MARVELOUS 3『READY SEX GO』(2000)
現在はソロで活躍するブッチ・ウォーカーが以前在籍していたバンドとして知られるMARVELOUS 3。バンド活動時期には一部のHR系雑誌でのみ話題になるだけで、特にここ日本では騒がれることのなかった彼らだけど、少なくとも自分の周りだけは異様に盛り上がっていたのを今でも覚えています。メジャーでのファーストアルバムとなった「HEY! ALBUM」の完成度の高さにヤラれ、満を持してリリースされたこのセカンドアルバム「READY SEX GO」では、まずそのジャケットにヤラれて‥‥今時、こんな絵面のジャケ、ないってば! 売れないし、絶対に売れないし! しかも微妙に彼らの音楽性に合ってるのか、合ってないのかも‥‥何とも言えないし。ホント、凄いことしでかす奴らだなぁと。
内容は、ファーストを更にハードにしたようなハードポップ/パワーポップ/ハードロック・チューン満載で、それこそ「あと10年早かったら‥‥」と思わせるような内容なわけですよ。つうかこれがリリースされたの、2000年ですからね!? 巷ではラップメタルだのラウドロックだのがもてはやされてた時期に、この音ですよ! その潔さがもうね、素晴らし過ぎ。
1曲目 "Little Head" を聴いた時点で、自分の中で大きくガッツポーツ。初期のNELSONにも通ずるメロディアスでポップなハードチューンは、今でいうところのSR-71(そういえばこのアルバムの頃、一緒にツアーとかしてたっけ)とかDIFFUSER、LIT等のポップロック/パンクポップ系バンド、ENUFF Z'NUFF等のハードロック系パワポバンドに通ずるものがあるし、その後飛び出す楽曲からもCHEAP TRICKやQUEEN、KISS、DEF LEPPARD辺りからの影響を強く感じるわけですよ。特にこのアルバムのハイライトといえる名曲中の名曲 "Radio Tokyo" なんて上記のバンドからの影響を感じさせつつ、ブッチ・ウォーカーのソングライターとしての才能が遺憾なく発揮されているから、もうね‥‥本当にいいのよ。俺内では『2000年の "All The Young Dudes"(ご存知MOTT THE HOOPLEの名曲。デヴィッド・ボウイ作)』ってくらいに高い評価ですから。
プロデューサーにジェリー・フィンを迎えているという点だけでも評価が高いのに、ゲストに目をやってもこれが面白いことになってるわけよ。当時BUCKCHERRYに在籍していたヨギや元JELLYFISHのロジャー・マニング、LITのジェレミーがギターやキーボードで参加していたり、留守電メッセージでMOTLEY CRUEのニッキー・シックスが参加したり(ニッキーはこの後、ブッチのソロアルバムでも1曲ベースを弾いてますしね)、コーラス要員(「a big DEF LEPPARD sounding gang vocal」というまんまな表記がGood!)としてポール・スタンレー(KISS)、ブラッド・ピット、ジェニファー・ロペス、ジャック・ブラックというミュージシャンから役者まで非常に幅広い人達が参加してるんですよね。どういう経緯で参加したのか判りませんが、ま、一聴しただけでは誰の声ってのは全然判らないのでどうでもいいんですが!
上に挙げたようなロックバンドを好む人、パワーポップでもよりハードロック寄りのサウンドを好む人には間違いなくストライクゾーンなバンドでしょう。つうかこれ聴いて気に入ったなら、前作「HEY! ALBUM」はもっと気に入るはずだし、ブッチのソロも間違いなく気に入るはず。もうね、ブッチ・ウォーカーというソングライターの魅力一人勝ちですよ。
そんな彼、最近ではアヴリル・ラヴィーンの新作で曲を書いたりプロデュースしたり、更にはAMERICAN HI-FIの新作のプロデュースまで手掛けているという(何というピッタリな組み合わせ!)‥‥今後はそういった裏方の仕事も増えていくんだろうな‥‥だって、それだけの才能を持った人だしね。そうやって裏方の仕事で話題作ったり実力を発揮して、その注目をそのままブッチのソロアルバムにまで惹き付けられたら‥‥最高なんだけどね。そして最終的にはMARVELOUS 3再評価へと続いていくというね。まぁそこまでの道程は果てしないだろうけどさ‥‥とりあえずはこれ読んで気になったって人はチェックしてみてね。