョンとは異なるアレンジやテンポ感、特に「The Everlasting」のライブリハデモは嫌いじゃないなあ。「Nobody Loved You」が原曲よりもテンポが遅く、ヘヴィさが際立っている印象なのも良いなあ。まあ、こちらは完全にマニア向けですね。

ディスク3は1998〜99年にリリースされた本作からのシングルに収められたカップリング曲を1枚にまとめたもの。MASSIVE ATTACKやデヴィッド・ホルムス、デーモン・バクスター、STEALTH SONIC ORCHESTRA(APOLLO 440)、MOGWAICornelius、STEREOLABによるシングル表題曲のリミックス、アルバム未収録の「Montana/Autumn/78」「Black Holes For The Young」「Valley Boy」「Socialist Serenade」「Buildings For Dead People」といったオリジナル曲が楽しめます。THE CLASHのカバー「Train In Vain」などライブテイク以外のオリジナル曲とリミックスは網羅されているはずなので、当時シングルやカセットを集めるのに苦労した人にはありがたい1枚じゃないでしょうか。

僕にとっても、そして本サイトにとっても思い出の1枚なだけに、いろいろ厳しいことを連ねましたが、それでも本作の魅力は変わらない(と思いたい)。この20周年盤を聴いて興味を持った人は、ぜひオリジナルバージョンも聴いてみてください。もしかしたら、僕とまったく逆のリアクション(逆に「Nobody Loved You」が入っているほうを受け付けない)をするかもしれませんしね。



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2018年10月15日 (月)

MANIC STREET PREACHERS『LIPSTICK TRACES: A SECRET HISTORY OF MANIC STREET PREACHERS』(2003)

2003年7月にリリースされた、MANIC STREET PREACHERS通算2作目のコンピレーションアルバム(日本ではだいぶ遅れ、2005年7月発売)。初のシングルコレクションアルバム『FOREVER DELAYED』(2002年)と対をなす、シングルカップリング曲を中心に構成された2枚組アルバムで、ディスク1にはオリジナル曲(未発表曲含む)、ディスク2にはカバー曲(初音源化曲含む)がそれぞれ収められており、マニックスの“裏サイド”を存分に満喫できる内容となっています。

“裏サイド”とはいうものの、その内容はアルバム本編と引けを取らないほどの完成度の高い楽曲ばかり。録音時期はさまざまで、古いものは1991年の「Motown Junk」収録の「Sorrow 16」と「We Her Majesty’s Prisoners」で、最新は「4 Ever Delayed」(前年の『FOREVER DELAYED』のタイトルトラックとして制作されたものの、未収録。2003年に日本企画EP『FOREVER DELAYED EP』が初出)になるのかな。というわけで、10年以上にわたりシングルのカップリングで実践されてきた実験の数々が、ここで聴けるというわけです。

もちろん、ここに収録されていないカップリング曲も多数存在します。例えば「R.P. McMurphy」(1991年の「Stay Beautiful」収録)や「Patrick Bateman」(1993年の「La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)」収録)、「Too Cold Here」(1994年の「Revol」収録)あたりは、ファンの間でも人気の高い楽曲なのに未収録。このへんは日本限定で発売された紙ジャケ2枚組仕様の限定盤などで聴くことができるので、興味を持った方はチェックしてみてはいかがかと。

とはいえ、それ以外は概ね満足な内容ではないかと。90年代初頭の勢いに満ちたパンクチューンから、3rdアルバム『THE HOLY BIBLE』(1994年)へと向かっていく過程の無機質さが増した楽曲、3人になってからのエモーショナルかつキャッチーなポップチューンなど、とにかくバラエティに富んでいる。改めて、シングルコレクション以上にこのバンドの凄みが味わえるのではないでしょうか。

そして、ディスク2のカバー集。スタジオテイクからライブ音源、ラジオパフォーマンスまで音源的にはさまざまですが、取り上げているアーティストがTHE CLASHチャック・ベリーストーンズといったルーツから、GUNS N' ROSESNIRVANA、HAPPY MONDAYS、PRIMAL SCREAMといった近代のアーティストまで、さらに意外なところではWHAM!などもあり、改めてその多様性にも驚かされます。ちなみに、こちらのカバーに関しては意外とストレートに演奏しており、どちらかというとコピーに近いのかなと。そのへんは原曲者に対する愛情の強さ故かもしれませんね。

なお、ここでも漏れたカバー曲がいくつか。「Under My Wheels」(アリス・クーパー)、「Charles Windsor」(McCARTHY)、「The Drowners」(SUEDE)、「Stay With Me」(FACES)と、漏れたどれもが個人的に気に入っていたカバーなので残念極まりないです。ま、これらの音源も先に書いた紙ジャケ2枚組で聴けるので、気になる人は探してみてはどうでしょう。

あ、本作を購入するときは少々高いですが国内盤をオススメします。というのも、ボーナストラックとして今は入手困難な無料配布EP『GOD SAVE THE MANICS』(2005年)収録の3曲が追加されているので(カバー盤のラストに追加というのが少々アレですが)。さらに、当時ソニーのCMソングとしてオンエアされていた「Everything Must Go」のシングルバージョン(3分ちょっとに編集されたバージョン)も追加されているので、まあ多少のお得感があるのかなと。『GOD SAVE THE MANICS』は配信もされていない貴重音源なので、ぜひ日本盤を探してみてください!



▼MANIC STREET PREACHERS『LIPSTICK TRACES: A SECRET HISTORY OF MANIC STREET PREACHERS』
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2018年7月 1日 (日)

2018年上半期総括(アルバムベスト10)

恒例となった上半期ベスト。ひとまず7月1日現在の10枚を紹介したいと思います。バランスとしては洋楽5枚、邦楽5枚というセレクトで順位など関係なし。今回はあえてミニアルバムやEPを外し、フルアルバムのみをピックアップしました。


COURTNEY BARNETT『TELL ME HOW YOU REALLY FEEL』(amazon)(レビューはこちら

IHSAHN『ÁMR』『SPIRIT』(amazon)(レビューはこちら

JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(amazon)(レビューはこちら

MANIC STREET PREACHERS『RESISTANCE IS FUTILE』(amazon)(レビューはこちら

STARCRAWLER『STARCRAWLER』(amazon)(レビューはこちら

brainchild's『STAY ALIVE』(amazon

HER NAME IN BLOOD『POWER』(amazon

エレファントカシマシ『WAKE UP』(amazon

おとぎ話『眺め』(amazon

けやき坂46『走り出す瞬間』(amazon

2018年4月24日 (火)

MANIC STREET PREACHERS『RESISTANCE IS FUTILE』(2018)

MANIC STREET PREACHERS通算13枚目のスタジオアルバム。ってそんなに出してたのかと改めて驚かされます。まあ、バンドがデビューして早27年。2年に1枚ペースで出している計算ですよね。ところが本作、スタジオ新作としては実に3年9ヶ月ぶりと過去最長インターバルなんですよね。とはいえ、ここ数年は4thアルバム『EVERYTHING MUST GO』(1996年)の20周年盤や8thアルバム『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)の10周年盤なんかも出てたので、そんなに間隔が空いたような印象も受けず。不思議なものです。

前々作『REWIND THE FILM』(2013)と前作『FUTUROLOGY』(2014)は同時進行で制作された、対となる連作でした。なので、作風的にも前者はオーガニックでアダルト、後者はエレクトロ色強めで攻めるという違いがありましたが、今作はどうかというと……従来のMANICS節はそのままに、若干落ち着いた印象があることから、『REWIND THE FILM』をよりロックサイドに寄せたイメージを受けました。

昨年末から「International Blue」「Distant Colours」「Dylan & Caitlin」「Liverpool Revisited」といったデジタルシングルを小出しにして話題作りに専念してきた彼ら。確かに、長期にわたりこうしたプロモーションを続けるのは今の風潮に合ったやり方と言えるでしょう。特に、90年代のMANICSはシングル切りまくりでヒット曲を連発させてきたバンド。2000年代後半以降こそヒットシングルに恵まれないものの、こうして「良い曲、たくさんありますよ?」とアピールするのは、このバンドの場合間違ってない気がします。

勇ましさがありつつもどこかドリーミーという黄金MANICS節を効かせたキラーチューン「People Give In」から幕を開けるこのアルバムは、以降上記のシングル曲が連発し、すでに馴染み深いアルバムのような錯覚を与えてくれます。そんな名曲群の合間に登場する「Vivian」の、サビに絡みつく裏メロギターソロがまた気持ち良いのなんの。

後半は初出の新曲目白押しで、これがまた良いんです。グッとロック度の増した「Sequels Of Forgotten Wars」を筆頭に、ゆったりとしたリズムとアンセム度の強いシンガロングが耳に残る「Hold Me Like A Heaven」、前作からの余韻を感じさせる「In Eternity」、久しぶりに攻撃的なギターリフが聴けるパンキッシュな「Broken Algorithms」、これも王道感満載なキラーチューン「A Song For The Sadness」、かなり落ち着いた印象のラストチューン「The Left Behind」と完璧な流れ。全12曲捨て曲なしの、完璧なまでに真っ当な“MANICSのロック/ポップアルバム”と断言できます。もはやこれは焼き直しとかそういう次元ではなく、MANICSがMANICSであることを、次の時代に継承しようとする生き様の表れなのです。

どこにも無理矢理さや肩肘張った感じがなく、すごくナチュラルに良曲が並ぶ。そんな曲が1曲あるだけでもすごいのに、それが12曲並ぶのですから……彼らはここにきて、キャリア何度目かの黄金期に突入したのかもしれませんね。ここまで吹っ切れていると、本当に気持ちよく楽しめるんですよ。

「International Blue」のMV然り、アートワーク然り、日本を強くイメージさせる作品ですので、ぜひ1日も早く日本に戻ってきてもらいたいところです。いやあ、アルバム曲をライブで聴くのが今から楽しみだ。



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2018年3月28日 (水)

MANIC STREET PREACHERS『FUTUROLOGY』(2014)

2014年7月にリリースされた、MANIC STREET PREACHERS通算12枚目のスタジオアルバム。前作『REWIND THE FILM』(2013年)から約10ヶ月という過去最短のインターバルで発表された本作は、その『REWIND THE FILM』と同時期に制作された対になる1枚です。

前作で自身のルーツや老いと向き合い、枯れと哀愁が強く打ち出されたアコースティカルな作品だったのに対し、今作はシンセサイザーを多用したモダンなテイスト。また、前作が過去との対峙だとしたら、今作はそのタイトルからもわかるように未来を見据えた方向性ということになるのでしょうか。実際、前作の“ナマ感”とは相反し、本作はリバーブ強めのスペーシーなサウンドメイキングが施されています。

ただ、ここで彼らが言う未来とは子供の頃に彼らが思い描いた近未来なのかな、と。特にサウンド的にはそういうイメージを受けます。80年代のニューウェイブ以降といいましょうか……今となっては決して新しいことをやっているわけではないんだけど、80年代リアルタイム世代が聴くとなんとなく近未来感を思い浮かべてしまうような、そんな音。そりゃあマニックスがいきなりRADIOHEAD『KID A』(2000年)みたいなアルバムを作ることなんて想像できないので、これはこれで納得なんですけどね。

楽曲的にもどこか無機質感の強いメロディが多く、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)お得意の張り上げるように高音で歌うスタイルは抑え気味。オープニングを飾る「Futurology」にしても、オープニングを聴くと王道のマニックスナンバーかと錯覚しますが、そのメロディは常にトーンが抑え気味。「Walk Me To The Bridge」がもっとも従来のスタイルに近いのではないでしょうか。この曲が1stシングルになったのも納得です。

かと思えば、ダークな色合いの「Let's Go To War」やドイツの女優ニーナ・ホスをフィーチャーしたひんやり感の強い「Europa Geht Durch Mich」、マニックスと同じウェールズ出身の女性シンガーソングライター、ジョージア・ルースのボーカル&ハープが印象的なスローナンバー「Divine Youth」、ラップ調の歌い回しが新鮮なパワーチューン「Sex, Power, Love and Money」など、とにかく1曲1曲の個性が強い。そのメロディは以前のマニックスと比べると一風変わったものも多く、そのへんが違和感を与える要因になっているかもしれません。

が、聴けば聴くほど、これがクセになるのも確か。ファンが彼らに求める爆発力のあるアンセムは皆無かもしれませんが、MANIC STREET PREACHERSというバンドをこの先も続ける上で『REWIND THE FILM』と『FUTUROLOGY』での試み間違いなく必要な実験だったのです。そして、『REWIND THE FILM』が自身のルーツであるウェールズという場所と向き合った作品だとしたら、この『FUTUROLOGY』はもっと広く、ヨーロッパという地域と対峙した作品と言えるのではないでしょうか。それがドイツ語をフィーチャーした楽曲や、その独特なメロディラインに表れているような気がしてなりません。

『EVERYTHING MUST GO』(1996年)路線を求めるファンには不評だった『REWIND THE FILM』と『FUTUROLOGY』。僕は『THE HOLY BIBLE』(1994年)と同じくらい重要なアルバムでだと思っているし、実際はそこに並ぶとまでは言わないものの、かなりお気に入りの2作品です。中でもこの『FUTUROLOGY』は、『LIFEBLOOD』(2004年)以降でもっとも“しっくりくる”1枚です。



▼MANIC STREET PREACHERS『FUTUROLOGY』
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2018年2月12日 (月)

MANIC STREET PREACHERS『REWIND THE FILM』(2013)

MANIC STREET PREACHERSが2013年9月に発表した通算11枚目のスタジオアルバム。前作『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』(2010年)から3年ぶりの新作にあたるのですが、その3年の間にはシングルコレクションアルバム『NATIONAL TREASURE - THE COMPLETE SINGLES』(2011年)、デビューアルバム『GENERATION TERRORISTS』(1992年)の20周年記念盤(2012年)があったので、実は意外とそこまで空いた感がなかったんですよね。

本作発売前に、まずリードトラックとしてアルバムタイトル曲「Rewind The Film」がYouTubeで公開されたのですが、6分半ある穏やかなこの曲を聴いてまず驚かされるわけです。だって、曲の序盤をジェームズ・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)ではなく、ゲストシンガーのリチャード・ハーレイ(元LONGPIGS)が歌っているんですから……「あれ?」と思うわけです。しかも曲調的にも大ヒットした『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』(1998年)の延長線上にある、“非常にエモくて、それでいてどこか枯れた”スタイルなんですから。しかも、正式な1stシングル「Show Me The Wonder」にしてもブラスをフィーチャーしつつも、全編アコースティックテイストだし。「ロックバンド・MANIC STREET PREACHERS」を求めるリスナーには、不安要素しかないですよね。

本作制作にあたりバンドはアルバム2枚分以上の楽曲を作り、結果としてテイストの異なる2枚のアルバムにまとめることを決めたそうで、その1枚目がこの全編穏やかでアコースティック色の強い『REWIND THE FILM』なわけです。歌詞も黙想的かつ内省的で、サウンドも無駄な装飾を限りなくそぎ落とし、ディストーションを一切必要としない。メロディ自体は間違いなくあのマニックスなんだけど、それまでとまったく違って聞こえる。これこそが、デビュー20周年を経て次の20年に向けて新たに歩みだしたバンドの出した答えだったと。そういう冒険作なわけですね。

にしても、自らもう若くないことを認め、同時に昔に戻りたいと吐露するこの作風は『GENERATION TERRORISTS』以上の衝撃的内容ですよ。結成時は20代のうちに大成功して解散することを求めていたバンドが、気づけば40代に突入して、ブヨブヨに太ったり髪が薄くなったりした姿を晒し続けながら、20代の頃のヒット曲を歌い続ける。その反動が本作だと考えれば、非常に納得がいくし、それはそれでパンクなんじゃないか……という気がします。現実の残酷さを余すところなく晒すという意味での、パンクですけどね。

あともうひとつ。本作は『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』で表現すべき世界観の究極形だったのかなと。30前後では表現できなかった旨みや深みが完璧な形で表現された、究極の“負け犬の遠吠え”……うん、だから嫌いになれないんですよ、このアルバム。

約1年後にリリースされる、本作と対になるアルバム『FUTUROLOGY』(2014年)を並べることで、本作の魅力はより増すことになるとは、発売当時考えてもみなかったけどね。



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2017年8月19日 (土)

MANIC STREET PREACHERS『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』(2010)

MANIC STREET PREACHERSが2009年5月に発表した9thアルバム『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』はスティーヴ・アルビニをエンジニアに迎え、今でも“4人目のメンバー”であるリッチー・ジェイムズが残した詩を用いて制作した、15年ぶりの「4人で制作した」新作でした。同作はコマーシャル的成功を一切無視しつつも、この15年間に彼らが血肉として得た知識・技術も取り入れられており、シングルカット一切なしでも全英3位という好成績を残しました。

それから1年4ヶ月で届けられたのが、今回紹介する通算10枚目のスタジオアルバム『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』です。本作は前作にも携わった、MANICSではおなじみのデイヴ・エリンガとバンドがプロデュース。リリース時には「マスコミへの最後の一撃」というメッセージが印象的でしたが、その内容は前々作『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)や大ヒット作『EVERYTHING MUST GO』(1996年)の延長線上にあるサウンド、楽曲目白押しで、決して革新的なものではありませんでした。

10年前に『SEND AWAY THE TIGERS』を聴いた僕は、当時のレビューで「素晴らしいロックアルバムだけど、過渡期を感じさせる」と書きました。悪くないんだけど、良すぎもしない。MANICSにしては普通のアルバムだったのです。

では、この『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』も同じ流れにあるだけに、そういう普通のアルバムなのかというと、実はそうじゃなかったりする。全部が全部、“突き抜けて”いるんです。確かに『SEND AWAY THE TIGERS』にもそういう曲はいくつかあったけど、決してすべてではなかった。が、『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』では1曲1曲の濃度が濃い。ポップな曲もロック度強めで表現されていたり、どこかモータウンを感じさせるカラーがあるのにそれをハードロック調で表現していたりと、どの曲からも過剰さが感じられるのです。

この過剰さって、実はQUEENに通ずるものがあるんじゃないか……実は最初の本作を聴いたときに思い浮かべたのが、まさしくQUEENでした。嫌われ者が国民的バンドにまで成長するという過程もQUEENそのものですしね。

『SEND AWAY THE TIGERS』では覚悟が足りなかった……とは言いませんが、続く『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』で過去を清算したことで、ようやく過渡期を抜けることができたんでしょうね。と、僕が勝手に解釈している作品です。

そういえば、ニッキーは当時のインタビューで「『SEND AWAY THE TIGERS』が俺たちにとっての(AEROSMITHの)『PERMANENT VACATION』なら、次のアルバム(『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』)は俺たちの『PUMP』になる」というようなことを言ってましたが、完成したアルバムを聞くとあながちそれも間違っていなかったようですね。そういう意味では『SEND AWAY THE TIGERS』は当時のMANICSにとって必要な踏み台だったんでしょうね。

とにかく捨て曲なし、どれもシングルカットできるようなポップでキャッチーで、それでいてどこかソリッドさもある良曲ばかり。そうそう、90年代半ば以降のMANICSってそんなバンドだったよね、という当たり前の事実を思い出させてくれる2000年代の名盤です。



▼MANIC STREET PREACHERS『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』
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2017年1月 9日 (月)

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon)(レビュー

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon)(レビュー

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

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