2009/07/18

MANIC STREET PREACHERS「JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS」

MANICSがスティーヴ・アルビニと仕事をすると知ったとき、もうそれだけで勝利は決まっていたと思うし、そのアルバムが“リッチー・エドワーズの遺した詩を使った「THE HOLY BIBLE」の続編”になると聞いて、その思いはさらに強い確信へと変わっていった。そう思ったMANICSファンは多いはずだと思う。

決して前作「SEND AWAY THE TIGERS」は駄作だと思わないし、実際にここ数作の中ではもっともヒットした1枚だと思う。でも、個人的にしっくりこなかった。それだけの話であって、だから2年前のサマソニにも足を運ばなかった。それについては、ちょっとだけ後悔してる部分もあるけど(その後、単独来日公演が実現しなかったからね)。

さて。前作から2年ぶり、通算9作目のオリジナルアルバムとなる本作。「THE HOLY BIBLE」と双子のようなキリキリ/ヒリヒリした重苦しい作品集を期待した人も多いと思うけど、実際にはちょっと違ってた。確かに「THE HOLY BIBLE」やそれ以前の2枚(「GENERATION TERRORISTS」「GOLD AGAINST THE SOUL」)の要素を中心に起きつつ、それ以降……つまり“リッチー不在後”のサウンドも何の臆面もなく、積極的に導入してみせる。ある意味では集大成ともいえる作風で、だけど“あの頃のMANICS”が戻ってきたともいえる内容。そのバランス感であり、説得力は前作にはなかったものだと思う。これは、ある意味“覚悟が違う”んだろうね。そんな気がした。

1曲1曲を取り出して、この曲は○○からの影響が強くて、この○○って曲には「THE HOLY BIBLE」のアノ曲のフレーズが引用されてる、とか。そういうことはこの際どうでもいい。いや、本当はよくないんだけど、ぶっちゃけそんなことがどうでもよくなるほどにMANICSらしいアルバムだなぁ。僕は「KNOW YOUR ENEMY」での“第2のデビューアルバム”感も、「LIFEBLOOD」での“実験しながら迷走”感も大好きだった。だって、そのダメさ加減がいかにもMANICSらしいじゃない、人間らしいくていいじゃない。MANICSってそういうバンドだったじゃないか。“4 REAL”事件も、「30曲入り2枚組デビューアルバムを1位にして解散」発言にしても、その後の解散撤回にしても。そんな愛すべきMANIC STREET PREACHERSが帰ってきた。僕にとってはそう思えるし、「KNOW YOUR ENEMY」→「LIFEBLOOD」→「JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS」という流れは、なんとなく「GENERATION TERRORISTS」→「GOLD AGAINST THE SOUL」→「THE HOLY BIBLE」の流れに共通してる部分がたくさんあると思うんだよね。だからこそ、「SEND AWAY THE TIGERS」というアルバムが(決して悪くはないんだけど)どうにもしっくりこない。ま、結果論でしかないのかもしれないけどさ。

UKツアーでは彼ら、2部構成のライブを行ったんだとか。1部で新作を曲順どおりに全曲披露。2部でおなじみのヒット曲を演奏する構成。そうする必要は絶対にあると思う。今後はどうかわからないけど、今はこの流れでひとつの作品……ぶっちゃけ、日本盤ボーナストラックを除く13曲で1曲なんだと。別にコンセプトアルバムでもなんでもないんだけどね。だけど……わかるよね?

あと数日で、MANICSは再び日本のフェス(NANO-MUGEN)出演のために来日する。今回もフェス、しかも単独公演はなし。恐らく1時間程度のセットリストだろうから、新作完全再現もないだろうし、さっそく新作の曲を数曲取り入れたグレイテストヒッツ的内容になるんだろうね。かなり残念だけど、前回見逃してる分を取り戻したいと思う。当然2日間とも行くし、その翌日のアコースティックセットにも足を運ぶ。こんな機会でもないと、彼らのアコースティックライブなんて観れないからね。

さて……アジカンやスピッツ、the HIATUSを目当てに会場に足を運んだ若い子たちに、この音がどう響くのか。とくと見届けてやろうじゃないですか。

……ということを夕べ書いて用意しておいたんです。そしたら、ね。ご存じのとおり、ニッキーの急病で来日キャンセル。あちゃー。これはもう、完璧な単独公演を待つしかないね。とにかく、ニッキーお大事に。



▼MANIC STREET PREACHERS「JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS」(amazon:日本盤US盤

投稿: 2009 07 18 12:05 午前 [2009年の新譜, MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2007/11/02

MANIC STREET PREACHERS「SEND AWAY THE TIGERS」

2004年リリースの「LIFEBLOOD」から3年ぶりに発表された、MANIC STREET PREACHERSの8thアルバム。2005春からは約1年強のライブ活動休止期間がありましたが、バンドは当初の予定よりも早くレコーディングに突入し(そのおかげで、昨秋に予定されていたジェームスとニッキーのソロ・カップリングツアーは中止となってしまいましたが)、一聴して「これぞマニックス!」とすぐにわかるような力作を届けてくれました。

前作での実験的要素がなくなり、ギターリフありきの楽曲がズラリと並んでいます。全体の構成や作風も、過去の「EVERYTHING MUST GO」あたりを彷彿させるものだし、恐らく多くのファンが望むマニックス像に忠実なロックアルバムに仕上がっていると思います。実際、これだけいきなり聴かされたら、もう「サイコーッ!」と唸ってしまうはず。2008年度のベストアルバム入りも間違いないんじゃないかな?

でも、待って。そうじゃないだろ、と。

僕も最初にこのアルバムを聴いたとき……先行シングルの「Your Love Alone Is Not Enough」や無料配信された「Underdogs」を聴いたときは、思わず興奮して「これこれっ、これを待ってたんだよ!」と手に汗握ったものでした。実際、アルバムを通して聴いたときも、全10曲(国内盤のボーナストラックを除く)とその後に登場するシークレットトラックに鳥肌を立てたりしたものです。

でも、違うんだよ。そうじゃないんだよ。

確かに「SEND AWAY THE TIGERS」は素晴らしいロックアルバムだと思います。けど、マニックスの歴史の中でみれば、このアルバムはそれほど重要じゃない気がするんです。むしろ、これまでのマニックスのサウンドの変遷を考えれば考えるほど、これは単なる過渡期なんじゃないかなぁと思えてくるわけですよ。しかも、無駄に完成度が高いからタチが悪い。思い入れを抜きにすればいいんだろうけど、本当に評価に困ったアルバムだと思います。

彼らはアルバムごとに、その前の作品とは同じことをしていないんですよね。唯一の例外は「EVERYTHING MUST GO」から「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」だけ。この流れは必然を感じさせられたけど(あのときは、ああするしかなかった、みたいな)、今回はなぜこんな「まとめモード/総決算モード」の作風にしてしまったのかなぁ。確かにニューウェイブの要素を取り入れて、打ち込みやらテクノポップやらの色がにじみ出た「LIFEBLOOD」はセールス的に苦戦したし、実際酷評するファンも多かったと聞きます。でも、だからこその冷却期間(活動休止期間)だったんじゃないの。ジェームスもニッキーもソロでそれぞれやりたいことをやってアク抜きをしたと思ったら、「GENERATION TERRORISTS」から「EVERYTHING MUST GO」までの要素(「THE HOLY BIBLE」は例外か)を総括したような内容が出てくるもんだから……確かに大多数のファンには求められているかもしれない、でもそれはMANIC STREET PREACHERSというバンドのスタイルとはまた違ったものなんじゃないの?

聴けば聴くほど、そういう疑問が頭の中をグルグル駆けめぐる。そして彼らに対する熱が少しずつ冷めていく。いや、今でも大ファンだよ。それは間違いない。だけど、さすがにサマソニには行けなかった。後で聞けば、そのセットリストも「いかにもフェス向きのグレイテスト・ヒッツ構成」だったというし。新曲はたった2曲だっけ? フジロックのときでももう少し新曲やってたよね。それ知ったら、さらにガッカリしたなぁ。

結局は単独公演を観てみないと、何も解決しない気がします。俺は別に彼らに対してミーハーなファンというわけじゃないので、そのルックスがどう変化しようが特に気にしません。でも、音や言葉や姿勢に対しては、最後まで貫いてほしいと思うわけです……そこに惹かれてこの15年、ファンを続けてきたわけですから。もしかしたら僕は、マニックスにTHE CLASHを重ねすぎてるのかなぁ。

ホント、ひとつのロックアルバムとしては素晴らしくよく出来た作品なんですよ。だからこそ、歯がゆいわけです。いやいや、もしかしたら僕が初めて「EVERYTHING MUST GO」に接したときみたいに、1年2年と時間を置いたら、このアルバムの意味が見えてくるのかもしれない。でも今は……う〜ん、本当に困った1枚です。



▼MANIC STREET PREACHERS「SEND AWAY THE TIGERS」(amazon:日本盤UK盤

投稿: 2007 11 02 07:38 午後 [2007年の新譜レビュー, MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/04/22

続「GOD SAVE THE MANICS」

マニック・ストリート・プリーチャーズ、新曲3曲を無料配信中!(CDJournal.com)

 夕べあの記事をアップしてから暫くして、とある方から連絡を貰い、無事マニックスの新曲3曲を聴く事ができました。どうもありがとうございました! 夕べからガンガンに聴きまくっております。心身共に疲れ切っていた俺でしたが、この3曲のお陰で完全に生き返りました! ホントだよ!

 さてさて。改めまして上記サイトでも紹介されておりますので。



▼MANIC STREET PREACHERS「GOD SAVE THE MANICS」(official



 というわけで、無事聴くことが出来たお礼といってはなんですが‥‥簡単な感想を書いておこうかと思います。

M-1. A Secret Society
 如何にもマニックスらしい、メランコリック且つ力強いメロを持ったパワーソング。オフィシャルサイトでのスタジオ・ノートには「THE SKIDSやTHE SAINTSをなぞり、NIRVANAのハンドクラップにアクセル・ローズのバッキングボーカル」という、判ったような判らないような説明がありますが‥‥聴けば判りますよね。典型的なマニックス流ロックチューンなんだけど、単なる焼き直しで終ってない。「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」の後に発表された "The Masses Against The Classes" みたいな空気を感じるかな。

M-2. Firefight
 これもある意味で典型的なマニックスナンバー。「EVERYTHING MUST GO」以降のノリを持ったミディアムチューンなんだけど、これも単なる焼き直しで終ってない。むしろ「LIFEBLOOD」に入っていてもおかしくない程の完成度。これ、タダで発表するなんて勿体ないくらい。
 スタジオ・ノートには「ABBA風のピアノ」なんて書いてあるけど、それも頷けるようなメロディはさすがというか。ちなみに作詞はジェイムズだそうです。

M-3. Picturesque
 最も「LIFEBLOOD」の流れを汲む1曲かな。というか新作からのアウトテイク?というには完成度が高過ぎるか。凄くいい曲だなぁ‥‥メロディの泣き具合といい、ギターの泣き具合といい。正に『MANICS meets NEW ORDER』とでもいいたくなる程の名曲。
 つーかこの曲はむしろ歌詞なんじゃないかな‥‥歌詞カードとかないから何とも言えないけど‥‥これってリッチーの残した歌詞を元にしてるのか‥‥ってスタジオ・ノートを読む限りではそう解釈できるよね? 夕べこれ読んで、思わず目頭熱くしちゃったよ‥‥


 改めて3曲を通して聴いた感想は‥‥これ、是非『盤』で発表すべき作品集だよ! これ普通にリリースしたらイギリスで1位取れるんじゃねーの? 勿体ないよ、タダなんて! まぁ要するに、アルバムがタダでさえ素晴らしかったのに、そこに甘んじることなく、更に一歩前に進んでるよな、と。改めて実感したよ、スッゲーバンドだって!

 何やら先日のロンドン公演(4/19)ではこの3曲を収録したCDを来場者に無料配布、更にこの日のライヴをもって暫くの間(今後2年間という話ですが‥‥)ライヴ活動を休止するというマニックス。その2年の間にスタジオ作品をリリースしてくれるのか、それとも単に休んでしまうのか、あるいは各自ソロ活動をするのか‥‥全く今後の彼が想像できません。当然どの夏フェスにも(今のところは)出演する予定もなし。

 「LIFEBLOOD」に伴うプロモーション活動(ライヴツアーを含む)が思いの外短かったこと、そしてそのアルバムが過去の作品程ヒットしなかったこと等いろいろと難しい時期なのかもしれませんが‥‥ここまできたら、とことん続けて欲しいよ。むしろ老いぼれて、カッコ悪く、無様に生き残って欲しいな‥‥その『泥臭さ』こそが、デビュー当時から一環してる『マニックスらしさ』なんじゃないかな、と俺は思うんだけど‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS「LIPSTICK TRACES -A SECRET HISTORY OF MANIC STREET PREACHERS」(amazon

投稿: 2005 04 22 12:48 午前 [2005年の新譜レビュー, MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/04/20

「GOD SAVE THE MANICS」

MANIC STREET PREACHERS、フリーダウンロード・シングル発表(公式)

 「GOD SAVE THE MANICS E.P.」と題されたフリーダウンロード・シングル。完全未発表の3曲が本日20日より上記オフィシャルサイトにてダウンロード開始しております。収録曲は "A Secret Society"、"Firefight"、"Picturesque"。Windows Media Playerを使っての再生となります。

 登録は簡単。名前とメールアドレス、そして「Mobile」(携帯番号?携帯メルアド?」を入力するのみ。すると‥‥

 ‥‥あ、これMac非対応じゃんか‥‥orz

 一応こちらで少々試聴ができるようです。ジャケット写真と各曲の解説もあって、ちょっとしか聴けないMac使いの俺には非常に参考になります。が‥‥単に飢餓感を煽るだけにしかなってない気も。クソーっ。

 あと、トップから入るとポップアップが現れ、そこで「GOD SAVE THE MANICS E.P.」のプロモ盤CDを1,000枚、抽選で配布するとも。これ、イギリス国外もオッケーなんですかね? 

 30秒程度の試聴ですが、1曲目 "A Secret Society" は解説の通り、マニックスらしい力強いロックナンバー。解説にはSKIDS、THE SAINTS、NIRVANA、AXL ROSE(GUNS N'ROSES)、THE LIBERTINESといった名前が登場しますが、要するに「ロックンロール万歳!」な1曲ってことでしょう。

 2曲目 "Picturesque" はアルバム「EVERYTHING MUST GO」時代を彷彿させる(と書いてある)メロウな1曲。新作の路線にも近いものがあるかも。

 そして3曲目 "Picturesque" はサウンド的にも最も新作「LIFEBLOOD」に近い1曲。『Meets New Order』の言葉からもお判りでしょう。そして、その後の1曲を読んで思わず泣きそうに‥‥

 Win使いの皆さんは、是非3曲楽しんでください。そして是非俺にも聴かせてくださいよ!

 改めて‥‥orz

 それにしても、某ビールのテレビCMでは "Everthing Must Go" が起用されたり、新作「LIFEBLOOD」から3枚目のシングルがあるかと思いきや、いきなり全曲未発表曲による、しかもネット上でのフリーダウンロードシングル(Winのみ)を発表という、非常に大胆な行動に出たMANICS。まだあの来日公演から2ヶ月しか経ってないんだよね‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS「EVERYTHING MUST GO」(amazon

投稿: 2005 04 20 09:16 午後 [MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

2005/03/15

MANIC STREET PREACHERS来日公演雑感(2/10&2/13)

 気がつけば、もう1ヶ月以上経っちゃったんですねぇ‥‥ええ、MANIC STREET PREACHERSの来日ツアー終了から。当然ながら俺も東京2公演に足を運んだわけですが‥‥ずっとね、何を書こうかなって悩んでたんですよ。で、悩み続けてたら1ヶ月経っちゃった、と。

 いえね、別に内容が悪かったとか出来が悪かったとか、そういったことじゃないんですよ。むしろ自分にとっては良すぎた位ですから。ホント、特筆すべき点がないくらい、自分にとって理想的な、素晴らしいライヴだったんですよ。

 だけど‥‥ライヴ終わって帰宅して、いろんな人と話したりいろんな人からメール貰ったりしてるうちに、なんだか‥‥いろいろ考えちゃったんですよね。

 勿論、自分の価値観で、自分が観たありのままを書けばいいだけの話なんですが‥‥ただ「良かった」「最高だった」と書いただけの感想でいいのかな、と。全肯定の文章でいいのかな、と。迷いが生じたわけですよ、頂いたメールとか読んで‥‥

 自分はMANICSに関してはここ日本でしか観たことないし、そりゃ海外(特に彼等の地元)で観られれば、それ以上に最高なことはないだろうな、とは思いますよ。日本でやるよりも、母国語の通じる、しかも彼等の生まれ故郷でライヴをやれば、絶対に日本以上に盛り上がるだろうし、それが一番いいというのはどう贔屓目を差し引いたとしても、間違いない事実だと思うわけですよ。

 でも、現時点ではそれ(俺が彼等のライヴをカーディフで観ること)は実現してないし、今後暫くそれが実現する気配もない。だから、俺はこの先もずっと、過去に日本で、自分が観たライヴと比較するしかないんですよ。

 そりゃライヴのブートレグやBS・CS等で放送された海外でのライヴは何度も目にしてますよ。けど、「現場に立ち会う」という意味ではその感想は確実に半減あるいはそれ以下だと思うし、やはり印象に残るという意味では‥‥違うな、と。

 俺は今後もずっと、初めて観た'93年秋の来日公演、久し振りに来日して感極まり、思わず赤坂BLITZのほぼ最前列まで行ってしまった'99年2月、念願の「フジロックでMANICSを観る」が実現した'01年7月、そしてグレイテスト・ヒッツ的内容でお腹いっぱいになった'03年1月のNKホール‥‥そして今回のSHIBUYA-AXとZepp Tokyoを比較対象としていくと思います。そしてそれらのライヴはいつでも自分にとって最高のロックンロール・ライヴだったし、それは今後も変わることはないと思います。

 そんな今回の来日公演ですが、内容的には東京2公演及び大阪名古屋の2公演、選曲は殆ど変わらなかったようです(下記に今回の4公演分のセットリストを載せておきます)。ただ、今回のワールドツアー開始当初と同じように、来日公演初日(SHIBUYA-AX)はあの『MANICS版 "White Riot"』とまで呼ばれる "Motown Junk" が演奏されなかったんですよね。ま、演奏されなかったから最悪かといえば、実は全然そんなことはなかったわけで。むしろ他の曲に圧倒されっぱなしで、俺的にはそんなに違和感を感じなかったんですよ(終わってから「あー結局やんなかったなー」くらいの感想で)。

 だってさ、頭2曲目で "Faster" ですよ!? 前半にいきなり "You Love Us" ですよ!? 心の準備が出来てないっつーの。いや、既にヨーロッパ・ツアーのセットリストはいろいろ目にしていたので、大体どの辺りにどの曲が来るってのは知っていたし、その心の準備も出来ていたはずなんですが、いざその曲名がジェームズの口からコールされると、やっぱりね‥‥失禁寸前なわけですよ(「失神」じゃなくて「失禁」な)。

 それと‥‥これも既に知っていて覚悟は出来てたはずなのに‥‥そう、「THE HOLY BIBLE」からの曲が沢山演奏される件ね。これまでにも'99年、'01年、'03年のツアーで "Yes"、"Faster"、"This Is Yesterday"、"She Is Suffering" といった曲を生で聴いてきていたのに、1度のライヴでここまでやられちゃうと‥‥しかもアコースティックで "Archives Of Pain" までやられちゃうとね(ま、さわりだけなんですが)。「あの時」の来日ツアーが、リッチー失踪を理由に幻に終わってしまい、あれから丸10年経って初めてここ日本で「あの時」が再現された‥‥いや、再現ではないな、ひとり足りないんだし。「再生」されたって言った方が正解かもね。そういう意味で、今回の来日公演ってのは俺にとって非常に重要な意味を持つものなんですよ。だからやれカーディフ公演が良かったとかロンドン公演が良かったとか、海外でのそれと比較されてしまうのは違うんですよ。「ここ日本で観る」ことに意味があるんですよ、今回のツアーは! そこを忘れてる古くからのファン、多くないかい?(絶対に忘れちゃいけないことなのにな)

 って愚痴はまぁこの辺にしておいて‥‥やはり新作からの曲はライヴで盛り上がるって類とは違い、じっくりと聴き入るタイプですよね。だから新曲になると客側のテンションが落ちるように感じられましたが、実際にはみんな聴き入ってたんだよね(多分)。特に "Solitude Sometimes Is"、"I Live To Fall Asleep"、"Cardiff Afterlife" 辺りはね、レコーディングされた『作品』とはまた違った色合いを見せていて、非常に興味深かったなぁ。それとは逆に、"1985" や "Empty Souls" はライヴの方がより迫力が増して、如何にもライヴ向きの曲にシフトチェンジしてたような。ただその反面、"The Love Of Richard Nixon" はライヴ向きではなかったように思います。これは完全に『スタジオ作品』としての完成度が高かったから、それを完璧に再現するか、あるいは全く違ったアレンジにするかでライヴに臨まないとちょっと厳しかったかなぁ‥‥非常に中途半端な印象を受けて、ちょっとノリきれなかった気が。

 代表曲に関しては‥‥全然文句ないです。あれも聴きたかった、これも聴きたかったって声は沢山あるだろうけど、散々過去のツアーで俺は聴いてきてるから。今回のアルバムから入ったファンや今回のツアーで初めて生MANICSを観たって人にとっては、その点は不満かもしれないけどさ。

 そういう意味で、たったワンフレーズだったものの、"R.P.McMurphy" が歌われたZepp Tokyo公演は貴重だったな、と。そりゃビックリですよ、いくらファンから歌ってくれっていうリクエストがあったからとかいっても、まさかここ日本で歌うとは思わないじゃない、しかも2005年に。で、そのままガンズ "Sweet Child O'Mine" イントロときて、やっと東京で演奏された "Motown Junk"‥‥何だかんだいって、やっぱり演奏されたらされたで、我を忘れる程に大興奮するわけですが。そりゃ仕方ないよ、だってリアルタイム世代だもの。同年代だもの。

 名古屋でしか演奏されなかった前作からの "Ocean Spray" とか、やはり最終日・名古屋が一番良い演奏だったとか、いろいろ話は伝え聞いてますが、それでも、それぞれの人にとっては自分が観たライヴが一番に決まってるわけですよ。AXしか観てなかったら、それが一番に決まってるし。俺にはどれが一番よかったとか選べないもの‥‥AXもZeppも、それそれにそれぞれの良さがあったわけだし。客も違ったし、会場(ハコ)も違ったし、メンバーのコンディションも違った。全てが違ってるんだもの、俺には今回のツアーでどっちの方が良かったとは言えないな‥‥残念ながら。

 ただ、前回や過去のツアーと比べると‥‥勢いというか「若さ」みたいなものは完全に失速してるんだけど(これは仕方ないか)、その分これまで以上に哀愁というか深みが備わったかな、と実感しましたね。これは10年前の彼等には絶対に真似できないものだしね(逆にいえば、10年前の「THE HOLY BIBLE」を『再生』することは出来ても、『再現』することは出来ない、と)。

 何度でも言ってやる‥‥本当にいいライヴだったし、やっぱり俺にとって最高のバンドだと。誰が何と言おうと、一番良いライヴだったと断言してやる‥‥

 そして‥‥俺は自分が生きている間に、あと何回MANICSのライヴをこの目で観ることができるのかな‥‥と、この1ヶ月ずっと考えてて。自分の好きな海外のバンドを、こういう風に日本で観ることができることは凄く幸せなことじゃないですか。だってアルバム出したって毎回来るとは限らないし、中にはアルバムが日本で出ただけでもラッキーで来日なんて考えられないようなバンドもいるし。そういう意味で、特に「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」以降、フェスも含めて毎回来日出来ている今の状況は非常に喜ばしいことですよね。そういう意味でも、このバンドの性質を考えれば考える程、切なくなるんですよ‥‥20年、30年続くバンドではないだろうしな、と。いや、あと数年もすれば結成20年を迎えるわけですが、それでもね‥‥きっと両手でこと足りてしまうんじゃないかな‥‥なんて考えるわけです。

 だったら海外にまで足を伸ばそう!っていう人もいるでしょう。けど‥‥俺はそれはしないのね。いや、したいけど出来ないっていう状況もあるし、それ以上に‥‥やはり『日本で観たい』んだよな俺、って思うわけですよ。

 だから‥‥うん、今回は都合で断念しちゃったけど、もし‥‥もし次回の単独ツアーが実現するなら、絶対に全国追っかけたいな、と。仮に、夏にサマソニとかで来ちゃった日には‥‥どうすればいいんだろう? もし別の日にどうしても観たいバンドが出演してしまったら‥‥悔しいだろうなぁ、どっちを見逃したとしても

 ま、まだ現実に決まってないから冗談ぽく言えるんだけど、実際にそんなことが決まってしまった日にゃ‥‥考えるだけで恐ろしいね。

 というわけで‥‥最高なライヴには最高の賛辞を送ろうじゃないか、という至極簡単なことに悩み続けたこの1ヶ月、やはり感動は全く薄らぐことはなく、現時点においても「2005年を代表する名ライヴ」だったと声を大にして言えるわけですよ。


■■「LIFEBLOOD」JAPAN TOUR '05 SETLIST■■

■2/10(木)@SHIBUYA-AX
01. 1985
02. Faster
03. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. The Love Of Richard Nixon
09. Kevin Carter
10. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
11. Die In The Summertime
12. Solitude Sometimes Is
13. The Masses Against The Classes
14. Archives Of Pain [Acoustic。1コーラス目Aメロのみ]
15. Small Black Flowers That Grow In The Sky [Acoustic]
16. You Stole The Sun From My Heart
17. This Is Yesterday
18. I Live To Fall Asleep
19. Cardiff Afterlife
20. Motorcycle Emptinss
21. A Design For Life

■2/12(土)@Zepp Osaka
01. 1985
02. Faster
03. IIf You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. The Love Of Richard Nixon
09. Kevin Carter
10. Die In The Summertime
11. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
12. Solitude Sometimes Is
13. The Masses Against The Classes
14. This Is Yesterday [Acoustic]
15. Small Black Flowers That Grow In The Sky [Acoustic]
16. You Stole The Sun From My Heart
17. I Live To Fall Asleep
18. Motown Junk
19. Cardiff Afterlife
20. Motorcycle Emptinss
21. A Design For Life

■2/13(日)@Zepp Tokyo
01. 1985
02. Faster
03. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. The Love Of Richard Nixon
09. Kevin Carter
10. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
11. Die In The Summertime
12. Solitude Sometimes Is
13. The Masses Against The Classes
14. Archives Of Pain [Acoustic。1コーラス]
15. Small Black Flowers That Grow In The Sky [Acoustic]
16. You Stole The Sun From My Heart
17. I Live To Fall Asleep
18. R.P.McMurphy [サビのみ]
 〜 Sweet Child O'Mine [GN'R : イントロのみ]
 〜 Motown Junk
19. Cardiff Afterlife
20. Motorcycle Emptiness
21. A Design For Life

■2/14(月)@名古屋クラブクアトロ
01. 1985
02. Faster
03. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. Kevin Carter
09. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
10. Die In The Summertime
11. Solitude Sometimes Is
12. The Masses Against The Classes
13. Archives Of Pain [Acoustic。1コーラス]
14. This Is Yesterday [Acoustic]
15. You Stole The Sun From My Heart
16. Ocean Spray
17. Paradise City [GN'R : イントロのみ]
 〜 Motown Junk
18. Cardiff Afterlife
19. Motorcycle Emptinss
20. A Design For Life



▼MANIC STREET PREACHERS「LIFEBLOOD」(amazon

投稿: 2005 03 15 07:51 午後 [2005年のLIVE, MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/02/01

「I Love You.」

 1995年2月1日。彼は滞在先のホテルから、忽然と姿を消してしまいました。たった一言、「I LOVE YOU.」というメモを残して。そして10年経った2005年2月1日現在、その生存さえも確認できないまま‥‥とうとう10年もの月日が経ってしまいました。

 リッチー・ジェイムズ・エドワーズ。MANIC STREET PREACHERSの頭脳であり、カリスマであり、象徴であり、そしてある意味では「膿」のような存在でもあった男。バンドのコンセプトや歌詞の大半を手掛け、サイドギターを担当(が、殆ど弾けないに等しい。正直ステージではもう一方のギタリスト兼シンガーのジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールドの音量が馬鹿デカかったこともあり、ホントに音が出てたのか疑ってた時期もあったけど、確かに弾いてたんだよね。どうしようもなく下手クソだったけど)。

 彼については「とみぃの宮殿」時代に書いた、MANICS初期作品レビューに詳しく載っているので、そこを改めてご覧ください。とりあえず、それを踏まえた上でこの先を読んでもらいたいので‥‥


   ・「STAY BEAUTIFUL EP」('91)
   ・「GENERATION TERRORISTS」('92)
   ・「STARS AND STRIPES」('92)
   ・「GOLD AGAINST THE SOUL」('93)
   ・「THE HOLY BIBLE」('94)
   ・「EVERYTHING MUST GO」('96)


‥‥このくらいまで読めば十分かな? そう、特に「THE HOLY BIBLE」についてよく読んでくださいね‥‥

 さて。昨年秋にMANICS3年半振り、通算7作目となるオリジナル・アルバム「LIFEBLOOD」がリリースされたばかりですが、それから約1ヶ月後の12月。今から約10年前にリリースされたMANICSのサード・アルバム「THE HOLY BIBLE」のスペシャル・エディション盤が発表されました。所謂「10th Anniversary Edition」ってやつです。最近多いですよね? ま、確かに1994年というのは(何度も言うようだけど)音楽界においていろんな意味でターニングポイントとなった年ですからね。OASISやジェフ・バックリーの作品も10th Anniversary盤が出ましたが、MANICSの場合はちょっと意味合いが違ってくるんですよね‥‥だって、この「THE HOLY BIBLE」を境に全てが変わってしまったんですから‥‥このアルバムを生み出したことで失ったもの/得たものが大き過ぎるんですよ。

 得たもの‥‥それは勿論、続くアルバム「EVERYTHING MUST GO」以降の、国民的大ヒットでしょう。シングルは出せば必ずトップ20入りし、とうとうナンバー1シングルまで生み出してしまう。アルバムも出せば必ず1位(あるいは2位)を記録。ツアーも大盛況で、フェスティバル等ではヘッドライナーも務めた。あの憎まれっ子だったバンドが、イギリスを代表するバンドにまで成長してしまったんですからね。

 と同時に、失ったもの‥‥これは先にも書いたように、リッチーの喪失。彼を失うことで、バンドは(ある意味では)別のものになってしまった。これは間違いない事実なんですよ。既に「3人編成」時代しか知らないファンも多いでしょうけど、間違いなくMANICSというバンドは4人でスタートしたバンドだし、ステージ上には未だにリッチーの居場所(ステージ向かって左側には未だに一人分のスペース)があるんですよね。10年経った今でも‥‥

 今回リリースされた「THE HOLY BIBLE : 10th Anniversary Edition」はCD 2枚組+DVDという3枚組仕様。CDの方は英国盤(及び日本盤)をリマスターしたものに、ライヴテイクを数曲プラスしたディスク1。当時アメリカ用にリミックスしたにも関わらず、結局リッチーの事件があってお蔵入りになっていた「US MIX」版のアルバム+ライヴテイク&ラジオ用音源のディスク2。そしてDVDには当時のテレビ出演時のライヴ映像やレディング、グラストンベリー・フェス出演時の貴重な映像、更には今回新たに制作された "Yes" や "Judge Yr'Self" 等のPV(隠しトラックで "Faster"、"Revol"、"She Is Suffering" のPVも収録)、そして2004年のMANICS 3人が語る「THE HOLY BIBLE」制作時の裏側回想インタビューを含む約90分。濃い。とにかく濃過ぎる内容。初期からのファンなら涙モノの内容だし(リッチーを含む編成に涙し、その一言一言に涙し、そして10年前と今の風貌の違いに涙する)、今しか知らない若いファンには貴重な映像満載になってるはず。

 思えば、リッチー在籍時の映像作品って公式リリースされてないんですよね。PV集のみで。そういう意味で、一番バンドとして脂の乗ってる時期、そして一番混沌としてた時期を捉えた映像集は、何をしてでも手に入れたいものですよ‥‥限定生産だもん、今のうちに買っておかないと、直ぐに廃盤になっちゃうよ?

 さてさて‥‥音源の方については、今更語るべきことはないよね。既に「とみ宮」時代に語り尽くしてるし。ま、ディスク1の方はリマスターによって確かに音がクッキリした印象があるかな。けどもともとザラついた音像が売りの作品なので、これ以上手を加えるのは止めた方がいいかな、と。これを最後にして欲しいな、個人的には。

 そういう意味では、10年間眠り続けていた「US MIX」盤が今回の目玉になるわけですが‥‥これが兎に角凄い、いろんな意味で。あんなに「パンク」な作品が、こんなに正統派ロックアルバムに変わってしまってるんだから。いや、勿論いい意味でね。凄く聴きやすくなってるよね。ドラムやギター、ベースにボーカル。全てのパートの輪郭がクッキリしてて、独立してる。UK盤はそれらが混ざり合ってドロドロした作風だったのに、US盤ではその辺がしっかり整理されて、力強いロックアルバムに進化してる。あー、これ当時出てたらきっとオリジナル盤の方で苦手意識を持った人とか、聴きやすくて喜んだんじゃないかなぁ‥‥って思ったりして。勿論、全部が全部いい方向に作用してるわけじゃなくて、中にはUKミックスの方が優れてる曲もあるのね。その辺はDVDでジェイムズやニッキーが挙げてる曲名に同意です。DVD観る前にCD聴いて、俺も全く同じことを感じてたから。とりあえず、先入観なしでひと通りCDを聴き比べてからDVDを観て、納得してください。

 ‥‥これくらいでいい? とにかく俺にとって「THE HOLY BIBLE」という作品は、自分の生涯においても非常に重要な作品だし、今でも史上最強のロックアルバム・トップ5の上位に君臨してるわけ。その作品について何度も語るっていうのはちょっと‥‥こそばゆいというか、イイものはイイんだから無駄口叩く前に聴けや!とか思ったり、とにかく変な感じなのよ。何だろ‥‥確かに「もっと多くの人に聴いて欲しい!」っていう気持ちがあるのと同時に、あまりこの作品の魅力というか本質的な部分を大勢の人間と共有したくないっていう我が儘な気持ちもあってね‥‥正反対なことを言ってるけど、理解してもらえるのかな‥‥それくらい、自分にとって特別な作品であって、特殊な存在なのよ。

 多分、自分が1994年晩夏に聴いた時の想いを完全に伝えるのは難しいと思うし、それを同じことを感じ取って欲しいとも思わない。だけど、純粋に優れたパンク/ロックンロール・アルバムとして楽しんで欲しい‥‥そういう気持ちはある。無茶苦茶なこと言ってるけどね。要するに‥‥聴いたアナタが判断すればいいことですよ。



▼MANIC STREET PREACHERS「THE HOLY BIBLE : 10th Anniversary Edition」(amazon

投稿: 2005 02 01 01:06 午前 [MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/01/27

MANIC STREET PREACHERS「LIFEBLOOD」

 遅ればせながら、MANIC STREET PREACHERSの通算7作目のアルバム(冷静に考えて、誰がデビュー当時彼等が7枚も、それぞれ個性的なアルバムを作るなんて想像したでしょう?)「LIFEBLOOD」についていろいろ書いてみたいと思います。10月末のリリースタイミングを逃し(というかその頃ってまだこのブログ、一般公開してなかったし)、本当は年末の「MY BEST OF 2004」公開に併せて書こうと思ってたんですが、想像してた以上にプライベートが忙しかったもんでね‥‥結局来日直前のタイミングになっちゃいましたよ。ま、ある意味ではこれでよかったのかな、とも思うんですが。

 オリジナルアルバムでいうところの前作「KNOW YOUR ENEMY」の発表が2001年3月。約3年半振りの新作ということで、MANICSにしてはかなり長いブランクだったといえますが、個人的にはそこまで長いブランクとは感じてなくて。というのも、その3年半の間にベストアルバムと2枚組B面曲集がそれぞれ2002年、2003年にリリースされているし、来日も2度、2001年夏のフジロックと2003年1月のベスト盤ツアーで来てくれてるから、そこまでの飢餓感ってのはなかったのね。考えてみて。古いファンなら「THE HOLY BIBLE」以降、ああいう不幸な出来事があって活動休止して、そして大ヒット作「EVERYTHING MUST GO」の時は来日せず、結局1993年秋以降次の来日まで5年半近く待たされたんだから‥‥それを思えば、この状況はまだマシだよね。いや、マシどころか歓迎すべきというか。

 さてさて。そんな前振りはこの辺にしておいて。作品について書いてみましょう。

 まずこのアルバム、作風としては前作「KNOW YOUR ENEMY」の延長線上ではなく、むしろそれ以降‥‥ベスト盤に収録された新曲群("There By The Grace Of God"、"Door To The River")の流れを組む楽曲集になっていると言えるでしょう。打ち込みと同期したバンドプレイ、ヒンヤリとした質感、感情の盛り上がりを抑えた中音域での歌唱、等。ポップな作風は代表作といえる4th「EVERYTHING MUST GO」や5th「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」の流れにあるといえるでしょうけど、そこともまた違う地平にたどり着いたかな、と。ただポップで穏やかなだけじゃないんですよね、今度のアルバムは。

 アレンジ等の装飾部分に関して言えば、ふたつの流れがあると思います。ひとつは制作中にメンバーが聴いていたというDEPECHE MODEやNEW ORDER(JOY DIVISIONもか)、「ベルリン三部作」時代のデヴィッド・ボウイ(思えばベスト盤ツアー時のオープニングSEはそのボウイの「LOW」でしたしね)からの影響と思わしき、エレクトロ・ポップ路線。プロデューサー陣にその方面の方々を迎えていることも大きいでしょう。ただ、完全な打ち込み方向へは進まず、あくまでも「バンド演奏の装飾としての同期プレイ」という姿勢は崩しておらず、そういう意味で未だに「ロックバンド」としての拘りみたいなものが感じられるかな。

 そしてもうひとつが、恐らくMANICSのメンバー自身が上記のようなバンド達と同じように影響を受けた'80年代初〜中盤に活躍した、ニューウェーブ〜ギターロックバンドからの影響。U2やTHE CURE、ECHO & THE BUNNYMEN等‥‥勿論それらからの影響はこれまでの作品からも垣間見ることができましたが、ここでは更に際だっているように感じられます。轟音系のギターが大幅に後退し、エフェクターを使いまくり、コードストロークよりもアルペジオ等のフレーズを駆使したギタープレイに、そういった要素が見出せるのではないでしょうか。個人的にはこれまであまり感じられなかった初期U2辺りからの影響を見つけることができたのは、かなり大きな収穫かな。

 歌の面に関しても、これまでの作品にあったような高音域でのシャウトや絶叫・絶唱がなくなり、おちついた歌い方や、新境地といえる低音域での歌唱等、今まで以上に冒険が感じられます。前作がどちらかというと原点回帰的なモチベーションで即興的に作られたようなイメージが強いのに対し、この「LIFEBLOOD」はより練り込まれた、作り込まれたイメージが強いですよね。歌詞の面にしろ、歌の面にしろ、そして全体的なスタイルにしろ。過去の作品をみても、1枚ポップな作品集を作ると、その反動で次が攻撃的でギラギラした作風になる、というような振り幅をみせてきてます(過去、同じような作風を連続で発表したのは、4th〜5thの流れのみ)。そういう意味でも、実は前作がリリースされた時点で、「やっぱりここまで(攻撃的に)やり尽くしちゃうと、次は落ち着いた路線なのかな?」と思っていた人は多いと思います。そしてベスト盤に収録された新曲を聴いて、その考えはあながち間違ってないことに気づくわけですよ。

 最初にシングル曲である "The Love Of Richard Nixon" を聴いた時は、さすがに衝撃を受けましたね。いい意味/悪い意味でいえば、俺は断然いい意味でだったんですが。けど中には悪い方に捉えた人も多かったみたいですね。攻撃的でパンキッシュなギターロックを期待してた人も、そして「EVERYTHING MUST GO」や「THIS IS MY TRUTH〜」路線を期待してた人も裏切るような、エレクトロ・ポップでしたからね。さらにギターは相当音数少ないし、暴れまくってない。単なる装飾品としての引っ込んだプレイだし、ボーカルも低音域とファルセットによるダブルボイスで、これまでとは完全に一線を画する作風。そりゃ、従来のMANICSを期待してた人からは苦情が挙がるはずだわ。けど、これを聴いて「MANICSぽくない」と感じたかというと、決してそんなことはないわけですよ。どこからどう聴いてもMANICSの楽曲そのものなわけですよ。この辺はもう、個々の価値観だったり、MANICSというバンドに対して求めるものだったり、個人の許容範囲(音楽の趣味)の問題ですよね‥‥まぁ盲目的に「MANICSなら何でもあり!」という人は別としてさ。

 アルバムは想像してた以上の内容でしたよ、個人的には。もっと全面的にエレクトロ寄りなのかと思ったけど、良い意味で2nd「GOLD AGAINST THE SOUL」や4th〜5thの流れを組みつつ、今の彼等にしか生み出せない要素を見事に融合させた、非常に素晴らしい作品集だと思ってるし、下手すると過去の作品の中でもかなりの上位に位置する程に好きな1枚ですよ。俺、「THE HOLY BIBLE」を別とすると、一番好きなアルバムって2ndか5thですからね。そういう意味では、それらの作品集を気に入っているという人には好意的に受け入れられるアルバムじゃないかな。ただ、攻めの要素が希釈なため、「MANICSはこうでなきゃ」という固定観念を頭に強く描いている人にはちょっと厳しい作品かもしれませんね(実際にそういう声、よく聴くし)。

 今のイギリスの流れ(COLDPLAYを始め、KEANEやSNOW PATROLといったバンド達がもてはやされる現状)を考えれば、これでもか!?ってくらいにフィットする作品であり、実際これまでにリリースしたシングル2枚("The Love Of Richard Nixon"、"Empty Souls")はどちらもチャートで上位入りしたものの、アルバムは何故か初登場13位(注釈:1位と書きましたが、どうやら13位だったみたいです。どこかで1位と読んだ気がしたんだけど‥‥)」。ライヴの方は大盛況みたいで、先日の地元・カーディフでのチャリティ・ライヴには英国過去最大の61,000人が集まったそうですよ。まぁそこには上に書いたようなKEANEやSNOW PATROLといったバンドも出演してたわけですが。

 それにひきかえ、日本での状況ときたら‥‥悲惨な有様ですよ。何だろう‥‥MANICSが日本で盛り上がるには、あと5年くらい必要なのかな‥‥あの「デビューアルバム1枚を全世界で1位にさせて解散する」とほざいた若造共が、20年も第一線で活躍しちまったぜ、ってな状況にでもならないとさ‥‥メディアも盛り上げ辛いのかな。精神構造とか、非常に難解なバンドだしな。

 そんな俺も、初めて彼等と英国で出会ってから、もう干支が一回り以上しちゃいましたよ。当時ハタチだった俺も、今や30代。ま、彼等とほぼ同年代だし、当たり前の話なんですが。

 もうすぐ、「あれ」から10年‥‥「彼」は今、このアルバムをどこかでちゃんと聴いてくれてるのかな‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS「LIFEBLOOD」(amazon:日本盤/:UK盤

投稿: 2005 01 27 12:00 午前 [MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/01/26

「Tsunami」

Manic Street Preachers チャリティ・コンサートで巨額の義援金を集める!(VIBE-NET.COM)

 現地時間の1/22(土)に開催された、スマトラ島地震・インド洋大津波に対するチャリティ・コンサート。MANICSの他にはSNOW PATROL、KEANE、GOLDIE LOOKIN' CHAIN等という俺好みのバンドばかりがノーギャラで出演。しかもUK始まって以来最大(61,000人!)のチャリティ・コンサートだったらしく、義援金も約2億円ですよ‥‥はぁ。何だかMANICSがこういうイベントを先頭に立ってやるっていうの、デビュー当初には考えられなかったよなぁ。いや、そういうのをしないスタイルのバンドだとか冷たい奴らだって意味じゃなくて、何となくそういう事とは縁遠いイメージがあったからさ。

 ちなみに当日MANICSが演奏したのは、以下の通りだそうです。

   1. Motorcycle Emptiness
   2. You Stole The Sun From My Heart
   3. Empty Souls
   4. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
   5. A Design For Life

 自分のラジオでもネタにしたけど、やはりこの時期に "Tsunami" を演奏するのは不謹慎だよな。俺は「恐らく来日公演で演奏しないだろうから‥‥」って意味を込めて先日のラジオで流したわけだけどさ。決してシャレとかそういう冗談でかけたわけじゃないよ。

 つーかさ。冗談でもそういうので笑っちゃいけないでしょ。相手の側に立ったら、絶対に笑えないし、冗談には出来ないよな。これが地震を唄った歌だったらダメで、津波や飛行機事故だったらOKとか、そういうことじゃないでしょ?

 勿論、最後に「歌う/歌わない」を選択するのは、アーティスト本人ですよ。そういう強制的な規制はあってはならないしね。俺はMANICSが「今だからこそ歌う」と宣言するのであれば、(それが道理的に間違っていない限り)その考えを支持しますよ。けど、お前等外野がネタにするな、と。

 ‥‥って俺は誰に向かって怒ってるんだ‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」("Tsunami" 収録)(amazon

投稿: 2005 01 26 02:00 午前 [MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/30

とみぃ洋楽100番勝負(73)

●第73回:「Motown Junk」 MANIC STREET PREACHERS ('91)

 まさかこのバンドがこんなに長続きするとは。そして未だにファンを続けているとは。というかむしろ、今現在最も大切なバンドになっていようとは。初めてあの「4 REAL写真」(リッチー・ジェームズがカミソリで腕に「4 REAL(俺達4人はホンモノだ)」と切り込んだ、有名な出来事)を観た時、そして初めて "You Love Us" のPVを観た時は考えもしなかったよなぁ‥‥出会いなんてものは、案外そんなものなのかもしれないね。

 '92年初頭にイギリスでホームステイをして、そこで1stアルバムを手にして。ガツンとやられて。帰国して当時手に入れられるだけの音源を全部探しまわって。その中にこの "Motown Junk" という、彼等の知名度アップに一役買った1曲が含まれていて。

 単なるバカパンクソングなんだよね、曲自体は。言い切ってしまえば、THE CLASHの現代版。いや、そのサウンドプロダクションとかプレイの拙さからは、完全に「1991年」という時代性は伝わってこなかったけどさ。そして歌詞。やはり話題になった「ジョン・レノンが死んだ時は笑っちまったよ。これまでの俺の人生にとって、何の意味もなさなかったんだから」という一節。THE WHOの「年老いる前に死んでしまいたい」とか、THE CLASHの「1997年にはプレスリーもビートルズもストーンズも必要ない」以上にリアルに響いたんだよ、俺に。やはり同時代に生きる、同年代の奴らが歌ってたからかな‥‥勿論ジョン・レノンは当時の自分にとって非常に大切なアーティストだったんだけど、全然起こる気にはならなかったし、むしろいろんな意味でショックを受けたかな。

 マニックスは今でもこの曲を演奏し続けています。というか、演奏しな日はないんじゃないかな。それはマニックスにとってこの曲が「"White Riot" みたいな曲」だからなんだよね(THE CLASHの曲で、ジョー・ストラマーは「この曲を演奏しなくなった日こそ、THE CLASH最後の日だ」という位にバンドのアイデンティティを端的に表した1曲なんじゃないかな)。

 マニックスで一番好きな曲は別に沢山あるんだけど、今でも「マニックスを一番よく表してる曲は?」と聞かれたら、そして「俺にとって、マニックスを十二分に表現してる1曲は?」と自問自答したら、間違いなくこの "Motown Junk" を挙げると思う。今でもそれくらい大切な1曲。



▼MANIC STREET PREACHERS「FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS」(amazon

投稿: 2004 10 30 12:00 午前 [100番勝負, MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/11

THE LOVE OF RICHARD NIXON

 MANIC STREET PREACHERSの新曲 "The Love Of Richard Nixon" のPVがこちらでご覧になれます。

 とにかく衝撃の1曲でしょうね。未だに「マニックス=バカパンク」と勘違いしてる方々にキツいカウンターを食らわすであろう作風といいましょうか。

 アルバムジャケットのイメージから、NEW ORDERやDEPECHE MODEを彷彿させますが、正にそんな音。実際レコーディング中、彼等は上記2バンドの作品をよく聴いていたと言ってますし。トニー・ヴィスコンティを選んだのも、ボウイのベルリン3部作的なものを狙ったからなんでしょうしね(事実、マニックスは前回のベスト盤ツアーのオープニングS.E.にボウイの「LOW」を選んでましたし)。

 レゲエやダブを選ばずに、こういう方向に進んだマニックス。これも2004年のパンクの在り方なのかな、と。とにかくあと10日。アルバムへの期待が更に高まりましたね。



▼MANIC STREET PREACHERS「LIFEBLOOD」(amazon

投稿: 2004 10 11 04:52 午後 [MANIC STREET PREACHERS] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック