2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer] | 固定リンク

2015/01/13

祝ご成人(1994年4月〜1995年3月発売の洋楽アルバム20枚) ※改訂版

新成人の皆さん、おめでとうございます。というわけで今回は、新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1994年4月〜1995年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

あ、並びはすべてアルファベット順です。

Beastie Boys「Ill Communication」(Amazon

Blur「Parklife」(Amazon

Dinosaur Jr.「Without a Sound」(Amazon

Helmet「Betty」(Amazon

Jeff Buckley「Grace」(Amazon

Korn「Korn」(Amazon

Machine Head「Burn My Eyes」(Amazon

Madonna「Bedtime Stories」(Amazon

Manic Street Preachers「The Holy Bible」(Amazon

Nine Inch Nails「The Downward Spiral」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Oasis「Definitely Maybe」(Amazon

Pearl Jam「Vitalogy」(Amazon

Pink Floyd「The Division Bell」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Portishead「Dummy」(Amazon

The Prodigy「Music for the Jilted Generation」(Amazon

R.E.M.「Monster」(Amazon

Radiohead「The Bends」(Amazon

Slayer「Divine Intervention」(Amazon

Suede「Dog Man Star」(Amazon

Weezer「Weezer (The Blue Album)」(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。それこそThe Beatlesの「Live at the BBC」、The Rolling Stones「Voodoo Lounge」、Nirvana「MTV Unplugged in New York」、The Stone Roses「Second Coming」といったものから、Marilyn Mansonのデビュー作「Portrait of an American Family」、Sloan「Twice Removed」、Sick of It All「Scratch the Surface」、The The「Hanky Panky」、Bonston「Walk On」、TLC「CrazySexyCool」、Van Halen「Balance」、Beck「Mellow Gold」あたりまで。カート・コバーンが亡くなって20年なんですね。そう考えると20年なんてあっという間ですよ、本当に。

※1/13 17:40加筆修正
Nine Inch Nails「The Downward Spiral」という個人的に絶対に欠かせないアルバムの存在を思い出させてくれたいっしーさんに感謝。というわけで、セレクトを一部改訂しております。

投稿: 2015 01 13 12:06 午前 [1994年の作品, 1995年の作品, Manic Street Preachers, Nine Inch Nails, 「20年前」] | 固定リンク

2009/07/18

MANIC STREET PREACHERS『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』(2009)

MANICSがスティーヴ・アルビニと仕事をすると知ったとき、もうそれだけで勝利は決まっていたと思うし、そのアルバムが“リッチー・エドワーズの遺した詩を使った「THE HOLY BIBLE」の続編”になると聞いて、その思いはさらに強い確信へと変わっていった。そう思ったMANICSファンは多いはずだと思う。

決して前作「SEND AWAY THE TIGERS」は駄作だと思わないし、実際にここ数作の中ではもっともヒットした1枚だと思う。でも、個人的にしっくりこなかった。それだけの話であって、だから2年前のサマソニにも足を運ばなかった。それについては、ちょっとだけ後悔してる部分もあるけど(その後、単独来日公演が実現しなかったからね)。

さて。前作から2年ぶり、通算9作目のオリジナルアルバムとなる本作。「THE HOLY BIBLE」と双子のようなキリキリ/ヒリヒリした重苦しい作品集を期待した人も多いと思うけど、実際にはちょっと違ってた。確かに「THE HOLY BIBLE」やそれ以前の2枚(「GENERATION TERRORISTS」「GOLD AGAINST THE SOUL」)の要素を中心に起きつつ、それ以降……つまり“リッチー不在後”のサウンドも何の臆面もなく、積極的に導入してみせる。ある意味では集大成ともいえる作風で、だけど“あの頃のMANICS”が戻ってきたともいえる内容。そのバランス感であり、説得力は前作にはなかったものだと思う。これは、ある意味“覚悟が違う”んだろうね。そんな気がした。

1曲1曲を取り出して、この曲は○○からの影響が強くて、この○○って曲には「THE HOLY BIBLE」のアノ曲のフレーズが引用されてる、とか。そういうことはこの際どうでもいい。いや、本当はよくないんだけど、ぶっちゃけそんなことがどうでもよくなるほどにMANICSらしいアルバムだなぁ。僕は「KNOW YOUR ENEMY」での“第2のデビューアルバム”感も、「LIFEBLOOD」での“実験しながら迷走”感も大好きだった。だって、そのダメさ加減がいかにもMANICSらしいじゃない、人間らしいくていいじゃない。MANICSってそういうバンドだったじゃないか。“4 REAL”事件も、「30曲入り2枚組デビューアルバムを1位にして解散」発言にしても、その後の解散撤回にしても。そんな愛すべきMANIC STREET PREACHERSが帰ってきた。僕にとってはそう思えるし、「KNOW YOUR ENEMY」→「LIFEBLOOD」→「JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS」という流れは、なんとなく「GENERATION TERRORISTS」→「GOLD AGAINST THE SOUL」→「THE HOLY BIBLE」の流れに共通してる部分がたくさんあると思うんだよね。だからこそ、「SEND AWAY THE TIGERS」というアルバムが(決して悪くはないんだけど)どうにもしっくりこない。ま、結果論でしかないのかもしれないけどさ。

UKツアーでは彼ら、2部構成のライブを行ったんだとか。1部で新作を曲順どおりに全曲披露。2部でおなじみのヒット曲を演奏する構成。そうする必要は絶対にあると思う。今後はどうかわからないけど、今はこの流れでひとつの作品……ぶっちゃけ、日本盤ボーナストラックを除く13曲で1曲なんだと。別にコンセプトアルバムでもなんでもないんだけどね。だけど……わかるよね?

あと数日で、MANICSは再び日本のフェス(NANO-MUGEN)出演のために来日する。今回もフェス、しかも単独公演はなし。恐らく1時間程度のセットリストだろうから、新作完全再現もないだろうし、さっそく新作の曲を数曲取り入れたグレイテストヒッツ的内容になるんだろうね。かなり残念だけど、前回見逃してる分を取り戻したいと思う。当然2日間とも行くし、その翌日のアコースティックセットにも足を運ぶ。こんな機会でもないと、彼らのアコースティックライブなんて観れないからね。

さて……アジカンやスピッツ、the HIATUSを目当てに会場に足を運んだ若い子たちに、この音がどう響くのか。とくと見届けてやろうじゃないですか。

……ということを夕べ書いて用意しておいたんです。そしたら、ね。ご存じのとおり、ニッキーの急病で来日キャンセル。あちゃー。これはもう、完璧な単独公演を待つしかないね。とにかく、ニッキーお大事に。



▼MANIC STREET PREACHERS『JOURNAL FOR PLAGUE LOVERS』
(amazon:日本盤海外盤

投稿: 2009 07 18 12:05 午前 [2009年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2007/11/02

MANIC STREET PREACHERS『SEND AWAY THE TIGERS』(2007)

2004年リリースの「LIFEBLOOD」から3年ぶりに発表された、MANIC STREET PREACHERSの8thアルバム。2005春からは約1年強のライブ活動休止期間がありましたが、バンドは当初の予定よりも早くレコーディングに突入し(そのおかげで、昨秋に予定されていたジェームスとニッキーのソロ・カップリングツアーは中止となってしまいましたが)、一聴して「これぞマニックス!」とすぐにわかるような力作を届けてくれました。

前作での実験的要素がなくなり、ギターリフありきの楽曲がズラリと並んでいます。全体の構成や作風も、過去の「EVERYTHING MUST GO」あたりを彷彿させるものだし、恐らく多くのファンが望むマニックス像に忠実なロックアルバムに仕上がっていると思います。実際、これだけいきなり聴かされたら、もう「サイコーッ!」と唸ってしまうはず。2008年度のベストアルバム入りも間違いないんじゃないかな?

でも、待って。そうじゃないだろ、と。

僕も最初にこのアルバムを聴いたとき……先行シングルの「Your Love Alone Is Not Enough」や無料配信された「Underdogs」を聴いたときは、思わず興奮して「これこれっ、これを待ってたんだよ!」と手に汗握ったものでした。実際、アルバムを通して聴いたときも、全10曲(国内盤のボーナストラックを除く)とその後に登場するシークレットトラックに鳥肌を立てたりしたものです。

でも、違うんだよ。そうじゃないんだよ。

確かに「SEND AWAY THE TIGERS」は素晴らしいロックアルバムだと思います。けど、マニックスの歴史の中でみれば、このアルバムはそれほど重要じゃない気がするんです。むしろ、これまでのマニックスのサウンドの変遷を考えれば考えるほど、これは単なる過渡期なんじゃないかなぁと思えてくるわけですよ。しかも、無駄に完成度が高いからタチが悪い。思い入れを抜きにすればいいんだろうけど、本当に評価に困ったアルバムだと思います。

彼らはアルバムごとに、その前の作品とは同じことをしていないんですよね。唯一の例外は「EVERYTHING MUST GO」から「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」だけ。この流れは必然を感じさせられたけど(あのときは、ああするしかなかった、みたいな)、今回はなぜこんな「まとめモード/総決算モード」の作風にしてしまったのかなぁ。確かにニューウェイブの要素を取り入れて、打ち込みやらテクノポップやらの色がにじみ出た「LIFEBLOOD」はセールス的に苦戦したし、実際酷評するファンも多かったと聞きます。でも、だからこその冷却期間(活動休止期間)だったんじゃないの。ジェームスもニッキーもソロでそれぞれやりたいことをやってアク抜きをしたと思ったら、「GENERATION TERRORISTS」から「EVERYTHING MUST GO」までの要素(「THE HOLY BIBLE」は例外か)を総括したような内容が出てくるもんだから……確かに大多数のファンには求められているかもしれない、でもそれはMANIC STREET PREACHERSというバンドのスタイルとはまた違ったものなんじゃないの?

聴けば聴くほど、そういう疑問が頭の中をグルグル駆けめぐる。そして彼らに対する熱が少しずつ冷めていく。いや、今でも大ファンだよ。それは間違いない。だけど、さすがにサマソニには行けなかった。後で聞けば、そのセットリストも「いかにもフェス向きのグレイテスト・ヒッツ構成」だったというし。新曲はたった2曲だっけ? フジロックのときでももう少し新曲やってたよね。それ知ったら、さらにガッカリしたなぁ。

結局は単独公演を観てみないと、何も解決しない気がします。俺は別に彼らに対してミーハーなファンというわけじゃないので、そのルックスがどう変化しようが特に気にしません。でも、音や言葉や姿勢に対しては、最後まで貫いてほしいと思うわけです……そこに惹かれてこの15年、ファンを続けてきたわけですから。もしかしたら僕は、マニックスにTHE CLASHを重ねすぎてるのかなぁ。

ホント、ひとつのロックアルバムとしては素晴らしくよく出来た作品なんですよ。だからこそ、歯がゆいわけです。いやいや、もしかしたら僕が初めて「EVERYTHING MUST GO」に接したときみたいに、1年2年と時間を置いたら、このアルバムの意味が見えてくるのかもしれない。でも今は……う〜ん、本当に困った1枚です。



▼MANIC STREET PREACHERS『SEND AWAY THE TIGERS』
(amazon:日本盤UK盤

投稿: 2007 11 02 07:38 午後 [2007年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/04/22

MANIC STREET PREACHERS『GOD SAVE THE MANICS』(2005)

マニック・ストリート・プリーチャーズ、新曲3曲を無料配信中!(CDJournal.com)

 夕べあの記事をアップしてから暫くして、とある方から連絡を貰い、無事マニックスの新曲3曲を聴く事ができました。どうもありがとうございました! 夕べからガンガンに聴きまくっております。心身共に疲れ切っていた俺でしたが、この3曲のお陰で完全に生き返りました! ホントだよ!

 さてさて。改めまして上記サイトでも紹介されておりますので。


というわけで、無事聴くことが出来たお礼といってはなんですが‥‥簡単な感想を書いておこうかと思います。

M-1. A Secret Society
 如何にもマニックスらしい、メランコリック且つ力強いメロを持ったパワーソング。オフィシャルサイトでのスタジオ・ノートには「THE SKIDSやTHE SAINTSをなぞり、NIRVANAのハンドクラップにアクセル・ローズのバッキングボーカル」という、判ったような判らないような説明がありますが‥‥聴けば判りますよね。典型的なマニックス流ロックチューンなんだけど、単なる焼き直しで終ってない。「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」の後に発表された "The Masses Against The Classes" みたいな空気を感じるかな。

M-2. Firefight
 これもある意味で典型的なマニックスナンバー。「EVERYTHING MUST GO」以降のノリを持ったミディアムチューンなんだけど、これも単なる焼き直しで終ってない。むしろ「LIFEBLOOD」に入っていてもおかしくない程の完成度。これ、タダで発表するなんて勿体ないくらい。
 スタジオ・ノートには「ABBA風のピアノ」なんて書いてあるけど、それも頷けるようなメロディはさすがというか。ちなみに作詞はジェイムズだそうです。

M-3. Picturesque
 最も「LIFEBLOOD」の流れを汲む1曲かな。というか新作からのアウトテイク?というには完成度が高過ぎるか。凄くいい曲だなぁ‥‥メロディの泣き具合といい、ギターの泣き具合といい。正に『MANICS meets NEW ORDER』とでもいいたくなる程の名曲。
 つーかこの曲はむしろ歌詞なんじゃないかな‥‥歌詞カードとかないから何とも言えないけど‥‥これってリッチーの残した歌詞を元にしてるのか‥‥ってスタジオ・ノートを読む限りではそう解釈できるよね? 夕べこれ読んで、思わず目頭熱くしちゃったよ‥‥


 改めて3曲を通して聴いた感想は‥‥これ、是非『盤』で発表すべき作品集だよ! これ普通にリリースしたらイギリスで1位取れるんじゃねーの? 勿体ないよ、タダなんて! まぁ要するに、アルバムがタダでさえ素晴らしかったのに、そこに甘んじることなく、更に一歩前に進んでるよな、と。改めて実感したよ、スッゲーバンドだって!

 何やら先日のロンドン公演(4/19)ではこの3曲を収録したCDを来場者に無料配布、更にこの日のライヴをもって暫くの間(今後2年間という話ですが‥‥)ライヴ活動を休止するというマニックス。その2年の間にスタジオ作品をリリースしてくれるのか、それとも単に休んでしまうのか、あるいは各自ソロ活動をするのか‥‥全く今後の彼が想像できません。当然どの夏フェスにも(今のところは)出演する予定もなし。

 「LIFEBLOOD」に伴うプロモーション活動(ライヴツアーを含む)が思いの外短かったこと、そしてそのアルバムが過去の作品程ヒットしなかったこと等いろいろと難しい時期なのかもしれませんが‥‥ここまできたら、とことん続けて欲しいよ。むしろ老いぼれて、カッコ悪く、無様に生き残って欲しいな‥‥その『泥臭さ』こそが、デビュー当時から一環してる『マニックスらしさ』なんじゃないかな、と俺は思うんだけど‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS『LIPSTICK TRACES -A SECRET HISTORY OF MANIC STREET PREACHERS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2005 04 22 12:48 午前 [2005年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/04/20

MANIC STREET PREACHERS、フリーダウンロード・シングル発表

MANIC STREET PREACHERS、フリーダウンロード・シングル発表(公式)

 「GOD SAVE THE MANICS E.P.」と題されたフリーダウンロード・シングル。完全未発表の3曲が本日20日より上記オフィシャルサイトにてダウンロード開始しております。収録曲は "A Secret Society"、"Firefight"、"Picturesque"。Windows Media Playerを使っての再生となります。

 登録は簡単。名前とメールアドレス、そして「Mobile」(携帯番号?携帯メルアド?」を入力するのみ。すると‥‥

 ‥‥あ、これMac非対応じゃんか‥‥orz

 一応こちらで少々試聴ができるようです。ジャケット写真と各曲の解説もあって、ちょっとしか聴けないMac使いの俺には非常に参考になります。が‥‥単に飢餓感を煽るだけにしかなってない気も。クソーっ。

 あと、トップから入るとポップアップが現れ、そこで「GOD SAVE THE MANICS E.P.」のプロモ盤CDを1,000枚、抽選で配布するとも。これ、イギリス国外もオッケーなんですかね? 

 30秒程度の試聴ですが、1曲目 "A Secret Society" は解説の通り、マニックスらしい力強いロックナンバー。解説にはSKIDS、THE SAINTS、NIRVANA、AXL ROSE(GUNS N'ROSES)、THE LIBERTINESといった名前が登場しますが、要するに「ロックンロール万歳!」な1曲ってことでしょう。

 2曲目 "Picturesque" はアルバム「EVERYTHING MUST GO」時代を彷彿させる(と書いてある)メロウな1曲。新作の路線にも近いものがあるかも。

 そして3曲目 "Picturesque" はサウンド的にも最も新作「LIFEBLOOD」に近い1曲。『Meets New Order』の言葉からもお判りでしょう。そして、その後の1曲を読んで思わず泣きそうに‥‥

 Win使いの皆さんは、是非3曲楽しんでください。そして是非俺にも聴かせてくださいよ!

 改めて‥‥orz

 それにしても、某ビールのテレビCMでは "Everthing Must Go" が起用されたり、新作「LIFEBLOOD」から3枚目のシングルがあるかと思いきや、いきなり全曲未発表曲による、しかもネット上でのフリーダウンロードシングル(Winのみ)を発表という、非常に大胆な行動に出たMANICS。まだあの来日公演から2ヶ月しか経ってないんだよね‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS「EVERYTHING MUST GO」(amazon

投稿: 2005 04 20 09:16 午後 [Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

2005/03/15

MANIC STREET PREACHERS来日公演雑感(2/10&2/13)

 気がつけば、もう1ヶ月以上経っちゃったんですねぇ‥‥ええ、MANIC STREET PREACHERSの来日ツアー終了から。当然ながら俺も東京2公演に足を運んだわけですが‥‥ずっとね、何を書こうかなって悩んでたんですよ。で、悩み続けてたら1ヶ月経っちゃった、と。

 いえね、別に内容が悪かったとか出来が悪かったとか、そういったことじゃないんですよ。むしろ自分にとっては良すぎた位ですから。ホント、特筆すべき点がないくらい、自分にとって理想的な、素晴らしいライヴだったんですよ。

 だけど‥‥ライヴ終わって帰宅して、いろんな人と話したりいろんな人からメール貰ったりしてるうちに、なんだか‥‥いろいろ考えちゃったんですよね。

 勿論、自分の価値観で、自分が観たありのままを書けばいいだけの話なんですが‥‥ただ「良かった」「最高だった」と書いただけの感想でいいのかな、と。全肯定の文章でいいのかな、と。迷いが生じたわけですよ、頂いたメールとか読んで‥‥

 自分はMANICSに関してはここ日本でしか観たことないし、そりゃ海外(特に彼等の地元)で観られれば、それ以上に最高なことはないだろうな、とは思いますよ。日本でやるよりも、母国語の通じる、しかも彼等の生まれ故郷でライヴをやれば、絶対に日本以上に盛り上がるだろうし、それが一番いいというのはどう贔屓目を差し引いたとしても、間違いない事実だと思うわけですよ。

 でも、現時点ではそれ(俺が彼等のライヴをカーディフで観ること)は実現してないし、今後暫くそれが実現する気配もない。だから、俺はこの先もずっと、過去に日本で、自分が観たライヴと比較するしかないんですよ。

 そりゃライヴのブートレグやBS・CS等で放送された海外でのライヴは何度も目にしてますよ。けど、「現場に立ち会う」という意味ではその感想は確実に半減あるいはそれ以下だと思うし、やはり印象に残るという意味では‥‥違うな、と。

 俺は今後もずっと、初めて観た'93年秋の来日公演、久し振りに来日して感極まり、思わず赤坂BLITZのほぼ最前列まで行ってしまった'99年2月、念願の「フジロックでMANICSを観る」が実現した'01年7月、そしてグレイテスト・ヒッツ的内容でお腹いっぱいになった'03年1月のNKホール‥‥そして今回のSHIBUYA-AXとZepp Tokyoを比較対象としていくと思います。そしてそれらのライヴはいつでも自分にとって最高のロックンロール・ライヴだったし、それは今後も変わることはないと思います。

 そんな今回の来日公演ですが、内容的には東京2公演及び大阪名古屋の2公演、選曲は殆ど変わらなかったようです(下記に今回の4公演分のセットリストを載せておきます)。ただ、今回のワールドツアー開始当初と同じように、来日公演初日(SHIBUYA-AX)はあの『MANICS版 "White Riot"』とまで呼ばれる "Motown Junk" が演奏されなかったんですよね。ま、演奏されなかったから最悪かといえば、実は全然そんなことはなかったわけで。むしろ他の曲に圧倒されっぱなしで、俺的にはそんなに違和感を感じなかったんですよ(終わってから「あー結局やんなかったなー」くらいの感想で)。

 だってさ、頭2曲目で "Faster" ですよ!? 前半にいきなり "You Love Us" ですよ!? 心の準備が出来てないっつーの。いや、既にヨーロッパ・ツアーのセットリストはいろいろ目にしていたので、大体どの辺りにどの曲が来るってのは知っていたし、その心の準備も出来ていたはずなんですが、いざその曲名がジェームズの口からコールされると、やっぱりね‥‥失禁寸前なわけですよ(「失神」じゃなくて「失禁」な)。

 それと‥‥これも既に知っていて覚悟は出来てたはずなのに‥‥そう、「THE HOLY BIBLE」からの曲が沢山演奏される件ね。これまでにも'99年、'01年、'03年のツアーで "Yes"、"Faster"、"This Is Yesterday"、"She Is Suffering" といった曲を生で聴いてきていたのに、1度のライヴでここまでやられちゃうと‥‥しかもアコースティックで "Archives Of Pain" までやられちゃうとね(ま、さわりだけなんですが)。「あの時」の来日ツアーが、リッチー失踪を理由に幻に終わってしまい、あれから丸10年経って初めてここ日本で「あの時」が再現された‥‥いや、再現ではないな、ひとり足りないんだし。「再生」されたって言った方が正解かもね。そういう意味で、今回の来日公演ってのは俺にとって非常に重要な意味を持つものなんですよ。だからやれカーディフ公演が良かったとかロンドン公演が良かったとか、海外でのそれと比較されてしまうのは違うんですよ。「ここ日本で観る」ことに意味があるんですよ、今回のツアーは! そこを忘れてる古くからのファン、多くないかい?(絶対に忘れちゃいけないことなのにな)

 って愚痴はまぁこの辺にしておいて‥‥やはり新作からの曲はライヴで盛り上がるって類とは違い、じっくりと聴き入るタイプですよね。だから新曲になると客側のテンションが落ちるように感じられましたが、実際にはみんな聴き入ってたんだよね(多分)。特に "Solitude Sometimes Is"、"I Live To Fall Asleep"、"Cardiff Afterlife" 辺りはね、レコーディングされた『作品』とはまた違った色合いを見せていて、非常に興味深かったなぁ。それとは逆に、"1985" や "Empty Souls" はライヴの方がより迫力が増して、如何にもライヴ向きの曲にシフトチェンジしてたような。ただその反面、"The Love Of Richard Nixon" はライヴ向きではなかったように思います。これは完全に『スタジオ作品』としての完成度が高かったから、それを完璧に再現するか、あるいは全く違ったアレンジにするかでライヴに臨まないとちょっと厳しかったかなぁ‥‥非常に中途半端な印象を受けて、ちょっとノリきれなかった気が。

 代表曲に関しては‥‥全然文句ないです。あれも聴きたかった、これも聴きたかったって声は沢山あるだろうけど、散々過去のツアーで俺は聴いてきてるから。今回のアルバムから入ったファンや今回のツアーで初めて生MANICSを観たって人にとっては、その点は不満かもしれないけどさ。

 そういう意味で、たったワンフレーズだったものの、"R.P.McMurphy" が歌われたZepp Tokyo公演は貴重だったな、と。そりゃビックリですよ、いくらファンから歌ってくれっていうリクエストがあったからとかいっても、まさかここ日本で歌うとは思わないじゃない、しかも2005年に。で、そのままガンズ "Sweet Child O'Mine" イントロときて、やっと東京で演奏された "Motown Junk"‥‥何だかんだいって、やっぱり演奏されたらされたで、我を忘れる程に大興奮するわけですが。そりゃ仕方ないよ、だってリアルタイム世代だもの。同年代だもの。

 名古屋でしか演奏されなかった前作からの "Ocean Spray" とか、やはり最終日・名古屋が一番良い演奏だったとか、いろいろ話は伝え聞いてますが、それでも、それぞれの人にとっては自分が観たライヴが一番に決まってるわけですよ。AXしか観てなかったら、それが一番に決まってるし。俺にはどれが一番よかったとか選べないもの‥‥AXもZeppも、それそれにそれぞれの良さがあったわけだし。客も違ったし、会場(ハコ)も違ったし、メンバーのコンディションも違った。全てが違ってるんだもの、俺には今回のツアーでどっちの方が良かったとは言えないな‥‥残念ながら。

 ただ、前回や過去のツアーと比べると‥‥勢いというか「若さ」みたいなものは完全に失速してるんだけど(これは仕方ないか)、その分これまで以上に哀愁というか深みが備わったかな、と実感しましたね。これは10年前の彼等には絶対に真似できないものだしね(逆にいえば、10年前の「THE HOLY BIBLE」を『再生』することは出来ても、『再現』することは出来ない、と)。

 何度でも言ってやる‥‥本当にいいライヴだったし、やっぱり俺にとって最高のバンドだと。誰が何と言おうと、一番良いライヴだったと断言してやる‥‥

 そして‥‥俺は自分が生きている間に、あと何回MANICSのライヴをこの目で観ることができるのかな‥‥と、この1ヶ月ずっと考えてて。自分の好きな海外のバンドを、こういう風に日本で観ることができることは凄く幸せなことじゃないですか。だってアルバム出したって毎回来るとは限らないし、中にはアルバムが日本で出ただけでもラッキーで来日なんて考えられないようなバンドもいるし。そういう意味で、特に「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」以降、フェスも含めて毎回来日出来ている今の状況は非常に喜ばしいことですよね。そういう意味でも、このバンドの性質を考えれば考える程、切なくなるんですよ‥‥20年、30年続くバンドではないだろうしな、と。いや、あと数年もすれば結成20年を迎えるわけですが、それでもね‥‥きっと両手でこと足りてしまうんじゃないかな‥‥なんて考えるわけです。

 だったら海外にまで足を伸ばそう!っていう人もいるでしょう。けど‥‥俺はそれはしないのね。いや、したいけど出来ないっていう状況もあるし、それ以上に‥‥やはり『日本で観たい』んだよな俺、って思うわけですよ。

 だから‥‥うん、今回は都合で断念しちゃったけど、もし‥‥もし次回の単独ツアーが実現するなら、絶対に全国追っかけたいな、と。仮に、夏にサマソニとかで来ちゃった日には‥‥どうすればいいんだろう? もし別の日にどうしても観たいバンドが出演してしまったら‥‥悔しいだろうなぁ、どっちを見逃したとしても

 ま、まだ現実に決まってないから冗談ぽく言えるんだけど、実際にそんなことが決まってしまった日にゃ‥‥考えるだけで恐ろしいね。

 というわけで‥‥最高なライヴには最高の賛辞を送ろうじゃないか、という至極簡単なことに悩み続けたこの1ヶ月、やはり感動は全く薄らぐことはなく、現時点においても「2005年を代表する名ライヴ」だったと声を大にして言えるわけですよ。


■■「LIFEBLOOD」JAPAN TOUR '05 SETLIST■■

■2/10(木)@SHIBUYA-AX
01. 1985
02. Faster
03. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. The Love Of Richard Nixon
09. Kevin Carter
10. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
11. Die In The Summertime
12. Solitude Sometimes Is
13. The Masses Against The Classes
14. Archives Of Pain [Acoustic。1コーラス目Aメロのみ]
15. Small Black Flowers That Grow In The Sky [Acoustic]
16. You Stole The Sun From My Heart
17. This Is Yesterday
18. I Live To Fall Asleep
19. Cardiff Afterlife
20. Motorcycle Emptinss
21. A Design For Life

■2/12(土)@Zepp Osaka
01. 1985
02. Faster
03. IIf You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. The Love Of Richard Nixon
09. Kevin Carter
10. Die In The Summertime
11. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
12. Solitude Sometimes Is
13. The Masses Against The Classes
14. This Is Yesterday [Acoustic]
15. Small Black Flowers That Grow In The Sky [Acoustic]
16. You Stole The Sun From My Heart
17. I Live To Fall Asleep
18. Motown Junk
19. Cardiff Afterlife
20. Motorcycle Emptinss
21. A Design For Life

■2/13(日)@Zepp Tokyo
01. 1985
02. Faster
03. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. The Love Of Richard Nixon
09. Kevin Carter
10. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
11. Die In The Summertime
12. Solitude Sometimes Is
13. The Masses Against The Classes
14. Archives Of Pain [Acoustic。1コーラス]
15. Small Black Flowers That Grow In The Sky [Acoustic]
16. You Stole The Sun From My Heart
17. I Live To Fall Asleep
18. R.P.McMurphy [サビのみ]
 〜 Sweet Child O'Mine [GN'R : イントロのみ]
 〜 Motown Junk
19. Cardiff Afterlife
20. Motorcycle Emptiness
21. A Design For Life

■2/14(月)@名古屋クラブクアトロ
01. 1985
02. Faster
03. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
04. No Surface All Feeling
05. Empty Souls
06. You Love Us
07. Yes
08. Kevin Carter
09. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
10. Die In The Summertime
11. Solitude Sometimes Is
12. The Masses Against The Classes
13. Archives Of Pain [Acoustic。1コーラス]
14. This Is Yesterday [Acoustic]
15. You Stole The Sun From My Heart
16. Ocean Spray
17. Paradise City [GN'R : イントロのみ]
 〜 Motown Junk
18. Cardiff Afterlife
19. Motorcycle Emptinss
20. A Design For Life



▼MANIC STREET PREACHERS「LIFEBLOOD」(amazon

投稿: 2005 03 15 07:51 午後 [2005年のライブ, Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/02/01

「I Love You.」

 1995年2月1日。彼は滞在先のホテルから、忽然と姿を消してしまいました。たった一言、「I LOVE YOU.」というメモを残して。そして10年経った2005年2月1日現在、その生存さえも確認できないまま‥‥とうとう10年もの月日が経ってしまいました。

 リッチー・ジェイムズ・エドワーズ。MANIC STREET PREACHERSの頭脳であり、カリスマであり、象徴であり、そしてある意味では「膿」のような存在でもあった男。バンドのコンセプトや歌詞の大半を手掛け、サイドギターを担当(が、殆ど弾けないに等しい。正直ステージではもう一方のギタリスト兼シンガーのジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールドの音量が馬鹿デカかったこともあり、ホントに音が出てたのか疑ってた時期もあったけど、確かに弾いてたんだよね。どうしようもなく下手クソだったけど)。

 彼については「とみぃの宮殿」時代に書いた、MANICS初期作品レビューに詳しく載っているので、そこを改めてご覧ください。とりあえず、それを踏まえた上でこの先を読んでもらいたいので‥‥


   ・「STAY BEAUTIFUL EP」('91)
   ・「GENERATION TERRORISTS」('92)
   ・「STARS AND STRIPES」('92)
   ・「GOLD AGAINST THE SOUL」('93)
   ・「THE HOLY BIBLE」('94)
   ・「EVERYTHING MUST GO」('96)


‥‥このくらいまで読めば十分かな? そう、特に「THE HOLY BIBLE」についてよく読んでくださいね‥‥

 さて。昨年秋にMANICS3年半振り、通算7作目となるオリジナル・アルバム「LIFEBLOOD」がリリースされたばかりですが、それから約1ヶ月後の12月。今から約10年前にリリースされたMANICSのサード・アルバム「THE HOLY BIBLE」のスペシャル・エディション盤が発表されました。所謂「10th Anniversary Edition」ってやつです。最近多いですよね? ま、確かに1994年というのは(何度も言うようだけど)音楽界においていろんな意味でターニングポイントとなった年ですからね。OASISやジェフ・バックリーの作品も10th Anniversary盤が出ましたが、MANICSの場合はちょっと意味合いが違ってくるんですよね‥‥だって、この「THE HOLY BIBLE」を境に全てが変わってしまったんですから‥‥このアルバムを生み出したことで失ったもの/得たものが大き過ぎるんですよ。

 得たもの‥‥それは勿論、続くアルバム「EVERYTHING MUST GO」以降の、国民的大ヒットでしょう。シングルは出せば必ずトップ20入りし、とうとうナンバー1シングルまで生み出してしまう。アルバムも出せば必ず1位(あるいは2位)を記録。ツアーも大盛況で、フェスティバル等ではヘッドライナーも務めた。あの憎まれっ子だったバンドが、イギリスを代表するバンドにまで成長してしまったんですからね。

 と同時に、失ったもの‥‥これは先にも書いたように、リッチーの喪失。彼を失うことで、バンドは(ある意味では)別のものになってしまった。これは間違いない事実なんですよ。既に「3人編成」時代しか知らないファンも多いでしょうけど、間違いなくMANICSというバンドは4人でスタートしたバンドだし、ステージ上には未だにリッチーの居場所(ステージ向かって左側には未だに一人分のスペース)があるんですよね。10年経った今でも‥‥

 今回リリースされた「THE HOLY BIBLE : 10th Anniversary Edition」はCD 2枚組+DVDという3枚組仕様。CDの方は英国盤(及び日本盤)をリマスターしたものに、ライヴテイクを数曲プラスしたディスク1。当時アメリカ用にリミックスしたにも関わらず、結局リッチーの事件があってお蔵入りになっていた「US MIX」版のアルバム+ライヴテイク&ラジオ用音源のディスク2。そしてDVDには当時のテレビ出演時のライヴ映像やレディング、グラストンベリー・フェス出演時の貴重な映像、更には今回新たに制作された "Yes" や "Judge Yr'Self" 等のPV(隠しトラックで "Faster"、"Revol"、"She Is Suffering" のPVも収録)、そして2004年のMANICS 3人が語る「THE HOLY BIBLE」制作時の裏側回想インタビューを含む約90分。濃い。とにかく濃過ぎる内容。初期からのファンなら涙モノの内容だし(リッチーを含む編成に涙し、その一言一言に涙し、そして10年前と今の風貌の違いに涙する)、今しか知らない若いファンには貴重な映像満載になってるはず。

 思えば、リッチー在籍時の映像作品って公式リリースされてないんですよね。PV集のみで。そういう意味で、一番バンドとして脂の乗ってる時期、そして一番混沌としてた時期を捉えた映像集は、何をしてでも手に入れたいものですよ‥‥限定生産だもん、今のうちに買っておかないと、直ぐに廃盤になっちゃうよ?

 さてさて‥‥音源の方については、今更語るべきことはないよね。既に「とみ宮」時代に語り尽くしてるし。ま、ディスク1の方はリマスターによって確かに音がクッキリした印象があるかな。けどもともとザラついた音像が売りの作品なので、これ以上手を加えるのは止めた方がいいかな、と。これを最後にして欲しいな、個人的には。

 そういう意味では、10年間眠り続けていた「US MIX」盤が今回の目玉になるわけですが‥‥これが兎に角凄い、いろんな意味で。あんなに「パンク」な作品が、こんなに正統派ロックアルバムに変わってしまってるんだから。いや、勿論いい意味でね。凄く聴きやすくなってるよね。ドラムやギター、ベースにボーカル。全てのパートの輪郭がクッキリしてて、独立してる。UK盤はそれらが混ざり合ってドロドロした作風だったのに、US盤ではその辺がしっかり整理されて、力強いロックアルバムに進化してる。あー、これ当時出てたらきっとオリジナル盤の方で苦手意識を持った人とか、聴きやすくて喜んだんじゃないかなぁ‥‥って思ったりして。勿論、全部が全部いい方向に作用してるわけじゃなくて、中にはUKミックスの方が優れてる曲もあるのね。その辺はDVDでジェイムズやニッキーが挙げてる曲名に同意です。DVD観る前にCD聴いて、俺も全く同じことを感じてたから。とりあえず、先入観なしでひと通りCDを聴き比べてからDVDを観て、納得してください。

 ‥‥これくらいでいい? とにかく俺にとって「THE HOLY BIBLE」という作品は、自分の生涯においても非常に重要な作品だし、今でも史上最強のロックアルバム・トップ5の上位に君臨してるわけ。その作品について何度も語るっていうのはちょっと‥‥こそばゆいというか、イイものはイイんだから無駄口叩く前に聴けや!とか思ったり、とにかく変な感じなのよ。何だろ‥‥確かに「もっと多くの人に聴いて欲しい!」っていう気持ちがあるのと同時に、あまりこの作品の魅力というか本質的な部分を大勢の人間と共有したくないっていう我が儘な気持ちもあってね‥‥正反対なことを言ってるけど、理解してもらえるのかな‥‥それくらい、自分にとって特別な作品であって、特殊な存在なのよ。

 多分、自分が1994年晩夏に聴いた時の想いを完全に伝えるのは難しいと思うし、それを同じことを感じ取って欲しいとも思わない。だけど、純粋に優れたパンク/ロックンロール・アルバムとして楽しんで欲しい‥‥そういう気持ちはある。無茶苦茶なこと言ってるけどね。要するに‥‥聴いたアナタが判断すればいいことですよ。



▼MANIC STREET PREACHERS「THE HOLY BIBLE : 10th Anniversary Edition」(amazon

投稿: 2005 02 01 01:06 午前 [Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/01/27

MANIC STREET PREACHERS『LIFEBLOOD』(2004)

 遅ればせながら、MANIC STREET PREACHERSの通算7作目のアルバム(冷静に考えて、誰がデビュー当時彼等が7枚も、それぞれ個性的なアルバムを作るなんて想像したでしょう?)「LIFEBLOOD」についていろいろ書いてみたいと思います。10月末のリリースタイミングを逃し(というかその頃ってまだこのブログ、一般公開してなかったし)、本当は年末の「MY BEST OF 2004」公開に併せて書こうと思ってたんですが、想像してた以上にプライベートが忙しかったもんでね‥‥結局来日直前のタイミングになっちゃいましたよ。ま、ある意味ではこれでよかったのかな、とも思うんですが。

 オリジナルアルバムでいうところの前作「KNOW YOUR ENEMY」の発表が2001年3月。約3年半振りの新作ということで、MANICSにしてはかなり長いブランクだったといえますが、個人的にはそこまで長いブランクとは感じてなくて。というのも、その3年半の間にベストアルバムと2枚組B面曲集がそれぞれ2002年、2003年にリリースされているし、来日も2度、2001年夏のフジロックと2003年1月のベスト盤ツアーで来てくれてるから、そこまでの飢餓感ってのはなかったのね。考えてみて。古いファンなら「THE HOLY BIBLE」以降、ああいう不幸な出来事があって活動休止して、そして大ヒット作「EVERYTHING MUST GO」の時は来日せず、結局1993年秋以降次の来日まで5年半近く待たされたんだから‥‥それを思えば、この状況はまだマシだよね。いや、マシどころか歓迎すべきというか。

 さてさて。そんな前振りはこの辺にしておいて。作品について書いてみましょう。

 まずこのアルバム、作風としては前作「KNOW YOUR ENEMY」の延長線上ではなく、むしろそれ以降‥‥ベスト盤に収録された新曲群("There By The Grace Of God"、"Door To The River")の流れを組む楽曲集になっていると言えるでしょう。打ち込みと同期したバンドプレイ、ヒンヤリとした質感、感情の盛り上がりを抑えた中音域での歌唱、等。ポップな作風は代表作といえる4th「EVERYTHING MUST GO」や5th「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」の流れにあるといえるでしょうけど、そこともまた違う地平にたどり着いたかな、と。ただポップで穏やかなだけじゃないんですよね、今度のアルバムは。

 アレンジ等の装飾部分に関して言えば、ふたつの流れがあると思います。ひとつは制作中にメンバーが聴いていたというDEPECHE MODEやNEW ORDER(JOY DIVISIONもか)、「ベルリン三部作」時代のデヴィッド・ボウイ(思えばベスト盤ツアー時のオープニングSEはそのボウイの「LOW」でしたしね)からの影響と思わしき、エレクトロ・ポップ路線。プロデューサー陣にその方面の方々を迎えていることも大きいでしょう。ただ、完全な打ち込み方向へは進まず、あくまでも「バンド演奏の装飾としての同期プレイ」という姿勢は崩しておらず、そういう意味で未だに「ロックバンド」としての拘りみたいなものが感じられるかな。

 そしてもうひとつが、恐らくMANICSのメンバー自身が上記のようなバンド達と同じように影響を受けた'80年代初〜中盤に活躍した、ニューウェーブ〜ギターロックバンドからの影響。U2やTHE CURE、ECHO & THE BUNNYMEN等‥‥勿論それらからの影響はこれまでの作品からも垣間見ることができましたが、ここでは更に際だっているように感じられます。轟音系のギターが大幅に後退し、エフェクターを使いまくり、コードストロークよりもアルペジオ等のフレーズを駆使したギタープレイに、そういった要素が見出せるのではないでしょうか。個人的にはこれまであまり感じられなかった初期U2辺りからの影響を見つけることができたのは、かなり大きな収穫かな。

 歌の面に関しても、これまでの作品にあったような高音域でのシャウトや絶叫・絶唱がなくなり、おちついた歌い方や、新境地といえる低音域での歌唱等、今まで以上に冒険が感じられます。前作がどちらかというと原点回帰的なモチベーションで即興的に作られたようなイメージが強いのに対し、この「LIFEBLOOD」はより練り込まれた、作り込まれたイメージが強いですよね。歌詞の面にしろ、歌の面にしろ、そして全体的なスタイルにしろ。過去の作品をみても、1枚ポップな作品集を作ると、その反動で次が攻撃的でギラギラした作風になる、というような振り幅をみせてきてます(過去、同じような作風を連続で発表したのは、4th〜5thの流れのみ)。そういう意味でも、実は前作がリリースされた時点で、「やっぱりここまで(攻撃的に)やり尽くしちゃうと、次は落ち着いた路線なのかな?」と思っていた人は多いと思います。そしてベスト盤に収録された新曲を聴いて、その考えはあながち間違ってないことに気づくわけですよ。

 最初にシングル曲である "The Love Of Richard Nixon" を聴いた時は、さすがに衝撃を受けましたね。いい意味/悪い意味でいえば、俺は断然いい意味でだったんですが。けど中には悪い方に捉えた人も多かったみたいですね。攻撃的でパンキッシュなギターロックを期待してた人も、そして「EVERYTHING MUST GO」や「THIS IS MY TRUTH〜」路線を期待してた人も裏切るような、エレクトロ・ポップでしたからね。さらにギターは相当音数少ないし、暴れまくってない。単なる装飾品としての引っ込んだプレイだし、ボーカルも低音域とファルセットによるダブルボイスで、これまでとは完全に一線を画する作風。そりゃ、従来のMANICSを期待してた人からは苦情が挙がるはずだわ。けど、これを聴いて「MANICSぽくない」と感じたかというと、決してそんなことはないわけですよ。どこからどう聴いてもMANICSの楽曲そのものなわけですよ。この辺はもう、個々の価値観だったり、MANICSというバンドに対して求めるものだったり、個人の許容範囲(音楽の趣味)の問題ですよね‥‥まぁ盲目的に「MANICSなら何でもあり!」という人は別としてさ。

 アルバムは想像してた以上の内容でしたよ、個人的には。もっと全面的にエレクトロ寄りなのかと思ったけど、良い意味で2nd「GOLD AGAINST THE SOUL」や4th〜5thの流れを組みつつ、今の彼等にしか生み出せない要素を見事に融合させた、非常に素晴らしい作品集だと思ってるし、下手すると過去の作品の中でもかなりの上位に位置する程に好きな1枚ですよ。俺、「THE HOLY BIBLE」を別とすると、一番好きなアルバムって2ndか5thですからね。そういう意味では、それらの作品集を気に入っているという人には好意的に受け入れられるアルバムじゃないかな。ただ、攻めの要素が希釈なため、「MANICSはこうでなきゃ」という固定観念を頭に強く描いている人にはちょっと厳しい作品かもしれませんね(実際にそういう声、よく聴くし)。

 今のイギリスの流れ(COLDPLAYを始め、KEANEやSNOW PATROLといったバンド達がもてはやされる現状)を考えれば、これでもか!?ってくらいにフィットする作品であり、実際これまでにリリースしたシングル2枚("The Love Of Richard Nixon"、"Empty Souls")はどちらもチャートで上位入りしたものの、アルバムは何故か初登場13位(注釈:1位と書きましたが、どうやら13位だったみたいです。どこかで1位と読んだ気がしたんだけど‥‥)」。ライヴの方は大盛況みたいで、先日の地元・カーディフでのチャリティ・ライヴには英国過去最大の61,000人が集まったそうですよ。まぁそこには上に書いたようなKEANEやSNOW PATROLといったバンドも出演してたわけですが。

 それにひきかえ、日本での状況ときたら‥‥悲惨な有様ですよ。何だろう‥‥MANICSが日本で盛り上がるには、あと5年くらい必要なのかな‥‥あの「デビューアルバム1枚を全世界で1位にさせて解散する」とほざいた若造共が、20年も第一線で活躍しちまったぜ、ってな状況にでもならないとさ‥‥メディアも盛り上げ辛いのかな。精神構造とか、非常に難解なバンドだしな。

 そんな俺も、初めて彼等と英国で出会ってから、もう干支が一回り以上しちゃいましたよ。当時ハタチだった俺も、今や30代。ま、彼等とほぼ同年代だし、当たり前の話なんですが。

 もうすぐ、「あれ」から10年‥‥「彼」は今、このアルバムをどこかでちゃんと聴いてくれてるのかな‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS『LIFEBLOOD』
(amazon:日本盤/:UK盤

投稿: 2005 01 27 12:00 午前 [2004年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/01/26

「Tsunami」

Manic Street Preachers チャリティ・コンサートで巨額の義援金を集める!(VIBE-NET.COM)

 現地時間の1/22(土)に開催された、スマトラ島地震・インド洋大津波に対するチャリティ・コンサート。MANICSの他にはSNOW PATROL、KEANE、GOLDIE LOOKIN' CHAIN等という俺好みのバンドばかりがノーギャラで出演。しかもUK始まって以来最大(61,000人!)のチャリティ・コンサートだったらしく、義援金も約2億円ですよ‥‥はぁ。何だかMANICSがこういうイベントを先頭に立ってやるっていうの、デビュー当初には考えられなかったよなぁ。いや、そういうのをしないスタイルのバンドだとか冷たい奴らだって意味じゃなくて、何となくそういう事とは縁遠いイメージがあったからさ。

 ちなみに当日MANICSが演奏したのは、以下の通りだそうです。

   1. Motorcycle Emptiness
   2. You Stole The Sun From My Heart
   3. Empty Souls
   4. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
   5. A Design For Life

 自分のラジオでもネタにしたけど、やはりこの時期に "Tsunami" を演奏するのは不謹慎だよな。俺は「恐らく来日公演で演奏しないだろうから‥‥」って意味を込めて先日のラジオで流したわけだけどさ。決してシャレとかそういう冗談でかけたわけじゃないよ。

 つーかさ。冗談でもそういうので笑っちゃいけないでしょ。相手の側に立ったら、絶対に笑えないし、冗談には出来ないよな。これが地震を唄った歌だったらダメで、津波や飛行機事故だったらOKとか、そういうことじゃないでしょ?

 勿論、最後に「歌う/歌わない」を選択するのは、アーティスト本人ですよ。そういう強制的な規制はあってはならないしね。俺はMANICSが「今だからこそ歌う」と宣言するのであれば、(それが道理的に間違っていない限り)その考えを支持しますよ。けど、お前等外野がネタにするな、と。

 ‥‥って俺は誰に向かって怒ってるんだ‥‥



▼MANIC STREET PREACHERS「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」("Tsunami" 収録)(amazon

投稿: 2005 01 26 02:00 午前 [Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/30

とみぃ洋楽100番勝負(73)

●第73回:「Motown Junk」 MANIC STREET PREACHERS ('91)

 まさかこのバンドがこんなに長続きするとは。そして未だにファンを続けているとは。というかむしろ、今現在最も大切なバンドになっていようとは。初めてあの「4 REAL写真」(リッチー・ジェームズがカミソリで腕に「4 REAL(俺達4人はホンモノだ)」と切り込んだ、有名な出来事)を観た時、そして初めて "You Love Us" のPVを観た時は考えもしなかったよなぁ‥‥出会いなんてものは、案外そんなものなのかもしれないね。

 '92年初頭にイギリスでホームステイをして、そこで1stアルバムを手にして。ガツンとやられて。帰国して当時手に入れられるだけの音源を全部探しまわって。その中にこの "Motown Junk" という、彼等の知名度アップに一役買った1曲が含まれていて。

 単なるバカパンクソングなんだよね、曲自体は。言い切ってしまえば、THE CLASHの現代版。いや、そのサウンドプロダクションとかプレイの拙さからは、完全に「1991年」という時代性は伝わってこなかったけどさ。そして歌詞。やはり話題になった「ジョン・レノンが死んだ時は笑っちまったよ。これまでの俺の人生にとって、何の意味もなさなかったんだから」という一節。THE WHOの「年老いる前に死んでしまいたい」とか、THE CLASHの「1997年にはプレスリーもビートルズもストーンズも必要ない」以上にリアルに響いたんだよ、俺に。やはり同時代に生きる、同年代の奴らが歌ってたからかな‥‥勿論ジョン・レノンは当時の自分にとって非常に大切なアーティストだったんだけど、全然起こる気にはならなかったし、むしろいろんな意味でショックを受けたかな。

 マニックスは今でもこの曲を演奏し続けています。というか、演奏しな日はないんじゃないかな。それはマニックスにとってこの曲が「"White Riot" みたいな曲」だからなんだよね(THE CLASHの曲で、ジョー・ストラマーは「この曲を演奏しなくなった日こそ、THE CLASH最後の日だ」という位にバンドのアイデンティティを端的に表した1曲なんじゃないかな)。

 マニックスで一番好きな曲は別に沢山あるんだけど、今でも「マニックスを一番よく表してる曲は?」と聞かれたら、そして「俺にとって、マニックスを十二分に表現してる1曲は?」と自問自答したら、間違いなくこの "Motown Junk" を挙げると思う。今でもそれくらい大切な1曲。



▼MANIC STREET PREACHERS「FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS」(amazon

投稿: 2004 10 30 12:00 午前 [1991年の作品, Manic Street Preachers, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/11

THE LOVE OF RICHARD NIXON

 MANIC STREET PREACHERSの新曲 "The Love Of Richard Nixon" のPVがこちらでご覧になれます。

 とにかく衝撃の1曲でしょうね。未だに「マニックス=バカパンク」と勘違いしてる方々にキツいカウンターを食らわすであろう作風といいましょうか。

 アルバムジャケットのイメージから、NEW ORDERやDEPECHE MODEを彷彿させますが、正にそんな音。実際レコーディング中、彼等は上記2バンドの作品をよく聴いていたと言ってますし。トニー・ヴィスコンティを選んだのも、ボウイのベルリン3部作的なものを狙ったからなんでしょうしね(事実、マニックスは前回のベスト盤ツアーのオープニングS.E.にボウイの「LOW」を選んでましたし)。

 レゲエやダブを選ばずに、こういう方向に進んだマニックス。これも2004年のパンクの在り方なのかな、と。とにかくあと10日。アルバムへの期待が更に高まりましたね。



▼MANIC STREET PREACHERS「LIFEBLOOD」(amazon

投稿: 2004 10 11 04:52 午後 [Manic Street Preachers] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/01/27

MANIC STREET PREACHERS GREATEST HITS TOUR@東京ベイN.K.ホール(2003年1月26日)

  フジロック'01から早1年半、単独来日だとまる4年振り(!)となる今回の来日公演。ツアータイトル通り、昨年末にリリースされたベスト盤に伴う内容になるのは何となく想像つくんだけど‥‥でも前回のフジロックの時点で既にグレイテストヒッツ的内容のライヴやってたから、個人的には「今回はどうなの!?」と、ちょっと消極的気味だったんですが‥‥ただ、東京公演はフジロックを除けば、単独公演としては最もキャパの大きいNKホール。既にヨーロッパではアリーナ、スタジアムを満杯にするクラスにまで成長したマニックスを、ここ日本でも同じようなシチュエーションで楽しむことが出来るって点においては、かなり期待してたんだよね。フジロックの時以上にコアなファン、そしてベストを聴いて興味を持った新規ファン、更に前座のくるり目当てでたまたま来てしまった人達‥‥そういった5,000人前後の人間をどう盛り上げるのか。そう考えたら無性にワクワクしてきてさ(ってかなり意地悪だよな、俺)。

  実は当日、ちょっとした手違いで自分のチケットが確保出来ていないことが、なんと現地に着いてから発覚。この時点で既に1階スタンディングフロアはソールドアウト。ダフ屋から安価で購入しようか迷ったものの、奴らの懐に金が転がり込むのもシャクなので、当日券売り場で2階スタンド席を購入。前売りより500円割り増しの7,000円なり。ま、スタンディングだったら荷物をクロークに預けるだけで500円取られるから、同じようなものか。それに全体を見渡したいっていうのもあったし(既に'93年、'99年にほぼ最前で観るという経験をしてるので、今更‥‥ってのもあるんだけど、折角の大きい会場だし、それすら楽しもうという考えがあったので)。Jブロックの5列目、ステージ真正面からちょっと右寄りの位置。確かにステージからは距離があるんだけど、そんなに観にくい位置でもなく。ま、NKホール自体が他のアリーナと比べれば半分くらいのスケールってのもあるし。


◎くるり

  オープニングアクトとしてくるりの参加が決まった後から、それまで伸び悩んでいたチケットの売上げが急激に伸び、最終的にはスタンディングフロアは前売り段階でソールドアウトになるという快挙。ホントにこれがくるり効果なのかは判らないけど‥‥勿論、くるり効果だと考えてみると、確かにそれらしい理由はあるんだよね。ドラムに今回、元ナンバーガールのアヒト・イナザワが参加するという点。これが世の若いロックファンにかなり大きなインパクトを与えたんじゃないでしょうか? 個人的にはくるりよりもナンバガ好きなので、この組み合わせがどういう化学反応を起こすのか‥‥その一点のみがずっと気になってました。

  ってよくよく考えてみると、ちゃんとくるりのライヴを観るの、これが初めてだったりして。2001年のフジロックでは "ばらの花" 1曲しか観てないしね。それに、世間の評価が異常に高いアルバム「THE WORLD IS MINE」の世界観をどう生で表現するのか?って点も気になってたし。

  で、内容ですが。基本的には前半にその「THE WORLD IS MINE」の曲を中心に進め、新曲も織り交ぜ、アルバム以上にヘヴィでダウナーな世界観を表現してました。そしてそこに加わるアヒトのダビーなドラムサウンド。一聴しただけでアヒトのそれと判るタムタムのリバーブ具合。思わずニヤリ。

  けど‥‥俺はくるりとアヒトって、基本的には合わないと思った。というのも、くるりが目指す世界観の持つビートと、アヒトが持ち合わせるビート感が噛み合ってないのね。今のくるりに必要なのは、的確なプレイをするドラマーなんじゃないかな? 別にそれは機械的という意味ではなくてね(そういう同期モノを多用した曲もあるにはあるけど、だからといって機械通り正確に叩くドラマーが必要ってわけじゃないよ)。それに対してアヒトのドラムってのは、バンドをグイグイ引っ張ってく、ホントの意味での「その場のノリ重視」なロックンロールドラマー。速い曲になるとグイグイ前に出て、前のめりで走り気味なリズムになるし、スローで重い曲になると、これでもか!?って位に一音一音をタメる。勿論、やろうと思えばくるり的なサウンドでもやれるんだろうけど、そうなるとアヒトの持ち味を殺しかねない。この日のライヴの最中、岸田が何度か後ろに振り返って、アヒトに何か指示する姿が見られたけど(しかもそれが怒鳴っているようにも見えたし)、多分パーマネントでこの組み合わせが続くことはないと思う‥‥確かにダブ要素を取り入れたくるりってのも非常に魅力的ではあったんだけどね。

  個人的には最後の"街"と"東京"の2曲がググッときました。しかも、しっかり"東京"でも自己主張を忘れないアヒト。ある意味雰囲気ぶち壊し気味だったけど。


[SETLIST]
01. GULTY
02. ARMY
03. (新曲)
04. GO BACK TO CHINA
05. リボルバー
06. 街
07. 東京


◎MANIC STREET PREACHERS

  約45分に渡るくるりのステージが終わり、30分の休憩&セットチェンジを経て、再び会場が暗転。デヴィッド・ボウイの "Sound & Vision" が鳴り響く中、ステージ上にひとり、またひとりとメンバーが現れ、それぞれの持ち場へ移動。最後に白のレスポールを抱えたジェームズが登場。「Hello~」と簡単な挨拶の後、1曲目の曲名をコール。いきなりファーストからの名曲"Motorcycle Emptiness"からスタート。お客大興奮。上から見てるとよく判るんだけど、フロアのお客の跳ねる様や一緒に合唱する様等、全てが想像してた以上のリアクションだったので、ちょっと驚き。みんなもっと醒めてるのかと思ってたよ。マイクを向けられれば、ちゃんと大合唱するし。俺がいた2階席の周りでも、みんな結構一緒に歌ったり踊ったりしてたし。嗚呼、ちゃんとファンで埋まったんだな、と一安心。確かに俺の隣の席にいた女性はくるりが終わった後に帰ってしまったけど、それでもまだこんなに沢山の人達がいるし、くるり観たついでにマニックスも観てくかって人達も腕組みして観察しながらも、しっかり身体でリズム取ってるし。

  ジェームズはといえば、いつも通り、いや、いつも以上にクルクル回りながらギター弾きまくり、ニッキーも最初っから飛ばし気味で、ずっとジャンプしまくり。ベース弾いてるよりもジャンプしてる時間の方が長いんじゃないか?ってくらい。ショーンのドラムも、昔を知る者からすれば信じられない程の成長振り。確かにフィル入れる度にリズムがもたったり走ったりはするんだけど、それがまたマニックスらしさを醸し出してるように思えるんだねこれが。

  続いて"You Stole The Sun From My Heart"。2曲目にこれっていうパターン、結構多くない? '99年のツアーも、前回のフジロックも2曲目だったような‥‥ま、静かに始まってサビで爆発するという、グランジにありがちな「強弱法」を用いたタイプのポップロックなんだけど、とにかくマニックスらしくていい曲。最近はアルバムで聴くと「もういいよ‥‥」と感じる瞬間も時々あるんだけど、こうやってライヴだとまた違った印象を受けるので、全然気にならない。サビ前の「イチ、ニー、サン、シー!」っていうジェームズの掛け声、いつ聴いてもニヤッとしちゃう。

  ジェームズによる歌唱指導の下、スタートするパンクソング"The Masses Against The Classes"で、フロアではやっとダイブする奴がちらほらと見られるようになり、いよいよ本格的に盛り上がってきななぁ‥‥って思ってたら、新境地といえる新曲"There By The Grace Of God"をここでプレイ。DEPECHE MODEばりのシンセサウンドやギターのエフェクト音が雰囲気出しまくり。そしてアルバム以上にブリブリのベースサウンドを聴かせるニッキーや、あくまで生ドラムに拘ったショーンのプレイもなかなかのものだったよ。アルバムはヒンヤリとした機械的なイメージだったけど、ライヴでは少しだけ温かみを感じさせるアレンジになってて好印象。
  そうそう、忘れてたけど、今回のマニックスはツアーメンバーがひとり増えての5人編成。「EVERYTHING MUST GO」ツアーから参加してるニック・ネイスミスと、パーカッション担当の男性プレイヤーが、3人の演奏に華を添えていました。

  「Revolution, Revolution.....」というループする声。それに合わせて適当にリフを弾くジェームズ。いつしかそれがデヴィッド・ボウイの "Rebel Rebel" になり、そこからあのリフへ‥‥スタジオバージョンと同じSEからスタートする"Motown Junk"にちょっとビックリ。しかし、いざ演奏が始まっちゃえばあとはいつも通りの疾走ドパンク。後半のドラムソロパートではフロントのふたり、ジャンプしまくり。「この曲をやらなくなった時こそ、バンドの死を意味する」みたいな発言をしてたけど、ホント10年経とうが20年経とうが延々プレイし続けて欲しい曲だわ。

  「俺達の最初のトップ10入りヒットシングル」という説明に続いて披露されたのが、俺自身ライヴでは初めて聴く"Suicide Is Painless"。やっぱり個人的にはこの頃の曲の方が思い入れ、強いわ。ブートビデオでは演奏する姿を確認してたけど、まさかこうやって日本で聴く日がこようとは‥‥それにしてもこういうタイプの曲って、本当にアリーナクラスの会場にピッタリだわ。完全に無敵のアリーナロックバンドっていうイメージ。後半のテンポアップするパートでは、前曲に引き続いてダイバー続出。

  この日2度目のテレキャスターを持ち出し、あの印象的なカッティングを‥‥"Kevin Carter"だ。初日では演奏してなかったみたいだけど、再び復活。やっぱりこれやらなきゃねぇ。アルバムでは軽い印象のこの曲だけど、ライヴではかなりタフな演奏に。いつ聴いてもいい曲。

  「初来日した時、クラブチッタとかで演奏したっけ‥‥」っていうようなこと言った後に(‥‥言ってたよね?)、「Very old, old, old,old song」な"Slash n'Burn"が! まさかまたこういった曲をライヴで聴ける日がこようとは。しかも、リズムのモタり具合は'92年当時とあんまり変わってないという‥‥(苦笑)すげぇぞ、マニックス! もうね、古いファンとしては‥‥ずっと鳥肌立ちっぱなし。嗚呼‥‥だんだんライヴレポートらしいこと書けなくなりそうだわ‥‥

  ここでちょっとだけクールダウン。「ニッキーが日本語を喋るよ」というジェームズの振りに対し、ニッキーが喋った言葉がそのまま次の曲のタイトルに‥‥って"Tsunami"ですが。悪い曲じゃないけど‥‥この辺の曲はホント、ちょっともういいかなぁ‥‥という気がしないでも。ここ3回の来日公演でも必ずやってるし、同系統でもっといい曲、沢山あるのにね。まぁ今回はグレイテストヒッツ・ツアーってことで、あくまでシングル曲に拘ってるようなので、良しとしますか。

  続いて「次は『THE HOLY BIBLE』アルバムから」という紹介の後にコールされた曲名に、ちょっと驚く。"She Is Suffering"だよ‥‥確かにこれもシングル曲だけどさぁ‥‥すっげー意外で驚いた。名古屋では "Revol" をやったっていう話だったから、ちょっと期待してたんだけど。ま、どっちをやっても個人的には大満足でしたけどね。ただ‥‥これが‥‥アレンジのせいでちょっと違った印象を受けたのね。アルバムでは渇いた、ガリガリした音という印象だったのが、今回は奥行きのあるシンセサウンドが前面に出過ぎてて、非常に柔らかい、今のマニックス・サウンドに。それが悪いっていうわけじゃないけど、ちょっと違和感を感じました。ま、何度か聴けば慣れると思うんだけどね。そして更に意外だったのが、続く"Life Becoming A Landslide"。これもベスト盤には入らなかったセカンドからのシングル曲なんだけど‥‥今回の日本ツアーでは唯一東京で演奏されたのみ。いやぁ~もうね、鳥肌立ちまくり。ホントゾクゾクした。それにしても‥‥ファースト~セカンドの曲、特に"Suicide Is Painless"以降の曲って本当にアリーナ向けのビッグサウンドだったなぁ、と再確認。こうやって大会場でやって初めてその良さが完全に伝わるアレンジなんじゃないかな? ジェームズもニッキーも気持ちよさげに歌い演奏してたのが印象的でした。

  ジェームズが再びテレキャスターをぶら下げ、ある男をステージ袖から呼び込み‥‥マニックスのオフィシャル・カメラマンであるミッチー池田氏の登場です。ってことは‥‥お判りでしょう。生「目、とっても美しいですね。とても美しい目をしてます」からスタートする"Ocean Spray"です。タイプとしては"Kevin Carter"と同系統なんだけど、こうやって聴くとそれぞれに別々の良さが感じられるんだよね。ライヴ前は「"Kevin Carter"だけ聴ければいいや」とか言ってたんだけど、いざ両方プレイされると、その違いを改めて思い知らされたという、ね。

  おもむろに聴き覚えのあるリフの塊。"Stay Beautiful"だ‥‥やっぱりこの辺の曲に対する反応は、最近の曲に対してよりも大きかったような。新規のファンにとっても、初期のパンキッシュな曲は魅力的に映ってるのかな? サビの「Why don't you just...FUCK OFF!」のコーラスも思ってた以上に声が出てたようなので、ひと安心(逆に何故歌詞カードがああなっているのか、ここで初めて知った人も多かったのでは?)。

  一旦袖に戻ったジェームズがギターをチェンジ。アコースティックギターを抱えて戻ってきた‥‥ってことは恒例のアコースティックコーナー‥‥のはずなんだけど、他のメンバー誰も引っ込まない(これまでは、ジェームズひとりによる弾き語りがメインだった)。どうやら今回のアコースティックコーナーではバンド形態で演奏するようだ。懐かしいアルペジオに導かれて登場したのが、これまた久しく演奏されていなかった"Little Baby Nothing"。初期はこの曲の時、客席から女の子をステージに上げて、トレイシー・ローズのパートを歌わせてたんだけど、さすがに今回はなし。トレイシーのパートも全部ジェームズが歌ってました(ま、もともとそんなに高いキーじゃないので全然違和感ないけど)。エレキなしの"Little Baby Nothing"もまた味わい深くて良いです。

  その形態のまま、「This song is dedicated to Richy James.」というコメントと共にスタートしたのが"Faster"のアコースティックアレンジ。ギターがアコースティックになった他、キーボードの味付けも若干変わり、ちょっとラウンジ風かな?っていう印象。シンセが前面に出てるので、かなり最近のマニックスっぽくなってました。これはこれで面白いかも。ま、いくら抑えて歌ったり演奏しても、最後になるとどうしてもガナり叫んでしまうジェームズが何とも微笑ましかったりして。

  2曲のアコースティックコーナーが終わり、再びレスポールを抱えたジェームズが歌いだしたのは、セカンドから"From Despaire To Where"。これも随分久し振り‥‥っていうか、10年振りに生で聴くわ。何となくいつも「演奏してくれないかなぁ」と思ってた1曲なんだけど、海外で時々やってたみたいだけど、どうしても俺が観に行く日にはやってくれなかったという。そしてそのまま、これも多分10年振りに聴く"Roses In The Hospital"。セカンドからのシングル攻勢は、今日のこのシチュエーションにピッタリ。「We don't want your FUCKING LOVE」のコーラスがちょっと声小さかったような‥‥みんなもっと頑張ろうよ!

  そろそろ終盤に差し掛かってきたかな、といった時間帯になり、残すはお約束の3曲で終わりか‥‥と思ってたら、まだまだやる気だよ、マニックス。バンドアレンジではなにげに初めて聴く"The Everlasting"では、歌ってて本気で泣きそうになるし。ベスト盤のショートバージョンに憤慨した俺だけど、やっぱりこの曲はフルコーラスに限る、そう実感した瞬間でした。ホント名曲。更にそのまま"Everything Must Go"へ。この位置にこの曲を持ってくるのは反則! 知らず知らずのうちに顔がニヤけてるし。さっきまで泣きそうだったくせしてね。それにしても、この曲でダイブする奴が現れたのは、ちと意外でした。

  そろそろ本当に終わりそうな予感‥‥ということで、お約束の3曲の時間のようです。まずはマニックス初のナンバー1ヒット"If You Tolerate This Your Children Will Be Next"。さすがにイントロのエフェクト音が会場に響いた瞬間の歓声は大きかったね。別にチャート至上主義ってわけじゃないだろうけど、それでも代表曲として認識されてるんだね。ちょっと意外かも(日本だとこの手の曲よりも、初期のパンクナンバーの方が人気あるのかな、と思ってたもので)。そういやぁ"Faster"の時、思ってたよりも歓声小さかったしな‥‥

  そして名曲中の名曲"A Design For Life"へ。さすがにこの辺になると会場中から大合唱が。ちょっと感動的。中盤のインストパートでジェームズがマイクスタンドを、本来リッチーがいるべき場所へ移動し、そこに向かってギターを一心不乱に弾きまくり‥‥ここで俺、絶対にマジ泣きしてたと思う‥‥ああ、やっぱり今日もリッチーは来てたんだ、それが判っただけでも俺としては十分だったし、やっぱりマニックスというバンドはジェームズ、ニッキー、ショーン、そしてリッチーによる4人組なんだな、今でもベスト盤のジャケット通りなんだな、と再確認。あと数日で「あの日」から8年経つけど、今でもリッチーは「そこ」‥‥ステージ向かって左側の、あの空間にいるんだ‥‥畜生、なんて惨めで無様な生き方しようがカッコいいバンドなんだろう、マニックスってのは。

  ジェームズ「Good night.」客「え~っ!?」ジェームズ「"You Love Us"!」‥‥という絶妙なやり取りからスタートしたラストナンバー。珍しくインディーズからの「Heavenly」バージョン‥‥頭のSEからスタートして、そのままいつも通り突っ走りまくり。ジェームズは右へ左へ動きまくり、シャウトしまくり、ニッキーは相変わらず訳の判らないコーラス入れまくり(笑)、ソロパートでは‥‥なんとジェームズがフロアへ降りてきてしまった! 急遽マイクスタンドをフロアに下ろして客と同じ目線で歌うジェームズ。何故このバンドが本国やヨーロッパであんなにも支持されるのか、それがよ~く判った瞬間だったんじゃないでしょうか? そしてフロントマンが不在のステージ上に目をやると‥‥いつの間にかニッキーがベースアンプの上に登ってるし(笑)、そして頭上に掲げたベースを床に叩きつける! アンプ上から飛び降りると、ベースは見事ネックが折れて真っ二つ。それを持ってニヤニヤするニッキー。更にマイクスタンドを持ってそれを客の方に向けたり、動き回ったり‥‥何か俺が観る時っていつも、かならずニッキーは最後までベース弾かないんだよなぁ(笑)。ニッキーに気を取られていると、いつの間にかステージ上に復帰したジェームズの姿が。ギターを床に置き、演奏は混沌とした状態のままエンディングへ。ショーンはそのまま姿をくらまし、残ったジェームズとニッキーがお客とコミュニケーションを取ったり、終いにはジェームズがニッキーを肩車したり(爆)と、これまでのマニックスからは考えられない程の上機嫌振りだったんじゃないでしょうか? あの気難しい英国人達が、ライヴの最中何度も「Fantastic」を連発するんだもん。本当にバンドにとってもいいライヴだったんだろうな‥‥ってのが伝わってくるライヴだったと思いますよ。客殿が点いて時計に目をやると、既に1時間50分経過‥‥過去の彼等のライヴと比べれば、明らかに長いライヴだったし、曲数や内容にしても文句なしだし、しかも全曲シングルナンバーだったという贅沢振り。そりゃ、もっとあれが聴きたい、っていう思いはみんなあると思うけど、それでもこれで満足出来ない人はいないでしょ?ってくらいに充実した、最高のグレイテストヒッツ・ライヴでした。

  ここまで集大成的内容でやられてしまうと、気になるのは今後の動向なんですよね‥‥ホントにこのまま活動停止とかしないだろうな?とか心配になってくるしさ。ま、もしこのまま活動停止してしまっても、誰も文句は言えないと思うよ。マニックスからすれば'93年以降の活動全てが「おまけ」みたいなもんだったんだから。

  でも‥‥ベスト盤収録の新曲(特に"There By The Grace Of God")や先日、日本でのみリリースされたミニアルバム「FOREVER DELAYED EP」収録の新曲群を聴く限りでは、今後のマニックスの方向性に期待してみたくもなっちゃうんだよね。従来の曲調やメロディに、いろんな味付けを施して、これまでとは違った側面を垣間見ることができたし。まだ未完成という印象も受けただけに、その完成型を聴いてみたいし、更にそれをどうライヴで料理するのか、そして過去の楽曲とどう整合性を取るのか‥‥まだまだこのバンドにやれることっていろいろあるんだよね、うん。

  そしてそこには‥‥目には見えないけど、常に4人の姿が‥‥

  今回で最後になるにしろならないにしろ、この日のライヴを見逃した方々。後悔しまくってください。年明け早々、いきなり2003年を代表するようなベストアクトをみすみす見逃すとは‥‥恥を知りなさい!


[SETLIST]
01. MOTORCYCLE EMPTINESS
02. YOU STOLE THE SUN FROM MY HEART
03. THE MASSES AGAINST THE CLASSES
04. THERE BY THE GRACE OF GOD
05. MOTOWN JUNK
06. THEME FROM M*A*S*H (SUICIDE IS PAINLESS)
07. KEVIN CARTER
08. SLASH N' BURN
09. TSUNAMI
10. SHE IS SUFFERING
11. LIFE BECOMING A LANDSLIDE
12. OCEAN SPRAY
13. STAY BEAUTIFUL
14. LITTLE BABY NOTHING [Acoustic]
15. FASTER [Acoustic]
16. FROM DESPAIRE TO WHERE
17. ROSES IN THE HOSPITAL
18. THE EVERLASTING
19. EVERYTHING MUST GO
20. IF YOU TOLERATE THIS YOUR CHILDREN WILL BE NEXT
21. A DESIGN FOR LIFE
22. YOU LOVE US (Heavenly)



▼MANIC STREET PREACHERS『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 01 27 01:42 午後 [2003年のライブ, Manic Street Preachers, くるり] | 固定リンク

2002/12/03

MANIC STREET PREACHERS『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』(2002)

去年(2001年)春にリリースされた6枚目のオリジナルアルバム『KNOW YOUR ENEMY』リリース時点で、既に「次のアルバムはグレイテストヒッツになる」と発言していたマニックスの面々。同年夏のフジロックでのステージではそれに先駆けるかのような、正しくグレイテストヒッツと呼ぶに相応しい内容を我々に提示しました。その後、新作に伴う単独来日公演は行われず、アルバムに関する噂話だけが一人歩きする状態が1年以上も続きました。当初昨年の今頃には既にリリースされているはずだったこのアルバム、結局は2002年という『GENERATION TERRORISTS』リリースから10年経った年にリリースされることになりました。あれから10年‥‥マニックスにとっても、そして俺にとっても決して短くはない時間です。あの頃20歳だった俺は既に30歳を超え(それはマニックスの4人にとっても同じことですが)、まさかアルバムやシングルを連発し、本当に「英国を代表する国民的バンド」にまで成長するとは思ってもみませんでした。そして、メンバーが4人から3人になってしまうことも‥‥

このアルバムには、過去マニックスがリリースしてきたシングルの中から18曲が収録されています。実際にはもっと多くのシングルが発表されていますが、今回はオフィシャルサイトを通して人気投票を行い、その上位18曲がここに収められたということらしいです。更に2曲、このアルバムの為に新曲も収録されています。

今回は珍しく、自分とマニックスとの10年間を回想する意味で、全曲解説をやってみようかと思います。とはいっても、楽曲のデータ解説等はせずに、その曲を聴くと思い出すこととか、自分とマニックスとの関わりとか、そういった駄文を書いていきますので、ちょっとこれまでのマニックス・レビューとは違った感じになると思いますが、最後までお付き合いください。


M-1. A Design For Life(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
凹んだ。最初にシングルを手にした時、あのシルバーとゴールドの2枚のジャケットが何か嫌な感じだったし、実際必要以上にメランコリックな曲調が嫌でも「あの出来事」を思い出させた。今でこそ大好きな1曲だけど、受け入れられるようになるまで相当時間がかかった。多分、そう感じたオールドファンって多かったんじゃないかな?

M-2. Motorcycle Emptiness(1st AL『GENERATION TERRORISTS』)
「雨」、「雨の東京」。PVのイメージも強いんだけど、この曲を聴くと当時専門学生だった自分が雨の中、この曲を聴きながら学校へ向かってた頃を思い出す。神田に学校があったから、お茶の水とか秋葉原をこの曲聴きながら雨の中歩き回ったり‥‥あ、イギリス滞在中も雨のウィンザーとかをこのアルバム聴きながら歩いたっけ。

M-3. If You Tolerate This Your Children Will Be Next(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
「別れ話をしてる車の中」ってイメージ。って全部実体験談じゃねぇか、これ。何かこの曲を聴くと、11月の寒い夜、つき合ってた子と車の中で別れ話を何時間もしたことを思い出すよ。曲とは全然関係ないことだし、この曲の恨みとかもないんだけど‥‥ちょっと鬱になるね。

M-4. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)(2nd AL『GOLD AGAINST THE SOUL』)
で、その子と付き合い始めた頃によく聴いてた曲っていう‥‥ねっ。当時、東京駅の構内でバイトしてて、朝6時半から仕事してたんで、朝の5時40分頃には家を出て‥‥まだ薄暗い中、この曲が入ったアルバムを聴きながら出勤したっけ、彼女起こさないように身支度してね。初めて観たマニックスのライヴもこのアルバムの時だから、特に思い入れのある時期。

M-5. There By The Grace Of God(新曲)
メロはマニックスまんま。結局何も変わってないってことか。装飾部分はかなり大人になった感じだけど、唄い始めた瞬間、自分の中で何かのスイッチが入る音が聞こえるんだよね‥‥マニックスの曲を聴くといつもそんな風になっちまう。それにしても、ホントにこの曲の雰囲気、80年代末~90年代前半のDEPECHE MODEみたいだね?

M-6. You Love Us(1st AL『GENERATION TERRORISTS』)
テレビ東京系列で放送された、水着の女性タレントが高台の上で尻相撲をする番組「ヒップでダダーン」テーマ曲。いやマジで。そんなこと、今更誰も覚えてないだろうけど、この曲を聴くと嫌でもあの番組を思い出してしまう自分がちょっと嫌。っていうか、毎日観てました。大好きでしたマジで。

M-7. Australia(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
アルバム最初に聴いた時、殆ど印象に残らなかった曲。普通のストレートなロックチューンって感じで、これだったらまだ「Further Away」の方が印象に残ってた。けど、それがガラリと変わったのはライヴビデオ『EVERYTHING LIVE』を観てから。ああ、ライヴだとこんなにかっけーんだ、って。けど今でもそんなに好きな曲ってわけでもないかな。もっと捻った曲の方が好きだから俺。

M-8. You Stole The Sun From My Heart(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
この曲聴くと、夜の海岸道を時速100キロくらいで飛ばしたくなる。ていうか、ホントに飛ばしてましたが。サビに入る前の、ディストーションギターが爆発するような感じが大好き。サビでがなるジェームズも好き。唯一ダメなのが、この曲が入ったアルバムを聴くと、「別れ話w(ry

M-9. Kevin Carter(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
この曲はPVでトランペット吹くショーンのイメージが強いな。あと、CDだとポップソング色が強いのに、ライヴになるとかなり強靱なロックソングとして機能してるっていうとこが好き。この曲もそうだけど、リアルタイムでリリースされた頃は殆ど聴いてなくて、出てから1年近く経ってからちゃんと聴いたって感じなので、リリースされた頃はこの曲も殆ど印象に残ってなかったんだよね、3曲目だったにも関わらず。

M-10. Tsunami(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
後にサザンが日本語詞でカバーしたことで有名な1曲‥‥ってことはなく、単にこっちのほうがタイトル付けるの1年以上早かったってだけ。『THIS IS MY TRUTH~』ってアルバムは何も悲しい思い出だけじゃなくて、新しい出会いの季節を思い出すアルバムでもあり、それはその後つき合うことになる女性だったり、このサイトだったり、そしてサイトを通じて知り合ったかけがえのない友達であったり。そして、6年振りに再会したマニックスの3人だったり‥‥そういったことが走馬燈のように思い出されます。

M-11. The Masses Against The Classes(none-album track)
この曲っていうと、俺の中では「大阪」っていうイメージ。いや、丁度この曲出る前に今の会社に入って、リリースされた後に大阪に1週間程飛ばされたんですわ。テレビもない生活の中、毎晩向こうの会社の人間と呑んで、帰ってから寒い部屋の中ひとりでこの曲やモーニング娘。「恋のダンスサイト」なんかを聴いて、闘争心を高めてたんだよね‥‥何か違うような気が‥‥。

M-12. From Despair To Where(2nd AL『GOLD AGAINST THE SOUL』)
命がけでやってたバンドが空中分解した頃にリリースされた曲。マジで凹んだんだよね。だって、(マイケル・モンローに倣って)腕にバンド名のタトゥー入れようと思った程、思い入れのあったバンドだったから。音楽的にも煮詰まってて‥‥そんな時にこの曲が出て、バカ一辺倒だったはずのマニックスが真剣に「音楽」に取り組みだした‥‥って感じで励まされるどころか、逆に焦らされて。で、とにかく動こうってことで友達のバンドにヘルプで参加したり、アコギ1本持って路上に出たり‥‥その後の音楽活動の原点だよね、そういう意味では。今でもマニックス・ナンバーの中で5本の指に入る好きな曲。

M-13. Door To The River(新曲)
もう1曲の新曲。随分と穏やかな曲だなぁ‥‥何かU2の曲みたいだ。『ZOOROPA』とかのエンディングに入ってても違和感ないかも。後半の盛り上がるパートになると、あぁ、やっぱりマニックスの曲だわ、と一安心。大袈裟過ぎる程のストリングスは相変わらず。無意味に過剰っていうか。ま、そういうところは(方向性が変わっても)デビュー当時、いや、その前から何も変わってないってことか。前作とは違った方向を見せる2曲だね、新曲は。

M-14. Everything Must Go(4th AL『EVERYTHING MUST GO』)
俺が『EVERYTHING MUST GO』アルバムを再評価する切っ掛けとなったのがこの曲。後半の「ハ~ッピィ~!」っていうジェームズのシャウトに鳥肌。そうそう、この曲で99年の来日公演はスタートしたんだった。身体の大きくなったジェームズがこの曲でギター弾きながらピョンピョン跳ね回ってたのが印象的。パンク版フィル・スペクター・サウンドとでも呼びましょうか、これは‥‥名曲ですね。

M-15. Faster(3rd AL『THE HOLY BIBLE』)
唯一サードアルバムから選ばれた1曲。つうかこの曲を選ばずして何を選ぶっていうの!? まぁサードアルバムから1曲選ぶってのは難しいよね。俺的にはあのアルバム自体、全体で1曲みたいな考え方だから。別にコンセプトアルバムってわけじゃないけど、13の音の塊っていうイメージがあるから。バンドでもコピーしたなぁ‥‥まともに歌詞覚えてなかったけど。

M-16. Little Baby Nothing(1st AL『GENERATION TERRORISTS』)
アメリカの(元)有名ポルノ女優、トレイシー・ローズがデュエット相手。中学生の頃、初めて観た洋モノ裏ビデオがトレイシー・ローズのだったな。あれで当時10代だったんでしょ??‥‥考えられねぇよマジ。その頃好きだった子に『GENERATION TERRORISTS』を貸して、返してもらう時に「この曲が一番好きだった」って言ってくれたっけ。で、「ところでトレイシー・ローズってどんな歌手なの?」と質問されて答えに困ったっけ‥‥。

M-17. Suicide Is Painless (Theme From MASH)(none-album track)
ファーストが出た半年後に急遽リリースされたカバー曲。リリースされた経緯(NMEの企画盤用)を知らず、タイトルから深読みして「ああ、終わりに向かってるんだな‥‥」としんみりしてたあの頃の自分がバカらしいッス。アルバム以上にメタリックなアレンジになっててビックリ。何かこういうガンズとかがやりそうなアレンジ(エンディングでテンポアップみたいなの)好きだよね、初期のマニックス。そこが如何にも「ロックに憧れる田舎の少年達」って感じで好感持てたんだけど。

M-18. So Why So Sad(6th AL『KNOW YOUR ENEMY』)
考えてみたら、前作からはこれ1曲なのか‥‥勿論好きな曲だけど、もっとロックした曲が欲しかったなぁ。けどこうやって20曲並べてみると、如何にこのバンドがパンク一辺倒ってわけじゃなくて、幅広い音楽を10年の間にやってきたかが手に取るように判るよね。これなんてぶっちゃけ、「Everything Must Go」の発展型だよね、「パンク版フィル・スペクター・サウンド」的楽曲って意味で。このアルバムが出た後に前の彼女と別れるわけだけど(ってみんなが知ってることを前提として話してる感じだな、こりゃ)‥‥何か、またバンドがあるひとつの方向(音楽的にではなく、バンドの進むべき道という意味で)に向かって走り出したなぁ‥‥って内心思ってた。で、俺もそれに便乗して乗っかって、その方向に突っ走ってやろうかな、とか無茶なことも考えたりして。まぁそれは今でも思ってることなんですけどね。

M-19. The Everlasting(5th AL『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』)
‥‥これ、反則! こんなブッタ切り方‥‥6分ある曲を4分に縮小してしまうなんて、既に曲として機能してないよ、これ。このベスト盤で初めてマニックスに出逢った人にすれば「ああ、この曲ってこんな感じなんだ」っていうふうに納得される危険が‥‥やっぱりこの曲を聴くと泣きそうになる。去年のフジロックでこの曲やってくれて、しかもアコギ弾き語りでやってくれたもんだから‥‥更にそのフジロックに一緒に行く予定だった人は、既に隣にいないなんてオマケまで付いて‥‥やばっ、また聴いてて涙腺緩んできた‥‥。

M-20. Motown Junk(none-album track)
今のマニックスの原点であって、スタート地点であって、結局行き着くところであって、俺自身の衝動の根元であって、ある意味人生のテーマソングであって‥‥いろんな意味が含まれれた、大切な1曲。結局さ、全部‥‥一番最後にジェームズが叫ぶ「We destroy Rock'n'Roll!」‥‥ここに全部あるんだよね。


というわけで、「とみぃの宮殿」4周年を記念する月のオススメ盤には、この10年間で自分にとって一番大切なバンドであるMANIC STREET PREACHERSの初のベストアルバムを選びました。そしてアルバムのレビューと称して、このサイトの4年間だけでなく、自分のこの10年間を振り返ってみました。相変わらず女々しいことばかり書いてますが、俺の90年代、そして俺の20代はそういう10年間だったと。カッコつけたり、いきがったりしながらも、傷つき心が痛み、やり場のない怒りや悲しみを貯め込んで精神が壊れかかったり。いろんな出会いがあり、そして同じくらいの別れがあったり。そういう10年間でした。

音楽の素晴らしいところは、そうやって聴いてた頃の自分の思い出が何時でも簡単にフラッシュバックしてくるところ。いい思い出も悪い思い出も、楽しかったことも悲しかったことも全部。ベストアルバムという形でバンドの10年間を総括しているものの、これはある意味「とみぃの20代総括」アルバムでもあるわけです(って勝手に決めつけるなよ)。

マニックスはこの後、2003年1月に単独としては実に4年振りの来日公演を行い、その後の予定は今のところ判っていません。噂通り、本当にこのまま終わってしまうのか、それともまた新たな道を模索するのか、あるいはそのままの勢いでアルバムをサラッと作ってしまうのか‥‥それは誰にも判りません。もしかしたらメンバー3人にも判ってないのかも。そして俺は、そんな彼等を見届ける為、いろんな思いを抱えてライヴに向かうことでしょう。



▼MANIC STREET PREACHERS『FOREVER DELAYED : THE GREATEST HITS』
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投稿: 2002 12 03 12:00 午前 [2002年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

2001/06/16

MANIC STREET PREACHERS『STARS AND STRIPES -GENERATION TERRORISTS US MIX-』(1992)

マニックスといえば、イギリスを代表する人気バンドというイメージがある。ここ数年はやっと日本でもその人気が定着したようで、この春に発表された新作「KNOW YOUR ENEMY」は不況続きの日本の洋楽部門の中でもなかなか善戦しているようで、リリースから数ヶ月後にTV用コマーシャルが作られた程らしい。

ところで、ヨーロッパ諸国や日本での人気は理解できるとして‥‥アメリカでのマニックスってどうなんだろう?と思う新規ファンの方々は多いのではないか? 例えばOASISやBLURがアメリカでもセールス的に成功したり高い評価を得ている反面、SUEDEやこのマニックスのように全く話題にのぼらない英国産バンドもいる。かのSTONE ROSESでさえ50位前後だったと記憶している。

アメリカ人は外国のアーティストに冷たい。よくそういう話を耳にする。例えば、DEPECHE MODEが'93年にリリースしたアルバム「SONGS OF FAITH AND DEVOTION」以後、英国アーティストがアメリカで1位を取るのはあのBEATLES「ANTHOLOGY 1」まで待たなければならないし、現役アーティストとなるとそれから更に数年後のBUSHやPRODIGYまで待たなければならない。英国色を強く感じさせない、インターナショナルな音ならば意外と成功を収めるようだが、「いかにも」なマニックスやSUEDE等はかなり苦戦を強いられているようだ(しかもSUEDEは過去に同名アーティストがいたために、アメリカでは「LONDON SUEDE」と名乗らなければならない。「X JAPAN」や「LONDON QUIREBOYS」も同様である)。

そのマニックス、デビュー当時はかなりアメリカデビューに力を入れていた。アメリカ盤「GENERATION TERRORISTS」はイギリスより数ヶ月遅れてリリースされた。しかもアメリカリリースに際して18曲→14曲に絞り込み&差し替え、アメリカ人が好みそうな音にリミックス、更に数曲に至ってはドラムをリズムボックス→生ドラムに差し替え、ギターやコーラス、キーボードをダビングするというサービス尽くし。ジャケットはそのままで、右下の方に例の「PARENTAL ADVISORY」の文字を入れた米盤「GENERATION TERRORIST」は結局、ビルボードの140位程度だったと記憶している(笑)。

で、ここで紹介するのはそのアメリカ盤ではなく(恐らく現在はアメリカでも廃盤だと思う。既にアメリカでのマニックスの権利はソニーにはなく、ヴァージンが持っているはずだから)、同年8月にここ日本でリリースされた、「STARS AND STRIPES -GENERATION TERRORISTS US MIX-」という編集盤。8曲しか入っていない、いわばセカンドまでの場つなぎミニアルバムである。この当時はマニックス、シングルやミニアルバムが連発してリリースされていた時期だ。それだけ鳴り物入りでデビューしたということだろう。

収録された曲の大半はオリジナル・ファーストに収録されているもので、リミックスされたりドラムが差し替えられたりしているので、オリジナル音源を知っている人にとってはかなり違和感があるのではないだろうか? 例えば"Slash N'Burn"なんて、完全に普通のアメリカンハードロックと化しているし、"You Love Us"もあの胡散臭さが消え、ストレートでパンク色豊かなハードロックに変化している(ジェームズの変なコーラスも加わったし/笑)。曲そのものは全くいじっていないのに、ドラムを差し替えミックスをクリアにしただけで、こうも印象が変わるものか?と当時はかなり衝撃的だった(いろんな意味で)。

その他の曲も"Crucifix Kiss"にはピアノが加わったり、"Little Baby Nothing"は更にポップさが強調されたような感じがするし、いかにもブリティッシュなはずの"Nat West-Barclays-Midlands-Lloyds"も妙にカラッとしている(知っている人も多いと思うが、この曲のタイトルは英国の主要銀行の名前を並べたものだ)。

ドラムはそのままだが、若干ミックスをした程度で収まっているのが、"Repeat"の2バージョン。きっと他のアルバム収録曲もそんな感じなんだろう‥‥って実は当時、このアメリカ盤は店頭で手に取っただけで、持ってないのだ。すぐにこのミニアルバムが出たので、こっちで済ませてしまって、暫くしたらアメリカ盤は手に入らなくなったという‥‥たまに中古盤屋で見かけるらしいので、その時は是非ゲットしようと思う。

で、何もこのアルバムはリミックスだけではない。かろうじて1曲、オリジナル盤未収録の曲が入っているのだ。それが"Democracy Coma"だ。UK盤"Love's Sweet Exile"シングルで既発の曲だが、日本&アメリカ初登場の1曲だ。当時は輸入シングルよりも歌詞付きの国内盤を重宝していた俺としては、大変ありがたい1曲だった。

それにしても、この曲のみ特にリミックスがなされていないように感じるのは‥‥俺だけだろうか? この曲のみ、初期マニックスの武器であった「鋭さ」と「甘さ」が両方感じられるのだが‥‥それにドラムも下手ウマっぽくて(笑)雰囲気出てるし。意外と好きな1曲である。

まぁ早い話が、ファーストのオリジナル盤を持ってる人は特に聴く必要はないであろう1枚で、マニアの方、又は"Democracy Coma"を聴きたい、ショーンの生ドラムを聴きたい、ジェームズの変なコーラス(掛け声?/笑)を聴きたいという変わり者のみ、お金を出して買ってみては如何だろうか?(ごめんなさい、マニアの皆様)

最後に、その後のマニックスのアメリカとの闘争についても書いておこう。セカンド「GOLD AGAINST THE SOUL」は無事世界共通仕様でアメリカリリースされた(しかしリリース時期が若干遅れたと記憶している)。ファースト同様、ジャケットには例の「よい子は買っちゃだめだよ」シール(笑)がプリントされていた。で、チャート上では大惨敗。全く話題にはならなかったようだ。ツアーもするにはしたようだが‥‥

その後、VERY BRITISHな「THE HOLY BIBLE」はアメリカリリースが見送られたと記憶している。3人になってからの「EVERYTHING MUST GO」は無事イギリスリリースの2ヶ月後に発表されたようだ(これもチャート圏外らしい。アメリカでの詳しいチャートアクションは判らないので、是非知っている人がいたら情報提供して欲しい程だ)。まぁ売れないレコード出す程、レコード会社も甘くはないってことでしょう。

で、'99年。アメリカでのみヴァージン・レコードと契約(当然、イギリスや日本ではエピックのまま)。プロモーションに全力を賭けるとのことでその年の4月に「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」がリリースされる。当時アメリカでもプロモーション活動をしている。が‥‥(苦笑)

この春、1ヶ月遅れで新作「KNOW YOUR ENEMY」も同じヴァージンからアメリカ・リリースされた。が、未だにチャートインしたという情報は入ってきていない‥‥ニッキー曰く「もうアメリカは諦めた」‥‥諦めなさいって、大味なアメリカ人には判らないってば!(苦笑)



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投稿: 2001 06 16 09:53 午後 [1992年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

2001/06/15

MANIC STREET PREACHERS『THE HOLY BIBLE』(1994)

前作「GOLD AGAINST THE SOUL」が予想以上にヒットしたマニックス。ツアーも大盛況に終わり、前作からのシングルから間髪入れず、'94年5月に"Faster"と"P.C.P"の両A面シングルを発表、16位と大健闘する。これはちょっと衝撃的シングルだった。何せ初期のパンク路線を更に進化させたかのような攻撃性、そしてサウンドは更に生々しく響き、全ての音が機能的に鳴っているのである。今現在までも、このシングルがマニックス史上最強だという意見は非常に多い(俺も全く同感である)。

続けて8月にシングル"Revol"(22位)を発表。これもまた面白い曲で、まるでテクノを思わせるような反復リフが登場する、カッチリと作り込まれたパンクソング(タイトルはリッチーの造語で、逆から読むと「LOVER」ということではないだろうか? 次作でも"Enola/Alone"という曲があったし)。

そしてそのすぐ後に3作目となるアルバム「THE HOLY BIBLE」をリリース。前作からまたまた1年2ヶ月という短期間で発表されていることから、本当にリッチー在籍時のマニックスは多作で、尚かつ良質な曲を連発していたなぁと実感する。その後もシングル"She Is Suffering"(25位)を10月にリリースしている。

前作からのラストシングルとなった"Life Becoming A Landslide"のカップリング曲(日本盤はシングル「FASTER」に収録)で既にその兆候は見せていたが、この「THE HOLY BIBLE」はファーストともセカンドとも違った、ある種脅迫じみた凄みがある。時代が時代だっただけに('94年というとカート・コバーンが亡くなった年)こういう「閉所恐怖症」的サウンドになったとも考えられるが、やはりここで考えるべきは当時のリッチーの精神状態だろう。歌詞からもそれは感じ取ることができるし、何より当時を知っている人間なら、その頃の彼の奇行を覚えているだろう。ベロンベロンになり何も覚えてないくらいまで酔っぱらい、薬に手を出し、何度か自殺をも試み強制入院させられたことを。家族同然だったバンドのメンバーは本気で心配し、ニッキーは毎日リッチーを見舞ったという。一端中止したツアーもリッチーの快復を待ち、翌'95年初頭には頭を坊主にし、一見快復したかのように見えたリッチー。この年の春には来日も決まっていたのだが‥‥2月1日、滞在していたホテルから、リッチー・エドワーズは忽然と姿を消すこととなる。その後、自殺説や誘拐説などいろいろ憶測で語られているが、現在に至るまで彼の消息はつかめていない。これによってバンドは活動休止、彼の所在/生存が判るまでバンドとして動かないことに‥‥

何がリッチーを苦しめ、何に駆られてこのアルバムを作ったのかは確か当時のインタビューで語られていたはずだが‥‥ここでは純粋に作品についてのみ語っていこうと思う。

とにかくそれまでの作品と違い、非感情的なメロディー、機能的なリズム、生々しいサウンド、曲を盛り上げるというより単なる装飾のひとつに過ぎないギターソロ等、どれをとっても前2作とは異なる作りとなっている。勿論、これまでの片鱗は所々に見え隠れするし(当時はそう思えなかったが、今聴くと非常にポップなメロディーをしていて、どこをとってもマニックスらしい楽曲ばかりなのだ)、"This Is YesterDay"のようなその後の彼らの雛形ともいうべきメロウな曲もあるにはある。しかし大半を占めるのは、グランジともパンクとも言い難い、ある種独特なヘヴィサウンド。ヘヴィといっても、昨今のヘヴィロックのようなサウンド的なものではなく、もっと本質に迫るようなヘヴィさ‥‥人間の内面をナイフでえぐり取るような鋭さや重さを持った音。そして更に深く、更に重みを増した歌詞。作曲はジェームズとショーンが中心に行っているが、このアルバムに関してはリッチーのディレクションが影響しているようだ。

変拍子が意外だった"Yes"から5曲目"Archives Of Pain"までの流れは正に圧巻で、正直初めてこのアルバムを手にした時は、最後まで通して聴けずにここら辺で1度止めてしまっている。音楽的変化よりも、その重さに耐えられなくなったのだ。これは決して気楽に聴けるアルバムなんかではない。しかし、一度その世界にハマってしまうと、二度と戻ってこれなくなる。これはそういうアルバムだ。

パンクバンドとしてスタートしたマニックスが、ここで一度原点を見つめ直したという考え方もできるかもしれない。しかしこれはそんな生易しいもんじゃない。ファーストでの失敗、セカンドの予想以上の好評価を経て、ここに辿りついたのだ。いや、ここまで追いつめられたのだ。その後、リッチーを失ったマニックスはこれ以上重く攻撃的な作品を発表してはいない。作品の質感や一部のパンクソングに対して、最新作「KNOW YOUR ENEMY」をこのアルバムと比較する人も多いが、やはり全く違うものだと言わざるを得ない。振り幅としては最も「負」にある1枚なのだが、これを最高傑作と呼ぶファンは多い。しかし、リリース当初の英国メディアの評価は全く逆だったことも付け加えておく。トップ10には入ったものの、セールス的には前作程ヒットしなかったという事実も(尚、アップ後の情報として'94年の英国・NMEかメロディメーカーのどちらかで「年間ベストアルバム」のトップ10内にランクインしていたという話がある。これは俺も何となく記憶してるので間違いないだろう。つまり、最も賛否両論が激しかった作品ということになるのだろう)。

このアルバムに対しては、1曲1曲を取り上げるのではなく、作品1枚を通して聴いて欲しい。俺はこのアルバムからどれがオススメの曲か?と問われると、正直答えに困る。何故なら自分にとって、この13曲で1曲というようにカウントしているからだ。「THE HOLY BIBLE」というひとつの組曲だと考えている。

何度かいろんなところで書いたが、自分の人生にとって非常に重要な1枚である。



▼MANIC STREET PREACHERS『THE HOLY BIBLE』
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投稿: 2001 06 15 10:00 午後 [1994年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

MANIC STREET PREACHERS『GOLD AGAINST THE SOUL』(1993)

結局、ファーストアルバムは1位にはならず(全英13位)、外野は「ああ、どっ ちみち解散するのね!?」とマニックスのことをせせら笑った。しかし、'93年に入りバンドはあろうことか、セカンドアルバムの制作に着手したのであった。このことに対して、当時リッチー・エドワーズは解散撤回声明文をプレスに発表している。当時「rockin'on」等にも載ったので、ご覧になった方も多いだろうが、最近の彼らしか知らない人には是非ここでその対訳を目にしてもらいたい。これを「言い訳」と取るか、「無様に生き続けることを選んだバンドの意志の強さ」と取るかで、このアルバムに対する評価が分かれるだろうから‥‥

さて、世間の風当たりは更に強くなる中、5月には先行シングル"From Despair To Where"を発表し、これまで以上にヒットさせることに成功。そのまま6月には約1年4ヶ月振りとなるセカンドアルバム「GOLD AGAINST THE SOUL」を発表する。前作から1年ちょっとしか経っていない上、これまでも連発するシングルのカップリングに沢山の未発表曲をリリースしてきているのに、この多作振り‥‥頭が下がる思いだ。しかも本当にクオリティーが高い。アルバムは初のトップ10入りを果たし、その後リカットされたシングル3枚("La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)", "Roses In The Hospital", "Life Becoming A Landslide")はどれもヒットを記録し、前作以上の成功を手にすることになる。

全10曲という、現在までの彼らの作品の中では一番収録曲数が少ないアルバムではあるが、その分アルバムとしてのまとまりやメリハリがしっかりしていて、すんなり聴けてしまう1枚かもしれない。何故か初期のファンには不評なようだが、楽曲のクオリティーは前作以上だ。

ファーストでも見え隠れしていたハードロック色を前面に打ち出し、これでもか!?って位に「泣き」や「哀愁」を色濃く表し、「BURRN!」辺りのリスナーにも好評だったようだ(実際、初来日時には同雑誌からインタビューを受けているし、このアルバムまでは好意的に紹介されていた)。

泣きのハードロック"Sleepflower"からアルバムはスタートする。まず一聴して気づくのは、リズムパートの強化だろう。ベースが前作以上にブリブリいっていて、更にドラムはファーストのアメリカ盤のように生ドラムになっている(一部打ち込みの曲もあり)。音も生々しさを増し、「俺達はバンドなんだよ」という主張が所々に漲っている。続くシングル曲"From Despair To Where"、これはどうだろう? 早くもマニックスはここで新境地に達している。続く"La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)"もそうなのだが、ここら辺の曲からはモータウンの影響を伺わせる。パンク一辺倒かと思わせておいて、この懐の深さ。いや、単純にこのバンドは「良い曲」を書くことに命を懸けているのかもしれない。

その後もハードさを増した"Yourself"、QUEENやTHIN LIZZY辺りからの影響が見え隠れするバラード"Life Becoming A Landslide"、WiLDHEARTSのジンジャーが当時「今年出た中で最高のレコードだ」と大絶賛した"Roses In The Hospital"(これを受けてジェームズは「自分達のレコードを除いて、って意味だろ?」と返している)など、流れとしては非常に統一感のある、ある意味前作とは対極にある作りとなっている。

ラスト3曲("Nostalgic Pushead", "Symphony Of Tourette", "Gold Against The Soul")はポップな中にもヘヴィさを強調した作りになっていて、ある種異色作ともいえる。特に最後の2曲はヘヴィなリフもさることながら、前作で提示したヘヴィさとは違う次元の「閉鎖的でヘヴィな空気感」を持った、ある意味次作への予告編と受け取ることができる(とはいっても、音楽的スタイルはまた違うのだが)。

そういえば、このアルバムの時期はHR系バンドとのツアーも幾つかあったようだ。特に有名なところでは、あのBON JOVIが「KEEP THE FAITH」に伴う英国ツアーの際に行ったスタジアム公演で、このマニックスを起用したことだろう。あれは誰のアイディアだったのだろうか? そして、それを受けてマニックスは何を思って出演したのだろうか? 「お前ら、俺達のこと好きだろ?("You Love Us")」と皮肉混じりに唄い、世間から憎まれ嫌われてナンボと思ってきたマニックスが、ここにきて何万もの大衆の前で演奏する機会を得る。多くの人間に支持されるようになりながらも、反面それを拒絶しようとするバンド。このバランス感が次作への起爆剤へと繋がったのは、間違いないだろう。

それまであったロックンロール色をよりメタリックな方向へと転化し、1曲1曲により整合感を持たせ、暴れるよりも合唱するタイプの曲が多いことから、実はこの作品は4作目「EVERYTHING MUST GO」と共通する面が多々ある。アンセム・タイプの楽曲が多いにも関わらず、現在このアルバムからライヴで披露される曲は数少ない。ファンの支持率も意外と低いようだし‥‥とにかく、純粋に名曲目白押しな1枚なので、是非手にとって欲しい。



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投稿: 2001 06 15 09:57 午後 [1993年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

2001/06/12

MANIC STREET PREACHERS『STAY BEAUTIFUL (Japan Only Mini Album)』(1991)

ウェールズの片田舎。テレビで放送された1970年代のパンク・ムーブメントを追ったドキュメント番組を観て、触発された4人の少年‥‥ジェームズ・ディーン・ブラッドフィールド、リッチー・エドワーズ、ニッキー・ワイア、ショーン・ムーア。THE CLASHに憧れ、同じような4人編成のパンクバンドを結成する‥‥それがMANIC STREET PREACHERSだ。1988年に結成し、インディーズのオムニバス盤に"Suicide Alley"を提供した後に、1990年「NEW ART RIOT EP」をリリース。ここではまだ話題になることはなかった彼ら。しかし、1991年3月、彼らは"Motown Junk"1曲でその名を世間に知らしめることとなる。


「ジョン・レノンが死んだ時は笑っちまったぜ
 だって21年生きてきた俺には
 何の意味もなさなかったんだからさ」


Richyという歌詞が印象的且つ衝撃的だった為に、「時代錯誤の勘違いパンクス」扱いされる。それだけではなく、彼らは常に話題を作り続けた。ライヴをやれば暴動を起こし、雑誌のインタビューで「お前ら、ハッタリだろ!?」と聞かれれば、本物だと証明する為に記者の目前で腕を切る(有名な「4 REAL」事件。左の写真がそのインタビュー時のもの。カラー写真もあるが、それは生々しいので、あえてブックレット内の白黒写真を採用した)。そして何より有名なのが、「30曲入りの2枚組アルバムを1枚だけ作って、世界中でナンバー1になって解散する。上手くいかなかったらその時も解散」という、無謀な発言である。これら一連の発言及び行動は、全てリッチー・エドワーズという男の仕業なのだ。この男こそが初期マニックスの原動力であり、支柱であった。彼は楽器もろくに弾けないが、見とれる程のルックスと、ある種文学的とさえいえる歌詞を担当していた。彼こそがマニックスのブレインであったのだ。

インディーズでもう1枚("You Love Us (Heavenly)")出した後に、いよいよ彼らはメジャーと契約し、シングルを連発する。"Stay Beautiful"、"Love's Sweet Exile"と続き、そして1992年に入り再録音した"You Love Us"をリリースした後に、2月14日にいよいよファーストアルバム「GENERATION TERRORISTS」がリリースされるのであった‥‥

以上、マニックスが歴史的意味合いを持つファーストをリリースするまでの、大まかな流れだ。さて、ここで紹介するのはそのファーストではなく、それよりも数ヶ月前に日本のみでリリースされた、ファースト・ミニアルバム「STAY BEAUTIFUL」だ。このアルバムによって彼らは日本デビューするわけだが‥‥これにはマニックスを語る上で、非常に重要な曲が収録されているので、あえて取り上げることにした。

日本編集盤ということだが、内容は先に紹介した"Motown Junk"以降の3枚のシングルから、それぞれ2曲ずつ選曲し、1枚にまとめたものだ。インディーズからの"Motown Junk"と"You Love Us (Heavenly)"、そしてメジャー移籍後の"Stay Beautiful"という、ちょっと強引さを感じる選曲となっている。何故強引か? それはインディーズ時代とメジャー移籍後とでは、音楽性やプロダクションが全く違うからである。いや、全く違うというわけではない‥‥化けの皮を脱いだというか、本性を現したという方が正しいかもしれない。インディーズ時代の4曲は、いかにもといった荒いサウンドプロダクション、そこに乗る楽曲はパンク以外の何ものでもないストレートなロックだ。しかし、"Stay Beautiful"‥‥これはどうだろう? サウンドプロダクションはメジャー級‥‥というより、まるでハードロックバンドのそれみたいなのだ。音楽的には既にパンク一色から脱皮し、非常にカラフルな色合いを見せつつある。ドラムは打ち込み(より正確さを表すためにそうしたらしい。というより、ショーンが下手だったということなのだろう)、ギターの音もより厚みを増し、ソロは泣き、シンセを被せた‥‥これはいろんな意味で衝撃だ。「時代錯誤のバカパンク」呼ばわりした評論家や音楽ファンは焦ったに違いない。「何なんだ、こいつらは!?」と。更にそのカップリング "R.P.McMurphy"なんて、アコースティックテイストの小楽曲だ。インディーズではバカを演じ、メジャーに上がった途端に本性を現したかのようなその変貌。強引な流れのアルバムではあるが、短期間の間に遂げたバンドの変貌を知るためには、格好の材料だ。

Band先に書いたように、このアルバムにはマニックスの歴史を語る上で欠かせない曲が収録されている。それはインディーズ時代の2曲、"Motown Junk"と"You Love Us (Heavenly)"なのである。確かに現在再発されているファーストにこの2曲は収録されている。しかし、"Motown Junk"はあくまでボーナストラックであり、英国盤には未収録。現在英国では入手が困難になっている1曲でありながら、ライヴでは必ず毎回演奏される、重要な曲だ。なぜ重要なのかは最初に書いた通り。

そしてもう1曲の"You Love Us (Heavenly)"だが、ファーストアルバムにも同名曲が収録されているが、アレンジが異なる。この曲のメジャーバージョンはエンディングがガンズの"Paradise City"のようにテンポアップして、如何にもライヴラストを想定してアレンジし直しました、というような作りに変えられているが、このインディーズバージョンの方は‥‥映画「トレインスポッティング」でもお馴染み、イギー・ポップの名曲"Lust For Life"まんまなのだ(笑)。CLASHときて、イギー‥‥判りやすい連中だ(笑)。しかも、ここ最近のライヴではこっちのバージョンで演奏される機会が多い(でも、大体はエンディング部分はカットされて、たまに気が向いた時にやってるような感じだ)。ファーストを聴いて「何だよ、何がそんなに凄いのか判らないよ!」とお嘆きのあなた。そんなあなたにこそ、このミニアルバムを聴いていただきたい。1991年という時代性を改めて考えて欲しい。時代はレイヴやハウス‥‥ダンスミュージック主流だったのだ。STONE ROSESやHAPPY MONDAYSといったマッドチェスター勢、EMF, JESUS JONESといった似非ダンス勢、更にORBITAL, THE KLFといったハウス/テクノ勢。その一方で、ギターのディストーションサウンドで「音の壁」を作る、サイケ且つガレージっぽいシューゲイザー勢‥‥RIDE等‥‥がいた1991年。そんな時代にこんな直球で勝負を挑んだマニックスは、ある意味バカだと思う。それは当時も感じていた‥‥しかし、そんなバカっぽさが、支持された理由であり、だからこそ信用できたのかもしれない。節操がないといってしまえば、それまでだが‥‥

このミニアルバム。俺はファーストを手に入れた後に後追いで買ったのだが、実は彼らを最初に知ったのは、何を隠そう、このアルバム収録の"You Love Us (Heavenly)"だったのだ。TVKで夕方やってた音楽番組に大貫憲章が出演し、今一番オススメのバンドといって紹介したのが、この曲のPVだった。しかし、その時聴いたこの曲に対して、何の感情も抱かなかった、特に記憶に残らなかったこともちゃんと付け加えておく。確かに映像は衝撃的だったが‥‥そんな俺が彼らの魅力に気づくには、あともう数ヶ月必要になるのだった。



▼MANIC STREET PREACHERS『STAY BEAUTIFUL』
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投稿: 2001 06 12 09:42 午後 [1991年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

2001/06/05

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(1996)

1995年2月1日、リッチー・エドワーズはウエスト・ロンドンにある滞在先のホテルから突然姿を消した。それによって残されたジェームズ、ニッキー、ショーンの3人は、マニックスとしての活動を休止せざるを得なかった。3人は捜索にも協力するものの、「バンドのメンバー」としてではなく、「ひとりの友人」としてリッチーを待ち続けた。しかし、結果はご存じの通り。3人は再びMANIC STREET PREACHERSの活動を再開させることを迫られる。バンドはまずチャリティーアルバム「HELP」に、バート・バカラックの名曲"Raindrops Keep Falling On My Head"を提供。3人マニックスとしての、正真正銘の初レコーディング曲は、意外なことにカヴァー曲であった。そして1995年暮れと1996年春に、彼らはSTONE ROSESとOASISのオープニングアクトとして再び観衆の前に姿を現した。そこには「THE HOLY BIBLE」の頃のような尖った印象はなく、極力感情を排除し、ひたすら演奏に集中する3人の男の姿があるのみだった。

そして程なくリリースされたのが、この通算4作目、3人となってからは初めてのアルバムとなる、「EVERYTHING MUST GO」である。象徴的なタイトルからも判る通り、彼らは前進することを選んだのだ。アルバムからの先行シングルとして発表された"A Design For Life"は大歓迎され、全英チャート第2位を記録、(当時の時点で)過去最高のヒット曲となり、その後のマニックスの代表曲として認識されるだけにとどまらず、この年のイギリスを代表するヒット曲となったのだ。当然のようにアルバムは1位を記録し(勿論、彼らにとって初のトップだ)、その後"Everything Must Go", "Kevin Carter", "Australia"と次々にトップ20ヒットを連発する。「ブリットポップ以後」を象徴する1枚といっていいだろう。

叙情的なハープとアコギの音に導かれてスタートする"Elvis Impersonator : Blackpool Pier"。途中から力強いサウンドを聴かせるものの、やはりメインになるのは叙情性。続くシングル"A Design For Life"にしろ"Kevin Carter"にしろ、そこには必要以上に盛り上げようとする「意図」を感じる。何故「意図」的に、リッチーを欠いた後の1枚目にこういう装飾が必要だったのだろうか? 今でも時々疑問に思う。これはプロデューサーに起用したマイク・ヘッジスが得意とする手法だったから、単純にそれだけの理由かもしれないが。勿論、楽曲はファーストやセカンド辺りにあったメロディアスな曲を、更に一歩押し進めたようなものなのだが‥‥当時はどうしても違和感を感じざるを得なかった。

今でこそこのアルバムは楽しんで聴けるが、実は当時何度も聴いたという記憶がない。つまらないアルバムではなかったが、前作までのイメージとかけ離れていたのも原因だろうし、「リッチーがいないのに、果たしてこれをマニックスの純然たる新譜と呼べるのか?」なんて疑問があったのも確かだ。今思えば馬鹿馬鹿しい話だが、当時はポップになった(いや、彼らは初めからポップだったのだ)"A Design For Life" のシングルを買った時点で不安が高まり、「アルバム、大丈夫か?」とドキドキする毎日を送っていた程だ。

1年程経ち、俺も成長したのか、偶然耳にした"Everythig Must Go" を聴いて「おぉ、いい曲だねぇ。マニックスの新曲か?」なんて言ってたら、友人に「アホ!アルバムに入っとるやんけ!」と突っ込みを入れられた。その位、ちゃんと聴いてなかったのだ。当然家に帰ってすぐにアルバム聴き返した‥‥いい曲が沢山詰まった、純粋にいいアルバムだなぁ、というのがその時の感想。以後、数ヶ月においてへヴィ・ローテーションになったのは言うまでもない。その位、初期からマニックスを追っている人間にとって、このアルバムは衝撃的であり、ある種「踏み絵」のような存在だったのだ。

しかし、このアルバム以降しか知らないような方々にとっては、これも間違いなくマニックスなのだ。しかも現在では、こういう音こそがマニックスの本流というような捉え方さえもされている。勿論、こういうメロディアスでポップな音楽性はマニックスが本来持っているものなので、決して間違ってはいないのだが‥‥

後々になってメンバーが語ったところによると、「EVERYTHING MUST GO」という前向きなタイトルをつけてはいるものの、当時のメンバーはやはりどこか消極的な、それでいて周りに対しての猜疑心が強かったようだ。それまでの「4人vs世界」という立ち位置はリッチーという「象徴」を失うことによって変化し、それ以前と対局にある「国民的バンド」という歓迎を受ける。その違和感は常に残り、更に残された3人を疑心暗鬼にさせたという。大ヒットしたものの、やはりその代償は大きかったといえるだろう。

が、そういう不信感とは別に、やはりこのアルバムは優れている。アルバムの流れも素晴らしいし、それまでシングルのカップリングでは披露してきたジェームズの弾き語り的ナンバーもあるし、初期を思わせるパワフルなロックチューンもあるし、そして最後の最後に登場する感動的名曲"No Surface All Feeling"。この曲なくして「EVERYTHING MUST GO」は語れないだろう。比較的シングルナンバーに代表曲が偏りつつあるが、現在でもライヴで演奏されていることからも、この曲に対してバンドが自信を持っていることが伺えるのではないだろうか? 楽曲単体の完成度も素晴らしいが、アルバムとしても素晴らしい。多少の疑問は確かにあるが、それをも超越する普遍性を持った、正に'90年代後半を代表するロックアルバムだと断言できる。



▼MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』
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投稿: 2001 06 05 10:04 午後 [1996年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

MANIC STREET PREACHERS『GENERATION TERRORISTS』(1992)

「30曲入りの2枚組アルバムを1枚だけ作って、世界中でナンバー1になって解散する。上手くいかなかったらその時も解散」‥‥初期マニックスといえば、この名(迷)言だろう、間違いなく。そんな彼らが1992年2月に放ったのが、このアルバムだ。だがしかし、公言通りの作品とならなかったことによって、一種神がかっていたデビュー前のマニックスは、ここで「ただのバカ」「負け犬」のレッテルを貼られることとなる。

1991年春にメジャーレーベルである「COLUMBIA」(後のEPIC UK)と契約したマニックス。まずはシングル"Stay Beautiful"を発表する。既にインディーズでは1位を取っていた彼ら、このメジャー第1弾はナショナル・チャートの40位まで上昇する。続く"Love's Sweet Exile"は26位、そして1992年に入り再録音した"You Love Us"は16位と着実にチャート上での成功を手にしていき、2月14日にいよいよファーストアルバム「GENERATION TERRORISTS」がリリースされるのであった。が、しかし‥‥

公言していたような30曲入りの2枚組アルバムではなく、18曲入りの1枚ものCDだった。かろうじてアナログ盤は2枚組だったものの、30曲には12曲も足らなかった‥‥単に力尽きたのか、レコード会社が拒否したのか定かではないが‥‥まぁ普通デビューアルバムで2枚組なんて拒否するわな。ただでさえ売らなきゃならない存在なのに、話題だけ先行していたとはいえ、本当にそれを出すかとなると‥‥やはり無理だろう。そこで本当に30曲入りだったら、ある意味「伝説」になってたのだろうけど‥‥反吐が出るくらいに。

まぁ18曲でもいい。パンクが18曲だったらきっと、このアルバムはここまで語り草にはならなかっただろう‥‥そう、18曲でも十分すぎるくらいに内容が濃いのだ。パンクあり、ハードロックやメタルあり、なんならスラッシュっぽいギターリフあり、アコースティックあり、メロディアスなミディアムあり、女性ボーカルの入ったポップソングあり、ヒップホップ調リミックスあり、とバラエティーに富んでいるのだ。普通、ファーストアルバムといったら自己紹介として、自らが最も得意とする手法で勝負するはずだ。インディーズ時代のマニックスを想定すれば、きっと18曲入りのパンクアルバムになるはずだと、皆が信じていたはずなのだ。しかし出来上がったのは、ビッグプロダクション、ドラムはリズムボックス使用のカッチリした作り、ギターは更に厚みを増し、更にメロウで泣きの要素が増し、シンセまで被せている。「LONDON CALLING」(THE CLASHの名作)のようなアルバムを期待したファンを、ここまで裏切ったデビューアルバムもないだろう。

アルバムリリース後も"Slash N'Burn"(20位)、"Motorcycle Emptiness"(20位)、"Little Baby Nothing"(29位)をシングルカットし、その間には更に、アルバム未収録のカヴァー曲"Theme From M.A.S.H. (Suicide Is Painless)"を発表し、初のトップ10入りを果たす。この時期のシングル攻勢は半端なもんじゃなく、どのシングルにも必ず2~3曲の未発表曲/新曲が収録されていた。これらを全部足せば30曲にはなるだろう。なんだ、そういうことか(笑)。で、どの曲も決して捨て曲という感じではなく、かなりフックの効いた曲が多い。「マニックスB面曲には名曲多し」という格言があるが、それは間違いなく本当だ。特に「EVERYTHING MUST GO」までの各シングルのカップリング曲は、どれも素晴らしい。既に廃盤となっているシングルも多いが、見つけたら即買いだ。

それにしても、なんでここまでとっ散らかった内容になったのだろうか。これは以前どこかで書いたかもしれないが、俺はマニックスを「サンプリング世代の代表」だと考えている。現在ではオリジナリティーに溢れた楽曲を連発しているが、この頃の楽曲は過去の偉人達からの流用が多く(とはいってもパクリとかそういう次元ではないのだが)、例えば初期パンクの姿勢だったり、HANOI ROCKSやNEW YORK DOLLSらのルックス/ファッション、GUNS N'ROSESのフックが効いた楽曲や粘っこいギター、PUBLIC ENEMYに代表されるような政治的メッセージ‥‥ヒップホップ世代とまでは言わないが、これらの偉人達からオイシイ要素をサンプリングし、4人の才能と共にミキサーにかけ、出来上がったのがこのアルバムだと言えるだろう。勿論、これはかなり無茶苦茶なこじつけではあるが‥‥彼らは過去の偉人達に憧れて、ああいう風になりたかった。どんなに醜い生き様を晒そうが、それが伝説になるのだと‥‥他者に殺されたジョン・レノンを笑うことで、彼らはまず歴史に名を残そうし、暴言の数々を繰り返し「俺達はフェイクなんかじゃないぜ!」とポーズをとる。しかしそれが逆効果なのは全て計算済みなのだ。だから彼らは「作品」で結果を残そうとした。素晴らしい楽曲、素晴らしいアルバムこそが彼らにとって全てだったのだ。リッチーにはそれだけの自信があった。そしてこれはそれに見合った内容だった(と今でも信じたい自分がいる)。

しかし、結果は惨敗。アルバムは初登場こそ13位だったが、その後それ以上チャートを駆け上がることはなかった。ここ日本では例の解散発言が話題を呼んで、4万枚という新人としては異例のセールスを記録、同年春の初来日も大成功に終わった(内容は別として)。しかし、ここ日本でも当然1位になることはなかった(総合チャートはおろか、洋楽オンリーのチャートでさえも)。アメリカでも同年初夏に再編集されてリリースしたのだが、ビルボードの100位以内にも入らなかった。惨敗。完全なる敗北。残された道はただひとつ、「解散」だった。

ところで、当時誰もが不思議に思っただろうが、マニックスはCOLUMBIAとの契約の際に、「アルバム5枚」分の契約を交わしているのだ(笑)。じゃあ残された4枚分の契約は、どうやって消化するのか‥‥来日当時のインタビューで(確かリッチーとジェームズだったと記憶しているが)「KISSみたいにメンバー4人同時にソロアルバムでも出したらどうですか?」と記者に提案され、「それ、いただき!」と言ったとか、言わないとか‥‥(苦笑)

Gttape実は俺、これらの「解散発言」なんて、当時はこれっぽっちも知らなかった。そもそも彼らが載るような雑誌なんて読んでいなかったし(そう、当時はまだ「BURRN!」にお世話になっていた時期だ/笑)、その前年に"You Love Us"のインディーズPVを観たきりだったのだ。名前こそ記憶の片隅に残っていたものの‥‥

'92年1~3月、俺はイギリスに短期留学していた。そこでよく「ケラング!」や「メタル・ハマー」のようなHM/HR専門誌を購読していた。で、当時からこれらの雑誌でマニックスやTHERAPY?といったバンドは話題になっていたのだ。この「GENERATION TERRORISTS」というアルバムも確か5つ星で満点の評価を受けていた。で、買ったわけだ、右にあるカセットを(これはかなり貴重じゃないだろうか?)そりゃ聴きまくったさ、当時‥‥テープが擦り切れるんじゃないかって程、毎日聴き込んだ。そして帰国後、国内版CDを買い揃えたのは言うまでもない。当然、ミニアルバム「STAY BEAUTIFUL」も。残念ながら初来日公演には足を運べなかったが(初めて観たのは翌年秋の2度目の来日時だった)、60分で終わったとか、演奏がアマチュア以下だったとか、リッチーのアンプからは音がしない(笑)とか、いろいろな神話を残して初来日を終えたそうだ。

記録に残るデビューアルバムを発表したアーティストはそれ以前にもごまんといたし、これ以後にも沢山登場した。しかし、ここまで記憶に残るデビュー作を発表したのは、後にも先にもマニックスのみじゃなかろうか?(頭脳警察の場合は、当時は発売されなかったのでこれには入らない)この「1位を取れなかった」という敗北感がその後のバンドの、いや、リッチーの運命を大きく変えていくことになるのは、また先々に話すこととしよう。



▼MANIC STREET PREACHERS『GENERATION TERRORISTS』
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投稿: 2001 06 05 09:48 午後 [1992年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

2001/04/10

MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』(2001)

「まさかこんなに(リリースまでに)時間がかかるとは思わなかった」という思いと「もう1枚聴く事ができた」という喜びとが交差する、MANIC STREET PREACHERS通算6枚目、約2年半振りのアルバムである。「己の敵を知れ」というシンプルなタイトルから、何となく内容が攻撃的なものなのでは?と想像できるし、それ以前にリリースされた限定シングル"The Masses Against The Classes"(日本盤にボーナストラックとして追加収録)からも「新作はこれまで以上にパンキッシュ路線になるのでは?」と先読みする事もできた。レコーディング最中から既に「今度のアルバムは初期の(パンク)路線に回帰する」という噂が広まり、前作や前々作にがっかりしていたオールドファンは期待に胸を膨らませ、4人編成時代を知らない新たなファンは初めてリアルタイムで観る/聴くであろうアグレッシヴ・モードのマニックスに興奮していた(とはちょっと大袈裟か!?)。

そして2001年2月にアルバムからの先行シングルを2枚同時リリース("So Why So Sad"と"Found That Soul")という、ここ日本では某ビジュアル系バンド等で知られている手法をイギリスで初めて実施。チャート上位初登場が予想されたが、実際には8位と9位。更に3月にはアルバム。残念ながら3作連続1位ならず(初登場2位)。それでもロックが売れない時代に、こんなにアグレッシヴ且つバラエティー豊かな作品がチャート上位に食い込んだのだから、快挙と言えるだろう。

さて、この新作。ここ2作のソフト路線からファンになったという人には不評のようだ。「メロディーが魅力的ではない」「ニッキー(・ワイヤー/Bass)がリードボーカルの曲が邪魔」「作品としての統一感がない」「曲が多すぎて内容が散漫」等々‥‥あら探しをしようと思えばいくらでも出来るわけだ。しかし‥‥が、しかしである!そんなに酷いアルバムだろうか? そんなに前作や前々作よりも劣る内容だろうか?

「メロディーが魅力的ではない」だって!? 確かに3人として再スタートを切った4作目「EVERYTHING MUST GO」('96年)や、その延長線上にある大ヒット作「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」('98年)の楽曲と比べれば、ここに収録されている楽曲達はそれ程メロウではないかもしれない。その理由として考えられるのは、作曲の方法が前作と新作とでは違うという点だ。簡単に言ってしまえば、前作や前々作は曲を書こうとして生まれたもの、そして新作はバンドとしてジャムセッションしていく中から生まれたもの。これは大きな違いだ。モーニング娘。とストーンズくらいの違いがある。現に前作までは作詞と作曲は分担作業制で、歌詞はニッキー(とリッチー)、メロディーはジェームズとショーンとなっていたが、この新作では全て「ALL SONGS BY MANIC STREET PREACHERS」となっている。ジェームズが歌詞を書いたものもあれば、ニッキーがメロディーを書いたものもあるはずなのだ(特に彼が唄う曲はそうだろう)

ちょっと余談になるが、これまでのマニックスの作風の流れを見てみると、ハードな作品の次にはメロディアスな作品を、甘ったるい作品の後にはその反動からアグレッシヴな作品を、というように常に「押し」と「引き」を交互に出してきた。ただ、マニックス史上最もアグレッシヴな3作目「THE HOLY BIBLE」('94年)から「EVERYTHING MUST GO」への流れはそれまでとは事情が違う。リッチー失踪から活動休止、再び3人で「暫定的」活動再開したものの、やはりそれまでのようなスタイルで続ける事は不可能に近かった。最近のマニックスしか知らない人にとっては判りにくいかもしれないが、如何に初期マニックスの原動力がリッチーという男から生まれていたかが、ここからも何となく判るんじゃないだろうか?

というわけで、前作~前々作というのは「望んで(望まれて)生んだ」作品とは純粋には言えないと俺は考えている。「EVERYTHING MUST GO」にはリッチーが残した詩を元に作った楽曲が存在するし、「THIS IS MY TRUTH~」も前作からの流れや空気を受け継いで作ったものだ(そう、彼らが似たような作風で続けるのはこれが初めてなのだ)。このままマニックスはアート路線へと進むのか‥‥誰もがそう思ったに違いない。相変わらずライヴはアグレッシヴなのに‥‥そしてこの路線で大成功を収めてしまい、4人時代には味わう事のなかったシングル/アルバム1位を獲得し、イギリスを代表する国民的バンドへと祭り立て上げられる。

リッチーの不在から5年。ここで3人は本当の意味で初めて「本気でマニックスの音楽に取り組む」事を決意する。全員が納得できる作品、「世界に憎まれるバンド」を再び演じる事、それら全てを引き受ける覚悟が出来たのだ。リッチー不在の影響はこんなにも長く尾を引いてしまったのか‥‥

こうして彼らは1年近くスタジオに籠もり、ジャムセッションを繰り返す。バンドとしてジャムしながら曲を作り上げていくという作業は随分久し振りの事だったらしい。そういえば4人時代はリッチーとニッキーが書く歌詞が最初に出来てからメロをつけるなんて話も聞いた事があった。もしかしたらメジャーデビュー後初めての試みかもしれない。初期を思わせるパンキッシュな曲もあればディスコ調もある。トラッドフォーク調、大合唱したくなるアンセムソング、フィル・スペクターを彷彿させる「WALL OF SOUND」コーラスのポップソング、サンプリングを駆使した曲、そして勿論前作や前々作にも通ずるようなメロディアスな楽曲も存在する。成功した作品の延長線上にある曲だけではなくて、いろんなタイプの曲が詰まっている。そういう意味で「統一感がない」とか言われるのだろう。確かにファースト以外はどのアルバムも統一感があったし。いや、考え方を変えればファーストは既にこういう作風だったわけだ。パンクあり、メタルあり、ヒップホップあり、トラッドあり、ポップスあり‥‥それがマニックスの「持ち味」だったはずなのだ。つまり‥‥乱暴な言い方になってしまうが、これは再び3人で暴れる為に必要な「手法」だったのだと思う。やりたい事を全て詰め込んだファースト「GENERATION TERRORISTS」('92年)と、再びあの頃の役割を引き受ける事を決意した新作。この新作を最初聴いた時、ファーストがリンクしたのはそういう事だったのかもしれない。だから「曲が多すぎて内容が散漫」と言われても仕方ないのだ。だってそれはマニックスが本来持っていたものなのだから。前作だってボーナストラックを含めて15曲も入っていたのに‥‥

今のマニックスがそれまでのような「必要以上にメロディアス」なものを欲していないのは一聴瞭然だろう。シンプル且つアグレッシヴ。今の彼らが必要としていたのはこれなのかもしれない。だからどの楽曲もコンパクトだし(3分台の楽曲が殆どだ)、アレンジも必要以上に盛り上げようとしていない(そう、"A Design For Life"におけるストリングスのように)。どの曲にもキーボード類は入っているものの、無愛想と言える程目立っていない。バラエティー豊かな曲調なのに、どこかモノトーンなイメージを受けるのは、この為だろう。それに更に拍車をかけるニッキーのリードボーカル&コーラス。殆どジェームズとユニゾンなので、ツインボーカルと言ってもおかしくない曲も幾つかある。ニッキーが唄うという事は、つまりニッキーはその気だ、という事なのだろう。その気になったニッキー。これはちょっと目が離せない。そう、必要だと思ったから唄うのだ。けど、ここでの役割はストーンズやエアロにおけるキース・リチャーズやジョー・ペリーのそれとは意味合いがかなり違う。だって‥‥ニッキーがその気なんだから(どういう意味か判らない人は、きっと今度のライヴを観れば嫌という程判ると思う。俺はそう実感したからそう書いているのだ)。

どの曲が前作までの流れの曲で、どの曲が初期を思わせるパンクナンバーで、というような解説とは違って、かなり抽象的なものになってしまったが、結局俺がマニックスを語るとこうなってしまうのだ。現在ギターロックにそれ程魅力を感じなくなってしまった俺が、それでも信用する事ができるのがこのアルバムであり、マニックスという存在なのだ。新作の歌詞の重みについても書いてみたかったけど、それはまたの機会にでも。とにかく、こんな冒険‥‥というか、馬鹿げたマネをするのは世界中を探してみても彼らだけかもしれない。きっと世界中のどこかでこのアルバムを耳にしたリッチーはニヤニヤしてるんだろうな‥‥あ、いいなぁ、って。で、それを想像してまた俺もニヤニヤしてしまう、そんな事を思わせるアルバムなのだ、これは。「マニックスに捨て作品なし」の格言(?)通り、唯一無二の、無敵な作品なのである。

一番最初に戻って‥‥それにしても前作からここまでたどり着くのに(間にシングルがあったものの)2年半もかかってしまうとは思ってもみなかった。もう半年早く聴けると思ってた。けどタイミング的にはバッチリだった気がするな。そして‥‥確かマニックスはデビュー時、アルバム5枚分の契約をしていると言っていたはず。あるインタビューで「ファーストで解散したら、残り4枚の契約はどうやって消化するの?」という問いに、リッチーだったかジェームズだったか忘れたが「そうだな‥‥KISSみたいに4人同時にソロアルバムを出すのもいいかも」と答えていたっけ(あれ、もしかしたらインタビュアーがそう提案したんだっけ!?)。前作辺りから「次はないかも‥‥」って不安が常につきまとっていたので、正直また新曲が聴けて‥‥しかもこんなに自分が望んだ形の作品がもう1枚聴けて、ホントに嬉しかった。信じられる音楽が少なくなってきた今だからこそ、本当にありがたいし救われる。次はグレイテスト・ヒッツだ、と言われているが‥‥これで終わってしまったとしても、俺は後悔しないだろう。正直ガッカリはするだろうけど。でも、もう1枚聴けるなら‥‥それがどういう作風であろうと‥‥ありがたいに越した事はない。だって「あら探しをして理不尽な理由で」新作をダメだという人と同じように、「無茶苦茶な理由付けで」そのアルバムを大絶賛するだろうから。



▼MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』
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投稿: 2001 04 10 10:10 午後 [2001年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

1999/02/08

MANIC STREET PREACHERS@赤坂BLITZ(1999年2月7日)

  前回の来日から約5年半が経ち、僕はただ歳を取り、彼等は3人になった‥‥

  なんてカッコつけて書き出したはいいものの、何かしっくり来ない。今朝の時点ではサッパリしてたのだけど‥‥う~ん、こうやって書き出せばやはり余韻を引き摺ってしまう。どうにかならないものだろうか? やっぱり早く次のライヴを見つけなくては‥‥

  というわけで、MANIC STREET PREACHERS(以下マニックス)の通算3度目、約5年半振りの来日公演が2/5大阪から始まった。僕にとっては2度目(前回は2公演観た)の来日公演だ。大阪公演の情報はネット上でいろいろ飛び交っていたし、実際セットリストなども目にしていた。「アンコールなし~ぃ!?」と怒る奴もいれば、「最高だった!」と感涙する奴もいる。万人を納得させるライヴを行うことは正直、不可能に近い。いや、そうだろうか‥‥そんな気持ちを胸に抱え、2/7(日)僕は家を出た。

  東京公演初日となるこの日は唯一の休日公演ということもあり、会場はほぼ満杯だったように思う。僕はかなり若い整理番号だったので、ほぼ最前列中央に辿り着く事が出来た。「『とみぃの宮殿』に集まる方の代表として、そして行けなかった人の分までこの目に叩き込んでやる!」と最初意気込んだものの、開演までの1時間、更に30分おしたので合計1時間半、僕の気持ちはどんどん不安へと変わっていった。「本当に出てくるんだろうか?」‥‥とりあえず会場に流れる音楽に身を委ねる。R.E.M., GUNS N'ROSES‥‥どれも知ってる曲。なのに元のCDが悪いのか、イントロ部分で音飛びが。(苦笑)結局、"Sweet Child O'Mine" は聴けず終いだった。(涙)だが、その後にかかったMARILYN MANSON "Beautiful People" で気持ちが持ち返す。(笑)最前列で軽いヘッドバンギング、正に『ひとりCLUB K』状態だった。(爆)

  どういう理由で開演が30分もおしたのかは知らない。だって開場時間はキッチリ17時だったし。おかしいな?と思い始めたのは17時50分頃。ステージ上のローディーがまだ楽器のチューニングもしてない! いや、既に済んでるのか?などとひとり不安がっていたら、案の定18時15分を過ぎたあたりから楽器のチューニングを始めやがった!(爆)マイペースと言うのか何と言うのか‥‥ここで本日2度目の不安状態に。(笑)

  18時30分、会場が暗転しオープニングのS.E.が流れ出す。いよいよだ‥‥そしてメンバーがひとりひとりと所定の位置まで歩いていく。見える、すぐそばにあのジェームズ、ニッキー、ショーンがいる!!! ジェームズのほぼ真ん前に陣取り‥‥が、既に後ろから圧されまくり! 以前、リキッドルームでのTHE WiLDHEARTS公演で最前列を陣取った時、やはり同じ状態に陥り、丁度鉄パイプ製の柵があばらの辺りに‥‥結局、肋骨にヒビが入るという経験があるので、少しだけ後ろに移動。丁度前にひとり入ってくれたので命拾いした。(笑)「情けない」と笑って下さって結構。でも、これだけは経験したものでなければ判らないと思うので<あの痛み/苦しみ。

  起動修正。ライヴスタート! 1曲目は大阪と同じ "Everything Must Go" だった。まず驚いたのは音がクリアーだった事。よくよく考えるとこの1年ちょっとの間、僕が観たライヴは全てここ赤坂ブリッツでだった。その中でも郡を抜く音の良さだったと思う‥‥って、よくよく考えてみれば、単にマニックスがシンプルな楽器(メンバー)構成だからかもしれない。(笑)そして演奏が異常に安定している。ショーンのリズムキープはアルバム毎に良くなってきてるが、現時点でここまで叩けば誰も文句は言えないだろう。ニッキーは‥‥相変わらず、というか。(笑)唯一、ニッキーはニッキーのままだった気がした。そして‥‥じ、ジェームズなのだが‥‥予想以上に大きいので吃驚した、というのが第1印象。(爆)ごめんなさい<ファンの皆さん。が、それ以上に驚いたのが、彼の身軽さ! ライヴ・ヴィデオ『EVERYTHING LIVE』や衛星放送での彼等のライヴを観た事がある人なら判ると思うが、ジェームズ、ギターを弾きながらクルクル回るわ飛ぶわで大暴れなのだ! 何故にあそこまで身軽に動けるのだろうか? 不思議でならない‥‥(爆)

  なんてバカな事を考えていたら、後頭部に蹴りが入る。(爆)既にボディサーフが始まってる! 「へっ!?この曲でもう?」って思う隙もなく1曲目が終了し、2曲目に突入。僕がライヴ1曲目だと予想してたニューアルバムからの曲、"You Stole The Sun From My Heart" だった。イントロ部分のリズムはシーケンサーを使用、それに合わせジェームズがクリーントーンでアルペジオをつま弾く。サビに入る直前の、あのギターが歪み出す瞬間にジェームズ、ニッキー飛び上がる! それに合わせて僕らも飛ぶ! とにかくジェームズ、よく動き、よく歌う。この男の歌唱力は過小評価されているような気がしてならない。現在のロックシーンを見回してもこれだけの声量・歌唱力をもったシンガーはいないのでは? しかも「最高にエモーショナルなギタープレイをしながら」である! 既にこの日何度目かの鳥肌が‥‥! ここでニッキーに目をやると、膝でリズムを取りながら目を瞑り、歌っている‥‥勿論、その声は聞こえはしないが。とにかくニッキーも気持ち良さそうに歌っている。ベースプレイがお留守になる事もしばしばだったが。(笑)

  "You Stole The Sun~" が終了。ここでジェームズ、ギターをトレードマークの白のレスポール・カスタムからテレキャスターに持ち替える。ファンなら次の曲の予想がつくだろう。3曲目は「K, k, k, k....Kevin Carter!」(by James)そう、"Kevin Carter"。リズムに合わせてジェームズ、ニッキーが飛び、僕らも飛ぶ。真正面にいるからという訳ではないが、やはりジェームズに目がいってしまう。どんなにふ○っていようが(爆)彼の歌唱力/ギタープレイは正真正銘の本物。正直なところ、レポートなんてどうでもいいや!って思ったもん。(笑)アルバムと違い、ソロパートはギター。ハーモナイザー(エフェクターの一種で、元の音にその1オクターブ上(または下)の音が被さるエフェクト効果が得られる。)がかかったギターソロは原曲に忠実だった。カッコ良すぎ! あんたら、スゲ~よ!!

  4曲目はこの日唯一の2ndアルバム『GOLD AGAINST THE SOUL』からのナンバー、"La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)" だった。ここまでの曲構成/流れ、完璧である。こうやって聴いてみると、2ndの曲というのが如何に『3人体制』になってからの音に近いかが伺える。僕が最近、「新作聴いたら、次は2nd!」と言ってる意味が判っていただけますか? ここで気がついたが、サポートメンバーのマイク・ネイスミスのキーボードの音が小さいような気がする。後ろの方で聴いてた方にはどのように聴こえたのだろう? この曲などはギターに絡むピアノが重要な気がするのだが‥‥

  ここまでのジェームズのMCは必要最低限の言葉のみ。よくある「また日本に戻って来れて嬉しいぜ!」とか「アナタハウツクシイ(笑)」なんて挨拶はなし。一見無愛想に見えない事もないが、これがマニックスなのだ。「次の曲は‥‥」‥‥っへ!?今、なんて言ったの? 僕の聞き違いか?‥‥確かに "Stay Beautiful" と言ったような気が‥‥その通り、5曲目はその "Stay Beautiful"! UKツアーではたまにやってたみたいだが、誰も「絶対」がない事を知っている。だからこそ、このハプニングには皆、気が振れたかのように大暴れ! ボディサーファー続出、感極まって涙する女性多数。(笑)1stからの曲とあってか、リズムは昔のように走りぎみ。(苦笑)だが、この時代の曲にはこれが合ってるような気がする。打ち合わせた訳でもないのに、皆が叫ぶ。


♪Don't wanna see your face. Don't wanna hear your words.
 Why don't you just♪..........FUCK OFF!!!


ここで僕にアクシデント発生。左肩から首にかけて、ボディサーファーから強烈な蹴りを食らう! 顔にもブーツの裏側がぶつかる。一気に醒める‥‥ふぅ~~~~~~っ、冷静になれた。もしこのままの状態が続いたら、レポートはおろか自分の記憶さえも失うところだった。その位思い入れのあるこの曲が再び聴けて、今その感動がまた蘇ってきた。

  気持ちを持ち直した僕に次々と襲い掛かる名曲の数々。次の曲は3rd『THE HOLY BIBLE』のオープニングナンバー、"Yes"。マニックス史上、恐らく最も演奏に注意が必要な、唯一の変拍子ナンバー。しかし、リズムキープはしっかりしてるし、演奏も完璧に近かった。ここで初めてステージ向かって左側の空白部分に気付く。あ、そうか。今でもあそこにはリッチーがいるんだ。恐らくメンバーにとってはそうなんだろう。勿論僕らにとってもその気持ちは一緒。最近残念に思う事は、若いファンがリッチーというメンバーを知らなかった事だ。そう、目の前に見えるマニックスは3人(+1)だが、多くのファンの「心の目」には見えてるはずだ‥‥

   エンディングの独特なギターフレーズを最後に、"Yes" は大歓迎の内に終了する。ここからは再び新作『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』のコーナーである。7曲目は "Tsunami"。新作の中でも人気のあるナンバーだ。イントロのシタールはキーボードがサンプリング音で代役。僕もレスポールをメインで弾くのでよく判っているつもりだが、とにかくジェームズのギターサウンドには圧巻である。アンプ自体も僕が昔使っていたマーシャル。なのにあのクリアーなクリーントーン‥‥そうか、マーシャルの上に乗っているトレース・エリオットか!(注意;マーシャルやトレース・エリオットというのは、ギターアンプのメーカー名。マーシャルはメジャーだが、トレースは本来、ベースアンプが主である)恐らくジェームズは「ディストーション系はマーシャル」「クリーントーンはトレース・エリオット」という風に設定を分けているのだろう。切り替えのスイッチで。そのスイッチはジェームズの足下にはなかったようだ。切り替わる瞬間も彼は飛び跳ねてたので、裏でローディーがスイッチング担当をしてたのだと思う。プロの世界ではよくある事で、大きなステージで動き回る以上、いつどこでギターの音色を変えてもいいように常に舞台裏ではローディーがスイッチングのタイミングを計っているのだ。

  しかし、どうしたことだろう‥‥この曲の美しさときたら‥‥ジェームズの声量はまだ落ちていない。続けざまに新作から "Ready For Drowning"。僕が新作の中でも特に好きな曲のひとつだ。イントロのオルガンのフレーズがどことなくTHE DOORSを彷佛させる美しいナンバー、イントロから歌に入った時の転調がまた絶妙に巧い。ジェームズという男、歌やギターの才能に恵まれているだけではなく、作曲の才能までも持ち合わせている‥‥例えそれと引き換えに太ろうが(笑)そんなことどうでもいい。ジェラシーすら感じる。

  そして次は‥‥僕が最も聴きたかった曲、『EVERYTHING MUST GO』の最終トラック、"No Surface All Feeling" である! この曲の美しさときたら‥‥正直に告白しよう。僕はこの曲で秘かに泣いた。みんなステージに夢中で、ステージのすぐ側にいる身長180cmの男が涙を流していた事なんて誰も気付いてはいなかっただろう。"Tsunami" からの「美メロ」3連発にやられた、って気分だった。目からはコンタクトが落ちそうな程の涙が‥‥何て美しい、何て激しくて、何て優しい曲(メロディー)を書くのだろうか、ジェームズ・ディーン・ブラッドフィールドという男は‥‥!

  むせび泣く僕を後目にライヴは進行していく。ジェームズの口から意外な曲名が飛び出す。「次は‥‥古い曲だよ‥‥"Sweet Home Alabama"!」そう、LAYNARD SKYNARDの名曲である。ジェームズがあのカントリータッチのイントロフレーズを弾き始めると、他のメンバーはそれに合わせて加わっていく。そして歌に入る直前に演奏はストップ。一瞬の間‥‥そしてジェームズがギターを刻むように弾きながら、聴き覚えのあるフレーズを歌い出す。♪Baby, baby, baby love~♪‥‥あぁ、いよいよ佳境に突入するな!‥‥♪Baby, baby, motown junk~♪‥‥待ってました! インディーズ時代の名曲、いや初期マニックスの名曲、"Motown Junk" の登場だ! 意外とリズムは安定しているし、演奏も歌もガッチリ決まっている。ボディーサーファーは前の3曲での鬱憤を晴らさんばかりに頭上を泳ぎ回る。勿論僕の頭に蹴りが入りまくる。(爆)でも全く気にならない。だって"Motown Junk" だぜ!? 冷静でいられる訳がない! サビは大合唱。フロントの2人は飛び跳ね大暴れ。そして曲の最後の台詞、「We Destroy Rock'n'Roll!」が‥‥何故、「We Destroy ...」で止めてしまったのだろう? 責めるつもりは更々ないが、やっぱりここまできたらカッコ良くキメて欲しかったなぁ‥‥でも、今の彼等には『Destroy』する意味がないのかもしれない。あるいは‥‥いや、やめておこう。この話はまた今度だ。

  続けざまにもう1曲の名曲、"Motorcycle Emptiness" が続く。曲調こそハードだが、メロディーは今のマニックスそのものである。続く "If You Tolerate This Your Children Will Be Next" (しかし長いタイトルである;笑)に引けを取らない完成度だと思う。この2曲は90年代前半/後半の彼等を代表するナンバー、いや、イギリスを代表するナンバーだと確信している。きっと2000年以降に、雑誌などでの企画「1990年代の名盤・名曲特集」に名を残すことだろう。それにしても、 "If You Tolerate This~" に対する反応が弱かった気がしたが、それは曲調がああだからだろうか? 単に前の方に集まった客がオールドファンばかりだったからだろうか? せっかくの初の全英第1位のナンバーに対する反応がこんなに寒くていいのだろうか‥‥

  ここで一旦、ジェームズを除く他のメンバーは袖に引っ込む。ジェームズはレスポールからギブソンのアコースティックギターに持ち替える。客から彼に何か声がかかる。「What?」とジェームズ、微笑みながら相手になる。和気あいあいとした雰囲気の中、新作から "Black Dog On My Shoulder" の弾き語りが始まる。この曲は大阪ではプレイされなかった、いわば東京で本邦初披露の曲である。(既にUKツアーでやってたら、すんません)終盤のテンポが変わる部分辺りで、ジェームズがぽつりと一言、「Merry Christmas, Tokyo...」(注;実際には「東京のみんなに、ちょっと遅いけどクリスマスプレゼントだよ」と言っていたそうだ。人の記憶なんて結構いい加減なもんさっ!)‥‥そして歌い出したのは何と、 "Last Christmas" ! そう、かつてジョージ・マイケルが在籍したWHAM! の定番クリスマス・ナンバーである。去年のウェンブリー公演など、過去にもクリスマスシーズンにこの歌を歌うジェームズが確認されていたが、まさか2月に、ここ東京で聴くことが出来るとは夢にも思わなかった! 隣では「何でクリスマスなの?」と宣う女性がいたが、いいじゃないか?ボーナスだよ、6年近く待った僕らに対する。

  最初の1コーラスで "Last Christmas" は終了。会場は笑顔と拍手に包まれる。それに続くは、切なくも美しいアコースティック・ナンバー、 "Small Black Flower That Grow In The Sky"。アルバム『EVERYTHING MUST GO』の中で聴くと、箸休め的な印象を受けたが、こうやってライヴ会場で聴くと全く違う印象を受ける。聴くシチュエーションでこうも違うものなのだろうか? いや、違う。目の前にいるジェームズという男の歌唱力に圧倒されているのだ。このアコースティック2曲はどことなく3rd アルバムの頃の LED ZEPPELIN を彷佛させる、などと考えたのは僕だけだろうか? あのフレーズはジミー・ペイジに通ずるものがあると思うのだが‥‥しかし、本当に巧い。歌もギターも。これ以上の言葉が浮かんでこない。

  2曲のジェームズのソロを終えて、残りのメンバーが再びステージに戻ってきた。バンド編成での再スタートは、CMでもお馴染みの名曲、 "Nobody Loved You" だ。残念だが、この曲のイントロは完全には再現されなかった。パワーコードの上に被さる印象的なスライドギターのフレーズ‥‥こればかりはジェームズひとりでは再現出来まい。結局、パワーコードのパートを弾く。でもそれでこの曲の価値が下がる訳ではない。やはり名曲は名曲。ミディアム~スロウ・ナンバーが多い新作の中でも、とりわけ「スロウでハード」なこの曲は、みんなにも好評なようだ。サビでは大合唱が起こる。勿論僕も。既に声は枯れていたが、それでも最後の力を振り絞って歌う。5年半分の想いを込めて‥‥この曲のギターソロは恐らくジェームズが人前で弾く、初めてのスライドギター・ソロである! 不馴れな為か、内容的には大した事なかったが、(笑)それでも音楽に対して貪欲な姿勢が伺える気がする。よく昔はジェームズとスラッシュを比較する声があったが、さすがにスライドプレイに関しては全く別物であった。スラッシュはギターネックの上から被せるようにスライドバーを操る独特な奏法だが、ジェームズは至極オーソドックスな、ネックを下から抱えるような‥‥つまり普通に弾くのと同じ体勢でプレイした。まぁ、ジェームズは歌も歌うのでこの方がやり易いのだが。でも、もしスラッシュと同じ奏法だったら‥‥どういうツッコミを入れただろうか?(笑)

  17曲目、再び勢いのある "Australia" がスタート。ボディーサーファー復活。蹴りも三度復活。(爆)この曲でライヴがスタートするのもいいが、終盤盛り上げる為に持ってこいだから、このポジションの方が正解だと思う。ジェームズは相変わらずくるくる回りながらギターをプレイし、ニッキーは飛び跳ねたり歌ったりで茶目っ気タップリだった。最後の方で、ジェームズが歌詞を間違え?たのか、ニッキーと顔を見合わせて笑ってしまい歌えなくなる。(笑)ライヴならではの御愛嬌。ライヴが始まったばかりの頃は、どこかステージ上にピンと張り詰めたものを感じていたのだが、それも進行するにつれて徐々に、徐々にと和やかなムードへと変わっていった。それはメンバーのあの笑顔が全てを物語っているはずだ。

  大阪ではアコースティックで演奏された "This Is Yesterday" が、今日はバンド編成、アルバム通りにプレイされた。ジェームズは再びテレキャスターを弾く。弾き語りバージョンもいいが、やっぱりこの曲はバンドバージョンの方が曲の良さが際立つ気がする。ダークで閉鎖的な『THE HOLY BIBLE』の中で唯一、初期の彼等らしさを醸し出すこの曲も観客に好意的に受け入れられた。

  さぁ、ここからが本当のクライマックスである‥‥事前の情報で、最後の2曲は "You Love Us" ~ "A Design For Life" だという事は判っていたのだが、何故かしっくりこなかった。確かに母国では現在、 "You Love Us" 以上に "A Design For Life" の方がアンセム的ナンバーとして成り立っている事は判ってはいたが、やはりここ日本では、 "A Design For Life" で締めるのではなく、勢いのある、いや、それ以上に日本人にとって思い出深い1st アルバムのナンバーで締めて欲しい‥‥みんな、そんな気持ちでいっぱいなはずだ。

  そして運命の時‥‥ラスト前の1曲は‥‥ "A Design For Life" だった! 内心、ホッとした。お陰で初めて生で聴く "A Design For Life" を堪能する事が出来た。もうここまでくると、頭から最後までみんな歌いっぱなしだ。拳を振り上げる者もいれば、涙を流す者、ただ音に合わせ体を左右に揺する者‥‥それぞれが、それぞれの楽しみ方をしている。そしてステージ上の3人も‥‥最後のドラムオンリーのパートでは、観客がリズムに合わせて手拍子。そして大歓声。いよいよ、である‥‥

  お待ちかねの「大ラス」は "You Love Us" ! 残り少ない彼等と共有できる時間を、最大限の力を振り絞って歌い、踊り、暴れる! コーラスではこの日一番の大合唱が‥‥もうどうなってもいい、明日なんか来なくてもいい‥‥そんな気持ちで僕も大暴れする!

  本当の「見せ場」はこの後起きた‥‥何と、ニッキーはベースをローディーに渡し、ベースアンプ上に乗っていた白いロープのようなものを持つと‥‥な、縄跳びぃ~~~~~!?(爆)噂には聞いていたが、これ程までとは正直、驚いた。(爆)ステージ狭しとニッキーは曲のリズムに合わせて縄跳びしながら動き回る。そう、僕が常日頃口にしてきた『既成概念のぶち壊し』。これこそ、それではなかろうか? これこそ『Real Rock'n'Roll』ではなかろうか?(爆)あそこまでクールに振舞って、最後にこれかよ!?‥‥ったく、ニッキー、あんたって人は‥‥素敵すぎるよ、本当に。

  ニッキーには目もくれず、(笑)ジェームズはひたすら歌い、ギターを弾きまくる。そしてエンディング‥‥マイクスタンドをぶち倒し、ギターのフィードバック音が響く中、マニックス東京公演初日は終わりを迎えた。鳴り止まぬ拍手、アンコールを求める声。しかし、彼等は戻っては来なかった。客電がついた後も僕はその場を動けずにいた。放心状態。いつ以来だろうか?ライヴでここまで放心状態に陥るのは。GUNS N'ROSES? AEROSMITH? RADIOHEAD?‥‥ハッキリとは思い出せないが、ここまで充実しきったライヴは、過去なかった気がする。2/7に体験したマニックスは27年生きてきた僕にとって、忘れられないライヴになりそうだ‥‥

  前回の来日から約5年半が経ち、僕はただ歳を取り、彼等は3人になった‥‥外見はお互いに変わってしまったが、中身は‥‥実は何も変わってないのかもしれない。気持ちだけは‥‥そう思えた事を嬉しく感じた、そんなライヴだった。


[SETLIST]
01. Everything Must Go
02. You Stole The Sun From My Heart
03. Kevin Carter
04. La Tristesse Durera (Scream To A Sigh)
05. Stay Beautiful
06. Yes
07. Tsunami
08. Ready For Drowning
09. No Surface All Feeling
10. Sweet Home Alabama ~ Baby love ~ Motown Junk
11 .Motorcycle Emptiness
12. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
(以下2曲は、Jamesのソロ・アコースティックセット)
13. Black Dog On My Shoulder ~ Last Christmas
14. Small Black Flowers That Grow In The Sky
15. Nobody Loves You
16. Australia
17. This Is Yesterday
18. A Design For Life
19. You Love Us



▼MANIC STREET PREACHERS『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』
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投稿: 1999 02 08 01:48 午後 [1999年のライブ, Manic Street Preachers] | 固定リンク

1998/12/06

MANIC STREET PREACHERS『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』(1998)

リッチーを欠いた3人での最初のアルバム「EVERYTHING MUST GO」が初の全英第1位、そして英国のレコード大賞とも言える「BRIT AWARDS」で、「ベスト・ブリティッシュ・アーティスト」と「ベスト・アルバム」を受賞し、それまでの「英国の嫌われ者」的ポジションから一気に逆転し、「国民的バンド」へと祭り上げられてしまったマニックス。その成功を更に後押しする結果となったのが、この通算5枚目のアルバム「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」だ。当然ながら、このアルバムも1位を獲得し、更には初のナンバー1シングル"If You Tolerate This Your Children Will Be Next"まで生み出してしまうのである。そして'99年2月には実に5年振りの再来日が実現し、ここ暫く日本での人気は低調気味だったが、一気に巻き返すこととなった。

リリース前の情報として、雑誌インタビューで「前作の延長」というようなことをメンバーが言ってたので、正直不安がよぎった。「また日和ってしまうのか」‥‥リッチーを欠いたマニックスは、このままパンク精神を捨て、QUEENやSTATUS QUEのような道を進むのか、と。

しかし、いざ手にしたアルバムは、そういう不安をも打ち消すような、およそマニックスのアルバムとは信じがたい美しいものだった。これを前にしたら、もう何も言えなくなってしまった。それだけ個々の楽曲の完成度は素晴らしいし、空気感もウェールズの澄み切った空を想像させるものだった。

前作同様、青を基調としたジャケット。果てしなく広大な大地に、果てしなく青い空。そこに佇む3人。かのGENESISのアルバムに「そして3人が残った‥‥」というタイトルがあるが、正にそれを思い出させるようなジャケット。特に空に向かって何か叫びだしそうなジェームズ‥‥非常に印象的だ。この「青」が、今回のアルバムの全てを物語っているような気がする。

アルバムを1回通して聴いた時の、あの何とも言えない気持ち‥‥それまでどこかしらにあった居心地の悪さは、ここには存在しない。もしかしたら、それが「リッチーの色」だったのかもしれない。前作は残されたリッチーの詞を使って何曲か作っているが、今回からは白紙から‥‥ゼロからのスタート‥‥これが新作を聴いたときに思い浮かべた、第一印象。決して「今までをなかったことにしよう」というのではなく、「今までを踏まえたうえで、俺達は大人になっていく」的な決意表明にも受け取れた。それは前作以上に壮大な楽曲、シンプルになった歌詞からも伺えるだろう。

「これが俺自身の真実ってやつさ。さぁ、お前の話を聞かせてくれよ」と優しく問いかけるように、アルバムは"The Everlasting"からスタートする。それまでの威圧的な問いかけではなく、優しく問いかけることによって、更に重みを増す‥‥これが新しいマニックスの武器なのだ。リッチー不在の3年を経て、彼らは一回りも二回りも大きく成長したのだ。

そして、何よりも大きく成長しているのがジェームズのヴォーカル。新作をレビューしている雑誌に「ジェームズの“叫び”がなくなって残念」という声があったが、俺はそう思わない。ここでもしっかり叫んでいるのだ、ジェームズは。ただ、前作までにあった「尖ったもの」が薄らいだだけなのだ。先にも書いたように、「優しく問いかけることによって、更に重みを増す」手法。これが今のジェームズの叫びなのだ。例えて言うなら、前作までを「ロック的な叫び」、新作を「よりソウルフルな叫び」とすると、どうだろう? 正直、ここまで彼のヴォーカルに胸を打たれるとは思ってもみなかった。そこまでシンガーとして成長したのだなぁ、と感動すらした。

こう言い切ってしまったら、ファンの方に怒られそうだが、1~3枚目を「第1期」とすると、前作からが「第2期」ということになるのだろうが、俺は新作からを「純然たる第2期」と呼びたい。前作は、残されたマテリアルを元に組み立てられたことや、ある種「作る義務感」を感じながら作ったのでは?という疑問から、勝手に「第2期に移るために、必要だった過渡期」と呼ばせてもらう。当然、決して悪い意味はない、「過渡期」という言葉には。

ギターサウンドもこれまで以上に凝っている。前作ではこれまで程ギターに惹かれなかったのだが、新作はマジでカッコイイフレーズやソロを連発する。落ち着いた中にも激しさがある‥‥多分、「事故」から時間を置いて、より自分自身を出すことに自信が持てたのだろう。特に"The Everlasting" は詞も、メロディーも、アコギのアルペジオも、ギターソロも、ヴォーカルも非の打ち所がない傑作だ。「1曲目にバラード?」と最初は思ったものだが、いざ聴き終えてみれば、ただ涙するばかり。間違いなく、今年の俺の中でのベスト・トラック。羨ましいよ、こんな曲書けて。この曲が1stシングルだとばかり思ってたくらい。

前作のツアーから、3人+サポートのキーボーディストが参加しているので、ステージ上でのギターの「音の厚みの問題」は解消されているようだ。でもビデオでライブの様子を観たが、結構ジェームズが大変だった。前作はいろんなギターフレーズを重ねてる曲が多いからから、(恐らくリッチーのパートを想定してレコーディングしたのでは?)どれを弾くかで結構曲の印象が変わってくるし。ところが今回のギターは、なかなかシンプルなものが多い。その上、キーボードから始まる曲も多々ある。曲作りの時点からキーボーディストは参加していたようなので、こういう形になったようだが、新しいマニックスを提示するためには必要な手法だったのだと思う。決してリッチーのことを忘れたわけじゃない。だって今作も必ず「ギターが2本」入ってる曲が多いし‥‥今更マニックスに対して「ギターバンド云々」なんて語る人もいないだろうし。むしろ、楽曲で勝負するバンドになったのだ、彼らは。リッチーという「精神的支柱」を欠いた今となっては、こういう道に進まざるを得ないのも、致し方ない。

とにかく、どれだけページがあっても足らない位、絶賛に値するアルバムだと、自信をもってお薦めする。事実、数名の友人に薦めたが、全員から「すっげ~良かったよ!!」と絶賛の嵐だ。また、かなりの音楽通からも「マニックスの新譜にはビックリしたよ!いいねぇ、ライブ行きたいねぇ」との便りも届いた。これまでの「ロック馬鹿」的イメージを完全に覆した、恐るべき名盤。それがこの「THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS」なのだ。



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投稿: 1998 12 06 10:08 午後 [1998年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク